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黄金の魔女ベアトリーチェの宝飾店 第七話
目次 現行スレ
179 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 20:59:59 ID:jEYNOEksSa
ゝ/´/////彡∧i‐-､
／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ ＼::::::::::ヽ
,//／／ ｀ ￣￣ 〈⌒´i‐‐､´
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i 約束の時間だ。
i |i､｀) 'ゝ二二二二７ ,
､` ヽ ｀‐-==- i 宝飾店夜話。幻魔のロマン・ノワールと
､ゝλ i
∨i ､ ．＜三ヽ ノ 洒落込もうじゃないか。
∨ ＼‐‐ ´////////／
〉 ＼/////////,i
／ {｀ ､ ＼ ､｀ ヽ////,i
ゝ´:::::::∧､ ￣ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧ ／ ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
.
180 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:00:52 ID:jEYNOEksSa
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王圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭廴____ ￣圭圭圭圭≧=-_＿,,,,,=======≧==-___ __￣圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭_ ＼＾℃圭
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,,x= _彡ツ _,,≦爻 辷ｧ'^^＝´ ＿＿::::____ｚ=圭ﾌ￣￣~~-~圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
爻圭ﾌ´ 七圭ツ __,ｚｚ=≦才'￣ ::::::::::: ＿_＿_ ¨'__二圭圭圭圭圭圭
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 亜熱帯の湿潤が絡み、纏い付く、夜の摩天楼。
┃｜
宵を認めまいと、無数の電灯が煌々とした摩天楼を成す、超高層ビルが内包する
空間にて。
或る男が、晃(きら)びやかな、知悉する全ての赤い宝石よりも晃めかしい赤が、飛沫
(しぶ)くのを目の当たりにしていた。
.
181 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:02:49 ID:jEYNOEksSa
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─! |:A｣≡:::::::::::::!:::::i::i::::::|:|::|iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|ｺﾕ_ノ:::::ﾄﾙ::::::1
:::::Lｒiｖ宀-::::::::'":|ﾖ|:::::_;_:::::::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
:::::ｒﾙ､i≡≡≡|:/=ヾ､|ﾆ!::::::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
::/7i>::|≡≡:::::|7加|:::iÅ::::::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
/=== >、｡｡｡:::ｌ|」＝|_」iﾖL:::::::::::::::::::::::::::::|iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
|=i:::i=|彡:::::::::: |ﾖo: |::::::::::::||::::::::::::::::::::: : |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
|::::::::: |iii|、::::::: |::::::::|::::::::::::||::::::::::::::::::::: : |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
|┃┃|iｺｺ:::::::: |::::ｆiｌ|i＜＞iｌ::::::::::::::::::::::::::|iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
|┃::::ｌ|iｺｒﾍ::::::ｌ|::::|::::|::::|: : |::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
|::::::::: |｡｡|:|:!::::::|::::|::::|::::|: : |ｒ＝､:::::::::::::::｢｢!]]|]]:ｖ:[[|[[!ｺｺ::::::::::::::::/￣￣
|::::::::: |｡:ｌ|:|:::::::ｌ|::::|::::: : |/二>＜7!:::::::::;」」::]]|]]iii [[|[[i｣_｣:::::::::::::::L＿＿,
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ それは朔の闇夜であった。
┃｜
その闇に身を捩らせ、我欲を謳歌する街。夜景の眩さが世に轟く香港での事。
この街には闇が無ければ日々を息衝けぬ者達が存在している。
闇に息衝き、黒社会を苗床にする者達。
そうした者達の奈落と同義の巨大な受け皿としても、三合会は存在していた。
香港を拠点とする幾数の犯罪組織が在り、それらのネットワーク共々を指した結社の
名称が三合会であり、内包する組織数は今の世で60に届くか届かないかとされる。
.
182 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:04:48 ID:jEYNOEksSa
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ .
//:ﾊ:r､::::::::::::::::::::::::::::} /~/7 ＿_
{' ,} 〉}::::::::::::::::::::::::::::l / / / .| i ∧
; ﾚ':::::::::::::::::::::::: / ./ / /ﾍ | l l :|
i ,ｲ｀ヽ::::::::::::::::::ｲ . / / /j_ｿ｀ヽ_. |_l l :|
_j∠ニニニﾆ≧､{ r' / ﾊ:´≦､_ソ | l l :|r -- ､
, ≦ニニニニニニニニ≧ ､ゞ三ﾉ ,ｲ |_l l :| ヾ . }-､
〃ニニニニニニニニニニニニニ≧ ､ノ } l l :| } j . }
, ニニニニニニニニニニニニ ／ニニ∧ ´¨∨ ,
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∨ニニニニニニニニニニニニヽニニニニニ {ニニニニニ 〉
.∨ニニニニニニニニニニニニ ＼ニニニニ iニニニニ.／
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┃｜
┃｜ この三合会を構成する主要組織の内、金義潘(カンイーフゥン)と呼称される組織が
┃｜
存在する。
金義潘の活動域は広く、香港、東南アジアを始めとし、中国の特に広東省、欧州、
日本等、世界各地に及び……。
東南アジアの宝石市場が最も活発であり、悪徳の街【路南浦】を抱える国に於いて
三合会構成組織が一つ、金義潘を背負い、三合会管理員の役職である白紙扇に
就き、実行支配の采配を振るのが張維新である。
.
183 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:06:45 ID:jEYNOEksSa
: : : |: : :＼ |: |:l/|/|/|/|/|/|: : |:
: : : |: : : : :i |: |:l_.|_.|_.|_.|_.|_.|: : |:
､＿ｌ!: : : : | |: |:￣￣￣￣: !:..:.|:
: ＼i＼r‐┴――――――――― ┐ |: |: : : : : : : : : :!:..:.|:
: : : :＼l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.| |: |＿＿＿＿__|: : |:
: : : : : :|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_|、 |: |:l .| .| .| .| .| .|: : |:
:[ｌ]:[l]:[ｌ.|――――――――――― ､ |: |:l/|/|/|/|/|/|: : |:
: : : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|､＼ |: |:l_.|_.|_.|_.|_.|_.|: : |:
:[ｌ]:[l]:[ｌ.|: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :|: : :i .|: |:￣￣￣￣: !:..:.|:
: : : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|: : :|.__ |: |: : : : : : : : : :!:..:.|:
:[ｌ]:[l]:[ｌ.|: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :|「fr|: :ｉ、 . |: |＿＿＿＿__|: : |:
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:[ｌ]:[l]:[ｌ.|: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :|「fr|].:|fﾑ. ／／ |: |:l/|/|/|/|/|/|: : |:
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」Tｌ_|.ll ||: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]: :[]:||:| | l: : :|: :.:|: |T|.T||T||TT|: :|: |＿＿＿＿__|: : |:
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┃｜
┃｜ 張維新にとっては、様々な意味合いにより本国と称する香港。
┃｜
この香港と言う都市は、張が任されている国と比肩する程に世界的な宝石、宝飾
展示会が行われる面までをも有している。
宝石の世界にもファッションと同じく流行と言うものが有り、況んや半ば意図された
ものではあるとしても、それを世に知らしめんが為の宝飾展示会であり……。
ここにも香港の誇る金融街とは違う匂いを放つ、意図ありきの膨大な金銭の流れが
見られた。
.
184 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:09:45 ID:jEYNOEksSa
イ: | : :|: |: : : |≧s｡., ｀ヽ､ | |,.｡o≦二≧s｡.,＿ ､丶` /
,,／ |: :| : :|: |: : : |: : :|::: |≧s｡., ｀ヽ| |: |]| |:|:| | |乂ソ| ￣”“ '' ┬‐┬-r-=彡 ､丶` _,,.. -
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┃｜
┃｜ 生き馬の目を抉(くじ)れなければ、そも白紙扇の地位に相応しからず。
┃｜
そんな意図があったか、どうか。宝石、宝飾展示会を明日に控えたその日。香港の
或るホテル、エグゼクティブフロアのペントハウスに、張の姿があった。
.
185 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:12:06 ID:jEYNOEksSa
／ｨﾍ／
,' ／ .）／
. _＿＿＿＿＿＿ (:' ／イ)／
.／∨======＝＝.∧ ', )） ｨヾヽ／
ﾏ:::::∨.＼／＼／＼∧ } /( 弋,イ
.ﾏ:::::∨／＼／＼／ ∧ ,' ﾉし': :ヽ
..ﾏ::::::∨__／＼／＼ ∧ （(,ｲ: : :: :V） ／¨⌒｀ヽ
ﾏ::::::∨ ＼／＼／＼∧ ､ゝ: : : :(ﾉ} Y′ |
. ﾏ:::::::∨／＼／＼／ ∧ ヽ: :: : : :: :/ / /
. ﾏ:::::::∨__／.＼／＼ .∧ ゝ;:; :;从;ノ .／ /
. ﾏ:::::::∨ .＼／＼／ヽ∧ ┌───────i／ヽ_ ./
.ﾏ:::::::∨.／＼／====∧.二二ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ| ｰ-─ ／
. ﾏ:::::::∨＝＝ヽ:::::::::::| |＼／＼／＼／＼／|三| /
｀￣￣ ）::::::::::| |／＼／＼／＼／＼|三|. /
ソ´⌒￣￣￣へ──'ﾆt‐‐ .／＼／＼／|三| .|
/ 〃 l￣ヽ ヽ／＼／＼￣ﾘ .|
| ゝ .| | ） ／＼／＼| |
i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i
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＼ 人:::／ニニニニﾆ / -- ''" /〈 /::/
|ニニニニニ / {::::::/ /
|ニニニニﾆ./ ￣ /
|ニニニニ / ＿＿＿):::. ＿_/＼
ｰ､ ＼ニニ- 人_:／:::::::::::::::::::/ /
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ヽ::r'⌒ヾヽｨ.: :ヽ::: (_ -､ / ／ ／::::-----＜:::::::::::::〉 ／:::::/ ニニニ
Y:: ..::::::.. ノ::: ::..:: ﾉ ／ ／ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ／::::::::::|ニニニニ
ゝ､::_ :: ｀ー-- イ{ (:i:／ ＼:::::::::::::::::::::::::::::::/ ／:::::::::: / |ニニニニ
｀て_,-ｒ'｀ー-- ＿＝-=-
i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i
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186 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:12:50 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 超高層ビルの最上階に位置するペントハウス。
┃｜
所謂百万ドルの夜景を足下にする錯覚を覚える、ガラス張りの窓際。一頻りジタン・カポ
ラルを呑んでいた張。
周囲に警護の者の影も無く、独り切りであった。男として、この生半でない贅沢に誰一人
たりとて介在させたくは無かったのだろう。
堪能している。暫く、紫煙を燻らせながら直立のままに、視界一杯に広がる擬似銀河を
眺めやっていた。
そうして、胸に深く深く、ジタンの煙を呑み……、瞼を閉じ、文字通り満喫し、紫煙を吐いて
やろうと、また視界に銀河を収めんとしたならば。
視界は、一変していた。
.
187 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:14:22 ID:jEYNOEksSa
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BGM：ttps://youtu.be/dYrwRWoqxNE
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-――- )
／ ／
／ -――--´
| ＜ ＿＿＿ ＞==--一'
__ 斗 ´ ＿＿＿／ﾆ=--一
／「 { ＼ ￣￣ ＞┘￣ ＜ﾆ=--､
／／{ ｀ ー―rく ＿＿ ｀ヽﾆ=-- ﾉ
＿,, {__r-=∨ ＼ ,／ "´ ＼ﾆ=--＜
／ ＿＿ ＞ ＼ ＼ ＼{ _,,ｯﾉノ／ └―――┐}
f――r― ＜￣＼ ｀ヽ ＼ ＼ x≦癶n㌃ヽ }
´ ／⌒ ＼ ＼ ┐ ( "´ ￣￣ / 〈､ ｀ヽ
｛＿_{ r‐==ミヽ } } }､ ＼ ＜ ＼ |
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廴__:{＼_｀¨¨´／ ﾉ､/｀ヽ} =-＼ ｀ヽ ∠二 {､ ) )＿＿丿}
〉 ﾄ､ ⌒ ´ 丿 ) ﾉﾆ=--辷ミ ´ こ_) ﾆﾆ 彡 ー―― ´
＼ ＼ー――く__／ ／／, ￣ ｀ -=ﾆﾆ =- ､ ￣{ ￣￣
)___}､＿＿__丿一‐=ﾆ { ヽ ＼}
{ {￣￣＼ ﾆ=-- ＼ ′ﾉ( ＼ )
､__ ､ ＼ ‐‐=ﾆ､ {__ つ . } ) ／
丁 ＼丶__ } ﾆ=--,{＞ ____ .. :: :: :. . ／ ／
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⌒l＼厂廴＿r―┐ ＼__ ／
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∧_______＞´_ 人 }＼ ＿ / ｀ }
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┃｜ 闇夜を背にした、晃びやかな女が居た。
┃｜
張との間にガラス窓を隔てて、だ。
文字通り百万ドルの夜景を足下に、足は地を踏まず、中空を踏み。
超高層ビルが在る為に、香港と言う場所に密集乱立するが為に起きているビル風と
言うに生易しい乱気流にも微動だにせず居た。
金糸の髪は風に乗って頬を飾り、豪奢壮麗を身に纏う綾織りに艶めかしきジュップの
バロックドレスは、実に美事にひらめいている。
女の視線は真っ直ぐに、張のサングラス越しの瞳を……、いや、瞳の向こう、心底、
深奥の更に奥底、魂を捕らえるかに射られているのだ。
.
188 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:16:33 ID:jEYNOEksSa
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189 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:17:17 ID:jEYNOEksSa
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＿＿/｀ー ＜ へ
＿_/ / _ - ー―― ,ヘ ＼＞-､
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〉､ {∨＼ ‐ﾆ二三三/ / ｀>. ／/ , ∧
{｀ﾄ､{､ﾍ ＼ ゝ‐､三二/ヽヾﾐ､〃､＼./ / , '. ﾍ
ヽ|从ヽ ﾍ / ヾλ斗 { 冫爻､ Ｘ∧ / ｝ ｉ .ｉ∧
｀＜､丶ヽ〉'〃ｿ ｉ ハ ＼x'´ﾍ､＜_,/ ＿,7 ∥ | ｉ ｝
∨ヽﾍ ゞ' ﾉ ） /／/ ∥∥∥
∨ヽ｝､_／ ／ ､ゞ::├＜_/ / /
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'､ ,'´｀Y ＼∧ ＼ｰ-_, ﾉ:／
ヽ､ .｛三二∨ト､ ゝ' ／ゞヽ_
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,ﾉ///／´/////ト ＿／ /＞ー-､-＝＿
ゝ＝＿////////｝ ＞ ´￣｀＼ ＼ ｀'､￣三二ﾆｰ
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/ ＼ ヽ / ｉ ヽ 〈/////
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／ ＞-个´＼ゝ､,ヘ｀ ､_ ＼, / 〈∨ |////
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ヽ￣´｀-‐个 _人＿,ゝ､,-' <＿ ゝ_ ＞'´ ,ゝー´///
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┃｜ その窓越しの望外とでも言いたげな会心の笑みに、壮麗そのものの女は、
┃｜
紅唇の端を弓張り月の形を取るかに引き上げ、応えた。
女の冷たげな膚の白さも相俟って、朔の夜に月影が顕れるかの笑み。
張の視線も、女らしき何かからたじろぎもせず、真っ直ぐに窓越しの相手に
向けられている。
．
190 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:19:20 ID:jEYNOEksSa
,ｫ,｡ == ､
,ｧｨ , ._ ヽ ',
.,! !゛,゛( ｀ ', !', ＿,ｨ
|l ゛ ‐-- .ｲｿ!ﾞ ＿ ⌒)ﾉ
ﾞﾘ､ﾐ 三 彡∥ （r'⌒ ,イ
',! `!ﾞ'＾'´!´ﾘ ） ﾉ)ー'ノ
ト、 ｧ^r‐ '´｀¨¨´'‐｡､_, （ rｰ'´
,ィ:::rヾ ;': :',! !./ヽ ＼
'⌒)::!､ ヽ、 ,': :: :', 'ﾞ ., ﾞ' ﾉ: : ::!
ノ〉 し'⌒)ﾉ ,ｲ: : :: :ゝ､____ｌ___ノ: : : : :',
(⌒ (＿,ィ ,｡ゝ: : : ;ｨ: : : : : : : : :,: : : ::ｨ､
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ム （ ,｡-': : : : : !,.ｲ: : : : : : : : : ::ヽ: : : : :! （ |
ヽ ｀二 =‐'´ ,./: : : : : : ::,': : : : : : : : : : : :: :: ヽ,: : :! ） ﾉ
/ /ヽ､_: : : :,': : : : : : : : : : : : : : : : :｀.´ （'´
ｲ､/∥ | ７‐ｧ: :: : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ :|し!
ヾ､_!ｨ l ｿ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.'., ﾄトJ | フ
./: :｀''´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::ヽ ノ _ノ
ト､＿ノ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: :ﾞ., ノ厂￣
｀ー'´ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :! （'´
./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : !
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,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',_
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┃｜
┃｜ 女が、焔なのか燐光なのか、幽明の光を弾かせながら、やおら張の方へと歩み
┃｜
寄る。擬似銀河を、夜を生きる人々の営みを足下に、バロックドレスに相応しき
典麗さで。
夜の中空と室内とを区切るガラス張りの窓は、意味を為さなかった。
．
191 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:21:56 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
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＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',',
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） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ _ ＿‐ ''"
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｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __ |_ﾉ ﾉ }､__/ /
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼ヘ. / / ﾍ,,ｨ=Ｙ
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┃｜
┃｜ 二人切りとなったペントハウスの広大な室内に、伽羅の混然幽玄の香りが、女が纏って
┃｜
いた夜気と共に解(ほど)け行く。
甘く、脳天をじわりと痺れさせる艶冶(えんや)なる匂い。
乾燥させた葉煙草を堆肥発酵させた、癖の強い、黒煙草のジタンを肺に収めていた
張にも届く、ひとの世のものとは全く疑わしい、凄絶な香りだった。
．
192 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:23:38 ID:jEYNOEksSa
_＿＿___
／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀ ､
／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
i:::::::::: ///／ /// ﾐ:::::::',
ｉ|::::::, /// / ハ ミ:::::::', ……Bonsoir.
从:j// 乂==-､,_ _,､-=＝ミ Ｙ:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛ Buona sera.
/⌒ＹV三三三/ ∨三三三ｊＹ'＾ヽ
｛ {⌒j `ー─＜/ ､`ー─＜ } し'｝ Buenas noches.
＼｀ﾊ ヾ.:.::ノ ﾊ. /
`ｰ:. 、__＿__ , /／ 午安.
／ヽ ＿,, ｲﾘ
／￣￣｀ヽ ／ﾍ:＼
圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／ ∨::＼、
／, ′／´￣￣｀ヽ 八 / ',::::::∧｀:::...､、
_ .． ´.::/ , -―- ､__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
. : :.:.::::/ ／ , -―- ､__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ ／ ＿ ｀ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ｀Ｙ////／ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ﾉ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
┌∧ムＹﾔｧｨ-――-＜ﾆ=こヽ、
,.ィi/ >ﾆ≡三..._ ＼,,､Σヽ
＞ﾍ,,.ｨ'´,ｨ／ ｀ヽ、 .ハ ｀!ﾉ、
＼／ , ./ / ,. ,. ヽ .ﾊ ﾉﾉｊﾊ_,.ﾊ ｊ
/ / ,' .,' .,' .l .ハ ',.ヽ i |彡ﾉﾉﾊ_,ｨﾉ
l.i i .i ii i i ', .i i ',ｊ ｊ ﾉﾉｲ |_ﾉ
ｰi .ｬ.ﾆ_‐┴┴ｰﾞ┴┴''ｿ彡ｼソ./
`､i,弋) ''てら) .,ｲ{6ﾘﾝﾉ.ｿ Buona sera.
ｊ.i 〈 ￣´ ハ Yﾞ_シ′
(｀ﾄ､ ---‐' ,,ｨリ''ﾍ ） Sono lieta di vederla.
ξ ＼ __ , ｨ_''∠┐ '´
,.､.､ ,ｨ･' ./::::::::::::::::;ｨ
/ ,ﾉ.,ﾚ､,,ｨ･"ｨ‐''"´'ヾ≠7'" `ヽ､._ _....._
ｊ´ ｆｒ´.,ィ.)､',.ヽ、.,へ _,,..ﾞﾆ'' ‐- ／ .,ィミ=ｭ
,ｋ''7 | i .i.._`‐ｬＬﾆ○-._ ｆ _,､イ _,.イ ぐﾞ､､`:.､
,.､ .,,ィ''ﾞ´.ト ､､,,__ }^ﾞﾍ..ｨ'ﾞ| ｀ヾ┴ﾆ-‐''"´,ｨ''ﾍ;::::::ヾ;:::ﾊ
く 〉,,ｨｨ"´ .,､ゝ‐,ｨ/ /:::::::://::::¨¨7"''^^ﾞ:Ｈﾞ~{{:::::::::ヾ;:::::::l::::ﾘ
廴)" .ｆ::::ｆ;ｨﾞハ ./:::::::::{{::::::::::〃::::::::::::i:ﾍ::ヾ､:::::::::!:::::::;;::<、
';::/::: i.,.ﾍ ./_＿:::::!:::::::::{{::::::::::::::ﾘ／ゝ､_ﾞ;;;;､-‐'"::ヾ;::ヽ
.,':::::: i _Yヽ:';::::｀ii:ヽ:､._!:::::::_;::ｩ'´ .ｆ::{{::::::ヾ:::::::::i!:::ﾘ
,'::::::::: i" .', ﾍ::::::::ii:::::::::::√´::::ﾉ ﾍ::ヾ､:::::ﾞ､:::::/ｼ′
,':::::::::::. !‐-! }::::::||:::::::::::l:::::::/''ﾝｭ...＿＿`;;--ｬ-‐''"!
．
193 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:25:20 ID:jEYNOEksSa
〉:.ｰ'.::ノ.:／ . : :/ / .:/ :l | :l .:| :.ヽ
｢ヽ.:＜／厂＼: :/ / .:/ :| :| :l .:| : : ',
＼二仄＼_ノ/ | :| :| :ｌ .:| :l .:| : : .l
ﾉ .:| |l Ⅵ l 厂≧ ､ ￣｀ ┴ﾍ ﾉ 広東語でも、英語でも
丶.::| |/⌒| | 「｢じﾍ ｀ ,. =≦厂
〈人八 | ヽ ｀ ﾍじﾘｲ 何でも構わぬ。
Ｌ､ヽ＞ﾍ .: l 八
└ﾍ.;∧| ＿ ´ / ヽ _ 其方の一番、語彙多き
ｲ_丿＼ └ﾆ'′／ ⌒〉
〈爪｀ｰ⌒ヽ __, / 言語で応えるが良い。
, ─ ､ ﾉ//////厂 ／
仄〉─ ＞┬ '⌒ ｰ──ヘ
／/〈 , ─-〈 │ ￣￣ 丶 ＞ ､＿
／////八 八 | 厂 Ｙ⌒＞￢、
/////////＞ ヽ＼ 厂 ｀ヽ ,､／⌒ヽ| ⌒)/ﾊ
//l |///////⌒＞／＼＼＿人: : : :=O=: : : : ﾉ ///∧
_ ............... _
,r‐::::::::::::::::::::::::::::::::...、
ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
／/:::/^Yヽ:::::､:::、::::::::::::::::::::::ヽ
ﾘ八 ﾘハ＼＼ヽ ､、::::::::::::: | それはそれは、有難い。
ﾍ癶、 ､,,,､-=ミ､ Y:::::::::::::::l
{ｉ|ｉ|ｉ}こ戈i|ｉ|ｉ|ｉ|ｉ|} ﾘ/⌒Y:::' 九天玄娘様か、月の嫦娥様だか
{¨７ ￣￣ 厶ｿ ﾉ:/
､｀ヽ ｰ ＾Y 分からないが、お目に掛かりまして
', ﾏ二ﾌ ／ i､
、 ／ ／／ ／ヽ 光栄です、ってな。
｀才＿ ´ ／.:.:./:.:.:.､
_ ,／.:./ハ ／ .:.:. /.:.:.:.:.:.＼
／/.:.:ヽ／//∧ ／.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ
. /.:./.:. ／ｲ////∧,.'＼＿＿/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:./.:. /::/ //／ / .:.:. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､
ﾉ.:.:′/::/ ///, /.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__＿＿ヽ
. /.:.:.: '.:.:.'.:/ ////, .:′:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/.:.:.:.:.i.:. i:/./////, ′:.:.:.:.:／:.――ｧ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:.:.:.:.:|.:.:ｉｉ'//////.:.:.:.:.:.／ ー――′:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
※九天玄娘、嫦娥は共に中国神話の女神(仙女)。
．
194 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:27:54 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li 今宵は黒を纏い、黒を示す伽羅が
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | }
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l 相応しからんと選んだが。
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l}
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ 妾は、張維新。其方に兵法と神符を
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨ 授ける玄の仙女では、無い。
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
-‐....￣￣...ヽ__
＿ ／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.＼
ﾉ:.:.:.:.:.::.:./}:.:./⌒~¨¨¨ヽ:.:.:.::.ヽ
／:.:.:.:.:.:从{ 从:{, -‐=ﾆミ､ ',.:.:..::.:i 仙女様と見紛う気品たっぷりの
／ィ:.:.:.:.／_,ノ }! ＿_＿__}:.:.:.::.:|
, - ､ |:.:.:./≦ _＿_ｒ=ミ///////}¨込-‐､ 美女が自己紹介も無しに、俺の
i ', |/{:{,ｲ////// V/////ﾉ V/~} }
| i { }V///// ￣￣ 〉y/ 名前を知っていて、馴染みを
/⌒} } | ｉ | ￣￣ ヽ ` _ ﾉ ノ:＼
＿＿＿∠＿_|_/＿__.｜ ヽ ｒ _ -‐ ─''７ }‐{: : : :∨＿ 感じる非道く歪んだ笑顔を向けて
{}＿＿＿, -‐''¨￣}＿_|.{ ／ヽ ＼＿___ ,ノ ﾉ V: : : :∨.:.:.:.:.
／ _,. ィ ヽ＿＿＿／: : : :.＼ ─ ／ /}: : : : :.∨.:.:.:.:. 来るとはなぁ……。
. ／ ／ i: : : : ／ : : ::.:.:.:.:.:/ヽ ／ ノ /: : : : : : ∨.:.:.:.:.
ヽ ､ ＿＿＿＿＿_|＿／_: : : ::.:.:.:.:.:/ヽ_ `ｰ─'' ¨__,. ＜ /: : : ／⌒ヽV.:.:.:.:. こりゃあ、色々な意味で心臓が
} }: : : ::.:.:.:./ ＞，__ｒﾆ_ |: : :./ |.:.:.:.:.＼: :
{ , -‐──────': : : ::.:.:./ヽ ///∧ ./.l: :./ i ｜.:.:.:.:..:.:ヽ 高鳴って今夜は眠れないかも
/:.ヽ ＿_,.ﾉヽ: : : :/ ＼ .//// ', ./ |:./. i |.:.:.:.:.:.:: : :
/: :/} ＿_,.．-'' ￣{: : : / 〉: : | ＼/ 〉〈 ∨ ｜∧. i !.:.:.:.:: : : : 知れないな？
. /: : :| | ＼ 〉: :/ /: : :.| //,ﾊ |: :∧ ! |.:.:.: : : : :
/: : : :| | /: :./ /: : : :| ////ﾊ |: : :∧ |: : : : : :
．
195 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:30:54 ID:jEYNOEksSa
// /∥ / / / j/ /: / ／: : :从: :＿: : : :-─: : : ＼| |
/ / ∥ /:| 从_/: ;／: : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : : :| } /
,' ,'|ｉ / 川 ,': :|/: ,. -─=ミ: : : : : : '´-‐r辷zzzｨノｨ: : :| /ﾚ′
| l |i / |从|: :_／: : : : -ミ､: : : : : : :vア,ｨflr丐ミ>､彡:i| ∥′
| l |i ﾊl | j| |: :／: : : : ､_乂Yvﾐヽ: : : : : ﾚ'＾...::￣￣￣ i| ∥′ 命の危険は、感じない、と？
| l |∨L}从V: ': : : :z‐彡ｲ气＞'': : : : : : :. | {ﾚ
| ' |ﾆV小_从: : ゝ彡ｲ＞''" ..:::' 〈:,i}: : : :. ‘/ ……くくくっ、重畳、重畳。
|/ |ﾆ=V_Y |ｉ: :＾zｰ'^ }: :,-､: :. {
ニﾆV| ＼ L-､ r'´ __ ‘， 今更、でもあるか？
寸ﾆ八 ／＾ヽ _ -───-／｀ __‘，
寸 }i ∥ゝ {L_ _､‐''゛_ -‐ ￣ )‐'´ ｨｱ ‘，
寸从}^ヽ、⌒ﾞ ､ 厶-＜r'＾r'´__ -‐ '" ' ′ ‘，
|| ゝ _ >､ ￣ ---‐' ／ ,' ＼
/,' ＞､､ ／ ,'
／/ ',///＞､､ '
／ ,′ }/////// ＞‐く /
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／ ヾ:.:.::./:.:.＼
,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／ }:.:./::.:.:.:.:.i
. i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' ￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
{: : : : ::.:.:.:.:.:{ { ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/ }:/}′ 銃弾飛び交う命が掛かった鉄火場も
',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:', ./ヽj } ￣|////{j .|′
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈 ノヽ |////ヽ 離れ始めちゃいるが……。
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､ 乂ﾉ {/// ',
i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_| `ｰ′ V こう言うのは、ビビったら敗けだ。
. }:.:.:.，＜ | / _ 〉
/¨¨ | ｒ_､_ ｒ''¨ 況してや痺れる程、好い女が着る物に
. ＿/ i { ＼ ﾆ=‐-′
／ ＞，. i ＼ ￣)､ ＼ 香りも今夜の為に選りすぐってくれたと
／ ＞，. i ＼ / ＼. ＼
／ ＞， i ＞，. / ¨¨¨ 来た。
＼ ＞， ＿＞， ＿/
＼ ＞， ／ 男として、是非とも格好は付けさせてくれ。
＼ ＞，
＼ ＼
＼ ＼
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 数分前までの世界への認識が焼き切れた状況を愉しんでいるのか、そもそも常人と
┃｜
しての神経を持ち合わせていないのか。ともすれば所謂常識的な人間は扱いに頭を
悩ませるであろう魔女へと、粉をかけるかの張の口振り、その言葉。
魔女はと言えば、激昂はしていないまでも周囲の空気を極端に冷え込ませている。
比喩では無い。張の足元から雪が降るかの冷気が這い寄る。が、それをおくびにも
出さず、張は相対している……。
.
196 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:34:47 ID:jEYNOEksSa
>;;;;;;<;;;;;;;;;;;;;;;>/:.:.:/:.:.:/:.:.:/:. :..|l:. :. :..|l:. :. :. :. ヽ
/:.:/ミミヽ／:.:l:.|:.:/＿/＿/:. :. :|l:. :. :..|l:. :. l:. :. :. ',
{:. :ﾚ:. :./⌒､彡ﾘl:.| ー‐ｧ､＼ー-､:. :. /:. :. :l:. :. :. :..l ……宜しかろう。
`､:.l:.:.:// .:} l:./ l:| ヽ（:llb::）ゝヽ,. ヽ､:. :/:. l:. i:. :.l
{:.l:.:〈（ ,ｲ〈:..{. ''￣ '' , ーニ'',ヽ:/:. :l:. :.l 其方の在り様に免じ、妾の名を
｀ヽ:.:ヽ .y.ヽ:ヽ | （:lb:）ヽヽ､/:ｲ/
{_ヽヽ ) ヽ:） ,＿ , / ｀`''´`/"y´ﾘ 明かそうではないか。
＞| ､／ノ |;;;;;;｀` ' ､ ./
| {´‐-､ |ヽ､;;;;;;;;;;;;:..｀'.ｧ' /:l, 黄道十二宮が一つ、金牛宮の
_| `弋ヽ} ',:.:.:.:..`ヽ､:／ ／`ヽ､ヽ
<y~Y`~シﾉ ヽ;;＿_／ , ｨ´ __ >:〉 神威為す魔女、ベアトリーチェ。
/;;;７´ｲ;;;,､'ヽ, ‐ , ィ'´ (￣,ィ'´
＿,, __/;;;;;ﾚ;´;;;;;;;;;;;;ヽ`_''ｽ､ `ヽ､､ 瑶池金母とは縁無きものぞ。
ヽ ヽー'' ´ ｀ ､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l^~´ ,, -=ソ
ヽ ヽ ー―‐- ､ ｀ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;|`ヽ､ヘｩ､ （(
ヽ ヽ ヽ ￣￣ ヽ ヽｽ ヽ
＿＿＿ ＿＿＿
／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
. ∠:.:.:.|:.:./::／ |! __,.．-‐ }.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
{:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i 黄道十二宮、牡牛座の魔女……。
|'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.| 俺としちゃ、不可思議な娘々って
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./ 事に変わりは無いが。
＼＼ し' /:.:./
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./ 名乗りを上げてくれたって事は、だ。
. } / |:.:.:/
. | / !:.:{ 俺の為に、夜も更けるご機嫌な時に
{ _ -‐′ __|从__
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼ 来てくれた訳を聴かせてくれるって
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ | 期待をして良いのか？ ベアトリーチェ。
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
※瑶池金母(ようちきんぼ)。西王母の別名。九天玄娘は副官になる。
※娘々とは特に道教で言う女神を指す。
.
197 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:36:48 ID:jEYNOEksSa
ニ二{_-'^!ニニニニニニニニi气三三)
ニj!_{-モ|ニﾆﾆ二二∧ニニニ寸ﾄ{三(
ニi={三ﾖ|ニ二二{ﾆ二∧ニ二}ﾆ寸､{ノ
ﾆ}=∧三|ニﾆﾆ二}ニ二∧ニﾆ}_二寸､
/ﾞ{/_}三I{ニ!ニﾆﾆ}i＞'^＾ヾニﾉ∨f三寸､
三ヨ{E三}ﾆ|[二二}!∧ ∨三ﾖ寸､
三ヨ}F三}ﾆ{二二シＥ} ∨モ三寸､
ｰ'ﾞ＾ｰﾞ＾/二{lﾆ‐'ﾞ三ヨ| ∨三三j'´
. /-|ﾆ{l‐'ﾓ三三i ＼
. ,-=|‐}｢三三三l ∨ 先ずは、これをな。
. ニ=}/三y^ｰ'^~! {
{二ｲ三{＾ | ＞r:、 ! ……分かるか？
. | ／ / ＼ }
} / -‐i′ } {
| ﾑ. } | l^}
∧ ∨l ,| ￣ _ｉ_
∧ ヽl. ｌ| _人_ !
{＼ ﾞ'､ﾄ､ ｀Ｙ´
＼＼}:.､＼
｀ー ､}ヽ＼
｀ｰ'¨´
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 張へと、魔女は矢庭に小さなものを手渡す。
┃｜
張の掌に輝くのは緑色の石であった。
ペリドット、グリーンガーネットの陽の光を受け、歓喜する新緑に類する陽性の輝きとは
異なる、沈静の色。奥妙を感じさせる緑。
サングラスをずらし、まじまじと石を見詰める張の視線は、真剣と言うより、何処かしら
酷薄さが薄く滲む。やはり、黒社会の住人であると証す様に。
些少置いて、サングラスを戻した張が魔女へと視線を戻し——。
.
198 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:40:09 ID:jEYNOEksSa
__＿＿
rー＜´::::::::::::::::::｀ヽ､
__,,j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::r-､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
, -'ーｭ ﾘハヾヽ＼ヾ:::::::::::::::::', 緑色の宝石、いや、ルース(裸石)か。
／ ／ﾍ へ､、r==＝＝､ミ:::へ:::::::}
／ ／ー ､ﾍ;';';ﾘ={;';';';';';''}-‐‐i:jに }:::/ この俺に態々見せたって事は、だ……。
, ′-∠⌒ヽヽ¨７ ￣￣ ク /:/
／ ､二ﾊ_ﾉ ヽ ﾉｰﾍｊ′ 路南浦の隣県、荘多風(チャンタブリ)の
／ , -ｭ ｝ ヽ ￣ ` ／ _i、
/ ／ （_/ '、_＿ ／ ／ ハ、 グリーンサファイアか？
__ / / ´ _..ィﾊ::__ ... ＜ ／ : /.｀:.:..､
/｀ ー――´/ __ . . .／:.:./介:､ ／:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:...､
,ィ{､__＿＿__,.ｲ ／:.:.:.:.:.:.:ﾍ／/!i:i:/ヽ ／ヽ:＿＿j.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿:.ゝ､
l:.o:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l ／ヾ、:.: : :／:.://i:i:i !/:.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´.:.:.:.:.:.:.:ヽ
l:.o:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l_ｒ‐ｊ:.:.:.:.:i|:.:.:.:.:l:.:.:. l/ｉ:i:i:ｉ /.:.:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
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乂 ノ////////.::::ノ.::::/ .:.:.:.:.:.:.:.|: : : : : :|.:..| : :|.:.:.:.:.:. l .:.:.:.:.:.|
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ﾉ.:.:.:./⌒∨ｌ: :| `ト､::. |.:.:|: : |: : |.:..| : :|: :..:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.| 「｀ヽ / / Chiaro！
. └-､.{ ｀ヽヽ: :|´､｀ー＜_|: : |: : |.:..l :.:」-‐ｧ'´￣/l.:./ | lー/￣＼ / ′
}∧ 〈 }/:| {`¨ﾏ=-､ヽ｀￣￣￣,ィカ ´} ∧!/ ./| │/ } ＼/ ,′ 当意即妙の
`ァイ :| ヽ弋ソ ｀ 弋ﾂ ノ /＼＼. l | l/ ヽﾉ-‐ / /
／ } ! ヽ ￣ : ￣ / ＼.､| ! 廴＿)ー‐'′ / _,ノて 男よなぁ！
〃::::ﾊ }ヽ │ /ヽ ）〉′ / ／＾Ｙ＾＼
.-={ {::::::::∧ ∧ ′ ∧ } ／/ / |
. rﾍ､ /＼／ い::::::::::∧ ＼ `ﾆ＝=‐ァ ィ´ ヽ／／/! /
_」 `ーく ＼ `'＝=ミ､＼:::.`::... ￣ ＜ 〈 （ / | /｀ー‐､
:: 〕 ＼ :. )):::::::::::::::.＞-=≦´ ／ ＼/!. ｌ /.::::⌒＼＼
:::｀ﾆ⌒) ＼ :. r彡＼::::::::::::::::::::.／ ／ | ｝ /.::::::::::::::::::::ハ
::::::::／{ r─ﾍ :. ＼ ｀ー──'′ / | / / ＼ ::::::::::::::::::: !
:::〃.:::::`ｰく⌒) 人 ヽ `＝= ' ￣￣` |/ /...:::::::ヽ:::::::::::::::: |
//.::::::::::::::::∨ ＼ ＼ ／ ／.:..:::::::::::::ヽ::::::::::::ﾉ
.
199 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:42:50 ID:jEYNOEksSa
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝ あの国で白紙扇なんて立場で
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :} 俺達が支配下に置く路南浦、
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: /
`{ ＿ r‐{:／ その隣県が宝石市場が目玉の
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ } 荘多風ともなればな……。
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 三合会等のマフィアが共同で実行支配する悪徳を煮詰めた釜底の街、路南浦。
┃｜
その東側に位置する隣県、荘多風は世界規模の宝石市場であり、世界各国から
のバイヤー達で沸く街である。
路南浦を擁する国とは、宝石市場に沸く国とも同義でもあり、かの国で三合会の
白紙扇を務めるならば、宝石の知識も多少以上に持たねばならないのだろう。
張が香港へと渡って来た理由も、それである。香港の宝石、宝飾の展覧会に足を
運び、宝石への造詣を深める為にも支配する地を離れたのだ。
魔女からの唐突な問いに鮮やかに答えた張へ、問いを投げ掛けた魔女は、指を
鳴らし、手放しに喜びを表したのだった。
.
200 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:45:25 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ 妾が其方の前に姿を
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', 顕したはなぁ……。
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ 荘多風の事で、よ。
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼
{: : : : : : : : : :./ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／/: : : : : : : :／
| : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :, -‐ '' ./: : : ..／:／
. V: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :／ ,-‐､/ : . ／/:/
V: : : : .|: : : : : :／/ :.／/ 〈;';';';'＼／ /:./ __
, -‐ミ: : : : |: : : :／ ./:／ ./ 〉､;';'ノ＼ {: | _／ノ ヽ 俺を、その摩訶不思議で
/ .,‐､ ヽ: :||: : :/ /:/ ／ィ ＼ .＼| -‐''¨ ￣ ﾉ
. / ./ ﾍ .}: ||: :/ {/ -‐'' ＼ .＼ ，＜ 傀儡にでも仕立て上げる
-‐/ ./ .／ヽ{: } Y,彡'ミ三三三ミ､_ ／ ＼ ＼ ＜ ＿＿
.／ { { { .Ⅳ∧ ＿＿＿≧ミ三三ミ､／ .＼ ＼ ＿_,.．-''三三三 ってんなら……。
. ﾍ ', iヽ _j Ⅳ∧ ////////// ＞'' / ＼ __＼三三三彡＿＿
ﾍ { ｜ⅵ| .//////////／ ，''￣￣￣￣￣ ./ ノ }///// いや、ホテルの外に居た
. ﾍ } .| |/////////／ ，'' ￣￣ _ ノ-‐ミ///
. ﾍ /ヽ.| |//////,／_ ，'' _ ＿,.．-‐──‐≦ }// 時点で、既に、してるな？
＼＼ }.| V///／'´ ィ’ i | |///＼_ノ ＼ ／//
ヽ ゛ | ＼/ ，''¨ヽ i ｜ .V//,/ ＼ .＼///
＞ ! | ｒ'' } i .| ￣/ ＼／￣
.
201 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:47:47 ID:jEYNOEksSa
〉:.ｰ'.::ノ.:／ . : :/ / .:/ :l | :l .:| :.ヽ
｢ヽ.:＜／厂＼: :/ / .:/ :| :| :l .:| : : ',
＼二仄＼_ノ/ | :| :| :ｌ .:| :l .:| : : .l
ﾉ .:| |l Ⅵ l 厂≧ ､ ￣｀ ┴ﾍ ﾉ 話が早いは良いが、似合わぬ
丶.::| |/⌒| | 「｢じﾍ ｀ ,. =≦厂
〈人八 | ヽ ｀ ﾍじﾘｲ 愚昧を口にするで無い。
Ｌ､ヽ＞ﾍ .: l 八
└ﾍ.;∧| ＿ ´ / ヽ _ 其方。今の立場に於いてだが
ｲ_丿＼ └ﾆ'′／ ⌒〉
〈爪｀ｰ⌒ヽ __, / 荘多風の瓦解は望まず、暗愚に
, ─ ､ ﾉ//////厂 ／
仄〉─ ＞┬ '⌒ ｰ──ヘ 喰い潰そうともしては居らぬであろう？
／/〈 , ─-〈 │ ￣￣ 丶 ＞ ､＿
／////八 八 | 厂 Ｙ⌒＞￢、
/////////＞ ヽ＼ 厂 ｀ヽ ,､／⌒ヽ| ⌒)/ﾊ
//l |///////⌒＞／＼＼＿人: : : :=O=: : : : ﾉ ///∧
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.'; 哈哈哈, 好好笑！！
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}¨ﾄ､:／⌒'. そんな馬鹿、確かに居るなぁ！
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ L//⌒) {
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ′Y/ ,ﾉ せせこましく市場から銭を掠めようとして
ヽ| ｀ ＿＿ _,ヽ （ ／
`t彡- 一￢^ﾌ j/ 金の卵を産む鵞を絞めちまった奴が！
ヽ、／／----／ / |
,;;<x'´ ｀こ二 , ′| あぁ、苦々しく大笑いさせて貰ったさ。
ﾞ／ rﾄ､ ＿＿_.... イ / ∧､
＿_／ ∨ ｀丶、 ／ | ＼＿
￣￣￣￣〈 ￣¨フ=弋, ∧ ＼ ＞―-
／ ∧ ヽ / } 、 ヽ ＼
￣￣ ＼ | ∧ ＼ ∧ |＼ ∧ ＼ ∧
.
202 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:49:40 ID:jEYNOEksSa
＿＿
＿ r―＜~"''～､＼
／' / ＼ ＼＼＼
＿/ / //{ | ＼ ﾏ L
〈:i:i/ /i| /{ 八 ∧ | 〉 ∧ {
＿/ / L/⌒¨¨￣／⌒＼{ |/ V
∨ / ｉ| | ＿＿ﾊ Y / まぁ、其方がその様な浅薄者で、かの街が
人／:i| |／⌒ 弋シ⌒| i|⌒〈
＼:i| |弋シ⌒ | l| 〈 ﾉ 瓦解したとしても、妾に何ら痛痒は無いが。
| | :. ､ | |L /
| |::∧ , ､ /| √ ひとの為した因果にして応報である故なぁ。
| |⌒ ゝ '/, /
| | ＞ _'/／ /rv 〉
＿ {リ㍉ |__(ﾊ ／／'/ __
／ -=二 ∨ ∧ |//}/ /'/ // 〉＿／二＼＿
/二二l￣ ／し⌒ト--´￣/ 〈ヒ） / /〉^〈二二二二
二二:/ /二'⌒＞）ト { 〈/ // ＼／⌒＼二
|二ﾆ:/ /ニニ〈⌒ヽ| } ' / 〉 ／⌒〉二二二二
/=ニ/ /ニ二二V^八 , / }っ 〈二二二二二
|ニ / /二二二 〈⌒7 ＼/ ／ 人,ン 〉 ＼二二二
人 〈 〈二二二二 | 〈 ,' ／ ／ ￣＼ 二 ＼二
＼ '/ﾆニ二二| ﾊ / / YY＝－ /＼二 〉
_＿＿___
／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀ ､
／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
i:::::::::: ///／ /// ﾐ:::::::', 成程な。流石、娘々の仰る事だ。
ｉ|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂==-､,_ _,､-=＝ミ Ｙ:::/ 意のままにするのでも無ければ
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
/⌒ＹV三三三/ ∨三三三ｊＹ'＾ヽ 崩壊を望んでいる訳でも無い。
｛ {⌒j `ー─＜/ ､`ー─＜ } し'｝
＼｀ﾊ ヾ.:.::ノ ﾊ. / だとするなら、路南浦で店でも
`ｰ:. 、__＿__ , /／
／ヽ ＿,, ｲﾘ 出したいから口を聞いてくれって
／￣￣｀ヽ ／ﾍ:＼
圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／ ∨::＼、 冗談を聞けると、愉快なんだが？
／, ′／´￣￣｀ヽ 八 / ',::::::∧｀:::...､、
_ .． ´.::/ , -―- ､__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
. : :.:.::::/ ／ , -―- ､__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ ／ ＿ ｀ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ｀Ｙ////／ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ﾉ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
.
203 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:52:31 ID:jEYNOEksSa
__,､.. .／: : : : : : `ヽ､
/Ｙ::）/: : : : : : : : : : :ヽ:＼
/:∨::/: : : : |: : ,|----_-}: : |〉
∨::〕}..: : :__ィ´ ／,-- ﾘ: .|〉
｀ｲ:〉:〈 ,,ィミ` ｲﾆ'' ﾘｲ）〉 店ならば、既に在る。
Ｙヽl ｲ-'' 丶 |/ｿ､
ゝ）､ __, ﾉr'./ 妾の一存で、何処にだとて門戸を
/｀Ｙ､ ｀ -‐ /r''.（
（__ ゝ＞､ ／|' ｀ 開ける店がなぁ……。
） ,ﾍ.￣_,, ィ:| __r‐､__
|￣::::::::::::／ﾊｿ':/::::::Ｙ.､ 妾はな。三合会、東南アジアに根差す
丿-ィ二ｲ､）／::::{::::::::::}:::＼
＿,,ﾊＹヽ='＞'":::/:::::::::＼:::::ヽ__:::}:::::::::） 金義潘の影響から逃れ得ぬかの街を
/＜´｀::`:::''"::::::::::::{::::::::::::::::::Ｙ::::/::::ヽ::／
／:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::{::::::::::::::::::::}:::{:::::::::}:ﾍ 白紙扇が其方であるからこそ、其方の
Ｙ:::{::::::::::::::::::::{:::::::::::::::::}::::::::::::::::::/::::}:::::::ﾉ::::}
／ ∨::::::::::::::::::::::､:::::::::::::::{:::::::::::::／-:､{:::::/:／ 思うままにして欲しいのだ。
／＿__. ヽ::::::::::::::::::,＞-::--:､:〉::::::::ｲ/:::::::::::/´
／二 ｀ヽ|'＜＞-'´:::::{::::::::::::::/:::::::::::/:::::::::::/
ｲノ ／ __,,､-- |__ ｀`ヽ､:--､:::::::::::{::::::::::/:::::::::::/
ｨﾆﾆﾆ_／ |￣}＿｀`ヽ-､_.Ｙ::::｀＞-､:::::/::::::::::/
／ 〔￣/ ￣￣ ｀}}:::::::::::::::::::ﾍ::::::::/
赱／ / ./ ＿＿,, }}:::::::::::::::::::::::::::/|
r‐/─''"´,,､--‐‐}}::::::::::::::::::::::::/-ﾍ
{__ｿ￣￣ ,,...}}::::::::::::::::::::::/ /｀Ｙ＼
__＿＿
rー＜´::::::::::::::::::｀ヽ､
__,,j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::r-､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
〈:::/ ﾘハヾヽ＼ヾ:::::::::::::::::',
ﾍ! へ､、r==＝＝､ミ:::,へ:::::::} ……あの街が瓦解したと
ﾍ;';';ﾘ={;';';';';';''}-‐‐i:jに }:::/
i¨７ ￣￣ ク /:/ しても、痛痒は無いんじゃ
ヽ ﾉｰﾍｊ′
ヽ ￣ ` ／ _i、 なかったのか？
'、_＿ ／ ／ ハ、
_..ィﾊ::__ ... ＜ ／ : /.｀:.:..､
__ . . .／:.:./介:､ ／:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:...､
/:.:.:.:.:.:.:ﾍ／/!i:i:/ヽ ／ヽ:＿＿j.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿:.ゝ､
/:、:.: : :／:.://i:i:i !/:.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´.:.:.:.:.:.:.:ヽ
;.:.i|:.:.:.:.:l:.:.:. l/ｉ:i:i:ｉ /.:.:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
. i:.:.:l:.:.:.:.:.l:.:.: li:i:i:i:i:i. /:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
l＼l:.:.:.:.:.l:.:.:.l:i:i:i:i:i:i/:.:.:.:.／￣￣￣〕:.:.: :/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
. l.:.:.l:.:.:.:.:.l:.:.:l:i:i:i:ｉ／: :.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.:/:.:.／ .:.:.:.:.:.: /
. /.:.:/:.:.: : :l:.:.li:i／:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∧/:／ .:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨
j:.:ｲ:.:.:.:.:.:. l:.:l/:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧′ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
. l:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:У:.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ :.:.∠二ニ.:.:.:. .∨
. l:.:.〉:.:.:.:.:.:. 〈:／／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ／￣￣￣｀ヽ :.∨
. j.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.O:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}
.
204 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:54:50 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i 無い。が、ひとが、ひと自身の
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | } 手で、かの街の瓦解を防ごうとする
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l} ならば。妾は、それを期待したい。
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ 先に言うた通り、妾は金牛宮の魔女
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋 である故によ……。
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「金牛宮、牡牛座の象意はな。富と豊穣。そして支配星の金星の影響により、美意識を
┃｜
強く持つ。詰まる所、かの街が瓦解せずに宝石がひとの手に盛んに渡り続けるは、富と
美がひとびとの手に行き渡る事であり、金牛宮の威が写し世に顕れると同じなのだ」
……魔女が滔々と語ったは、同僚であった警察官達を手に掛け、黒社会、三合会の
海千山千の者共、闇の坩堝を目の当たりに、捌き、游ぎ切って来た張にとって、全くの
世迷い言であった。
甘美にして幻想夢幻なる、愉快な世迷い言であった。
.
205 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:57:23 ID:jEYNOEksSa
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／ ヾ:.:.::./:.:.＼
,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／ }:.:./::.:.:.:.:.i
. i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' ￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
{: : : : ::.:.:.:.:.:{ { ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/ }:/}′
',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:', ./ヽj } ￣|////{j .|′ ……参考に聞かせてくれ。
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈 ノヽ |////ヽ
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､ 乂ﾉ {/// ', もしも、だ。俺では無く、他の盆暗が
i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_| `ｰ′ V
. }:.:.:.，＜ | / _ 〉 白紙扇としてやらかし、宝石市場を
/¨¨ | ｒ_､_ ｒ''¨
. ＿/ i { ＼ ﾆ=‐-′ ご破算にさせちまったとしたならば。
／ ＞，. i ＼ ￣)､ ＼
／ ＞，. i ＼ / ＼. ＼ 娘々、ベアトリーチェよ。人間に対し
／ ＞， i ＞，. / ¨¨¨
＼ ＞， ＿＞， ＿/ どんな感想を持つんだ？
＼ ＞， ／
＼ ＞，
＼ ＼
＼ ＼
// /∥ / / / j/ /: / ／: : :从: :＿: : : :-─: : : ＼| |
/ / ∥ /:| 从_/: ;／: : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : : :| } /
,' ,'|ｉ / 川 ,': :|/: ,. -─=ミ: : : : : : '´-‐r辷zzzｨノｨ: : :| /ﾚ′
| l |i / |从|: :_／: : : : -ミ､: : : : : : :vア,ｨflr丐ミ>､彡:i| ∥′
| l |i ﾊl | j| |: :／: : : : ､_乂Yvﾐヽ: : : : : ﾚ'＾...::￣￣￣ i| ∥′
| l |∨L}从V: ': : : :z‐彡ｲ气＞'': : : : : : :. | {ﾚ はッ！ 知れた事よ！
| ' |ﾆV小_从: : ゝ彡ｲ＞''" ..:::' 〈:,i}: : : :. ‘/
|/ |ﾆ=V_Y |ｉ: :＾zｰ'^ }: :,-､: :. { 先程、其方の口から発した
ニﾆV| ＼ L-､ r'´ __ ‘，
寸ﾆ八 ／＾ヽ _ -───-／｀ __‘， ではないか……。
寸 }i ∥ゝ {L_ _､‐''゛_ -‐ ￣ )‐'´ ｨｱ ‘，
寸从}^ヽ、⌒ﾞ ､ 厶-＜r'＾r'´__ -‐ '" ' ′ ‘，
|| ゝ _ >､ ￣ ---‐' ／ ,' ＼
/,' ＞､､ ／ ,'
／/ ',///＞､､ '
／ ,′ }/////// ＞‐く /
.
206 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:00:09 ID:jEYNOEksSa
-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-
BGM：ttps://youtu.be/fX5XG5ocpgE
-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-
../ / / / / / / / / ／ ／ ／ ヽ
/ / :| | / / / ./ / ,.: ／/ /
/ | | / { / /| / / ／ / / | ,
| jI斗--ミ/ ／| / / | .′ / .: / / .: ′
| ／⌒ / / | / , | ハ / / ／′ / / j :. ,
／ ／| / / | ハ | | / }i / / / | / ′ / :| ′
/ ／ | ′ /＿ttⅣzzⅥ＿＼＿/ }i / / / :| / / / :| :
| / | :| /ﾐﾐﾐﾐ彡''"￣￣｀ﾞ''ﾐx￣ヽ }i/ / / | ,: / / :|
{ ＿__| | 廴-ミ'"__ ,. -- . ヾ ＼ }i / / :| | / / :| :|
l ゝ'´ ／| | / 彡彡彡⌒'く::::f´￣｀㍉ ∨ ＾Tx | / | :| / / :| |
| { { | .| /,.-‐-､ ⌒⌒ヾ＼:::::(;ヽ::ムﾏ |;| :＼ |.| | | , ,.:' ; |
| { Ⅵ |l/ /{⌒＼ ＼ヽ::＼):::ﾑﾏ |;| : /＼ i| Ⅵ ／ ／ / /
{ ＼／ | l| /;;;, 弌::::::::} | |;| / / /＼| Ⅵ／ ／ / / ′
￣￣__ノ:| | ,;;;;;;;;;, }::／ ; |;|// /// { ／＿,zzzzzz- / /
￣＜ノ | :| /;;;／＾ｉ ＼ .{ / /|;|/ ///.:／＞---＜＞''" ／ / / /
／´ } } :|;;;;/ /{ { ゝ/ / }/ ///／／／,ｨ彡'"⌒＼／ ,.: / /
／| ／ ;;;;{ /＾{ ＼ｰ=ﾆ ///´／／／ ,. -──-ミ､ ／ ,.: ／
../ ／ /;;;;弋弋∧ ...:::::／／／ ／´／￣￣｀ヽ､`ヾ:､／ ／ ／
/／ ｲ/￣~＼{ ﾟ｡ . . ::::::::: ´ /＿ ⊥::::(;;;;;;;;):::::::| Y} ／ .／ ／
' ／ {／＾V⌒ヽ ＼ . :::::::::::::::/ ゝ-'⌒´￣￣￣`ヾヽノ }} ／/／ ／
／| { ＿/: : : : ＼{ `ヽ､ ::::::::::::::/ ￣ 爪 ﾉﾘ／ ／ ／
,.イ :| |´ {: : : : : : : :`ヽ| ＼ { ー‐ -─===-ミ 川_ノミ-‐'" ,. '"
}＿∧ 廴___}: : : : : : : :::::::`ヽ{ `ヽ､ ￣ ￣｀ヽ ノソ ﾐﾐ ,.､丶`
/ Yﾊ .|＿__}: : : : : : :::::::::::::::::`'＜＾＼ ＿,,..-イ ﾉィ´ ,.､丶｀
∧ } ', { {', : : : : : : : :::::::::::::::::::::`'＜＞s｡ ,.ィ´/;;;;;;;;／ ／ ､丶`
//ﾍﾉ__,ﾑ } ｰ圦: : : : : : : : : : : : : : ::::::::::ｱー＜￣／ｰ';;彡'" ／ ／
///,＼ :. { __}∧: : : : : : : : : : : : : : :／ヽ ノ;;;;;;;彡''"⌒ ,.イ /
/////ミs｡{ ∨ ﾏ;;;ゝ: : : : : : : : : :x＜ ＞-‐'"⌒_,.｡s＜ | | 暗愚！！ 愚昧！！ 迂愚！！ 魯鈍！！
寸/////,∧ ',／￣＼≧=-=≦-‐ ￣_ -=≦/ /| |
｀`'＜///ﾑ ＞-─ 二￣ -=ﾆ ￣/ /￣￣ / .| | 痴愚！！ 烏滸の沙汰も極まれり！！
／￣ ゝ ─ ￣ / /＿ { , 从
/ / ∨ / 餓鬼の如く貪らんとした富と財の象徴を
＿＿＿,,,,,,,....... , ／ ／
´￣￣￣ ／ ,.． 'ﾞ イ 汚泥へと自らの手で縊り、葬りおった！！！
／ ／｡o＜ ,.｡+''"⌒ }
／ _,. -=≦ ｡o＜⌒ ／ くっくくひっひひひゃひゃひゃっはーーっははは
かかかかっ、ぎゃーーっはははははは！！！
.
207 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:00:53 ID:jEYNOEksSa
†､ /|! ,/【 ,， /i
】Ⅴ |ｉ|〃_【 _/】 〃|
┃__ `/;;;;}`”/rf″】
┃;;;;〉 };;;;|,∠､″ 【
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】 {;;;?逢／,;;;;［_ ･〝〃
┃`！;;;;;／］;;;;;;;;,ヽ ┃
┃ i;;;「 /;;r;;凡／ __ 【__、
┃ ｌ;;;{〈;;;;／「;;;}_/;;;;;> 【，
┃ !;;;｝二___|;;;;;;;／ ┏'′
┃ `/;;/{;;;;ィ;;〔／ヽ ┃
】 |;;;;! 二j;;;;;;;;;／ 【
】 l;;;{｛;;;;0;;}￣ ．`┓
┃ ！;!rミ¨〈;;〉 ___┃ 〃
┃ ヽ!|;;;/_,j;;;ﾚ;;;;;;＞/′
┃ ． {;;;;;;_;イ;;⊂、 【_,，'
】 ､.ⅰ;;「 /;;r―┘ 〃
】 ；_,!;;;|〔;;d;!／;;;;> ┃
【 {;;;;ゝ_,兀/;;／ ； 【
┃ ｌ;;;{`ｰｧ;;＜ ′．】
┃ |;;;;〉/;0;;ﾊ;;;＞ ┃
┃ };;i {{;;;ノ /;;;;;〕_ 【
┃ ヽ;}r‐┐：};;;;´;;;>┃
┃ {;;;;;辷';;;;ｌ￣ ┃
┃ l;;;;「__〕;;∟.、 ┃
】 ， J;;;{;;ｏ;;凡;;;;;ゝ┃
`，.･|;;;八;;;/}__￣ ，【
【 fヾ _,};;;;;;;;＞【､†
Ⅶ |;;;|く;;;;;;;〔 ┃`
Σ !;;;! ,ﾆl;;;;;,＼ †
】ｉ！;!{;(7;勹／ 【
┃ハ;;!ゞ介／;;;> ┃
：.f＼／;;;;;r'ﾆ.,_ ･：
┃|;;;;;r'];;;;;;;;;;;;;;;;ゝ【
┃};;;ﾉ/;;0;;冂￣‘`†
】ﾍ;;jヽ-'´|;;;ﾚ'´;;〉【
】; ﾊ!⌒辷;;;;厂 ┃
┃ };;;ﾉ_ﾉ;;;;;＞ ”┓
】′{;;「〈;{};;く /;;〉∧〟
┃,:’l;;ｲ f;;;;//;;//;;/】
┃ ･.`ﾞ /;;//;;//;;/【
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208 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:03:23 ID:jEYNOEksSa
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i ……解った。
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', }
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. { 良く、解ったよ。
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} | 愛惜、痛惜って
}/ { ｒ _ }////ノ !
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_ 言った所なんだな？
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
>;;;;;;<;;;;;;;;;;;;;;;>/:.:.:/:.:.:/:.:.:/:. :..|l:. :. :..|l:. :. :. :. ヽ
/:.:/ミミヽ／:.:l:.|:.:/＿/＿/:. :. :|l:. :. :..|l:. :. l:. :. :. ',
{:. :ﾚ:. :./⌒､彡ﾘl:.| ー‐ｧ､＼ー-､:. :. /:. :. :l:. :. :. :..l
`､:.l:.:.:// .:} l:./ l:| ヽ（:llb::）ゝヽ,. ヽ､:. :/:. l:. i:. :.l
{:.l:.:〈（ ,ｲ〈:..{. ''￣ '' , ーニ'',ヽ:/:. :l:. :.l ……ッ！
｀ヽ:.:ヽ .y.ヽ:ヽ | （:lb:）ヽヽ､/:ｲ/
{_ヽヽ ) ヽ:） ,＿ , / ｀`''´`/"y´ﾘ されど、だ。
＞| ､／ノ |;;;;;;｀` ' ､ ./
| {´‐-､ |ヽ､;;;;;;;;;;;;:..｀'.ｧ' /:l, それが、ひとの選択であるならば
_| `弋ヽ} ',:.:.:.:..`ヽ､:／ ／`ヽ､ヽ
<y~Y`~シﾉ ヽ;;＿_／ , ｨ´ __ >:〉 妾は、呵呵大笑をしてくれよう。
/;;;７´ｲ;;;,､'ヽ, ‐ , ィ'´ (￣,ィ'´
＿,, __/;;;;;ﾚ;´;;;;;;;;;;;;ヽ`_''ｽ､ `ヽ､､ ひとで無き、魔女である故になぁ！
ヽ ヽー'' ´ ｀ ､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l^~´ ,, -=ソ
ヽ ヽ ー―‐- ､ ｀ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;|`ヽ､ヘｩ､ （(
ヽ ヽ ヽ ￣￣ ヽ ヽｽ ヽ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 魔女の認識阻害の妖術が施されているのか、大哄笑の歪んだ嗤い声が、ペント
┃｜
ハウスに響き渡ったとても、広大な室内に誰も踏み込む事は無く……。
大嗤いを目の当たりにした張は、嘲りの中に他のものも見出だした様だった。
.
209 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:05:33 ID:jEYNOEksSa
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝ あぁ……、芸術品、宝石を扱うには
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :} 価値を理解出来るのは勿論、相応の
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: /
`{ ＿ r‐{:／ 対応と見識が求められる。
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ } 相応の見識を持った大人同士として
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、 話を続けるぞ。
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
l / ／ / |
/| / ／ / |
＿《i:i:i:Ｙ⌒7／廴ノ ⌒Ｙ_ヽ
/i:i:八i:i:i:i:／＿_ Ｙ⌒7
rくi:i:i:i: ＞''" ⌒“''*､ ヽﾉヽ
}i:i:i:／ ／ / ヽ ＼ ＼ ∨ Ｙ
ﾉi:. / V/ ヽ VＹ〉
《i:/ / ′ i| | i| V乂〉ノ
八 /.:|i | i| | } i| | 》Ｙ
|i /{i | i| } 八 } / /
八{八＿_ 人 i| / / / ′/)/
ﾉﾊx,,,,,＿＼ /──《__/ /^7/
/ 癶 ぅソヽ xrt===ｧ// ﾉ 宝石を正しく取扱うに足る
/ 八.∧ ￣ ゞ イ / (／
／／ ､ 〈 | 人間として、か。
（ （ ＼ __ ／ { {
) ) })h､ ｀ ィ( | | 鵞を潰した愚か者とは
／ ﾘ＼ ´ / |
ｒ==厂ヽ＿ ／i:i:i:i: ≧ｓ｡. 八ﾘ 違うとの表意であるか？
〈／ニニニヽ廴ﾉ `～､、i:i:i:i:{ )／
／/ニニニニ∧圦 ￣八 (
／ﾆ/ニニニニニ∧ﾉ'， ｀`～､ ＼廴
／ニ /ニニニニニニ∧∧ ＼〉 ⌒ヽ
《ニﾆ 《ニニニニニニニ》八 ｡ｓ≦.＼ニ ∨
八ニﾆ∨ニニニニニﾆ/ﾆW乂≧s｡ V 〉》⌒'，
ニ＼ニ ＼ニニニニ ノニﾆ/廴ノ乂⌒ ＼ ／《)〉 `、
八ニﾆ》ニ/ニニニニ∨／ﾆ.:ニニニニﾆ|]ﾆ=- -=≦⌒ ))
＼./ニ/ニニニニﾆ Vニﾆ{ニニニニﾆ|ニ⌒≧ｓ｡〉¨´⌒｝ｈ､
/ニ/ニニニニニﾆ Vニ.|ニニニニﾆ|ニニニニ.＼ニニニ ヽ
.
210 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:08:06 ID:jEYNOEksSa
/::::::::::::::::::::://⌒´ ヾミ::::::::::::::::｀ヽ、
／::::／:::::;:イ// __＿__ ﾐ::::::::::::::::::ﾍ
. ／:::::::/::::.／ // ∠才´￣｀ ﾐ:::::::::::::::.∧
/イ::::::/::::/ ／/∠才777ﾊｒ=;,､ ﾐ:::::::::::::::::∧ デカ過ぎる莫迦嗤いを叩き付けても
/ /::::::/i:::/／ 厶////////} ｀＼:::::::::::::::::∧
. / !:::::/!/≧､＿｛////////// ｼ⌒ヽ::::::j くれたお陰だ。
|:::/ﾊ/// V//////／ ハ ,!::::::|
|:/ i{// ｀ ｰ一 ´ ).:/ /::::::.,' 人間様の搾り出す叡知って奴でな、
i′ V´ -､ ノ::::::/
! ノ ''"´ ￣ ￣`ヽ 文化財だの芸術品だの宝飾品やらを
ゝ‐'´ _ ,．'"´ ヽ_
'､ 'ﾆ二 ｀ ∠_ -─ ── ￣￣二二ﾆ ヽ_ 欲得尽くだろうが保護出来るって事を
', ∠´ . :.: .: .: .:. :. :. :. :. :. :.
_⊥ '"´ . :. :. :.: .: .: .:. :. :.: .::.:.:.:.:.:.:.:.:.: とっくり魔女様に見せ付けてやりたく
_ '"´ . :. :. :.: .: .: .:. :. :.: .::.:.:.:.:.:.:.:.:.:
'"´ . :. :. :.: .: .: .:. :. :.: .::.:.:.:.:.:.:.:.:.: なったんだ。
, .:.:´ .:. :. :. :. :. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::
. / ￣`ヽ . :. :. :. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::
/ ヽ. .: .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ ……ふゥン。
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', そも、人間である矜持、とな。
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ _ ＿‐ ''"
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ （￣￣ﾍ, --‐ ＞'´ , .ノ￣
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ _ ∠-==､ ﾍ'"／ ／
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| __, _‐'ﾆ´ｲ｀＼ Ｙ〉 .〉 /
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{ =='‐''"´. }､ ヽ .| / ／
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __ |_ﾉ ﾉ }､__/ /
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼ヘ. / / ﾍ,,ｨ=Ｙ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「そんな所だ。ホストなんざする気は無いが、テーブルに着いてくれ」
┃｜
荘多風の扱いに付いて、魔女と三合会白紙扇との交渉が始まった。
二人が、ペントハウスに備え付けられてあるデザイン性の高いラグジュアリーなソファに
テーブルを挟んで座る。
途端。張に纏わり付き、広大な部屋の気温を酷く下げていた冷気が霧散して行く。
.
211 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:10:47 ID:jEYNOEksSa
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ ……やれやれだ。
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i ここの標高が高いからとは言え、凍傷の
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', }
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. { 心配をしなくちゃならん様になるとはな。
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} | とは言え、だ。俺は、魔女様のお眼鏡に
}/ { ｒ _ }////ノ !
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_ 叶ったらしいな？
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
／ ,ゝｲ ⌒ヽ ＼ヽ
ｲ/ / / ヽ ｉ〉
〈 〈 /. | .| || | __ｌ＿ヽ／ ｉ〉
乂| ｲ |___ﾙゞ.,_,.., ｲ ｉ| ,ゝ､ ｉ〉
＼|__ﾔ ｲ0 ﾉ冫 /ｲﾉ〉/
弋 弋) ｀ / ｌ/ / 叶わなくば。
ﾊ ヽ_ __ / ﾍ〈
/ゝへ ｰ ／ヽ( ﾍ ビルの外、妾の姿を目にして呆然、
( ( ＞イﾍ 》 ﾍ＼
ソ /ﾄ ﾉ＼ V ( ＞￣lゝ 狼狽する程度ならば記憶の抹消。
＿,､_ __,,,... - ゝl:八 l ゝ -ー''/ /〉⌒ｌヽ
_ ,,--－ // /ヽュ､ ｲ:::(ヽi / /ｌ:ｌ:::::::::ｌ:::} 器量が足らぬとなれば、同じく。
夂-‐ '' "´ ''''ー‐ﾄ､ﾘ､ｲ ＼ﾍ ／:::::::::( l l i / /::/::::::::ｌ::〈
￣＼ Y:::〈:::::::{::〉ｌ ｌ / ／::::／::::::::::::ｌ:::l 人智の外の力に酔い始めたなら
ｲ＼ ゝ､::::::/::ゝヽヽ〈 /l:::::::l:::::::::::::::::/::::ｌ
/ V＼ｌヽ:::/::､´~~{ ゝ⌒:/､:::::::::／::::::} 望み通り、埒外の力を存分以上に
丁＼ ｌ＼ｌ::＼{::::〉ーゝ:／:::::::ヽ／::ｰ::√
{￣゛ ｉ i::::::::Y:::::::γ::::::::::::::::}:i/::::::/ 味わわせてくれる腹であったわ。
丁＞ ゝ ｉ::::::::::}::::::::l:::::::::::::::::::〉:ｌ::::/
Y⌒~~゛゛'''－-.....,,,_r ﾏヽ__ヽ_,,,... -`-- ≠ー::l::::::::::::::／::/::/
,ｲﾍヽ::::::::::::::::::::::::::(,,_ ヽ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ/￣:〉:::::::):::ｌ
/::/:丶>::::::::::::::::::::::::ｌ ＞ｌ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::〈:::{:::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
./::/:::::::::ゞ､::::::::::::::::::::ﾑ＿∥::::::::::::::::::::::::::::ﾚ'"~~::}::::::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
.
212 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:14:25 ID:jEYNOEksSa
{: : : : : : : : : :./ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／/: : : : : : : :／
| : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :, -‐ '' ./: : : ..／:／
. V: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :／ ,-‐､/ : . ／/:/
V: : : : .|: : : : : :／/ :.／/ 〈;';';';'＼／ /:./ __
, -‐ミ: : : : |: : : :／ ./:／ ./ 〉､;';'ノ＼ {: | _／ノ ヽ
/ .,‐､ ヽ: :||: : :/ /:/ ／ィ ＼ .＼| -‐''¨ ￣ ﾉ 黒いドレス、黒沈香の伽羅、
. / ./ ﾍ .}: ||: :/ {/ -‐'' ＼ .＼ ，＜
-‐/ ./ .／ヽ{: } Y,彡'ミ三三三ミ､_ ／ ＼ ＼ ＜ ＿＿ 喪に服す姿にも早変わりか。
.／ { { { .Ⅳ∧ ＿＿＿≧ミ三三ミ､／ .＼ ＼ ＿_,.．-''三三三
. ﾍ ', iヽ _j Ⅳ∧ ////////// ＞'' / ＼ __＼三三三彡＿＿ 薔薇に刺ありとは言うが、
ﾍ { ｜ⅵ| .//////////／ ，''￣￣￣￣￣ ./ ノ }/////
. ﾍ } .| |/////////／ ，'' ￣￣ _ ノ-‐ミ/// 龍の爪やら牙とはな……。
. ﾍ /ヽ.| |//////,／_ ，'' _ ＿,.．-‐──‐≦ }//
＼＼ }.| V///／'´ ィ’ i | |///＼_ノ ＼ ／//
ヽ ゛ | ＼/ ，''¨ヽ i ｜ .V//,/ ＼ .＼///
＞ ! | ｒ'' } i .| ￣/ ＼／￣
┏┓
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┃｜
┃｜ 緩々と、張が二本目のジタンに火を付け、盛大に紫煙を吹き。
┃｜
「舐めた真似をしてくれる。益々、人間様のプライドと知恵を掻き集め、人間様じゃねぇ
からと手を拱(こまね)いて悔しがってる魔女様の吠え面を是非とも拝みたくなっちまった」
差し向かう魔女の白貌は、睫毛も揺らぐ事無く。
「実際、巧い。俺の名前、荘多風へのスタンスを知っていると言う事は、調べ上げられて
いるんだろうさ。俺が大半、面白がって話を聞いちまうって事もな。全て、魔女様の描いた
絵図通りなんじゃないかとさえ、疑りたくなるがな——」
.
213 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:16:23 ID:jEYNOEksSa
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BGM：ttps://youtu.be/dTxggoE48wk
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＿＿＿＿＿＿ _＿＿_ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣ ￣￣￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣￣
￣ ￣￣￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣￣
. ＿ ＿. ＿ ＿
/ / / // // /
. / /_/ // // /
/ ＿ // // /
. / / ./ ./ ￣ ￣
/ / ./ ./ ! i .!l !ii i
./ /ニ" / | i!i/: : : : !l|ｒ"-'"-i| i`i|‐､
/-'' / ./ ＿ |,ｲ|,,.．r''"!l| i! |ヽi `i .,./ ,/
. / ./ __ ／ ／ ,ｒ'''! |i! ii | | |`i i ／/ ,.r"/
/ ./ / / ／ ／ i､ / ! ,,,,.i! l-ー|--i!､ .i:／ ./ ,,.r'" /
. / ./ /_/ ／ ／ ＼ i ＼ /i ,,.．r''" i! i. ! i! l .i ./ ,ir''" ,/
/ '" ／ ／ ＼ ! .＼/ .:i. | i ヾ､./:r''" /
／ ／ .＿ `' / .::/ .!|,,.rヾ､,,ノ /
< ／囗囗／／ . 〈 .::::i i | ,,.．-‐ ''"|i i /
／／ ヾ;::ヽ､i ! / /
. <.／ ―－―――ヾ;::::i ! !|i !|/ヾ;― =＝
ヾ:i, |i. !|| i |i ,,.ｒ"!| 〉
`i、 || |i i ||'" /
.ヽ|| i|'
. i'ヽ、 ,,.r''"!i
....:::::::::ヽ|i,,,,,|,,..r''":::::::.......
＿＿＿＿＿＿ _＿＿_ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,
＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣ ￣￣￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣￣
￣ ￣￣￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣￣
＿＿＿ ＿＿＿
／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
. ∠:.:.:.|:.:./::／ |! __,.．-‐ }.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
{:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i これ以上、空気の薄い所から
|'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.| 見下ろしてくれるなよ？
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./ 黒社会の人間相手、この俺に
＼＼ し' /:.:./
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./ 交渉を決め込んで来たんだ。
. } / |:.:.:/
. | / !:.:{ さぁ、俺達が涎を垂らしちまう
{ _ -‐′ __|从__
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼ 利をテーブルに乗せてくれ。
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ | でなきゃ、御破算だ。
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
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┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 振り下ろした拳は、人間の尊厳を高らかに謳う法廷のガベル(木鎚)。
┃｜
人間と魔女。この二つが其々の皿に乗せられた天秤が、均衡を示したテーブルである
との宣言を、自身の矜持を虚仮にされた以上のものを噛み潰すかの表情で、張は魔女
へと告げた。
相対する魔女が、人間、それも黒社会に身を浸す人間に、提示する利。
それは。
.
214 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:19:35 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | }
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l ∠二二ア
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l}
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ ∠二二二ア
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨ !7 !７/７
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋 /イ
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼ <>
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶 <>
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|..ﾉ.::､＿__..
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｰ::::::::::'￣
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::¨`:::::'ﾞ¨ 荘多風に流入する
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ＿___ コンフリクト・ジェム。
∧:::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::(............................, ＜イ/ヽ
/∧::::::::::::::::::::::::{:::::弋二__──-------─一 ´ ／ それの裏が取れ、
/:::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::＼__二_二_二＿＿＿＿＿／
:::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(.ﾟ o........::......:::::/ 紐が掛けられると
:::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::二ﾆ==─=ﾆ二::〈 ／
:::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, ／:::: したならば、どうか。
:::::::::::::::::::::::::::::::＞:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} ＜::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/. ＜::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞:::::::::::::::::::::::::::::::/ ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞::::::::::::::::＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
................................................................................................................................................................................................................................................
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
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┃｜
┃｜ コンフリクト・ジェム。紛争宝石とも呼ばれるそれは、世界の紛争地域から、反政府組織
┃｜
や武装組織の資金源として採掘された宝石を指す。
荘多風の隣県である路南浦に巣食う、特にアフリカや西、南アジアを本拠地とする犯罪
組織の資金流入源ともなっているが——。
.
215 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:23:00 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡 人間様方にとって、宝石産地特定が可能と
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ | なったは、未だ五種類の石のみ。
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',', 妾ならば、何の石であろうが、どの地で採掘され、
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',',
//＼ﾍ __ ｨ. / .',', 採掘者の所属組織が如何様なもので、どの様な
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／ 意思で販売をされたか……。
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ それら全て、其方に伝えられようぞ。
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :} ……荘多風での宝石売買を資金源に
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: /
`{ ＿ r‐{:／ した奴等を正確に炙り出せるなら。
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ } 奴等の懐具合も動向も、推測が立つ。
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
l / ／ / |
/| / ／ / |
/ l / ／ ＼ ｛ |
| ｣/ ／ ＼ { |
.
216 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:27:01 ID:jEYNOEksSa
ゝ/´/////彡∧i‐-､
／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ ＼::::::::::ヽ
,//／／ ｀ ￣￣ 〈⌒´i‐‐､´ アンクル・サムに要らぬ悪戯を仕掛けようって
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i
i |i､｀) 'ゝ二二二二７ , 頭の煮えた莫迦が居ると仮定するなら、駄賃は
､` ヽ ｀‐-==- i
､ゝλ i 際限無しに必要になる。
∨i ､ ．＜三ヽ ノ
∨ ＼‐‐ ´////////／ 路南浦に余計な鼠花火を持ち込ませる前にだ。
〉 ＼/////////,i
／ {｀ ､ ＼ ､｀ ヽ////,i 頭を抑えられるんなら、確かに願っても無い。
ゝ´:::::::∧､ ￣ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧ ／ ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
__,､.. .／: : : : : : `ヽ､
/Ｙ::）/: : : : : : : : : : :ヽ:＼
/:∨::/: : : : |: : ,|----_-}: : |〉
∨::〕}..: : :__ィ´ ／,-- ﾘ: .|〉
｀ｲ:〉:〈 ,,ィミ` ｲﾆ'' ﾘｲ）〉
Ｙヽl ｲ-'' 丶 |/ｿ､ 加え、何処ぞの国と同じく合成石が
ゝ）､ __, ﾉr'./
/｀Ｙ､ ｀ -‐ /r''.（ 多く市場に流入し、信用失墜の憂き
（__ ゝ＞､ ／|' ｀
） ,ﾍ.￣_,, ィ:| __r‐､__ 目となるを防ぎたい。
|￣::::::::::::／ﾊｿ':/::::::Ｙ.､
丿-ィ二ｲ､）／::::{::::::::::}:::＼ なれば、よ。本物と贋物の流通割合、
＿,,ﾊＹヽ='＞'":::/:::::::::＼:::::ヽ__:::}:::::::::）
/＜´｀::`:::''"::::::::::::{::::::::::::::::::Ｙ::::/::::ヽ::／ 改変処理を施された石の程度も把握
／:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::{::::::::::::::::::::}:::{:::::::::}:ﾍ
Ｙ:::{::::::::::::::::::::{:::::::::::::::::}::::::::::::::::::/::::}:::::::ﾉ::::} 出来たとしたなら。
／ ∨::::::::::::::::::::::､:::::::::::::::{:::::::::::::／-:､{:::::/:／
／＿__. ヽ::::::::::::::::::,＞-::--:､:〉::::::::ｲ/:::::::::::/´ さて……？
／二 ｀ヽ|'＜＞-'´:::::{::::::::::::::/:::::::::::/:::::::::::/
ｲノ ／ __,,､-- |__ ｀`ヽ､:--､:::::::::::{::::::::::/:::::::::::/
ｨﾆﾆﾆ_／ |￣}＿｀`ヽ-､_.Ｙ::::｀＞-､:::::/::::::::::/
／ 〔￣/ ￣￣ ｀}}:::::::::::::::::::ﾍ::::::::/
赱／ / ./ ＿＿,, }}:::::::::::::::::::::::::::/|
r‐/─''"´,,､--‐‐}}::::::::::::::::::::::::/-ﾍ
{__ｿ￣￣ ,,...}}::::::::::::::::::::::/ /｀Ｙ＼
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 現在。市場に流通する宝石と称して販売されるものには、本物と偽物の大別以外に、
┃｜
ルビーを例に上げるなら、本物のルビーではあるが、市場価値が殆ど無いに等しい
改変処理が施されたものも流通しているのが実情であり——。
コンフリクト・ジェムの内実だけでは無く、荘多風に流通する宝石全体のそれさえをも
魔女は、交渉のテーブルに利として乗せた。
※アンクル・サム Uncle・SAm USA
.
217 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:29:36 ID:jEYNOEksSa
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
.::::::::::::::::::::::::: --ミ::::::::::::::::::::::::／:::／:::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
::::::::::::::::::::／ ⌒ヽ＼:::::::::::::: /):／:::::::／:::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉
|:::::::::::::::/ /: :/: : :}. }-=- _{ /／)／):／⌒＞-――-ミ ::::::::::/
|::::::::::::::{ /: : }: : ノ }彡' ~"''-=- _/ ￣＼:::. ＼::/::|
|:::::::::: 八 : : : :( ~"''-=＞- ＼:､ }::::::|
|::::::::::::::::} : : : : ) ::::/ニニﾆ-＼ 从:/
|::::::::::::::::{ ー ∥ニニﾆﾆ-_＼ /:／
|::::::::: ／⌒ヽ {ニニニニニ〉 ∥ ……人智の及ばぬ力か。鬼札が過ぎる。
|::::／. . . . . . 〉 -ニニニニ/ヽ へ{
／. . . . . . .∥ ＼.ニニ／ |ニニ〉 酒の度数で言えば桁違い。飲めば直ぐ様
_／ . . . . . . . { ￣ |二 /
{ |_／ 脳がイカれて、天下でも取った様な気分に
.￣￣ ＼......... 人 ⌒＼丶、 {::::...... |
. ＼...........＼ ＼ ＼ :::::r' ¨´ なるだろう。
＼...........＼ `ー.::イ
＼...........＼ ＼__/ ……そして、ここで俺が前後不覚になれば
＼...........＼ /
＼.......... ＼ / 魔女様が鎮魂歌を口ずさむって訳だ。
', ／⌒ |.......... ／＼＿＿ノ＼
∧ ／ |＼／￣￣￣＼ 人
/∧ ／ニニ=- _| / ／￣￣＼＼
//∧ ／＼ -ニニニ- _ ／{ {. ＼＼
:::::::::::::|: |: : : : |: : : : : : : : : : : :| | | |: : : : : : : : : |: : : : : : : |: : : : :|: : :| Ｙ: : : : : ／: : : :丿: :/
:::::::::::::|: |: : : : |: : : : : : : : : : : :| | | |: : : : : : : : : |: : : : : : : |: : : : :|: : :| .ゝ: : : ｲ: : : :.／: |: : ＼
:::::::::::∧.|: : :..:.|: : : : : : : : : : : :| | | |: : : : : : : : : |: : : : : : :_|＞'"´|: : :| ∨: : : : :／: : : |: : : :.）
:::::::::〈: : :|: : __.|､: : : : : : : : : :..:| |_| |_: : ＼: ─二＞''"-‐'" ￣￣|: : | Ｙ: :／.ヽ:: : : :|: : : /
::::::::::::ﾍ:..|: : : :.|: ｀:ヽ:､__:,:--＼ ヽヽ─''" ＿__ |: :.| ./: / / Ｙ: ::|: : /
-､:::::::::|: :',: : : :l-‐'"´´`ヽ､__彡ヽ イ´￣ _,,, ｨ'|: :|彡 ,': / .∧ |: :.|:／!
.＼;;人: .',: : : | __, --- ､＿ ヽ ,,,ｨ=チダｯハ |:./ ,'::::{ .〈 }: : |: : :l ……其方だったならば。
ヽ: : : : ',__´ ｀`ヽ ヽ イ （ゞ､__´ 彡' |ﾘ .l: : | ヽ }: :/: ／
∨､: : ',ﾐＹ￣ヲテヨハ､ ﾍ ` `‐''"´￣ .|: : | ノ. /: /ィ 鬼札に喰らわれる事も
Ｙ |､: ',ハ （ゞ､__..彡'ノ .', ',::::',ｲ /: :/
∨ﾊ＼ ヽ,,`‐''"´ ｀ ', ',::::', /::::/ よもや、尻尾を巻く事も
/:::/, , ﾍ:::ﾍ':::::/
/:::/､ﾊ i /ﾍ::::ﾍ' あるまいて。
/:::/ ＼, ヽ .::: ﾉ､ /{: : 入::ヽ
. /:::/ ﾍ ,. ｲ/ ヽ / |:／ ヽ､::ヽ
/:::/ ヽ ｲヽ ＿_ --‐‐ ´ ／ / .|' ｀ ､::.､
/:::/ ＼ ヽ､ ＿＿＿__ , ／ ／ |__ ヽ:＼
. /:::/ ＼ ＿＿ ／. |r'7 ﾉ::::::）
.
218 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:32:00 ID:jEYNOEksSa
＿＿＿＿＿
＿＿__／:::::::::::::::::::::::::::::＼＿
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
＿／ ::::::::::::::::::::/⌒ :::／ノ彡彡x:::::::::::::::::＼
／:::::::::::::::::::::／ ::/:::::::／^⌒｀｀｀｀｀^㍉::::::::::::::::ヽ
／:::::::／:::::::::::/:::::::/ ::／ ＿＿__ ヾ:::::::::::::::::::.
.:／^／::／:::::::/::／/／ ／::::::::::::::::〉 〕:::::::::::::::::::.
／ /:／:::/:::::/:/ ／( ／:::／￣￣＿__〕::::::::::::::::::: 哈哈哈！！
.:/ /::/:::::/:::{＿＿＿ 〈_ -=ニニニニ}へ＼::::::::::::::|
∥ .:::/:::::__ /-=ニニ.У⌒〈ニニニニニﾆ} ＼_:／⌒ヽ 魔女様の信用が厚くて
{ {人:::/∥ニニニﾆ{ ∨ニニニニ ﾉ }:::://⌒ i:|
{={ニニニﾆ∥ ゝ---‐ '"´ 彡'〔:::::ﾉ | 感涙に咽びそうだ！
',乂ニニ=-〈_ _ ﾉ ):( /.ノ
､| ￣ . . .. ┐ (::／/ 俺を調べ上げて居たと
八 ―――--/ Y__/
〈 -‐'''"~￣￣￣{ |:/ してもだ。
､ ∨／> -／⌒ア./ /
`､ ／／＿＿＿／/ /| 何故、そうまで言い切れる？
／／ ----- ／:.:|
(,;／', ----- /::::/ |､
／ﾆ込 イ::::::/ | |＼
／(ニﾆ| う＝－――.....:::::::::::::::/ ／｜=-_
／ニﾆ＼/ ｀`～､、:::::::::::::::::: ／ |ﾆﾆ=-_
_ -―――――-=ニ〈ニニニニ＼ ｀`～--＜ -ニニ-_＼＿
_ -ニニニニニニニニニニニニ '/ニニニニ ＼ ////∧ -ニニ-_ニニニニ- _
／ニニニニニニニニニニニニニニ|/'/ニニニニニ＼ i'/////| |ニニニ-_ ニニニニﾆ
＞ー- ＿_
＿＿/｀ー ＜ へ
＿_/ / _ - ー―― ,ヘ ＼＞-､
| | / ＞ ＼
|／ ｉ/＼＼ / , ＼
／＼| /＼_ ＼＼ / / , ＼
∨／∨､＼＿ーﾆニ二三/ -/､ / ／ ∧
〉､ {∨＼ ‐ﾆ二三三/ / ｀>. ／/ , ∧
{｀ﾄ､{､ﾍ ＼ ゝ‐､三二/ヽヾﾐ､〃､＼./ / , '. ﾍ
ヽ|从ヽ ﾍ / ヾλ斗 { 冫爻､ Ｘ∧ / ｝ ｉ .ｉ∧
｀＜､丶ヽ〉'〃ｿ ｉ ハ ＼x'´ﾍ､＜_,/ ＿,7 ∥ | ｉ ｝
∨ヽﾍ ゞ' ﾉ ） /／/ ∥∥∥ ……。
∨ヽ｝､_／ ／ ､ゞ::├＜_/ / /
,'´｀'∨｝（ (￣ , ｲ::::丿 ￣/ 美しかった。
'､ ,'´｀Y ＼∧ ＼ｰ-_, ﾉ:／
ヽ､ .｛三二∨ト､ ゝ' ／ゞヽ_ それに尽きるからよ。
|/////丿/＼ ／ ,つ
,ﾉ///／´/////ト ＿／ /＞ー-､-＝＿
ゝ＝＿////////｝ ＞ ´￣｀＼ ＼ ｀'､￣三二ﾆｰ
/ ￣￣､￣￣「´ ｉ ヽ､〈_ ヾ,////////
/ ＼ ヽ / ｉ ヽ 〈/////
/ ＼_ 丶 / | / ﾍ/////
/ー- _ ､＿ ＿, ､_, | / ヽ _ |///
／ ｀ゝ ､ ￣￣￣ / | ∨////
／ ＞-个´＼ゝ､,ヘ｀ ､_ ＼, / 〈∨ |////
／ ／ __ ｿ ＼ ﾍ _ノ､,ﾍ へﾍｉ////
ヽ￣´｀-‐个 _人＿,ゝ､,-' <＿ ゝ_ ＞'´ ,ゝー´///
〉､＿,ゝ､__ｉ´//､////////､￣｀ヽ-'｀'､_,>‐￣ _/////////
////////|////∧///////∧∨//////∧､ ,-､＞'////////
Ｙ| ∨///∥.|/////|∨//////∧∨//////∧＼_,-'///∧､///////
.|∧ ∨///| .|/////| ∨/////∧ ∨//////∧ ∨////∧∨///
.
219 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:34:38 ID:jEYNOEksSa
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :}
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: / ……何？
`{ ＿ r‐{:／
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ }
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
／ ,ゝｲ ⌒ヽ ＼ヽ
ｲ/ / / ヽ ｉ〉
〈 〈 /. | .| || | __ｌ＿ヽ／ ｉ〉
乂| ｲ |___ﾙゞ.,_,.., ｲ ｉ| ,ゝ､ ｉ〉
＼|__ﾔ ｲ0 ﾉ冫 /ｲﾉ〉/
弋 弋) ｀ / ｌ/ /
ﾊ ヽ_ __ / ﾍ〈 ……其方等が均し、穢し切った
/ゝへ ｰ ／ヽ( ﾍ
( ( ＞イﾍ 》 ﾍ＼ 路南浦に住まう者達。
ソ /ﾄ ﾉ＼ V ( ＞￣lゝ
＿,､_ __,,,... - ゝl:八 l ゝ -ー''/ /〉⌒ｌヽ その魂魄を一つ残らず、観た。
_ ,,--－ // /ヽュ､ ｲ:::(ヽi / /ｌ:ｌ:::::::::ｌ:::}
夂-‐ '' "´ ''''ー‐ﾄ､ﾘ､ｲ ＼ﾍ ／:::::::::( l l i / /::/::::::::ｌ::〈
￣＼ Y:::〈:::::::{::〉ｌ ｌ / ／::::／::::::::::::ｌ:::l
ｲ＼ ゝ､::::::/::ゝヽヽ〈 /l:::::::l:::::::::::::::::/::::ｌ
/ V＼ｌヽ:::/::､´~~{ ゝ⌒:/､:::::::::／::::::}
丁＼ ｌ＼ｌ::＼{::::〉ーゝ:／:::::::ヽ／::ｰ::√
{￣゛ ｉ i::::::::Y:::::::γ::::::::::::::::}:i/::::::/
丁＞ ゝ ｉ::::::::::}::::::::l:::::::::::::::::::〉:ｌ::::/
Y⌒~~゛゛'''－-.....,,,_r ﾏヽ__ヽ_,,,... -`-- ≠ー::l::::::::::::::／::/::/
,ｲﾍヽ::::::::::::::::::::::::::(,,_ ヽ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ/￣:〉:::::::):::ｌ
/::/:丶>::::::::::::::::::::::::ｌ ＞ｌ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::〈:::{:::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
./::/:::::::::ゞ､::::::::::::::::::::ﾑ＿∥::::::::::::::::::::::::::::ﾚ'"~~::}::::::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
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┃｜
┃｜ 「魂魄と宝石の原石。それらは同一の物が一つとして無く、品質もまた同じく。濁り切った
┃｜
もの、半壊したもの、取り返しの付かない罅が入ったもの、超過熱により色味が変わった
もの。僅かに、極々僅かに景色の良きものもあった。路南浦の汚濁に研磨され、様々な
在り様を呈した魂魄を、一つ一つな」
張の視線は、揺らぐ事無く魔女の瞳を捉えている。
サングラス越しにでさえ、幽玄の藍銅鉱色が知覚出来る、出来てしまう両瞳。
荒唐無稽。そんな言葉も一瞬脳裏に閃いたが、空しく掻き消える。虚妄では無い事は、
魔女の訪(おとな)いを許した自身の肺腑に染み入っているのだ。
「暴力からなる血と硝煙。饐(す)えた男と女の交合の果ての臭気。肉と精神を焼く焦熱から
逃れる為の酒精と幻覚剤。絶望、失望に淡き切望。その全てを包む闇。磨耗し、果てる
には、路南浦はうってつけの研磨機よ」
.
220 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:36:33 ID:jEYNOEksSa
」 ー ／ , く:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.{:.:.:.:.:/:.:.:. |:.:.:.|:.}:.:. i:.:.ハ
{ `ｰ-‐＜ ／ 〉:.:/:. |.:.:.: |.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:.|:.:.:.|.:.:.:.:.|:.:.:.::ｉ
＼＿__ イ{ ／:.:./ ｉ:.:|.:.:.:.:|.:.:.:.:|:.:.:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:|.:.:.:.:|
}:.:.:|.:.:.:.￣.:.:.:.:.:{ |_」:.:.:.:」:.:.:._j.:.:.:. ﾉ.:.:.:}. ｉ:.:.:|.:.:.:.:|.
/:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.ﾉ ﾘ _￣｀丶、 ￣ ‐-':.:」:.: }:.:.:.::} かの射干玉(ぬばたま)の闇に在る衆多の
＼:.:|:.:.:.:.:/ Y:| { Tぅ㍉､ヽ _ -‐｀ Tt:/
/:.:.{:.:.:.:.{ ｉ |:.{ 弋_ツ′ rt=ミ､ ,′ 魂魄の内にだ。
＼:.∨:.::, 八:ﾍ 弋_ツ /
ｉ:.:.＼:.:.ヽ_.ｉ＼ヽ { ,ﾊ 享楽に晃る、ブラックスターサファイアにも
└-=:_∧:.八 .|:| ノ 八:＼
＼l ＼:j r = - ｧ ／ .ヽ:ﾊ 似たものが在った。
_|_彡＼ ｀¨こ´ . ／ ｉ:.:|
くL.__ 、 ／ |:.:} 美しいぞ。其方。血と絶望と蕪穢(ぶあい)を
/ﾆ＝=‐- _＞:-イ ﾉ:.ﾉ
___ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ≧r ´ ／／ 泰然と愉しむ、張維新。
r＜ ｀ ､＿_ _〈ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ| {:（
ﾆﾆﾌ ￣ | ｉ ´ ｀¨ ｰ-=ﾆﾆﾆニj_ ｀
ﾆく __ -‐= .| | ￣￣ ＞: _ ＿
ﾆﾆ＼jニヽ／ | | ＿_ ｀¨ くﾊ T ￣ ¨}＿
ﾆﾆﾆﾆ〔￣ -‐ ＼＼ / ＼ ___ } | ／ ∨＼
ﾆﾆﾆﾆﾆ＞ﾊ ／ ＼ ＞‐- _ { ヽ__／ ∨ j Lニ＼
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ弋＿_ ／／¨T =‐- 」 }い{ }／ r'ﾆﾆﾆヽ
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆラ く } / 人 /∧ ﾉ＼ ﾉﾆﾆﾆニﾊ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「とは言えど。これも宝石と同じく品質を確認する為に、間近にして、良っく観なければ
┃｜
ならぬ。ルーペを睫毛が当たる程に近付け、手にした石を前後させながらピントを調整
する様に」
魔女が、張維新を調べ上げた手法。それは正に神秘そのもの、人間達の通常知覚する
物質世界から掛け離れた手段であった。
そして、今現在も行使されているとの報せの言葉。魔女は、張と交渉に当たりながら、
張の魂と言うものを超常の力をルーペが如くに使い、観て、計って居り——。
※蕪穢 土地が荒れ果てる様。卑しくて下品な事。
.
221 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:39:05 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ| その上で、よ。だからこそ。
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ 其方は埒外の力に溺れぬと観た。
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', 強い酒の飲み方。勿論、識って居ろう？
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ _ ＿‐ ''"
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ （￣￣ﾍ, --‐ ＞'´ , .ノ￣
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ _ ∠-==､ ﾍ'"／ ／
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| __, _‐'ﾆ´ｲ｀＼ Ｙ〉 .〉 /
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{ =='‐''"´. }､ ヽ .| / ／
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __ |_ﾉ ﾉ }､__/ /
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼ヘ. / / ﾍ,,ｨ=Ｙ
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i ……参ったな。
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', } 背骨の下の方から、
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. {
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜ ゾワゾワ這い上がって
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} |
}/ { ｒ _ }////ノ ! 来やがる。
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
.
222 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:41:13 ID:jEYNOEksSa
_ -===- ､
_ -=ﾆ二三三三Ｙ云ミヽ
/ニニ二三彡彡介ミミミﾐﾍ
/＝ニ二//／ .//:"´｀ヾミﾐﾐﾊ
/＝ニ二/// /// ミミﾐﾘ 男が女を口説き落とそうって時、銀幕
{≠// _乂 ,ｘ≦ﾆﾆミ ミミj
Ⅵ{ ,才三三}⌒ {三三三 }}.j｀Y} スターが演るキザ野郎が、女を宝石に
乂i仁 三三} :. `ｰ─‐''¨ .）t/
｛ﾊ.`ー‐‐′ :.:... し′ 例えるのは有り触れてるが。
弋､. ^ｰ＾′ ﾘ!
｀､ ... ｰ:::-- .:j､ まさか、俺が宝石に例えられるとはな……。
＼ ｀"´ ／ ハ
＼ __＿,， ´ ／二=ヽ､__
_ハ__＞ , 仁二二=!二 ＼
_ -=ﾆ7/⌒ヽ ／二二ニニ|二二ﾆヽ
,，=ﾆ二／:i:ｉ｀ヽ人ﾍ／二二二二二|=／￣￣｀ヽ
/二二ﾆ/i:i:i:ｉ:Ｙ /二ニニ＼三三／二二二二ハ_＿＿
/二二／:i:i:i:i:i:ﾉ ／二二ヽニﾆ>=//,イ二二二二ニｉ三三二
/二二 乂:i:i:i:i:i:i:ヽ/二二二ﾆﾆ／二{/／二二二二二 |三三二ニ
,ｲﾆニニ二∧:i:i:i:i:ｉ/二二二ﾆ／二二ﾚ仁二二二二二ﾆ|三三二ニ
/=ｉ/二二ﾆ/八＼:i/二ニニ／二二二Ⅳ二二二ニニニﾆｌ三三二ニ＝
, 仁∧二二∧ﾆ∧/ニニﾆ／二二二二ﾉ二二二二二ニニ !三三二ニ＝
／二∧二二∧ﾆ＠/ニニ／二二二二／二二二二ニニニﾆ '三ニニニﾆﾆ
,ｲ =ニ∧二二∧二ﾆ/ﾆﾆ／二二二二二i二二二二二二二二 ,'三二ニニ＝/
,厶=二∧二二∧二ﾆ/ﾆ／二二二ニニニ |二二二二二ニニニ/三二ニニ= / .
／⌒ヾ=∧二二∧ﾆ＠/／二二二二二二ニ |二二二二二二二 /三二ニニ= / . :.
⌒ヾ＼｀vへ∧二二∧／/ｲ仁二二二二二二ニ／二二二二二二ニ/三二ニニ ／ . : :.:
ニニ二＼イ∨二／二＠=/二二二二二二二ﾆ厶三三≧＜二ニニ/三二ニﾆ／ . . : :.:
ニニ二二∨/'／/二二二{二二二二二ニニ＜三三三三 ＼＼'二/ﾆ三三＞" . . : :.:.:
二／三三三三彡'´＠二 j二ニニ＝＝─ ￣¨二二二二二 ∧ V/ﾆ三＞" . . . : :.:.:
=/三三三三二才＝＝≠气三三二二二二二二二二二二二 /＞" . . . : : :.:.:.:
/三三三二二丿＜￣￣￣｀Ｙ二二＠二＠二二二二二二二才´ . . . : : :.:.:.:
三二ニニﾆ／ ＼ 人二二ニニ＝＝── ￣￣￣ . . . : : :.:.:.:
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┃｜
┃｜ 二本目のジタンをクリスタルのアッシュトレイに押し付け、鷹揚に背をソファに預けた張。
┃｜
三本目を懐中から取り出す仕草も見せず、ややあって片方の口の端を上げた。
.
223 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:43:53 ID:jEYNOEksSa
. .-――――
,．≦::::::::::::::::::::::::::::::::::
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ﾊ::::::::::::: : //:::,イ::i::|::::/¨¨¨¨⌒ヾ
ﾊ::::::::::::::: //:://::::;ｲ::|::/
∧:::::::::::: /_,＞ ´７ }::|/
/／:::::::／´ _,ノ // 魔女様の勧めるスピリタスを
/:::::::::／ ／:{//≧/ｲ､ :| } 厶斗
{ｲ:／ ∠:从―――- ､ ＿ -― 飲むとしよう。
/ .ｆ､,f三三三三三ヾ ｒ￢ ｆ三三
/ ∧{ 三三三三三 ｦ-― ､三三 ショットガンを腹に炸裂させて
ノ 厶斗七⌒∨三三／{ }＼三
／ ´ ＿_/＿∨≧´￣ i 愉しもうじゃないか。
i ￣ } { | } }
:ィ} ―――‐〈 ｀ヽ ノ '
. _,． ≦ニニ:′ :} ｀ヾ三三三三≠
. _,． ≦ニニニニﾆ′ ≠一 ./＼ ー
ニニ|ニニニニニニ { f ノ :＼
ニニ{ニニニニ ＿__」＿_ ├≦{ ≧ ー― ≦
ニニ|ニ＿＿__/＿＿ ＼ ノ:ニ∧ ＞= ＜
ニニ∨ニニニニニﾆ≧､ ヽ ,. ィ ニニﾆ∧ / ヽ
ニニ/ニニニニニニニニ＼ ∨ﾆ7:ニニニ ∧ / :}
ニ=/ニニニニニニニニニﾆ＼ヽ={:ニニニニ∧ ∧ /
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┃｜
┃｜ スピリタスはアルコール度数96度。煙草の火も引火する殆ど純粋なアルコール。
┃｜
楽しみ方の一つとして、容量40cc程度のショットグラスにスピリタスと炭酸水やジン
ジャーエールを1：1の割合で注ぎ、掌やコースターで飲み口を塞いだ後、テーブル
にグラスを叩き付け、炭酸が舞い上がっている内に飲み干す、ショットガンが有る。
勿論、割ったと言えど、スピリタスの度数が凄まじい為に用心が必要だ。
——張は、元より荘多風を瓦解させる気は無く。
維持の方針のままに、ただ、魔女よりの超常の助力を受けるか、否かの交渉は、
張のこの宣言によって、受諾の形で帰結となった……。
.
224 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:46:21 ID:jEYNOEksSa
,.;'"~⌒'"~
| | :. ､ | |L / _ _.,_,,('" (⌒ヾ
| |::∧ , ､ /| √ ^'ノ⌒ヽ,,._ｿ''"
| |⌒ ゝ '/, / _ _,.,_,人⌒`'"~
| | ＞ _'/／ /rv 〉 ~^`"'ー- 'ﾍ.,_,.ｿ'ヽ(⌒
＿ {リ㍉ |__(ﾊ ／／'/ __
／ -=二 ∨ ∧ |//}/ /'/ // 〉＿／二＼＿
/二二l￣ ／し⌒ト--´￣/ 〈ヒ） / /〉^〈二二二二
二二:/ /二'⌒＞）ト { 〈/ // ＼／⌒＼二
|二ﾆ:/ /ニニ〈⌒ヽ| } ' / 〉 ／⌒〉二二二二
/=ニ/ /ニ二二V^八 , / }っ 〈二二二二二
|ニ / /二二二 〈⌒7 ＼/ ／ 人,ン 〉 ＼二二二
人 〈 〈二二二二 | 〈 ,' ／ ／ ￣＼ 二 ＼二二
＼ '/ﾆニ二二| ﾊ / / YY＝－ /＼二 〉
＼ '/二二二／Z/ / 八 {二二／／
／//二二二ﾆ∧ /-＜ |＼ /二二＼
|ﾆ//二二二ﾆ/ ＼ ＼!二＼＿ノ 二二二 〉
r-､
(⌒::. :::.
(´￣｀::. .::..__.:::´⌒ヽ
ヽ::r'⌒ヾヽｨ.: :ヽ::: (_ -､
Y:: ..::::::.. ノ::: ::..:: ﾉ
ゝ､::_ :: ｀ー-- イ{ `ｰ:. 、__＿__ , /／
｀て_,-ｒ'｀ー-- ＿＝-=- ／ヽ ＿,, ｲﾘ
／￣￣｀ヽ ／ﾍ:＼
圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／ ∨::＼、
／, ′／´￣￣｀ヽ 八 / ',::::::∧｀:::...､、
_ .． ´.::/ , -―- ､__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
. : :.:.::::/ ／ , -―- ､__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ ／ ＿ ｀ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ｀Ｙ////／ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ﾉ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
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┃｜
┃｜ そうして、一転。
┃｜
寂然が二人の間に降りている。魔女は芳しい煙管を吸い、張は三本目のジタンに
悠々と火を付け、更け行く夜の時が過ぎ行く。
が。ゆるりと、魔女が紅唇を開き。
.
225 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:48:20 ID:jEYNOEksSa
-=ﾆ辷彡'⌒ヽ ｀^⌒ |‐---‐ /
弋廴シ ／⌒ ＼ | ／
"^¨¨^´´ ヽ |¨¨¨¨¨´
＼ ― ﾉ' ,
＼＼ `¨¨¨´／
⌒＼＼ _/
_ ＼＼ ／ / ……さて。
⌒＼＿＼＼_ -‐= ア /
`⌒¨´ Y‐-== 匕/ ' 事、此処に至ったならば、だ。
＼ |l -‐ ´ /
:::: ＼ :||
＼::::::::::::....... /i| {
＼::: /⌒/ |うぅ=--‐ ´
/ :／ ／―――――-ミ
/＼ / / ' ＼
// ∧ {/ ＼
/〈￣ / ＼
/::::::::::::::::::::://⌒´ ヾミ::::::::::::::::::::｀ヽ、
／::::／:::::;:イ:// __＿__ ﾐ::::::::::::::::::::::::::ﾍ
／:::::::/::::／ /// ∠才´￣｀ ﾐ::::::::::::::::::::::::::∧
. /イ::::::/::::/ ／´/∠才77777ﾊｒ=;,､ﾐ:::::::::::::::::::::::::::∧
/ /::::::/i:::/／ 厶//////////} ｀＼:::::::::::::::::::::::::∧
/ !:::::/:::!/≧､＿｛//////////// ＼::::::::γ⌒ヽj ……至った、
|:::/ﾊ//// V////////／ 彡＼:/∠｀ヽ i
|:/ i {/// ｀ ｰ─一 ´ 彡ｲ { } ｝l ならば。
i′ V´ ..........) ）( ﾉﾉ
i｀ヽ:::::::::::::ノ ノ ノ イ どうしたい？
', ｀""´ ﾑ /:::/
', ー＝ﾆ二ヾ 才 ト ,.イ:::/＼
', ...,,,, ＼＼ j ヾ:ｲ::::::::ヽ
', ＼＼ . ｲ:.. ∨::::::::::ﾍ
...,,,､..-:::――――:::-:..､._.,,..ィﾊ ヽ;;> ,.イ: : : / ∨::::::::::ﾍ、
:::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/／∧ . ＜: : : : : / ∨::::::::::ﾍ＼､、_
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:::::::::::::ヽ､__＿__.... ＜: : : : : : : : : / ／lﾍ:::::::::::::ﾍ ∨:::
::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::／∧: : : : : : : : : : : : : : / ／ !: ﾍ::::::::::::ﾍ:::::
:::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::: / ∧: : : : : : : : : : : :,.:′ ／ ,ｌ::::::ﾍ ::::::::::ﾍ:::
.
226 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:50:22 ID:jEYNOEksSa
. : / .:}| | .} j| }) /
. : :/ .}| | .} j|___/ /
/ }| | /}_____. j|ｒ/
∥ ________ ｒ -‐ ''"´ ﾉ.i| ｀j|/／
､. : {{‐‐‐‐‐彡xz_________ノ彡 八 八′
⌒.八 ⌒宀宀￢´. :./ / /⌒ヽ
j ヽ )/ / / '/:.
´ . : : / / V/,
. : : ／{ / V`、 魔女である妾より、人間への表敬が為。
___ ‐=ﾆ / . : }: :.
， . : . ( .人: .} そうさな、黒社会の住人たる其方へ。
｀ｰ _ -‐ ´ ／(´ '/:. ／⌒ 人
. : : / ＼ '/:. ( ／⌒ 落とし前を付ける時。と、行くか。
=- _ ィ(. : ./ `、 '/:. ＼(__
｀ ´. : : /〉 _)) '/:.
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y/{ '/.
- __________ ィ(i:i:i:＼ ):|
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉 ﾆ=- _ ／人ｒ／⌒ア
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／ (´---------ミ____
｀ ____ ィ({ ﾆ=- _ ＼
j ＼/
:.､ V/
:＼ ﾉV/
⌒ヽ:＼ . ／ }/
`、 . : ／ ﾉ
┏┓
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┃｜
┃｜ 張が目にしたのは、宛(さなが)ら純潔の慈母となった者の微笑みを浮かべた
┃｜
黒麗のドレスを纏う存在が、ソファより立ち上がった姿。
白き繊手の片方が優雅に上げられる。何とも臈長(ろうた)けたる指先よ。
雪白の掌に、飛鳥が如くの勢いで黒いものが受け止められた。
ワルサーP99。ペントハウス内のベッドルーム、その枕元に隠されていた自動
拳銃が魔女に召喚されたのである。
.
227 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:52:40 ID:jEYNOEksSa
＿_
_l_｢￣ヽ＿＿＿＿＿＿＿x≦ｰ'ﾐメ、
ミド―┘三三三三三三三三＼ 刈
＼ ｰヘ
ミメ、 ヽｰ―――――――トryyy'|
~刈ﾊ |///////////////| | |f气l
l l |///////////////l | | ｢｢lト、
,' 厂 |///////////////リ ・‘´冬｢
彡, ' |//////////＞'" ．＜////lﾐﾒ､
¨´ |/////＞'" ．＜ｋ '" l////l彡′
＿|＞'" ．＜/////リ．＜う'" ｢￣￣￣ヽ
＿＿└ｫ ヽ＜//////////////||∧ l／ }/!
｜ ￣ /////////////////||/∧/ ｘ‐ ､ / |
| //////////／｢ミlとつ||///! l |'￣￣}
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┃｜
┃｜ 思考の閃きより速く立ち上がった張がホルスターより銃を抜く、その一刹那。
┃｜
ワルサーP99の銃口は、既に向けられていた。
何処へ？
魔女の白く滑(すべ)らかなる胸元を穿つ様に、魔女自身の手によって向けら
れていた。
瞬く間に煮え滾る空気。
直ぐにも銃撃が可能な体制で魔女に相対する張。
.
228 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:54:37 ID:jEYNOEksSa
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/: : : : : : : : : : : :.:.:. .:.::.:.:.:.:.:: : : : : :| ｒ‐Y|乂/| | | |
. /ｲ: : : : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:: : :.| /} } { } .| |├┤
{! |:ﾊ : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.}_ 何の心算だ。 {_{ィ´ } {/| | | |
. |! }ヽ＼:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:; } |//// } ヽ| | l |
{ { }:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::::.// |////ﾉ V∧| |
ヽ､ﾉ {:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.// V/// V /二〕
} i＼:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:{′ `ｰ{ V_/_/
_,.．-'''"￣￣￣￣￣￣￣￣＼ ヽ ／¨二二{
. ／ ＼ }／ ／ '，
_／ ＼ -‐──────- ､ '，
￣`‐-≦⌒ヽ _ -‐──────- ､ ,ィ´ ＼ '，
＼ ﾞ¨'' ‐≪ _ ＿＿__,.．-‐ '' i ＼ '，
¨'' ‐- ￣￣￣￣ | ＼ '，
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
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>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ| 其方等の流儀、よな？
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ 人間を嘲笑したは妾ぞ。
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', 張維新、其方を奥底まで
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ 品定めしたは妾ぞ。
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ これが無礼で無くば何とする。
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼
.
229 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:57:26 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼ 黒社会の人間相手。今は、三合会、金義潘の
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li 白紙扇、張維新相手に交渉を決め込んだのだ。
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | }
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l 陰腹も切らずに来た者が、侮辱を吐いたのだ。
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l}
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ 暴力なる剛力を以て何をも踏みしだく者がよ。
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨ 舐められたままを、許せるのか？
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
＿＿＿ ＿＿＿
／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
. ∠:.:.:.|:.:./::／ |! __,.．-‐ }.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
{:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i
|'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.|
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./ ……。
＼＼ し' /:.:./
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./
. } / |:.:.:/
. | / !:.:{
{ _ -‐′ __|从__
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ |
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
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230 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:00:15 ID:jEYNOEksSa
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.|
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./
＼＼ し' /:.:./ ……これが。
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./
. } / |:.:.:/ 信念だの、生き様だのと言われてりゃ、
. | / !:.:{
{ _ -‐′ __|从__ くだらねえ。と、嗤い飛ばしちまうんだがな。
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ |
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
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┃｜ ゆらりと。銃を上げたままの黒社会の人間が、歩を進める。
┃｜
二人の間を隔てる空気が、緩い粘性を帯びたかの様な歩み。
魔女の前に立った張。
白絹の肌の胸元に、黒い銃口は押し付けられたまま。
魔女の手の銃で以て、「撃て」との意思表示であった。
これが魔女の言う、落とし前か。
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231 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:02:57 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 銃把を握る白く細やかな手指に、硝煙と血が匂い立つかの男の左手が触れた。
┃｜
ワルサーP99のトリガーに指を掛ける手が、入れ替わる。
銃口は、動かず。
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232 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:05:39 ID:jEYNOEksSa
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／ニニニニニニニニ=＼ﾆ|____／／:／￣￣￣ |:::::::|:::＼＿＿ ニニニニニ＼ニニニニニニニ／ニニニ
-ニニニニニニニニニニニ/ / ／ニニ- _ ￣￣ ／ ---- ミ ////∧ニニニニニ ／ニニニニ
/ニニニニニニニニニニニニ| |.／ -ニニニニニ__.／ ''"ﾟ~￣~ﾟ"'' ＼ ///∧ニニニﾆ／ニニニニニ
. |ニニニニニニニニニニニニﾆ＼|〕 -ニ〕／／ ／￣￣￣＼ ､ ∨,'//∧ ニﾆ／ニニニニニニ
. |ニニニニニニニ／￣￣￣￣∧＼ ＼ 〃 / ' ／￣＼: :＼ヽ '////∧＼'ニニニニニニニ
. |ニニニニニﾆ.／ニニニニニ/ ∧ ＼ ＼ ∥ / / .'i:i:i:i:i:i:i:i:ﾊ: : ::. '////.∧ﾆ＼------------
. |ニニニニﾆ／ニニニニニニニ/∧ ＼ ＼ 〕 {{ | |:i:i:i:i:i:i:i:i:ii:i|: : :i | |//// ∧ニ ＼
〈ニニニﾆ/ニニニニニニニニ / ∧ ＼ ＼ | ＼ | |:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|: : :l | |///// ∧ニニ＼
-ニ二 /ニニニニニニニニニ/⌒ ､ | 〕 /| |:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ/: : / / .|////// ∧.二ニ ＼
-ニ./ニニニニニニニニニ/ ＼ | 〕八 ､:i:i:i:i:i:／:.:／ /::| |/////// ∧ニニニ.＼
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＼ニニニニニニニ 人 ＼/∧ 〕 :| |////////// ∧ニニニニニ.＼
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┃｜ 「恭順は、してやらん」
┃｜
左手にしたワルサーP99を手首のスナップで下へ投げ捨て、右手に銃把を握る自身の
銃で以て、張は魔女の胸元へと——。
耳馴染が有り過ぎる乾いた音が張の鼓膜を叩き、空の薬莢が床に落ちる甲高い金属
音が、微かに響いた。
.
233 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:07:44 ID:jEYNOEksSa
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BGM：ttps://youtu.be/-d6kZtRcFnc
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┃｜ 魔女の背中、銃弾射出口から血潮が飛沫く。
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ペントハウスの室内照明に照らされ、赤々と晃めく様は、何処までも異様ながら美々しく。
ピジョンブラッド、ビーフブラッドと血の色で赤みを評されるルビーとも異なる、妖魔の赤。
呼吸器官から逆流し、咽せと共にそれが魔女の口からも噴出される。
床に倒れ臥し行く魔女の身体は、抱き止められた。
ジャケットの袖から、ラペル、ネクタイ、シャツが生微温く熱いもので染まって行く。
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234 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:10:28 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 抱き止めた魔女の顔を覗き込む張の表情に、揺らぎは無い。
┃｜
サングラス越しの黒い両瞳に、苦悶を浮かべながら魔女は薄く、笑む。
「……煙管、には……、エリキ、シルが、な。……無く、ば、肉の……身を……、保て、
ぬ、が……」
言葉と共に、溢れる命の赤。
「人……間、の……、死……と、等価……の……、償(つぐな)、い、には……、なっ、た
……か……？」
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235 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:13:07 ID:jEYNOEksSa
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ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;, 。
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〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:） ０ ソ;:;:;:;:;:;:;:｝
,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ
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" ,,,, _;:;:⌒ゝｿ;:/
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（）
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┃｜ 蒼白の容貌。息も絶え絶えの言葉。
┃｜
何を思ったか。身体に出血が無かった者も唇を尖頭歯で噛み切り、口を血に塗(まみ)
れさせる。
——古く、現代では行われていないとされる儀式が、三合会にはある。
三合会に身を置く際に、複数の身を置こうとする者を集め、その者達が互いの指先を
斬り合い、流れ出た血を一つの盃に注ぐ。その盃に、鶏の頭を落とした血を更に注ぎ
入れて飲み分けた後、儀式に参加した全員が中国の神を拝すると言うものだ。
拝する神とは、蚩尤か、共工か。今では、歴史の彼方となってしまいつつある儀式。
それをなぞらえたか、どうか。そも、張維新が、それを知っていたか、どうか。
肺から上る血に小さく咽せ、魔女の赤く塗れる喘ぐ唇が。同じく血に塗れた唇に強引に
塞がれ、舌を抉じ入れられた。
※蚩尤、共工は共に中国の悪神とされる二柱。
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236 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:17:39 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 張の鼻腔と口腔に、血臭をも甘やかにさせてしまう、この世在らざる伽羅の匂いが満ちる。
┃｜
今宵、魔女の纏う伽羅の香り。それは魔女が手にしていた美妙な透かし掘りの施された
鈍色煙管から放たれていた事を張は思い知り、更に舌を蠢かす。
なんと、おぞましいありさまか。もはや、ひとのよからはずれおちたる、ありさまよ。
……漸く、唇が離れた頃。
魔女の青褪めていた頬には薄く薔薇色が刷(は)かれ、苦悶も僅かながら薄らぎ始め……。
ペントハウスに撒き散らされた魔女の血液も、どうした事か、少しずつ霧散して行く。
魔女を目にした瞬間から超常を目の当たりにし続け、撃ったとしても死なぬものと察して
いたとは言え、ゆっくりと魔女が生色を取り戻し行く様を見ている張も、流石に小さな安堵の
苦笑を漏らした。
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237 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:24:32 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 魔女が張へと悪態を付かんばかりに顔を歪ませたが、未だに銃撃を素直に受けた身体に
┃｜
走る激痛から完全には解放されていないのか、張に抱かれたままに身悶えする。
出来る限り揺らさぬ様にと体制を変え、魔女の柳腰の身体を抱き上げるとペントハウスの
ベッドルームへと運び込んでしまう張。
その時には、血潮に染まり切っていた魔女の黒い綾織りドレスも、張のスーツも染み一つ
無い状態になっていた。
唯一、張の口元に自身が噛み破った為の傷と、血痕が小さく在るだけ。
魔女をクイーンサイズベッドに静かに横たわらせると、張自身もベッドに、魔女の傍に腰掛
け、見詰め合う。ある種、剣呑な視線の交わりである。
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238 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:26:49 ID:jEYNOEksSa
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| l ヽ V ヽ |
l! ｜ | ' ∨_ ヽ ∨
/| ｜ | ｜ ∨ミヽ | l
/ l l| |ヽ V ｀ ! |
' / ∥ / |ヽ ! } 人_, /
＿/∨|＿/ム―ｲ＿/ | !__jI斗ィ}∨
|_ﾊ |'´ ／ ﾉ |
__,.-‐'''￣ | N／ ／| }
ｨ _,ｨ㌻´_ -― ヽ|l|,／ ﾊ,/
{ ,ｨ㌢_ -_,ｨ==＝=寸, |ｱ~ /|/
l_､丶｀ r ｨ㌻＞-､ ﾏ}ﾂ /l |
冫 l '" { ・ -} ﾘｌ /⌒l
_‐ｧ´,-ﾆ ､ ゝ-ﾞ´ ''/ /⌒ !
｀､ /￣＿｀ヽ ＿_ _-ﾆ / /⌒） }
/ ｀ヾ ｀￣￣ / / ﾉ ……貴、様ッ。
rｧ -､ヽ ,' /-´ ／
＿, ィｻ´ / ｲ＿／ 火事……場、泥棒、が
┬┬┬‐‐l_,┼lⅣ / ／￣
┼┼ i ｢_｣-'‐'~ ,ｲ / 過ぎ、るぞッ！
￣￣￣ ／ ヽヽ,
￣´ イ / /
｡＿ -'''´/ム ／／
ト‐z＿_ /r‐寸L/ /
| } ￣7 /＼＼
! i V } jI斗' }ノ
三三三三三三三三三三三三三ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝────
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i 意趣返し諸々込みだ。
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', } 俺みたいな男の前でな、律儀に
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. {
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜ 無抵抗を晒すからってのもある。
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} |
}/ { ｒ _ }////ノ ! 痛いなら、大人しくしておけ。
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
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239 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:28:53 ID:jEYNOEksSa
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／ ヾ:.:.::./:.:.＼
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. i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' ￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
{: : : : ::.:.:.:.:.:{ { ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/ }:/}′
',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:', ./ヽj } ￣|////{j .|′
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈 ノヽ |////ヽ
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､ 乂ﾉ {/// ',
i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_| `ｰ′ V それと、だ。
. }:.:.:.，＜ | / _ 〉
/¨¨ | ｒ_､_ ｒ''¨ 口説き文句の返事だが。
. ＿/ i { ＼ ﾆ=‐-′
／ ＞，. i ＼ ￣) 勿論、答えは係だ。
／ ＞，. i ＼ /
／ ＞， i ＞，. /
＼ ＞， ＿＞， ＿/
＼ ＞， ／
＼ ＞，
＼ ＼
＼ ＼
// /∥ / / / j/ /: / ／: : :从: :＿: : : :-─: : : ＼| |
/ / ∥ /:| 从_/: ;／: : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : : :| } /
,' ,'|ｉ / 川 ,': :|/: ,. -─=ミ: : : : : : '´-‐r辷zzzｨノｨ: : :| /ﾚ′
| l |i / |从|: :_／: : : : -ミ､: : : : : : :vア,ｨflr丐ミ>､彡:i| ∥′
| l |i ﾊl | j| |: :／: : : : ､_乂Yvﾐヽ: : : : : ﾚ'＾...::￣￣￣ i| ∥′
| l |∨L}从V: ': : : :z‐彡ｲ气＞'': : : : : : :. | {ﾚ
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|/ |ﾆ=V_Y |ｉ: :＾zｰ'^ }: :,-､: :. {
ニﾆV| ＼ L-､ r'´ __ ‘，
寸ﾆ八 ／＾ヽ _ -───-／｀ __‘，
寸 }i ∥ゝ {L_ _､‐''゛_ -‐ ￣ )‐'´ ｨｱ ‘，
寸从}^ヽ、⌒ﾞ ､ 厶-＜r'＾r'´__ -‐ '" ' ′ ‘，
|| ゝ _ >､ ￣ ---‐' ／ ,' ＼
/,' ＞､､ ／ ,'
／/ ',///＞､､ '
／ ,′ }/////// ＞‐く /
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┃｜
┃｜ 苦痛に脂汗が滲む程度に持ち直して来た魔女であるが、魔女自身には何か予想だに
┃｜
しなかった言葉が耳に入り、悪態を付きつつの声が漏れた。
係とは、広東語で発音すると「ハイ」であり、意味としては英語で言う所の「Yes」である。
.
240 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:30:57 ID:jEYNOEksSa
_ ............... _
,r‐::::::::::::::::::::::::::::::::...、
ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
／/:::/^Yヽ:::::､:::、::::::::::::::::::::::ヽ
ﾘ八 ﾘハ＼＼ヽ ､、::::::::::::: |
ﾍ癶、 ､,,,､-=ミ､ Y:::::::::::::::l 夜に美女がだ。男一人の部屋へ来て、
{ｉ|ｉ|ｉ}こ戈i|ｉ|ｉ|ｉ|ｉ|} ﾘ/⌒Y:::'
{¨７ ￣￣ 厶ｿ ﾉ:/ 面と向い、誉め千切って来た。
､｀ヽ ｰ ＾Y
', ﾏ二ﾌ ／ i､ これが口説き文句でなくて、何なんだ？
、 ／ ／／ ／ヽ
｀才＿ ´ ／.:.:./:.:.:.､
_ ,／.:./ハ ／ .:.:. /.:.:.:.:.:.＼
／/.:.:ヽ／//∧ ／.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ
. /.:./.:. ／ｲ////∧,.'＼＿＿/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:./.:. /::/ //／ / .:.:. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､
ﾉ.:.:′/::/ ///, /.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__＿＿ヽ
. /.:.:.: '.:.:.'.:/ ////, .:′:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/.:.:.:.:.i.:. i:/./////, ′:.:.:.:.:／:.――ｧ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:.:.:.:.:|.:.:ｉｉ'//////.:.:.:.:.:.／ ー――′:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. ／ .:.:.:.:.:.:.|.:.:||'/////.:.:.: ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:||'////.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',',
//＼ﾍ __ ｨ. / .',', ……。
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼
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┃｜
┃｜ 浅い呼吸で胸を上下させている魔女。
┃｜
張の話を神妙に聞き入って居るのでは、決して、無い。
只々、呆れているのだ。何に対してか。自らが発した言葉を、自分に取って良い様に
受け取り、言葉を返している男を。何より、かにより、人間と言うものに思考を寄せず、
賛辞を贈った自身に。
男が悪辣である事は、まじまじと観ていたので解っていたが……。
.
241 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:32:34 ID:jEYNOEksSa
ゝ/´/////彡∧i‐-､
／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ ＼::::::::::ヽ
,//／／ ｀ ￣￣ 〈⌒´i‐‐､´ しかも、口説いて来たのは常識と世界法則を
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i
i |i､｀) 'ゝ二二二二７ , 粉々に打ち砕く、ゾクゾクする程の良い女だ。
､` ヽ ｀‐-==- i
､ゝλ i 娘々だろうが、魔女だろうが、構うものかよ。
∨i ､ ．＜三ヽ ノ
∨ ＼‐‐ ´////////／ 障りがあったとしてもだ。後の事は、知らん。
〉 ＼/////////,i
／ {｀ ､ ＼ ､｀ ヽ////,i
ゝ´:::::::∧､ ￣ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧ ／ ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
┏┓
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┃｜
┃｜ ……魔女としては、荘多風を維持しながらも思うままに出来る人間の条件として、少々
┃｜
以上に神経が【切れた】者を候補として見繕って居たが。
このブレーキは付いていて、巧みに操作も出来るが時と場合により、危機を俯瞰した
ままに愉しんでしまえる男の神経は切れていると言うより、別物なのかも知れない。
故にこそ、破倫の街、路南浦の実質的な支配者で居られるのだろう。
呆れの感情を隠しもせず、何一つ反論する事無く、反論する程、痛みが散っていない
のもあるが、張へと視線をやる魔女。
視線を受ける男は、横たわらせた魔女の生色が完全には戻り切っていない、冷たい手
指に、自身の手の重さが障らぬ様にと触れる。
.
242 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:34:25 ID:jEYNOEksSa
_ ............... _
,r‐::::::::::::::::::::::::::::::::...、
ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
／/:::/^Yヽ:::::､:::、::::::::::::::::::::::ヽ
ﾘ八 ﾘハ＼＼ヽ ､、::::::::::::: |
ﾍ癶、 ､,,,､-=ミ､ Y:::::::::::::::l ……綺麗に結った金髪を解(ほど)くのも
{ｉ|ｉ|ｉ}こ戈i|ｉ|ｉ|ｉ|ｉ|} ﾘ/⌒Y:::'
{¨７ ￣￣ 厶ｿ ﾉ:/ 辛いだろうからな。
､｀ヽ ｰ ＾Y
', ﾏ二ﾌ ／ i､ お預けを自分に言い聞かせてやろう。
、 ／ ／／ ／ヽ
｀才＿ ´ ／.:.:./:.:.:.､
_ ,／.:./ハ ／ .:.:. /.:.:.:.:.:.＼
／/.:.:ヽ／//∧ ／.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ
. /.:./.:. ／ｲ////∧,.'＼＿＿/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:./.:. /::/ //／ / .:.:. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､
ﾉ.:.:′/::/ ///, /.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__＿＿ヽ
. /.:.:.: '.:.:.'.:/ ////, .:′:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/.:.:.:.:.i.:. i:/./////, ′:.:.:.:.:／:.――ｧ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:.:.:.:.:|.:.:ｉｉ'//////.:.:.:.:.:.／ ー――′:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. ／ .:.:.:.:.:.:.|.:.:||'/////.:.:.: ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:||'////.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
-=ﾆ辷彡'⌒ヽ ｀^⌒ |‐---‐ /
弋廴シ ／⌒ ＼ | ／
"^¨¨^´´ ヽ |¨¨¨¨¨´
＼ ― ﾉ' ,
＼＼ `¨¨¨´／
⌒＼＼ _/
_ ＼＼ ／ /
⌒＼＿＼＼_ -‐= ア /
`⌒¨´ Y‐-== 匕/ ' 抜け、抜け、と……、まぁ……。
＼ |l -‐ ´ /
:::: ＼ :|| なれ、ば……、髪を、触らせ……よ。
＼::::::::::::....... /i| {
＼::: /⌒/ |うぅ=--‐ ´
/ :／ ／―――――-ミ
/＼ / / ' ＼
// ∧ {/ ＼
/〈￣ / ＼
/∧７ ＼
.
243 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:36:42 ID:jEYNOEksSa
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', }
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. { 髪を、か？
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} | 触らせろって？
}/ { ｒ _ }////ノ !
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
｀＜､丶ヽ〉'〃ｿ ｉ ハ ＼x'´ﾍ､＜_,/ ＿,7 ∥ | ｉ ｝
∨ヽﾍ ゞ' ﾉ ） /／/ ∥∥∥
∨ヽ｝､_／ ／ ､ゞ::├＜_/ / /
,'´｀'∨｝（ (￣ , ｲ::::丿 ￣/
'､ ,'´｀Y ＼∧ ＼ｰ-_, ﾉ:／ ……そう、だ。
ヽ､ .｛三二∨ト､ ゝ' ／ゞヽ_
|/////丿/＼ ／ ,つ 東アジ、ア系、の
,ﾉ///／´/////ト ＿／ /＞ー-､-＝＿
ゝ＝＿////////｝ ＞ ´￣｀＼ ＼ ｀'､￣三二ﾆｰ 黒髪、を……だ。
/ ￣￣､￣￣「´ ｉ ヽ､〈_ ヾ,////////
/ ＼ ヽ / ｉ ヽ 〈/////
/ ＼_ 丶 / | / ﾍ/////
/ー- _ ､＿ ＿, ､_, | / ヽ _ |///
／ ｀ゝ ､ ￣￣￣ / | ∨////
／ ＞-个´＼ゝ､,ヘ｀ ､_ ＼, / 〈∨ |////
／ ／ __ ｿ ＼ ﾍ _ノ､,ﾍ へﾍｉ////
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┃｜
┃｜ 「艶、やか、で……、冷たい、黒髪を、妾の……、指で、梳(す)かせよ……」
┃｜
魔女の声は未だ小さく、掠れたままで、聞き取り難い。
ようやっとの事で解した張は、舌打ちしたい衝動へ無理矢理に蓋をした後、渋々とでは
あったが、革靴を脱がず、フットスローに乗せる形で魔女の隣へと横臥した。
不機嫌を満面に押し出した張に、底意地の悪さが極まった唇の端を隠しもせず、魔女は
間緩い手付きで自身の柔らかな金糸の髪とは全く異なる、艶と張りに満ちた張の黒髪を
手櫛にて梳く。指の間を通る冷感を魔女は、繰り返し繰り返し楽しむ。
楽しまれている男としては堪るまい。況や、お預けを自身に言い聞かせたとあらば、尚更。
.
244 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:38:37 ID:jEYNOEksSa
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,. ┐
,' f´}
| ｀{
r‐-､ _| ｌ-‐ ､
r‐{ヽ／ Ｘ´.} | }
{ {,.'＼ ｀ヽ | __ノ
. 〉 ヽ l |´
f´ ', ', l !
／｀| .', ', ! }
/ | .', ', _ﾉ
. ,' ,ﾊ ', ' }
| i::::! r‐'
| ﾞ ' ＿__ﾉヽ
∧ ≧=ｲ フ
| ﾊ 二彡´ ノ ＼
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┃｜
┃｜ 「……宝石の魔女様よ。ここまでの仕打ちを男にしてくれたんだ。明日からの香港展示
┃｜
会三日間は、俺に全日付きっ切りでの御教示を願いたいもんだな？」
緩々とした手櫛を止めず、魔女は。
「……良かろう。とっ、くりと……、カットの、技法……、様々を教えて、やろう」
どこか、うわ言を口にしている様だった。目先の楽しみに耽っているのだ。鉱物である
宝石と同じく、しかして全く異なる、冷んやりとしてすべすべとした黒髪の触感に。
金牛宮、牡牛座の象意として五感の発達と言うものがある。金牛宮の魔女と言う事は、
視、聴、嗅、味、触の五つの感覚の心地良さに惹かれると言う事でもあるのだ。
.
245 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:40:51 ID:jEYNOEksSa
{ |_／
.￣￣ ＼......... 人 ⌒＼丶、 {::::...... |
. ＼...........＼ ＼ ＼ :::::r' ¨´
＼...........＼ `ー.::イ
＼...........＼ ＼__/ ……聞いているのか？
＼...........＼ /
＼.......... ＼ / ベアト……、いや、ビーチェ。
', ／⌒ |.......... ／＼＿＿ノ＼
∧ ／ |＼／￣￣￣＼ 人
/∧ ／ニニ=- _| / ／￣￣＼＼
//∧ ／＼ -ニニニ- _ ／{ {. ＼＼
j ヽ )/ / / '/:.
´ . : : / / V/,
. : : ／{ / V`、
___ ‐=ﾆ / . : }: :.
， . : . ( .人: .}
｀ｰ _ -‐ ´ ／(´ '/:. ／⌒ 人
. : : / ＼ '/:. ( ／⌒ ……あぁ、聞いて……いる。
=- _ ィ(. : ./ `、 '/:. ＼(__
｀ ´. : : /〉 _)) '/:. 張……、維新。
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y/{ '/.
- __________ ィ(i:i:i:＼ ):|
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉 ﾆ=- _ ／人ｒ／⌒ア⌒/
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／ (´---------ミ____／
｀ ____ ィ({ ﾆ=- _ ＼
j ＼/
:.､ V/
:＼ ﾉV/
┏┓
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┏╋───────────
┃｜
┃｜ 朔の闇夜が深更へと沈み行く流れの最中。
┃｜
確かな拠り所無き幻魔の締結と、或る男のひととして決定的な破綻への兆しが灯った
時が存在した。存在してしまった。
但し。或る男としては、視界に写る世界が更なる流転を見せたとしても、只々、愉しみを
見出だすだけの事。
そう、今は。この闇夜を夢幻の顕れと共に過ごす時を、愉しんでいるのだった。
fine.
.
246 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:47:40 ID:jEYNOEksSa
＿＿＿
／.:.:.::.:.:.:.:.`ー ､
／.:.:./:/./:/}}‐-ミ::.＼
/:.:.ｒ====ミ_ｒ====､}::.:.} ……と、言った所で投下終了だ。
／｀ヽつ {:.:./`ｰ─ 〈 〉､＿__〉::.:}
_／二 ＼ } .{ Y , }/ 日付変更まで間近。早い所ベッドに
/ ＿ ヽ } | | {二二二二二} ﾊ
/ / ヽ _j |_〉. ヽ__＿＿＿_/ ,'ｯ,' 滑り込んだ方が良いだろう！
＿,､＿／¨ヽ､＿＿ / / / Yヽ .}ヽ `ｰ──‐′/ノ
／ { { /＿/ .／ .ﾉ__j ＼ ,ィ 夜は、恐ろしい何者かの為の時だからな。
／ ／ | ｜ | | ./イ } | ー‐ ≦_
／ | | |＿_|// 八.| /| /} ＼ ＿
| 「」 |ー'' ／ ﾏﾑj } ＿_/｜ （ー‐‐=≦ } `ｰ ､＿,､＿＿
}＿＿_| ￣￣ﾏﾑ＿＿／ﾏ7ﾏ7| ／ | ／ .／
＿＿＿＿／ } ⅥⅨⅣⅣ ヽ'´ { ／ .／
,' ｉ i ⅥⅣ } .／
/ ｉ i ∧Ⅳ , -'" }／
_ / i i ∧//ﾊ , -'" /
‐- _ / i ｉ/////ｉ _,.．-'''" /
＼ ./ ｉ i |/////| _,.．-'''" {
/ i ｉ |/////| , -'" }＿＿＿＿＿＿
.
179 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 20:59:59 ID:jEYNOEksSa
ゝ/´/////彡∧i‐-､
／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ ＼::::::::::ヽ
,//／／ ｀ ￣￣ 〈⌒´i‐‐､´
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i 約束の時間だ。
i |i､｀) 'ゝ二二二二７ ,
､` ヽ ｀‐-==- i 宝飾店夜話。幻魔のロマン・ノワールと
､ゝλ i
∨i ､ ．＜三ヽ ノ 洒落込もうじゃないか。
∨ ＼‐‐ ´////////／
〉 ＼/////////,i
／ {｀ ､ ＼ ､｀ ヽ////,i
ゝ´:::::::∧､ ￣ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧ ／ ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
.
180 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:00:52 ID:jEYNOEksSa
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｀弋圭===､_ `弋圭圭圭爻ｘ､ ､＿rｘ__ 、
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て=¨¨ ‐=＿＿_ ｀＝ｘ__ ｀守圭≧_ ┴圭爻爻
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`‐‐￣｀丶 ＿ _____ ¨孑圭圭圭圭=ｘ ｀`ミ=__ __ ｀＼＿ 弋圭入 _爻
￣-‐-冖圭ｧ'^ -＝圭圭圭圭圭圭≧=､_ ｀ミ=ｘ二 __ ℃{、 弋圭圭爻}
'' ‐‐ ＿__-=＿ ｀~冖圭圭圭圭圭迂圭≧=x圭圭圭圭圭___ ヽ `ミX､爻=x__ ＾守圭爻ﾐ、
ト,,,,x====､＿___,,爻迂迂圭≧≧ｚ___ ×、 ￣~~-＝圭圭圭圭圭圭圭圭圭≧==___二==圭圭圭ミx `守圭爻
迂迂圭圭迂圭圭圭圭圭爻'''' ￣￣--＝=ｘx__ ｀≧=､_ ｀¨~~圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭爻圭x爻圭圭ｷ
王圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭廴____ ￣圭圭圭圭≧=-_＿,,,,,=======≧==-___ __￣圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭_ ＼＾℃圭
¨¨ ￣ ｀¨~--¨¨￣~‐＝=ｘ ￣~~-=圭圭圭迂圭圭圭圭圭圭迂迂迂圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭=､__,,辷
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＿,,,,======圭圭迂迂圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＝---¨￣￣￣￣￣¨----===圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
ｨ≦迂圭ｧ'¨´ _,,,,=圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭＞¨￣ └==‐‐--‐=圭='' ＿＿__,,x圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
,ｨ彡ｧ'⌒ｰ'' __ｨｧ'¨￣￣~圭圭圭=---￣￣￣ _______圭迂圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
,,x= _彡ツ _,,≦爻 辷ｧ'^^＝´ ＿＿::::____ｚ=圭ﾌ￣￣~~-~圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭
爻圭ﾌ´ 七圭ツ __,ｚｚ=≦才'￣ ::::::::::: ＿_＿_ ¨'__二圭圭圭圭圭圭
┏┓
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┏╋───────────
┃｜
┃｜ 亜熱帯の湿潤が絡み、纏い付く、夜の摩天楼。
┃｜
宵を認めまいと、無数の電灯が煌々とした摩天楼を成す、超高層ビルが内包する
空間にて。
或る男が、晃(きら)びやかな、知悉する全ての赤い宝石よりも晃めかしい赤が、飛沫
(しぶ)くのを目の当たりにしていた。
.
181 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:02:49 ID:jEYNOEksSa
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＿ __ ｒｆ::::L..､.ｒｌ|iﾖﾖ|ｮｮｮｮｮ|iﾖﾖ| ｒ:::┐
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─! |:A｣≡:::::::::::::!:::::i::i::::::|:|::|iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|ｺﾕ_ノ:::::ﾄﾙ::::::1
:::::Lｒiｖ宀-::::::::'":|ﾖ|:::::_;_:::::::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
:::::ｒﾙ､i≡≡≡|:/=ヾ､|ﾆ!::::::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
::/7i>::|≡≡:::::|7加|:::iÅ::::::::::::::::::::::::::::: |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
/=== >、｡｡｡:::ｌ|」＝|_」iﾖL:::::::::::::::::::::::::::::|iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
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|::::::::: |iii|、::::::: |::::::::|::::::::::::||::::::::::::::::::::: : |iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
|┃┃|iｺｺ:::::::: |::::ｆiｌ|i＜＞iｌ::::::::::::::::::::::::::|iﾖﾖ|ﾖﾖ:ﾖﾖ|iﾖﾖ|:::::::::::::::::::::::::::::::
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|::::::::: |｡｡|:|:!::::::|::::|::::|::::|: : |ｒ＝､:::::::::::::::｢｢!]]|]]:ｖ:[[|[[!ｺｺ::::::::::::::::/￣￣
|::::::::: |｡:ｌ|:|:::::::ｌ|::::|::::: : |/二>＜7!:::::::::;」」::]]|]]iii [[|[[i｣_｣:::::::::::::::L＿＿,
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ それは朔の闇夜であった。
┃｜
その闇に身を捩らせ、我欲を謳歌する街。夜景の眩さが世に轟く香港での事。
この街には闇が無ければ日々を息衝けぬ者達が存在している。
闇に息衝き、黒社会を苗床にする者達。
そうした者達の奈落と同義の巨大な受け皿としても、三合会は存在していた。
香港を拠点とする幾数の犯罪組織が在り、それらのネットワーク共々を指した結社の
名称が三合会であり、内包する組織数は今の世で60に届くか届かないかとされる。
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182 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:04:48 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ この三合会を構成する主要組織の内、金義潘(カンイーフゥン)と呼称される組織が
┃｜
存在する。
金義潘の活動域は広く、香港、東南アジアを始めとし、中国の特に広東省、欧州、
日本等、世界各地に及び……。
東南アジアの宝石市場が最も活発であり、悪徳の街【路南浦】を抱える国に於いて
三合会構成組織が一つ、金義潘を背負い、三合会管理員の役職である白紙扇に
就き、実行支配の采配を振るのが張維新である。
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183 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:06:45 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 張維新にとっては、様々な意味合いにより本国と称する香港。
┃｜
この香港と言う都市は、張が任されている国と比肩する程に世界的な宝石、宝飾
展示会が行われる面までをも有している。
宝石の世界にもファッションと同じく流行と言うものが有り、況んや半ば意図された
ものではあるとしても、それを世に知らしめんが為の宝飾展示会であり……。
ここにも香港の誇る金融街とは違う匂いを放つ、意図ありきの膨大な金銭の流れが
見られた。
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184 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:09:45 ID:jEYNOEksSa
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_,」斗ゝ___ノ_( []__[]`ヽ: ||:| 〈~~￣￣} ||_|_|:|:| | |乂ソ| ￣＿二ﾆ||) (zzzzzzｭ＿‐┴ ﾆﾌーﾑｰ-/_ﾐ彡__/＿ {::::::
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┃｜
┃｜ 生き馬の目を抉(くじ)れなければ、そも白紙扇の地位に相応しからず。
┃｜
そんな意図があったか、どうか。宝石、宝飾展示会を明日に控えたその日。香港の
或るホテル、エグゼクティブフロアのペントハウスに、張の姿があった。
.
185 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:12:06 ID:jEYNOEksSa
／ｨﾍ／
,' ／ .）／
. _＿＿＿＿＿＿ (:' ／イ)／
.／∨======＝＝.∧ ', )） ｨヾヽ／
ﾏ:::::∨.＼／＼／＼∧ } /( 弋,イ
.ﾏ:::::∨／＼／＼／ ∧ ,' ﾉし': :ヽ
..ﾏ::::::∨__／＼／＼ ∧ （(,ｲ: : :: :V） ／¨⌒｀ヽ
ﾏ::::::∨ ＼／＼／＼∧ ､ゝ: : : :(ﾉ} Y′ |
. ﾏ:::::::∨／＼／＼／ ∧ ヽ: :: : : :: :/ / /
. ﾏ:::::::∨__／.＼／＼ .∧ ゝ;:; :;从;ノ .／ /
. ﾏ:::::::∨ .＼／＼／ヽ∧ ┌───────i／ヽ_ ./
.ﾏ:::::::∨.／＼／====∧.二二ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ| ｰ-─ ／
. ﾏ:::::::∨＝＝ヽ:::::::::::| |＼／＼／＼／＼／|三| /
｀￣￣ ）::::::::::| |／＼／＼／＼／＼|三|. /
ソ´⌒￣￣￣へ──'ﾆt‐‐ .／＼／＼／|三| .|
/ 〃 l￣ヽ ヽ／＼／＼￣ﾘ .|
| ゝ .| | ） ／＼／＼| |
i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i:::::::::::i:i:i:i:i:i
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＼ 人:::／ニニニニﾆ / -- ''" /〈 /::/
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186 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:12:50 ID:jEYNOEksSa
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┃｜ 超高層ビルの最上階に位置するペントハウス。
┃｜
所謂百万ドルの夜景を足下にする錯覚を覚える、ガラス張りの窓際。一頻りジタン・カポ
ラルを呑んでいた張。
周囲に警護の者の影も無く、独り切りであった。男として、この生半でない贅沢に誰一人
たりとて介在させたくは無かったのだろう。
堪能している。暫く、紫煙を燻らせながら直立のままに、視界一杯に広がる擬似銀河を
眺めやっていた。
そうして、胸に深く深く、ジタンの煙を呑み……、瞼を閉じ、文字通り満喫し、紫煙を吐いて
やろうと、また視界に銀河を収めんとしたならば。
視界は、一変していた。
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187 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:14:22 ID:jEYNOEksSa
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BGM：ttps://youtu.be/dYrwRWoqxNE
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__ 斗 ´ ＿＿＿／ﾆ=--一
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／／{ ｀ ー―rく ＿＿ ｀ヽﾆ=-- ﾉ
＿,, {__r-=∨ ＼ ,／ "´ ＼ﾆ=--＜
／ ＿＿ ＞ ＼ ＼ ＼{ _,,ｯﾉノ／ └―――┐}
f――r― ＜￣＼ ｀ヽ ＼ ＼ x≦癶n㌃ヽ }
´ ／⌒ ＼ ＼ ┐ ( "´ ￣￣ / 〈､ ｀ヽ
｛＿_{ r‐==ミヽ } } }､ ＼ ＜ ＼ |
{ :{ { 「_j } }/ヽ / } ＼ ＜￣￣ ヽ _＿ｱ 「r== ､ i
廴__:{＼_｀¨¨´／ ﾉ､/｀ヽ} =-＼ ｀ヽ ∠二 {､ ) )＿＿丿}
〉 ﾄ､ ⌒ ´ 丿 ) ﾉﾆ=--辷ミ ´ こ_) ﾆﾆ 彡 ー―― ´
＼ ＼ー――く__／ ／／, ￣ ｀ -=ﾆﾆ =- ､ ￣{ ￣￣
)___}､＿＿__丿一‐=ﾆ { ヽ ＼}
{ {￣￣＼ ﾆ=-- ＼ ′ﾉ( ＼ )
､__ ､ ＼ ‐‐=ﾆ､ {__ つ . } ) ／
丁 ＼丶__ } ﾆ=--,{＞ ____ .. :: :: :. . ／ ／
＼丶「￣￣乂 ‐‐=ﾆ{ﾞ: : : : : : : : : : ／ } ― ｧ=
￣＼ ﾆ=--!: : : : : : : . ／ ／ ／
ｰ―て＞ } : : : : : . {／ ／
⌒l＼厂廴＿r―┐ ＼__ ／
∧__＼{ / }､__ ￣￣ ―― ､
∧_______＞´_ 人 }＼ ＿ / ｀ }
〈________________＞__ } ′ﾉ､＿) ) /.:｀ヽ }乂
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┃｜
┃｜ 闇夜を背にした、晃びやかな女が居た。
┃｜
張との間にガラス窓を隔てて、だ。
文字通り百万ドルの夜景を足下に、足は地を踏まず、中空を踏み。
超高層ビルが在る為に、香港と言う場所に密集乱立するが為に起きているビル風と
言うに生易しい乱気流にも微動だにせず居た。
金糸の髪は風に乗って頬を飾り、豪奢壮麗を身に纏う綾織りに艶めかしきジュップの
バロックドレスは、実に美事にひらめいている。
女の視線は真っ直ぐに、張のサングラス越しの瞳を……、いや、瞳の向こう、心底、
深奥の更に奥底、魂を捕らえるかに射られているのだ。
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188 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:16:33 ID:jEYNOEksSa
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／ニﾆ＼/ ｀`～､、:::::::::::::::::: ／ |ﾆﾆ=-_
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／ニニニニニニニニニニニニニニ|/'/ニニニニニ＼ i'/////| |ニニニ-_ ニニニニﾆ
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189 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:17:17 ID:jEYNOEksSa
＞ー- ＿_
＿＿/｀ー ＜ へ
＿_/ / _ - ー―― ,ヘ ＼＞-､
| | / ＞ ＼
|／ ｉ/＼＼ / , ＼
／＼| /＼_ ＼＼ / / , ＼
∨／∨､＼＿ーﾆニ二三/ -/､ / ／ ∧
〉､ {∨＼ ‐ﾆ二三三/ / ｀>. ／/ , ∧
{｀ﾄ､{､ﾍ ＼ ゝ‐､三二/ヽヾﾐ､〃､＼./ / , '. ﾍ
ヽ|从ヽ ﾍ / ヾλ斗 { 冫爻､ Ｘ∧ / ｝ ｉ .ｉ∧
｀＜､丶ヽ〉'〃ｿ ｉ ハ ＼x'´ﾍ､＜_,/ ＿,7 ∥ | ｉ ｝
∨ヽﾍ ゞ' ﾉ ） /／/ ∥∥∥
∨ヽ｝､_／ ／ ､ゞ::├＜_/ / /
,'´｀'∨｝（ (￣ , ｲ::::丿 ￣/
'､ ,'´｀Y ＼∧ ＼ｰ-_, ﾉ:／
ヽ､ .｛三二∨ト､ ゝ' ／ゞヽ_
|/////丿/＼ ／ ,つ
,ﾉ///／´/////ト ＿／ /＞ー-､-＝＿
ゝ＝＿////////｝ ＞ ´￣｀＼ ＼ ｀'､￣三二ﾆｰ
/ ￣￣､￣￣「´ ｉ ヽ､〈_ ヾ,////////
/ ＼ ヽ / ｉ ヽ 〈/////
/ ＼_ 丶 / | / ﾍ/////
/ー- _ ､＿ ＿, ､_, | / ヽ _ |///
／ ｀ゝ ､ ￣￣￣ / | ∨////
／ ＞-个´＼ゝ､,ヘ｀ ､_ ＼, / 〈∨ |////
／ ／ __ ｿ ＼ ﾍ _ノ､,ﾍ へﾍｉ////
ヽ￣´｀-‐个 _人＿,ゝ､,-' <＿ ゝ_ ＞'´ ,ゝー´///
〉､＿,ゝ､__ｉ´//､////////､￣｀ヽ-'｀'､_,>‐￣ _/////////
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┃｜
┃｜ その窓越しの望外とでも言いたげな会心の笑みに、壮麗そのものの女は、
┃｜
紅唇の端を弓張り月の形を取るかに引き上げ、応えた。
女の冷たげな膚の白さも相俟って、朔の夜に月影が顕れるかの笑み。
張の視線も、女らしき何かからたじろぎもせず、真っ直ぐに窓越しの相手に
向けられている。
．
190 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:19:20 ID:jEYNOEksSa
,ｫ,｡ == ､
,ｧｨ , ._ ヽ ',
.,! !゛,゛( ｀ ', !', ＿,ｨ
|l ゛ ‐-- .ｲｿ!ﾞ ＿ ⌒)ﾉ
ﾞﾘ､ﾐ 三 彡∥ （r'⌒ ,イ
',! `!ﾞ'＾'´!´ﾘ ） ﾉ)ー'ノ
ト、 ｧ^r‐ '´｀¨¨´'‐｡､_, （ rｰ'´
,ィ:::rヾ ;': :',! !./ヽ ＼
'⌒)::!､ ヽ、 ,': :: :', 'ﾞ ., ﾞ' ﾉ: : ::!
ノ〉 し'⌒)ﾉ ,ｲ: : :: :ゝ､____ｌ___ノ: : : : :',
(⌒ (＿,ィ ,｡ゝ: : : ;ｨ: : : : : : : : :,: : : ::ｨ､
）:::::::::r'´r:イ ヾ: : : : ::',.',: : : : : : : :.'ｧ: : : ::.ｯ
'＾):;イﾉ ﾑｲ /: : : ::γ ,!: : : : : : : :.､ｌ: : : : ヽ ,ｨイ
ム （ ,｡-': : : : : !,.ｲ: : : : : : : : : ::ヽ: : : : :! （ |
ヽ ｀二 =‐'´ ,./: : : : : : ::,': : : : : : : : : : : :: :: ヽ,: : :! ） ﾉ
/ /ヽ､_: : : :,': : : : : : : : : : : : : : : : :｀.´ （'´
ｲ､/∥ | ７‐ｧ: :: : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ :|し!
ヾ､_!ｨ l ｿ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.'., ﾄトJ | フ
./: :｀''´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::ヽ ノ _ノ
ト､＿ノ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :: :ﾞ., ノ厂￣
｀ー'´ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :! （'´
./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : !
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,ﾞ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',
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┃｜
┃｜ 女が、焔なのか燐光なのか、幽明の光を弾かせながら、やおら張の方へと歩み
┃｜
寄る。擬似銀河を、夜を生きる人々の営みを足下に、バロックドレスに相応しき
典麗さで。
夜の中空と室内とを区切るガラス張りの窓は、意味を為さなかった。
．
191 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:21:56 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',',
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ _ ＿‐ ''"
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ （￣￣ﾍ, --‐ ＞'´ , .ノ￣
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ _ ∠-==､ ﾍ'"／ ／
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| __, _‐'ﾆ´ｲ｀＼ Ｙ〉 .〉 /
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{ =='‐''"´. }､ ヽ .| / ／
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __ |_ﾉ ﾉ }､__/ /
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼ヘ. / / ﾍ,,ｨ=Ｙ
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┃｜
┃｜ 二人切りとなったペントハウスの広大な室内に、伽羅の混然幽玄の香りが、女が纏って
┃｜
いた夜気と共に解(ほど)け行く。
甘く、脳天をじわりと痺れさせる艶冶(えんや)なる匂い。
乾燥させた葉煙草を堆肥発酵させた、癖の強い、黒煙草のジタンを肺に収めていた
張にも届く、ひとの世のものとは全く疑わしい、凄絶な香りだった。
．
192 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:23:38 ID:jEYNOEksSa
_＿＿___
／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀ ､
／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
i:::::::::: ///／ /// ﾐ:::::::',
ｉ|::::::, /// / ハ ミ:::::::', ……Bonsoir.
从:j// 乂==-､,_ _,､-=＝ミ Ｙ:::/
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛ Buona sera.
/⌒ＹV三三三/ ∨三三三ｊＹ'＾ヽ
｛ {⌒j `ー─＜/ ､`ー─＜ } し'｝ Buenas noches.
＼｀ﾊ ヾ.:.::ノ ﾊ. /
`ｰ:. 、__＿__ , /／ 午安.
／ヽ ＿,, ｲﾘ
／￣￣｀ヽ ／ﾍ:＼
圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／ ∨::＼、
／, ′／´￣￣｀ヽ 八 / ',::::::∧｀:::...､、
_ .． ´.::/ , -―- ､__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
. : :.:.::::/ ／ , -―- ､__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ ／ ＿ ｀ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ｀Ｙ////／ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ﾉ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
┌∧ムＹﾔｧｨ-――-＜ﾆ=こヽ、
,.ィi/ >ﾆ≡三..._ ＼,,､Σヽ
＞ﾍ,,.ｨ'´,ｨ／ ｀ヽ、 .ハ ｀!ﾉ、
＼／ , ./ / ,. ,. ヽ .ﾊ ﾉﾉｊﾊ_,.ﾊ ｊ
/ / ,' .,' .,' .l .ハ ',.ヽ i |彡ﾉﾉﾊ_,ｨﾉ
l.i i .i ii i i ', .i i ',ｊ ｊ ﾉﾉｲ |_ﾉ
ｰi .ｬ.ﾆ_‐┴┴ｰﾞ┴┴''ｿ彡ｼソ./
`､i,弋) ''てら) .,ｲ{6ﾘﾝﾉ.ｿ Buona sera.
ｊ.i 〈 ￣´ ハ Yﾞ_シ′
(｀ﾄ､ ---‐' ,,ｨリ''ﾍ ） Sono lieta di vederla.
ξ ＼ __ , ｨ_''∠┐ '´
,.､.､ ,ｨ･' ./::::::::::::::::;ｨ
/ ,ﾉ.,ﾚ､,,ｨ･"ｨ‐''"´'ヾ≠7'" `ヽ､._ _....._
ｊ´ ｆｒ´.,ィ.)､',.ヽ、.,へ _,,..ﾞﾆ'' ‐- ／ .,ィミ=ｭ
,ｋ''7 | i .i.._`‐ｬＬﾆ○-._ ｆ _,､イ _,.イ ぐﾞ､､`:.､
,.､ .,,ィ''ﾞ´.ト ､､,,__ }^ﾞﾍ..ｨ'ﾞ| ｀ヾ┴ﾆ-‐''"´,ｨ''ﾍ;::::::ヾ;:::ﾊ
く 〉,,ｨｨ"´ .,､ゝ‐,ｨ/ /:::::::://::::¨¨7"''^^ﾞ:Ｈﾞ~{{:::::::::ヾ;:::::::l::::ﾘ
廴)" .ｆ::::ｆ;ｨﾞハ ./:::::::::{{::::::::::〃::::::::::::i:ﾍ::ヾ､:::::::::!:::::::;;::<、
';::/::: i.,.ﾍ ./_＿:::::!:::::::::{{::::::::::::::ﾘ／ゝ､_ﾞ;;;;､-‐'"::ヾ;::ヽ
.,':::::: i _Yヽ:';::::｀ii:ヽ:､._!:::::::_;::ｩ'´ .ｆ::{{::::::ヾ:::::::::i!:::ﾘ
,'::::::::: i" .', ﾍ::::::::ii:::::::::::√´::::ﾉ ﾍ::ヾ､:::::ﾞ､:::::/ｼ′
,':::::::::::. !‐-! }::::::||:::::::::::l:::::::/''ﾝｭ...＿＿`;;--ｬ-‐''"!
．
193 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:25:20 ID:jEYNOEksSa
〉:.ｰ'.::ノ.:／ . : :/ / .:/ :l | :l .:| :.ヽ
｢ヽ.:＜／厂＼: :/ / .:/ :| :| :l .:| : : ',
＼二仄＼_ノ/ | :| :| :ｌ .:| :l .:| : : .l
ﾉ .:| |l Ⅵ l 厂≧ ､ ￣｀ ┴ﾍ ﾉ 広東語でも、英語でも
丶.::| |/⌒| | 「｢じﾍ ｀ ,. =≦厂
〈人八 | ヽ ｀ ﾍじﾘｲ 何でも構わぬ。
Ｌ､ヽ＞ﾍ .: l 八
└ﾍ.;∧| ＿ ´ / ヽ _ 其方の一番、語彙多き
ｲ_丿＼ └ﾆ'′／ ⌒〉
〈爪｀ｰ⌒ヽ __, / 言語で応えるが良い。
, ─ ､ ﾉ//////厂 ／
仄〉─ ＞┬ '⌒ ｰ──ヘ
／/〈 , ─-〈 │ ￣￣ 丶 ＞ ､＿
／////八 八 | 厂 Ｙ⌒＞￢、
/////////＞ ヽ＼ 厂 ｀ヽ ,､／⌒ヽ| ⌒)/ﾊ
//l |///////⌒＞／＼＼＿人: : : :=O=: : : : ﾉ ///∧
_ ............... _
,r‐::::::::::::::::::::::::::::::::...、
ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
／/:::/^Yヽ:::::､:::、::::::::::::::::::::::ヽ
ﾘ八 ﾘハ＼＼ヽ ､、::::::::::::: | それはそれは、有難い。
ﾍ癶、 ､,,,､-=ミ､ Y:::::::::::::::l
{ｉ|ｉ|ｉ}こ戈i|ｉ|ｉ|ｉ|ｉ|} ﾘ/⌒Y:::' 九天玄娘様か、月の嫦娥様だか
{¨７ ￣￣ 厶ｿ ﾉ:/
､｀ヽ ｰ ＾Y 分からないが、お目に掛かりまして
', ﾏ二ﾌ ／ i､
、 ／ ／／ ／ヽ 光栄です、ってな。
｀才＿ ´ ／.:.:./:.:.:.､
_ ,／.:./ハ ／ .:.:. /.:.:.:.:.:.＼
／/.:.:ヽ／//∧ ／.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ
. /.:./.:. ／ｲ////∧,.'＼＿＿/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:./.:. /::/ //／ / .:.:. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､
ﾉ.:.:′/::/ ///, /.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__＿＿ヽ
. /.:.:.: '.:.:.'.:/ ////, .:′:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/.:.:.:.:.i.:. i:/./////, ′:.:.:.:.:／:.――ｧ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:.:.:.:.:|.:.:ｉｉ'//////.:.:.:.:.:.／ ー――′:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
※九天玄娘、嫦娥は共に中国神話の女神(仙女)。
．
194 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:27:54 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li 今宵は黒を纏い、黒を示す伽羅が
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | }
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l 相応しからんと選んだが。
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l}
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ 妾は、張維新。其方に兵法と神符を
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨ 授ける玄の仙女では、無い。
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
-‐....￣￣...ヽ__
＿ ／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.＼
ﾉ:.:.:.:.:.::.:./}:.:./⌒~¨¨¨ヽ:.:.:.::.ヽ
／:.:.:.:.:.:从{ 从:{, -‐=ﾆミ､ ',.:.:..::.:i 仙女様と見紛う気品たっぷりの
／ィ:.:.:.:.／_,ノ }! ＿_＿__}:.:.:.::.:|
, - ､ |:.:.:./≦ _＿_ｒ=ミ///////}¨込-‐､ 美女が自己紹介も無しに、俺の
i ', |/{:{,ｲ////// V/////ﾉ V/~} }
| i { }V///// ￣￣ 〉y/ 名前を知っていて、馴染みを
/⌒} } | ｉ | ￣￣ ヽ ` _ ﾉ ノ:＼
＿＿＿∠＿_|_/＿__.｜ ヽ ｒ _ -‐ ─''７ }‐{: : : :∨＿ 感じる非道く歪んだ笑顔を向けて
{}＿＿＿, -‐''¨￣}＿_|.{ ／ヽ ＼＿___ ,ノ ﾉ V: : : :∨.:.:.:.:.
／ _,. ィ ヽ＿＿＿／: : : :.＼ ─ ／ /}: : : : :.∨.:.:.:.:. 来るとはなぁ……。
. ／ ／ i: : : : ／ : : ::.:.:.:.:.:/ヽ ／ ノ /: : : : : : ∨.:.:.:.:.
ヽ ､ ＿＿＿＿＿_|＿／_: : : ::.:.:.:.:.:/ヽ_ `ｰ─'' ¨__,. ＜ /: : : ／⌒ヽV.:.:.:.:. こりゃあ、色々な意味で心臓が
} }: : : ::.:.:.:./ ＞，__ｒﾆ_ |: : :./ |.:.:.:.:.＼: :
{ , -‐──────': : : ::.:.:./ヽ ///∧ ./.l: :./ i ｜.:.:.:.:..:.:ヽ 高鳴って今夜は眠れないかも
/:.ヽ ＿_,.ﾉヽ: : : :/ ＼ .//// ', ./ |:./. i |.:.:.:.:.:.:: : :
/: :/} ＿_,.．-'' ￣{: : : / 〉: : | ＼/ 〉〈 ∨ ｜∧. i !.:.:.:.:: : : : 知れないな？
. /: : :| | ＼ 〉: :/ /: : :.| //,ﾊ |: :∧ ! |.:.:.: : : : :
/: : : :| | /: :./ /: : : :| ////ﾊ |: : :∧ |: : : : : :
．
195 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:30:54 ID:jEYNOEksSa
// /∥ / / / j/ /: / ／: : :从: :＿: : : :-─: : : ＼| |
/ / ∥ /:| 从_/: ;／: : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : : :| } /
,' ,'|ｉ / 川 ,': :|/: ,. -─=ミ: : : : : : '´-‐r辷zzzｨノｨ: : :| /ﾚ′
| l |i / |从|: :_／: : : : -ミ､: : : : : : :vア,ｨflr丐ミ>､彡:i| ∥′
| l |i ﾊl | j| |: :／: : : : ､_乂Yvﾐヽ: : : : : ﾚ'＾...::￣￣￣ i| ∥′ 命の危険は、感じない、と？
| l |∨L}从V: ': : : :z‐彡ｲ气＞'': : : : : : :. | {ﾚ
| ' |ﾆV小_从: : ゝ彡ｲ＞''" ..:::' 〈:,i}: : : :. ‘/ ……くくくっ、重畳、重畳。
|/ |ﾆ=V_Y |ｉ: :＾zｰ'^ }: :,-､: :. {
ニﾆV| ＼ L-､ r'´ __ ‘， 今更、でもあるか？
寸ﾆ八 ／＾ヽ _ -───-／｀ __‘，
寸 }i ∥ゝ {L_ _､‐''゛_ -‐ ￣ )‐'´ ｨｱ ‘，
寸从}^ヽ、⌒ﾞ ､ 厶-＜r'＾r'´__ -‐ '" ' ′ ‘，
|| ゝ _ >､ ￣ ---‐' ／ ,' ＼
/,' ＞､､ ／ ,'
／/ ',///＞､､ '
／ ,′ }/////// ＞‐く /
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／ ヾ:.:.::./:.:.＼
,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／ }:.:./::.:.:.:.:.i
. i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' ￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
{: : : : ::.:.:.:.:.:{ { ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/ }:/}′ 銃弾飛び交う命が掛かった鉄火場も
',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:', ./ヽj } ￣|////{j .|′
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈 ノヽ |////ヽ 離れ始めちゃいるが……。
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､ 乂ﾉ {/// ',
i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_| `ｰ′ V こう言うのは、ビビったら敗けだ。
. }:.:.:.，＜ | / _ 〉
/¨¨ | ｒ_､_ ｒ''¨ 況してや痺れる程、好い女が着る物に
. ＿/ i { ＼ ﾆ=‐-′
／ ＞，. i ＼ ￣)､ ＼ 香りも今夜の為に選りすぐってくれたと
／ ＞，. i ＼ / ＼. ＼
／ ＞， i ＞，. / ¨¨¨ 来た。
＼ ＞， ＿＞， ＿/
＼ ＞， ／ 男として、是非とも格好は付けさせてくれ。
＼ ＞，
＼ ＼
＼ ＼
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 数分前までの世界への認識が焼き切れた状況を愉しんでいるのか、そもそも常人と
┃｜
しての神経を持ち合わせていないのか。ともすれば所謂常識的な人間は扱いに頭を
悩ませるであろう魔女へと、粉をかけるかの張の口振り、その言葉。
魔女はと言えば、激昂はしていないまでも周囲の空気を極端に冷え込ませている。
比喩では無い。張の足元から雪が降るかの冷気が這い寄る。が、それをおくびにも
出さず、張は相対している……。
.
196 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:34:47 ID:jEYNOEksSa
>;;;;;;<;;;;;;;;;;;;;;;>/:.:.:/:.:.:/:.:.:/:. :..|l:. :. :..|l:. :. :. :. ヽ
/:.:/ミミヽ／:.:l:.|:.:/＿/＿/:. :. :|l:. :. :..|l:. :. l:. :. :. ',
{:. :ﾚ:. :./⌒､彡ﾘl:.| ー‐ｧ､＼ー-､:. :. /:. :. :l:. :. :. :..l ……宜しかろう。
`､:.l:.:.:// .:} l:./ l:| ヽ（:llb::）ゝヽ,. ヽ､:. :/:. l:. i:. :.l
{:.l:.:〈（ ,ｲ〈:..{. ''￣ '' , ーニ'',ヽ:/:. :l:. :.l 其方の在り様に免じ、妾の名を
｀ヽ:.:ヽ .y.ヽ:ヽ | （:lb:）ヽヽ､/:ｲ/
{_ヽヽ ) ヽ:） ,＿ , / ｀`''´`/"y´ﾘ 明かそうではないか。
＞| ､／ノ |;;;;;;｀` ' ､ ./
| {´‐-､ |ヽ､;;;;;;;;;;;;:..｀'.ｧ' /:l, 黄道十二宮が一つ、金牛宮の
_| `弋ヽ} ',:.:.:.:..`ヽ､:／ ／`ヽ､ヽ
<y~Y`~シﾉ ヽ;;＿_／ , ｨ´ __ >:〉 神威為す魔女、ベアトリーチェ。
/;;;７´ｲ;;;,､'ヽ, ‐ , ィ'´ (￣,ィ'´
＿,, __/;;;;;ﾚ;´;;;;;;;;;;;;ヽ`_''ｽ､ `ヽ､､ 瑶池金母とは縁無きものぞ。
ヽ ヽー'' ´ ｀ ､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l^~´ ,, -=ソ
ヽ ヽ ー―‐- ､ ｀ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;|`ヽ､ヘｩ､ （(
ヽ ヽ ヽ ￣￣ ヽ ヽｽ ヽ
＿＿＿ ＿＿＿
／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
. ∠:.:.:.|:.:./::／ |! __,.．-‐ }.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
{:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i 黄道十二宮、牡牛座の魔女……。
|'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.| 俺としちゃ、不可思議な娘々って
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./ 事に変わりは無いが。
＼＼ し' /:.:./
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./ 名乗りを上げてくれたって事は、だ。
. } / |:.:.:/
. | / !:.:{ 俺の為に、夜も更けるご機嫌な時に
{ _ -‐′ __|从__
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼ 来てくれた訳を聴かせてくれるって
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ | 期待をして良いのか？ ベアトリーチェ。
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
※瑶池金母(ようちきんぼ)。西王母の別名。九天玄娘は副官になる。
※娘々とは特に道教で言う女神を指す。
.
197 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:36:48 ID:jEYNOEksSa
ニ二{_-'^!ニニニニニニニニi气三三)
ニj!_{-モ|ニﾆﾆ二二∧ニニニ寸ﾄ{三(
ニi={三ﾖ|ニ二二{ﾆ二∧ニ二}ﾆ寸､{ノ
ﾆ}=∧三|ニﾆﾆ二}ニ二∧ニﾆ}_二寸､
/ﾞ{/_}三I{ニ!ニﾆﾆ}i＞'^＾ヾニﾉ∨f三寸､
三ヨ{E三}ﾆ|[二二}!∧ ∨三ﾖ寸､
三ヨ}F三}ﾆ{二二シＥ} ∨モ三寸､
ｰ'ﾞ＾ｰﾞ＾/二{lﾆ‐'ﾞ三ヨ| ∨三三j'´
. /-|ﾆ{l‐'ﾓ三三i ＼
. ,-=|‐}｢三三三l ∨ 先ずは、これをな。
. ニ=}/三y^ｰ'^~! {
{二ｲ三{＾ | ＞r:、 ! ……分かるか？
. | ／ / ＼ }
} / -‐i′ } {
| ﾑ. } | l^}
∧ ∨l ,| ￣ _ｉ_
∧ ヽl. ｌ| _人_ !
{＼ ﾞ'､ﾄ､ ｀Ｙ´
＼＼}:.､＼
｀ー ､}ヽ＼
｀ｰ'¨´
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 張へと、魔女は矢庭に小さなものを手渡す。
┃｜
張の掌に輝くのは緑色の石であった。
ペリドット、グリーンガーネットの陽の光を受け、歓喜する新緑に類する陽性の輝きとは
異なる、沈静の色。奥妙を感じさせる緑。
サングラスをずらし、まじまじと石を見詰める張の視線は、真剣と言うより、何処かしら
酷薄さが薄く滲む。やはり、黒社会の住人であると証す様に。
些少置いて、サングラスを戻した張が魔女へと視線を戻し——。
.
198 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:40:09 ID:jEYNOEksSa
__＿＿
rー＜´::::::::::::::::::｀ヽ､
__,,j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::r-､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
, -'ーｭ ﾘハヾヽ＼ヾ:::::::::::::::::', 緑色の宝石、いや、ルース(裸石)か。
／ ／ﾍ へ､、r==＝＝､ミ:::へ:::::::}
／ ／ー ､ﾍ;';';ﾘ={;';';';';';''}-‐‐i:jに }:::/ この俺に態々見せたって事は、だ……。
, ′-∠⌒ヽヽ¨７ ￣￣ ク /:/
／ ､二ﾊ_ﾉ ヽ ﾉｰﾍｊ′ 路南浦の隣県、荘多風(チャンタブリ)の
／ , -ｭ ｝ ヽ ￣ ` ／ _i、
/ ／ （_/ '、_＿ ／ ／ ハ、 グリーンサファイアか？
__ / / ´ _..ィﾊ::__ ... ＜ ／ : /.｀:.:..､
/｀ ー――´/ __ . . .／:.:./介:､ ／:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:...､
,ィ{､__＿＿__,.ｲ ／:.:.:.:.:.:.:ﾍ／/!i:i:/ヽ ／ヽ:＿＿j.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿:.ゝ､
l:.o:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l ／ヾ、:.: : :／:.://i:i:i !/:.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´.:.:.:.:.:.:.:ヽ
l:.o:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l_ｒ‐ｊ:.:.:.:.:i|:.:.:.:.:l:.:.:. l/ｉ:i:i:ｉ /.:.:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
. l:.o:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:ヽ:.:.:.:l:.:.:.:.:.l:.:.: li:i:i:i:i:i. /:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
l:.o:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.＼:.:.:.＼l:.:.:.:.:.l:.:.:.l:i:i:i:i:i:i/:.:.:.:.／￣￣￣〕:.:.: :/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
. l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.＼:.:. l:.:.:.:.:.l:.:.:l:i:i:i:ｉ／: :.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.:/:.:.／ .:.:.:.:.:.: /
. l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〈:.＼:.:.:.:.:.:/:.:.: : :l:.:.li:i／:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∧/:／ .:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:j〉:.:.:.:.:.: ｲ:.:.:.:.:.:. l:.:l/:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧′ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
ヽ::::..//.::(／ .:::/.:: /::.}＿_.: : : : :.: |: : : : : .: : : :ヽ:.:.:.:.:.:.:.:..:＼
}.:.//／ヽー-＜/:::. }::::: } ..::.:.:.:.: |: : : : : :|.:.:.:.:. |.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.ヽ
乂 ノ////////.::::ノ.::::/ .:.:.:.:.:.:.:.|: : : : : :|.:..| : :|.:.:.:.:.:. l .:.:.:.:.:.|
＼///////r＜:::::::/: / : : : .| |: : : : : :|.:..| : :|.:.:.:.:.:. |.:.:.:|.:.:.| /´｝
`ｰ=r≦´.:.:.:.＼∧/.:|: : : .| |.|: : |: : |.:..| : :| .:.:.:.:.:.|.:.:.:|.:.:.| / ,′
ﾉ.:.:.:./⌒∨ｌ: :| `ト､::. |.:.:|: : |: : |.:..| : :|: :..:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.| 「｀ヽ / / Chiaro！
. └-､.{ ｀ヽヽ: :|´､｀ー＜_|: : |: : |.:..l :.:」-‐ｧ'´￣/l.:./ | lー/￣＼ / ′
}∧ 〈 }/:| {`¨ﾏ=-､ヽ｀￣￣￣,ィカ ´} ∧!/ ./| │/ } ＼/ ,′ 当意即妙の
`ァイ :| ヽ弋ソ ｀ 弋ﾂ ノ /＼＼. l | l/ ヽﾉ-‐ / /
／ } ! ヽ ￣ : ￣ / ＼.､| ! 廴＿)ー‐'′ / _,ノて 男よなぁ！
〃::::ﾊ }ヽ │ /ヽ ）〉′ / ／＾Ｙ＾＼
.-={ {::::::::∧ ∧ ′ ∧ } ／/ / |
. rﾍ､ /＼／ い::::::::::∧ ＼ `ﾆ＝=‐ァ ィ´ ヽ／／/! /
_」 `ーく ＼ `'＝=ミ､＼:::.`::... ￣ ＜ 〈 （ / | /｀ー‐､
:: 〕 ＼ :. )):::::::::::::::.＞-=≦´ ／ ＼/!. ｌ /.::::⌒＼＼
:::｀ﾆ⌒) ＼ :. r彡＼::::::::::::::::::::.／ ／ | ｝ /.::::::::::::::::::::ハ
::::::::／{ r─ﾍ :. ＼ ｀ー──'′ / | / / ＼ ::::::::::::::::::: !
:::〃.:::::`ｰく⌒) 人 ヽ `＝= ' ￣￣` |/ /...:::::::ヽ:::::::::::::::: |
//.::::::::::::::::∨ ＼ ＼ ／ ／.:..:::::::::::::ヽ::::::::::::ﾉ
.
199 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:42:50 ID:jEYNOEksSa
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝ あの国で白紙扇なんて立場で
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :} 俺達が支配下に置く路南浦、
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: /
`{ ＿ r‐{:／ その隣県が宝石市場が目玉の
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ } 荘多風ともなればな……。
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 三合会等のマフィアが共同で実行支配する悪徳を煮詰めた釜底の街、路南浦。
┃｜
その東側に位置する隣県、荘多風は世界規模の宝石市場であり、世界各国から
のバイヤー達で沸く街である。
路南浦を擁する国とは、宝石市場に沸く国とも同義でもあり、かの国で三合会の
白紙扇を務めるならば、宝石の知識も多少以上に持たねばならないのだろう。
張が香港へと渡って来た理由も、それである。香港の宝石、宝飾の展覧会に足を
運び、宝石への造詣を深める為にも支配する地を離れたのだ。
魔女からの唐突な問いに鮮やかに答えた張へ、問いを投げ掛けた魔女は、指を
鳴らし、手放しに喜びを表したのだった。
.
200 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:45:25 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ 妾が其方の前に姿を
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', 顕したはなぁ……。
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ 荘多風の事で、よ。
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼
{: : : : : : : : : :./ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／/: : : : : : : :／
| : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :, -‐ '' ./: : : ..／:／
. V: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :／ ,-‐､/ : . ／/:/
V: : : : .|: : : : : :／/ :.／/ 〈;';';';'＼／ /:./ __
, -‐ミ: : : : |: : : :／ ./:／ ./ 〉､;';'ノ＼ {: | _／ノ ヽ 俺を、その摩訶不思議で
/ .,‐､ ヽ: :||: : :/ /:/ ／ィ ＼ .＼| -‐''¨ ￣ ﾉ
. / ./ ﾍ .}: ||: :/ {/ -‐'' ＼ .＼ ，＜ 傀儡にでも仕立て上げる
-‐/ ./ .／ヽ{: } Y,彡'ミ三三三ミ､_ ／ ＼ ＼ ＜ ＿＿
.／ { { { .Ⅳ∧ ＿＿＿≧ミ三三ミ､／ .＼ ＼ ＿_,.．-''三三三 ってんなら……。
. ﾍ ', iヽ _j Ⅳ∧ ////////// ＞'' / ＼ __＼三三三彡＿＿
ﾍ { ｜ⅵ| .//////////／ ，''￣￣￣￣￣ ./ ノ }///// いや、ホテルの外に居た
. ﾍ } .| |/////////／ ，'' ￣￣ _ ノ-‐ミ///
. ﾍ /ヽ.| |//////,／_ ，'' _ ＿,.．-‐──‐≦ }// 時点で、既に、してるな？
＼＼ }.| V///／'´ ィ’ i | |///＼_ノ ＼ ／//
ヽ ゛ | ＼/ ，''¨ヽ i ｜ .V//,/ ＼ .＼///
＞ ! | ｒ'' } i .| ￣/ ＼／￣
.
201 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:47:47 ID:jEYNOEksSa
〉:.ｰ'.::ノ.:／ . : :/ / .:/ :l | :l .:| :.ヽ
｢ヽ.:＜／厂＼: :/ / .:/ :| :| :l .:| : : ',
＼二仄＼_ノ/ | :| :| :ｌ .:| :l .:| : : .l
ﾉ .:| |l Ⅵ l 厂≧ ､ ￣｀ ┴ﾍ ﾉ 話が早いは良いが、似合わぬ
丶.::| |/⌒| | 「｢じﾍ ｀ ,. =≦厂
〈人八 | ヽ ｀ ﾍじﾘｲ 愚昧を口にするで無い。
Ｌ､ヽ＞ﾍ .: l 八
└ﾍ.;∧| ＿ ´ / ヽ _ 其方。今の立場に於いてだが
ｲ_丿＼ └ﾆ'′／ ⌒〉
〈爪｀ｰ⌒ヽ __, / 荘多風の瓦解は望まず、暗愚に
, ─ ､ ﾉ//////厂 ／
仄〉─ ＞┬ '⌒ ｰ──ヘ 喰い潰そうともしては居らぬであろう？
／/〈 , ─-〈 │ ￣￣ 丶 ＞ ､＿
／////八 八 | 厂 Ｙ⌒＞￢、
/////////＞ ヽ＼ 厂 ｀ヽ ,､／⌒ヽ| ⌒)/ﾊ
//l |///////⌒＞／＼＼＿人: : : :=O=: : : : ﾉ ///∧
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.'; 哈哈哈, 好好笑！！
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}¨ﾄ､:／⌒'. そんな馬鹿、確かに居るなぁ！
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ L//⌒) {
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ′Y/ ,ﾉ せせこましく市場から銭を掠めようとして
ヽ| ｀ ＿＿ _,ヽ （ ／
`t彡- 一￢^ﾌ j/ 金の卵を産む鵞を絞めちまった奴が！
ヽ、／／----／ / |
,;;<x'´ ｀こ二 , ′| あぁ、苦々しく大笑いさせて貰ったさ。
ﾞ／ rﾄ､ ＿＿_.... イ / ∧､
＿_／ ∨ ｀丶、 ／ | ＼＿
￣￣￣￣〈 ￣¨フ=弋, ∧ ＼ ＞―-
／ ∧ ヽ / } 、 ヽ ＼
￣￣ ＼ | ∧ ＼ ∧ |＼ ∧ ＼ ∧
.
202 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:49:40 ID:jEYNOEksSa
＿＿
＿ r―＜~"''～､＼
／' / ＼ ＼＼＼
＿/ / //{ | ＼ ﾏ L
〈:i:i/ /i| /{ 八 ∧ | 〉 ∧ {
＿/ / L/⌒¨¨￣／⌒＼{ |/ V
∨ / ｉ| | ＿＿ﾊ Y / まぁ、其方がその様な浅薄者で、かの街が
人／:i| |／⌒ 弋シ⌒| i|⌒〈
＼:i| |弋シ⌒ | l| 〈 ﾉ 瓦解したとしても、妾に何ら痛痒は無いが。
| | :. ､ | |L /
| |::∧ , ､ /| √ ひとの為した因果にして応報である故なぁ。
| |⌒ ゝ '/, /
| | ＞ _'/／ /rv 〉
＿ {リ㍉ |__(ﾊ ／／'/ __
／ -=二 ∨ ∧ |//}/ /'/ // 〉＿／二＼＿
/二二l￣ ／し⌒ト--´￣/ 〈ヒ） / /〉^〈二二二二
二二:/ /二'⌒＞）ト { 〈/ // ＼／⌒＼二
|二ﾆ:/ /ニニ〈⌒ヽ| } ' / 〉 ／⌒〉二二二二
/=ニ/ /ニ二二V^八 , / }っ 〈二二二二二
|ニ / /二二二 〈⌒7 ＼/ ／ 人,ン 〉 ＼二二二
人 〈 〈二二二二 | 〈 ,' ／ ／ ￣＼ 二 ＼二
＼ '/ﾆニ二二| ﾊ / / YY＝－ /＼二 〉
_＿＿___
／::::::::::::::::::::::::｀ヽ
／〃〃:::::::::::::::::::::::::::｀ ､
／:::::::::::::::／.ｨ//:／"´｀`ヾ｀ヽ
i:::::::::: ///／ /// ﾐ:::::::', 成程な。流石、娘々の仰る事だ。
ｉ|::::::, /// / ハ ミ:::::::',
从:j// 乂==-､,_ _,､-=＝ミ Ｙ:::/ 意のままにするのでも無ければ
乂:::{_仁三三三}⌒{三三三气_}::｛
/⌒ＹV三三三/ ∨三三三ｊＹ'＾ヽ 崩壊を望んでいる訳でも無い。
｛ {⌒j `ー─＜/ ､`ー─＜ } し'｝
＼｀ﾊ ヾ.:.::ノ ﾊ. / だとするなら、路南浦で店でも
`ｰ:. 、__＿__ , /／
／ヽ ＿,, ｲﾘ 出したいから口を聞いてくれって
／￣￣｀ヽ ／ﾍ:＼
圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／ ∨::＼、 冗談を聞けると、愉快なんだが？
／, ′／´￣￣｀ヽ 八 / ',::::::∧｀:::...､、
_ .． ´.::/ , -―- ､__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
. : :.:.::::/ ／ , -―- ､__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ ／ ＿ ｀ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ｀Ｙ////／ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ﾉ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
.
203 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:52:31 ID:jEYNOEksSa
__,､.. .／: : : : : : `ヽ､
/Ｙ::）/: : : : : : : : : : :ヽ:＼
/:∨::/: : : : |: : ,|----_-}: : |〉
∨::〕}..: : :__ィ´ ／,-- ﾘ: .|〉
｀ｲ:〉:〈 ,,ィミ` ｲﾆ'' ﾘｲ）〉 店ならば、既に在る。
Ｙヽl ｲ-'' 丶 |/ｿ､
ゝ）､ __, ﾉr'./ 妾の一存で、何処にだとて門戸を
/｀Ｙ､ ｀ -‐ /r''.（
（__ ゝ＞､ ／|' ｀ 開ける店がなぁ……。
） ,ﾍ.￣_,, ィ:| __r‐､__
|￣::::::::::::／ﾊｿ':/::::::Ｙ.､ 妾はな。三合会、東南アジアに根差す
丿-ィ二ｲ､）／::::{::::::::::}:::＼
＿,,ﾊＹヽ='＞'":::/:::::::::＼:::::ヽ__:::}:::::::::） 金義潘の影響から逃れ得ぬかの街を
/＜´｀::`:::''"::::::::::::{::::::::::::::::::Ｙ::::/::::ヽ::／
／:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::{::::::::::::::::::::}:::{:::::::::}:ﾍ 白紙扇が其方であるからこそ、其方の
Ｙ:::{::::::::::::::::::::{:::::::::::::::::}::::::::::::::::::/::::}:::::::ﾉ::::}
／ ∨::::::::::::::::::::::､:::::::::::::::{:::::::::::::／-:､{:::::/:／ 思うままにして欲しいのだ。
／＿__. ヽ::::::::::::::::::,＞-::--:､:〉::::::::ｲ/:::::::::::/´
／二 ｀ヽ|'＜＞-'´:::::{::::::::::::::/:::::::::::/:::::::::::/
ｲノ ／ __,,､-- |__ ｀`ヽ､:--､:::::::::::{::::::::::/:::::::::::/
ｨﾆﾆﾆ_／ |￣}＿｀`ヽ-､_.Ｙ::::｀＞-､:::::/::::::::::/
／ 〔￣/ ￣￣ ｀}}:::::::::::::::::::ﾍ::::::::/
赱／ / ./ ＿＿,, }}:::::::::::::::::::::::::::/|
r‐/─''"´,,､--‐‐}}::::::::::::::::::::::::/-ﾍ
{__ｿ￣￣ ,,...}}::::::::::::::::::::::/ /｀Ｙ＼
__＿＿
rー＜´::::::::::::::::::｀ヽ､
__,,j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::r-､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
〈:::/ ﾘハヾヽ＼ヾ:::::::::::::::::',
ﾍ! へ､、r==＝＝､ミ:::,へ:::::::} ……あの街が瓦解したと
ﾍ;';';ﾘ={;';';';';';''}-‐‐i:jに }:::/
i¨７ ￣￣ ク /:/ しても、痛痒は無いんじゃ
ヽ ﾉｰﾍｊ′
ヽ ￣ ` ／ _i、 なかったのか？
'、_＿ ／ ／ ハ、
_..ィﾊ::__ ... ＜ ／ : /.｀:.:..､
__ . . .／:.:./介:､ ／:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:...､
/:.:.:.:.:.:.:ﾍ／/!i:i:/ヽ ／ヽ:＿＿j.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿:.ゝ､
/:、:.: : :／:.://i:i:i !/:.:.:.:.:.:.＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/´.:.:.:.:.:.:.:ヽ
;.:.i|:.:.:.:.:l:.:.:. l/ｉ:i:i:ｉ /.:.:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
. i:.:.:l:.:.:.:.:.l:.:.: li:i:i:i:i:i. /:.:.:.: : ／.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
l＼l:.:.:.:.:.l:.:.:.l:i:i:i:i:i:i/:.:.:.:.／￣￣￣〕:.:.: :/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く
. l.:.:.l:.:.:.:.:.l:.:.:l:i:i:i:ｉ／: :.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.:/:.:.／ .:.:.:.:.:.: /
. /.:.:/:.:.: : :l:.:.li:i／:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∧/:／ .:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨
j:.:ｲ:.:.:.:.:.:. l:.:l/:.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧′ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨
. l:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:У:.／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ :.:.∠二ニ.:.:.:. .∨
. l:.:.〉:.:.:.:.:.:. 〈:／／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ／￣￣￣｀ヽ :.∨
. j.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.O:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／ /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}
.
204 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:54:50 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i 無い。が、ひとが、ひと自身の
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | } 手で、かの街の瓦解を防ごうとする
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l} ならば。妾は、それを期待したい。
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ 先に言うた通り、妾は金牛宮の魔女
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋 である故によ……。
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「金牛宮、牡牛座の象意はな。富と豊穣。そして支配星の金星の影響により、美意識を
┃｜
強く持つ。詰まる所、かの街が瓦解せずに宝石がひとの手に盛んに渡り続けるは、富と
美がひとびとの手に行き渡る事であり、金牛宮の威が写し世に顕れると同じなのだ」
……魔女が滔々と語ったは、同僚であった警察官達を手に掛け、黒社会、三合会の
海千山千の者共、闇の坩堝を目の当たりに、捌き、游ぎ切って来た張にとって、全くの
世迷い言であった。
甘美にして幻想夢幻なる、愉快な世迷い言であった。
.
205 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 21:57:23 ID:jEYNOEksSa
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／ ヾ:.:.::./:.:.＼
,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／ }:.:./::.:.:.:.:.i
. i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' ￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
{: : : : ::.:.:.:.:.:{ { ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/ }:/}′
',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:', ./ヽj } ￣|////{j .|′ ……参考に聞かせてくれ。
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈 ノヽ |////ヽ
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､ 乂ﾉ {/// ', もしも、だ。俺では無く、他の盆暗が
i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_| `ｰ′ V
. }:.:.:.，＜ | / _ 〉 白紙扇としてやらかし、宝石市場を
/¨¨ | ｒ_､_ ｒ''¨
. ＿/ i { ＼ ﾆ=‐-′ ご破算にさせちまったとしたならば。
／ ＞，. i ＼ ￣)､ ＼
／ ＞，. i ＼ / ＼. ＼ 娘々、ベアトリーチェよ。人間に対し
／ ＞， i ＞，. / ¨¨¨
＼ ＞， ＿＞， ＿/ どんな感想を持つんだ？
＼ ＞， ／
＼ ＞，
＼ ＼
＼ ＼
// /∥ / / / j/ /: / ／: : :从: :＿: : : :-─: : : ＼| |
/ / ∥ /:| 从_/: ;／: : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : : :| } /
,' ,'|ｉ / 川 ,': :|/: ,. -─=ミ: : : : : : '´-‐r辷zzzｨノｨ: : :| /ﾚ′
| l |i / |从|: :_／: : : : -ミ､: : : : : : :vア,ｨflr丐ミ>､彡:i| ∥′
| l |i ﾊl | j| |: :／: : : : ､_乂Yvﾐヽ: : : : : ﾚ'＾...::￣￣￣ i| ∥′
| l |∨L}从V: ': : : :z‐彡ｲ气＞'': : : : : : :. | {ﾚ はッ！ 知れた事よ！
| ' |ﾆV小_从: : ゝ彡ｲ＞''" ..:::' 〈:,i}: : : :. ‘/
|/ |ﾆ=V_Y |ｉ: :＾zｰ'^ }: :,-､: :. { 先程、其方の口から発した
ニﾆV| ＼ L-､ r'´ __ ‘，
寸ﾆ八 ／＾ヽ _ -───-／｀ __‘， ではないか……。
寸 }i ∥ゝ {L_ _､‐''゛_ -‐ ￣ )‐'´ ｨｱ ‘，
寸从}^ヽ、⌒ﾞ ､ 厶-＜r'＾r'´__ -‐ '" ' ′ ‘，
|| ゝ _ >､ ￣ ---‐' ／ ,' ＼
/,' ＞､､ ／ ,'
／/ ',///＞､､ '
／ ,′ }/////// ＞‐く /
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206 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:00:09 ID:jEYNOEksSa
-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-
BGM：ttps://youtu.be/fX5XG5ocpgE
-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-=≡=-
../ / / / / / / / / ／ ／ ／ ヽ
/ / :| | / / / ./ / ,.: ／/ /
/ | | / { / /| / / ／ / / | ,
| jI斗--ミ/ ／| / / | .′ / .: / / .: ′
| ／⌒ / / | / , | ハ / / ／′ / / j :. ,
／ ／| / / | ハ | | / }i / / / | / ′ / :| ′
/ ／ | ′ /＿ttⅣzzⅥ＿＼＿/ }i / / / :| / / / :| :
| / | :| /ﾐﾐﾐﾐ彡''"￣￣｀ﾞ''ﾐx￣ヽ }i/ / / | ,: / / :|
{ ＿__| | 廴-ミ'"__ ,. -- . ヾ ＼ }i / / :| | / / :| :|
l ゝ'´ ／| | / 彡彡彡⌒'く::::f´￣｀㍉ ∨ ＾Tx | / | :| / / :| |
| { { | .| /,.-‐-､ ⌒⌒ヾ＼:::::(;ヽ::ムﾏ |;| :＼ |.| | | , ,.:' ; |
| { Ⅵ |l/ /{⌒＼ ＼ヽ::＼):::ﾑﾏ |;| : /＼ i| Ⅵ ／ ／ / /
{ ＼／ | l| /;;;, 弌::::::::} | |;| / / /＼| Ⅵ／ ／ / / ′
￣￣__ノ:| | ,;;;;;;;;;, }::／ ; |;|// /// { ／＿,zzzzzz- / /
￣＜ノ | :| /;;;／＾ｉ ＼ .{ / /|;|/ ///.:／＞---＜＞''" ／ / / /
／´ } } :|;;;;/ /{ { ゝ/ / }/ ///／／／,ｨ彡'"⌒＼／ ,.: / /
／| ／ ;;;;{ /＾{ ＼ｰ=ﾆ ///´／／／ ,. -──-ミ､ ／ ,.: ／
../ ／ /;;;;弋弋∧ ...:::::／／／ ／´／￣￣｀ヽ､`ヾ:､／ ／ ／
/／ ｲ/￣~＼{ ﾟ｡ . . ::::::::: ´ /＿ ⊥::::(;;;;;;;;):::::::| Y} ／ .／ ／
' ／ {／＾V⌒ヽ ＼ . :::::::::::::::/ ゝ-'⌒´￣￣￣`ヾヽノ }} ／/／ ／
／| { ＿/: : : : ＼{ `ヽ､ ::::::::::::::/ ￣ 爪 ﾉﾘ／ ／ ／
,.イ :| |´ {: : : : : : : :`ヽ| ＼ { ー‐ -─===-ミ 川_ノミ-‐'" ,. '"
}＿∧ 廴___}: : : : : : : :::::::`ヽ{ `ヽ､ ￣ ￣｀ヽ ノソ ﾐﾐ ,.､丶`
/ Yﾊ .|＿__}: : : : : : :::::::::::::::::`'＜＾＼ ＿,,..-イ ﾉィ´ ,.､丶｀
∧ } ', { {', : : : : : : : :::::::::::::::::::::`'＜＞s｡ ,.ィ´/;;;;;;;;／ ／ ､丶`
//ﾍﾉ__,ﾑ } ｰ圦: : : : : : : : : : : : : : ::::::::::ｱー＜￣／ｰ';;彡'" ／ ／
///,＼ :. { __}∧: : : : : : : : : : : : : : :／ヽ ノ;;;;;;;彡''"⌒ ,.イ /
/////ミs｡{ ∨ ﾏ;;;ゝ: : : : : : : : : :x＜ ＞-‐'"⌒_,.｡s＜ | | 暗愚！！ 愚昧！！ 迂愚！！ 魯鈍！！
寸/////,∧ ',／￣＼≧=-=≦-‐ ￣_ -=≦/ /| |
｀`'＜///ﾑ ＞-─ 二￣ -=ﾆ ￣/ /￣￣ / .| | 痴愚！！ 烏滸の沙汰も極まれり！！
／￣ ゝ ─ ￣ / /＿ { , 从
/ / ∨ / 餓鬼の如く貪らんとした富と財の象徴を
＿＿＿,,,,,,,....... , ／ ／
´￣￣￣ ／ ,.． 'ﾞ イ 汚泥へと自らの手で縊り、葬りおった！！！
／ ／｡o＜ ,.｡+''"⌒ }
／ _,. -=≦ ｡o＜⌒ ／ くっくくひっひひひゃひゃひゃっはーーっははは
かかかかっ、ぎゃーーっはははははは！！！
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207 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:00:53 ID:jEYNOEksSa
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】 {;;;?逢／,;;;;［_ ･〝〃
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┃ ！;!rミ¨〈;;〉 ___┃ 〃
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┃ |;;;;〉/;0;;ﾊ;;;＞ ┃
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┃ ヽ;}r‐┐：};;;;´;;;>┃
┃ {;;;;;辷';;;;ｌ￣ ┃
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Ⅶ |;;;|く;;;;;;;〔 ┃`
Σ !;;;! ,ﾆl;;;;;,＼ †
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┃ハ;;!ゞ介／;;;> ┃
：.f＼／;;;;;r'ﾆ.,_ ･：
┃|;;;;;r'];;;;;;;;;;;;;;;;ゝ【
┃};;;ﾉ/;;0;;冂￣‘`†
】ﾍ;;jヽ-'´|;;;ﾚ'´;;〉【
】; ﾊ!⌒辷;;;;厂 ┃
┃ };;;ﾉ_ﾉ;;;;;＞ ”┓
】′{;;「〈;{};;く /;;〉∧〟
┃,:’l;;ｲ f;;;;//;;//;;/】
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⌒‡' ,ｨ;),ｨ;ｧ,､´ ┏､【
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208 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:03:23 ID:jEYNOEksSa
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i ……解った。
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', }
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. { 良く、解ったよ。
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} | 愛惜、痛惜って
}/ { ｒ _ }////ノ !
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_ 言った所なんだな？
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
>;;;;;;<;;;;;;;;;;;;;;;>/:.:.:/:.:.:/:.:.:/:. :..|l:. :. :..|l:. :. :. :. ヽ
/:.:/ミミヽ／:.:l:.|:.:/＿/＿/:. :. :|l:. :. :..|l:. :. l:. :. :. ',
{:. :ﾚ:. :./⌒､彡ﾘl:.| ー‐ｧ､＼ー-､:. :. /:. :. :l:. :. :. :..l
`､:.l:.:.:// .:} l:./ l:| ヽ（:llb::）ゝヽ,. ヽ､:. :/:. l:. i:. :.l
{:.l:.:〈（ ,ｲ〈:..{. ''￣ '' , ーニ'',ヽ:/:. :l:. :.l ……ッ！
｀ヽ:.:ヽ .y.ヽ:ヽ | （:lb:）ヽヽ､/:ｲ/
{_ヽヽ ) ヽ:） ,＿ , / ｀`''´`/"y´ﾘ されど、だ。
＞| ､／ノ |;;;;;;｀` ' ､ ./
| {´‐-､ |ヽ､;;;;;;;;;;;;:..｀'.ｧ' /:l, それが、ひとの選択であるならば
_| `弋ヽ} ',:.:.:.:..`ヽ､:／ ／`ヽ､ヽ
<y~Y`~シﾉ ヽ;;＿_／ , ｨ´ __ >:〉 妾は、呵呵大笑をしてくれよう。
/;;;７´ｲ;;;,､'ヽ, ‐ , ィ'´ (￣,ィ'´
＿,, __/;;;;;ﾚ;´;;;;;;;;;;;;ヽ`_''ｽ､ `ヽ､､ ひとで無き、魔女である故になぁ！
ヽ ヽー'' ´ ｀ ､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l^~´ ,, -=ソ
ヽ ヽ ー―‐- ､ ｀ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;|`ヽ､ヘｩ､ （(
ヽ ヽ ヽ ￣￣ ヽ ヽｽ ヽ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 魔女の認識阻害の妖術が施されているのか、大哄笑の歪んだ嗤い声が、ペント
┃｜
ハウスに響き渡ったとても、広大な室内に誰も踏み込む事は無く……。
大嗤いを目の当たりにした張は、嘲りの中に他のものも見出だした様だった。
.
209 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:05:33 ID:jEYNOEksSa
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝ あぁ……、芸術品、宝石を扱うには
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :} 価値を理解出来るのは勿論、相応の
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: /
`{ ＿ r‐{:／ 対応と見識が求められる。
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ } 相応の見識を持った大人同士として
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、 話を続けるぞ。
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
l / ／ / |
/| / ／ / |
＿《i:i:i:Ｙ⌒7／廴ノ ⌒Ｙ_ヽ
/i:i:八i:i:i:i:／＿_ Ｙ⌒7
rくi:i:i:i: ＞''" ⌒“''*､ ヽﾉヽ
}i:i:i:／ ／ / ヽ ＼ ＼ ∨ Ｙ
ﾉi:. / V/ ヽ VＹ〉
《i:/ / ′ i| | i| V乂〉ノ
八 /.:|i | i| | } i| | 》Ｙ
|i /{i | i| } 八 } / /
八{八＿_ 人 i| / / / ′/)/
ﾉﾊx,,,,,＿＼ /──《__/ /^7/
/ 癶 ぅソヽ xrt===ｧ// ﾉ 宝石を正しく取扱うに足る
/ 八.∧ ￣ ゞ イ / (／
／／ ､ 〈 | 人間として、か。
（ （ ＼ __ ／ { {
) ) })h､ ｀ ィ( | | 鵞を潰した愚か者とは
／ ﾘ＼ ´ / |
ｒ==厂ヽ＿ ／i:i:i:i: ≧ｓ｡. 八ﾘ 違うとの表意であるか？
〈／ニニニヽ廴ﾉ `～､、i:i:i:i:{ )／
／/ニニニニ∧圦 ￣八 (
／ﾆ/ニニニニニ∧ﾉ'， ｀`～､ ＼廴
／ニ /ニニニニニニ∧∧ ＼〉 ⌒ヽ
《ニﾆ 《ニニニニニニニ》八 ｡ｓ≦.＼ニ ∨
八ニﾆ∨ニニニニニﾆ/ﾆW乂≧s｡ V 〉》⌒'，
ニ＼ニ ＼ニニニニ ノニﾆ/廴ノ乂⌒ ＼ ／《)〉 `、
八ニﾆ》ニ/ニニニニ∨／ﾆ.:ニニニニﾆ|]ﾆ=- -=≦⌒ ))
＼./ニ/ニニニニﾆ Vニﾆ{ニニニニﾆ|ニ⌒≧ｓ｡〉¨´⌒｝ｈ､
/ニ/ニニニニニﾆ Vニ.|ニニニニﾆ|ニニニニ.＼ニニニ ヽ
.
210 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:08:06 ID:jEYNOEksSa
/::::::::::::::::::::://⌒´ ヾミ::::::::::::::::｀ヽ、
／::::／:::::;:イ// __＿__ ﾐ::::::::::::::::::ﾍ
. ／:::::::/::::.／ // ∠才´￣｀ ﾐ:::::::::::::::.∧
/イ::::::/::::/ ／/∠才777ﾊｒ=;,､ ﾐ:::::::::::::::::∧ デカ過ぎる莫迦嗤いを叩き付けても
/ /::::::/i:::/／ 厶////////} ｀＼:::::::::::::::::∧
. / !:::::/!/≧､＿｛////////// ｼ⌒ヽ::::::j くれたお陰だ。
|:::/ﾊ/// V//////／ ハ ,!::::::|
|:/ i{// ｀ ｰ一 ´ ).:/ /::::::.,' 人間様の搾り出す叡知って奴でな、
i′ V´ -､ ノ::::::/
! ノ ''"´ ￣ ￣`ヽ 文化財だの芸術品だの宝飾品やらを
ゝ‐'´ _ ,．'"´ ヽ_
'､ 'ﾆ二 ｀ ∠_ -─ ── ￣￣二二ﾆ ヽ_ 欲得尽くだろうが保護出来るって事を
', ∠´ . :.: .: .: .:. :. :. :. :. :. :.
_⊥ '"´ . :. :. :.: .: .: .:. :. :.: .::.:.:.:.:.:.:.:.:.: とっくり魔女様に見せ付けてやりたく
_ '"´ . :. :. :.: .: .: .:. :. :.: .::.:.:.:.:.:.:.:.:.:
'"´ . :. :. :.: .: .: .:. :. :.: .::.:.:.:.:.:.:.:.:.: なったんだ。
, .:.:´ .:. :. :. :. :. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::
. / ￣`ヽ . :. :. :. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::
/ ヽ. .: .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
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>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ ……ふゥン。
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', そも、人間である矜持、とな。
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ _ ＿‐ ''"
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ （￣￣ﾍ, --‐ ＞'´ , .ノ￣
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ _ ∠-==､ ﾍ'"／ ／
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｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __ |_ﾉ ﾉ }､__/ /
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼ヘ. / / ﾍ,,ｨ=Ｙ
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┃｜
┃｜ 「そんな所だ。ホストなんざする気は無いが、テーブルに着いてくれ」
┃｜
荘多風の扱いに付いて、魔女と三合会白紙扇との交渉が始まった。
二人が、ペントハウスに備え付けられてあるデザイン性の高いラグジュアリーなソファに
テーブルを挟んで座る。
途端。張に纏わり付き、広大な部屋の気温を酷く下げていた冷気が霧散して行く。
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211 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:10:47 ID:jEYNOEksSa
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ ……やれやれだ。
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i ここの標高が高いからとは言え、凍傷の
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', }
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. { 心配をしなくちゃならん様になるとはな。
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} | とは言え、だ。俺は、魔女様のお眼鏡に
}/ { ｒ _ }////ノ !
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_ 叶ったらしいな？
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
／ ,ゝｲ ⌒ヽ ＼ヽ
ｲ/ / / ヽ ｉ〉
〈 〈 /. | .| || | __ｌ＿ヽ／ ｉ〉
乂| ｲ |___ﾙゞ.,_,.., ｲ ｉ| ,ゝ､ ｉ〉
＼|__ﾔ ｲ0 ﾉ冫 /ｲﾉ〉/
弋 弋) ｀ / ｌ/ / 叶わなくば。
ﾊ ヽ_ __ / ﾍ〈
/ゝへ ｰ ／ヽ( ﾍ ビルの外、妾の姿を目にして呆然、
( ( ＞イﾍ 》 ﾍ＼
ソ /ﾄ ﾉ＼ V ( ＞￣lゝ 狼狽する程度ならば記憶の抹消。
＿,､_ __,,,... - ゝl:八 l ゝ -ー''/ /〉⌒ｌヽ
_ ,,--－ // /ヽュ､ ｲ:::(ヽi / /ｌ:ｌ:::::::::ｌ:::} 器量が足らぬとなれば、同じく。
夂-‐ '' "´ ''''ー‐ﾄ､ﾘ､ｲ ＼ﾍ ／:::::::::( l l i / /::/::::::::ｌ::〈
￣＼ Y:::〈:::::::{::〉ｌ ｌ / ／::::／::::::::::::ｌ:::l 人智の外の力に酔い始めたなら
ｲ＼ ゝ､::::::/::ゝヽヽ〈 /l:::::::l:::::::::::::::::/::::ｌ
/ V＼ｌヽ:::/::､´~~{ ゝ⌒:/､:::::::::／::::::} 望み通り、埒外の力を存分以上に
丁＼ ｌ＼ｌ::＼{::::〉ーゝ:／:::::::ヽ／::ｰ::√
{￣゛ ｉ i::::::::Y:::::::γ::::::::::::::::}:i/::::::/ 味わわせてくれる腹であったわ。
丁＞ ゝ ｉ::::::::::}::::::::l:::::::::::::::::::〉:ｌ::::/
Y⌒~~゛゛'''－-.....,,,_r ﾏヽ__ヽ_,,,... -`-- ≠ー::l::::::::::::::／::/::/
,ｲﾍヽ::::::::::::::::::::::::::(,,_ ヽ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ/￣:〉:::::::):::ｌ
/::/:丶>::::::::::::::::::::::::ｌ ＞ｌ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::〈:::{:::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
./::/:::::::::ゞ､::::::::::::::::::::ﾑ＿∥::::::::::::::::::::::::::::ﾚ'"~~::}::::::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
.
212 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:14:25 ID:jEYNOEksSa
{: : : : : : : : : :./ : : : : : : : : : : : : : : : : :_／/: : : : : : : :／
| : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : :, -‐ '' ./: : : ..／:／
. V: : : : : : :/: : : : : : : : : : : : :／ ,-‐､/ : . ／/:/
V: : : : .|: : : : : :／/ :.／/ 〈;';';';'＼／ /:./ __
, -‐ミ: : : : |: : : :／ ./:／ ./ 〉､;';'ノ＼ {: | _／ノ ヽ
/ .,‐､ ヽ: :||: : :/ /:/ ／ィ ＼ .＼| -‐''¨ ￣ ﾉ 黒いドレス、黒沈香の伽羅、
. / ./ ﾍ .}: ||: :/ {/ -‐'' ＼ .＼ ，＜
-‐/ ./ .／ヽ{: } Y,彡'ミ三三三ミ､_ ／ ＼ ＼ ＜ ＿＿ 喪に服す姿にも早変わりか。
.／ { { { .Ⅳ∧ ＿＿＿≧ミ三三ミ､／ .＼ ＼ ＿_,.．-''三三三
. ﾍ ', iヽ _j Ⅳ∧ ////////// ＞'' / ＼ __＼三三三彡＿＿ 薔薇に刺ありとは言うが、
ﾍ { ｜ⅵ| .//////////／ ，''￣￣￣￣￣ ./ ノ }/////
. ﾍ } .| |/////////／ ，'' ￣￣ _ ノ-‐ミ/// 龍の爪やら牙とはな……。
. ﾍ /ヽ.| |//////,／_ ，'' _ ＿,.．-‐──‐≦ }//
＼＼ }.| V///／'´ ィ’ i | |///＼_ノ ＼ ／//
ヽ ゛ | ＼/ ，''¨ヽ i ｜ .V//,/ ＼ .＼///
＞ ! | ｒ'' } i .| ￣/ ＼／￣
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┃｜
┃｜ 緩々と、張が二本目のジタンに火を付け、盛大に紫煙を吹き。
┃｜
「舐めた真似をしてくれる。益々、人間様のプライドと知恵を掻き集め、人間様じゃねぇ
からと手を拱(こまね)いて悔しがってる魔女様の吠え面を是非とも拝みたくなっちまった」
差し向かう魔女の白貌は、睫毛も揺らぐ事無く。
「実際、巧い。俺の名前、荘多風へのスタンスを知っていると言う事は、調べ上げられて
いるんだろうさ。俺が大半、面白がって話を聞いちまうって事もな。全て、魔女様の描いた
絵図通りなんじゃないかとさえ、疑りたくなるがな——」
.
213 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:16:23 ID:jEYNOEksSa
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BGM：ttps://youtu.be/dTxggoE48wk
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／ ／ .＿ `' / .::/ .!|,,.rヾ､,,ノ /
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. <.／ ―－―――ヾ;::::i ! !|i !|/ヾ;― =＝
ヾ:i, |i. !|| i |i ,,.ｒ"!| 〉
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.ヽ|| i|'
. i'ヽ、 ,,.r''"!i
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＿√￣￣￣￣￣Z＿＿＿＿＿＿√￣￣Z＿＿√￣￣￣￣￣￣￣￣￣Z＿＿＿
￣ ￣￣￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣￣
￣ ￣￣￣￣￣￣ ￣￣ ￣￣￣
＿＿＿ ＿＿＿
／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
. ∠:.:.:.|:.:./::／ |! __,.．-‐ }.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
{:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i これ以上、空気の薄い所から
|'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.| 見下ろしてくれるなよ？
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./ 黒社会の人間相手、この俺に
＼＼ し' /:.:./
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./ 交渉を決め込んで来たんだ。
. } / |:.:.:/
. | / !:.:{ さぁ、俺達が涎を垂らしちまう
{ _ -‐′ __|从__
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼ 利をテーブルに乗せてくれ。
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ | でなきゃ、御破算だ。
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
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┃｜
┃｜ 振り下ろした拳は、人間の尊厳を高らかに謳う法廷のガベル(木鎚)。
┃｜
人間と魔女。この二つが其々の皿に乗せられた天秤が、均衡を示したテーブルである
との宣言を、自身の矜持を虚仮にされた以上のものを噛み潰すかの表情で、張は魔女
へと告げた。
相対する魔女が、人間、それも黒社会に身を浸す人間に、提示する利。
それは。
.
214 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:19:35 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | }
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l ∠二二ア
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l}
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ ∠二二二ア
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨ !7 !７/７
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋 /イ
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼ <>
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶 <>
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|..ﾉ.::､＿__..
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｰ::::::::::'￣
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::¨`:::::'ﾞ¨ 荘多風に流入する
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ＿___ コンフリクト・ジェム。
∧:::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::(............................, ＜イ/ヽ
/∧::::::::::::::::::::::::{:::::弋二__──-------─一 ´ ／ それの裏が取れ、
/:::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::＼__二_二_二＿＿＿＿＿／
:::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(.ﾟ o........::......:::::/ 紐が掛けられると
:::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::二ﾆ==─=ﾆ二::〈 ／
:::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::, ／:::: したならば、どうか。
:::::::::::::::::::::::::::::::＞:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} ＜::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/. ＜::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞:::::::::::::::::::::::::::::::/ ＜:::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞::::::::::::::::＜:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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┃｜
┃｜ コンフリクト・ジェム。紛争宝石とも呼ばれるそれは、世界の紛争地域から、反政府組織
┃｜
や武装組織の資金源として採掘された宝石を指す。
荘多風の隣県である路南浦に巣食う、特にアフリカや西、南アジアを本拠地とする犯罪
組織の資金流入源ともなっているが——。
.
215 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:23:00 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡 人間様方にとって、宝石産地特定が可能と
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ|
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ | なったは、未だ五種類の石のみ。
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',', 妾ならば、何の石であろうが、どの地で採掘され、
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',',
//＼ﾍ __ ｨ. / .',', 採掘者の所属組織が如何様なもので、どの様な
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／ 意思で販売をされたか……。
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ それら全て、其方に伝えられようぞ。
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :} ……荘多風での宝石売買を資金源に
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: /
`{ ＿ r‐{:／ した奴等を正確に炙り出せるなら。
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ } 奴等の懐具合も動向も、推測が立つ。
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
l / ／ / |
/| / ／ / |
/ l / ／ ＼ ｛ |
| ｣/ ／ ＼ { |
.
216 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:27:01 ID:jEYNOEksSa
ゝ/´/////彡∧i‐-､
／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ ＼::::::::::ヽ
,//／／ ｀ ￣￣ 〈⌒´i‐‐､´ アンクル・サムに要らぬ悪戯を仕掛けようって
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i
i |i､｀) 'ゝ二二二二７ , 頭の煮えた莫迦が居ると仮定するなら、駄賃は
､` ヽ ｀‐-==- i
､ゝλ i 際限無しに必要になる。
∨i ､ ．＜三ヽ ノ
∨ ＼‐‐ ´////////／ 路南浦に余計な鼠花火を持ち込ませる前にだ。
〉 ＼/////////,i
／ {｀ ､ ＼ ､｀ ヽ////,i 頭を抑えられるんなら、確かに願っても無い。
ゝ´:::::::∧､ ￣ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧ ／ ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
__,､.. .／: : : : : : `ヽ､
/Ｙ::）/: : : : : : : : : : :ヽ:＼
/:∨::/: : : : |: : ,|----_-}: : |〉
∨::〕}..: : :__ィ´ ／,-- ﾘ: .|〉
｀ｲ:〉:〈 ,,ィミ` ｲﾆ'' ﾘｲ）〉
Ｙヽl ｲ-'' 丶 |/ｿ､ 加え、何処ぞの国と同じく合成石が
ゝ）､ __, ﾉr'./
/｀Ｙ､ ｀ -‐ /r''.（ 多く市場に流入し、信用失墜の憂き
（__ ゝ＞､ ／|' ｀
） ,ﾍ.￣_,, ィ:| __r‐､__ 目となるを防ぎたい。
|￣::::::::::::／ﾊｿ':/::::::Ｙ.､
丿-ィ二ｲ､）／::::{::::::::::}:::＼ なれば、よ。本物と贋物の流通割合、
＿,,ﾊＹヽ='＞'":::/:::::::::＼:::::ヽ__:::}:::::::::）
/＜´｀::`:::''"::::::::::::{::::::::::::::::::Ｙ::::/::::ヽ::／ 改変処理を施された石の程度も把握
／:::::::::::::::::::i:::::::::::::::::{::::::::::::::::::::}:::{:::::::::}:ﾍ
Ｙ:::{::::::::::::::::::::{:::::::::::::::::}::::::::::::::::::/::::}:::::::ﾉ::::} 出来たとしたなら。
／ ∨::::::::::::::::::::::､:::::::::::::::{:::::::::::::／-:､{:::::/:／
／＿__. ヽ::::::::::::::::::,＞-::--:､:〉::::::::ｲ/:::::::::::/´ さて……？
／二 ｀ヽ|'＜＞-'´:::::{::::::::::::::/:::::::::::/:::::::::::/
ｲノ ／ __,,､-- |__ ｀`ヽ､:--､:::::::::::{::::::::::/:::::::::::/
ｨﾆﾆﾆ_／ |￣}＿｀`ヽ-､_.Ｙ::::｀＞-､:::::/::::::::::/
／ 〔￣/ ￣￣ ｀}}:::::::::::::::::::ﾍ::::::::/
赱／ / ./ ＿＿,, }}:::::::::::::::::::::::::::/|
r‐/─''"´,,､--‐‐}}::::::::::::::::::::::::/-ﾍ
{__ｿ￣￣ ,,...}}::::::::::::::::::::::/ /｀Ｙ＼
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┃｜
┃｜ 現在。市場に流通する宝石と称して販売されるものには、本物と偽物の大別以外に、
┃｜
ルビーを例に上げるなら、本物のルビーではあるが、市場価値が殆ど無いに等しい
改変処理が施されたものも流通しているのが実情であり——。
コンフリクト・ジェムの内実だけでは無く、荘多風に流通する宝石全体のそれさえをも
魔女は、交渉のテーブルに利として乗せた。
※アンクル・サム Uncle・SAm USA
.
217 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:29:36 ID:jEYNOEksSa
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
.::::::::::::::::::::::::: --ミ::::::::::::::::::::::::／:::／:::::::／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
::::::::::::::::::::／ ⌒ヽ＼:::::::::::::: /):／:::::::／:::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉
|:::::::::::::::/ /: :/: : :}. }-=- _{ /／)／):／⌒＞-――-ミ ::::::::::/
|::::::::::::::{ /: : }: : ノ }彡' ~"''-=- _/ ￣＼:::. ＼::/::|
|:::::::::: 八 : : : :( ~"''-=＞- ＼:､ }::::::|
|::::::::::::::::} : : : : ) ::::/ニニﾆ-＼ 从:/
|::::::::::::::::{ ー ∥ニニﾆﾆ-_＼ /:／
|::::::::: ／⌒ヽ {ニニニニニ〉 ∥ ……人智の及ばぬ力か。鬼札が過ぎる。
|::::／. . . . . . 〉 -ニニニニ/ヽ へ{
／. . . . . . .∥ ＼.ニニ／ |ニニ〉 酒の度数で言えば桁違い。飲めば直ぐ様
_／ . . . . . . . { ￣ |二 /
{ |_／ 脳がイカれて、天下でも取った様な気分に
.￣￣ ＼......... 人 ⌒＼丶、 {::::...... |
. ＼...........＼ ＼ ＼ :::::r' ¨´ なるだろう。
＼...........＼ `ー.::イ
＼...........＼ ＼__/ ……そして、ここで俺が前後不覚になれば
＼...........＼ /
＼.......... ＼ / 魔女様が鎮魂歌を口ずさむって訳だ。
', ／⌒ |.......... ／＼＿＿ノ＼
∧ ／ |＼／￣￣￣＼ 人
/∧ ／ニニ=- _| / ／￣￣＼＼
//∧ ／＼ -ニニニ- _ ／{ {. ＼＼
:::::::::::::|: |: : : : |: : : : : : : : : : : :| | | |: : : : : : : : : |: : : : : : : |: : : : :|: : :| Ｙ: : : : : ／: : : :丿: :/
:::::::::::::|: |: : : : |: : : : : : : : : : : :| | | |: : : : : : : : : |: : : : : : : |: : : : :|: : :| .ゝ: : : ｲ: : : :.／: |: : ＼
:::::::::::∧.|: : :..:.|: : : : : : : : : : : :| | | |: : : : : : : : : |: : : : : : :_|＞'"´|: : :| ∨: : : : :／: : : |: : : :.）
:::::::::〈: : :|: : __.|､: : : : : : : : : :..:| |_| |_: : ＼: ─二＞''"-‐'" ￣￣|: : | Ｙ: :／.ヽ:: : : :|: : : /
::::::::::::ﾍ:..|: : : :.|: ｀:ヽ:､__:,:--＼ ヽヽ─''" ＿__ |: :.| ./: / / Ｙ: ::|: : /
-､:::::::::|: :',: : : :l-‐'"´´`ヽ､__彡ヽ イ´￣ _,,, ｨ'|: :|彡 ,': / .∧ |: :.|:／!
.＼;;人: .',: : : | __, --- ､＿ ヽ ,,,ｨ=チダｯハ |:./ ,'::::{ .〈 }: : |: : :l ……其方だったならば。
ヽ: : : : ',__´ ｀`ヽ ヽ イ （ゞ､__´ 彡' |ﾘ .l: : | ヽ }: :/: ／
∨､: : ',ﾐＹ￣ヲテヨハ､ ﾍ ` `‐''"´￣ .|: : | ノ. /: /ィ 鬼札に喰らわれる事も
Ｙ |､: ',ハ （ゞ､__..彡'ノ .', ',::::',ｲ /: :/
∨ﾊ＼ ヽ,,`‐''"´ ｀ ', ',::::', /::::/ よもや、尻尾を巻く事も
/:::/, , ﾍ:::ﾍ':::::/
/:::/､ﾊ i /ﾍ::::ﾍ' あるまいて。
/:::/ ＼, ヽ .::: ﾉ､ /{: : 入::ヽ
. /:::/ ﾍ ,. ｲ/ ヽ / |:／ ヽ､::ヽ
/:::/ ヽ ｲヽ ＿_ --‐‐ ´ ／ / .|' ｀ ､::.､
/:::/ ＼ ヽ､ ＿＿＿__ , ／ ／ |__ ヽ:＼
. /:::/ ＼ ＿＿ ／. |r'7 ﾉ::::::）
.
218 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:32:00 ID:jEYNOEksSa
＿＿＿＿＿
＿＿__／:::::::::::::::::::::::::::::＼＿
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
＿／ ::::::::::::::::::::/⌒ :::／ノ彡彡x:::::::::::::::::＼
／:::::::::::::::::::::／ ::/:::::::／^⌒｀｀｀｀｀^㍉::::::::::::::::ヽ
／:::::::／:::::::::::/:::::::/ ::／ ＿＿__ ヾ:::::::::::::::::::.
.:／^／::／:::::::/::／/／ ／::::::::::::::::〉 〕:::::::::::::::::::.
／ /:／:::/:::::/:/ ／( ／:::／￣￣＿__〕::::::::::::::::::: 哈哈哈！！
.:/ /::/:::::/:::{＿＿＿ 〈_ -=ニニニニ}へ＼::::::::::::::|
∥ .:::/:::::__ /-=ニニ.У⌒〈ニニニニニﾆ} ＼_:／⌒ヽ 魔女様の信用が厚くて
{ {人:::/∥ニニニﾆ{ ∨ニニニニ ﾉ }:::://⌒ i:|
{={ニニニﾆ∥ ゝ---‐ '"´ 彡'〔:::::ﾉ | 感涙に咽びそうだ！
',乂ニニ=-〈_ _ ﾉ ):( /.ノ
､| ￣ . . .. ┐ (::／/ 俺を調べ上げて居たと
八 ―――--/ Y__/
〈 -‐'''"~￣￣￣{ |:/ してもだ。
､ ∨／> -／⌒ア./ /
`､ ／／＿＿＿／/ /| 何故、そうまで言い切れる？
／／ ----- ／:.:|
(,;／', ----- /::::/ |､
／ﾆ込 イ::::::/ | |＼
／(ニﾆ| う＝－――.....:::::::::::::::/ ／｜=-_
／ニﾆ＼/ ｀`～､、:::::::::::::::::: ／ |ﾆﾆ=-_
_ -―――――-=ニ〈ニニニニ＼ ｀`～--＜ -ニニ-_＼＿
_ -ニニニニニニニニニニニニ '/ニニニニ ＼ ////∧ -ニニ-_ニニニニ- _
／ニニニニニニニニニニニニニニ|/'/ニニニニニ＼ i'/////| |ニニニ-_ ニニニニﾆ
＞ー- ＿_
＿＿/｀ー ＜ へ
＿_/ / _ - ー―― ,ヘ ＼＞-､
| | / ＞ ＼
|／ ｉ/＼＼ / , ＼
／＼| /＼_ ＼＼ / / , ＼
∨／∨､＼＿ーﾆニ二三/ -/､ / ／ ∧
〉､ {∨＼ ‐ﾆ二三三/ / ｀>. ／/ , ∧
{｀ﾄ､{､ﾍ ＼ ゝ‐､三二/ヽヾﾐ､〃､＼./ / , '. ﾍ
ヽ|从ヽ ﾍ / ヾλ斗 { 冫爻､ Ｘ∧ / ｝ ｉ .ｉ∧
｀＜､丶ヽ〉'〃ｿ ｉ ハ ＼x'´ﾍ､＜_,/ ＿,7 ∥ | ｉ ｝
∨ヽﾍ ゞ' ﾉ ） /／/ ∥∥∥ ……。
∨ヽ｝､_／ ／ ､ゞ::├＜_/ / /
,'´｀'∨｝（ (￣ , ｲ::::丿 ￣/ 美しかった。
'､ ,'´｀Y ＼∧ ＼ｰ-_, ﾉ:／
ヽ､ .｛三二∨ト､ ゝ' ／ゞヽ_ それに尽きるからよ。
|/////丿/＼ ／ ,つ
,ﾉ///／´/////ト ＿／ /＞ー-､-＝＿
ゝ＝＿////////｝ ＞ ´￣｀＼ ＼ ｀'､￣三二ﾆｰ
/ ￣￣､￣￣「´ ｉ ヽ､〈_ ヾ,////////
/ ＼ ヽ / ｉ ヽ 〈/////
/ ＼_ 丶 / | / ﾍ/////
/ー- _ ､＿ ＿, ､_, | / ヽ _ |///
／ ｀ゝ ､ ￣￣￣ / | ∨////
／ ＞-个´＼ゝ､,ヘ｀ ､_ ＼, / 〈∨ |////
／ ／ __ ｿ ＼ ﾍ _ノ､,ﾍ へﾍｉ////
ヽ￣´｀-‐个 _人＿,ゝ､,-' <＿ ゝ_ ＞'´ ,ゝー´///
〉､＿,ゝ､__ｉ´//､////////､￣｀ヽ-'｀'､_,>‐￣ _/////////
////////|////∧///////∧∨//////∧､ ,-､＞'////////
Ｙ| ∨///∥.|/////|∨//////∧∨//////∧＼_,-'///∧､///////
.|∧ ∨///| .|/////| ∨/////∧ ∨//////∧ ∨////∧∨///
.
219 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:34:38 ID:jEYNOEksSa
＿_,. -‐ ￣｀ヽ、
_ ／: : : : : : : : : : : : : :｀⌒＼
´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／^´´ `＜:.:.:.:.:.:.:ヽ
／:.:／:.:.:／:／｝／ ＿__,,ヾ:.:.:.:.:.:.';
/／/:／ /|:,/ イ y≦=ﾆ二､_｝:.:.:.:.:.:.｝
|/|:.:/斗≧===>=く::::::::::::::::::}}`寸¨ヽ: |
|八 {{::::::::::::::j´ ヽﾆﾆ二ノ .|: :}
代二ﾆイ､:::::_.ﾉ ﾉ: / ……何？
`{ ＿ r‐{:／
', ヽﾆ´-‐' |_
', - ／ ／ }
ヽ ／ ／／ ＼
丶 ＿__ ∠ ／／/ ／へ、
r‐}／/ ／／ / ＼
〈/⌒Y ／／ / ＼
／ ／´／ / , - 丶.
／⌒}´ ／＿＿＿/ ／ ＼
／ ／ ヽ ／ ＼
／ ／ 〉 / ヽ
/ ／ ／ / |
/ / ／ / |
／ ,ゝｲ ⌒ヽ ＼ヽ
ｲ/ / / ヽ ｉ〉
〈 〈 /. | .| || | __ｌ＿ヽ／ ｉ〉
乂| ｲ |___ﾙゞ.,_,.., ｲ ｉ| ,ゝ､ ｉ〉
＼|__ﾔ ｲ0 ﾉ冫 /ｲﾉ〉/
弋 弋) ｀ / ｌ/ /
ﾊ ヽ_ __ / ﾍ〈 ……其方等が均し、穢し切った
/ゝへ ｰ ／ヽ( ﾍ
( ( ＞イﾍ 》 ﾍ＼ 路南浦に住まう者達。
ソ /ﾄ ﾉ＼ V ( ＞￣lゝ
＿,､_ __,,,... - ゝl:八 l ゝ -ー''/ /〉⌒ｌヽ その魂魄を一つ残らず、観た。
_ ,,--－ // /ヽュ､ ｲ:::(ヽi / /ｌ:ｌ:::::::::ｌ:::}
夂-‐ '' "´ ''''ー‐ﾄ､ﾘ､ｲ ＼ﾍ ／:::::::::( l l i / /::/::::::::ｌ::〈
￣＼ Y:::〈:::::::{::〉ｌ ｌ / ／::::／::::::::::::ｌ:::l
ｲ＼ ゝ､::::::/::ゝヽヽ〈 /l:::::::l:::::::::::::::::/::::ｌ
/ V＼ｌヽ:::/::､´~~{ ゝ⌒:/､:::::::::／::::::}
丁＼ ｌ＼ｌ::＼{::::〉ーゝ:／:::::::ヽ／::ｰ::√
{￣゛ ｉ i::::::::Y:::::::γ::::::::::::::::}:i/::::::/
丁＞ ゝ ｉ::::::::::}::::::::l:::::::::::::::::::〉:ｌ::::/
Y⌒~~゛゛'''－-.....,,,_r ﾏヽ__ヽ_,,,... -`-- ≠ー::l::::::::::::::／::/::/
,ｲﾍヽ::::::::::::::::::::::::::(,,_ ヽ/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ/￣:〉:::::::):::ｌ
/::/:丶>::::::::::::::::::::::::ｌ ＞ｌ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::〈:::{:::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
./::/:::::::::ゞ､::::::::::::::::::::ﾑ＿∥::::::::::::::::::::::::::::ﾚ'"~~::}::::::::::::ｌ:::::::::ｌ::::ｌ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「魂魄と宝石の原石。それらは同一の物が一つとして無く、品質もまた同じく。濁り切った
┃｜
もの、半壊したもの、取り返しの付かない罅が入ったもの、超過熱により色味が変わった
もの。僅かに、極々僅かに景色の良きものもあった。路南浦の汚濁に研磨され、様々な
在り様を呈した魂魄を、一つ一つな」
張の視線は、揺らぐ事無く魔女の瞳を捉えている。
サングラス越しにでさえ、幽玄の藍銅鉱色が知覚出来る、出来てしまう両瞳。
荒唐無稽。そんな言葉も一瞬脳裏に閃いたが、空しく掻き消える。虚妄では無い事は、
魔女の訪(おとな)いを許した自身の肺腑に染み入っているのだ。
「暴力からなる血と硝煙。饐(す)えた男と女の交合の果ての臭気。肉と精神を焼く焦熱から
逃れる為の酒精と幻覚剤。絶望、失望に淡き切望。その全てを包む闇。磨耗し、果てる
には、路南浦はうってつけの研磨機よ」
.
220 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:36:33 ID:jEYNOEksSa
」 ー ／ , く:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.{:.:.:.:.:/:.:.:. |:.:.:.|:.}:.:. i:.:.ハ
{ `ｰ-‐＜ ／ 〉:.:/:. |.:.:.: |.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:.|:.:.:.|.:.:.:.:.|:.:.:.::ｉ
＼＿__ イ{ ／:.:./ ｉ:.:|.:.:.:.:|.:.:.:.:|:.:.:.:.:.|:.:.:.|:.:.:.:.:|.:.:.:.:|
}:.:.:|.:.:.:.￣.:.:.:.:.:{ |_」:.:.:.:」:.:.:._j.:.:.:. ﾉ.:.:.:}. ｉ:.:.:|.:.:.:.:|.
/:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:_:.:.:.ﾉ ﾘ _￣｀丶、 ￣ ‐-':.:」:.: }:.:.:.::} かの射干玉(ぬばたま)の闇に在る衆多の
＼:.:|:.:.:.:.:/ Y:| { Tぅ㍉､ヽ _ -‐｀ Tt:/
/:.:.{:.:.:.:.{ ｉ |:.{ 弋_ツ′ rt=ミ､ ,′ 魂魄の内にだ。
＼:.∨:.::, 八:ﾍ 弋_ツ /
ｉ:.:.＼:.:.ヽ_.ｉ＼ヽ { ,ﾊ 享楽に晃る、ブラックスターサファイアにも
└-=:_∧:.八 .|:| ノ 八:＼
＼l ＼:j r = - ｧ ／ .ヽ:ﾊ 似たものが在った。
_|_彡＼ ｀¨こ´ . ／ ｉ:.:|
くL.__ 、 ／ |:.:} 美しいぞ。其方。血と絶望と蕪穢(ぶあい)を
/ﾆ＝=‐- _＞:-イ ﾉ:.ﾉ
___ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ≧r ´ ／／ 泰然と愉しむ、張維新。
r＜ ｀ ､＿_ _〈ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ| {:（
ﾆﾆﾌ ￣ | ｉ ´ ｀¨ ｰ-=ﾆﾆﾆニj_ ｀
ﾆく __ -‐= .| | ￣￣ ＞: _ ＿
ﾆﾆ＼jニヽ／ | | ＿_ ｀¨ くﾊ T ￣ ¨}＿
ﾆﾆﾆﾆ〔￣ -‐ ＼＼ / ＼ ___ } | ／ ∨＼
ﾆﾆﾆﾆﾆ＞ﾊ ／ ＼ ＞‐- _ { ヽ__／ ∨ j Lニ＼
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ弋＿_ ／／¨T =‐- 」 }い{ }／ r'ﾆﾆﾆヽ
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆラ く } / 人 /∧ ﾉ＼ ﾉﾆﾆﾆニﾊ
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「とは言えど。これも宝石と同じく品質を確認する為に、間近にして、良っく観なければ
┃｜
ならぬ。ルーペを睫毛が当たる程に近付け、手にした石を前後させながらピントを調整
する様に」
魔女が、張維新を調べ上げた手法。それは正に神秘そのもの、人間達の通常知覚する
物質世界から掛け離れた手段であった。
そして、今現在も行使されているとの報せの言葉。魔女は、張と交渉に当たりながら、
張の魂と言うものを超常の力をルーペが如くに使い、観て、計って居り——。
※蕪穢 土地が荒れ果てる様。卑しくて下品な事。
.
221 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:39:05 ID:jEYNOEksSa
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ| その上で、よ。だからこそ。
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ 其方は埒外の力に溺れぬと観た。
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', 強い酒の飲み方。勿論、識って居ろう？
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ _ ＿‐ ''"
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/ （￣￣ﾍ, --‐ ＞'´ , .ノ￣
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{ _ ∠-==､ ﾍ'"／ ／
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| __, _‐'ﾆ´ｲ｀＼ Ｙ〉 .〉 /
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{ =='‐''"´. }､ ヽ .| / ／
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __ |_ﾉ ﾉ }､__/ /
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼ヘ. / / ﾍ,,ｨ=Ｙ
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i ……参ったな。
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', } 背骨の下の方から、
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. {
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜ ゾワゾワ這い上がって
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} |
}/ { ｒ _ }////ノ ! 来やがる。
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
.
222 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:41:13 ID:jEYNOEksSa
_ -===- ､
_ -=ﾆ二三三三Ｙ云ミヽ
/ニニ二三彡彡介ミミミﾐﾍ
/＝ニ二//／ .//:"´｀ヾミﾐﾐﾊ
/＝ニ二/// /// ミミﾐﾘ 男が女を口説き落とそうって時、銀幕
{≠// _乂 ,ｘ≦ﾆﾆミ ミミj
Ⅵ{ ,才三三}⌒ {三三三 }}.j｀Y} スターが演るキザ野郎が、女を宝石に
乂i仁 三三} :. `ｰ─‐''¨ .）t/
｛ﾊ.`ー‐‐′ :.:... し′ 例えるのは有り触れてるが。
弋､. ^ｰ＾′ ﾘ!
｀､ ... ｰ:::-- .:j､ まさか、俺が宝石に例えられるとはな……。
＼ ｀"´ ／ ハ
＼ __＿,， ´ ／二=ヽ､__
_ハ__＞ , 仁二二=!二 ＼
_ -=ﾆ7/⌒ヽ ／二二ニニ|二二ﾆヽ
,，=ﾆ二／:i:ｉ｀ヽ人ﾍ／二二二二二|=／￣￣｀ヽ
/二二ﾆ/i:i:i:ｉ:Ｙ /二ニニ＼三三／二二二二ハ_＿＿
/二二／:i:i:i:i:i:ﾉ ／二二ヽニﾆ>=//,イ二二二二ニｉ三三二
/二二 乂:i:i:i:i:i:i:ヽ/二二二ﾆﾆ／二{/／二二二二二 |三三二ニ
,ｲﾆニニ二∧:i:i:i:i:ｉ/二二二ﾆ／二二ﾚ仁二二二二二ﾆ|三三二ニ
/=ｉ/二二ﾆ/八＼:i/二ニニ／二二二Ⅳ二二二ニニニﾆｌ三三二ニ＝
, 仁∧二二∧ﾆ∧/ニニﾆ／二二二二ﾉ二二二二二ニニ !三三二ニ＝
／二∧二二∧ﾆ＠/ニニ／二二二二／二二二二ニニニﾆ '三ニニニﾆﾆ
,ｲ =ニ∧二二∧二ﾆ/ﾆﾆ／二二二二二i二二二二二二二二 ,'三二ニニ＝/
,厶=二∧二二∧二ﾆ/ﾆ／二二二ニニニ |二二二二二ニニニ/三二ニニ= / .
／⌒ヾ=∧二二∧ﾆ＠/／二二二二二二ニ |二二二二二二二 /三二ニニ= / . :.
⌒ヾ＼｀vへ∧二二∧／/ｲ仁二二二二二二ニ／二二二二二二ニ/三二ニニ ／ . : :.:
ニニ二＼イ∨二／二＠=/二二二二二二二ﾆ厶三三≧＜二ニニ/三二ニﾆ／ . . : :.:
ニニ二二∨/'／/二二二{二二二二二ニニ＜三三三三 ＼＼'二/ﾆ三三＞" . . : :.:.:
二／三三三三彡'´＠二 j二ニニ＝＝─ ￣¨二二二二二 ∧ V/ﾆ三＞" . . . : :.:.:
=/三三三三二才＝＝≠气三三二二二二二二二二二二二 /＞" . . . : : :.:.:.:
/三三三二二丿＜￣￣￣｀Ｙ二二＠二＠二二二二二二二才´ . . . : : :.:.:.:
三二ニニﾆ／ ＼ 人二二ニニ＝＝── ￣￣￣ . . . : : :.:.:.:
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┃｜
┃｜ 二本目のジタンをクリスタルのアッシュトレイに押し付け、鷹揚に背をソファに預けた張。
┃｜
三本目を懐中から取り出す仕草も見せず、ややあって片方の口の端を上げた。
.
223 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:43:53 ID:jEYNOEksSa
. .-――――
,．≦::::::::::::::::::::::::::::::::::
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ﾊ::::::::::::: : //:::,イ::i::|::::/¨¨¨¨⌒ヾ
ﾊ::::::::::::::: //:://::::;ｲ::|::/
∧:::::::::::: /_,＞ ´７ }::|/
/／:::::::／´ _,ノ // 魔女様の勧めるスピリタスを
/:::::::::／ ／:{//≧/ｲ､ :| } 厶斗
{ｲ:／ ∠:从―――- ､ ＿ -― 飲むとしよう。
/ .ｆ､,f三三三三三ヾ ｒ￢ ｆ三三
/ ∧{ 三三三三三 ｦ-― ､三三 ショットガンを腹に炸裂させて
ノ 厶斗七⌒∨三三／{ }＼三
／ ´ ＿_/＿∨≧´￣ i 愉しもうじゃないか。
i ￣ } { | } }
:ィ} ―――‐〈 ｀ヽ ノ '
. _,． ≦ニニ:′ :} ｀ヾ三三三三≠
. _,． ≦ニニニニﾆ′ ≠一 ./＼ ー
ニニ|ニニニニニニ { f ノ :＼
ニニ{ニニニニ ＿__」＿_ ├≦{ ≧ ー― ≦
ニニ|ニ＿＿__/＿＿ ＼ ノ:ニ∧ ＞= ＜
ニニ∨ニニニニニﾆ≧､ ヽ ,. ィ ニニﾆ∧ / ヽ
ニニ/ニニニニニニニニ＼ ∨ﾆ7:ニニニ ∧ / :}
ニ=/ニニニニニニニニニﾆ＼ヽ={:ニニニニ∧ ∧ /
┏┓
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┏╋───────────
┃｜
┃｜ スピリタスはアルコール度数96度。煙草の火も引火する殆ど純粋なアルコール。
┃｜
楽しみ方の一つとして、容量40cc程度のショットグラスにスピリタスと炭酸水やジン
ジャーエールを1：1の割合で注ぎ、掌やコースターで飲み口を塞いだ後、テーブル
にグラスを叩き付け、炭酸が舞い上がっている内に飲み干す、ショットガンが有る。
勿論、割ったと言えど、スピリタスの度数が凄まじい為に用心が必要だ。
——張は、元より荘多風を瓦解させる気は無く。
維持の方針のままに、ただ、魔女よりの超常の助力を受けるか、否かの交渉は、
張のこの宣言によって、受諾の形で帰結となった……。
.
224 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:46:21 ID:jEYNOEksSa
,.;'"~⌒'"~
| | :. ､ | |L / _ _.,_,,('" (⌒ヾ
| |::∧ , ､ /| √ ^'ノ⌒ヽ,,._ｿ''"
| |⌒ ゝ '/, / _ _,.,_,人⌒`'"~
| | ＞ _'/／ /rv 〉 ~^`"'ー- 'ﾍ.,_,.ｿ'ヽ(⌒
＿ {リ㍉ |__(ﾊ ／／'/ __
／ -=二 ∨ ∧ |//}/ /'/ // 〉＿／二＼＿
/二二l￣ ／し⌒ト--´￣/ 〈ヒ） / /〉^〈二二二二
二二:/ /二'⌒＞）ト { 〈/ // ＼／⌒＼二
|二ﾆ:/ /ニニ〈⌒ヽ| } ' / 〉 ／⌒〉二二二二
/=ニ/ /ニ二二V^八 , / }っ 〈二二二二二
|ニ / /二二二 〈⌒7 ＼/ ／ 人,ン 〉 ＼二二二
人 〈 〈二二二二 | 〈 ,' ／ ／ ￣＼ 二 ＼二二
＼ '/ﾆニ二二| ﾊ / / YY＝－ /＼二 〉
＼ '/二二二／Z/ / 八 {二二／／
／//二二二ﾆ∧ /-＜ |＼ /二二＼
|ﾆ//二二二ﾆ/ ＼ ＼!二＼＿ノ 二二二 〉
r-､
(⌒::. :::.
(´￣｀::. .::..__.:::´⌒ヽ
ヽ::r'⌒ヾヽｨ.: :ヽ::: (_ -､
Y:: ..::::::.. ノ::: ::..:: ﾉ
ゝ､::_ :: ｀ー-- イ{ `ｰ:. 、__＿__ , /／
｀て_,-ｒ'｀ー-- ＿＝-=- ／ヽ ＿,, ｲﾘ
／￣￣｀ヽ ／ﾍ:＼
圭二二ニ＝─-､_）､_＿＿__／ ∨::＼、
／, ′／´￣￣｀ヽ 八 / ',::::::∧｀:::...､、
_ .． ´.::/ , -―- ､__ソ /二∧ j!:::::: ∧:::::.:.:.:｀ . . 、
. : :.:.::::/ ／ , -―- ､__ソ'///∧ ハ:::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : :.:.:.:::{ ／ ＿ ｀ヽ∧////∧ / ! ::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . : : :.:.:.::::::::l ／///｀ヽ丿 ∨/V〃＼ / ! :::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ｀Ｙ////／ヽ }//{ ′ ! ::::::::::::: ∧:::::.:.:.:. . . . .
. . . : : :.:.:.::::::::l ﾉ//// ,///∧ _,彡′!:::::::::::::::::::∧:::::.:.:.:. . . . .
┏┓
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┃｜
┃｜ そうして、一転。
┃｜
寂然が二人の間に降りている。魔女は芳しい煙管を吸い、張は三本目のジタンに
悠々と火を付け、更け行く夜の時が過ぎ行く。
が。ゆるりと、魔女が紅唇を開き。
.
225 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:48:20 ID:jEYNOEksSa
-=ﾆ辷彡'⌒ヽ ｀^⌒ |‐---‐ /
弋廴シ ／⌒ ＼ | ／
"^¨¨^´´ ヽ |¨¨¨¨¨´
＼ ― ﾉ' ,
＼＼ `¨¨¨´／
⌒＼＼ _/
_ ＼＼ ／ / ……さて。
⌒＼＿＼＼_ -‐= ア /
`⌒¨´ Y‐-== 匕/ ' 事、此処に至ったならば、だ。
＼ |l -‐ ´ /
:::: ＼ :||
＼::::::::::::....... /i| {
＼::: /⌒/ |うぅ=--‐ ´
/ :／ ／―――――-ミ
/＼ / / ' ＼
// ∧ {/ ＼
/〈￣ / ＼
/::::::::::::::::::::://⌒´ ヾミ::::::::::::::::::::｀ヽ、
／::::／:::::;:イ:// __＿__ ﾐ::::::::::::::::::::::::::ﾍ
／:::::::/::::／ /// ∠才´￣｀ ﾐ::::::::::::::::::::::::::∧
. /イ::::::/::::/ ／´/∠才77777ﾊｒ=;,､ﾐ:::::::::::::::::::::::::::∧
/ /::::::/i:::/／ 厶//////////} ｀＼:::::::::::::::::::::::::∧
/ !:::::/:::!/≧､＿｛//////////// ＼::::::::γ⌒ヽj ……至った、
|:::/ﾊ//// V////////／ 彡＼:/∠｀ヽ i
|:/ i {/// ｀ ｰ─一 ´ 彡ｲ { } ｝l ならば。
i′ V´ ..........) ）( ﾉﾉ
i｀ヽ:::::::::::::ノ ノ ノ イ どうしたい？
', ｀""´ ﾑ /:::/
', ー＝ﾆ二ヾ 才 ト ,.イ:::/＼
', ...,,,, ＼＼ j ヾ:ｲ::::::::ヽ
', ＼＼ . ｲ:.. ∨::::::::::ﾍ
...,,,､..-:::――――:::-:..､._.,,..ィﾊ ヽ;;> ,.イ: : : / ∨::::::::::ﾍ、
:::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/／∧ . ＜: : : : : / ∨::::::::::ﾍ＼､、_
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:::::::::::::ヽ､__＿__.... ＜: : : : : : : : : / ／lﾍ:::::::::::::ﾍ ∨:::
::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::／∧: : : : : : : : : : : : : : / ／ !: ﾍ::::::::::::ﾍ:::::
:::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::: / ∧: : : : : : : : : : : :,.:′ ／ ,ｌ::::::ﾍ ::::::::::ﾍ:::
.
226 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:50:22 ID:jEYNOEksSa
. : / .:}| | .} j| }) /
. : :/ .}| | .} j|___/ /
/ }| | /}_____. j|ｒ/
∥ ________ ｒ -‐ ''"´ ﾉ.i| ｀j|/／
､. : {{‐‐‐‐‐彡xz_________ノ彡 八 八′
⌒.八 ⌒宀宀￢´. :./ / /⌒ヽ
j ヽ )/ / / '/:.
´ . : : / / V/,
. : : ／{ / V`、 魔女である妾より、人間への表敬が為。
___ ‐=ﾆ / . : }: :.
， . : . ( .人: .} そうさな、黒社会の住人たる其方へ。
｀ｰ _ -‐ ´ ／(´ '/:. ／⌒ 人
. : : / ＼ '/:. ( ／⌒ 落とし前を付ける時。と、行くか。
=- _ ィ(. : ./ `、 '/:. ＼(__
｀ ´. : : /〉 _)) '/:.
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y/{ '/.
- __________ ィ(i:i:i:＼ ):|
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉 ﾆ=- _ ／人ｒ／⌒ア
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／ (´---------ミ____
｀ ____ ィ({ ﾆ=- _ ＼
j ＼/
:.､ V/
:＼ ﾉV/
⌒ヽ:＼ . ／ }/
`、 . : ／ ﾉ
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┃｜
┃｜ 張が目にしたのは、宛(さなが)ら純潔の慈母となった者の微笑みを浮かべた
┃｜
黒麗のドレスを纏う存在が、ソファより立ち上がった姿。
白き繊手の片方が優雅に上げられる。何とも臈長(ろうた)けたる指先よ。
雪白の掌に、飛鳥が如くの勢いで黒いものが受け止められた。
ワルサーP99。ペントハウス内のベッドルーム、その枕元に隠されていた自動
拳銃が魔女に召喚されたのである。
.
227 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:52:40 ID:jEYNOEksSa
＿_
_l_｢￣ヽ＿＿＿＿＿＿＿x≦ｰ'ﾐメ、
ミド―┘三三三三三三三三＼ 刈
＼ ｰヘ
ミメ、 ヽｰ―――――――トryyy'|
~刈ﾊ |///////////////| | |f气l
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彡, ' |//////////＞'" ．＜////lﾐﾒ､
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＿|＞'" ．＜/////リ．＜う'" ｢￣￣￣ヽ
＿＿└ｫ ヽ＜//////////////||∧ l／ }/!
｜ ￣ /////////////////||/∧/ ｘ‐ ､ / |
| //////////／｢ミlとつ||///! l |'￣￣}
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┃｜
┃｜ 思考の閃きより速く立ち上がった張がホルスターより銃を抜く、その一刹那。
┃｜
ワルサーP99の銃口は、既に向けられていた。
何処へ？
魔女の白く滑(すべ)らかなる胸元を穿つ様に、魔女自身の手によって向けら
れていた。
瞬く間に煮え滾る空気。
直ぐにも銃撃が可能な体制で魔女に相対する張。
.
228 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:54:37 ID:jEYNOEksSa
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/: : : : : : : : : : : :.:.:. .:.::.:.:.:.:.:: : : : : :| ｒ‐Y|乂/| | | |
. /ｲ: : : : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:: : :.| /} } { } .| |├┤
{! |:ﾊ : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.}_ 何の心算だ。 {_{ィ´ } {/| | | |
. |! }ヽ＼:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:; } |//// } ヽ| | l |
{ { }:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::::.// |////ﾉ V∧| |
ヽ､ﾉ {:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.// V/// V /二〕
} i＼:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:{′ `ｰ{ V_/_/
_,.．-'''"￣￣￣￣￣￣￣￣＼ ヽ ／¨二二{
. ／ ＼ }／ ／ '，
_／ ＼ -‐──────- ､ '，
￣`‐-≦⌒ヽ _ -‐──────- ､ ,ィ´ ＼ '，
＼ ﾞ¨'' ‐≪ _ ＿＿__,.．-‐ '' i ＼ '，
¨'' ‐- ￣￣￣￣ | ＼ '，
:::Ｙ::）人::::::ヽ:::::::ﾉ:/: : :l: : : : : : : : : :l: : : :l: : ﾍ:ﾍ
:ノ:Ｙ:::::ﾉ::::::::::Ｙ´: ,': : : |: : : : : : : : :..:|: : : :|: : : ',∧
:::::ﾉ:／::::::::::::/─､: : : :|: : : : : : : : :.::|: : : :|: : : :Ｙ:ｸ
>'"::::Ｙ::::::::::/ ./: : : :.|: : : : : : : : : :||: : : |: : _|:.|: ﾉ
::::::::ノ::::::::ノ､___ﾉ: : : :.:.|: : : : : : : ＿| l‐‐／￣|:.|:彡
＜::_ノ-ｲ:､: :｀: :|ィ｀:`:─＜´ ／-- _,|:|ノ| 其方等の流儀、よな？
. Ｙ＼: : :|: Ｙ____‐__.-､｀ヽ '彡ﾓﾀﾉ .|{ |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ 人間を嘲笑したは妾ぞ。
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',', 張維新、其方を奥底まで
//＼ﾍ __ ｨ. / .',',
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ 品定めしたは妾ぞ。
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （ これが無礼で無くば何とする。
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼
.
229 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 22:57:26 ID:jEYNOEksSa
_ ＿_r‐､
_r ⌒⌒ ｀ヽv⌒ ､
ノ─‐ r ￣￣￣`ヽ ﾊ _
f - ミ ＼ }
＿_／ ／￣ ＼ ＼ 黒社会の人間相手。今は、三合会、金義潘の
ｨ＝＝ﾍ//Y / ／ ', ヽ ヽ |i
f/////////∨ ' ／ } l ヽ ヽ li 白紙扇、張維新相手に交渉を決め込んだのだ。
{///＿_////{ ,' ,' / / ハ } } } |l | }
ﾞ'''- _r/////{ { ' l{ｌ /} l } } } }l |l l l 陰腹も切らずに来た者が、侮辱を吐いたのだ。
ィi〔///////{ ∨ {lf寸 //ノ-‐v⌒｀／⌒｀l |l}
{/////////∧ 丶_ノ ￣ ,ィ´ l､_ｨぃ} |ﾆヽ 暴力なる剛力を以て何をも踏みしだく者がよ。
＼//f'辷／/ハ ｌ }＿＿＿ f/ ,斗，7仄 { ﾉ
V'"ノ/////} ｌ }､＿辷__=ﾐヽ 〔｀ｰ彡' V ∨ 舐められたままを、許せるのか？
{///////} l人｀ゝ-’'＾¨ l弋
｀`'～-v' 人ｰ､ ｧ ' ＼
_ ／‐' ｀＞ ､__ __｀_"-‐／／ 丶
／￣ ＞､ ｀ゝ--‐ ／/ _ _ ｀ ｰ- --､- ､
lf ∨ ＞--' ,' /////〕iト ｀ヽ＼
{{ _ --､f´ヽ |^ﾊvvvvvv{ﾉ⌒Ｖ＼///////〕iト ﾏ二<￣
寸ーこ_/////＼_） _ﾉ////////|＿_ /ﾉ ＼＿_ ＼/////ヽ ￣＼
/_r─'⌒寸//八 )‐ヤ ´ ゝ======‐'| ー､ヽ /////＼＼ ///∧ ¨ヽ
////Y^Y⌒////ｱっ_)ヽ | ヽl /乂/////＼＼'//∧
／//// ////////{ /{ｲ､ハ } { V////＼＼/ハ
＿＿＿ ＿＿＿
／:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:::'´:.:.:.:.:.::.:.:.:ヽ
／:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.'，
／:.:.:.:.:.::.:.:.／{|^¨⌒~¨''¨￣ヾ.:.:.::.:.＼
. ∠:.:.:.|:.:./::／ |! __,.．-‐ }.:.:.::.:.:.:.:.ヽ
{:/{:/{:/_,__〈ィ云斥心､＿＿_{.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:i
|'Y////ﾉ¨{///////}７￣￣ヽ.:.:.::.:.:.:.:.:.:.}
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.|
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./ ……。
＼＼ し' /:.:./
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./
. } / |:.:.:/
. | / !:.:{
{ _ -‐′ __|从__
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ |
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
.
230 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:00:15 ID:jEYNOEksSa
. {//／ ヽ///少' }:Y⌒ヽ:.:.:.|
`ｰ{ 〉 ￣ .V ,ハ .}:.:.:|
. ｒ､ { `ｰ ﾉ心 /:.:./
＼＼ し' /:.:./ ……これが。
. { ⌒¨''ヽ､ ｒ''{¨:.:.:./
. } / |:.:.:/ 信念だの、生き様だのと言われてりゃ、
. | / !:.:{
{ _ -‐′ __|从__ くだらねえ。と、嗤い飛ばしちまうんだがな。
ヽ､ ＿_,,.. ．-‐≦ _ ，＜ 〉 ＼
_}＿_ _ ，＜ .／ |`ｰ─
／}ﾊ ｒ､ ／ |
／ //{￣￣} ／. |
＿__,,.. ／ // | | .／ |
／ ノﾉ { / ヽ ／ | .
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┃｜
┃｜ ゆらりと。銃を上げたままの黒社会の人間が、歩を進める。
┃｜
二人の間を隔てる空気が、緩い粘性を帯びたかの様な歩み。
魔女の前に立った張。
白絹の肌の胸元に、黒い銃口は押し付けられたまま。
魔女の手の銃で以て、「撃て」との意思表示であった。
これが魔女の言う、落とし前か。
.
231 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:02:57 ID:jEYNOEksSa
＼ ― ﾉ' ,
＼＼ `¨¨¨´／
⌒＼＼ _/
_ ＼＼ ／ /
⌒＼＿＼＼_ -‐= ア /
`⌒¨´ Y‐-== 匕/ '
＼ |l -‐ ´ /
:::: ＼ :||
＼::::::::::::....... /i| {
＼::: /⌒/ |うぅ=--‐ ´
/ :／ ／―――――-ミ
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|ニニニニ / ＿＿＿):::.
＼ニニ- 人_:／:::::::::::::::::::/
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┃｜
┃｜ 銃把を握る白く細やかな手指に、硝煙と血が匂い立つかの男の左手が触れた。
┃｜
ワルサーP99のトリガーに指を掛ける手が、入れ替わる。
銃口は、動かず。
.
232 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:05:39 ID:jEYNOEksSa
＼＼)::::::〈￣ ` ノ ／／| ニニニニニニニ／ニニニニニ／￣￣￣￣￣＼
_个ー-------―＝＼ __／, ´ 八ニニニニニニ/ニニニニニ／ニニニニニニニﾆ
|ニニニニニニニニ |/＼ /ニ＼ニニニニ=/ニニニニ ／ニニニニニニニニニ
_ ------＼ニニニニニニニ |/ / ＼___ ｲ ＼ ＼ニニニ {ニニﾆﾆ.／ニニニニニニニニニ／
／ニニニニニニ.＼ニニr㍉'⌒>-＜//// ＼r―＜::＼ ＼ニ ／￣￣￣{ ニニニニニニニニﾆ／ニﾆ
／ニニニニニニニニ=＼ﾆ|____／／:／￣￣￣ |:::::::|:::＼＿＿ ニニニニニ＼ニニニニニニニ／ニニニ
-ニニニニニニニニニニニ/ / ／ニニ- _ ￣￣ ／ ---- ミ ////∧ニニニニニ ／ニニニニ
/ニニニニニニニニニニニニ| |.／ -ニニニニニ__.／ ''"ﾟ~￣~ﾟ"'' ＼ ///∧ニニニﾆ／ニニニニニ
. |ニニニニニニニニニニニニﾆ＼|〕 -ニ〕／／ ／￣￣￣＼ ､ ∨,'//∧ ニﾆ／ニニニニニニ
. |ニニニニニニニ／￣￣￣￣∧＼ ＼ 〃 / ' ／￣＼: :＼ヽ '////∧＼'ニニニニニニニ
. |ニニニニニﾆ.／ニニニニニ/ ∧ ＼ ＼ ∥ / / .'i:i:i:i:i:i:i:i:ﾊ: : ::. '////.∧ﾆ＼------------
. |ニニニニﾆ／ニニニニニニニ/∧ ＼ ＼ 〕 {{ | |:i:i:i:i:i:i:i:i:ii:i|: : :i | |//// ∧ニ ＼
〈ニニニﾆ/ニニニニニニニニ / ∧ ＼ ＼ | ＼ | |:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|: : :l | |///// ∧ニニ＼
-ニ二 /ニニニニニニニニニ/⌒ ､ | 〕 /| |:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉ/: : / / .|////// ∧.二ニ ＼
-ニ./ニニニニニニニニニ/ ＼ | 〕八 ､:i:i:i:i:i:／:.:／ /::| |/////// ∧ニニニ.＼
- {ニニニニニニニニﾆ./ ＼ /∧ 〕/＼ ￣--=彡 ／ :| |//////// ∧ニニニﾆ.＼
､ニニニニニニニニﾆ{ ＼ /∧ ＼( ￣￣￣ :| |///////// ∧ニニニニ=＼
＼ニニニニニニニ 人 ＼/∧ 〕 :| |////////// ∧ニニニニニ.＼
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┃｜
┃｜ 「恭順は、してやらん」
┃｜
左手にしたワルサーP99を手首のスナップで下へ投げ捨て、右手に銃把を握る自身の
銃で以て、張は魔女の胸元へと——。
耳馴染が有り過ぎる乾いた音が張の鼓膜を叩き、空の薬莢が床に落ちる甲高い金属
音が、微かに響いた。
.
233 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:07:44 ID:jEYNOEksSa
=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=‐=
BGM：ttps://youtu.be/-d6kZtRcFnc
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τ !::::::::::::::::::::::::::::)／,,,,, γ :'`'``:!
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┃｜
┃｜ 魔女の背中、銃弾射出口から血潮が飛沫く。
┃｜
ペントハウスの室内照明に照らされ、赤々と晃めく様は、何処までも異様ながら美々しく。
ピジョンブラッド、ビーフブラッドと血の色で赤みを評されるルビーとも異なる、妖魔の赤。
呼吸器官から逆流し、咽せと共にそれが魔女の口からも噴出される。
床に倒れ臥し行く魔女の身体は、抱き止められた。
ジャケットの袖から、ラペル、ネクタイ、シャツが生微温く熱いもので染まって行く。
.
234 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:10:28 ID:jEYNOEksSa
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::::::::::::::::::::／ ⌒ヽ＼:::::::::::::: /):／:::::::／:::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉
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|:::::::::: 八 : : : :( ~"''-=＞- ＼:､ }::::::|
|::::::::::::::::} : : : : ) ::::/ニニﾆ-＼ 从:/
|::::::::::::::::{ ー ∥ニニﾆﾆ-_＼ /:／
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|::::／. . . . . . 〉 -ニニニニ/ヽ へ{
／. . . . . . .∥ ＼.ニニ／ |ニニ〉
_／ . . . . . . . { ￣ |二 /
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.￣￣ ＼......... 人 ⌒＼丶、 {::::...... |
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＼...........＼ /
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//∧ ／＼ -ニニニ- _ ／{ {. ＼＼
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┃｜
┃｜ 抱き止めた魔女の顔を覗き込む張の表情に、揺らぎは無い。
┃｜
サングラス越しの黒い両瞳に、苦悶を浮かべながら魔女は薄く、笑む。
「……煙管、には……、エリキ、シルが、な。……無く、ば、肉の……身を……、保て、
ぬ、が……」
言葉と共に、溢れる命の赤。
「人……間、の……、死……と、等価……の……、償(つぐな)、い、には……、なっ、た
……か……？」
.
235 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:13:07 ID:jEYNOEksSa
o
ゝ;:ヽ-‐―ｒ;;, 。
,,____＿冫;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼ ,,,,,,,, o ／
"｀ヽ;:;:;;;:::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:从 （;:;:;:;:ヾ-r
〈;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:） ０ ソ;:;:;:;:;:;:;:｝
,,__);:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ノ ゞｲ"ヾ,:;:,ｿ
(;:;:ノｒ-´^~;;r-ー⌒｀ ,.、
" ,,,, _;:;:⌒ゝｿ;:/
（;:;:丿 （;:;:;:;:;:;:;:;:;:)
ヾ;;;;;;;;;;;;/; ＼
´ /;:ﾉ 。 。
（）
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┃｜
┃｜ 蒼白の容貌。息も絶え絶えの言葉。
┃｜
何を思ったか。身体に出血が無かった者も唇を尖頭歯で噛み切り、口を血に塗(まみ)
れさせる。
——古く、現代では行われていないとされる儀式が、三合会にはある。
三合会に身を置く際に、複数の身を置こうとする者を集め、その者達が互いの指先を
斬り合い、流れ出た血を一つの盃に注ぐ。その盃に、鶏の頭を落とした血を更に注ぎ
入れて飲み分けた後、儀式に参加した全員が中国の神を拝すると言うものだ。
拝する神とは、蚩尤か、共工か。今では、歴史の彼方となってしまいつつある儀式。
それをなぞらえたか、どうか。そも、張維新が、それを知っていたか、どうか。
肺から上る血に小さく咽せ、魔女の赤く塗れる喘ぐ唇が。同じく血に塗れた唇に強引に
塞がれ、舌を抉じ入れられた。
※蚩尤、共工は共に中国の悪神とされる二柱。
.
236 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:17:39 ID:jEYNOEksSa
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┃｜
┃｜ 張の鼻腔と口腔に、血臭をも甘やかにさせてしまう、この世在らざる伽羅の匂いが満ちる。
┃｜
今宵、魔女の纏う伽羅の香り。それは魔女が手にしていた美妙な透かし掘りの施された
鈍色煙管から放たれていた事を張は思い知り、更に舌を蠢かす。
なんと、おぞましいありさまか。もはや、ひとのよからはずれおちたる、ありさまよ。
……漸く、唇が離れた頃。
魔女の青褪めていた頬には薄く薔薇色が刷(は)かれ、苦悶も僅かながら薄らぎ始め……。
ペントハウスに撒き散らされた魔女の血液も、どうした事か、少しずつ霧散して行く。
魔女を目にした瞬間から超常を目の当たりにし続け、撃ったとしても死なぬものと察して
いたとは言え、ゆっくりと魔女が生色を取り戻し行く様を見ている張も、流石に小さな安堵の
苦笑を漏らした。
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237 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:24:32 ID:jEYNOEksSa
￣ ‐ _ _rrrx ｀丶､ ∨
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＿ _,.｡o≠''“”￣ ｀` |i:i|i:| ｀`''弌ミs｡.,_ ｀ヽ､ __∨
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r──┘|i:i:|＿_ノ ＿__|,,,..､-‐r'ﾞ|i:i|i:|￣|~.|: | |:ｉ |i:i:| i| |::| | l l|_: : :|::|: : : : : : : : : : : : : : |_|: : : :| l l
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| .:|i:i:|i:i:i:i:ﾑ ﾊ: : : : r＜￣ |i:i|i:|〕」=ﾆ二二l＿| |:ｉ |i:i:| i| |::| |￣|∧__＼＞__─- 二_///::::|/ /二
＿Ω--┴＜⌒＿‐‐‐‐,.└─‐ゝ__二,|i:i|i:|-‐ ''"￣: : : ::::_,:二ﾆ=|i:i:|-┴/_ﾑ─ V¨ …─- 二＿''' ￢…{ /i:i:i:
─:::::::二_￣ﾞ| ′￣7 ''' ／…─:-:|i:i|i:|: : : _,. ‐= ￣: : : : :::: ::|i:i:| └─-- ...,,,＿ ￣””““ /i:i:i:i:
T ￣|:::_,,:::| | } ,' / : : : : : : : |i:i|i:|￣: : : : : : : : : : : : :::: :::ﾊi:| ￣ ─く＼(＼
-‐ ''￣::::: | |｀r/ / }:::: : ::: : : : :|i:i|i:|: : : : : : : : : : : : :_,.: ┬ 「}:| r<>ｫ ＼ ) )´
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::::::,. -‐ ~|_|⌒'＜ノ }｀ヽ､:::: ::::/: |i:i|i:| : :_,. -r'´} i | |_,. '" γ::::::,-ﾄ､＼ ￣ ｀ヽ､|
''" ｀ '＜ ｀Y:/: ::|i:i|i:|￣| ﾉ |_」-‐'" {:::::::::|｀´|＼＼l三三三三三三|
｀'＜ノく: : :|i:i|i:| | 」-‐' ＼::::ゝ‐'＼＼{三三三三三三三
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┃｜
┃｜ 魔女が張へと悪態を付かんばかりに顔を歪ませたが、未だに銃撃を素直に受けた身体に
┃｜
走る激痛から完全には解放されていないのか、張に抱かれたままに身悶えする。
出来る限り揺らさぬ様にと体制を変え、魔女の柳腰の身体を抱き上げるとペントハウスの
ベッドルームへと運び込んでしまう張。
その時には、血潮に染まり切っていた魔女の黒い綾織りドレスも、張のスーツも染み一つ
無い状態になっていた。
唯一、張の口元に自身が噛み破った為の傷と、血痕が小さく在るだけ。
魔女をクイーンサイズベッドに静かに横たわらせると、張自身もベッドに、魔女の傍に腰掛
け、見詰め合う。ある種、剣呑な視線の交わりである。
.
238 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:26:49 ID:jEYNOEksSa
───＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ三三三三三三三三三三三三三
| l ヽ V ヽ |
l! ｜ | ' ∨_ ヽ ∨
/| ｜ | ｜ ∨ミヽ | l
/ l l| |ヽ V ｀ ! |
' / ∥ / |ヽ ! } 人_, /
＿/∨|＿/ム―ｲ＿/ | !__jI斗ィ}∨
|_ﾊ |'´ ／ ﾉ |
__,.-‐'''￣ | N／ ／| }
ｨ _,ｨ㌻´_ -― ヽ|l|,／ ﾊ,/
{ ,ｨ㌢_ -_,ｨ==＝=寸, |ｱ~ /|/
l_､丶｀ r ｨ㌻＞-､ ﾏ}ﾂ /l |
冫 l '" { ・ -} ﾘｌ /⌒l
_‐ｧ´,-ﾆ ､ ゝ-ﾞ´ ''/ /⌒ !
｀､ /￣＿｀ヽ ＿_ _-ﾆ / /⌒） }
/ ｀ヾ ｀￣￣ / / ﾉ ……貴、様ッ。
rｧ -､ヽ ,' /-´ ／
＿, ィｻ´ / ｲ＿／ 火事……場、泥棒、が
┬┬┬‐‐l_,┼lⅣ / ／￣
┼┼ i ｢_｣-'‐'~ ,ｲ / 過ぎ、るぞッ！
￣￣￣ ／ ヽヽ,
￣´ イ / /
｡＿ -'''´/ム ／／
ト‐z＿_ /r‐寸L/ /
| } ￣7 /＼＼
! i V } jI斗' }ノ
三三三三三三三三三三三三三ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝────
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i 意趣返し諸々込みだ。
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', } 俺みたいな男の前でな、律儀に
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. {
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜ 無抵抗を晒すからってのもある。
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} |
}/ { ｒ _ }////ノ ! 痛いなら、大人しくしておけ。
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
.
239 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:28:53 ID:jEYNOEksSa
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : :／:::.:／ ヾ:.:.::./:.:.＼
,': : : : : : : : : : , -‐ ､:.:.:./ィ/:.::.／:.:.:.／ }:.:./::.:.:.:.:.i
. i: : : : : : : : ::／／⌒ヽ:.:.:.:/::／/.:ィ' ￣三ミ､/:.∧:.:}.:l
{: : : : ::.:.:.:.:.:{ { ,ハ .}三≧二ﾆﾆ==─┬┬弌:/ }:/}′
',: : :.:.:.:.:.::.:.:.:', ./ヽj } ￣|////{j .|′
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.', 〈 ノヽ |////ヽ
',:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::j､ 乂ﾉ {/// ',
i:.:.:.:.:.::.:.:，＜ヽ_| `ｰ′ V それと、だ。
. }:.:.:.，＜ | / _ 〉
/¨¨ | ｒ_､_ ｒ''¨ 口説き文句の返事だが。
. ＿/ i { ＼ ﾆ=‐-′
／ ＞，. i ＼ ￣) 勿論、答えは係だ。
／ ＞，. i ＼ /
／ ＞， i ＞，. /
＼ ＞， ＿＞， ＿/
＼ ＞， ／
＼ ＞，
＼ ＼
＼ ＼
// /∥ / / / j/ /: / ／: : :从: :＿: : : :-─: : : ＼| |
/ / ∥ /:| 从_/: ;／: : : : : : : : : : ｀´: : : : : : : : : :| } /
,' ,'|ｉ / 川 ,': :|/: ,. -─=ミ: : : : : : '´-‐r辷zzzｨノｨ: : :| /ﾚ′
| l |i / |从|: :_／: : : : -ミ､: : : : : : :vア,ｨflr丐ミ>､彡:i| ∥′
| l |i ﾊl | j| |: :／: : : : ､_乂Yvﾐヽ: : : : : ﾚ'＾...::￣￣￣ i| ∥′
| l |∨L}从V: ': : : :z‐彡ｲ气＞'': : : : : : :. | {ﾚ
| ' |ﾆV小_从: : ゝ彡ｲ＞''" ..:::' 〈:,i}: : : :. u / ……あ"ぁ"？
|/ |ﾆ=V_Y |ｉ: :＾zｰ'^ }: :,-､: :. {
ニﾆV| ＼ L-､ r'´ __ ‘，
寸ﾆ八 ／＾ヽ _ -───-／｀ __‘，
寸 }i ∥ゝ {L_ _､‐''゛_ -‐ ￣ )‐'´ ｨｱ ‘，
寸从}^ヽ、⌒ﾞ ､ 厶-＜r'＾r'´__ -‐ '" ' ′ ‘，
|| ゝ _ >､ ￣ ---‐' ／ ,' ＼
/,' ＞､､ ／ ,'
／/ ',///＞､､ '
／ ,′ }/////// ＞‐く /
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┃｜
┃｜ 苦痛に脂汗が滲む程度に持ち直して来た魔女であるが、魔女自身には何か予想だに
┃｜
しなかった言葉が耳に入り、悪態を付きつつの声が漏れた。
係とは、広東語で発音すると「ハイ」であり、意味としては英語で言う所の「Yes」である。
.
240 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:30:57 ID:jEYNOEksSa
_ ............... _
,r‐::::::::::::::::::::::::::::::::...、
ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
／/:::/^Yヽ:::::､:::、::::::::::::::::::::::ヽ
ﾘ八 ﾘハ＼＼ヽ ､、::::::::::::: |
ﾍ癶、 ､,,,､-=ミ､ Y:::::::::::::::l 夜に美女がだ。男一人の部屋へ来て、
{ｉ|ｉ|ｉ}こ戈i|ｉ|ｉ|ｉ|ｉ|} ﾘ/⌒Y:::'
{¨７ ￣￣ 厶ｿ ﾉ:/ 面と向い、誉め千切って来た。
､｀ヽ ｰ ＾Y
', ﾏ二ﾌ ／ i､ これが口説き文句でなくて、何なんだ？
、 ／ ／／ ／ヽ
｀才＿ ´ ／.:.:./:.:.:.､
_ ,／.:./ハ ／ .:.:. /.:.:.:.:.:.＼
／/.:.:ヽ／//∧ ／.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ
. /.:./.:. ／ｲ////∧,.'＼＿＿/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:./.:. /::/ //／ / .:.:. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､
ﾉ.:.:′/::/ ///, /.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__＿＿ヽ
. /.:.:.: '.:.:.'.:/ ////, .:′:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/.:.:.:.:.i.:. i:/./////, ′:.:.:.:.:／:.――ｧ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:.:.:.:.:|.:.:ｉｉ'//////.:.:.:.:.:.／ ー――′:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. ／ .:.:.:.:.:.:.|.:.:||'/////.:.:.: ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:||'////.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
|: ∨:/｀Ｙ| ｀人ヲｸﾉ` ｀ ´ ﾊｲ
＼ﾍ| ﾊ ｀ ´ | ',',
ヽヽ//ヽ ､ ., / .',',
//＼ﾍ __ ｨ. / .',', ……。
// ｀ﾍ＼ -‐ .／ ,ノ
ヾ､ ﾏ }_ ＞ ／/ ／
） .〉-ソﾌヽ_r‐､_´__/＞ （
（ |::::::::｀::＞-ｲ､<ﾉ<_/
}::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
__ _＿_ ／｀ ＜::::::::::::::::::::::::::::::{
｀）＼/＿ ＼ ／ ｀ ＜_＿::::_ノ＼ __
<__/´___,ﾊ ＼ ` ‐‐---- -､ ｀ ─＜ ＼ｲ´＼
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┃｜
┃｜ 浅い呼吸で胸を上下させている魔女。
┃｜
張の話を神妙に聞き入って居るのでは、決して、無い。
只々、呆れているのだ。何に対してか。自らが発した言葉を、自分に取って良い様に
受け取り、言葉を返している男を。何より、かにより、人間と言うものに思考を寄せず、
賛辞を贈った自身に。
男が悪辣である事は、まじまじと観ていたので解っていたが……。
.
241 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:32:34 ID:jEYNOEksSa
ゝ/´/////彡∧i‐-､
／////＞≦_フ´ﾞﾞ‐-､∧
／///／{::::::::::::::::ヽ=γ￣＞､
////／ゝ､ヽ:::::::::::::::ﾉ ＼::::::::::ヽ
,//／／ ｀ ￣￣ 〈⌒´i‐‐､´ しかも、口説いて来たのは常識と世界法則を
γ⌒ヽ' ,, ヽ ノ i
i |i､｀) 'ゝ二二二二７ , 粉々に打ち砕く、ゾクゾクする程の良い女だ。
､` ヽ ｀‐-==- i
､ゝλ i 娘々だろうが、魔女だろうが、構うものかよ。
∨i ､ ．＜三ヽ ノ
∨ ＼‐‐ ´////////／ 障りがあったとしてもだ。後の事は、知らん。
〉 ＼/////////,i
／ {｀ ､ ＼ ､｀ ヽ////,i
ゝ´:::::::∧､ ￣ ‐-,-ヽ-‐iヽ
´::/::::::::::://∧:. /‐-‐∨ i∧､
::/:::::::::::////∧ ∧:::::::::::∨i/∧｀....､
/､:::::::ノ/////∧ ／ ヽ::::::::::iヽ///､::::::ヽ::.‐-
/////////////＼´＿_ }´￣∨ i///////＼::::::::＞､
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ ……魔女としては、荘多風を維持しながらも思うままに出来る人間の条件として、少々
┃｜
以上に神経が【切れた】者を候補として見繕って居たが。
このブレーキは付いていて、巧みに操作も出来るが時と場合により、危機を俯瞰した
ままに愉しんでしまえる男の神経は切れていると言うより、別物なのかも知れない。
故にこそ、破倫の街、路南浦の実質的な支配者で居られるのだろう。
呆れの感情を隠しもせず、何一つ反論する事無く、反論する程、痛みが散っていない
のもあるが、張へと視線をやる魔女。
視線を受ける男は、横たわらせた魔女の生色が完全には戻り切っていない、冷たい手
指に、自身の手の重さが障らぬ様にと触れる。
.
242 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:34:25 ID:jEYNOEksSa
_ ............... _
,r‐::::::::::::::::::::::::::::::::...、
ｲ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
／/:::/^Yヽ:::::､:::、::::::::::::::::::::::ヽ
ﾘ八 ﾘハ＼＼ヽ ､、::::::::::::: |
ﾍ癶、 ､,,,､-=ミ､ Y:::::::::::::::l ……綺麗に結った金髪を解(ほど)くのも
{ｉ|ｉ|ｉ}こ戈i|ｉ|ｉ|ｉ|ｉ|} ﾘ/⌒Y:::'
{¨７ ￣￣ 厶ｿ ﾉ:/ 辛いだろうからな。
､｀ヽ ｰ ＾Y
', ﾏ二ﾌ ／ i､ お預けを自分に言い聞かせてやろう。
、 ／ ／／ ／ヽ
｀才＿ ´ ／.:.:./:.:.:.､
_ ,／.:./ハ ／ .:.:. /.:.:.:.:.:.＼
／/.:.:ヽ／//∧ ／.:.:.:.:.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ
. /.:./.:. ／ｲ////∧,.'＼＿＿/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
/.:./.:. /::/ //／ / .:.:. ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ､
ﾉ.:.:′/::/ ///, /.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__＿＿ヽ
. /.:.:.: '.:.:.'.:/ ////, .:′:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/.:.:.:.:.i.:. i:/./////, ′:.:.:.:.:／:.――ｧ:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. / .:.:.:.:.:|.:.:ｉｉ'//////.:.:.:.:.:.／ ー――′:.:. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. ／ .:.:.:.:.:.:.|.:.:||'/////.:.:.: ／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
／ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:||'////.:.:／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |
-=ﾆ辷彡'⌒ヽ ｀^⌒ |‐---‐ /
弋廴シ ／⌒ ＼ | ／
"^¨¨^´´ ヽ |¨¨¨¨¨´
＼ ― ﾉ' ,
＼＼ `¨¨¨´／
⌒＼＼ _/
_ ＼＼ ／ /
⌒＼＿＼＼_ -‐= ア /
`⌒¨´ Y‐-== 匕/ ' 抜け、抜け、と……、まぁ……。
＼ |l -‐ ´ /
:::: ＼ :|| なれ、ば……、髪を、触らせ……よ。
＼::::::::::::....... /i| {
＼::: /⌒/ |うぅ=--‐ ´
/ :／ ／―――――-ミ
/＼ / / ' ＼
// ∧ {/ ＼
/〈￣ / ＼
/∧７ ＼
.
243 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:36:42 ID:jEYNOEksSa
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:＼
／:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.ヽ＿
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:::.:.:.:.:.:.（＿. ＼
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.／:／:／:.:.:.:.::.:.:.:.:.ｒ‐=j ヽ
/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::／:／:／/:.:.:／ﾉ.:./:/＼ ＼ i
{:.:.／⌒刈:/{:／乂_,ノ.:／_/.:／{:| ;:Y ヽ i
|:.:{ { ツヽ}ﾉ ＼７７斥ｭ二ヽ |! i:.| ', }
|:.:', いｒ'' {//////７ ／ミ､}:.}ヽ. { 髪を、か？
i:.:.ヽ i 弋/////ﾉ⌒!升≧.ﾚ′ ｜
i:.:./ 〉 ￣￣ .!/////} | 触らせろって？
}/ { ｒ _ }////ノ !
，ィ ヽ ＿ `ｰ‐′/ ヽ }､_
＿ _ ，＜ { ＼ ',＼ '´ ￣｀¨¨ .／＼_ -‐ '''' }7Tヽ
￣￣￣ / | ＼} ＼ `ｰ ' .／ ヽ ヽ .／/ .|. ヽ
/ | ＞．_ ＼ ／ ＼ .／ / ! ＼
. / |､ ¨ﾆ７`┬'＜¨ヽ /／ / ! ＼
. / .| ＼ /ィ７７7 } ＼ ＿＿_/ / ./ ＼
/ |. ＼ /{/////} { ＼ {＼ ／ ／ ＼
. / | ＼ / V///,{ヽ＼ ＼ ヽ＿_／ ＼
/ | ＼/ }////} Ⅵ. ＼ } ＼
｀＜､丶ヽ〉'〃ｿ ｉ ハ ＼x'´ﾍ､＜_,/ ＿,7 ∥ | ｉ ｝
∨ヽﾍ ゞ' ﾉ ） /／/ ∥∥∥
∨ヽ｝､_／ ／ ､ゞ::├＜_/ / /
,'´｀'∨｝（ (￣ , ｲ::::丿 ￣/
'､ ,'´｀Y ＼∧ ＼ｰ-_, ﾉ:／ ……そう、だ。
ヽ､ .｛三二∨ト､ ゝ' ／ゞヽ_
|/////丿/＼ ／ ,つ 東アジ、ア系、の
,ﾉ///／´/////ト ＿／ /＞ー-､-＝＿
ゝ＝＿////////｝ ＞ ´￣｀＼ ＼ ｀'､￣三二ﾆｰ 黒髪、を……だ。
/ ￣￣､￣￣「´ ｉ ヽ､〈_ ヾ,////////
/ ＼ ヽ / ｉ ヽ 〈/////
/ ＼_ 丶 / | / ﾍ/////
/ー- _ ､＿ ＿, ､_, | / ヽ _ |///
／ ｀ゝ ､ ￣￣￣ / | ∨////
／ ＞-个´＼ゝ､,ヘ｀ ､_ ＼, / 〈∨ |////
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┃｜
┃｜ 「艶、やか、で……、冷たい、黒髪を、妾の……、指で、梳(す)かせよ……」
┃｜
魔女の声は未だ小さく、掠れたままで、聞き取り難い。
ようやっとの事で解した張は、舌打ちしたい衝動へ無理矢理に蓋をした後、渋々とでは
あったが、革靴を脱がず、フットスローに乗せる形で魔女の隣へと横臥した。
不機嫌を満面に押し出した張に、底意地の悪さが極まった唇の端を隠しもせず、魔女は
間緩い手付きで自身の柔らかな金糸の髪とは全く異なる、艶と張りに満ちた張の黒髪を
手櫛にて梳く。指の間を通る冷感を魔女は、繰り返し繰り返し楽しむ。
楽しまれている男としては堪るまい。況や、お預けを自身に言い聞かせたとあらば、尚更。
.
244 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:38:37 ID:jEYNOEksSa
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,. ┐
,' f´}
| ｀{
r‐-､ _| ｌ-‐ ､
r‐{ヽ／ Ｘ´.} | }
{ {,.'＼ ｀ヽ | __ノ
. 〉 ヽ l |´
f´ ', ', l !
／｀| .', ', ! }
/ | .', ', _ﾉ
. ,' ,ﾊ ', ' }
| i::::! r‐'
| ﾞ ' ＿__ﾉヽ
∧ ≧=ｲ フ
| ﾊ 二彡´ ノ ＼
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┏╋───────────
┃｜
┃｜ 「……宝石の魔女様よ。ここまでの仕打ちを男にしてくれたんだ。明日からの香港展示
┃｜
会三日間は、俺に全日付きっ切りでの御教示を願いたいもんだな？」
緩々とした手櫛を止めず、魔女は。
「……良かろう。とっ、くりと……、カットの、技法……、様々を教えて、やろう」
どこか、うわ言を口にしている様だった。目先の楽しみに耽っているのだ。鉱物である
宝石と同じく、しかして全く異なる、冷んやりとしてすべすべとした黒髪の触感に。
金牛宮、牡牛座の象意として五感の発達と言うものがある。金牛宮の魔女と言う事は、
視、聴、嗅、味、触の五つの感覚の心地良さに惹かれると言う事でもあるのだ。
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245 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:40:51 ID:jEYNOEksSa
{ |_／
.￣￣ ＼......... 人 ⌒＼丶、 {::::...... |
. ＼...........＼ ＼ ＼ :::::r' ¨´
＼...........＼ `ー.::イ
＼...........＼ ＼__/ ……聞いているのか？
＼...........＼ /
＼.......... ＼ / ベアト……、いや、ビーチェ。
', ／⌒ |.......... ／＼＿＿ノ＼
∧ ／ |＼／￣￣￣＼ 人
/∧ ／ニニ=- _| / ／￣￣＼＼
//∧ ／＼ -ニニニ- _ ／{ {. ＼＼
j ヽ )/ / / '/:.
´ . : : / / V/,
. : : ／{ / V`、
___ ‐=ﾆ / . : }: :.
， . : . ( .人: .}
｀ｰ _ -‐ ´ ／(´ '/:. ／⌒ 人
. : : / ＼ '/:. ( ／⌒ ……あぁ、聞いて……いる。
=- _ ィ(. : ./ `、 '/:. ＼(__
｀ ´. : : /〉 _)) '/:. 張……、維新。
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y/{ '/.
- __________ ィ(i:i:i:＼ ):|
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:〉 ﾆ=- _ ／人ｒ／⌒ア⌒/
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:／ (´---------ミ____／
｀ ____ ィ({ ﾆ=- _ ＼
j ＼/
:.､ V/
:＼ ﾉV/
┏┓
┗╋━━━━━━━━━━━
┏╋───────────
┃｜
┃｜ 朔の闇夜が深更へと沈み行く流れの最中。
┃｜
確かな拠り所無き幻魔の締結と、或る男のひととして決定的な破綻への兆しが灯った
時が存在した。存在してしまった。
但し。或る男としては、視界に写る世界が更なる流転を見せたとしても、只々、愉しみを
見出だすだけの事。
そう、今は。この闇夜を夢幻の顕れと共に過ごす時を、愉しんでいるのだった。
fine.
.
246 ： ◆l3wbotqtLQ (ｱｳｱｳ 7563-ec61) ： 2019/05/20(月) 23:47:40 ID:jEYNOEksSa
＿＿＿
／.:.:.::.:.:.:.:.`ー ､
／.:.:./:/./:/}}‐-ミ::.＼
/:.:.ｒ====ミ_ｒ====､}::.:.} ……と、言った所で投下終了だ。
／｀ヽつ {:.:./`ｰ─ 〈 〉､＿__〉::.:}
_／二 ＼ } .{ Y , }/ 日付変更まで間近。早い所ベッドに
/ ＿ ヽ } | | {二二二二二} ﾊ
/ / ヽ _j |_〉. ヽ__＿＿＿_/ ,'ｯ,' 滑り込んだ方が良いだろう！
＿,､＿／¨ヽ､＿＿ / / / Yヽ .}ヽ `ｰ──‐′/ノ
／ { { /＿/ .／ .ﾉ__j ＼ ,ィ 夜は、恐ろしい何者かの為の時だからな。
／ ／ | ｜ | | ./イ } | ー‐ ≦_
／ | | |＿_|// 八.| /| /} ＼ ＿
| 「」 |ー'' ／ ﾏﾑj } ＿_/｜ （ー‐‐=≦ } `ｰ ､＿,､＿＿
}＿＿_| ￣￣ﾏﾑ＿＿／ﾏ7ﾏ7| ／ | ／ .／
＿＿＿＿／ } ⅥⅨⅣⅣ ヽ'´ { ／ .／
,' ｉ i ⅥⅣ } .／
/ ｉ i ∧Ⅳ , -'" }／
_ / i i ∧//ﾊ , -'" /
‐- _ / i ｉ/////ｉ _,.．-'''" /
＼ ./ ｉ i |/////| _,.．-'''" {
/ i ｉ |/////| , -'" }＿＿＿＿＿＿
.
247 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ﾜｯﾁｮｲ a311-4485) ： 2019/05/20(月) 23:55:46 ID:/nzAuciM00
今宵も大変すばらしい作品を投下していただきありがとうございます
艶めかしい雰囲気に充てられしばらく寝れそうにありません
248 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ﾜｯﾁｮｲ e6c4-4485) ： 2019/05/20(月) 23:55:55 ID:h2A.HNaI00
乙でしたー！
今回も読み応えありました
249 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ﾜｯﾁｮｲ 4cde-10ed) ： 2019/05/21(火) 00:38:03 ID:eTkr6/ro00
ほんとフィルム・ノワールの一幕のごとき読みごたえやわ。
250 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ｵｯﾍﾟｹ 707f-b9d2) ： 2019/05/21(火) 00:48:13 ID:0n8Hw7MoSr
乙でした！
やっぱり面白い！
今宵も大変すばらしい作品を投下していただきありがとうございます
艶めかしい雰囲気に充てられしばらく寝れそうにありません
248 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ﾜｯﾁｮｲ e6c4-4485) ： 2019/05/20(月) 23:55:55 ID:h2A.HNaI00
乙でしたー！
今回も読み応えありました
249 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ﾜｯﾁｮｲ 4cde-10ed) ： 2019/05/21(火) 00:38:03 ID:eTkr6/ro00
ほんとフィルム・ノワールの一幕のごとき読みごたえやわ。
250 ： 小さな名無しさん＠この板は300レスまで (ｵｯﾍﾟｹ 707f-b9d2) ： 2019/05/21(火) 00:48:13 ID:0n8Hw7MoSr
乙でした！
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