亜人はＢＡＲに居る　第11話　「祈りは其処に」やる夫達のいる日常

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亜人はＢＡＲに居る　第11話　「祈りは其処に」

目次　現行スレ

257 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:00:25 ID:fcc933c4

サラマンダー
幻想世界に存在する四大精霊、その中の火を司る精霊として存在しており
小さなトカゲやドラゴンのような姿が一般的な、炎の象徴的存在である

　　　　　　　　　　 , 　――-
　　　　　　　 ,.'　　　　　　ﾏ
　　　　　　　　　/　　　　 _　　∨
　　　　　　　ﾄ　　　　　' ,.=ﾐ　 !
　　　　　　 j::,!　　　　ん沁　l
　　　　　　　　 l.´　　 , 　　｀￣´　l　　　　,, 　　　 jヽ
　　　　　　　　ヽ＿＿ , - vｱ.　〔　 _＞'.l!　　　 ,!:::l.＼
　　　　　　　l¨｀<_ヽ-----" ,.　　￣　　　 >　　 f:::_::ヽ_.ヽ
　　　　　　 < 　　¨｀ー‐.＜　　　　　　イ　　　 l!'::::l/.......}
　　　　　　　＞ ..＿　,'´ ⌒ ヽ. 　┬＜　　　　　ﾏ'"..........l!
　　　　　　　　　　　｀!　　　　 !　　∨　　　　　　　ヽ,从{/
　　　　　　　　　　　 j!　　　 l 　　 ∨　　　　　ノ /l!´
　　　　　　　　 /l　　　　　l　　　 ∨＿__＞　／./
　　　　　　　／　! 　　　〉' 　　 ∨　　　／／
　　　　　　　　 l 　　＼　　　l! 　　　　 }-一 ' ／
　　　　　　　　　ヽ　　　＞-.┴ ､　　　 l---.＜
　　　　　　　　　 r' ､,.、 / 　　　 ! 　　 l_
　　　　　　　　　｀￣￣　　　　　｀ー―-'

創作世界では火の精霊というと、イフリートが連想される

だが彼らの元を正せば、アラビア世界におけるジンと呼ばれる精霊であり
炎だけではなく様々な魔術を操る存在で、炎という一属性を象徴する存在ではない

但し、ジンという精霊は煙のない火から生まれたとされており、一概に無関係とも言い切れない

258 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:00:52 ID:fcc933c4

亜人としての彼らは、いわゆる発火能力者
ガスなどの可燃性物質が何もない場所から、自らの意思で炎を生み出す行為である

そのメカニズムとしては、手のひらなどから自らの体液――汗などを炎を誘引する物質
単語にするならば「意思反応性発火誘導因子」とでも言うべき物質に変え
それに対し、頭で命令を発することによって、空気中に存在する物質を炎に変える、というものらしい

　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;.　 ..ヽ　　.|　　　　　　 `;;、　　　 : ﾞ''― ....,,,,,,、　　　　　;;;;;;;;;;;　　　　　　　　　　　　　ヽ...　　　　　.../ ﾞ´
　　　　　;;;;;;　　ｌ .i､.ｌ　　　　　　/ 　　　　　　 : ;;;;;;;.,ﾞ巛ﾞヽ　　　　 ...;;　;;;:　　 .、　　　　　　 !;;;;;...　　 ./″
　ぇ、　　　 ;;;;;;　 .ヽヽ　　　　　　|. ;:. ;　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:　!.＼.ｋ、　　　　　 .|;;;;;;;;;;....,.. l．
:r､　ｌ.`-ﾘ'､　　;:　　 .｀'ゝ　　　　　ヽ ;...;:　　　　 ,.r::'´:: ￣｀ヽ　　　　　　　　　　;;|,.;...″.ｌ　　　　　　!;..;;;;;;;;/;
l;　ﾞ'┘　ﾞ" ｌ　　　　　　　　　　　　　＼ . 　　 /r::´,ｲ｀:ヽ; : : :＼　　　　　　　　 ..ﾞ'-､..　.ｌ　　　　ｌﾘぃ.lﾞ
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..ゝ,,.ｌ''"＼　|　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::/｀ヽ；；；:::::i:､_;_;_;》　　　　　　　　　　　　ヽ
　 . ｀　　ヽlﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　￣不炎､:::::::＼::::::/::: : :./
　　　　　　｀　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ﾘ. ノ :.:＼_;_;_ゞr=t､::/
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､;..;ﾞh、　　　;　　　　　　　　 ./_∠ﾑ/__ﾑｲ　:i `｀| |',r=7　そ∧
.りヽ.!ヽ;;;.,、　　､,　　　　　　.| /　　　 /　　/r｀¨.!,!　.,'　　 ./　|＼
;;;;;;;;ﾞ!〉;ゞ"!　　 .,r ||'-、　　　〈.i　　／,rｯ./､' i　 .,.:'　,'　／　 .i_／｀ヽ、
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　　 .;;;;;.;;;;;.ヽ,_.ｌ.....;;;;;;;;;|.;;　　 .| |　く　　i　　/　　 i i:::i　 /　　　　　＼!　 |　　　|　 |
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　　　　　　　　　　　　 ;;;;;.ﾞ";ﾞ'-ｯ．　 ;;;;;;.!;;;;;.∨;ﾞ'j､　=--'　　　　　 !/|　.!　 .|　　 i　 .| 　i　　i　　　　　　　 .,
　　　　　　　　　　　　 ;:;;;;;;;;;;;;;;ヽ..;..　;;;;;;|.;;;;;;;;;;;;;;; ｌ.　 ..;;;;　　　　　 | .|　|　 .ﾍ　 /　　i　/｀　〉　.　　 .'ﾘ'-、 !＼. ,,.
　　　　　　　　　　　　 : ;;;;:　;;;;;;;;｀'-x,_./ ;.;;;;;;;;;;;;;　l,,-''I;;;　　ﾑ、　 .! .|　ﾍ　　∨　　　|i´、　.ｌ　　　　 ./ﾞＬ｀　　.´ `‐
;　　　　　　　　　　　　　;:　　 ......;;.. .;;;;;;;.　.......;;;;;;;;l｢;;;;;..ｌ.;;,　 /.;;ヽ .∧ ﾍ　.ﾍ　 '　　　∧　ﾉ..'t ､,　　.､　｀'!=､,.|ゝ..!ﾞ'
.;;;;;;.　　　　;;.　..;　　　　　　　 ;:　　　　　 ;　;: .;;;;;;;;;;´.ﾞ‐'ﾞ;;;;;;;│ ﾍ　　く　　　　　　　__i. 　 .ｌ.; ＼ |＼.　　｀′
　.;;;;;;;;;;.....　　;.　 ;;　　　　　　　　　　　　　　　 ;;　　.;;;;;;;;;;;;;;;|　　＼　　　　　／　　 lﾍ.ｌ.;;;;;;ﾞｲ.;;;ﾞ＼
　　;;. . .;;;;;;.　 ..;;　.;;;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;;.ヽl、　｀ー=----=ｲ　　　;.n.!;;;ﾞﾞ';;;;;;;;`....;;;;;;.｀'ヽ、
　　　　　 ;;;;;;　　;:　;;;;;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;;;;;;;;ヽ,,/ ｌ,　　　　　　　　　/ ;´;;;:　 .;;;;; ...;;: 　　 .｀ﾞ''
　　　　　　 .;;;;;;:　　 ;: .;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;;;.;;;;;;..ヽ、　　　　　　/ ;;;;;;;;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.. -;;ッ‐　　　　-'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __yﾆﾆ-'''″
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ ;;ﾆ″

自らの体液を媒介とするため、殺傷兵器――いわゆる火炎放射のように炎を出せば、脱水症状を起こしてしまう
もっぱら当の亜人たちも、ライターのように火種として用いることが多かったりするのだ

ライターと例えはしたが、そうは言っても炎であり、瞬間的な熱量は非常に高い
触れば火傷を起こすし、引火という可能性もある

危険な能力であることには変わりないため、サラマンダーの亜人は正しい知識とモラルを
教育機関や、先達の亜人達から学ぶことが、現在でも推奨され続けている

259 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:01:14 ID:fcc933c4

(;ﾉ";";~）;;/　　(ヾ ;";(;;";)
　　　　　（(;ﾉ ;;;";"ヾ';''ヾ;(￣｀``' ‐ .､._,,
　　　　　　　　　　　　　(;ﾉ￣｀``' ‐ .､._,,￣｀``' ‐ .､._
　　　　　　　　　　　　ヾ人);;;::::::.......　　　￣｀``' ‐ .､._"'ヽ
　　　　　　　　　　　　 |(;ﾉヾ;;;::::::......　　　　　　　　　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　(;ﾉ;;;::::::......　　　　　　　　　　ヽ,..;;'.　　　　　　　　これはそんなサラマンダーと
　　　　　　　　　　　　 |（(;ﾉ;;;::::::......　　　　　　　　　　　, i.;:::|
　　　　　　　　　　　　 |(;ﾉヾ;;;::::::.......　　　　　　　　　/二二二二二/i　　　　遠い日の記憶が紡ぎだす
　　　　　　　　　　　　 |((;;;;:::::.....,　　　　　　　　　　　| BAR　　　...;;| |
____＿＿_＿＿_＿_＿_,,|￣￣￣￣￣￣l　　　　　　　|: AXANAEL .| |.　　　一つの夜の物語
＿＿|＿＿|_＿__|＿＿,,|￣￣￣￣￣￣￣￣l;;;　　　|＿＿＿＿＿;|/
＿|＿＿|＿＿|＿＿|＿|￣￣￣￣￣￣￣￣￣l　　　|:|∥.;:|　|:| ∥
＿＿|＿＿|＿＿|＿＿,,|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ｌ　,|:|∥.::|　|:| ∥
"""'''　　　　　　　　　　　"""'''~　　"""'''"　""'''"""'''"""'''"""'''"""'''

.

307 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/22(Sat) 16:22:16 ID:16770693

　　　　　　　　　　　　　　 ┌─────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亜人はＢＡＲに居る

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　BAR　-AXANAEL-
　　　　　　　　　　　　　　 └─────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第11話　「祈りは其処に」

261 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:02:02 ID:fcc933c4

メディアのなにげない一言が、この夜の兆しだったのだろうか

　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　｀ｰ|:.:.:.:.:l..　　　「ねぇ、坊やにいい人は居ないのかしら？」
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._, ｀/ ､　　　　　 .|:.:.::.::l
　　　　　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /{ ｿ > ､_＼　　　　 |:.:.::.:.l
　　　　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//｀ｰ'-　｀　　_,,-‐-j:.i/:.:.j
　　　　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　　　　　　 /ｿ7´/::.|:.:/
　　　　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　､　　　　　i／:./／|/
　　　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀､　　　ｰ‐ 　イ:.:.:.:´i:.:.{
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|

そんな質問がやらない夫に飛んできたのは、いい具合に酒の回ってきたメディアが
旦那自慢とのろけを始め、それがひと段落したあたりのことだった

　　　　／￣￣＼
　　／ _ノ　ヽ､_ ＼
.　　|　（ ●）（● ）　|
.　　|　　（__人__）　│
　　 | 　　｀⌒ ´　　|　　　　　　　「いい人って……
.　　 | 　　　　　 |
.　　ヽ　　　　　　/　　　　　　　ああ、女の人ってことですか？」
　　　ヽ　　　　 /
　　　　〉-r:::┬〈、
　　／Λ 〉.:〈 7//＼
. ／////V::::::V/////＼
///////∧::://///////}
.////////∨/////////{

　　　　　　　　　 ,､∧ﾊノ丶人/ヽ'lﾉi_
　　　　　　　　ﾉlヽノ) /ヽ' 　）ノ　i フ￣i_
　　　　　　iV!/ｌ .| ! ／!./ !,／-‐'ﾉ￣ﾉノ;ﾉノ_
　　　　　 l,|.i_ノ /',i/　ﾉ-'"ノ' ｌ 'ノフミノ）彡（
　　　　iv'ﾉ '､ /　',／".／ . ノ, -‐ー'ヽ`＞ﾆ >
　　.i､ i､| / 　 Y./ヽ､, '", ;;彡'"二i'⌒ヽ"､二ﾆゝ　　　　　　　　　　「そういえば、そういう話は
　､| ` ､ヽ`ミノﾆヽ/"　`ﾞｰ''彡三| lミ､.i_, ゝノﾉ>
　_iヽ‐-ヾ､,､　(,,`ヾ　　　　　ミ`　`　l`''ヽ　 `ゝ　　　　　　　　やらない夫さんからは出てこないっすね」
　ヽ_`_､-,'`;;| `‐-`, '"　　　　　　　ヽﾉ"＞ヾ!` ＼,'"
　　ヾ;;__/ｌ,ヾ! i.　/,' .／l!　　　　　　　　ヽ　' ,　　　/:.:.:.:.:.:.
　　　　|;!'､　'､/;i ."'ﾟ./ 　　　　　　 `　ヽ　　|:.:.:.:.:.:.:.:
　　　　! ＼.ヽ `:::､　　　　　　　　　,'',　 .', ,ノ:.:.:.:.:／
　　　　　　.ﾞi/ヽ,_　　　　　　　　　　　　/::::!　　 !:.:.:.:.:,':.:.:.:
　　　　　　　`"'|　　._) 　　 ,,　　　　./:::::',　　ﾉ:.:.:.:./:.:.:.:
　　　　　　　　　､ ;:_,,"　　／　　　　./:::::::: 　./:.:.:.:./:.:.:.:.:
　　　　　　　　　`"￣ヽ_/ / 　　　　::::::::::　/:.:.:.:./:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　`''､　　 .,/ ,-‐､:::,.':.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ,__,,'／―ｰ''":.:.:.:ノ:.:.:.:.:.:.:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　.／:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.,／:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.

262 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:02:25 ID:fcc933c4

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（ ●）（●）
　.　|　　　　（__人__）　　　　　　「正直、自分がどうのこうの言うより
　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　.　 |　　　　∩ ノ ⊃ 　　　　　新鮮で面白い人たちがいますからねぇ」
　／ヾ.､_　　ﾉヾ､＿ノ
　(.:::::::＼／::::.／ノ:│
　＼:::::..“::::／＿|::::::|
　　　＼::／Φ:::::::::::/
　　　　　￣　￣￣

　　　　　|
　　　　　|. 　　　／
　　　　　|　　　／　/　　-‐━━
　　　　　|.　　/　　′. . . . . . . . . . . . .＞
　　　　　|＼/　　斗-. . . . . . . . . . . .. . . . . . .、
　　　　　|　　　　／. . . . . /. . . .. . . .. . . . . . . .
　　　　　|　　／-/. _ ／/. . . . . . . . . . .!. . . . . .
　　　　　|　　〈. .../__／｀/ . . . . . /. . ./. .|. . . . . .}
　　　　　|＼.　〉.{ ん心/}. . . . ._/._. ./. ....| . ト　　/|
　　　　　|. . V /　乂ノ　Ｌ . . ｨ. ..／丶. .| . |　＼.｜
　　　　　|. . . .{　　　　　　　　　ん心. ...V| . |. 　　j.　　　　　「私たちのことですね！」
　　　　　|. . .,小.　　　　　　　　乂ノ }:ノ . .∧ 　 /
　　　　　|. ./:/:∧　丶　 _　　　__ ノ. /.!. . . 〉斗=ｧ
　 r‐ .._∩}: ¨7ﾆム　　　　　　ア. . ./斗 . /__＜
　 }　丶`V　/ニﾆﾆ〕うﾆ=-=≦.. . ..／:|i. . ./.「￣
　〉　　　 Vﾆﾆニ7}斗- _ -=∠. .ｨ: : |:|i. ./ . !
　 }　　　　|ﾆﾆﾆﾆ{-=ﾆ二ﾆﾆﾆﾆﾆﾆV|:|i./ . . !
　丶　　ﾆ-=ﾆ二ﾆﾆﾆ-=Zﾕ=-- 　.|:|i. . . |.|
　　　}　　 | Vﾆﾆﾆ-=ﾆ二7¨　　　_..斗|i. . . |.|
　　人　 /⌒Vﾆﾆﾆ7⌒¨　_　-=ﾆﾆﾆﾑ. . ..八
　　　　 V　　 Vﾆ_7　　_ -ﾆﾆﾆﾆﾆニﾌ. ../. . .＼
　　　　　}/.　　 V７,　／￣￣￣￣-く.」. . . . . . ...＼
　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　／. . |i. . . ≧=-. ＼

静かに、しかし力強く告げる清姫であった
なお、ガッツは苦笑いである

　　　　　　（⊃￣￣＼
　　　　　（⊃　　 _ノ　　＼
　　　　（⊃　　（ ●）（●）
　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　|　　　　　｀ ⌒´ﾉ.　　　　「うん、まぁこんな感じでね」
.　　　　|　　　　　　　 }::＼
　　　　／ヽ　　　　　　 }:::::::＼
　　　／:::::::::ヽ､＿＿__ノ::::::::::::::）
　／::::::::::::::::.ﾍ.:.ﾔ､:::>７|:::＿::/
　|:::::::::::::::::::::::::::ゞ／￣￣（＿)
　＼:::::::::::＼　／|　ＪＪＪ　（
　　　＼:::::::／:::::ヾ､／⊂＿）

　　　　　　　　 ..　 ---　　､
　　　　　 .　 ´　　　　　　　　　ヽ
　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　 / 　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/　　　 /　　 .i　i　　　.|　　　　　　　│
　 ,'　　　　,' /.. ＼|､ |i　　 l／ |　　　 ',､＼
　 l　　 i　イ´　 / l .! |　　.,'|　 .l　　.|　　l　│.　　　　「まぁ確かにそれはそうだけどさぁ」
　 |　　.l　 .|　 ./　 l/　l　 /　l ./ ヽ　l　　 |　 l
＿.',　r |　 l.／三三　|ノ　三三　! / l　 ,'ヽ |
!::::::ヽ|　l　　|　､､､　　　　　　　､､､|〈　| /
ヽ::::::::ヽ.|　　l 　　　　　　　U　　/ l 'i
　ヽ￣　.l　　|._　　　r ―--､　 .　 ' |　　|
　　l　／:|　　l.:/l　　 ―　＜i´　　　l　　l
　〈::|:::::::/l　　|'| ヽ　　 |,､＼:!ヽ　　 |　　|
　＼:／.::|　　l へ＼　l' .ヽ l::/　　 l　　l

263 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:02:49 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_..,,.._　　　_..,,.._
　　　　　　　　　　　　　　　, :.:.´:.:.:.:.:.:.:｀´.:.:.:.:.:..:.:.:.｀ヽ
　　　　　　　　　　　　 .:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.': .
　　　　　　　　　 .':.:.:,:.:.:.:.:,r ､:.:.:.:.:.:.:.:, ､:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.':.
　　　　　　　　　　　 .':.:./:.:.:.// 　＼ ,／.　 '.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:'.
　　　　　　　　　　　 .'.:./:.:.:.//｀ヽlVヽY/l／´ '.:..:.:.:.:.',:.:.:.:.:'.
　　　　　　　　　　　 .':.:,':.:.:.,':,'　　　　　　　　 .l:.:.:.:.:.',:',:.:.:.:.:'.
　　　　　　　　　 l.:.,':.:.:.,':.l　　　　　　　 |:.:i:.:.:.:l:.l:.:.:.:.:.'.　　　　　　　「まぁきよひー達のことは置いておいて…
　　　　　　　　 j:.:lﾊ:.:l_:|＿＿__ノ　､　＿__,l_:l_.:./:/:.:.:.:.:.:'.
　　　　　　　　　 .l_,,.',:.i:-r 仆心､　　｀´ﾂﾄ心｀ヾl/:.|:.:.:.:.::.:'.　　　　　で、実際のところどうなのかしら？」
　　　　　　　　　　／　:}:.:.ﾊ.:l､辷ﾘ　　　　 ´ ゞ利_ノｌ:.:.:.|｀ヽ:ﾊlヽ
　　　　　　　　　　｀ヽ._j:..:.: / 　　　　　　　　　　　　.|:.:.:.|　　>.}:.:l
　　　　　　　　 j:.:.:,':.i:.:.ﾊ　　　　　 !　　　　　　八:.:|ｰ´ :ヾ.〈
　　　　　　　　　 .';.:/:.:,':.:.:.l｀.､　　　　, ､　　　　 ,ｲ:.|:.:.:.|:.:.>､:.:l:.:.）
　　　　　　　 .':.:/:.:/:.:.:.:j:.:.:..: 、　　ヽ'　　　.イ:.:.:.:|:.:.:.',:〈:.:.ヽY、
　　　　　　 ..':../:.:/:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:..:＞　_ 　＜　|:.:.:.:.|:.:.:.:.',:.〉､:.ﾘ.:l
　　　　　　　 .':.:/_./:.:.:.:/.l:.:.:.:.:.:.:.:.:j､＿＿＿,,...j:.:.:.:.|i:.:.:.:.:',ヽ:.ヽﾉ､
　　　　_,,.. -‐''"´;;/:.:.:.:/:.ﾉ;;ヽ-''"´, ､_, -､ﾃ―‐'ヽ⌒|!:.:.:.:.:.',´￣￣｀;;;,,,､
　 r';;;;´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:/:.:/ｰ'⌒ヽ,. ‐'´／　 /_　　 ,r'‐､;;|.:.!.:..ヽ',;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ヽ
　 l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/./::i/;;;;,._Y´/ _,／ _ 　　ヽ⌒ヽ;;;;;;;;;|/l:.:.:.:lヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞi

他人事のように言うメディアもそのうちの一人ですよ、と思ってはいたが
やらない夫はそれを口には出さなかった

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　「そうですね…
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　今はそういう相手は居ませんけど
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|.　　　　　昔は、けっこう仲の良かった子がいましたよ
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|　　　　ああ、ハクさんには以前話しましたっけ？」
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　 ,． '´⌒ゝ'"　￣￣｀　、
　　　　　／　 ,　'⌒ヾ} ´￣　｀ヽ.　　　 {ﾐ｝
.　　　　〃　／　　　　　　　　　　　＼　　{ﾐ!､
.　　　 { 　/　　　　/　　　　}、　　　　ヽ　||　'
.　　　　 ′　　 /ｉl∧　 ‐十寸＝‐ 　ﾊ||　！
　　　　 {1　　 ‐大{'＝、　 ;x-刈、} 　 !:jjヽ
.　　　　从N 　以＝x　,　/,ォ示=ｧ!　｜ｦﾉ ,′.　　　　　「もしかして、リネットさんが来た日に
.　　　　　八　个ﾞVrﾘ　∨　 Vrソ|l　　ﾚ' ∠-‐. :7
　　　　　　　ヽゞ ¨´ ，　　　"" |l 　レ'_:::::::::::/.　　　　話してくれた人かな？」
　　　　　　　　｜　}、　ﾏ _ﾌ　　ﾘ　 ′.、ヽ／
　　　　　　　　｜　 |i≧ｧ- = ≦イ　/iK:::::::Y
　　　　　　　　 Ⅳ、ﾙ∠__ト　 -}__! /｣ |:::＼:|
　　　　　　　　　　 γ/{〈｜　/ 〉j/＾ヽK ヽ:＼
　　　　　　　　　 {/　l l !ﾉ_〃　Y 　 }､::::、ヽ:.＼
.　　　　　　　　（　{ ￣/　　ﾉi== i ';:::::> ´￣｀
　　　　　　　　　　 L＿〉 .{＿__ ,{ |:::::｜∨
　　　　　　　　　　　|:::}/　 j 　　| |:::::: |
　　　　　　　　　　　|:/ヽ／　　 ‘,|::::::::|
　　　　　　　　　　　|{[i[二]ニi]ﾆﾆ|:::::::::|

どうやらハクは覚えていたようだ
リネットとやらない夫が初めて顔を合わせた日に、彼が語った人物の事を

264 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:03:11 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　´￣　￣｀　　　、
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　　　　　　　　　// /　　　　/　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　// //　 /　/　　 /`ヽ ,. 、　　　i　　ヽ
.　　　　　　　　　　　 // //　 /　/__ __/´~~`⌒i ト、　 l　　　i
　　　　　　　　　　　// /.! 　 i|ィ´i　// ｀　　　__| ｌｌ　　i 　　|　　　　「あらあら、そんな面白い話があったの？
.　　　　　　　　　　// .//! 　 l|ﾘ,.テ〒ヾ　　 ,. -.| ｌ i　　| 　　!
　　　　　　　　　 // ,. --|　　i| 乂r' !　　　〃ｌ7! l l　　i　　/ . 　　　詳しく教えなさいな、坊や」
.　　　　　　　　 //　`ー‐! 　 l|/////　　　 tr':ｿ //　 /　./
　　　　　　　__//　　　//|　　i|、　　 ____ '　//彡1＼/イ/
　　　　／　 `ー‐‐〈___|　　l| ＼　 !___ﾉ　　イｲil X >ｊ/
　　　　 / 　　　　　　 ! 　 i|　　`ｰr‐‐ 1/　! ｌｌij　〉ハ
.　　　 / 　　　　　　　　 |　　l|＼_____ﾄ、i´l　 .| |￣＼ /＼
　　　/ 　　　　　　　! 　 i|＼i」」」/　! !　ｌ |　　　V　/
　／　　　　　　／ヽ　N　 i|　　　　　/∧　ｌ |　　　　V ＼
／　　　　　　　　/,. -- ヽヽ.ﾘ　　　　 //　 Vj | 　　　　V /
　　　　　　　　／/　　　｀`ー ‐ ､／⌒ヽ／⌒ヽ　　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　ノ|
　　　　　　　　　　　＿＿ / ./　　　　／'
　　　　　　　＞. ´. . . . ／　/. ｀ヽ _　- ´ /
　　　　　　´. . . . . . .／　／. . . . . ＼__／
　　　 V. . . ＿＿／__／_____. . . . . . .｀ヽ＿＿
　　　 ∨. . . {　　　　　　　 _ノ. . . . . ヽ. . . | _ノ
　　　V. . . .|￣　ー---=≦. . . . .. . . ..|. . . ∨
　　　 |. 「￣＼　　./. . __./,---/ . . . / . . . .|
　　　 |. .＼ ___/ Y. . . . ./.／ノヽ|. . /|‐-. . ..!
　　　 .! . . { { 〈ん} . . . /r=笊　./. .ｨr、. . ./ |　　　　「わたしも聞きたいです、やらない夫様」
　　　 |. . . . . ..ヽ/＼ .|　ｖr′.|／vﾉ }/ /./|
　　　　| . . . . . . .|. . ..｀|.:.:.　　　　 '.:/. }ノ|/.ﾉ
　　　　| . . . . . . .}... . . |　　r　、　/. . |
　　　　|. . . . ___ノ|ヽ. . ト　｀　　イ |. ./
　　　　| . . /::::::ヽ＼',.∧ 「. . . . .／| /ヽ
　　　　| . /::::::::::::::::::::ヽ∧=r＼___ノ'::::------- 、
　　　　| /:::::::::::::::::::::::::::＼／::::::::::｀ヽ、_::::::::::::::::::∨
　　　 .j!.|:::::::::::::::::::::::::::::}!::::::::::::::::::::::: ＼＼:::::::::::::∨
　　　 j!∧:::::::::::::::::::::::::::}!:::::::::::::::::::::::::::: }　 }:::::::::::::::}
　　　.j!. . }、:::::::::::::::::::::::}::＼ :::::::::::::::::::: }　/:/ヽ___/
　　　j!. . .ヽ:::::::::::::::::::::::{!:::::::｀::::::::::__:>---≦}__}___〉　

恋愛脳ぎみな二人が、きらきらと瞳を輝かせ、ぐいと顔を近づけてくる
女性はこういう話が好きというが、彼女たちはその中でも上位に入るに違いない

見えない圧力に気圧されながらも、やらない夫は口を開く

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　「面白いかどうかはともかく…
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　昔、家の近所でよく遊んでた
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、　　　　　　　　　　　幼馴染の女の子が居たんですよ
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,　　　　　　　といっても子供の頃ですからね
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ', 　　　　　ふつうに遊んでただけですけど」
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　 _,,..:.:-::.:.:.:.:.:.:.:.:.:-　..,,_
　　　　　　 , .:.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀:..､
　　　　　　　／:.:.:.:.／:.:./:.:.:.:./l／l,l:.:.:.:.:.:.:ﾞ､:.ヽ｀ヽ
　　　　　　 l:.:.:.:.:./l _:.:-―:./''´　　',:.:＿_:l:.:ﾞ､:、:.:.',
　　　　　　　ﾞ､:.:.:.}'":.:.:.|ﾞ､:./　　　　ﾞ､:.| ﾞ､7ｰ-l:.ﾞ､:.:.',.　　　　　　　「うーん…
　　　　　　 .ﾞ､:.|:.|ﾁ三三三　　　三二ニ=､l:.:.:l:.:.:.',
　　　　　　　　／.|:.|三二=-‐　　　 ‐-=二三ミ|.:|＼:.',.　　　　　　まぁ子供の頃ならそんなものかしらね
　　　　　　 .〉ｰ､|　"""　　　　　　 ''""　ﾘ.:|_ノ:.:.',
　　　　　　 /:.:.:.八　　　　　　　　　　　ノ:.:.|_:.:.::.｀ｰｧ　　　　　で、いまその子はどうしてるの？」
　　　　　 ./:.:.:.:.|:..:＼　　　　 △ 　　　イﾞ:.:.:.:.|:.｀i＿:└┐
　　　　　 /´i:.:.:.:|:.:.:.:.|｀=ｧ- _ . 　 -‐= ´:.:.l:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:}､:.:.:Σ
　　　　　　 |/l:.:.ﾞ､:.:.:|:.:..〉< 　）../;;;>;;;＼:.|:.:.:./:.:.:.:.:.:ﾉ乂:.:.:.ゝ
　　　　　　　＼:.ﾞ､:.|´;;;;;;;;X‐/;;;;;＼;;;;;;;;|／ヽ:／l/　　　｀￣
　　　　　　　　　　ヽ/;;;;;;;;;;;;;;;;;＼,r''"´;;;;;;;i;',
　　　　　　　　 /乂;;;;;;;;;;;;;;;;ノ;;;;;;;;;;;;;;;;/;;.',
　　　　　　　　　　/;;;;;;;;｀;￣;／ |＿_;;;;;;;;/;;;;;;;〉
　　　　　　　　　　｀ｰｧﾃ―'´　　ヽ __ノ｀＼-´
　　　　　　 _,,.. ＜〈ﾉ　_,,.. ＜´　　　　　.{､＿_

265 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:03:34 ID:fcc933c4

　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
.　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/　　　　　　　　「小学校に上がる前でしたかね…
　　　　　　　 '､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ.　　　　　　　理由あって海外に引っ越しちゃったんですよ
　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ　　　　　　　その後、連絡も取っていないから
　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
.　　　　　_,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ　　　　いまはどうしているのかな…」
　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　 i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
.　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
. 　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　ヽ;;;...ii;;,,ヽﾄl∨ﾉﾊ ,,,,/;
　　　　　　　　、 ;;;iiゞヾllノﾄiiiiﾉ!!ii;i｀ﾉ/;/i｀/;
　　　　　　　＿ﾐﾐヽﾐ´;;;ll i:ﾐ》l ll>ゝi,ii,lliiヽﾚ;;/l/l/
　　　　　　 >=r｀illミミii;; i;巛l｀∨ii/ﾄ iﾊﾉir::i/ﾘ!lli
　　　　　　,-;ヽﾐii:ﾐﾐ:l{<ﾐiii i i、i:::iii::liiilll::i i/i:ii ii lll彡/
　　　　　 -,-´i;;;;ﾐiﾐﾐ!!;;.>!!>)i{iii::ll´iii´iﾊ;ii;;ii;ii,i,i;;ii｀l;iﾚ;
　　　　　　∠iiミii;;;、i,,、iﾄiiii,｀iillllii;;ill;:ii l;llii liﾉl:ﾉ/l/ノr-
　　　　　　 /:::ゝlミ,;;;ll;;..ﾐlillilll>ヾl;iヽii ll,iii:::ll;llll｀ii｀//7
　　　　　　,」ﾐﾐ巛ﾐii:::::::　´´.//ﾚ,,//｀iﾉiiiii:::llll::ii:、ﾉ彡
　　　　　　＞ﾐ、ﾐﾐﾐﾐiiﾐ/　./ll/./i//iハヾヾiYiilヽゞﾊ　　　　　「でも、その子と仲良かったんですよね？
、　　　　　ヽ, k=、;ﾐiiﾐ　　　ﾚ iﾚiﾘ/i　l.lﾚiﾘl iil　lli
::ヽ　　　　 .<l:::r-ｺiﾐ　＜巛ﾐ=:lwii　.：jii ﾘ　/ﾚ;illゝ. 　　　　子供の頃とは言え、手紙のやり取りくらいは
::彡、　　　 .1ヽヽｿﾐ　　　<... ￣｀.ミ、:: ﾘ/彡》_;;/
::::　＼　　 /ﾊﾊ,ヽi::　　　｀─´￣.ｿ ;　iﾉ二ﾟノi　　　　　　　やろうといいそうなもんですけど…」
　／/iiiiiii:::iii/　 :｀:1::::　　　　　　　　 ;　l　　　 i
iiiiiiii:::iiilllii::k　　｀　::　　　　　　　 ... :::　.l　　/
llliii::iiilllii::iiiiヽ::　　　ヽ　　　　　　ヽ-,__,:i.　 /ヽ、,;-;、
llll:::iiiiillll::iiiiiiiヽ, :::: 　＼　　　＿＿＿__, ./liii::iiiヾllll::lli:iii
iiiii:::iiiilllll::iiiiiilili::　::　　::::ヽ,　　　ヽ─－´/llllii::iiiiiii::illllll::il
:::lllii:::iiiiiiii:::iiiiii:＼::::::　::::::::＼　　｀─´¨ ｲllll::iiiiiiiiii:::iiiiiii::i:
::::lll::iiiiiiiiiiil::iiiiiiiiiii＼:　:::::: :::::｀───´iiii:::iiiiii:iiii::lllllllllll::

微妙に矛盾したやらない夫の物言いを、ガッツは不思議に思い問いかける
だがその疑問を、やらない夫は予想できていた

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　
　　　　　　　　　　　　　　　_,ノ　ヽ､__ 　＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　(⌒ ) (⌒ )　　_,-|、
　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　r' l　|.lヽ　　　　　　　「ああ、それには理由があってね
　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　 l　i　| l　l;:
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 l　l, | l ﾉ__　_　　　　　　　連絡を取らないんじゃなく―――」
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　/ｨ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 _　＜/ヽ__､_r'´　　　／/　　 /　　ヽ
　　　　　　　　 __ ,.　＜　　/ ／}　人　　　r y　　　　　　　 ',
　　　　　　　r´　　　　　　 j∧∧　/〈'--:´　Λ　　　　　　　l
　　　　　　/　　　　　　　　　ヽ:ヽ__〉ﾊ　　　 / ∨　　　　　　l
　　　　／　　　　Y　　　　　　　｀√:V ﾑ___＜　　＼　　　＼ !
　　／　　＼　i　　　　　　　　〉::::| ∧　　　　　 ∨　　　　〉
／　　　　　　＼i　　　　　　　　 i::::::|　∧　　　　　　ﾊ　　　　|

その理由を説明しかけたやらない夫の言葉を遮ったのは、扉の鐘の音だった
来客を告げるその音に、聞き耳を立てていたマスターだけが、そちらに向き直る

　　　　　　　　　　　 ,イ
　　　　　　　　　　　　 (　＼　　 _,.......... ....__
　　　　　　　　　　　　＞　`~~ ／',　　　、 `ヽ､
　　　　　　　　　　　, ‐'´　／　/　　,　　　ヽ　　＼
　　　　　　　／,　ﾌ　,'　　,′　　　　　 ,　ヽ.　 `､
　　　　　　　　 , ' ,' , '　　　,　,'　　　 ',　　　ｉ　　ヽ　ヽrァ
　　　　　　 / /　'　　,　,　 {　　　　 ', 　　 i　　 ', 　 //　　　　　「あ、いらっしゃいませー
　　　　　 ,'/j　,'　　,' /　ハ　　ﾊ　　　　　 !　　ｉ　//!
　　　　　　　j,' {　j　　 i ' ,{'､__',　 {　＼ ',　　 i　　 '// j.　　　　　　　どうぞ、お好きな席へ」
　　　　　　　!'　! .{　　i　 i ､､__'、 ', `ｰ'､__∧　}　ﾘ　ﾚﾉ,ﾉ
　　　　　　　!　', {! 　 |　 },,ｨﾆﾐ,'､ {　　､∠`ヾ,|　ﾘ　ﾄ,ｿ＿__
　　　　　　ﾚ''､　 ',　{ ""`　∨ 　ｲﾆミゝj /　ｊ 7＿___＼
　　　　　　　　ヽ　丶ﾟ､　　　､　　 ""~~` jﾉ　/ /　　　ノ
.　　　　　　　　　丶　 }｡丶、　､ｰｧ　　　 ,.ｲ　/__ﾉ　　／
　　　　　　　　　　　 r'､ﾘ　ﾉ ` ､___　　イ　ﾉ　ｿ　ヽーく
　　　　　　　　　　　 |　j .ﾊ /　 i　　　ﾉ /　ﾉ　　　`、＼
　　　　　　　　　　　 | .j / }::{＼　　　 ,.../　ノ- ､　　ヽ_ノ

266 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:03:58 ID:fcc933c4

新たな来訪者である女性は、ハクの呼びかけに答えず、立ち止まっていた
視線を巡らせ、入口から店の客達を覗き込んでいる

その視線が、ある一人で止まった

ハクが席に案内しようとする前に、彼女は歩を進め、その人物の前まで近づく
そしてその女性は、視線を止めた人物――やらない夫にこう呼びかけるのだった

　　　　　　　　　从:.i{/i{､ i 从_|/∧//::::::::::::i　从､i＼__≧＿
　　　　　　　　__ﾘi､从:.从:.{ｨ::::::::＜ノ　　ノﾘi　} ∧v:i:i:i:i:i:i:iフ
　　　　　　　　∨~~~~ヽ)ﾐh弋::::::::　､　　 /从ﾉ~~´ヾ,:i:i:i:i:i:i:iヽ,
　　　　　　　ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iYヽ,　ｨア　ノ从ﾉﾘ从:i:i:i:i:i:i:iイ廴
　　　　　　　ﾌ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ih､__／ |:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i厂
　　　　　　≦:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ih､､_ﾉ',:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾘ
　　　　　　　フ~~~~~~""'''＜:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}＿_ﾉ{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iア´
　　　　　／-=ﾆﾆ二二二二~''＜:i:i:i:i:i:i}､ﾆﾆ｀~ヾ))_~~~~´{
　　　　 /-=ﾆ二二二＞''~~ヾh､　~''＜ﾘﾆヽ,ﾆﾆﾆ《､_》ﾆih.　　　　　　「久しぶりですね、やらない夫」
　　　 /-=ﾆ二二ﾆ/: : : : : : : : `''＜ﾆﾆﾆﾉiムﾆﾆ｀~ヾ} i} |
　　　 ,-=ﾆ二二ﾆ/: : : : : : : :イア~~~＼ /:i:i:|∨, ﾆﾆﾆﾉ',ﾉ .!
　　　,-=ﾆ二二ニ{-===---ﾌ´＿＿＿__)h, i| .∨,／iｲノ}:.:.|
　　　|-=ﾆ二二二二二二ﾆ}/ヾ{/.Yヾ/:.ヽ,＿_> v／ｲ =}:.:.|
　　　|-=ﾆ二二二i 二二二,'_:.ﾉ{=､}ｨ'''∨,:.:＼ﾆﾆﾆﾆﾆノ:.:.}
　　　|-=ﾆ二二／二二二/ヽ/ {=ﾐ} v''''∨s｡,_) -==≦:.:.:.:.|
　　　|-=ﾆ二／二二二ﾆゝｲ:i:∧_i}:i:ヽ_ﾘi ______≧ｲ{:.:.:.:.:. |
　　　|-=ﾆ／二二二二ｲ:i/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|________/=-v:.:.:.: |＼

メディア達の方を向いていたやらない夫は、そう声をかけられて、新たな来客に改めて視線を送る

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :　 : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ○）ﾉヽ（　○ ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

噂をすれば影、という言葉があるように
自分の目の前にいるこの人物は、過去を思い返していた自身の脳が見せた幻ではないのか

そう思い、やらない夫は自分の目を疑った

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. 　…=…‐-
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '"　　　 '"｀ﾞ` 　　ﾐx､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ィ≠ミ、　　 ,,-= 、　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 /.,≦(冥)ﾆ|l 　丿(冥)ft､.　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 //回ﾆ冥三｀三仁ﾚ冥ﾆ回ft､　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　/｛仁メ⌒Yf)f(ﾆｊｧ≠=ミｘﾉメﾆ｝ . 　　　＼、
　　　　　　　　　　　　　 ,' (i!ﾆ|.,'冫ﾉfﾉし'{i 　,'冫ハrﾆﾆ|ﾞ｀､　　　　　　≧=-　_
　　　　　　　　　　　　 ,'　 |ﾆ》ﾘﾊ〈{ﾆ\メﾖ! ,ﾒ、ﾙﾊ, |仁ﾆ|.　ヾ、　　　,,;～ニ'"_⌒`
　　　　　　　　　　　　 ,′ ,∨ ｲーミ ^YW〉f-―ﾘ‐!〈廻ﾆ!　　 ',｀､彡ヘ⌒ー-=ミx
　　　　　　　　　　　　　　i!　　　从杙鈊、ルﾉ' "雀莎ヾ=-ij 　、｀、`　　＼　　　　＼、
　　　　　　　　　　　　　　|　　　　ﾊ｀¨´ ,　　　｀¨¨´|　　　; 　　; ﾐ　',　　　　｀ー　、
　　　　　　　　　　　　　ﾉ,ﾊ!　""ﾞ　ハ　　′　　　　　|　　　;　　 ; 　 .ﾄ、＿　 - "⌒¨´
　　　　　　　　　　　　　/′|　　　　＼　、__ 　　ﾒﾊ　 ∧　　!　　,ﾊ!
　　　　　　　　　　　　 |　 l!　　（｀ﾒ､＼ _　 .. ィ"/´ﾞ! /}}ｉ| i!!ﾘ⌒.　　　　　　　「何を呆けているのですか
　　　　　　　　　　　　 |ﾊ八j 　|＼、,,≠仁三|_⊥ｦ/′ .|/ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　 _＿__＼{-‐,ｧ======ﾐｘ%㌢=- /′　　　　　　　　　　　もしかして、私の顔を忘れたとでも？
　　　　　　　　　　 /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i〃ｨｆｱ::::xミ=-|li:i:i:i:i:i:i:i:iー　、
　　　　　　　　　　　　 /i:i:i:i:i:i:i:i:i:i,兮､:::|しﾘ:::::::::}i№i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i::...　　　　　　　　　　子供の頃以来とはいえ、失礼な話ですね」
　　　　　　　　　 ___/i:i:i:i:i:i:i_,爻"゜i:i:i:`ー-=彡":i:℡i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.
　　　　　　　　／:::ｿi:i:i:i:i梦ｨ笊芹"(三三])ﾐx､:i:i:i:j[ii:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.
　　　　　　／:::ｌ:i:i:i:i:i／:i:i:i:i:i:i:i:iﾉﾘ::::￣:{!i:i:i:i:ﾟ弐它∬i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
　　　　　 ,.イ::::／i:i:i／i:i:i:i:i:i:i:j!彡":::: ::::::::}!i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∬i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{:::::ヽ
　　　　　ﾘi|::〈{i:i:i i! i:i:i:i:i:i:i≠::::::::::::: :::::::::||i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∬i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iヽ::::::≦二 _
　　　　　　》》::ヾ、:{i i:i:i:i:i:i〃::::::::::::::: ::::::::::{{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i㏍i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}〉ゝ::::::::::{⌒
　　　　　　巛::::::::{{i|l i:i:i:i:〃::::::::::::::::::: ::::::::::{{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i||i:i:i:i:i:i:i:i:i:／￣￣´::::::::::|￣
　　　　　 ∨￣|i} |l i:i:i〃;;;;;;;;;;;;;;;;;:ィ弌ト、{{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i||i:i:i:i:i:i／:::::::::::::::::::::::::::丿
　　　　　　　 |Li|li:i//　　　　　　　　　ミ{{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:||i:i:／::::::::::::::::::::::／￣
　　　　　　　ﾞミ≠ｲ　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||;/:::::::::／￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｸ'￣￣

だが、やらない夫の心情とは正反対に
目の前の女性は、確かな存在感を持って、彼との因果関係を主張してくるのだった

267 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:04:22 ID:fcc933c4

頭の中で理解が追いつかず、疑心暗鬼のまま声をかける

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　（_人___）　 U　 |.　　　　　　「……ジャンヌ？
　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |　　　　　　もしかして…君…なのか？」
.　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
. 　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
. 　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　/ y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
.　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　ゝ __ ／　　///////＞　、＼
　　　　　　　　/>、__ ノ///////////ヽ　＼
　　　　　　　///////// ／￣　寸,//∧　　＼
　　　　　　 ////ミ//// {　|　}、|　 |////|　　　＼
　　　　　　,l{//{　 V///八／_x-=　j////| ＼　　　ヽ
　　　　　 / l//|　　|///// 〉f_ 炒ﾉ L///|　　＼　　＼　　　「もしかしなくても、そうです
　　　　　/ | V∧,-_く/////　　　 |/|　 | Vﾍ　　　、ト--
　　　　 /　|　V//人ヅヽ/　　　　　l　 i|　V/ヽ　　　 }
　　　　:　　|　 V/ 八　　 ' ,　 -ｧ　 |　 i|　 V／ |ヽ|ヽﾉ.　　　　目の前の事柄を否定するのは
　　　　{　　|　/||ﾍ　.>　　｀￣　　|ﾍハ从　 |､|　　　　　　　　ﾛｼﾞｶﾙ
　　　　 ,　/, / | |∧　　|＞__　 _...イ:::::::::::::..ﾚ.、|　　　　　　　論理的ではありませんね」
　　　　　　　　 | |／　Lﾉ-.:::::::::::／ﾆﾆ(_ノ|:::) 、
　　　　　　　　　　　　　):::::／ﾆ＞ --===ミﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　 -=ﾆﾆﾆﾆ=-　￣＼ﾆﾆﾆﾆﾆ |::::..、
　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆ／ﾆﾆﾆﾆ　＼_}ﾆﾆﾆﾆ　|:::::::..、
　　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ Yﾆﾆﾆﾆ/|:::::::::::...、
　　　　　　　{ﾆﾆﾆﾆﾆ./ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆ/　|::::::::::::::..ﾌ
　　　　　　人ﾆﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆ／　　|／￣
　　　　　　　/ ＞－/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆ/

記憶の中の幼馴染――ジャンヌの物言いに、やらない夫は思わず口元を緩ませた

　　　　　　　　　　　　　　　ﾛｼﾞｶﾙ
彼女がことさら強調した「論理的」という言葉
幼い頃の彼女が、よく口にしていたお気に入りの枕詞

そこでようやく、やらない夫の頭の中で
目の前の彼女と、幼い頃の少女の姿が一致するのだった

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　 __,ノ　 ⌒
　　　　　　　　　　｜　　(⌒ ) (⌒ )
　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i.　　　　「…ははっ、そうだな
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　ﾛｼﾞｶﾙ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|.　　　　　　確かに論理的じゃあなかった」
　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
.　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

笑いながらそう返したやらない夫を見て、ジャンヌも小さく笑う
それは互いに伝播し、そして大きな笑い声になっていった

268 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:04:45 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　 ,　--―-
　　　　　　　　　 , '　,'
　　　　　　　　　,　 (
　　　　　　　ｌ　 λ、__,　--―-＿
　　　　　　　　　｀ー　　　　ヽヽ　|::::| ヽ
　　　　　　　 , '　　、　　　　', ', 　|| 　　',
　　　　　　 , 　　人　　　　 '. 　 ||　　　',.　　　　　　「えーっと…
　　　　　 {　　ナーﾓ--、　ｒ-||、　　 '
　　　　　　 |ｒ, 　ｌｌ ┰-,｀ヽｌ　 {:::::::|　　　|　　　　　　　　やらない夫くん、もしかしてその人は…」
　　　　　　ﾘ丶 || ┃ 　　 | 　 }:::::::| ,--,/、
　　　　　　　　　丿　　　 u　| 　 |:::::j/.:.:ヽ.:.:.:｀、
　　　　　　　　＼　　　　　,ｲ　 |イ |.:.:.:.:|ヽ.:.:.:.:ゝ
　　　　　　　　　ヽ　　　 /　　/,,,-┤.:.:.:| ﾞ, ﾄ／、
　　　　　　　　　　　ゝ __.,´ ｀ー ___　ト、_ｊ| ｌヽ.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　　　 ,-―-、: : : : : Y.:.:|　　ゝ_／
　　　　　　　　　　　　ｒ　　　ヽ: : : : : .|..:.:|　ﾞ　＼
　　　　　　　　　　　 | 　　　 |: : : : : L__|、　　　＼
　　　　　　　　　　　 | 　　　　ﾉ: : : : : : : : ｀、ヽ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ｌ　　　 /: : : : : : : : : : :ゝ　ヽ　　｀、
　　　　　　　　　　　ｌ＿＿_ｲ: : : : : : : : : : : : ヽ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ:::::::::::::|: : : : : : : : : : : : : : ゝ　　　　　メ
　　　　　　　　　　　　ｌ:::::::::::::|弋: : : : : : : : : : : : :｀,　　　　　　ゝ

ハクは、二人の笑い声にそっと横入る
そこで、やらない夫は自分に突き刺さる全員の視線に気づいた

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |
　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　「ああ、すみませんハクさん
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {　　　　　　　　　　　俺達だけで話しちゃって
　　　　　　　　　　　　　 _`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　 _, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、.　　　　　　　　　　ええと、皆さんにも紹介しますね
　　　　　　 /. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、.　　　　　彼女はジャンヌって言って
.　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
.　　　　　/ : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____　　　　俺の幼馴染なんです」
　　　　 / : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　 / : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
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　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|

　　　　　　　　　　　　　　／￣ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-／
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　　　　　　　　　　　　　　＼ｰ　＿_,､丶`　　⌒丶`、　　　､.＼　　　　　　　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　　　ーァ　／ﾆ7　　　　　ヽ　　　＼＼　　　　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　　　／／ﾆﾆ{i　　　|　／ﾆ丶　　　　　∧　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /ニニニ､＿__／ニニニ＼　　　　.∧　　　　／_-／
.　　　　　　　　　　　　　　 /./ /ﾆﾆハニニニﾆ＞‐､─ ､ﾆ′　　　ハ　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　 / /　ﾆﾆ/　}}ニﾆﾆ/　　　　寸ﾆ心　　 ∧　　､／_‐／
.　　　　　　　　　　　　　/　′'ニ/　《ニニﾆ{ |∨　　! ∨ニ》,　　 ∧　　.!／
　　　　　　　　　　　　 /,'　|　!ﾆ/|　从ニﾆﾆ》|─､　 |　}/ヾ》 ∨　 .∧　 |　　　　　　　「…失礼しました、改めて私からも
　　　　　　　　　　　　 |′/　|ﾆ′　Nﾋｯ､／ i| 茫弐′}ﾆ=-}.　､　　　＼|‘．
　　　　　　　　　　　　　 / ／!ﾚi　 .从¨/ ＼|ヾ乂ソ　ヾﾆ{　　}h､　　　＼＿　　　私はジャンヌと言います
.　　　　　　　　　　　 /'"　ハ|　ヽ!∧｀　　　　ムｲ　　 /人　 }liト､丶　　＼{
　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵh､| 丶ヽﾆ=‐" /　 /v′ .∨∧　|ヾ＼　|》　　　　　どうぞよろしく」
　　　　　　　　　　　　　　　　 }ニﾆﾆ.|　 |个ｰ=≦/,ｲ/}ﾆⅥ　ハ .Nh､}ニヾf=- ァ
.　　　　　　　　　　　　　　　　寸ニﾆ! ﾊ|ニニ} }＼/ /ﾆ/アィ7ー､｡s≦ニ＼ニ〉、
　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｲニﾆⅥﾆ} ＼У ／ニニニニニニニニニニｱ／
　　　　　　　　　　　　　　__ <　ヽニニニﾆ､}ヽ／ニニニニニニニニニニニ{ {ﾆヽ
　　　　　　　　　　　　　/{（:::: >､寸ニ=┘r=ニニニニニニニニニニニニニLヾ《
　　　　　　　　　　　／::人￣}ｲノニヽ -=ニニニニニニニニニニニニニニr' ┴、
　　　　　　　　／::／::::」￣￣>ニ/　〉ニニニニニニニニニニニニニニ{ ﾉ//∧
.　　　　　　　　 /::／:::／:::」-￣>ニ=─{ニニニニニニニニニニニニニﾆﾆヽヽ'//丶
　　　　　　＿ /::::::／r'"´__､丶`　 {　　 !＞､ニニニニニニニニニニニニニr' .ｿ////＼
　　　　　 {=‐┐:::":::::{!　　＿＿￣ |　　.|::| └ニニニニニニニニニニニ{ r ､{¨´ﾉ'////,∧
　　　　　人ニ}::／_-:||　　｀`～､、| 　 .|::|　 ∨ }_､ニニニニニニニニ=　」　　　∨/////∧
　　　　　Ⅶ=／_-／从　　　｀`　　.!　　.}ｉ|　　 :.　　＼ﾆ/ ヽニニニﾆr､-┘　　　　　<'////∧
　　　　　／_-／::::::::|∧　　ミ､.　｜　　}|　　　 :.　　 `　　 `′　　　丶　　　　　　〈/////∧
　　　／_-／ﾆ|:::::::::|}::::}h､　＼　 }　　 |!　　　　 :.　　　　　　　　　　　，　　　　　　　 }////∧
.　　／_-／ }ﾆﾆ}:::::::::Ⅳ::::::::`Y´＞､}　　 |i、　　　　　::.　　　　　　　　　　　ー　､　　　　 L'////∧
. ／_-／　　|ﾆﾆ}::::::::::::∨::::::::Lr‐ ､ ∨　　＼　　　　　＼　　　　　　　　　　　＼＼､　　　 }////∧

紹介を受けて、ジャンヌが会釈する
そうして彼女もようやく、カウンターの椅子に腰を下ろした

269 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:05:10 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　/i_,ノヽル1、_
　　　　 .l、ﾉ｀, l´｀´;;;｀;´;;;;;;;;;;｀´イ-´レ-
　　　　_ゝ｀;;;;;;;;;;ﾍ;;;;;i;;/;;;;;;;;;;;;;;; /;;;;;;;;;;;;;;と
　　　,,ゞ;;;;;;;;;;;)｀、ヾ;;;;i ;;ﾉ 1;i:ノ;;;;;;/´;;;;;;;;;;レ
　　 <;;;;;;＼;;;｀ヾ ;;;;ヾﾉ;;iイ;;;;;;;;;;;;彡;;;;;;;;;;;;;;;｀;7
　　　,ゝ;;;;;;;ヾ;;;;;;;｀;;;;;;;ゞ;;r;;;;<｀i;;;;;i｀ヾ;;;;彡三;そ
　　｀っ;;ﾉ´ゞ;;;;i´i;リ;:i´i;l ｀i、!.iﾉ｀　｀i;;;;;;;;;;;;｀ゝ
　　　>;;;;i::: i/ Y ヽiヽi .ヾ　　 l　　　　];;;;;;;;;;;;; >..　　　　　「…話題の渦中だった人がこうして来るってのは
　　　7;;::l;:::＿,--、i　.Y r￣二≡ミﾐゞ;;;;;;;;;;;;T
　　　.フゞ;;;;;;;;;;;;;;;;ゞ　ヾ :f´r::::_＿ｙ≠ヾ;;;;;;;;;;イ　　　　　　なんとも不思議な気分ですね」
　　　ヽ,;;:｀i￣｀ゝll　　｀〈弋_ﾉ　ｹ　＼´ /.1 .
　　　 i´ヽ:::｀￣ ´:;;l－;　　　　￣　　　 :: i./-i )
　　　｀i;;i;;i::　　　:;,;　　　　　　　　、　　ゝ- /　
　　　　i,;;ゝ:::　　::ﾉ.　, 、,　　　　　　ヾ　.r´ノ、
　　　ヽ:::::　　 ´｀ =￣　　　　　　　　 i-´;ト
　　　　　＼:::　 ;;;::_____、　　　　　｀　 i イヽ,
　　　　　　　i,::::::::_｀─ ￣｀　　　　　／　′ i
　　　　　　　i｀,:::::｀二｀　　　　　／　　　　1
　　　　　　　l;;;ﾍ;;::　　　ヽ　　／　　 /　 ::;;;i
　　　　　　 l;;;;;;;ﾍ,＿＿ ,, ッ´　 ,　－i　　≡i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ﾍ
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 | ∧
　　　　　　　/ |　　　　　　　　---　　　_　　　|　∧
　　　　　　 /　|　,　　´　　　　_　　　　　　` 　 ';　 ∧
　　　　　　,'　／　　　　　　　　＼　　　　　　　V　 ∧
　　　　　 ,　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V　 ∧
　　 |＼ /　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼￣　----∧
　　 |　ヽ:/　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 }　___
　　＼　/　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　 l　　` ト- ／￣／
　＿＿〉{　　　 :|　 l　　l　　　　　　 |　 |　　　}　　　 V　　／
　＼　从　　　|　_l＿ l _　　　　 , lーl-.- 、/ 　　　/-＜￣　、
　　＞ -〉　　　|＼|＼ |ﾍ`　l　　// |/-|/| /　　　 /　　　　　／...　　　「偶然ではなく、巡りあわせと考えたほうが
　＼　　人　、人　_ -==ミVﾍ // ｧ≠=ミ/ 　／／ |Y^Y_ ／
　　　＼,,/| ＼＼从"　　　　　　　　　　/／/ｲ　}　||　|_|l.　　　　　素敵ではありませんか、ガッツ様？」」
　　　　　| |　|_|ヽ|ヽ　　　　 '　　　　　　 |　　 |_ノ　　　　,
　　　　　|_|　　　 | 心　　　　　＿_　　　　|　　 |　　　 V 　'
　　　　　l　　　　 l　　ト　　　｀　´　　　ｲ　 ,;　　　　 V　 ,
　　　　 ,　　　　 /l　　|　　＞　　_　イ _ | 　 / V　　　　V
　　　　/　　　　/ l　　 --　V∧　　／/ l　 /　〉＼　　ヽ l
　　　 /　　　／￣/￣｜　　V∧／//／l　/ ／|　　＼　　＼
　　　/　　l 　　〈　　 |　　　V///／　 l / ´　 |　　　＼　　ヽ
　　 /　___ |　　　〉　　|　　　 V／　　／「￣￣　　　　　> 、＼
　　/ / V |　　　　| 　　|　　／　　／　　|　　　　　／＼ |　　＼

二人がジャンヌへの自己紹介の後に、このように続ける

やらない夫はそれに相槌を打っていたが
ふと、メディアが先程から沈黙していることに気づいた

様子をうかがうために、そちらの視線をやると

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ./　　　　　　　,,-‐ ､　　／　彡ﾍ　　　　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　 .|ミ≧～ヾ'""´ｰ"´'ヽ　　　　　　ヽﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ハ　　　　　　　|￣　　　　　　　　　 .ﾍ　ﾍ　　　　 .ﾍﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　　　|　　 .|　　　　　　　　　　　ﾍ　ﾍ　　　　　',ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| .|　　 l　　.|　 | .|　　　　　　　　.-――ﾍ‐Aｰ |.　､　',ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| .|　　ﾍ　 .l　　ﾄレ　　　　　　　　　　__|_ﾍハ　} .　i　!|ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　ﾍ .ﾍ／|iヾ､　　　　　　　 _ ≧≠__厶,∨',　ﾊハ l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　|　　　ﾍイ{､　{い‐　　.　　　　　　爪厂ﾘ刈　/} 　/＿_',＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　',　ﾄ､　　ヾ／ .彡丐ﾐ.､　　　　　　.乂辷iシﾉl　ﾊ＼|,,,-ｰ―　フ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　| ヽ､　ヾ爪辷うツ　　　　　　　 ////弋¨ﾟ.、 :.,＼　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!　 ,, | 7　.ト､＞''"／）　丿　　　　　r―　⌒ヽ　',　ﾟ,＼ｲﾍ
.　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,ｨ'"´._,,/|　 |　// / .／）　　　　　　　　｀ﾆ⌒{.　 ',　',　{　ﾉﾄ､',
　　　　　　　　　　　　　　　　＜、'"´　/ ;|　 {　　/　/　/　　　　　　　ｰγ`　 ',　!　i/l　.ハ
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　7ｰ-〈　 :,　 :, ./　/　/.　　、　　　ノ　 _彡'　　　〉 }　}i', 入 .ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　l　l＼.}　 У ./　∧ 　　　￣　　／　　　　　　　／:|∨ /　.ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　/　,'　l〈人　ヽ　ヽ.　　＼　　　　　　ｌ　　　　　　　／ ',　 > /、　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　 /　/_　| ,ｲ　＼　　　　　　＼　　　 |　　　　ヽ,／|　　', 〈　|　/.ヽ　.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　＜￣　￣＞ヾ　　＼　　　　　　＼ー‐ｲ　　　　ヽ|　　　 | >| /､　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　／　　　＼　　　　　}!　　　＼_　　　　 }　人　　　　　　ヽ|　　.|∨ l　.〉　ヽ,　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　（　ヽ　ヽ　　　　}',　　　ﾘ⌒　　　 / 　　＼　　　　　　ヽﾉ| |　ヾ /　　　',　ハ
　　　　　　　　 ′　　　＼　、、　　 l ′　 ./　　　　　 /-ﾆ辷辷ヽ　　　　　　＼|__|/Y ｿ',　　 ',　 .ﾍ
　　　　　　　　　/　　　　ヾ　＼　　i　　 |　}　 /　　　　　 ./ 　　　　　ﾉヽ　　　　　　　＼|￣¨＞ｰ´＞､__ ',
　　　　　　　　　　/　　',　　　　',　　　　　　　ヾ /　　　　　　,'､　　　　　　　ヽ　　　　　　　＼ィ'"　ィ　　　ヾ
　　　　　　　　　 /　　ﾍ　　　　ﾍﾍ　　　　　 ./　　　　　　.,'　ヽ　　_　　　,/ ヽ　　　　　　　 .＼彡　　/　　ﾉヽ
　　　　　　　　　/ ｌ　　　ﾍ　　　　ﾍ　　　　　 /　　　　　　　',-ｰ-､／ヾ　 /　　ﾍ　　　　　　　　　＼　/　　/　.|

なにやら、とても幸せそうな顔をしているメディアがそこに居た

　　　　　　 ─- 、
　　　　　/　　　　ヽ
　　　　　|　　　　　 |
　　　　　|　u.　　　 |
　　　　　|　　　ｭﾆﾆヽ､.　　　　　　「…あの、どうしましたメディアさん？」
　　　　　ヽ/ : : : : ＼:＼
　　　　　 i : : : : : : : ﾍ :.ヽ
　　　　　　 ', : : : : : : : : ', : :'.,
　　　　　　　', : : : :.＼ : i : : :.'.,
.　　　　　　 i:', : : : : : ヽﾄ､ : : :',
.　　　　　　　iﾊ : : : : : : |: ', : : :.',
　　　　　　　ﾘ.:i: : : : : : :! : : : : : ﾄ､
　　　　　　 i : !: : : : : : :|: : : : : : i:.',
　　　　　 i : :i: : : : : : :|: : : : : : | :.',
　　　　　 i : :r : : : : :丿 : : : : : | : :',
　　　　　 ,' :.7 : : : : : / : : : : : : |: : :i
　　　　 / :/ : : : : : / : : : : : : : i : : i

微妙な不安を抱えつつも、やらない夫は彼女に問いかける

270 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:05:38 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　 ,.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.:―- ..､
　　　　　　　　　　　,.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヽ
　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':.､
　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.,:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀､
　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:／／:.:.:.:.:.:.:.:.:,,..､:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　 ./:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:/:/:.::.:.:.:.:.:.::.／ヽi､}:.,､.:.:.:.',. 　　　　「べつにー、なんでもないわよー
　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.::.:/:.:.:.:/:/:/.,_/::. ／　　　｀ｰ|:.:.:.:.:l
　　　　　　 ,':.:.:<´二/:.:.:.://:./_,._,:.∠_　　　　　　.|:.:.::.::l.　　　　　あ、私はそろそろお暇させてもらうわ
　　　　　 ,':.:.:.:.:.＼.l:.:.:.:.:|/i/ /tｭ..,,　_｀ー'　　　　|:.:.::.:.l
　　　　 ,' .:.:.:.:.:.:.:.:j:.:.:.:.:l.　|//　　｀ヽ｀　　　 '^ヽj:.i/:..j　　　　　彼女と積もる話もありそうだしね、坊や？」
　　　　,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:l　　 xxxx　　　 /ミ､.:/::.|:.:/
　　　　,'.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:|､　　　､　　　　　i／:./／|/
　　　 ,'.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:,|:.:.:.:.:| ｀､　　　ｰ‐ 　イ:.:.:.:´i:.:.{
　　　 ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/|:.:.:.:.:|:　　＼_　イ:.:.:.: |:.:.:.:.:.:|:.:.|
　_,,..r''´￣｀''ｰ-ノ｀|:.:.:.:.:|＿＿/=､,,､|:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:|:.:.|
´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀ｰ､:.:.:.:|―‐〈_､;;;r ､｀ｰr'｀ヽ:.:.:lヽ:.|

　　　＿_＿_　
　／　　～＼
/ 　　ノ　　(●)＼　
|　　　(.／) 　 ⌒）ヽ
＼　　　（__ノ,.<))／;､.　　　　　　「え？　いや、そんな気を遣わなくても――」
　＼　　　　 / ／　 '‐､>
　　　｀＼＿_ｌ　　　　´ヽ〉
　　　　,ﾉヽ､ﾉ　　　　__人〉
　, ／'"|::::_/ヽ. 　 /:::::ﾂﾞ!:ﾞ､-､_
''":::::::::::/´∨/`ｰ'〉 7:..ヽヽ:.:|:::::ﾞ'ｰ､
::::::::::::ｙ′.: ',ゝ､_/::＼:.:.:| |.ｲ:::::::::|:::!
::::::::／: :／/: : : :|::::::::ヽ::|/:i::::::::::::i::|

謎の気まわしを見せるメディアは
やらない夫に口をはさむ間を与えなかった

　　　　　　　　　　　 (⌒ ⌒)
　　　　　　　　　　　　　＼／　　　　　　　　　　　　　　(⌒ ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　(⌒ ⌒)　　　　　　　／｀ヽ´.._,. ＜ヽ｀ヽ
.　　　＼／　　　　　　　／　　　｀´　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　 /　／仆､∧ 　ヽ　　ﾊ　ヽ　　　　
　　　　　　　　　　　　　　 / /　　 ll.|｀゛´V 　}　 !　ﾊ:.　ハ
　　　　　　　　　　　　 /:/|　　　ﾑ:|'　　ト A__ﾊ_　:|:::..　l.　　
　　　　　　　　　　　　 |/ .| .|: ∨,.ﾘ　　　V,､∨´!　 !_::::. !　　　　　　「きよひー、よかったら私に付き合わない？
　　　　　　　　　　　　 |,.-ｲ∧ :l/ ＼　　 /　＼ |　 | ｀ヽ|_
　　　　　　　　　　　　 (( |ヽ_ﾚ_/ {cxx　　　ｘxc |　 |＿__ _〉 )).　　　　ちょっと面白いお店を見つけたのよ」
　　　　　　　　　　　　　　 | /　ゝ､　　　　　　　ｲ! /|＼ ::|
　　　　　　　　　　　　　　 ./　　 /::＞＝='ｨ　´{:|ﾚ .:!.::/_:| . 　
　　　　　　　　　　　　 ,'　　_/,r‐=､ィ´ノ　　y　　|;/　｀ヽ　
　　　　　　　　　　　 |　 //y ´二⊇ゝ-.rｲ　 :　!:::::::: <´
　　　　　　　　　　　　 | :/ {/ ´　‐＝;´. /V　.:::　|ヽ::::..　>..　
　　　　　　　　　　　　 | l　〈　　 r‐＜.:./ _;〉　　/|　＼く.　　
　　　　　　　　　　　　 Κ　ヾ≧ｿ{ ‐-/´/| /: //∠イ|: 〉
　　(⌒ ⌒)　　　　　　　　　}' ＼＿_,ｲ　∨ /:::ﾚ! /:　　　 !'
.　　＼／　　　　　　　　　/　 ..:::::::::::;' 　 |　!::::|／.:::　　　: |
　　　　　　　　　　　　　　/　　　:::::::::l　　 l　!:　! .::: ::: 　　 |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿} 　、
　　　　　　　　　　　　　　 ∧　　´￣￣＼⌒＼＼
　　　　　　　　　　　　 '　}　　　　　　　 ⌒＼　}／}
　　　　　　　　　　　／ ' 　}/{　　　　　　　　＼／
　　　　　　　　　　〃　' 　/ /　　　　　　 |　　　　'，
　　　　　　　　　ｌ| 　{　/ /　　　 | 　　 | |　| 　ハ〉
　　　　　　　　ｌ|＿{ 〈　{　　ィ　| 　} 　抖f芹/_)　　　　　　「それは素敵ですが…
　　　　　　　　　　　ｌ|⌒＼_V　　Ｎ斗f芹}／　vｿ^〈'，
　　　　　　　　　　ｌ|　　(___{＾、 v Vrソ　　　　 l !. 　　　　わたしはジャンヌ様ともお話ししたいです…」
　　　　　　　　　ｌ|　　{}八__|＼〉　　　＿　　ｲ |
　　　　　　　　ｌ|　　　　{}_|　{＿＿ |　　|=≦Hノ┐
　　　　　　　　　　　j|　　　　 {∧ {､ ⌒{ |　　|〈　| ﾚ⌒L
　　　　　　　　　 j|　　　　_j＿}ハ＼cｌ| 　ﾊl 　l/　　 }、
　　　　　　　　　　 j|　　　　{￣　⌒ア⌒` v′_〉_}⌒ｌ　　ヽ
　　　　　　　 j|　　　　　'，　　/　　　　`丶､J 　{　　　　⌒＼
　　　　　　　　　 j|　　　　　　'，　　　　　　　ヽ　、　　　　 }
　　　　　　　　　 j|　　　　　　 }　　　　　　　　　　|　　 )　　　　 }
　　　　　　　　　 i{　　　　　く　　　　　　　 |__／　　　　　 }
　　　　　　　　　 i{　　　　　　　}　　　　　　　　　　 |_] ',　　　　　 }
　　　　　　　　　i{　　　　　　　}　　　　　　　　　　|八 ',　　　　 }
　　　　　　　　　i{ 　　　　 /}　　　　　　　　　　|⌒} ',　　　　　 }

どちらを選ぶか迷いを見せる清姫に、メディアはそっと耳打ちをする

271 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:06:03 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
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　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
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　　　　　　　　　　　　　 ,::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀､
　　　　　　　　　　〈 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀､
　　　　　　　　　　　　　 '.::::::::::::::::::::::i!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　 '.::::::::::::::::::::j|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l'ヽ::::,､:::::/.j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /　　　　　　　「…私に付き合ってくれたら
　　　　　　　　　　　　　 {　 ∨ ）/.ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
　　　　　　　　　　　　〉､/　ｰｧ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉.　　　　　　　特別性の御香をあげるわ
　　　　　　　　　　　　 }='´￣´:::::i ､:::::ヽ::::＼ :::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　 l/ ）:::::::::::::|!::',:::::::',:::::.',＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　もちろんカレ好みの香りを
　　　　　　　　　　　 {r':::::::::::::::::::::::',:: ,rっ_,..', ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　｀|:::::::::::::::::::::::::',(´l'´|;;;ﾉl::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ..　　　ブレンドして、ね♪」
　　　　　　　　　　　　￣i!￣',￣￣´　|:.:.l/;;;}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　 /::::::ﾉ_ 　__,,.　|:.:.iヽﾘ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,r'
　　　　　　　　　　　　｀ヽ:::::::｀ヽ''´　|:./,r´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,r'
　　　　　　　　　　　　　, -――- ..,,_　/￣￣´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,r'
　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::｀ー- ､＿＿＿＿＿＿＿／ｰ-､
　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::,;´::::::::::::::::::::::::＼￣￣￣￣￣￣￣￣/
　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::｀､｀ヽ:::::::::::::::::::::＿,/ｰ､
　　　　　　　 .'::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀､:::::｀ｰ-:::::::::´:::::::/:::::ヽ
　　　　　　　　 ..'::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀､::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::＼
　　　　　　　　　.' :::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ｀､::::::::::::::::_／:::::::::::::::::::::＼
　　　　　　 l:::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀､:::::::::::´:::::::::::::::::::::::::::::::::＼

　　　 j!　 .|　　 _　　 -―――-　　/　　 |
.　　 ,′　レ ´. . . . . . . . . . . . . . . .⌒ヽ/、　 /}
　　 /　　 .|.／ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .｀　〈 .|
　 ./　　　 |　./. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ＼
　/　　　 /_ノ| . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ . ヽ. . . . .V
ノ　／￣　　/ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . | . .| . . . . .∨
|　　　　　／ .| . . . . . . __|__ . . . . . . . ￣|￣|ヽ| . . . .∨
|　　ィ´ . . . | .| . .|／ . .! . . . . . . . . . ...| ノ| .ﾉ! .|.. . .|
|　 /.::」 . . . ...| .|／| . .| ..|ハ . . .| . . ./|ｨ===ミz、! . . |
_／⌒ﾊ . . . . ', | . .|ヽｨ==ミ } . .ﾉ . ./ｨ {:i:ヽ:|　}】. . .i .|
　　　　.} . . . ..ヽｨ／ /:,-:::| ／} .／　辷ノ　ﾉ|　 /./..　　　　「まぁまぁ、せっかくのお誘いですから
、　　 /|ヽ . . . . 【{.　 { :i::」:|　　　　　　　　 .|／|ｲ
｜「 . ! |　i! . . . ..＼　｀¨ ´　　　　　、　 ,:,:,:　|//|.　　　　えぇえぇ、お受けしないと失礼ですね
｜| . .| .ヽ」＼ . .＼|　 ,:,:,:,,　　　　　　 ′　　　 |//|
｜| . .| . |∧ . ｀⌒「　　　　　　　　　　　　　　 /|//|.　　　　さぁさぁ、行きましょう参りましょう」
｜| . .| .//∧　　 ∧　　　　 ,　-‐　フ　　 ∠｜/,!
｜| . .|////∧　　｀ゝ　　　　｀　ー ´　　ｲ| . ｜/,!
｜| ..//////∧ . . .∧ ｀≧　　　＿＿／二Vヽ.ﾉ//
/:/ ///ｨf二ﾆ}!、 . . ∧　　　 ∧;i!i!|::::: ∨二]|}//
. | . ,ｨ仁二二 Ⅶヽ . .∧　　　,//|i!i!|::::::: ∨二]./
斗f´二二二二Ⅷi!i＼.∧_ 　 |//|i!i!|:::::::::::| 二]!
⌒＼二二二二}ヽi!i!i!.＼}/≧}//|i!i!|:::::::::::| 二]!
i!i!i!i!i＼二二二｝ﾄ:＼i!i!i!i!≧///.|i!i!|:::::::::::| 二]!
i!i!i!i!i! ∧二二二｝ﾄ:::＞i!i!i!i!i!i!i!i!|i!i!|::::::__::::｀ヽ」
i!i!i!i!i!i! ∧二二二｝ﾄ:::::::::::＞i!i!i!!|i!i!|r ´/::::::::::::∨
i!i!i!i!i!i!i! ∧二二二｝ﾄ::::::::::: ,ｨ　¨ ⌒´_/:::::::::::::::::}

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　　　　　,r'"::::::;ri::￣''‐-.,,__
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　　　 'ｰ'7ヾ､:::::::::::::::::::::l;;;;;;;;;;r-l;;r‐’
　　　　 !　　￣￣''''''''''′ |　!::::::`、
　　　　,r'i　　　　　　　　　 !　!::::::::::;>.　　　　「ほら、貴方もよ
　　　 `ヾl` ､｀つ　　　　　! .,!_;r'''´　　　　　　　　　　　　　　ｻﾙｺ
　　　　　ヽ !､`ｰ┬--r''''7 人　　　　　　付き合いなさいな、筋肉」
　　　　　l￣`:.:`ヾ;;ヾ'i';r‐ﾚ':.:.::`.､
　　　　　_>:.:.:.:.:.:.:.(___):.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
　　　　ヾ､:.:.:.:.:.;r'ヽ:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　 !￣''7:.:.:.ヽ!`''''lヾ､;,;,;,/
　　　　 !:::::/:!.:.:.:.:.:ﾟ:.:.:.:ヾ:::::::`､
　　　　　 !::::!:::l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`､::::::`､
　　　　　　!:::l:;/!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ﾄ､::::`.､
　　　　　　ヾl’ !_;i:.:.:_.:.:.:.:.:.:.:_Y´｀`ｰ‐‐`
　　　　　　　　　 Ⅴ’`ー''''´ー`

そう言ってメディアは、三人分の会計をハクに渡すと
「ごゆっくり」と声をかけながら店を後にした

メディアの言葉に応じるように、瞳を輝かせながら清姫はガッツの腕を取る
いきなりの行動に戸惑うガッツを、有無を言わせず引きずっていった

　　　　 ., '::, ":::, '":::::,::::::::::::i:::::::::::､:::::､:::::::
　　　 ./,:/::::::/:::::,､/::::::::／|:::::,､::::!::::::ｌ::::::::
　　　　 l/ !:::::/!::::/ .|::::::/　/::::/:.`､:::::::!::::::::
　　　　 !::::l　',/ 　'､:/　/__ノ:.:.:.:.!::::/.､::::::
　　　　　ヽﾉ| 　,, 　-‐::'"゛`'::ｰ-､l::/:.:.:ｌ:::::,
　　　　　　ﾉ／:::::::,,　-ｰ''ー―".i/:.:.:.:i:::/
　　　　　　､i.ヾ､_, ', --‐‐--.､　　:.:.:.:ﾉ"　　　　　　　「え、俺も？　てかサルコって何？
　　　　　 ./ 　:::::ヾi",￣￣ ,>>
　　　　　 ../ 　　　　.ゞ_, 　'"　　　　,　"　　　　　　　　あ、ちょ、おい？　引っ張んな清姫！？
　　　　　., '~　　　　"..::::::"　　　　- ／
　　　　／　　　　　　　　　　　　　／　l　.､
　　　i´　　　　　　　　　　　　　　　　　',_ノ　　　　　　　　ど、どうもごちそうさまでした
　　 `‐- ､;;ヽ_　　　　　　,,_
　　　　　 .)　　　　　　___　ヽ　　　;,;;　　　　　　　　　やらない夫さん達、お先です」
　　　　 `､__,,,　-‐'"　_ ヽ　　　 ;;,;,　-―
　　　　　　 └　'"￣　', i　　　 ;;,;,　　::::
　　　　　　　　 __r,ﾆﾆ二_|　　　　;;,
　　　　　　　　 ..l____,,　 __ノ
　　　　　　　　 .＿_
　　　　　　　　　）￣　　　　　　‐-　　 ,　 '"
　　　　　　　　 '.,　　　　　　　 , 　 'i.:.:.:.:.:
　　　　　　　　 .＼　ヽ　　 ,　'　|:.:.:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　｀ '--　'" 　　　.',:.:.:.:.:.:.:.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:.:.:.:.:

矢継ぎ早に進行する状況に対応できず
ガッツは店から出るまでに挨拶だけを済ませるのが精一杯だった

272 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:06:29 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　――‐-　 ..
　　　　　　　　　　　　　　　 ´
　　　　　　　　　　　／,∧　　　　　／＼　　　ヽ
　　　　　　　　　　　/ // G＼/＿ﾄ_／ G G ＼　　　‘:.
　　　　　　　　　 /GG__G GG G＿GGGG＼　　　＼
　　　　　　　 ‘　/G /,!∧G G／.! ! |l＼GGG|　　　　＼
　　　　　　　　　｜｜Gl'~|　||GGｉ~「l¨iヽ!　} G G|　　　｛　＼
　　　　　　　　 :!　|G |l､i､_||G G､ﾄ|､|_ l､/GGGj　　＼　＼　＼
.　　　　　　　　　〉∧_/字卒＼／卒字≧＼＿/　　　　!＼　＼　})
　　　　　　　　 /| i∧∧ ﾋｳ　　　弋ウ :!｜　∧{　　　 ||　ヽ　i
　　　　　　 / j/洲i 八　　′　　　u.　| 1　,洲＼　　|l　　i|　|.　　　　「ええと…すみませんマスター
　　　　　　　　{! /　/.ｲ|| l＼　 --- 　／| |i　|||　 |　ヽ :| :、 jレ′
.　　　　　　＿／／|/ il|| | i/＞-:r‐_,,´／| |l　|||　 |　　ｉト=≧.　　　　　　皆さんに気を使わせてしまったでしょうか？」
.　　　　　　　￣　　 {　j八ﾚ（｛l　「￣￣　li| |レﾍ},_人　 }ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　,..ｧ≦|______＿|{/ /IiIiI＼
　　　　　　　　　　　 ∠)IiIiI／/＼IiI└[]┐IiIiIiIｉIｉI＼
　　　　　　　　　　／>‐┐ i￣￣￣〕‐┼[]┐iIiIiIiIiIト＼
.　　　　　　　　_/￣｀r‐┴ |77777└[__]┼[]┐iIiIiIi!'∧i＼
.　　　　　　　／/| ￣｀|―　 |'///////il└[__]/IiIiIiIiI|'/∧IiIi＼
.　　　　　　ヽI｛ { ￣>{―　 j'///////j|IiIiIiIi/IiIiIiIiIiI|'//∧iI／

嵐のように去った三人を見て、申し訳なさそうに切り出したのはジャンヌだった
そんな彼女に、ハクは笑いながら答える

　　　　　　　　　　 -――-　、
　　　　　 .　 ´　　　　　　　　　丶
　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　「気にしなくていいですよ
　　/　　　 /　　　 i　　　|　　　　　 ',
　 ,'　　　　,' /.. --|､ |i　　 l＿ |　　　　　　　　　　　　後で私から皆さんにフォローしておきますから
　 l　　 i　イ´　 / l .! |　　.,'|　 j、　 | 　 l
　 |　　.l　 .|　 ./　 l/　l　 /　l ./ ヽ　 | 　 |
＿.',　r |　 l.／z=＝s　|ノ　 ,z＝x l　ﾊ　 ,'.　　　　　　せっかくですから、ゆっくりお話していってください
!::::::ヽ|　l　　|　､､､　　　　　　　､､､|〈｜/
ヽ::::::::ヽ.|　　l 　　　 r―,　　　　　/　lｲ　　　　　　　　ご注文はどうしますか？」
　ヽ￣　.l　　|._　　　　｀ ´　　 .　 ' | 　 |　
　　l　／:|　　l.:/l　　 ―　＜i´　　　l　　l　
　〈::|:::::::/l　　|'| ヽ　　 |,､＼:!ヽ　　 |　　|
　＼:／.::|　　l へ＼　ｌ' .ヽｌ::/　　 |　　|

　　　　　　　　　　　　 ((　　　 - 、＿
　　　　　　　　　　　　　　　＞'"　　ミ　　　＼
　　　　　　　　　　　　 /　／ﾆ(　　)ニ-_
　　　　　　　　　　　　　　,　/ニﾆﾆ=-=ﾆﾆニ、
　　　　　　　　　　　 /　'ﾆ/7「lヽニ/「｢',ニ､ |
　　　　　　　　　　／イl{ﾆ{ |AAl}ニ|ﾘ州l}ﾆl} |
　　　　　　　　　　　　　ｌ l>"!刄ﾀ V/刄ﾀ |Ｖ| ，
　　　　　　　　　ノﾑﾄ､l ' ' '　　 ' ' 'ｲ　　＼.　　　　　「それじゃあ、モナコを」
　　　　　　　　　　　 ∠ /　　　＼ `　 " ／ｌ｜ r‐ `
　　　　　　　　　　　 /／NV┌|＞＜|┐Vヽ|
　　　　　　　　　　　　／≠=ｚｚ=≒＼_
　　　　　　　　　　l二二二二,ｬﾇニニニﾆﾇｯ二二ニ=-.
　　　　　　　　　　ｌ二二二ｬﾇ ∞〔￣￣〕∞ﾇｯ､ニニニl
　　　　　　　　　 <ニニﾆ／ニニﾆ7￣ﾏニニニ‘､ニﾆﾆ〉
　　　　　　　　＜ニﾆﾆfﾄ二二二/ ///ヽ=-- -=‘,二二＼
　　　　　　／ニﾆﾆ人ﾆ三三{//Λ//}三三三ﾉ二二二＞
　　　　　 _　7⌒ｊニニﾆｿ三三| イ:|:l:> |三三ﾆ/|ニニﾆ｢
. 　　　／-|/イ}ﾆ|ニニΛΛ人{:ｌ:ｌ:l|:l:l:ｌ;|/Уｿ､|ﾆﾆ/h｡ﾆ!
　　　〈---lＶツヽﾚヽ/　‘,:l:l:l:l:l:l:l:ｌ|:l:l:l:l:l:l:l:l:lΛ]'V:l:ｌΛ
. 　　　＼-|:l:l:l:l:l:ｌ:＼　　〉:l:l:l:l:l:ｌ:|:l:l:l:l:l:l:l:l/　L:l:l:l/,'Λ
.　　　　　　 ¨＼:l:l:l:l:l:l:l:ヽ　./＼:ｌ:ｌ:l:l:l|:l:l:l:l:l:l:l:lヽ/ﾆ)l:〈'///
　　　　　　　　　＞ l:l:／⌒/＼｢＞.,_:|:ｌ:l: ＜ﾆ/=〉,:l:l:l:Ｖ'/
　　　　　　　　　　　 ~"''-/＿.ﾉ＼ニ`'’ニニ/=/ム:l:l:lⅥ
　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆ＼.=＼ |ﾆﾆ／=/ﾆﾆﾑ:l:l:l:l|

マスターの柔らかな物言いと笑顔は、ジャンヌの心を穏やかに開いたようだ
「かしこまりました」と弾む返事と共に、頼まれたカクテルをハクは作り始める

273 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:06:53 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　　 .　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　　／　　　_ノ　＼
　　　　　　　　　　　. │　　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　 |　　　　　（__人__）
　　　　　　　 .　　 . 　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　　　 }.　　　　　「しかし…随分急な帰国だったね
　　　　　　　　　　　__,ノヽ.ヽ　　　　　 }゛　　　　　　　　　ｺｯﾁ
　　　　　　　ｙ彳　";;;;;;ヽ　ヽ'ヽ　　　ノ.　　　　　いつ日本に？」
　　　　　／　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';, ヽ.　::::::>/
　　　　/　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';,`ヽ/ヽ、
　　　/　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　,.ｒ`i　ヽ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　／::iヾ;;rｧ /
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'"',　 `!;;ﾉ! ﾄ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　 ,';;;;|i,.!;;;ヽ.
　　　|　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'';;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;ヽ,
　　　　　　;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i

　　　　　　　　　　　　　_　,,　 _
　　　　　　　　　　,x.'"　　　　　　｀　.､
　　　　　　　　／　,　　i　　.}≧s｡.　　＼
　　　　　　　 /　 ∠i,　 .',　ﾉ///≧｡.　', ヽ
　　　　　 .i　i ,仁/≧ttf///==///ﾍ　',. ﾍ
　　　　　　　i　i.仁///////jﾒ', ﾞ',ﾏ//jﾍ .'.,　ﾄ､
　　　　　　 i , !Ⅳjﾒ´i`マ/Ⅵ .i　!.ﾏ//jﾍ　i i.', ＼　　　　　「今朝方です
　　　　　 | ! !Ⅳj{　i　ﾏ//|!　,.+ `マ/ﾊ i .!.ﾍ　＼
　　　　　　 ,i .',.',V/ﾍ t-　}///7s !斗.ﾗi`´.! i　 ',￣~`.　　　　　本当はもっと早く挨拶に行こうと思っていましたが
　　　　　 ./ ', .', ',V/j>＿_!/////.代/ﾀi　,' ﾉ、 .ヽ
　　　　　/ .,ｨ'､ ', ',`+弋/タ.`マ/　¨¨´/　,ｲ　 i` _ ﾆ=-.　　　　思いのほか、荷物と部屋の整理に手間取りまして」
　　　　 ,'／/　`.x,.` .`｀¨¨　　 '　　　/_ ｲ　!　 |
　　　　　∠ .イ　 ',＼＼.　　_,　-‐′ ,ｲ　人　!
　　　　　　　　',　,ｲ /` ,へ,_ 　　　,.イ .|./　 .ヽ
　　　　　　　　 V　ﾘ　　 V_ﾄ_≧ﾆ.~_e|ｔ､__
　　　　　　　　,　-ｚt''≦≧.i三三三ﾆi-=ﾆニﾆﾆft
　　　　　, x'"-=ニニニ=鎖≧77777{=ﾆニニニ=;トｘ､
　　　 /-=ニニ=-≪≫'"{~誇ミtz┐鎖=ﾆニニﾆ!ニj＼
　　　 /-=ﾆニﾆ≪>:::＞'　 .~ ‐--t┘ <≫=ニニﾆ!ニ}:ﾞ:::＼
　　 ,｝=ニニx"::ア"　　　,.'　　　..V::::::::::{≫=ニﾆ|ニ}:::::::::::＼__,,x＜!
　　 /=ニニ/::::/　　　　　,′　　　 .'!:::::::::::::V=ニﾆ!ニ}::::::::::::::::V:_:x::┴t
　　ﾞ{_,ｨニﾆ.i:::::i.　　　　 i　　　　　 .|::::::::::::::i=ニニi,ﾆ}:::::::;斗＜,,_:::::::::::}
　　　 .V＼f|:::;'.　　　　 ‘，　　　　 |::::::::::::::|=ニニﾒ:jV::/i:i:i:i:i:i:i:i:ヾ::::/
　　　　 /Ｅ`込.　　　　　／'､　　　 .|:::::::::,.x'|=ﾆﾆﾆノ　.}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|:{
　　　 ./xニニ=｀ｚ-ｚ炙三三≧zｭ-|＜~:::::::i~ ￣ ~　　,i:i:i:i:i:i:iｪi:i:ｪ::ｨ:＼
　　　/=ニニニ=j|ﾆ三三三三三三ﾆV::::::::::::＼　　　 {i:i:i/|i:i:|:ｉ:ｉ:|:i:iﾄ､ﾍ

　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
.　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　 '､`⌒ ´　 V　__, ＜´.　　　　　　「そりゃあ本当に急な話だ
　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ　　　　　　　　一日くらいゆっくりしていればいいのに」
　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
.　　　　　_,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　 i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
.　　ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
. 　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

.　　　　　　　／　　　　 ′　、　　　　　　＼　＼
.　　　　　　 /　　　　　 /　　　　　　＿＿　　　　　丶
　　　　　 /　　　　 /　　　　　　/ニﾆﾆ≧s｡　　　　，
　　　　　 ′　　＿　　　　　　　／ニニニニニ＼　　　，
　　　　　|　　／ニニ≧=─=≦ﾆﾆ＞‐＜ニニニﾑ　　，
　　　　　|　/ニニニニニニニﾆﾆ/　　　　ヽニﾆﾆﾑ　　　、　　　　　　　「先延ばしは趣味ではありません
　　　　　| /ニニニ＞＜ニニﾆﾆ{　　　｜　 ∨ニﾆﾑ　　ヽ
　　　　　|.ｉニニﾆ/　　　＼ニニﾆ、　　 .!　　｜ニﾆﾆ!　　、',　　　　　何事も、出来ることはその日のうちに済ますことが
　　　　　|.{ニニﾆ|　　　　　寸ニニ､　斗＜ }ニニﾆ|　', 　､',
　　　　　|.{ニニﾆ|　.从　　　}ニニﾆ､ﾊ/　　 __,,￣`YⅣ ∧　',＼.　　　　物事を円滑に運ぶのです
.　　　　ハニニﾆ{　|　＼斗《ニニﾆ/ rz云苅㌻　'ニ.V.∧､ヽ
.　　　　 |　Vニﾆ∧￣￣＿_z､`ｰ‐　　'" ゞ''´ 　.|　'ニ| ∨∧＼',
.　　　　|　 ∨ニニ》 ≪ 芒ッﾊ　　　　　　　　 /|. Lﾆ」　、 .!　　　　　私がそういう性格なのは知っているでしょう？」
.　　　　 |　　ｰﾍ"＼从　¨´　　　、　　　 / .! |　Ⅳ　 |ヽ|
.　　　　 |　　/::| .∧　　ヽ　　　　　 ,-　ァ　ｲ　/ |　|`ト､/
　　　　从　'ニ､　|∧　　　＼ｰ　　￣　,ｨi{:i:i}ニﾆ! /ニニ＼
　　　　　| Ⅵﾆﾆ　.!ﾆゝ＿__! ）､:i:i:i:i爪:i:i:i:／ニﾆ|/ニニニﾆ、
　　　　　　/ニニニ/-_-_-_-_-〉ﾆ≧＝≦ニニニ＼ニニニﾆﾆ
　　　　　　|ニニニ'-_-_-_-_-./ニニニ/::::∨ニニニ＼ニニニﾆ_
　　　　　 /!ニﾆﾆ/-_-_-_-_-/ニニニ/::::::::::∨ニニﾆﾆヽニニニﾆ=-　＿
.　　　　 /ニニニ'-_-_-_-_-_'ニニ=─　￣　　 ≧s｡ニニ∨ニニニニニニ_
　　　　/ニニニ/-_-_-_-_-_′ﾆﾆ{　　 =────= ミh｡､Vニニニニニニ}
.　　　/ニニニ/_-_-_-_-_-_'ニニ/￣:::::::::ヽ:::r'"::::::::寸ﾆ=-､Vニニニニﾆ=-
　　 /ニニニ/-_-＞へ_-_/ニﾆ/:::::::::::::::::::::､!:::::::::::::::∨ニニヽニﾆﾆ／_-}-､
.　 /ニニﾆﾆヽ／:::::::::::::Ⅵニﾆ/::.:.:.:.:.:.:.:::::::::ﾊ::::.:.:.:.:.:.:.:}ニニニ}!ﾆ/_-_-,､/､/　＞、
　/ニニニニ人:::::::::::::::::∨ﾆﾆ{:::::...:.:.:.:.:::::::::::::}!:::.:.:.:.:.:.:.|ニニニ}/-_-/ヽ /⌒/ヽr､_」

274 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:07:17 ID:fcc933c4

完成したカクテルをジャンヌに手渡しながら、ハクも会話の輪に入ってくる

　　　　　　 /　 /　　 /　　　　＼　　　　　　　ヽ　　 V. N　 ',
.　　　　　 /　 /　　 /　　 / ＼　　　　　',　　　　　', 　　 }i N
　　　　　 / 　 ,　　　　 ,　　　＼　　　　',　　　　　　　 |i N
.　　　　 ,　　 |i　　 |i　　 |iノ''　　ヽｉ￣/ｉ =- ､　　i　　 |i::liﾄ.　　i.　　　　　「そういう風に行動力があるのは
.　　　　 i　　 |i　　 |ｉ.　／|　　　　　 | ,　 |　iハ} 　 |ｉ　　|i::lll:::} 　 |i 　　　
.　　　　 l　　 |i　　 |／ｉ从. 　　　　 |　,ｨ竓示ミｘ　|ｉ　　 |i::ill:::} 　 |i　　　　羨ましいですねぇ
.　　　　　 !.　　|i. 　八 x竓示ﾐ　　　　!　''うし' ｿ '|i |ｉ　　 |ｉ::lj:::}. 　八.　　　　
　　　　八　　|i　　　〃うしハ｀　　ノ　　ゞ-- 　 |i八. 　 |i::::::/　 '　　　　　私はどちらかというと
　　　　　＼,八　　 {ヾゞz少'　　　　　　　　　　ｲ' 　　 |i＜　ム-＝７　　
　　　　　　　　＼　　圦　　　　　　　}　　　　　 |ｉ　　　 |i　　'三三=/　　　後に回しちゃう方ですから」
.　　　　　　　　＼　＞ゝ　　　　　　　　　　　　　|ｉ　　　 |i　 /三三=/
　　　　　　　　　　 {　　　ゝ　　　　、　　ノ　　　'　|ｉ　　　 |i. /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　{ ＞　　　　　　／|＿ |ｉ　　　八'　　　 /
　　　　　　　　　_　∧ 　　l‐ 　￣〕　 - 　　 li　八　 , ---=ミ=7

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　 __,ノ　 ⌒
　　　　　　　　　　｜　　(⌒ ) (⌒ )
　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i　　　　　　　　　「行動力があるっていうのも
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　それはそれですよ？
　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ　　　　　　　　　　行動的すぎると、彼女みたいに
　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､　　　　　　　　一家ごと１５年も海外に行ったきり
　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、　　　　　　音信不通になりますからね」
　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
.　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

やらない夫の発言に、ジャンヌは口をつけていたカクテルを噴出しかけた
咳き込んでいるのは、器官に酒が入ってしまったせいだろう

　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　,.　-‐'"´　　　　　　　___｀`- ､＿,,.-ノ
.,.-'"　　　　　　_,,.. -‐:::'"´::::::l　　　ヽ￣
　　　　　 ,.-＜::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ　　　ﾉヽ
　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,､::` -'::::::::::ヽ
　　　 /:::::::::::::::::::::,..........,,::::::::/__` ､::::::::,.､::::ﾍ
　　 ./:::::::::::::::, '" ､,　 ./ ｀` ､:::::`i:::`´, ､::l::::::ﾍ
　　 l::::::::::::::/　　 / l / l ,l. /ﾍ::､':::::::,':::ゝ'::::::::ﾑ
　　 l::::::::::::::l l ヾｧ====ｭ､/ l .l:::ﾉ:::／:::::__::::::::::l
　　 l:::::::::::::ﾉ l,/　 ,'´:::7 ヾ' ﾚ'､'::::/:,-'"　ﾍ::::::::l
　　ﾍ-'"´　 l´ .ﾍ､ゝ-'　　／:::::::::::,'--､ l　l:::::::,'.　　　　　「人を鉄砲玉みたいに言わないでよ！？
　 ./::l　 l　l l ////｀¨´/ ｀ヽ､::::::::,'l7　 l ﾚ'::::::
　/-:l 　 l l　l　　　　　　　　ヽ／-- ' .//::::::/　　　　　　　私はちゃんと理由があってフランスに移住したの」
./llllllll　　ﾘ /　　　　　　　　 /　　////.ヽ::::/
l　/　l　　 /　　 =-_-､　　　　　　　 / 　ヽ'
ﾚ' ﾚ' ﾍ　/. ヽ　　　　｀ﾞ``-　　　ノ /　l/l
-ノ::::::::ﾍ'::ヽ､ヽ､　　　　　 ,.. -'"　/ lﾍ//ﾍ
' ヽ::::::::::::::::::::`-､_ヽ､_,..-'"　　l　./l / /lﾍ､ﾍ
ﾆﾆヽ::::::::::::::::::::::::::::l /.l　 ,ｨ　レ.l ﾚl/　　ヾ､
__ニニヽ､:::::::::::::::::::l:i:i:il/-.l　/ヽl
コゝ'_`=- ､`----'､,ヽ:i:i:i:i:ﾚ'ﾍ＿
-'｀ﾞゝ__　　　｀Yr--ﾍ,ﾍ:i:i:i:i:i:i:i:i:iゝ.､
ニニニニﾆ=-'Lゝ-'-ﾍﾍ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:`i.､

　　　　　 ,． '´⌒ゝ'"　￣￣｀　、
　　　　　／　 ,　'⌒ヾ} ´￣　｀ヽ.　　　 {ﾐ｝
.　　　　〃　／　　　　　　　　　　　＼　　{ﾐ!､
.　　　 { 　/　　　　/　　　　}、　　　　ヽ　||　'
.　　　　 ′　　 /ｉl∧　 ‐十寸＝‐ 　ﾊ||　！
　　　　 {1　　 ‐大{'＝、　 ;x-刈、} 　 !:jjヽ
.　　　　从N 　以＝x　,　/,ォ示=ｧ!　｜ｦﾉ ,′.　　　　　「あ、それ興味ありますね
.　　　　　八　个ﾞVrﾘ　∨　 Vrソ|l　　ﾚ' ∠-‐. :7
　　　　　　　ヽゞ ¨´ ，　　　"" |l 　レ'_:::::::::::/.　　　　ジャンヌさんはどうして海外に？」
　　　　　　　　｜　}、　ﾏ _ﾌ　　ﾘ　 ′.、ヽ／
　　　　　　　　｜　 |i≧ｧ- = ≦イ　/iK:::::::Y
　　　　　　　　 Ⅳ、ﾙ∠__ト　 -}__! /｣ |:::＼:|
　　　　　　　　　　 γ/{〈｜　/ 〉j/＾ヽK ヽ:＼
　　　　　　　　　 {/　l l !ﾉ_〃　Y 　 }､::::、ヽ:.＼
.　　　　　　　　（　{ ￣/　　ﾉi== i ';:::::> ´￣｀
　　　　　　　　　　 L＿〉 .{＿__ ,{ |:::::｜∨
　　　　　　　　　　　|:::}/　 j 　　| |:::::: |
　　　　　　　　　　　|:/ヽ／　　 ‘,|::::::::|
　　　　　　　　　　　|{[i[二]ニi]ﾆﾆ|:::::::::|

275 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:07:46 ID:fcc933c4

平静を取り戻すために、咳払いをしてから
ジャンヌは亜人としての自己紹介を始めた

　　　　　　　　　　　　 __／:.:.:.:.:.:.///≧s｡､ ~''＜
　　　　　　　　　‐=ﾆ彡〕､＿＿ノ//＞＜//)h､ .∨､､
　　　　　　　　 ,∥.////∧//i{　　　 Ⅵ/∧ .∨))
　　　　　　　　　　/∥/ゞ''''ヾ,∧/i{ 从､　 Ⅵ/∧ .∨
　　　　　　　　　ﾉ:.:i{/i{:.:i! i i.∨ v乂ﾘｨ≦ｶ弋__i}､ .＼イi〔
　　　　　　　　　从:.i{/i{､ i 从_|/∧//杙ツ i　从､i＼__≧＿
　　　　　　　　__ﾘi､从:.从:.{ｨ≦ｶ＜ノ　　ノﾘi　} ∧v:i:i:i:i:i:i:iフ
　　　　　　　　∨~~~~ヽ)ﾐh弋ツ　　､　　 /从ﾉ~~´ヾ,:i:i:i:i:i:i:iヽ, 　　「私は、サラマンダーなんです
　　　　　　　ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iYヽ,　ｨア　ノ从ﾉﾘ从:i:i:i:i:i:i:iイ廴
　　　　　　　ﾌ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ih､__／ |:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i厂　　同族に能力の制御を指南いただく為に
　　　　　　≦:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ih､､_ﾉ',:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾘ
　　　　　　　フ~~~~~~""'''＜:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}＿_ﾉ{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iア´.　　　　渡仏したんですよ」
　　　　　／-=ﾆﾆ二二二二~''＜:i:i:i:i:i:i}､ﾆﾆ｀~ヾ))_~~~~´{
　　　　 /-=ﾆ二二二＞''~~ヾh､　~''＜ﾘﾆヽ,ﾆﾆﾆ《､_》ﾆih
　　　 /-=ﾆ二二ﾆ/: : : : : : : : `''＜ﾆﾆﾆﾉiムﾆﾆ｀~ヾ} i} |
　　　 ,-=ﾆ二二ﾆ/: : : : : : : :イア~~~＼ /:i:i:|∨, ﾆﾆﾆﾉ',ﾉ .!
　　　,-=ﾆ二二ニ{-===---ﾌ´＿＿＿__)h, i| .∨,／iｲノ}:.:.|
　　　|-=ﾆ二二二二二二ﾆ}/ヾ{/.Yヾ/:.ヽ,＿_> v／ｲ =}:.:.|
　　　|-=ﾆ二二二i 二二二,'_:.ﾉ{=､}ｨ'''∨,:.:＼ﾆﾆﾆﾆﾆノ:.:.}
　　　|-=ﾆ二二／二二二/ヽ/ {=ﾐ} v''''∨s｡,_) -==≦:.:.:.:.|
　　　|-=ﾆ二／二二二ﾆゝｲ:i:∧_i}:i:ヽ_ﾘi ______≧ｲ{:.:.:.:.:. |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　 ,　"　　　　　゛ーヘ- 、_　　　　　　、
　　　　　 rﾆ;,　　　／　　　　　　　　　　 !ヾヽヽ、　　　 )ヽ.
　　　　　 {ｒ､｝　 /　　　　　　　　　/ 　　 |　＼ヾー--- "　ｊ
　　　　　　　ヾ.'､　/　 /j　　　　　　 /　　　 !　　＼ヽ｀ー-- "
　　　　　　ヽ｀､j　//　　　!　　 /!　　　　j　　　　ﾍﾊ
.　　　　　　　ヽr=! ! 　　 i! 　 i!　|　,ｲ　ﾊ　　　 }! |
　　　　　　　　　 {::::ﾍ}|!　 | ,ﾊーｔ--ｒ'　|　 i!ート,　　　i| !i
　　　　　 _＿__　 ;ヾ=ｪi| 　i|/ｨｵﾃミ!ｿ　 !　,!xｬｧｊ!　　ﾊ. ! i !
. 　　　 {::::::::::::::｀ヽゞﾐj| 　 |《{ﾟし:::）　　i. /fo::｝ｲ　 j | | j !. 　　　「ああ、なるほど
　　　　ヽ::::::,;;;-----;| 　 |　ー '"　　 j/　ゝ-' ﾊ　ｲ.j/ﾉﾉ
.　　　　　｀く　　＿;;ー| 　 | ""　　　　　,　　"/ i　/ j,／　　　　　　　現在はともかく、１０年以上前じゃあ
　　　　　　 >´::::::::::::::|　　|＼.　　　-=　　ｲ　'イ　|
.　　　　　　 _,,ゝ、:::;;;;;;;r|　　|_　｀　ーｒ＜.´jﾉ　　|　 |　　　　　　　精霊種の亜人は希少だったもんね」
.　　　　／／::::/7;;;;;;;},.! 　 | ＼__　　.{ 　｀!'､　 |　 |
.　　　　/　/:::::::/'／　ヾ! 　 |　　 ¨ﾊ　｀ヽ{! {ー‐|　｜
　　　 {　/::::::/./　　　　 }! 　i!　　 {　ヽ、　i} ｀7､ | 　i|ヽ.
　　　　ヽー '¨｀{　　　　　}!　 |＼　jヾ､　7 ヽ〈＼,| 　i|　|
.　　　　＼　　ﾍ　　　ｿヽﾊ!　｀　＼ヽ. ｀ヽ }> 〉＼j　|
　　　　　　＼. 　ヽ　　 }y'　　　　　ヾニﾆ{　｀ｒ' 　＼|
　　　､　　　）　　ﾊ／/　　　　　　　　　｀ヽﾄｰ;'　　　ヽ.
　　　 i｀ー '"　　 / <　 {　　　　　　　　　　 i}　ﾍ　　　 }
.　　　ヽ、_＿__ ノ　｝ ∧　　　　　　　 .ｲ!　　}　　　　ﾉ

ジャンヌの言葉に、ハクは納得しながら頷く

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､' 　　　　　　「ジャンヌの親父さんに伝手があったので
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|.　　　　　　　　その関係で、先人のサラマンダーが見つかったんですよ
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_.　　　　　でもその人、フランス人でしたから」
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

亜人たちの能力には、使い方によって危険な力が少なくない
特に精神が安定していない幼少期には、能力による事故を起こす確立も高くなる

だが、希少な能力の亜人は、その力をどうやって扱うのかを教えてくれる人間が
周囲に居ない場合もあるのだ

ジャンヌも、その一人であった

276 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:08:09 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　（⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　（__人__）
　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ.　　　　　　　「でも、こうして日本に戻ったってことは
　　　　　　　　|　　　　　　　 }　　　　　　ｿｯﾁ
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|　　　　　　　　　能力の方はもう問題ないみたいだね
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |.　　　　　良かった良かった」
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

やらない夫のその言葉に、ジャンヌが顔を俯かせる

　　　　／　　／　/　　　/ /:::::::::::::::::::::;;;;;;:::::::r-ヽ
　　　／　／./　　/　// ／.:::::::::::::::r ´　i∧i:::(::(::::)
　／　／　./　＿i斗 ´　/:::::::::::::::i 　 i i/　i ｝::::::::ｲ
　´ ／　/ i　　＼　　　 / 、______ﾉi　 iﾉﾍ,＼｝:::::::ﾉ
　ーフ／i　　,　`ー__/:::i　 i i　 iノ /::::::::ﾉﾉ:::::::::/
　　／　　い　　　/　i::::::i / 、iV /　:::::/／｝／
　　　斗品:::＼　/i i　 i＼ii　＼i　　　 .i
　ｒ:::::::::::::::::::品::::V::i i　i i　i　　　、　 _　.i
　:::::::::::::::::::::::::::品ｒヽ::V　V 、　　-i::´i￣
　:::::::::::::::::::::::::::::i</、 > 、i/_ヽ´::::::::::i
　::::::::::::／:::::::::::i彡＼i::::::i　　 i::::ノヽi
　:::::／:::::/::::::::::i:::::::::::__＼　　/
　／::::::::/:::::::::::i::::::::::＼￣＼
　￣￣￣￣i__絽品品彡、　i
　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i　i i:::::::::::::::＞<,
　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.し｛:::::::::::::::::iii: ＞。
　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼/＼:::://:.:.:.:.:>,
　:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./::://:.:.:.:.:.:い

彼の言葉のどこに、彼女が視線を落とす要因があったのだろうか

しかしそんな行動とは真逆に、顔を上げた彼女の表情は
やらない夫への侮蔑に満ちていた

　　　　　　ゝ __ ／　　///////＞　、＼
　　　　　　　　/>、__ ノ///////////ヽ　＼
　　　　　　　///////// ／￣　寸,//∧　　＼
　　　　　　 ////ミ//// {　|　}、|　 |/// |　　　＼
　　　　　　,l{//{　 V///八仏ィ_ニ j////| ＼　　　ヽ. 　　　　「私を馬鹿にしていますか？
　　　　　 / l//|　　|///// 〉f_炒ﾉ L///|　　＼　　＼
　　　　　/ | V∧ノ_く/////　　　|/|　 | Vﾍ　　　、ト--　　　　そんなものはとっくに克服しています
　　　　 /　|　V//人ヅヽ/ 　　　 |　 |　V/ヽ　　　 }
　　　　:　　|　 V/ 八　　 ' _　-_っ l　 i|　 V／ |ヽ|ヽﾉ
　　　　{　　|　/||ﾍ　.> 　ゝ´　　 |ﾍハ从　 |､|　　　　　　　　帰ってこなかったのは、あちらで
　　　　 ,　/, / | |∧　　| ＞__　 _イ:::::::::::::..ﾚ.、|
　　　　　　　　 | |／　Lﾉ-.:::::::::::／ﾆﾆ(_ノ|:::) 、.　　　　　　　　働き口を見つけていたからですよ」
　　　　　　　　　　　　　):::::／ﾆ＞ --===ミﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　 -=ﾆﾆﾆﾆ=-　￣＼ﾆﾆﾆﾆﾆ |::::..、
　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆ／ﾆﾆﾆﾆ　＼_}ﾆﾆﾆﾆ　|:::::::..、
　　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ Yﾆﾆﾆﾆ/|:::::::::::...、
　　　　　　　{ﾆﾆﾆﾆﾆ./ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆ/　|::::::::::::::..ﾌ
　　　　　　人ﾆﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆ／　　|／￣
　　　　　　　/ ＞－/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆ/

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |
　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |.　　　　　　「ああ、そういうことだったのか
　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　いや、ごめんごめん
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {
　　　　　　　　　　　　　 _`ｭ`ｰー___´_ノ',　　　　　　　　そういうつもりじゃなかったんだけど」
　　　　　　　 _, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、
　　　　　　 /. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
.　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
.　　　　　/ : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥

　　　　　　ゝ __ ／　　///////＞　、＼
　　　　　　　　/>、__ ノ///////////ヽ　＼
　　　　　　　///////// ／￣　寸,//∧　　＼
　　　　　　 ////ミ//// {　|　}＿|　|/// |　　　＼
　　　　　　,l{//{　 V///八／j,ム|　j ///| ＼　　　ヽ
　　　　　 / l//|　　|///// 〉赱ノ|　L///|　　＼　　＼
　　　　　/ | V∧ノ_く/////　　　|/ |　 | Vﾍ　　　、ト--
　　　　 /　|　V// 赱ﾉヽ/ 　　　　|　 |　V/ヽ　　　 }.　　　　　「………分かればいいのです」
　　　　:　　|　 V/ 八　　'　／⌒) 　|　 i|　 V／ |ヽ|ヽﾉ
　　　　{　　|　/||ﾍ　.> 　　ゝ- ' 　 |ﾍハ从　 |､|
　　　　 ,　/, / | |∧　　|＞__　 _...イ:::::::::::::..ﾚ.、|
　　　　　　　　 | |／　Lﾉ-.:::::::::::／ﾆﾆ(_ノ|:::) 、
　　　　　　　　　　　　　):::::／ﾆ＞ --===ミﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　 -=ﾆﾆﾆﾆ=-　￣＼ﾆﾆﾆﾆﾆ |::::..、
　　　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆ／ﾆﾆﾆﾆ　＼_}ﾆﾆﾆﾆ　|:::::::..、
　　　　　　　/ﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ Yﾆﾆﾆﾆ/|:::::::::::...、
　　　　　　　{ﾆﾆﾆﾆﾆ./ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆﾆ/　|::::::::::::::..ﾌ
　　　　　　人ﾆﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ /ﾆﾆﾆ／　　|／￣
　　　　　　　/ ＞－/ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ/ﾆﾆﾆ/

強く言い過ぎたと思ったのだろうか
やらない夫の謝罪に対し、ジャンヌは罰が悪そうに視線を逸らすのだった

277 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:08:36 ID:fcc933c4

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　「…そういえばさっき仕事の話が出たけど
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃.　　　　　日本へ来たのは、もしかしてその関係かい？」
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　　_　,,　 _
　　　　　　　　　　,x.'"　　　　　　｀　.､
　　　　　　　　／　,　　i　　.}≧s｡.　　＼
　　　　　　　 /　 ∠i,　 .',　ﾉ///≧｡.　', ヽ
　　　　　 .i　i ,仁/≧ttf///==///ﾍ　',. ﾍ
　　　　　　　i　i.仁///////jﾒ', ﾞ',ﾏ//jﾍ .'.,　ﾄ､.　　　　　　
　　　　　　 i , !Ⅳjﾒ´i`マ/Ⅵ .i　!.ﾏ//jﾍ　i i.', ＼　　　　　　　　　「察しがいいですね、やらない夫
　　　　　 | ! !Ⅳj{　i　ﾏ//|!　,.+ `マ/ﾊ i .!.ﾍ　＼
　　　　　　 ,i .',.',V/ﾍ t-　}///7s !斗.ﾗi`´.! i　 ',￣~`　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾙｼﾙｸﾄﾞｳﾐﾆｭｲ
　　　　　 ./ ', .', ',V/j>＿_!/////.代/ﾀi　,' ﾉ、 .ヽ　　　　　　　　今度、私が働いていた「le cirque de minuit」の
　　　　　/ .,ｨ'､ ', ',`+弋/タ.`マ/　¨¨´/　,ｲ　 i` _ ﾆ=-　　　　
　　　　 ,'／/　`.x,.` .`｀¨¨　　 '　　　/_ ｲ　!　 |　　　　　　　　　　　支店が日本にオープンすることになったんです
　　　　　∠ .イ　 ',＼＼.　　_,　-‐′ ,ｲ　人　!
　　　　　　　　',　,ｲ /` ,へ,_ 　　　,.イ .|./　 .ヽ　　　　　　　　　　そこのシェフとして働くために、こちらに来たんですよ
　　　　　　　　 V　ﾘ　　 V_ﾄ_≧ﾆ.~_e|ｔ､__
　　　　　　　　,　-ｚt''≦≧.i三三三ﾆi-=ﾆニﾆﾆft
　　　　　, x'"-=ニニニ=鎖≧77777{=ﾆニニニ=;トｘ､　　　　　 ……まぁ、デミ・シェフですけどね」
　　　 /-=ニニ=-≪≫'"{~誇ミtz┐鎖=ﾆニニﾆ!ニj＼
　　　 /-=ﾆニﾆ≪>:::＞'　 .~ ‐--t┘ <≫=ニニﾆ!ニ}:ﾞ:::＼
　　 ,｝=ニニx"::ア"　　　,.'　　　..V::::::::::{≫=ニﾆ|ニ}:::::::::::＼__,,x＜!
　　 /=ニニ/::::/　　　　　,′　　　 .'!:::::::::::::V=ニﾆ!ニ}::::::::::::::::V:_:x::┴t
　　ﾞ{_,ｨニﾆ.i:::::i.　　　　 i　　　　　 .|::::::::::::::i=ニニi,ﾆ}:::::::;斗＜,,_:::::::::::}
　　　 .V＼f|:::;'.　　　　 ‘，　　　　 |::::::::::::::|=ニニﾒ:jV::/i:i:i:i:i:i:i:i:ヾ::::/
　　　　 /Ｅ`込.　　　　　／'､　　　 .|:::::::::,.x'|=ﾆﾆﾆノ　.}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|:{
　　　 ./xニニ=｀ｚ-ｚ炙三三≧zｭ-|＜~:::::::i~ ￣ ~　　,i:i:i:i:i:i:iｪi:i:ｪ::ｨ:＼
　　　/=ニニニ=j|ﾆ三三三三三三ﾆV::::::::::::＼　　　 {i:i:i/|i:i:|:ｉ:ｉ:|:i:iﾄ､ﾍ

ジャンヌは少しだけ誇らしげな顔で、そう答える

彼女の言うデミシェフとは、日本語で言う部門料理長であり
特定の料理と調理を担当する管理責任者だ

　　　　　　　　 ..　 ---　　､
　　　　　 .　 ´　　　　　　　　　ヽ
　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　 / 　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/　　　 /　　 .i　i　　　.|　　　　　　　│.　　　　「おおぅ、本場で学んできた
　 ,'　　　　,' /.. ＼|､ |i　　 l／ |　　　 ',､＼
　 l　　 i　イ´　 / l .! |　　.,'|　 .l　　.|　　l　│.　　　フランス料理のシェフですか…
　 |　　.l　 .|　 ./　 l/　l　 /　l ./ ヽ　l　　 |　 l
＿.',　r |　 l.／三三　|ノ　三三　! / l　 ,'ヽ |　　　　最近はなんだか料理関係者の人と
!::::::ヽ|　l　　|　､､､　　　　　　　､､､|〈　| /
ヽ::::::::ヽ.|　　l 　　　　　　　　 / l 'i　　　　　　　　会うことが多いですねぇ」
　ヽ￣　.l　　|._　　　　∠l　　　.　 ' |　　|
　　l　／:|　　l.:/l　　 ―　＜i´　　　l　　l
　〈::|:::::::/l　　|'| ヽ　　 |,､＼:!ヽ　　 |　　|
　＼:／.::|　　l へ＼　l' .ヽ l::/　　 l　　l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|　　　　　　　　　　「料理人ってことか
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　手に職って感じで羨ましいなぁ
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ　　　　　　　　　　　やっぱりアレかい
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、　　　自分で炎を出して料理したりするの？」
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

278 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:09:02 ID:fcc933c4

やらない夫の質問に、ジャンヌは冷ややかな視線を向けた

.　　　　　　　／／　　　　　　　＿＿
　　　　　　 /　(　　_　 -=　¨＿__　　　　　=- _
.　　　　　　乂　>'^ 、＿..｡イニﾆﾆ＼　　　　　　ヽ
　　　　　　　　／ニニニニニニニニﾆ＼　　　　　　＼
　　　　　　　 /ニ／!ニニニ=-'"⌒ヽニニヽ　　　　 ‘､
.　　　　　ｨ'ニ,' ｌ lニニニ/　　　　　ﾏﾆﾆﾆ,　　　　　　 ‘､
.　　　　／'ニﾆ　ｌ lニニﾆ/l　　　　　　ﾏニニ,　　　　　　　＼
.　　　　￣,ニﾆ'　{ lニニﾆl l‘,　 |　　　 }ニﾆﾆ,　　　　　　、　＼.　　　　「そんなことしたら脱水症状で倒れますよ
.　　　　　,ニﾆl　ト!|ニニﾆ! !-＼l‐＼-　lニニﾆ!　　　　　　‘,=‐- `
...　　　　,ニニl　Fﾐ!ニﾆニl l ｭｚ芸弃ミ lニニﾆ|　　　　　 ‘､.　　　　　ガスコンロを使えば済む話です
...　　　　lニニ| 弋〈ニニニ> 　丈沙 |/ニニﾆl　　　　　　　　＼
...　　　　`-.二ｌ　|　寸ﾆ／ {　　　　 /ニニニ'　　　　　　　‘ ￣. 　　　その分別をつける事も力の使い方の一つでしょう
.　　　　/　ﾉ| l　 |　ヽ `'＼{` 　　　 `h．ﾆ／　　　　　　　＼‘，
.　　　￣　/｜人　　　　　　　 |　|`ﾑ　　　　　　　　　＼
　　　　　 /／! Λ ＼　　　､　　　　　 l　'/ﾆ}､　　 l　　　　　　ミ`..　　　　…まぁ料理の演出で使ったりはしますけど」
.　　　　　　　 V　‘,　ヽ　　　　　 _　ｲ|/ ””,'|‘､　ｌ＼　　!=--―`
　　　　　　　　 ‘ 　,､＞―‐=ｚｚｚｚｚｚｚｚｧ　　＼l　 ‘'　l
　　　　　　　　　 V　`}ﾆ}l{ニニニニﾆﾆl/
　　　　　　　　　　　　 }ﾆ}l{ニニニニﾆﾆj＿
　　　　　　　　　 _-=ﾆ{ﾆ}l{ニニニ斗s≦ニニ=-_
　　　　　　　／＞'"⌒ヽl{== ／ニニニニニニﾆヽ
　　　　　　 /／ム＿＿ﾉ=／ニニニニニニニニニ，
　　　　　 ,.ｲ／:／:::::ラ=／ニニニニニニニニニﾆﾆ,
.　　　　_ イ／:;:::'::::::;ィ=／/ニニニニニニﾆﾆl|ニニﾆﾆl
.　　γィ／:／:::;::イ=／ニ,ニニニニニニニﾆl l ニニニl
.　　/／::::,'::::::f==／ニﾆ,'ニニニニニニニﾆl::::lニニﾆﾆl
......〈｛:::::::,'::::::::l==ｌニ／/ニニニニニニニﾆl:::::::!ニニﾆl l
. 　 |l｝::::l::::::::::l==lﾆ'ﾆ/／lニニ／ヽニニﾆｌ:::::::::lニニ Λl
. 　 |l｝::::l::::::::::l==l/ニニﾆ!ﾆ／ﾆﾆﾆヽニ l::::::::::::|ﾆニ/

　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 | 　　　（ ⌒）（⌒）.　　　　　「あ、もしかして料理やお菓子が
　　　　　　 l　　　　　（__人__）
　　　　　　　 l　　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　燃えてたりするやつかい？
　　　　　　 | 　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 l
　　　　　　　 _,ゝ､　　　_,ノ.　　　　　　　実際に見たことは無いから
　　　　　 ,､-='l　＼_,ﾝ g<＼
　　　　 / ＼　└〆＼ i=i|＼'＼　　　　　　見てみたいなぁ」
　　　丿　　ﾞi 　＼　＼=il　/　i!
　　　 l　　　　l 　　　＼＼| /＝|l
　　　 |　　　　|　　　　　＼i/ 　 ||

めげないやらない夫は好奇心からそう申し出る

そういった料理があることを知識としては知っていても
実際に見たことがあるのは少数であるからだろう

もちろん、彼もその一人だ

　　　　　　　　　　　　　　　　 .　　――‐-　 ..
　　　　　　　　　　　　　　　 ´
　　　　　　　　　　　／,∧　　　　　／＼　　　ヽ
　　　　　　　　　　　/ // G＼/＿ﾄ_／ G G ＼　　　‘:.
　　　　　　　　　 /GG__G GG G＿GGGG＼　　　＼
　　　　　　　 ‘　/G /,!∧G G／.! ! |l＼GGG|　　　　＼
　　　　　　　　　｜｜Gl'~|　||GGｉ~「l¨iヽ!　} G G|　　　｛　＼ . 　　　「別に構いませんが…ことは料理ですから
　　　　　　　　 :!　|G |l､i､_||G G､ﾄ|､|_ l､/GGGj　　＼　＼　＼
.　　　　　　　　　〉∧_/字卒＼／卒字≧＼＿/　　　　!＼　＼　})...　　　いますぐ見せられるというものでもありませんし
　　　　　　　　 /| i∧∧ ﾋｳ　　　弋ウ :!｜　∧{　　　 ||　ヽ　i
　　　　　　 / j/洲i 八　　′　　　　　| 1　,洲＼　　|l　　i|　|　　　　第一、ここはお店の中です
　　　　　　　　{! /　/.ｲ|| l＼　 --- 　／| |i　|||　 |　ヽ :| :、 jレ′
.　　　　　　＿／／|/ il|| | i/＞-:r‐_,,´／| |l　|||　 |　　ｉト=≧
.　　　　　　　￣　　 {　j八ﾚ（｛l　「￣￣　li| |レﾍ},_人　 }ﾉ　　　　　　　またの機会に―――」
　　　　　　　　　　　　　　　,..ｧ≦|______＿|{/ /IiIiI＼
　　　　　　　　　　　 ∠)IiIiI／/＼IiI└[]┐IiIiIiIｉIｉI＼
　　　　　　　　　　／>‐┐ i￣￣￣〕‐┼[]┐iIiIiIiIiIト＼
.　　　　　　　　_/￣｀r‐┴ |77777└[__]┼[]┐iIiIiIi!'∧i＼
.　　　　　　　／/| ￣｀|―　 |'///////il└[__]/IiIiIiIiI|'/∧IiIi＼
.　　　　　　ヽI｛ { ￣>{―　 j'///////j|IiIiIiIi/IiIiIiIiIiI|'//∧iI／

　　　　　　　　　　 -――-　、
_Λ_　　　 .　 ´　　　　　　　　　丶
｀Ｖ´　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　 /　　　　　　　　　　　ヽ
　　/　　　 /　　　 i　　　|　　　　　 ',
　 ,'　　　　,' /.. --|､ |i　　 l＿ |　　　　　　　　　　　　　「あ、私も見てみたいので
　 l　　 i　イ´　 / l .! |　　.,'|　 j、　 | 　 l
　 |　　.l　 .|　 ./　 l/　l　 /　l ./ ヽ　 | 　 |　　　　　　　　よかったらここで実演してみて貰えませんか？
＿.',　r |　 l.／z=＝s　|ノ　 ,z＝x l　ﾊ　 ,'
!::::::ヽ|　l　　|　､､､　　　　　　　､､､|〈｜/..　　　　　　　　食材が足りなかったら買い出してきますよ！」
ヽ::::::::ヽ.|　　l 　　　 r―,　　　　　/　lｲ
　ヽ￣　.l　　|._　　　　｀ ´　　 .　 ' | 　 |　　 _Λ_
　　l　／:|　　l.:/l　　 ―　＜i´　　　l　　l　　｀V´
　〈::|:::::::/l　　|'| ヽ　　 |,､＼:!ヽ　　 |　　|
　＼:／.::|　　l へ＼　ｌ' .ヽｌ::/　　 |　　|

やんわりと断ろうとしたジャンヌの言葉を、ハクはさらっと遮った

279 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:09:32 ID:fcc933c4

　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　,.　-‐'"´　　　　　　　___｀`- ､＿,,.-ノ
.,.-'"　　　　　　_,,.. -‐:::'"´::::::l　　　ヽ￣
　　　　　 ,.-＜::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ　　　ﾉヽ
　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,､::` -'::::::::::ヽ
　　　 /:::::::::::::::::::::,..........,,::::::::/__` ､::::::::,.､::::ﾍ
　　 ./:::::::::::::::, '" ､,　 ./ ｀` ､:::::`i:::`´, ､::l::::::ﾍ
　　 l::::::::::::::/　　 / l / l ,l. /ﾍ::､':::::::,':::ゝ'::::::::ﾑ
　　 l::::::::::::::l l ヾｧ====ｭ､/ l .l:::ﾉ:::／:::::__::::::::::l
　　 l:::::::::::::ﾉ l,/　 ,'´:::7 ヾ' ﾚ'､'::::/:,-'"　ﾍ::::::::l.　　　　　「そ、そうは言っても…
　　ﾍ-'"´　 l´ .ﾍ､ゝ-'　　／:::::::::::,'--､ l　l:::::::,'
　 ./::l　 l　l l 　　　｀¨´/ ｀ヽ､::::::::,'l7　 l ﾚ'::::::　　　　　　　ここはマスターのお店ですし
　/-:l 　 l l　l　　u.　　　　　ヽ／-- ' .//::::::/
./llllllll　　ﾘ /　　　　　　　　 /　　　　/.ヽ::::/ 　　　　　店のものを勝手に使うのも…どうでしょうか？」
l　/　l　　 /　　 =-_-､　　　　　　　 / 　ヽ'
ﾚ' ﾚ' ﾍ　/. ヽ　　　　｀ﾞ``-　　　ノ /　l/l
-ノ::::::::ﾍ'::ヽ､ヽ､　　　　　 ,.. -'"　/ lﾍ//ﾍ
' ヽ::::::::::::::::::::`-､_ヽ､_,..-'"　　l　./l / /lﾍ､ﾍ
ﾆﾆヽ::::::::::::::::::::::::::::l /.l　 ,ｨ　レ.l ﾚl/　　ヾ､
__ニニヽ､:::::::::::::::::::l:i:i:il/-.l　/ヽl
コゝ'_`=- ､`----'､,ヽ:i:i:i:i:ﾚ'ﾍ＿
-'｀ﾞゝ__　　　｀Yr--ﾍ,ﾍ:i:i:i:i:i:i:i:i:iゝ.､
ニニニニﾆ=-'Lゝ-'-ﾍﾍ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:`i.､

いきなりのマスターの提案に戸惑うジャンヌであったが
ハクは天高くサムズアップして彼女の意思を解きほぐす

／　　　　　　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　 i　　 i　　　　　　　ヽ
　　 i　　 l　　　|　　.|　　l 　　ｉ　　 ',
　　 l　　,|　　 /l　 /l　　 |　l.　 l　　 |.　　　　　　　　「私のお店だからいいんです！
　　 .|　r-i- / ..|_/　|　　l　,|　 .|　　 !
. |　　! | .＝--＿'｀ .l　./r/‐!‐/
. l　　 !.| 三三三　/／三.ミ./ 　 / /　　　　　　　　あ、もし気になるのなら、材料費は
., |　　　l　､､､　　　　￣￣ヽ / /
-,l　　　.|　　　　 ,.....,　　｀｀｀　l ／　　　　 ,　　　　　　ちゃーんと請求しますよ
:::::l　　　l　　　　｀ ´　　　／　|　　　ー ' !
￣|　　　|＞r-　　--‐:::/i´　　 l　|｀i　　　｀フ
／:l　　　l | .l｀　 ´!＼::::l |　　　| / r―､　　＞.　　　　やらない夫くんに！」
:／.|　　 |l ,､ヽ. i.ﾉ ,､lヽ/l　　 l | l'_　　〉
　　.l　　 .l/ 　l￣ﾞl　　〉.|　　 |/｀'-　ﾉ

しれっとやらない夫に金銭問題を押し付けつつも
ハクは遠慮するジャンヌにぐいぐいと詰め寄っていく

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | {"　　　　　　　　＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　ゝ{　 ─‐　}≧s｡　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　､丶`´　　　 ./ニニﾆ≧x　　＼
　　　　　　　　　　　　　/　 /＼　　　　　　 /ニニニニニ丶　　丶
　　　　　　　　　　 /　 /ニニ≧s｡＿／ﾆﾆr─＜ニﾆﾆﾑ　　　，
　　　　　　　　　　　　′ /ニニニニニニニﾆ/　　　　寸ニﾆ》　　　、
　　　　　　　　　　　 |　《ニﾆ/ 　寸ニニﾆﾆ{　|　|　 !　}ニニ}}＼　　＼
　　　　　　　　　　　 |　 }ﾆﾆ{　　　 ∨ニニニ､ |　| 斗.|}ニﾆﾆ》、ー‐, ＿ｰ､
　　　　　　　　　　　 |　 Yﾆﾑ　＿__ }ニニニニ､≦zzx《ニニﾆ}　!　　 ',　　｀`
　　　　　　　　　　　/,!　　《ﾆﾑ＼zz《ニニニﾆﾆ癶 i!ﾉ /!./ー8′|､　　丶
　　　　　　　　　　 //|　 / 寸∧《弋りニニニ／　ｰ¨´/ｲ/　 }ﾑ/　＼丶　＼.　　　　　「ま、まぁそこまで仰るなら…
　　　　　}＼　　}h.∨.|　/|　》′ヽ｀¨　ヾﾆ／　　　u.　 /　　.}ﾆﾑ | |/-=三ラ
　　　　　寸≧s寸hﾆ!/ﾆi､/i{　 |ヾ　　　丶　　　　　 /　　 |＞ｲ〉/ニニ/.　　　　　やりましょうか」
　　　　　　 ∨ニﾆ≧､!ﾆﾆ/ﾆ{、　丶　　　　　　＿　　 i　　　/-=≦ニニﾆ≦zzァ
　　　　　寸Ⅳニニニ≧s｡{/{ﾆヽ |个s｡　 ´　　　／:.|　／ニニニニニニﾆﾆ/＿
　　､-､　 }h､＼ニニニニニニﾆ≧ヽニ}≧=-＜／ﾆ:!/ニニニニニニニニニニﾆｱ
　　　＼ニ≧s｡ﾆ＼ニニニニニニ/ｲﾆ/､＼}≦ニﾆﾆヾニニニニニニニニニニ/
　　　　　＞ニニニニニニニニニニニﾆ}::::/ニニニニニニニニニニニニニﾆ／
　　　　　　》､ニニニニニニニニニﾆﾆ∨ニニニニニニニニニニニニニニ≧s｡
.　　　　　 ///,＼ニニニニニニニニﾆﾆ/ニニニニニニニニニニニニニニ＞'"´
　　　　 ///////≧s｡ニニニニ＞‐､=人ニニニニニニニニニニニニニ≦z､
　　　　////////////`＜ﾆゞﾆ二（::ヽr┴≧s､ニニニニニニニニニ＞ﾍﾞ"´
.　　　////////////_-_-_-_-`ー〈::::7:::::::::::::::::::丶ニニニニニﾆ＞"///∧
.　　 //////////／-_-_-_-､─ｧ─〈::::::::::::::::::::::::::::＞､ニニ＞"'///////∧
　　/////////／-_-_-_-_-_-_≧=─＜:::::::::::::::::::/::::／∨/////////////ﾊ
.　////////／_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-≧s｡/イ::::::::::∨/////////////,!
　}'/////／/_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_ヾ:::::::::ヽ::∨////////////,

そうして、先に根負けしたのは彼女のほうだった

280 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:09:59 ID:fcc933c4

了解を取り付けたハクは、早速彼女を厨房の方に案内し
あれこれ説明を始めた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __
　　　　　　　,. -‐　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐-|::!
　　　　,　'",. -─=‐　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 |:jヽ
　　／´／／　　／　　　　/　　　ヽ　　　ヽ　 ||　 ',　　　　　　　　　　　「やったー！
　　　　/´７　　　/ i　　　　 /!　 i　　:.:`､:.　　　ヾx|| 　 !
　　　　　/　ｲ　 ,'　!　　l　 / l　　lヽ _ :.:.:',:.:.ヽ.　 l Ⅶヽ.:|.　　　　　　　　　　それじゃあお願いしますね
　　　　 / / |　 l　 l 　 |,／　 ! 　 !　　ヽ､::!ｰ::l-: l. : :|Ⅳ}:
　　　　 |,'　 l　 !　.:|　ﾄ| ´￣ヽ　!　￣｀｀　ヽ!:/ : : ｌ-〃　　　　_　.-┐ 　　何か買い足すものはありますか？」
　　　　ｉ　　ｌ　l　 .:l　ヾ z=＝s ＼|　 z＝=x　ﾚ　　|:/:/{. : ´: : : : : : :!
　　　　　　　ヽ|　 .:|　 | 　　　　　　　　　　|　　　l/_／: : : : : : : : /
　　　　　　　ﾄ､ :l 　⊂⊃ 　　｀　　　 ⊂⊃　　 |: :!:_:_:_: : : : : :/
　　　　　　　　　ヽ! 　人　　　r──┐　　ﾉ!　:.　l_:_:_:_:_: : :-─!
　　　　　　　　　　| !　 :.＞､　ヽ＿ノ　ィ　ｊ　 :i. ｌ .-.-.一: :´￣ｌｌ
　　　　　　　　　　ｊﾊ　　:.:.|　｀ヽ､_,.､-:'´::　　l　 .:i i｀ヽ_　: : : : : : :ｌ
　　　　　　　　　　:.:.:＼ :.:.|　／ /ハ:::::　　ﾉ　.:/ﾘ:::ﾉ　 `''ｰ::､　 _!

　　　　　　　　　　。＜___￣￣　＞。
　　　　　　　　。　ﾉ:::::::::::::＞。　　　　＼
　　　　　　　ﾉヽイ:::::_..._:::::::::::::::ヽi　　　ヽ
　　　　　　 <::: }}:::r ´ i　 ii＼::::三ヽ　　　 i＼
　　　　　　　｛:::::::｛ﾄ , -―ト-＼:::::::｝i　　i　i
　　　　　　 iﾄ;::::::｛i＼iM　｝ i　i:___ﾉ .i　　i　i　　　　　　　　「これだけあれば材料は大丈夫ですよ
　　　　　　 iﾉ V:::::>i ,r ﾋア´从 i´.∧　＼　い
　　　　　　//｝∧ﾉ　　　ﾉii ﾄ, i /　｝i　 i＼i i.　　　　　　ビーターは…ありますね
　　　　　/ / iｲ∧＼　　　　　ﾉi从i ＞i´ 从ﾚソ
　　　　　i.i / //i 　＞。´ ／iﾉ｝i i＼ﾄ、ﾘ i、.　　　　　　　ボウルも多めにあれば助かります」
　　　　　 i i　 /::｝ﾄ,i i::::: Yｒーi .ii /:::::::`´:::<
　　　　　　／r-‘VV:::r〆i::::iノ::`::::,,:::::::::i:::>
　　ｒヽヽ. /:::´- "＞--:::::::/∧::;:::::::ヽ:::::::ﾄ、＼
　ｒヽヽ｝::::r "　　 >;;;;;;;>｛i ﾘﾄ,ﾉｿー、::ﾘ＼ﾄﾘ
.( （｝ー´r"　　　ｒ"　　｝ﾄ、i　从　　　　ﾘ　　｝
／-’:::::::｛　　　ｒ"　　　ﾉﾉﾉ｝ﾄ,　ﾄ,　　　ﾉｲ . ﾉ
:::::::::::::::::人　　｛::::.......::::/从　i::ﾄ .i::::∧　ﾊ ii /:::＼
::::::::::::::::::::: >、人:::::::::://从　i:::::V::::::::::`'::::i::i::::::::

そして彼女は、ハクから厨房の説明を聞きつつ
カウンター越しにこちらを見ていたやらない夫に、ぼそりと呟いた

　　　　　　　　　　　　 ((　　　 - 、＿
　　　　　　　　　　　　　　　＞'"　　ミ　　　＼
　　　　　　　　　　　　 /　／ﾆ(　　)ニ-_
　　　　　　　　　　　　　　,　/ニﾆﾆ=-=ﾆﾆニ、
　　　　　　　　　　　 /　'ﾆ/7「lヽニ/「｢',ニ､ |　　　　　　「…ねぇ、このお店は
　　　　　　　　　　／イl{ﾆ{ |AAl}ニ|ﾘ州l}ﾆl} |
　　　　　　　　　　　　　ｌ l>个━'"V/'━个/| ，　　　　　　いつもこんなに自由なの？」
　　　　　　　　　ノﾑﾄ､l 　　　　 u. ｲ　　＼
　　　　　　　　　　　 ∠ /　　　＼　 ‐　／l! |　lr‐`
　　　　　　　　　　　 /／NV┌|＞＜|┐Vヽ|
　　　　　　　　　　　　／≠=ｚｚ=≒＼_
　　　　　　　　　　l二二二二,ｬﾇニニニﾆﾇｯ二二ニ=-.
　　　　　　　　　　ｌ二二二ｬﾇ ∞〔￣￣〕∞ﾇｯ､ニニニl
　　　　　　　　　 <ニニﾆ／ニニﾆ7￣ﾏニニニ‘､ニﾆﾆ〉
　　　　　　　　＜ニﾆﾆfﾄ二二二/ ///ヽ=-- -=‘,二二＼
　　　　　　／ニﾆﾆ人ﾆ三三{//Λ//}三三三ﾉ二二二＞
　　　　　 _　7⌒ｊニニﾆｿ三三| イ:|:l:> |三三ﾆ/|ニニﾆ｢
. 　　　／-|/イ}ﾆ|ニニΛΛ人{:ｌ:ｌ:l|:l:l:ｌ;|/Уｿ､|ﾆﾆ/h｡ﾆ!
　　　〈---lＶツヽﾚヽ/　‘,:l:l:l:l:l:l:l:ｌ|:l:l:l:l:l:l:l:l:lΛ]'V:l:ｌΛ
. 　　　＼-|:l:l:l:l:l:ｌ:＼　　〉:l:l:l:l:l:ｌ:|:l:l:l:l:l:l:l:l/　L:l:l:l/,'Λ
.　　　　　　 ¨＼:l:l:l:l:l:l:l:ヽ　./＼:ｌ:ｌ:l:l:l|:l:l:l:l:l:l:l:lヽ/ﾆ)l:〈'///
　　　　　　　　　＞ l:l:／⌒/＼｢＞.,_:|:ｌ:l: ＜ﾆ/=〉,:l:l:l:Ｖ'/
　　　　　　　　　　　 ~"''-/＿.ﾉ＼ニ`'’ニニ/=/ム:l:l:lⅥ
　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆ＼.=＼ |ﾆﾆ／=/ﾆﾆﾑ:l:l:l:l|

　　　　　　　　　　　　　 .　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　　　　　／　　　_ノ　＼
　　　　　　　　　　　. │　　　（ ⌒）（⌒）
　　　　　　　　　　　 |　　　　　（__人__）...　　　「自由でなければ
　　　　　　　 .　　 . 　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　　　.　 |　　　　　　　　 }.　　　　お客に請求を押し付けないと思う」
　　　　　　　　　　　__,ノヽ.ヽ　　　　　 }゛
　　　　　　　ｙ彳　";;;;;;ヽ　ヽ'ヽ　　　ノ
　　　　　／　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';, ヽ.　::::::>/
　　　　/　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';,`ヽ/ヽ、
　　　/　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　,.ｒ`i　ヽ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　／::iヾ;;rｧ /
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'"',　 `!;;ﾉ! ﾄ、
　　　|　　　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',　 ,';;;;|i,.!;;;ヽ.
　　　|　　　　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'';;;;;;;;!;;;;;;;;;;;;ヽ,
　　　　　　;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i

やらない夫は笑いながらそんな答えを返すのだった

281 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:10:26 ID:fcc933c4

そんなやりとりがありつつも、ジャンヌは店の厨房で調理を始めた

始まってしまえば、さすがはプロということなのだろう
淀みない手順は、心地よい音色と匂いをカウンター越しに伝えてくる

　　　　　　　　　　　　 __／:.:.:.:.:.:.///≧s｡､ ~''＜
　　　　　　　　　‐=ﾆ彡〕､＿＿ノ//＞＜//)h､ .∨､､
　　　　　　　　 ,∥.////∧//i{　　　 Ⅵ/∧ .∨))
　　　　　　　　　　/∥/ゞ''''ヾ,∧/i{ 从､　 Ⅵ/∧ .∨
　　　　　　　　　ﾉ:.:i{/i{:.:i! i i.∨ v乂ﾘｨ≦ｶ弋__i}､ .＼イi〔
　　　　　　　　　从:.i{/i{､ i 从_|/∧//杙ツ i　从､i＼__≧＿
　　　　　　　　__ﾘi､从:.从:.{ｨ≦ｶ＜ノ　　ノﾘi　} ∧v:i:i:i:i:i:i:iフ
　　　　　　　　∨~~~~ヽ)ﾐh弋ツ　　､　　 /从ﾉ~~´ヾ,:i:i:i:i:i:i:iヽ,
　　　　　　　ノ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iYヽ,　ｨア　ノ从ﾉﾘ从:i:i:i:i:i:i:iイ廴
　　　　　　　ﾌ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ih､__／ |:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i厂
　　　　　　≦:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ih､､_ﾉ',:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ﾘ
　　　　　　　フ~~~~~~""'''＜:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}＿_ﾉ{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iア´
　　　　　／-=ﾆﾆ二二二二~''＜:i:i:i:i:i:i}､ﾆﾆ｀~ヾ))_~~~~´{
　　　　 /-=ﾆ二二二＞''~~ヾh､　~''＜ﾘﾆヽ,ﾆﾆﾆ《､_》ﾆih
　　　 /-=ﾆ二二ﾆ/: : : : : : : : `''＜ﾆﾆﾆﾉiムﾆﾆ｀~ヾ} i} |
　　　 ,-=ﾆ二二ﾆ/: : : : : : : :イア~~~＼ /:i:i:|∨, ﾆﾆﾆﾉ',ﾉ .!
　　　,-=ﾆ二二ニ{-===---ﾌ´＿＿＿__)h, i| .∨,／iｲノ}:.:.|
　　　|-=ﾆ二二二二二二ﾆ}/ヾ{/.Yヾ/:.ヽ,＿_> v／ｲ =}:.:.|
　　　|-=ﾆ二二二i 二二二,'_:.ﾉ{=､}ｨ'''∨,:.:＼ﾆﾆﾆﾆﾆノ:.:.}
　　　|-=ﾆ二二／二二二/ヽ/ {=ﾐ} v''''∨s｡,_) -==≦:.:.:.:.|
　　　|-=ﾆ二／二二二ﾆゝｲ:i:∧_i}:i:ヽ_ﾘi ______≧ｲ{:.:.:.:.:. |
　　　|-=ﾆ／二二二二ｲ:i/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|________/=-v:.:.:.: |＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　／／　　｀
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿ {　（　＿
　　　　　　　　　　｡s　　　　｀ ´￣　　｀ s｡
　　　　　　　／／　　　,　　　　　　　　＼　　 _
　　　　　　　 /　　　　　{　　　　､　　　　　　ヽ, {ﾐ}
　　　　　　　　 /　　　　　　从　　　ﾄ　　　　　 ∧{ﾐ}
　　　　　　　　　 / 　　　/　.∨ 　　 i 　＼　 }､　　 .}N
　　　　　　　 i　.{　　　　/⌒　∨　　 }　　 ⌒､ハ　　.|N
　　　　　　　　l/ i　　　 /　　　　＼　　i　　　　 ∨　iN
　　　　　　　　　　　　 / 　三　　　＼ {.　　三　　| 　|/
　　　　　　　　 .{ 　./　　　　　　　　　`　　　　　 |　| }
　　　　　　　 _＿_ ､/i|　/ / /　　　　　　 / / / .|　|/＿__
　　　　　ヾ三三ﾐ| i|　　　　　　　　　　　　　 i}　|三三ミ,
　　　　　　　ﾟγ¨｀.∨|＼　　　　　　　　　　　／ fi　|￣¨ヾ/
　　　　　　　　ヽ　　.ﾐ|!/　≧s｡_　　　　　_｡s≦ 　.|!ム　／

やらない夫とハクは、カウンター席に腰掛けながら
その様子を、童心に返ったような面持ちで眺めているのだった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼.　　　　　　「そういえば…前にもこんなことがあったね
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|　　　　　　ジャンヌがキッチンに居て
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |.　　　　　俺がそれを眺めていたことが」
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

その行為が、やらない夫の海馬を刺激したらしい
鮮やかに蘇ってきた思い出を、懐かしさと共に口にする

282 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:10:52 ID:fcc933c4

.　　　　　　　／　　　　 ′　、　　　　　　＼　＼
.　　　　　　 /　　　　　 /　　　　　　＿＿　　　　　丶
　　　　　 /　　　　 /　　　　　　/ニﾆﾆ≧s｡　　　　，
　　　　　 ′　　＿　　　　　　　／ニニニニニ＼　　　，
　　　　　|　　／ニニ≧=─=≦ﾆﾆ＞‐＜ニニニﾑ　　，
　　　　　|　/ニニニニニニニﾆﾆ/　　　　ヽニﾆﾆﾑ　　　、　　　　　　「子供の頃に料理なんて……
　　　　　| /ニニニ＞＜ニニﾆﾆ{　　　｜　 ∨ニﾆﾑ　　ヽ
　　　　　|.ｉニニﾆ/　　　＼ニニﾆ、　　 .!　　｜ニﾆﾆ!　　、',.　　　　　　ああ、思い出しました
　　　　　|.{ニニﾆ|　　　　　寸ニニ､　斗＜ }ニニﾆ|　', 　､',
　　　　　|.{ニニﾆ|　.从　　　}ニニﾆ､ﾊ/　　 __,,￣`YⅣ ∧　',＼
.　　　　ハニニﾆ{　|　＼斗《ニニﾆ/ rz云苅㌻　'ニ.V.∧､ヽ　　　　　　父が買ってきたチョコペンが嬉しくて
.　　　　 |　Vニﾆ∧￣￣＿_z､`ｰ‐　　'" ゞ''´ 　.|　'ニ| ∨∧＼',
.　　　　|　 ∨ニニ》 ≪ 芒ッﾊ　　　　　　　　 /|. Lﾆ」　、 .!.　　　　　　色んな食べ物に飾りつけしましたね」
.　　　　 |　　ｰﾍ"＼从　¨´　　　、　　　 / .! |　Ⅳ　 |ヽ|
.　　　　 |　　/::| .∧　　ヽ　　　　　 ,-　ァ　ｲ　/ |　|`ト､/
　　　　从　'ニ､　|∧　　　＼ｰ　　￣　,ｨi{:i:i}ニﾆ! /ニニ＼
　　　　　| Ⅵﾆﾆ　.!ﾆゝ＿__! ）､:i:i:i:i爪:i:i:i:／ニﾆ|/ニニニﾆ、
　　　　　　/ニニニ/-_-_-_-_-〉ﾆ≧＝≦ニニニ＼ニニニﾆﾆ
　　　　　　|ニニニ'-_-_-_-_-./ニニニ/::::∨ニニニ＼ニニニﾆ_
　　　　　 /!ニﾆﾆ/-_-_-_-_-/ニニニ/::::::::::∨ニニﾆﾆヽニニニﾆ=-　＿
.　　　　 /ニニニ'-_-_-_-_-_'ニニ=─　￣　　 ≧s｡ニニ∨ニニニニニニ_
　　　　/ニニニ/-_-_-_-_-_′ﾆﾆ{　　 =────= ミh｡､Vニニニニニニ}

調理の手は休めないまま、彼女も思い出を呼び起こしていた

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　 __,ノ　 ⌒
　　　　　　　　　　｜　　(⌒ ) (⌒ )
　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i　　　　　　　　　「そうそう、それだ
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|　　　　　　　　　　　アイスとか果物とか色々載せて
　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ　　　　　　　　　パフェみたいにしたんだったね
　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､　　　　　　　　結局全部食べ切れなくて
　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、 . 　　　親父さんに怒られたっけ」
　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
.　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

そして、お互いに笑いあう

記憶を掘り起こし、共有するたび
固まっていた二人の時間が、氷が解けていくように縮まるのを感じていた

そんな二人を見て、ハクはぽつりと呟く

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　 -‐…‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　´￣￣｀`　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( （　 _＿__ _ 　　 jﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐ `ｰ´　　　　　 `丶､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 ´　　／⌒　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　〃　　　:.　　　｀ヽ　、　[=]
　　　　　　　　　　　　　 ,_ 　-‐…　7{ﾆ二ﾆ　}ヽﾆ＝=‐- ', ぃ　[=] 、
　　　　　　　　　　　〃-‐　　　 /　|　　　　j　 ',　　　　ｉ H　［_]
　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ　　 _≠―.|　　　 ;　　　　　　 | H　 |:|　 i
　　　　　　　　　　　　　　 !/　　　 /ｘ=ﾐ､|　　ﾅ―- _|　　　 | H　 !:ｌ　 |
　　　　　　　　　　　　　 |　 |i 　 / 《ヒｿ |　　ﾗ丐ミ　|　　　 ; H　, ,′！　　　　　　「ふふっ、なんだかいいですねぇ
　　　　　　　　　　　　￤　!ｉ　 i.:.:.　ｰ'八　/　ヒソ》:|i　　 / j/:// 　 ,’
　　　　　　　　　　　　　　　;　八　;　　　´　 V 　｀.:.:.:.:.|　　 / /r7/　　/.　　　　　　　気心知れてる関係って感じで
　　　　　　　　　　　　　乂　ヽ{　　　　　　　　　　　|　 , ' /=し'}　 /=ﾆ二ﾆﾆァ
　　　　　　　　　　　　　　　八　　､＿_　　　　 j／　,=＝７ , ﾞ=ﾆﾆﾆﾆア　　　私には幼馴染って居なかったから
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ,ヽ　　　　　　　　　_!　　j-‐ '／　　｀ヽア
　　　　　　　　　　　　　　　　　' 　/　　､__ 　、 -‐ 　 / 　厶-┐、　　／　　　　　　ちょっと羨ましいです」
　　　　　　　　　　　　　ｉ　 ;　　／: : : : :ヽ　　 /　　/ : : : |こ＼_/
　　　　　　　　　　　　　 |　 |ア´: : : : ／　}　　′　/: : : : :|`マﾆ`ｰ- ､
　　　　　　　　　　　　 f| ∠-┐ : : / ヽ　　_/ 　厶-┐: :l 　｀＜ﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　　　 ||　 j斗': : :/　　 '´〃　 /:｜　|: : ;　　　　｀ﾏﾆﾆ＼
　　　　　　　　　　　　 ||／ : |: : / 　　／′　;: : :|　 | :/　　　　　　}`マア´
　　　　　　　　　　　／: : : : | :/ ／／: : i 　 ⅰ : l　ﾚ′　　　　　 ;_,／
　　　　　　　　　　　　　 ′: : : : i|/〃／, 　-┤ 　 | : : ;　}　　　　　　ハ
　　　　　　　　　　ｉ : : : : : {厂　7´: : : : :|　,ﾊ｛ : : ∨　　　　　 /:　',
　　　　　　　　　　 | : : : :　{ 　 /: : : : : : :|　{ : : : : /､　　 DTM　/　!　i

283 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:11:20 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ⌒ ) (⌒)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ　　　　　　　　「実はちょっと心配していたんですよ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　もしかしたら彼女が
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|　　　　　昔と変わってるんじゃないかって
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,.　　　　いやあ、意外と人は変わらないものなんですねぇ」
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_.＞''"　　￣　⌒“''*､
　　　　　　　　　　　　　　　＞''"　　　　　　　　　　　　｀丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　…─　　＿　　＼
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　／　＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／..:!　　　　　　　　／ニニ=‐　　　　　　　　　＼
.　　　　　　　 /ﾆﾆ.|　　　　　　　　／ニニニニ=‐＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/ニﾆ人　　　　　　／ニニニニニニ=‐　　　　　　　　　 `、
　　　　　　　ニニﾆ＼　　､丶` ニニニニニニニﾆ=‐
　　　　　 ′ニニニニ~¨ニニニニニニニニニニﾆ=‐　　　　　　　　　 ∨
　　　　　　|ニニニニニニニニニﾆ＞　＜ニニニニﾆ=‐　　　　　　　　　 ∨　　　　「……そういう貴方も
　　　　　　{ニニニニニニニニ／　＼　　＼ニニニﾆ=‐
　　　　　　Vニr==t ニニニニ./　　　　＼　　ヽニニﾆﾆ=‐　　　　　　　　　　　 }.　　　　　昔と変わっていませんよ」
　　　　　　 Vﾆ%　　ヽニニニ ′　＼　　＼　 `、ニニニ}　　　　　　　　　 |
　　　　　 ∨∧　　 ∨ニニ}　　　　＼　　 )　 }ニニニ∥　　　　　　　　　 |ﾊ
　　　　　　　 ∨∧　　 ∨ニ人 }＼　　　)　　　 /ニニニ/　　　　　　　　 `、/　＼
　　　　　　　　乂》、　　》ニニヽ　＼ｬｾ広豺｀`～､、/　　　　　　　　　　　 %　　 { Υ
　　　　　　　　 ∧ ⌒“''*､ニニ:.〉　　´　乂ﾟソ　.!　　 | 《ヽ　　　　　　　 |　　 }/乂: 八
　　　　　　　　　 ∧　　　 |＼ニ/　　　　　　 .|　　　|　V ＼　　　　　 |　　 |／: : : : :
　　　　　　　 / ∧　　 |　ヽ} 　　　　　　 |　　　|　 ∨ﾆ＼　　　　 |　／: : : : : : :
　　　　　　　　　 / ∧　　.|＼　｀丶、＿__..x　　.人}　　′　.∨ニ .》＼　　／: : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　《ﾆ＼　`、."''＜::≧￣　　／　 | ／} ハﾉ＼／: : ::＼(: : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　》ニﾆ⌒｀: : : : : ⌒　｀　´ ノ＿＿彡》 ⌒: : : : : : : : : : : : : : : ／: : : :
　　　　　　　　　／ニニニ人: : : : : : : : ＞''"ヽ　　　　乂: : : : : : : : : : : : : : : ::／: : : : : :
　　　　　　　　　＼ニニﾆ(: : : : : : : : : : : : : :{ 》　　　／: : : : : : : : : : ＿: : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　》ニニ ): : : : : : : : : : : : : 人≧=-〉: : : : : : : : : : : ⌒: : : : : : : : ＿＿: :
　　　　　　　　　　人＼ﾆ〈: : : : : : : : : : : :／／=_=_/: : : : :》: : : : : : : : : : : ＿: : : : : : : : :
　　　　　　　　　／=_=_=⌒“''*､ : : : -=≦／/=_=_ 《: : : : 《: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／=_=_=_=_=_=_=_=_=_=_=.／　/=_=_=_》: : : : :＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

ジャンヌは、改めてそのことに気づく
いや、気づくまでもなく知っていた

彼が優しい人であることは、いつまで経っても変わらないという事を

　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -‐､　　　, -.､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　ﾉ　　ノ　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　/　､_.ノ　.／､_.ノ´
　　　　　　　　　　　　 /　　ﾉ　／　 .ﾉ　　,,-‐'⌒i
　　　　　.　　　　　　 /　__ノ / /⌒ｉi´　／､_　 .ノ´.
　　　　　　　　　　　　 l. 　 `ｉﾉ /　　 .|／　　,.'~´　　.
　　　　　　　　　　　 | 　 ,,,|./ 　　丿　､_ノ ,-‐'´⌒)
　　　　　.　　　　　　　 l.　　 |｀`'''　/　　.ﾉ ./ 丶,-‐'´
　　　　　　　　　　　　　|　 ,___l　　　|､.　/ /　､,,/
　　　　　.　　　　　　　 |　　ﾉ　　 | ｀` '´-､ ,ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 |　_/　　　　|　　　　）
　　　　　　　　　　　 | /　　　　　ヽ　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　| .　　　　　　ヽ::::.｀､,|
　　　　　　　　　　　　 | :.　　　　　　 |::::　　|
　　　　　　　　　　　 | :: 　　　　　　|::::　 |.
　　　　　　　　　　　　　　 λ:::　　　　　ﾉ::　丿
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　,　::::::'/
　　　　　　　　　　　　/　　　　　　:/:::::::::/
　　　　　　　　　　　　 ,/　　　　　　::/:::::::::/

　　　　　　　　・・
傷つけた彼の左手を思い出すたびに、何度もそう認識していた

284 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:11:48 ID:fcc933c4

あの時も、彼は彼女を責めなかった

　　　　　　　　　　　　　_　,,　 _
　　　　　　　　　　,x.'"　　　　　　｀　.､
　　　　　　　　／　,　　i　　.}≧s｡.　　＼
　　　　　　　 /　 ∠i,　 .',　ﾉ///≧｡.　', ヽ
　　　　　 .i　i ,仁/≧ttf///==///ﾍ　',. ﾍ
　　　　　　　i　i.仁///////jﾒ', ﾞ',ﾏ//jﾍ .'.,　ﾄ､
　　　　　　 i , !Ⅳjﾒ´i`マ/Ⅵ .i　!.ﾏ//jﾍ　i i.', ＼
　　　　　 | ! !Ⅳj{　i　ﾏ//|!　,.+ `マ/ﾊ i .!.ﾍ　＼
　　　　　　 ,i .',.',V/ﾍ t-　}///7s !斗.ﾗi`´.! i　 ',￣~`　　　　「お待たせしました、どうぞ」
　　　　　 ./ ', .', ',V/j>＿_!/////.代/ﾀi　,' ﾉ、 .ヽ
　　　　　/ .,ｨ'､ ', ',`+弋/タ.`マ/　¨¨´/　,ｲ　 i` _ ﾆ=-
　　　　 ,'／/　`.x,.` .`｀¨¨　　 '　　　/_ ｲ　!　 |
　　　　　∠ .イ　 ',＼＼.　　_,　-‐′ ,ｲ　人　!
　　　　　　　　',　,ｲ /` ,へ,_ 　　　,.イ .|./　 .ヽ
　　　　　　　　 V　ﾘ　　 V_ﾄ_≧ﾆ.~_e|ｔ､__
　　　　　　　　,　-ｚt''≦≧.i三三三ﾆi-=ﾆニﾆﾆft
　　　　　, x'"-=ニニニ=鎖≧77777{=ﾆニニニ=;トｘ､
　　　 /-=ニニ=-≪≫'"{~誇ミtz┐鎖=ﾆニニﾆ!ニj＼
　　　 /-=ﾆニﾆ≪>:::＞'　 .~ ‐--t┘ <≫=ニニﾆ!ニ}:ﾞ:::＼
　　 ,｝=ニニx"::ア"　　　,.'　　　..V::::::::::{≫=ニﾆ|ニ}:::::::::::＼__,,x＜!
　　 /=ニニ/::::/　　　　　,′　　　 .'!:::::::::::::V=ニﾆ!ニ}::::::::::::::::V:_:x::┴t
　　ﾞ{_,ｨニﾆ.i:::::i.　　　　 i　　　　　 .|::::::::::::::i=ニニi,ﾆ}:::::::;斗＜,,_:::::::::::}
　　　 .V＼f|:::;'.　　　　 ‘，　　　　 |::::::::::::::|=ニニﾒ:jV::/i:i:i:i:i:i:i:i:ヾ::::/
　　　　 /Ｅ`込.　　　　　／'､　　　 .|:::::::::,.x'|=ﾆﾆﾆノ　.}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|:{
　　　 ./xニニ=｀ｚ-ｚ炙三三≧zｭ-|＜~:::::::i~ ￣ ~　　,i:i:i:i:i:i:iｪi:i:ｪ::ｨ:＼
　　　/=ニニニ=j|ﾆ三三三三三三ﾆV::::::::::::＼　　　 {i:i:i/|i:i:|:ｉ:ｉ:|:i:iﾄ､ﾍ

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　　　　　　　　　　　　　　　ィi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iト
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　　　　　　,｡*''゛　　 ∧:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}　　｀''*｡
　　　　／　　　　 ′∨:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/ !　　　　　 "+､
　　　 /　　　　　 ′: :丶:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i／　:　　　　　　　　ヽ
　　/⌒}iト　　　　:i:i′　　 j≧o｡:.:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.:｡o≦　　　{､　　　　　　　　 /
.　 {‐ ‐‐‐‐ ＼ /:i:j　　　　 j: :: :: :: :: ::i:i:i:i:i: :: :/⌒´: : : 　　　 {:iヽ　　　　　　 ∨./,
.　 {ﾆ=‐ ‐‐‐‐ ヽ:j{　　　　 {:: :: ::_:: :: ::i:i:i:i: :: /: : : : : :　　　　　 jヽ:ﾊ　　　　　　　 Ⅵ{
.　j{ⅥL=‐ ‐‐‐‐ Y　　　　 {:: ::/⌒j:: ::i:i:i: : /: : : : : :　　　　　　 } }:i:i:　　　　　　 Ⅷ,
.　{{　＼ﾆ=‐ ‐‐‐j{　　　 :{:: j{　　}:: ::i:i: ::/: : : : : :　　　　　　　;: }i:i:i:　　　　　　 }/
.　{{:　　{iト≧==‐ｫ≦､　　 {:: j{　　 :: : i: :/: : : : :　　　　　　　　j　':i:/　　　　　　 j{
　ﾞ　　　　　　｀⌒⌒"'*｡,j::ノ　　　:: :: ::′: : :　　　　　　　　 / / '゛　　　　　　　　j{
　ハ　　　　　　　　＼　　＼　　　}:: :: :}　　　　　　　　　 ,.. '゛/゛　　　　　　　　 /
　　　＼　　　　　　　　〕iト　　＼:､_j::_::_:{　　　　　　　　 '". ィi〔　　　　　　　　／
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　　　　　　｀'*｡,　　　　　　　　　＼‐ ､⌒⌒´　　　　　　　　　　　 .ィi〔 ⌒ ｀
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　　　　　　　　　　　⌒ ≧=-　　　 __＿＼‐‐‐ ､　___　｡o≦ ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼‐‐‐‐ ､
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　　　　　 .　 ´　　　　　　　　　ヽ
　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　 / 　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/　　　 /　　 .i　i　　　.|　　　　　　　│
　 ,'　　　　,' /.. ＼|､ |i　　 l／ |　　　 ',､＼
　 l　　 i　イ´　 / l .! |　　.,'|　 .l　　.|　　l　│　　　　「おお、こんな短時間で！
　 |　　.l　 .|　 ./　 l/　l　 /　l ./ ヽ　l　　 |　 l
＿.',　r |　 l.／　○　　|ノ　 ○ 　 ! / l　 ,'ヽ |.　　　　 …あれ、まだ燃えてませんよ？」
!::::::ヽ|　l　　|　､､､　　　　　　　､､､|〈　| /
ヽ::::::::ヽ.|　　l 　　　　　　　U　　/ l 'i
　ヽ￣　.l　　|._　　　r ―--､　 .　 ' |　　|
　　l　／:|　　l.:/l　　 ―　＜i´　　　l　　l
　〈::|:::::::/l　　|'| ヽ　　 |,､＼:!ヽ　　 |　　|
　＼:／.::|　　l へ＼　l' .ヽ l::/　　 l　　l

真新しい包帯を巻いた左手のまま
自分ではなく彼女の心配をして、部屋のドアを叩き続けていた時も

285 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:12:11 ID:fcc933c4

彼女は思った
その手を握ってしまえば、どんなに幸せなことだろう

　　　　　　　　　　　　　　／￣ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　 i!　　　　　　　　　　　　───　､　　　　　　　　　　　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　＼ｰ　＿_,､丶`　　⌒丶`、　　　､.＼　　　　　　　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　　　ーァ　／ﾆ7　　　　　ヽ　　　＼＼　　　　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　　　／／ﾆﾆ{i　　　|　／ﾆ丶　　　　　∧　　　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /ニニニ､＿__／ニニニ＼　　　　.∧　　　　／_-／
　　　　　　　　　　　　 /./ /ﾆﾆハニニニﾆ＞‐､─ ､ﾆ′　　　ハ　　／_-／
　　　　　　　　　　　　　 / /　ﾆﾆ/　}}ニﾆﾆ/　　　　寸ﾆ心　　 ∧　　､／_‐／
　　　　　　　　　　　 /　′'ニ/　《ニニﾆ{ |∨　　! ∨ニ》,　　 ∧　　.!／
　　　　　　　　　　　　 /,'　|　!ﾆ/|　从ニﾆﾆ》|─､　 |　}/ヾ》 ∨　 .∧　 |
　　　　　　　　　　　　 |′/　|ﾆ′　Nﾋｯ､／ i| 茫弐′}ﾆ=-}.　､　　　＼|‘．　　　　　「 S'il vous plait voir 」
　　　　　　　　　　　　　 / ／!ﾚi　 .从¨/ ＼|ヾ乂ソ　ヾﾆ{　　}h､....../　 ,. ┐
　　　　　　　　　 /'"　ハ|　ヽ!∧｀　　　　ムｲ　　 /人. ＼}ヽ/{　 ,' f´}. 　　　　 (では、ご覧ください)
　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵh､| 丶ヽﾆ=‐" /　 /v′.　／-､r‐｀ |　｀{
　　　　　　　　　　　　　　　　 }ニﾆﾆ.|　 |个ｰ=≦/,ｲ/}ﾆⅥ.....　r‐-､　　_|　　ｌ-‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　寸ニﾆ! ﾊ|ニニ} }＼/ /ﾆ/ア..r‐{ヽ／Ｘ´.}　　|　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｲニﾆⅥﾆ} ＼У ／ニニニ. { {,.'＼　　｀ヽ　 | __ノ
　　　　　　　　　　　　　　__ <　ヽニニニﾆ､}ヽ／ニニニニ . 〉　　ヽ　　　l　 |´ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　/{（:::: >､寸ニ=┘r=ニニニニニ　 f´　',　　 ',　　l　 !.ﾞ《
　　　　　　　　　　　／::人￣}ｲノニヽ -=ニニニニニ／｀|　　.',　　 ',　　 !　}..　、
　　　　　　　　／::／::::」￣￣>ニ/　〉ニニニニ . /　　 |　　.',　　 ',　　_ﾉ.../∧
　　　　　　 /::／:::／:::」-￣>ニ=─{ニニニニ..ﾞ,'　　 ,ﾊ　　 ',　　　'　　}　ヽ'//丶
　　　　　　＿ /::::::／r'"´__､丶`　 {　　 !＞､ニニ . |　　　i::::!　　　　　　 r‐'.r' .ｿ////＼
　　　　　 {=‐┐:::":::::{!　　＿＿￣ |　　.|::| └ニニ..| 　　ﾞ '　　　＿__ﾉヽ...{¨´ﾉ'////,∧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ（
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　人
　　　　　　　　　　　　 ' 　　 ,/　　　く、
　　　　　　　　　　　　　　　､　　／....　､.　　 }　　　　　丿）　　　　　　　　　　　　　、
　　　　　　　　　　 ,ﾉ）　（::::::::::::,ﾉ） ::　＼ﾉ!　　 /　(
　　　　　　　　　　　　 ,　　　｀Y´（::::::::::::::::::::::ゝ／　　,）
　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　 |　　）､ﾞ:i:i:i:i:i:i:i:i:i ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　／__,ﾉ）　'　/　(＿,ﾉ） i:i:i:i:i:i:ﾞノ（
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　　　　　　,｡*''゛　　 ∧ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾞi:i:i:i:ﾞ|　　人:i:i}　　｀''*｡
　　　　／　　　　 ′∨:i:i:i:i:iﾞ:::::::::::::::::::::::::::::.　　,/　　　く、　　　　　　"+､
　　　 /　　　　　 ′: :丶:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:､　　／　　　　　 }　　　　　、　　ヽ
　　/⌒}iト　　　　:i:i′　　 j≧o｡:.:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.:｡o≦　　　{､　　　　　　　　 /
.　 {‐ ‐‐‐‐ ＼ /:i:j　　　　 j: :: :: :: :: ::i:i:i:i:i: :: :/⌒´: : : 　　　 {:iヽ　　　　　　 ∨./,
.　 {ﾆ=‐ ‐‐‐‐ ヽ:j{　　　　 {:: :: ::_:: :: ::i:i:i:i: :: /: : : : : :　　　　　 jヽ:ﾊ　　　　　　　 Ⅵ{
.　j{ⅥL=‐ ‐‐‐‐ Y　　　　 {:: ::/⌒j:: ::i:i:i: : /: : : : : :　　　　　　 } }:i:i:　　　　　　 Ⅷ,
.　{{　＼ﾆ=‐ ‐‐‐j{　　　 :{:: j{　　}:: ::i:i: ::/: : : : : :　　　　　　　;: }i:i:i:　　　　　　 }/
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　ハ　　　　　　　　＼　　＼　　　}:: :: :}　　　　　　　　　 ,.. '゛/゛　　　　　　　　 /
　　　＼　　　　　　　　〕iト　　＼:､_j::_::_:{　　　　　　　　 '". ィi〔　　　　　　　　／
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　　　　　　｀'*｡,　　　　　　　　　＼‐ ､⌒⌒´　　　　　　　　　　　 .ィi〔 ⌒ ｀
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　　　　　　　　　　　 ⌒ ≧=-　　　 __＿＼‐‐‐ ､　___　｡o≦ ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼‐‐‐‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼‐‐‐‐‐､

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ヽ､_　　＼　　　　　　　　＼＿,.ィ　　　　　＼
　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|　　　　　　　　　／　　　　＼　　ヽ
　　　　　　　　　　（__人__）　　　　 |　　　　　　　　　/　　　　＼ｰ=ミ、　　 v―ｧ
　　　　　　　　　（｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　; i　　イ⌒＼{ヽ　 | /　 |　}圭{_
　　　　　　　　 { 　　　　　 |　　　　　　　 j八: :',:ｌ三　　　三 .j/ 　 |)/::三〉
　　　　　　　　　　　 {　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　ヽ|l⊃　､_,､_,　⊂⊃|　 |/ 圭Y
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ノ.ﾉ　　　　　 /⌒ヽ_}八　　ゝ._) 　　j./⌒i　　.＼
　　　　　　　　　　　　ﾉ7i:7､/]ヽ　　　　　　　＼　　|　 |＞、__,　イァ/　 /　＼{￣
　　　　　　　　　　　 |i::ﾚ´::::::::.|.　　　　　　　　＼ |　 |　＞ ',　/　 /　 /:|＼＿ノ
　　　　　　　　　　　 i´.:::::::::::::::|ヽ　　　　　　　　 |　 |　＼　V　ﾍ､__∧:|　 : <

同時に、彼女は思った
その行為は、彼の優しさに寄りかかるだけなのではないかと

286 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:12:37 ID:fcc933c4

だから彼女は、彼から離れた
離れなければならなかった

自分は成長しなければ変わらなければならないと、そう思った
心を、子供から、大人へと

　　　　　　　　　 __ .　-‐…‐-　. 　　へ
　　　　　　　　 ,∠ﾏﾊ　　　　　｀ヽﾚ⌒ヽ
　　　　　　　／⌒ヾﾏﾊ　 u　　　　　　｀ヽ
　　　　　　ｫ　　　　　ﾏﾊ　　　／} 　　}　 :.
　　　　　{　　　　　以　 .／:ｉ:ｉ, 　 ,/|　 :}
　ヽ三ミｧ､,　　　　彳　i{: /i:i:ｉ:ｉ/　／} !　 ′
　　　ヾミﾐﾐk　　　　f＾! 　l|/:i:ｉ:ｉ:/／i:ｉ/: | /.　　　　　「では早速、いただきますね！
　　　　ヽ￣ゝ　　 {圦　 |:i:i:i,／:i:i:i:/ : j/
. 　　　｀〆ｿ／⌒:. ヽ i|⌒ｰ～～{ : /
　　　 .／三/　　　 !㍉､{(⌒＞　イ／　　　　　 ……って、アツゥイ！！？」
　　　 <三ﾐ/　１　　 |イ }｀７爪/　′
　　／　./`ｰ '|==='|.ﾉ_｣ /　 :/ｎ　/）
　　,　　 ,　　　.!ﾆニ|仁_] : ∠⌒Y∠ﾉ)
　　|　　 |　　　|ﾆニ||ニア´ﾆニ} |-‐ぅｎﾊﾍ
　　|　　 |　　　|ﾆニ}∠ﾆﾆﾆﾆﾆ} |ｧ´⌒'///j
　　|　　 |　　　|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニﾚ 1‐┬‐ ' ´
　　|　　 |　　　{ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=‐≦ﾆ{ {__/

　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　,.　-‐'"´　　　　　　　___｀`- ､＿,,.-ノ
.,.-'"　　　　　　_,,.. -‐:::'"´::::::l　　　ヽ￣
　　　　　 ,.-＜::::::::::::::::::::::::::::::ﾑ　　　ﾉヽ
　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,､::` -'::::::::::ヽ
　　　 /:::::::::::::::::::::,..........,,::::::::/__` ､::::::::,.､::::ﾍ
　　 ./:::::::::::::::, '" ､,　 ./ ｀` ､:::::`i:::`´, ､::l::::::ﾍ
　　 l::::::::::::::/　　 / l / l ,l. /ﾍ::､':::::::,':::ゝ'::::::::ﾑ
　　 l::::::::::::::l l ヾｧ====ｭ､/ l .l:::ﾉ:::／:::::__::::::::::l
　　 l:::::::::::::ﾉ l,/　 ,'´:::7 ヾ' ﾚ'､'::::/:,-'"　ﾍ::::::::l
　　ﾍ-'"´　 l´ .ﾍ､ゝ-'　　／:::::::::::,'--､ l　l:::::::,'. 　　　「ちょ！　なにしてるんですか！？
　 ./::l　 l　l l ////｀¨´/ ｀ヽ､::::::::,'l7　 l ﾚ'::::::
　/-:l 　 l l　l　　　　　　　　ヽ／-- ' .//::::::/　　　　　火が収まってから食べてください！！」
./llllllll　　ﾘ /　　　　　　　　 /　　////.ヽ::::/
l　/　l　　 /　　 =-_-､　　　　　　　 / 　ヽ'
ﾚ' ﾚ' ﾍ　/. ヽ　　　　｀ﾞ``-　　　ノ /　l/l
-ノ::::::::ﾍ'::ヽ､ヽ､　　　　　 ,.. -'"　/ lﾍ//ﾍ
' ヽ::::::::::::::::::::`-､_ヽ､_,..-'"　　l　./l / /lﾍ､ﾍ
ﾆﾆヽ::::::::::::::::::::::::::::l /.l　 ,ｨ　レ.l ﾚl/　　ヾ､
__ニニヽ､:::::::::::::::::::l:i:i:il/-.l　/ヽl
コゝ'_`=- ､`----'､,ヽ:i:i:i:i:ﾚ'ﾍ＿
-'｀ﾞゝ__　　　｀Yr--ﾍ,ﾍ:i:i:i:i:i:i:i:i:iゝ.､
ニニニニﾆ=-'Lゝ-'-ﾍﾍ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:`i.､

　　　　　　　　　 .　-‐-　.
　　　　　　　　〃　　　_＿ヽ_＿__
　　　　　　　 {　 .　'´ 　　 j 　　｀ : .
　　　　　　　　／　　　 ,　　　　ヽ　ヽ,
　　　　　　 /　 ./　　 /|　　∧　　', 　ﾊ{}
　　　　　 ./ 　 ,' 　、/ .| 　/ 　､　} :∨　ii
　　　　　 {　　.{　∠＼_|. / _,∠∨ ul|厶ij　　　　　　　「そ、そうでしたか…
　　　　　　 |iｉ　 .Ｙ´ぅ心 j/　´ぅ心ヽ:　!__}ii|
　　　　　　 Nｉ　 l{ 弋__ﾉｉ/ｉ/ｉ弋__ﾉ,ﾉ　圧|iil＿　　　　　でもこれ美味しいです！
　　　　　 j八　l|.:u.¨ r――vｫ¨.:|i　厶イ三/
　　　　 _, ､i_ヽﾄ　　 |　　　　|　イ:/／三ﾐ/
　　　　　〈/ / /ぅ　,｀ヱT　T 入　j/　＿＿{　　　　　　熱いのなんて気にならな…アツゥイ！？」
　　　　ヽ　 _｝ /　∧＞＜_ｲ⌒;三ﾐ＼
　　　　 .,ｲ .人/=/　　只＝',==}三ミノ
　　　　　厶≠ﾆﾆﾏ{　　 |: :}　　|ニ|
　　　　ﾏﾆﾆﾆﾆ/j　　ﾉ: ,′　|ニ|
　　　　　　ﾏﾆニ/ ｛　/: :/⌒'　!ニ|

それはただの独りよがりな考えだったかもしれない
しかしそれは自分にとって必要なことだったのだ

一人の人間として
そして一人の亜人として

真っ直ぐにその心と向き合うために

287 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:13:02 ID:fcc933c4

「たら」「れば」の話をしても仕方のないことは、彼女も理解している

　　　　　　　　　　 |ヽ　　　 /|
　　　　　　　　　　 !;;ヽ､___ /;i !
　　　　　　　　　　 j;幵:::Ｏ"i!:::i:'....､
　　　　　　　　　　!,Дﾆ豸 ::::i::::::::::::::｀::';:､... ､....___
　　　　　　　　　　7'''r'''__ｰ, ﾉ::::::::´::::::::::::::::;ヽ::::;;::::::::::─...､＿
　　　　　　　　　　 !ﾆﾆ'-'´　ヽ､:::::;::::::::::::::::;;::::::::;:::|:|:|::::::::::::/::｀''ｰ､
　　　　　　　　　　　　　　　　|;;;;;;;|::":::::::;;::::::|::::::;;;::j:!:!:i:!:::::::'.､,::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 |::!;;;;;;i::::::::::ﾞ::;::;|::::::::::::!:!:!::::::::::::i::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　i !:::::ヽ:::::::::::::i;|:::::::::::_,,,,──,,!::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　iヽ:::::ヽ:::::i:::::i- '￣i;;;;;;;;;;;;;;/　i:::::::::::;:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　!,:::::-.|;::'　i:(　　　i:::::::::::::.i 　 .i:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::| ,;:　|　　　ヽ::::::::::::i　　!::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　l:::::/ .|:　::.|　　　　ヽ:`:::::ヽ　　　｀' - ､:::::＼_
　　　　　　　　　　　　　　　 |:::;!　　|,　;|　　　　　　＼:::::|　　　　　ヽ::::::::.i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::;::l　　|"､|　　　　　　　 j:::::i　　　　　　丶::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |;;;;ヽ_　|:.:..|　　　　　　　|::::| 　　　　　　i::::i
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ:::;;;j/;::::|　　　　　　　|::::::|　　　　　　　丿:::!
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾉ;;::::;!　　　　　∠∠;;;:j　　　　　　　　/M j
　　　　　　　　　　　　　　　　N ´ ∧.j　　　　　　　　　　　　　　　　　｀' ''''''
　　　　　　　　　　　　　　　　｀''''''''

しかし、あの時目の前に野犬が現れなければ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -／`ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 _／,　　　ｰ' ⌒＞― 、
　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　　 ′ 　　　　人|　　　　　　　　　　　　　　_,.　　-‐..::::´
　　　　　　　　　　　　　　　　〈_,./　　　　 ,　――＜　｀丶、　　　＿＿　　-r　へ:::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　/　| 　　／_,ノ　＿　　　　　丶.ヘ、　　＼::::::ヽ　　ヽ:::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　 `て}　　　ヽ--‐'´ 　 }ヽ、　　　　　｀~ヽ、　　ヽ:::::::',　　 ,:::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　〈|　　　　　　　　　八:::＼_　　　　　 ',　　　 ',::::::',　　':::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　　　　　　 /　　　　　　　　 l　　　　':::::::!　　!::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　／丶.. _　　　　　_,,.　--|　　　 |::::::|　　|::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　 ,　　´　　　　　　ﾉ´　　　　￣￣　　　V/,|　　　 |::::::| __,ﾉ_;;:::　-‐
　　／｀丶、_,,.　　　´　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　ヽ.|　　　ﾉ_／´
￣￣´　　　　＼　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣
｀ヽ、　　　　　　ヽ　　　　　　　　／
　　＼　　　 il　　 }　　　　／

怯えた自分が、彼と手をつないだままで居なければ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.: メ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. イ　} .: .:て
　　　　　　　　　　　　（: . {　/ .:7⌒ヽ　　　`　　　　　　＼　、从
　　　　　　　　　　　　　　　＼.V .: .{　　　　　　　　”　　　　　　ヽＶ⌒`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　` :..、ヽ　　`　　　　，　　ヽ、　　} |　　　,；
　　　　　　　　　　　　　　　从　　　）.ﾉ　”　　＼、　　　　　 )`ー' ,ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 ⌒ヽ、　（ '　　. .:　　 }ヽ　 ,　　　（ . .:.:r'　　　　”
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }て　＼　。　:　ノ .: ソゝ； . 　ヽ,.ソ　从
　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ人 {　　　`　、 "　　.:　　　,; .:　., / 　⌒ヽ`－ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　 }. :. ﾉ　 , 　,;:.　）　.: , " 　　　／　　　　　}／
　　　　　　　　　　　　　从,,ノ.:／　　 ,;.:　　'　　 .ノし': .: ," （　　　　　／
　　　　　　　　　 ⌒ヽ .;/　 .: ,,;　从　　　.:.., 　从　　ヽ　　／
　　　　　　　　　　　　　　　 }/　　`,;.: ",, ;.:て　, ,, ,,,　.:. `,;"　　〉　 '
　　　　　　　　　　　　ノ{　　ﾞ　　、　,”,; ,　　 .:　,;　"　　　/　　,, ;　”
　　　　　　　　　　　 ⌒ヽ　　　ノ{　 .: ."　　 ∴.:　 ,; 　　 .:"
　　　　　　　　　　　　＼”. :. ,し'／; 　,;；: 　　; :..
　　　　　　　　　　　　　　　 `　. ,.　.:　　（　　.: 　#. .:ノ{从:.: .　"

彼を傷つける事はなかったのだろう

288 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:13:32 ID:fcc933c4

しかし、仮にもしそうなっていたとしたら

.　　　　　　　　￣￣　､
　　　　　　´　　　　　　　　　＼
.　　　 /　　　　　　　　　　　　　＼
　　　/　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　「いやあ、美味しいよこれ
　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　丶
　　 l　　　　　　／￣　　　　　　丶　　　　　　　さすが本場って感じだ」
　　 |　　_＿　　　　　　ヽ　　　　丶
　　ヽ/ 　　　　ｉ　イ｀丶 l　　　　　丶
　　　ヽ　　　　ヽゝ _　　　　　　　　　　　 ',
..　　　　丶ｉｲ｀丶 l　　｀ヽ　　　　　　ヽ
　　　　　　ゝ　　,　ヽ _　　丿　　　　　　　　＼‐､-..､
. 　　　　ヽ　ゝﾉ , ‐ ´　　　　　　　　　　　　ソ:.:.:.:＼
.　　　　　ヽ　　´　　　　　　　　 '　　　 /:.:.:.:.:.:／＼
.　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　/　　／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.ヽ､
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　/　／:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　／　 /:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ､
　　　　　　　　　　　ヽ　_＿　ィ　　　/:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　／三三三三三`　､　　ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　，　　　　　／三三,ﾆ　'　` ､三三三三‘
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　／三三／　　　／/ Y三三三三` ,
　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　/三三/　　　／　/:／ｌ三三ﾆﾆr-､ﾆｌ
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　/三三/ 　 `／、 /:// ﾉ三三三/l　',ﾆ，
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　L=-　'　　／　　/ - //三三三l　l　ｌニｌ
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　l　　　 ,ｲfｦ笊ﾐ､　〈三三三ﾆi__,ｌ- l三l
　　　　　　　　　／　　　　　　　　　l　　　/ ヽ乂ﾂｲ　 /＼三三／ｲY三ﾉl
　　　　　　　／　　　　　　　　　　 |　i l l　　　　　　 /.::／ `-ｨﾁ示ｌ　ｌ /　l.　　　　「…当然です
　　　　　　　　￣￣/　　　　　　l　　i / l l　　　　　　　　　 (､乂ﾂｌ　ｌ '　 l
　　　　　　　　　／　　／ｌ　　　ｌ　　ｌ l　il　　　　　　　　　　　〉ｲｌ／　ｌ　　　　私はプロですよ？」
　　　　　　　　　￣￣ V/　　乂l　 l `、li　　　 ` -　　__,　　　　/ ｌ　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　l　 /　 `.　l i `､　　　　　 -　　　　, /　ｌ　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　| /　　|　`　ｌ　 `　　　　　　　 ,　/　/　 ./
　　　　　　　　　　　　　　　ﾚ　　　Ｖ　`､、　　 `　、　　,　　　　/　/i　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　`, -_　　 `、　　　 /　/ .l /
　　　　　　　　　　　　　　 r-=-=､`ミ　､　　　　　　　｝　　　/ ／　 i/`=--
　　　　　　　　　_____--===　　　　` 　､ﾌ　　　　　　　ﾄ。　' '　　　　　　/　l
　　　　　　ｒ ’"　　　"=-､　　　　　０　`　----　 '　　０。　　　　 /　ｌ
　　　　　　/　　　　　　　　　`Ｙ　　０゜　　　　　　　　　　　　　`　　、　ｌ　　ｌ

彼女は今、こうして、この場所で

こんなに気持ちで居られただろうか

289 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:13:56 ID:fcc933c4

だから彼女は、自分勝手と感じながらも思うのだ
彼の手に傷跡が残って、良かったと

目に見えるものが残ったからこそ、彼女は明確にすることが出来た
自分の生き方を、これからの歩き方を

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　。　　-‐-　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　。 ‐ '' "´　　　　　　　　　｀."´　≧tx
　　　　　　　　　　　。'",xt　　　　　　,　　"　　　　　　　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　　　／x≦jﾆ{　　　　／　　　 _　　　　　　　　　　　 .ヽ
　　　　　　　　　 , ',x《ﾆﾆ!j込,　　 , '　　　　,/≧､　､　　　　　 ,　　　　.ヽ
　　　　　　　　　　/./ﾆﾆﾆﾆ!ニ＞x ｡｡ ,,.｡ x＜ﾆﾆﾆfヽ　.ヽ　　　　 .;　　　 .‘，
　　　　　　　　　 ,'.ﾑﾆ/i"iﾆ.}ニニニ==t≦ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾍ.　 '.,　　　　;　　　　　‘，
　　　　　　　 ,' ﾑf/　! 仁|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆjﾍ　 '.,　　　 .',　　　　 ',
　　　　　　　 .,' ,ﾑ:j!　.i .,!fjﾆﾆﾆﾆ＞''"¨¨` tマﾆﾆﾆﾆﾆ‘，　',　　　 .',　　　　 ',
　　　　　　　 /　Ⅳ|!'i　!.ﾑ!ﾆﾆﾆ/　|　　i　　 | ﾏﾆﾆﾆﾆﾆ‘!　.i　　　　.;　　　　　 ',
　　　　　　 , '　..Ⅳ|! i ./j/ﾆﾆﾆﾆ!　 !　　|　　.|　}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}　.i　　　　.i　　　　　ﾍ
　　　　　／_, イ.Ⅵ≧《f{ﾆﾆjﾆﾆﾑ ,.ﾊ　　!　　|　}ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ}　 !　　　　.!　　,　　　, ﾍ
　　　　　　 ! .}t|代iⅥ ≧ft＜,》'. ‘， i　　.! ﾑﾆﾆﾆﾆﾆﾆi　 .!　　　　.i　　 !　　 ',x,＼
　　　　　　　　i .ﾑ'iﾞ　`'Ⅵﾆﾆj＞'"　　‘，i　　!仁.ﾆﾆﾆﾆﾆj'　　!　　　　 ! 　 .| 　　 ‘，｀.`
　　　　　　　 ,' ﾑ' ! 　　｀¨¨´　　　　 ≧tx..､仁ﾆﾆ=t‐''''´　　,'　　　;　 !　　.ﾄ,　　 ‘，
　　　　　　 ./ ./　i　　　　　　　　乂::i::ｼ!ﾆﾆi"　i　　 ;　,'　　　 i　.;　　 .! `＜　 '，
　　　　　 /.イ　 ‘，　 ;　　　　　　　　｀¨´ !ﾆﾆ!　,'　　.,ｲ .,'　　　!　!　　　!　　 `＜ﾍ
　　　　　　　 |　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 Ⅵ|j ./　　,' .!.,'　　　 .|　|　,　　|　　　　　`
　　　　　　 ‘，　ﾍ　　　　　　　　　　　　/ Ⅵ!ｲ　　,'　|,'　　　　 |　.ﾘ .V　.!
　　　　　　　 .‘，　| ﾍ　　`　ー　　　　　 / 　 V |　　;　 '　./　　ﾊ　!V　', .!
　　　　　　　　　 |リ　ﾍ　　　　　　　　　/／イ” | /!./~| ／|　　. ,'　`､! ', .Ⅳ
　　　　　　　　　 |!　　　ー -- .┬ '' " ~ ´　　　.|! .i.!ﾉ:|/　.|　;　/　　　 'ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,xtﾊ　　　　　　,　zt≦彡j|　 .Ⅳ|.,'
　　　　　　　　　　　　　　　　 {f込ﾄzzttf77三＞彡"///!.､　　!
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　　　　　　　　　　/,　, xt＜/j}////////////＞''"x＜///f|!
　　　　　　　　　 ,'x≦////」j{///////＞f''"_,x＜////////｀ .*。
　　　　　　　　 f//////ｱ　V≧tt≦彡,x＜///////////{　　　 *。
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　　　　　　　 }////jア　　　　　　　　 .}//////////////{　　　　　　　ヽ
　　　　　　.,ｲ///ア　　　　　　　　　　}//////////////{　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　.,ｲ//jア　　　　　　　　　　　}//////////////{
　　　 ,.ｲ//イ　　　　　　 .　　　　　}//////////////{　　　　　　　　　　　　　 ',
　　 , '//ア::::!.　　　 ,.　´　　　　 __,.}//////////////{　　　　　　　　　　　　　　}
　.,//jア::::::::::!　　／　　　,..x..＜::::::}//////////////{　　　　　　　　　　　　　 .,′
ﾞ////:::::::::::::::i　 ,.'　　,.x＜::::::::::::::::::}//////////////{ 　 . ;　　　　　　　　　 .,.′
{//j{:::::::::::::::::::! ,',.x＜:::::::::::::::::::::::::::}//////////////{　　 /　　　　　　　　 ,.′
';//:';::::::::::::::::::';{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}//////////////{　 ./　　　　　　　　　 /
‘，/ﾍ::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}//////////////{　/　　　　　　　　　 /

そう、彼の手に残った傷跡は―――

290 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:14:19 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　 ,,= 、
　　　　　　　　　　《'/,》〉
　　　　　　　　　　　　　　 l∨.!!
.　　　　　　　　＿＿＿l.∧!!＿＿＿　　　　　　　　私だけの罪の証
.　　　　　　　《≫二二《+》　二二≪》.　　　　　　
.　　　　　　　　￣￣￣l.∨!!￣￣￣　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　 |ｌ()l||　　　　　　　　　　　　　そして私だけが祈りを捧げるべき
　　　　　　　　　　　　　　 |l.：l||
　　　　　　　　　　　　　　 |l.ol||　　　　　　　　　　　　　十字架なのだから
　　　　　　　　　　　　　　 |l l.l||
　　　　　　　　　　　　　　 l.<>!!
　　　　　　　　　　　　　　 |l　l||
　　　　　　　　　　《◇》〉
　　　　　　　　　　　　　　￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【オワリ】

.

291 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:14:48 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(乂_：：：：：：：：：：|::|：：：：：：：：：：_乂）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（乂_：：：：：：：：：|:｣：：：：：：：：： _乂）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（乂_：_：_：_：_：,...:':.:´:.￣.:.::.:二:.:.､：_：_：_：_：乂）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（乂乂乂／.:,:.:.´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ:＼乂乂乂）
　　　これにて、第11話終了かしら　　　 ._＿＿_/.:∠.:.:_:_:.:.:.:.:.i'⌒Ｙ⌒ﾞｉ:.:.:.:',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }厂¨¨７:./＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾄ={薔}=ｲ:.:.:.:.}　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{{　　;':.:;　　｀ー─==＼仆／､_:_从_＿, -y'￣:ヽ__)}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,{:.:.{　　　　　　ィﾃ=ミ　　 f; ）〃:/〃:{/{:ｲ＼:ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八:.:.'.　⌒_ 　　 {ﾄ:::::j}　　 _厶{{:.:{:.{:.{' ￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:＼r=ﾐ　　" ¨´ 　 /人￣￣　　　 !
.　　　　　閲覧ありがとうございます　　　　　　　　 }:从　、　　　　／r=､::＼　　、　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 f^Yｉ　　　 /´ }:,＞.. _ｰ ´_／r{ﾆ}__j!:::::::＼ヾ＼　ﾉ
.　　　 ..::ｰ-､　　　　　　　　　　　　　 .＼| 　　（　/ヾ:_(＼｢:|〃　しｉ|::||:c:::::::l　＼__ イﾄ､_＿
.　　〃::::..　 ',　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ヾ:__(＼}::ﾄ､　　 `||〈j!:::::c:ﾉ　　＼ゝく__￣＼
.　　j:::::::::ji:... |　　　　　　　　　　　　　　　　　（___ノミ:｝（＼｝ﾚ{,_　　〈j ＼￣介　　 / |」＼]　　　＼
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.弋ミNイ::}_{:.. ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {::::[]::::}　　　｜　 /　　_(У |
.从（::..... Yｱミ　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼:::ノ､＿_／　 /　　_（У: : |
.　　ヾ::::.从:::....... Y ｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　（.У: : : :|

292 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:15:21 ID:fcc933c4

　　　　　　　　　 .／￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　./　　　　　　　 .',.　　　　　　　ということで、ジャンヌ・オルタさんでした
　　　　　　　　　 .| ⌒　　.　⌒　　|
　　　　　　　 | ●　　　.●　　|　　　　　　　リネットさんの回（第７話）でちらっと出してた
. . 　　　　　　 | ⊃ .､_,､_,　⊂ ,'.　　　　　　やらない夫くんに関する人でございます
　　　　 /⌒ヽ...ﾍ　　 .ゝ._）　　/./⌒i 　
　　　　　　＼　　＼｀＞,､ __ , .イ./ ヽ./　　　　　まぁゲーム的なイメージそのまま炎
.　　　　　　＼　　r―　,　.,　‐┐　/.　　　　　サラマンダーの亜人です
.　　　　　　　｀i　{::::::::::}　{::::::::{. ./

　　　　　　　　　　　　　　　￣　 ¨
　　　　　　　　／　／
:　　　　　　 .:　　　　　　 ,≦　.⌒＼/ }
　　　　　 /　 /　　　　〃 ¨＼ ./〉　./
　　　　　　′　　　　 ,//-　　　〈/ヽ/　　　　　　　　　ふと思ったけど今回は
　　　　　　　　　　　 //　　　　　　　 .　　　　　　　　　 Fateキャラいっぱい使ってるわね
　　　　　　　　　　　 .ィ＝く　､　　r...:::ヽ
　　　　　　〟ヽ　_ 乂::::::j　 } _ (乂::::ﾉﾉ}　　　　　動かしてみたいっていうのもあるけど
　　　　　　＼ Υ　 . - ､¨　ノ　　` ーｒ≠〔　　　　　亜人って観点でＡＡを探すと
　　　　　　　　.乂_「　Yf 　r　　 ,　　ノ　ア >.　　　　　該当するキャラがいっぱい居るからかしらー
:　　　　　〔. ＿《「￣|T　 ≧≠ 彡く／／{
　　　　　　　 r≠ミ「￣:|　　〔＞O一'＼⌒そ
:　　　　　 ⌒そ乂＿ノ　〝: 介:{.、　〟
　　　　　　　　　 }!　　　乂:_.人ヽ _人
　　　　　　　　　　　〃　　　　　ｒ､　　〟 1
　　　　　　　　　 /　　　　　 /:|! .　　 ∨
　　　　　　　　　　/　　　　　 /: .|!: .ヽ

293 ： ◆jsXgrE.VEg ： 2017/07/21(Fri) 21:15:45 ID:fcc933c4

　　　　　　 |、　　（⌒×⌒）
　　　　　　 | ｀二¨ヽ〈八〉 |　　　　　　　　　さて、次の投下は明日　7/22　21：00から
　　　　　　 |　　_　｀　ﾄイ'、l
　　　　　　 |　　ィこ:Y_| Vﾊ/.　　　　　　　幕間　第11話を投下させていただくかしら
　　　　　　 |　　 {しリ｀イｿ
　　　　　　|￣ }　　 ,､.ﾉｲヽ　 ..::ｰ-､.　　　
　　　　　　|ー_'_ イヽ　Ｌヽｿ〃::::..　 ',
　　　　　　|lヽ⊥〉　ハ｛ソj:::::::::ji:... |
　　　　　　|ｰ|┘　　　　Ｖ´(::::::｀¨:j:¨´
　　　　　 r－､_ 〈、 l, ｨ､ﾍ ∧:::::-:::ｲ
　　　　　└j　 !＼-くノ:ﾄ､〉}　　ｰ‐' |　
　　　　　　｛_ ﾉ|　　　 |｣l_!ｲミNイ::}_{:.. ヽ　　　　　　　ぶっちゃけジャンヌさん重い子
　　　　　　|:::::j　　　　　人（::..... Yｱミ　＼.　　
　　　　　　|_:ムzェ-－'´ 　＼:::.从:::....... Y ｀ヽ　　　　　でもそれが良い
　　　　　　|　　 └ﾋｭ､_　　　　}三三ﾆV jﾊ　.j.
　　　　　　|　l　　　l └'冖=ｭｫ’三三三ﾁ | || ｲ　　　　　　では今晩はこれにて
　　　　　　|　l　　　 l　　l　丿ミ三三彡' :| ||　}.　
　　　　　　|　ヽ　　　l　 l ｲ　　　}={　　 :: ||　j
　　　　　　|　､　ヽ　　ﾉﾈ、　　}={　　 :: ヾヽ

.

294 ：普通のやる夫さん： 2017/07/21(Fri) 21:46:23 ID:84328982
乙おっつ
あら～

296 ：普通のやる夫さん： 2017/07/21(Fri) 22:09:52 ID:7b3220e7
乙
くっそ白大根もげろ

297 ：普通のやる夫さん： 2017/07/21(Fri) 22:25:04 ID:d07b3466
乙乙
ジャンヌがこの店にきたのは偶然じゃなさそうだけど
連絡を取らないじゃなくってあたりに答えがあるのかな

300 ：普通のやる夫さん： 2017/07/21(Fri) 22:49:06 ID:72bba562
乙
大根もげろｗ

301 ：普通のやる夫さん： 2017/07/22(Sat) 00:00:41 ID:18041511
大根もげてくれ…運命っていいなぁ
乙

※タイトル変更の投下がありましたので修正ました

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17356 :日常の名無しさん:2017/07/22(土) 16:33:02 ID:-[ ]

感情的には大根ﾓｹﾞﾛだが、
ジャンヌの幸せの一片となれるならモゲちゃダメだという矛盾な気持ちががが

17359 :日常の名無しさん:2017/07/22(土) 19:57:06 ID:ogPewHmg[ 編集 ]

まさに運命（Fate）ってやつだね
FGOだとまんま獣人みたいな人（エジソン）もいるし
いつかそんな人が登場するのも見てみたいかも

17360 :日常の名無しさん:2017/07/22(土) 20:27:45 ID:-[ ]

タイトル見ただけでギターの音色が頭に浮かんでしまう私はおじさん(´・ω・`)

17386 :日常の名無しさん:2017/07/24(月) 09:24:50 ID:-[ ]

※17360
大丈夫！俺も仲間だ！ｗ

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亜人はＢＡＲに居る 第11話 「祈りは其処に」

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