キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第八話　魔法・人形剣やる夫達のいる日常

プロフィール

Author:やる夫達のいる日常
ディスプレイの調子が悪いので不安

NEW！新規まとめ作品第1話リンク
9/2
ひよっ子戦士とひと夏の冒険記
8/31
やる夫は至高の三塁手なようです
8/26
鎧くんと白魔女さん
3/26
勇者アスランは魔王を倒すようです
1/7
婚約破棄令嬢は告られたい
 クランリーダーとして求められる、たった一つの大きな資質

Pick up!
いきものがかりたち
プレ医師ネタ　神奈川県医師会からのお願い

このブログについて詳しくはこちら
About
プライバシーポリシー

 現行作品リスト
 完結作品リスト

※注意
当ブログからの転載はおやめください。
元スレ及び掲示板の規約に従うようお願いします。

※コメントに関して
一部のスラング的な表現が含まれている場合、内容の如何を問わず承認しない場合があります。ご了承ください。

コメントの文字数に対し上限を設定しています。お手数ですが長くなってしまった場合、2回に分けるなどお願いします。
またコメントの承認は必ずされるものではありません

PASSを設定していないコメントに編集用リンクが表示されないように変更しました。

※したらば掲示板文字化け発生中
元AAがわかる物や文字化けの規則性がわかっている物は、出来る限り修正していく予定です（わからなかったらそのままになるかも…）

※推奨ブラウザ
Google Chrome
edge（Chromium）

Firefox（※AAの表示は大丈夫だと思いますが、あまり確認できていません。）

非推奨
IE（また開発が終了しているブラウザのため対応予定はありません）

その他ブラウザは確認できていません。

Saitamaarフォント様を導入しています。
手持ちのiOS及びAndroid環境で表示確認済みです。

相互リンク、相互RSS募集してます
連絡等は以下のどちらかへ
（Twitterで連絡してくださる方がありがたいです）
@yaruonitijou
メールフォーム

まとめ依頼の受付を一時停止します。

キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第八話　魔法・人形剣

目次　現行スレ

829 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:13:44 ID:LfEKVIbk0

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　,′ｉ:/ｎ`　　´ｎ＼i:.:.:.:.i‘，　 }
―w√i:人|　U　　　 U　ｌ:.:.:Λ:‘，/)─wwﾍ√ﾚvv～
　　<人（　　　　　　　,':.:./__):.∠ニZ
　　　/:.个: .　__▽__　,./:∠:._｛>o<｝
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

　※ 大変お待たせいたしました、

　　今から第八話の投下を行います。

　※ 本作はキャラが死んだり死ななかったり、

　　ひどい目に遭ったり遭わなかったり、

　　グロテスクな描写があったりなかったりします。

　　ご了承ください。

830 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:14:02 ID:LfEKVIbk0

　　　 _＿＿＿ノ　!　,ィ　／　　　　　　　　　　　　　 |　　　ヽ个o｡ _______ ｡o个／　　　　　　 ∥　∥　} ､　　　　　　／ヽ　ヽ┐
　　／　　｀",＝‐'´｀｀ヽヾ　　　　　　ｉ　　　　　　　 |　　　　...＼ ____________ ィi〔　　　　　　　 /　 ./ヽ,ｲ＼, 彡ﾆﾆﾆ＜／　`､　ﾟ,こ
　 /　　　　/　　　　　　｀ヽ,　　　　 !　　　　　　　　 !　　　　　　 |　|　　　　　　　　　　／　／__ 」　　{ {　　　　ヽヽ　 ∧. ∨
　ｉ　　　 /´　　　　　　　　 '､　　　 |　　　　　　　　　!　　　　　　　 .|　|　　　　　　　ィi〔　.／　」⌒ﾐh「ヾr､　　　 ././　　　.}　:}」
　 {　　／ ,　　　　　　　　　　ｉ　　　　ｉ　　　　　　　 !ﾐh､　　　　　 |　|　　　　　｡s个　　／ヾ,¨´ﾟ,-　_ 　ﾐhﾍﾆﾆﾆイ､.　　 / ∥〉
　ヽと_,イ､,　　　　　　　　　 ',　　　 !　　　　　　　　/h､　 ~"''～､、__,,}　{_,,jI斗ｆｾ升　_､+''"}＜ン「ヽ＼　ﾐh､　ヽ　　ﾐh､＼/　/」
　　ヽ　/ /｀ー---,　　　　　　',　　　ｉ　　　　　 /../.:}ﾐh､　　　　　　　　　　　_ ィi〔 ∨､r」ヽ_,,...⌒「ヽ,,ﾐh､　〉　心┐__彡ﾞ／「
　　　と,イ　　　　　',　　　　　　',　　 !　　　　　　　/..允トﾐ／}:¨/} 「¨¨}ﾆ{___,'ヾ⌒} ＼」　／jI竓芋ミﾐh､｡o≦ イ､　ﾟ｡┳-､」ヽ」
　　　　',　'､　　　　　',　　　　　　ヽ　/　　　　　　 /.　}..{　　｀┗‐ｲ∧_,/ ∧:」{┗ ┘　　 ∥ /　　　　 `､ ',イ　　　 ',　',⌒}　　　　┏
　　　ヽ　ヽ　　　　 ',　　　　　 ∨　　　　　 /.辷㌻ヾ､　　ヽ{　　__　　 ┏}　!　　　　 {:　{　　　　　　∥} 　　　　}　',＜　 r-､」j
　　　　　ヽ　　ヽ､_, 　 ',　　　　　ヽ　　　　 /.ヽ」┓　}}====}}ヽ┘ヾ´ヽ/辷ﾞ{ r､　_彡ﾞ､ヽ　　　　　/ /　　　　 ∥　}」/ﾐh」｡o≦
　　　　　　',　　ｉ　　　',　　　　　　　ヽ　　　 /. ､　ヾ/ヾﾞ.r､彡´´ji斗f--冬ミ　ミﾒ､┓｡o* ､｀　ー .＜ｲ　　　　　/ /ﾐh､)ィ(　　_,,..
　　　　　　 ',　　ｉ　　　',　　　　　　　ヽ　　 /.　ヽ ∧/-「..... ィi〔寸　　　　　ﾐh､　ヾﾟヽ_　　｀```｀ヽヽ　　　｡ﾟ__ヽ.:／　　ィ(　ム
　　　　　　ヽ　　ｉ　　ヽ　　　　　 l　　 /.''＜__ﾟ｡　',＜／　ム寸　　　　　　ﾐh､　ヾ」　　　　　ム　寸／,/ヽ,／　／
　　　　　　　　＼　ｉ　　　ヽ　　　　　　ｲｲL/{_」',　',ノ　　　丿└===＜　　,,.｡*'"　`､¨}_____________」　ゞ／h､/　　｡ﾟ
　　　　　　　　　　｀"ｉ　　　ヽ　　　　　　　/ ｉ　　　　.]　.:}こ}　　/　／￣〕ｈ､ヾ⌒ ｡s个　 ',〈 _________ ,,.｡*'"「ヽ　/　　/
　　　　　　　　　　　 {!　　　　＼　　　 /　ヽ　　　∥　}‐┓ ∥∥　　　　　 } ',´　　　 .}　.}＜{ /',_∥ヽ」ヽ/￣:∥　∥
　　　　　　　　　　ｉ　　　　　　｀ヽ--- '　　　＼　.∥　┗┤ .{ ∧　　　　　 ∥}　 ┏━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　＼.　「_¨´´´,, ､心 ,,____､+'”./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.ｲrｾ升　ﾐh､_____ , ヾ´　　　　　第八話　魔法・人形剣　　　　　　　　 :{
　　　　　　　　　　　　|　　､　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ..　　　　　　　　ム寸　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,」
　　　　　　　　　　 !　　ij　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.､　　　　　　　ム寸, ┗━━━━━━━━━━━━┛._ji斗fｾﾁ゛ ',
　　　　　　　　　　　 |, 　 '　　　　　　　､　　　　　　　ヽ..~''＜ ______ ,,.｡*'"　ィi「〉´　　　　　　　　　　／　∨./ ',ﾞ ´　 ji斗fｾﾁ
　　　　　　　　　　　　/'　　　　　　　　　　} 　　　　　　　 ',.ﾐh､__　__,,,,...,,｡s≦､} ｀´　　　　　　　　　　　┗===∨ .∧'ﾞ~´　　　　_,
　　　　　　　　　　　 /　　､　　　　　　　　ｉ　　　　　　　　　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　圦..,,__∨..。｡ *''ﾟ::::

831 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:14:22 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　『水銀燈が幼い頃、一つだけ不思議で仕方ない事があった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ……のいばら村の隣人達は、どうしてああも排他的なのか？

　　　　　　　　　　　　　　　　　致し方のない話である。村人たちはあまりに凡庸で、

　　　　　　　　　　　　　　　　　外敵と客を見分ける術を持たぬ。彼らが故郷を守る為には、

　　　　　　　　　　　　　　　　　外より来るものを全て敵と看做すより他になかったのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　少女がそれを理解するのは、魔法に多くを奪われてから。

　　　　　　　　　　　　　　　　　何もかも取り返しのつかない魔物が産まれた後の話である。

　　　　　　　　　　　　　　　　　――だから、これは全てが終わった後の物語だ。』

　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《剣客魔法少女録　第一巻『残酷剣』（民明書房）より》

.

832 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:14:39 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　 |　　└―‐┘└┘　{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　仁二_　　 r―‐┐ r┐　 '
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　 |　　{＿＿|　|.｜ ./
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l 仁二二　　　　　　└┘/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　 l　　　　　､　　 .r―ｷ⌒i{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼､＿　＼ー '　　　　　　､　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　￣　　　　　　ト､　　､　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓　　　　　　＼　　　　　　　i　＼　＼|　　　「 i 「 i
　　　　　　 -―--{薔}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼　＼　　厂￣　¨　¨¨¨
　　 <ヽ´ﾆ-――- ､　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　（前略）　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　ー =--L. ィ　.i　 rミ
　　,<_7,/ /! l　ノ　　｀ヽヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　　　　／７　　　.|　.|i /　Lノ
.,／ /　i / ﾄ iヽ.ﾊ　　八_ ヾ-､　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛　　　　＼ー　＿ノ　　　　　仁　　二ﾆ＝- { |{
.///i　 Kl o施ﾄ　ゝノ/／i ,ヽｒヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　 }　L＿　　／
./〃ﾄ　l. u ｀~´　　 /術}ﾉｲハ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　／　　　　ヽｲ/
　i!/{ ヽu　＿　　　｀u´ ﾉｨ .ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 ./ r～､ |＞　.　＼
　i!',>､__/´￣｀ﾞヽ、　u　/ ,ｨﾉi!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　.'　{＿／　.／> ,､　ヽ
　ﾄ!／ ,つ｀ヽ、_　｀) ∠ｨ '| ′　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　ゝ..＿＿／ ./　{ ヽ　|
　ハ._ｒ'　｀lｭ-､ｉ ~Y＿,ノ/ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　　　　　　　|　 |　 }/
.ﾉﾞl/ /7 F｀ヽｙ′ﾉ_/ /l　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　 .r――― '　 .L＿＿,､
｀L｀ヽﾉ[__｀~´~L__「,/彡ミﾐ≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　､　　　　}　　 Lr------､　 r--ｧ　/
　ゝ´　!　｀ゝ-/,ノ彡彡≧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　＼ー‐'　　　　　　 .＞ '　　￣　 /
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

833 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:14:57 ID:LfEKVIbk0
;';:',:'.:';';:',:'.:',:'.:'爻彡爻爻彡彡彡彡!;';:',:'l 　　　 {,:'.:'Y,:'.:'.＿.,:'.:',:'.:';';:',:'.:';';:',:'.:';';:',:',:'.:';':.爻彡爻彡彡ｯ
,:'.:',爻彡,:'.';';:';';'爻爻彡彡彡'⌒´;';:';';:'ｌﾘ゛　　　　ヾ.　／l＿|,',:';爻彡'^;',:';',:';',爻彡彡;',:'爻彡彡彡'′
爻彡,:'.:';';:'ｘｯ爻彡彡彡'´;';:':;'ｌ:l;l爻州ﾘ_,　　　　　／／／.,:';',:';Y;',:';',:';'ｯ爻彡'⌒;',:'爻彡彡ｼ′从
彡;';:','ｘ爻彡彡ｼ爪;';;';i:i:i:i;i;i;i;i;ｯ爻彡⌒　　　 .／／／..{乂三,:'!;',:'ｯ爻彡;';ミー爻彡ｸ⌒´i;i;i;i;ｯ爻
,:厶辷彡ﾞ⌒＾´　⌒ヾﾆ圷爻彡彡ﾞ⌒　　　　 .ｒ<／／　　　　 (乂三.小ィi　ト-'⌒´辷ﾐ行爻彡ｯ'
　|ｉｌ ,、　　　　　｀. ｢｀'^〉,- ｰ ‐ - ､　｢｀'^〉､X´　　　　　　　　に、　ｌ{_,　}　｀⌒YlY⌒¨´
li Ｎシ　　　　　 ._r‐ｆ⌒／::::《＠》:::::::::f＾Y⌒7⌒ヽ　　　　　　　　 i%)}　jｌ:｢ /Ｌ、　　 !iljﾜ
　l |　　　　　　〈_ヽｌ／^⌒＾⌒＾⌒^ヽト～7⌒)イ　　　　　　　　 !l　　rr|<ｼ⌒`' 　 !|!|
l _j{, ､　ｨｯx　　　 ,.く∠　 |　/{ 　〃ハ　トﾍんｲ_ノ　　　　　　　　　　 }l　 _川'¨,、ｨｯx:、｣j|∟、
{ %l.':;}L_':.':'ミx'⌒...くＹ|　ｌ| /´ヽ､／⌒}ﾒ∨{ / ∧. ,、ｨｯvzx;_　　ｨｯx:､_!　i'@’j,:'.:ミ;';,:'.:'..'.'.'.ヾ⌒ヾ
f《d/ｼ'＾`.:.:,:'.:ﾘ:,:)',: 〈∧ |lｲ◯　　 ◯　ﾉ「`ーﾍ. ヽ..:',:':,:'.ﾐｯ彡ｯぐ,:,:'.:':r小ぐ＾l_,|,:'.:',:'.｀ヾ⌒ヾ!,:'jミミ
　l:ﾚ′,:'.:',:'爻.イ三≧|:ｌヽゝ　　___　　∠ﾉ|:::::::|::|≦三二　彡＾:'.:',:'.:',:'.｀丁ｲ　!{;';:',:'.:':⌒:'.:',:'.:',.'.'彡
Ｍ:!,:'.:',:'ｯ爻彡ｼ,:'.:',:'/|:| /::ゝ､.ヽﾉ _/ r‐く:::: /|::|　　＼ﾞ^⌒ﾞ{!,:'.:',:',:'.ｨ爻j　l　l:N;';:',爻彡:'.:',:!.:'爻彡
ｌi !j_爻彡彡',:'.:',ｰ. イ |:|ﾊ:::::::/l:><:::| |:::::::::::: 〉|::| 　ト; :': ; : :乂:,:'.:爻彡｣|l !j: l !j_爻彡,:'.:',:'.爻彡彡
ﾉ从Z＿⌒^ﾞ￣＾⌒ l ﾉ八｀フ:::ﾋ＠入|::r ┬′|::| ヽﾉ. : ': ; : ':￣＾⌒＿_,ﾌﾘ从ﾉ从Z＿ﾞ＾"⌒¨￣＾⌒
爪jヾ{⌒ヾ　::': ; : :;..〈/_ 厶＞::::::::::::::＜_ノlノ}人::.､.: :': : : ; : : : ; : :..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　／:::::::／〈/X|::〉::::＼::::`ｰ- ､＼〉
　　　　　　　 /:::::::／::/::/ 凶ﾍ:::＼:::＼::::::::::＼　　　　　　　　　 .……水銀燈が最初に彼と出会ったのは、
　　　　　　　　　ｰ┬|:::X::/　{　　＼:::X::/ーr―┘
　　　　　　　　　　　ヽｰ┬～ｒ～r～rへ厶イ　　　　　　　　　　　 .山中で狩りをしていた最中の話である。
　　　　　　　　　　　　　 }三ｦ⌒⌒}三ｼ-‐，
　　　　　　　　　　 /.::::/　　　ﾍ:::::::／　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　/.::::/　　　　￣
　　　　　　　　　　　 ‘ｰ≦三三三三三二ニ=

834 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:15:18 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　 `L,,_
　　　　　　　　 |ヽ､) 　 ,､　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 /　　　　ヽYﾉ
　　　　　　　 /　　　 r''ヽ、.|　　　　　　　　人形剣を修めて以来、彼女は畑仕事や家事など、
　　　　　　　|　　　　 `ｰ-ヽ|ヮ
　　　　　　　|　　　　　　　`|　　　　　　 .そこらの手伝いを全く行えなくなった。
　　　　　　　|.　　　　　　　 |
　　　　　　　ヽ、　　　　　　|　　　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ヽ＿＿＿_ﾉ
　　　　　　　 ,ｨ:.:./　　　　｀ヽ
　　　　　　　/ｔ.ォュ　 l| ｌ　ｌ　　',　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 // ll　　ｌ|／.:ｌ: :ｌ|:＼. l
　　　　　 /　||　ｌ: |:○::ｌ:::ｌ:|○::ｌ|　　　　　　　　　　　　　　　　 ……いくら皆を護れても、穀潰しは流石に居心地が悪い。
　　./::..../　　l:　ﾄ | ｉ|　　　　li　|
　　/:::::::::::::......:|:l |　 i|r -- ┐lｉ ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ならばせめても家族の助けになろうと、
　 /／∨V::／:.l: |、　i 　　 l　/
　　 /　　＼:.l: |くﾑ|_＿__ 」ｲ|　　　　―　　ｌｌ　　―　　　ﾉ‐┐　　山の猪や鹿を見つけては狩っていたのだが――。
　　 /　　　 /水:N.＿ﾉｌ:.:.:./　ｌ| 　　￣　/　ヤ　　 /　　　ﾉ
　　./ /／//{/|:.:.l_＿:.厶:.:{＿, - 、　　￣　　　　￣　　　 ´　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　ｌ /'/ //　　!:.:':≦､_ｰぅ:≦ っノ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　＿＿　.│　/
　　　　　ｨｧ:::::::::::::-､_　′／　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　／/::::_ｪｪｪｪｪｪ_::::ヽ　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　＼　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　 /n/イT| |! |! |! j ｀ヾﾍ　　　　　　　　　　　　　|:::::　　　　　　　｜
　　 {⊂i⊃j j !廾 ! i|ナT⊂ﾄ,　　　　　　　　　　 .|:::　　　　　　　｜　　その途中、少女は一人の男を見つけてしまった。
　　 i⊂j⊃┯┯｀　j┯┯て!　　　　　　　　　　 |::::　　　　　　 |
　　 .' /N　　じ　　　じ N　|　　　　　　　　　 |:::: 　　　　　 __}　　　 .男は頭を抱えながら、磁石と地図を交互に眺めて
　　 |!　人　　　　_　　　ｲ ! /　　　　　　　　　　 /::::　　　　　　　　＼
　　 |!　|!　|＞-　　_rf i| ! | |　　　　　　　　　　 |:::　　　　　　　　＿）　　.うんうんと唸り続けている。
　　 | '. i,　j| /::ﾗT::}j ! ! j .! !　　　　　　　　　 |::::　　　　　　　　　i
　　 |{ N v | }::::少::|| ! !ｲ |ｲ　　　　　　　　　　　　|::::　　　　　　　 i 　|. 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 |　 '.　 !j:::::::::::::ﾘ　j/ li !　　　　　　　　　　 .|::::　　　　　　　 | 　|
　　Ｎ　 '. ｲ:::::::::::::::i ｲ　N !　　　　　　　　　　 .＼___、_____　　ノ＿）

.

835 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:15:38 ID:LfEKVIbk0
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､_
　　　　　　　　　　　　　 /　　　 .ノ　　ヽ"7　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　 |　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : :｀ ‐-､
　　　　　　　　　　　　 |　U　　　　 |　 |‐-─≦／ : : : : : : : : : : : : : 丶、
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__´__ |　　　　└‐-､__:.:.:.:.:. : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　|　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　 }　､　　　　　 /　　　　　　　__,. -＜｀丶､:.:. ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　 ..ハ､　`　 ─ ィ--─一⌒V : : : : : : : : : : .:.:.:.:
　　　　　　　　 .．=彳: .'､ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､ : i: : : : : : : .:.:.:.:.:.:.　「ああ、もしかしてこの辺の子かい？
　　　　　　　　 _＜: : : : /: : : ｉ　　　/:::ヽ　V : :ヽ : : : : ヽ: : : : : .:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　, -‐ '´ : : : : : :<: : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : : :ｉ: .:.:.:.:.:.:.:＞'´ 　 .山を下りる道を教えてほしいのだけど、いいかな」
　　　 /: : : : : : : : : : : : : >' : : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : l: : : : : !:.:.:.:＞'´
　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : Υ : : : : l　　 l::::::i　 !: : : : :/ : : : : ｉ.:／　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　ゝ: : : i : : : : : : : : Ｖ: : : : :l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : : f´
　　　ｊ : : : : i: : : : : : : : : :ヽ : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : : l

　　　　　　　　　　　　　　　　,. -─＝ﾆ_ー- ､
　　　　　　　　　　　　　　／　ヽ　ヽ. 　 _≧､マ>_
　　　　　　　　　　　／　　l ! l !　}ヽ（(._ｨ个､_)）
　　　　　　　　　　 / /　　 j l j L.j　 !　　 i |　ヽヽ　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　/i　!　　 /ィ´ |/,.ｨ |　　〃|　l ヽヽ
　　　　　　　　　 / | い　 / ﾉ,ィ(ぅﾉ　!　 / ヽ! j　 }　ﾞ,　　　　　　　　「……いいけれど。その前に、あなたは誰？
　　　　　　　　　　i | l　ﾄト､i{　　ｰ'′/　,1　　 /　/　　.ﾞ, ／.;.;
　　　　　　　　　 l ﾊヽく,.ｨr,､　　 ∠ '´ j　　/　ｲ　i　､　ﾞ, .;.;/.;.;.;　　どうしてこんなところに居るのかしら？」
　　　　　　　　　　＼ヽヽヽヾ ` _ 　/ .-‐-、/　/ |　l　 ,.;.;.;.;.;／.;.;.
　　　　　 ,. -‐‐‐--‐‐''"ﾒ T ＞ _／/..:::::::::..＼ｉ　|　l　ｌ　／.;.;.;.;.;.;　　男の腰元にある刀を睨みながら、水銀燈は問うた。
　　　／,. -‐‐‐---‐‐'''" _,.＜_,. ｲ.:::::::::::::::::::..＼ l　|　l.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.
　　　/／　　　　　　,. -＜_＞ ´薔y::::::::::::::::::::::::..`,l　|　l.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 /　　　　　　／,.＞´　　／..::/:::::::::::::::::::::::::::::::｝　|　ll─弋´　＼`ヽ
　　　　　　　　　/／　　　 /.::::::{:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉi　 |　l　　　＼　　＼i
　　　　　　　　 /　　　　 !::::::::::＜:::へヽ:::::ノ::ィi　l　 |　 i　　　　＼　　'
　　　　　　　　 l 　　　　 ∨:::::::::::::ｦ::::::::::::7:::::{ i　i　 |　 i　　　　　｝

836 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:15:53 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　f´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　／￣￣＼　　　　　　|　　　　 * 　　　　　*　　　　 |
　　　／　「　　ヘ＼　　　 | 　＊　　　　　＋　　　　　　 |　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 | 　（●）（●）　|　　　 |　　　　n ∧＿∧　n　　　　　|
　　 |　　　 |　　　│　　　.｜..＋　(ﾖ（* ´∀｀）E)　　　　 .|　　　　　　男は、和権やるオプーナと名乗った。
　　 |　　　__´___　　.|　　　 |　　　　 Y 　　　 Y　　＊　 |
　　 |　　　`ー'´　　.|　　　乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ　　　　　　何でもこの山には山菜を取りに来たのだが、
　　　ヽ　　　　　 /
.　　　　ヽ　　　 /.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　深入りしすぎて迷ってしまったのだと言う。
. 　　　 /　　　く
　　　　 |　　　　 |.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 |　　　　|

　　　　　　　　　　＿rｘvｘvｘvｘｬ―-　、
　　　　　　　 ,ィｆ＞^厂{爻}勹⌒＾下ミ｀ヽ、
　　　　　　　rfﾌ::.::.::.:_｀ー'＾ー'::.::.::.::.::.::.::ヽ>､ヽ
　　　　＿fｦ::.::.rｘtﾀ^⌒＾⌒^X≧z::::.::.::.::.:::圦ﾊ
　　　 /r‐ｖ':r彡 |l| l|l| l ｉl ｌi l l| !l| ｌ|ﾄミｋ::.::.::.:Vfハ　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　{〈ィ/＾ ,1ｌｌ|l !|l| |l|| |l | ｌ | ｌ |l| ! |ヽ>、::.:V! l|
　　　｀７/ // ll| |l| |l!| |l!| ｌ| ｌ | l | |ｌ| ! |//＾ヽ:/⌒》　　　　　　水銀燈は、彼を斬るかどうか一瞬迷った。
　　/丁7 ｌ| l　l|l |l| |l!| |l!| |l |l l|ｌ | |l| | |ﾄﾐ=彳|厂´|
　　ﾚ⌒l| ｌ| |　|l| !l| !ｌ| |l | || |l |l| | l|! | |ﾚ⌒ヽ|ﾚ⌒!　　　　　　 ……この男が何者であれ、言葉の真偽がどうであれ。
　　　 /|ｌ |ｌ！ |仆ミ｣ｌｌ| ｌ |､｣斗ヒて {{ィ/77ﾊ＼j
　　. //lハﾄ､ヽf予ｔぇﾐ　　　 xfぞ牙ァ '/// l |! | |　　　　　　　ここで殺して埋めればひとまず面倒は起きるまい。
　　/// 7∧ヽﾊﾞー'′　　　　　ﾞー' //ﾊ /! j l　| |
　　〃 // ハ/小.　　　　､. 　　 " ／〈// l｜| |　! |　　　　　　　 .そんな考えが、少女の頭をよぎったのだ。
　　″{ { ,'　// |l ヽ、　　 -　　　／// ハ | |　| ﾄ､　,　=彡
　　⌒ヾﾒ､/,'＿川 |｀丶､　　　 , イ　// ,'ｌ　lﾙ'　l| | ∨∠/三　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　:―::.::厂:.:.:/// |!| l|l /｀fT!＾ヽ￣} ' / |　|l ＼_!｣ / 彡竺三
　　ー=彳:.:.:.///:｀Yヽﾙﾍ /」ﾄ､／:/ /ﾊ/⌒7:´:.:.:.:｀ヽ三三三
　　'⌒Ｖ:.:.:.:.{ l {:.:.:.:＼ <ヽ:.:.jj:.:.:.:./ //ノ:.:.:.;':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼三三

837 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:16:12 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　ｨ‐r=;､
　　　　　　　　　 , -‐いゞｿﾒｰ -､
　　　　　　　／::, - ‐ ― ｰ - ､::ヽ
　　　　　　　 /::／　　　　　　　　ヾ::｀
　　　　　　　　 i::/ /　/　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 i　| |　l　|　|　|　|　|__|
　　　　　　　ｌ　| |__|　|　|　| ￣ |　|　　　　　　　　　 .……けれどそれは、修羅や魔物の考えだ。
　　　　　　ｌ ! _!＿_ ヽﾊﾉ┬―ｩ
　　　　　　　 |｀､ヽ.__ノ　　　ヽ-‐' / ｌ　　　　　　　　魔法少女は、まだそこまで魔道に堕ちていない。
　　r"　　　　　 | | iぃ　　　＿　　 /　|
　（　　　=‐'　　| |　ｌ　ゝ､___ヽﾉ_ ,ｨ ´|　l i　　　　　　　　 .流石に疑心暗鬼が過ぎたなと、水銀燈は己を笑った。
　　ゝ-'ﾞ　 ≪T|ヽi |　ｌ_ ｝:/兀ヾ:{､__|　!Ｔ≧
　　　　r､　 .≦≠〈::ヽ!::｛{～～～}｝:レヽ≧　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　__ゝ〔[｀ヽ三/:: :: :::｛{　薔　}｝:: :: ::
　　ヽ　ﾉ〔 [　j:: :: :: :: :: :: ﾞ～ ″:: :: ::i

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　／　　 ∩＿＿＿∩　　＼
　／　　　 / ＼　　　／ヽ　　　＼
／　　　　 / 　●　　●　ヽ　　　　＼
＼　　　　ミ　／(_●_)＼　ミ　　　／
　＼　　彡､　　|WW|　　､｀彡　／　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　＼　　　　 |WW|　　　　／
　　　　＼　　　ヽノ　　　／　　　　　　　　　　　　　「道は教えるわ。けれど、山は恐ろしいの。
　　　　　　＼　　　　　　／
　　　　　　　＼　　　／￣ﾞﾞ`∩　　　　　　　　　　　　　　迷うくらいなら、最初から立ち入らない事ね」
　　　　　　　　　＼／ノ　ヽ,　ヽ
　　　　　　　　　 |　|●　　　● i'ﾞ￣ﾞﾞﾞ`''､　　　　　　　　　 .念の為、水銀燈は村と反対の方角へ出る道を教えた。
　　　　　　　　　 |　|　(_●_)　　ﾐノ　　ヽヾつ
　　　　　　　　　 |　|　ヽノ　　ノ●　　 ● i　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 |　｛ヽ,__　　）´(_●_)　｀,ﾐ
　　　　　　　　　 |　| ヽ　　　 /　ヽノ　 ,ノ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

838 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:16:30 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　 , -―- ､
.　　　　　　 /　　　　　＼
. 　　　　 /　　--　　　|
　　　　　 (●) （●）　　 |　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　|　 |　　　　 ./
. 　　　　 l __｀＿　　 ./　　　　　　　　　　 .「全くだ。こんな事なら山に入るんじゃなかったよ。
　　　　　　　|　　　　　　ヽ
　　　　　　 __!､＿___／　　＼　　　　　　　　こっちは上品な町育ちの人間なんだ。
　　　　　／､ヽ　　　　　r ､　ヽ
　　　　ﾊヽ Y｀l　　　　 |　 >　 Y　　　　　　　山歩きなんか、そこらの猿に任せとくべきだった」
　　　　{　ヽ_ゾﾉ　　　　　|　ﾚi i i}
　　　　｀¨´　　ヽ　　　　ハ　 `'''　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　 >　　 /　ﾍ
　　　　　　 /　　/ヽ　ﾍ
.　　　　　　 _,/　　/　ご_ノ
　　　　　　　（　ヽ　/
　　　　　　　＼__ノ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　 l|　　　　／
　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　 }　　　／　　　　.:＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　|　　_　　　/i 　　　　　 /　　／　　　,． ≦//////////
　　　　　　　　　　　｀ｰ┐　／ｿ　　　　./　　/　　　／￣＼//////.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 └ ヾ／　　　　 /　　/　　／　　.／///////
　　　　　　　　　　　　　　　 '.　　　　　/　__/　／　　／///////// 　「……まあ、でも収穫はあったしな。別にいいか」
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　/ ／/／　　　／///////////
　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿__／.／　　　／//////////////　男は、最後にこっそりとそう呟いた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　／////////////////
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 , ´/////////////////..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 ////////////////////////
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　 /////////////////////////
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

839 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:17:14 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　|.／￣￣＼
　　　　　　　　　|.　「　　ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　|. （●) (●）　|
　　　　　　　　　| 　　 .| 　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　できない夫には剣才など欠片もない。
　　　　　　　　　|. 　 __´＿　　|
　　　　　　　　　|. 　 `ー'´　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その代わり遁術や尾行など、
　　　　　　　　　|　　　　　　 |
　　　　　　　　　|　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大よそ後ろ暗い技にのみ秀でた才を持つ。
　　　　 .ｒ──-､　　＜
　　　　 .{二二　　|　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .{二二　　| ／
　　　　 .匸二..__ﾉ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　_　 -　――　、　　　　　　　　　　　　　　　 |.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　イ.:::::::　　-――-＼　　　　　　　　　＿　　..|.／
　　　　　　　　　　／ /.::::／　　　　　　ヽ　＼　　　　　／|___| 　 .|　　 .仮に、相手が警戒した魔法少女であろうとも。
　　　　　　　　　/ __〈::::ノ　 { 　 { ヽ.　　 } |　:lハ.　　　／／／　　..|
　　　　　　　　 /<_ 小、>　| ＼ｰヽ＼ﾉｌﾉィﾉ　|　　　／／／　　　 .|　　 .一切を気取られることなく、その後ろを
　　　　　　　 / <／|_｣　　 | ｆ＝ミヽ　　ィ７|　/　／／／　　　　　 .|
　　　　　　　./ 　　　| ヽ　、　 ||　　　 ||　ﾚ'_i｀<／／　　　　　 |.　　着いてゆく程度、彼には造作もない事であった。
　　　　　　 ./　　　人　＼_＞　 r‐　￢ィ''〔　ヾヽＸ　　　　　　　　 |
　　　　　 /　　 ≧==≧＼　＼　| 　／{　7　く　ｿ´　　　　　　　　　 |.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　/　 ∠三三三三＞ー一'´:.:.:.:..＼＞┤´　　　　　　ｒ──-､　　＜
　　　　./ 　 /　≧三三了.:.:.:.:.:.:.:.:.:._,,､＜＼|　|　　　　　　 {二二　　|　　／
　　　 / 　 /　/三三三∧:.:.:.:.:.:.:>ﾍ {?鞍}:ｌ:.:.:.〉ﾉ　　　　　　 {二二　　| ／
　　　;　　/　厶ィ⌒ヾ三ﾆ＞=イ:.:.:.:.ヽ　|:|:.:.{　　　　　　　　匸二..__ﾉ
　　　|　/　　/　　　　}彡ﾍシ}:.:.:.:.:.:.:.:.∨.:ﾄ､:.:.　ﾄ!,　　　　　　　　　　___|_____ 　.,、
　　　| l |　 / ＿,,.∠斗―／-―:.:.:.:.:.:.:.:〈　＼:.ﾉ丿　／⌒''ー‐≦´ 　｢`ｰ-､>┴＼
　　　ヽ |／..:.:.:.:.:.:.:_　-‐'´.:.:／..:.:.:.:.:.:.:.∧ﾍ　（（　／　　　　　￣''=ｰ廴_ ` ｀　　　 `ｰ-､__
　　　／..:.:.:.:.:.:.:.／..:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/><ｌ:.l.　ヾ/　　　　　　　　　　_;ジ´　　　　（死）　　｀７ァｧ┐
　　　ー――／..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧:.:.:.:.:.:.:/＞く|:.:ｌ.　/　 / 　　　　　　　_;ﾐ"　　　　　　　　　　,_う_)　｛ !ﾘ
　　　　／..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/　ヽ:.:.:.:./＼／|:.:.ｌ../ 　｛　　　　　　'" 　　　　　　　　　　　　＿｀フ´

840 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:17:30 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､_人_从_人__/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _）
　,..r;;:　　（　人)　 )　,;｀ｰ､　　　　　　　 |　ヽ丶　　　　　　　_）　消　　汚
　ヾゞ､　　ゞ'´　　　'｀´　　｀ヾ､　　　　─|─　　　　　　　　_）　毒　物
　　　　　　　　　　-‐':､ゞ'｀` 　,l　　　　/ |　ヽ　　　　　　 _）　だ　　は
ヾ､ゞ;;.　　,r-､　　　｀ヾ､　　　　ヽ､　　　　　　　　　　　　 _）　 l
, rヾ　　 ,r!/r'ヽ　　　　'｀　　　　　＼　　　　＿|＿　　　　　 _）　っ　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　_,,,.,ﾉ､_ ヽ,　　　　　　　｀ゞ;;　　 ;:､　　　　／|　　　　　　｀)　！
,r‐'''"　,.r ,ｲ彡ミﾐヾ､　　　　　　｀`　 ´;;i　　　　　　　　　　　　　V^V⌒W^Y⌒　　水銀燈が再びできない夫の顔を見るのは、
__,.;;,ｨ'´　,:;;;;彳彡ミ;j｀､　　　　　　　　`i;:､　　　　　　オ
;;　ヾ､彡;;;ﾉﾘ;jjjjj;;;jr'　i 　 .　ノ;;:''　｀ﾞ｀､　｀`ｰ､　　　　　　　　　　　　 ,ｨ　　　これからすぐ後の話である。
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;ﾚ　,t'´ 　　　　　　 ,.､ｰ､　　ゝ　　　ｫ　　　　　　 i|l;
;'ｲ;;;'ヾ｀`ヽ､ｨ;;i ,ri'´　　ヽヾノ　,ry' il'Yﾞr　　ヽ､　　　　　　　　　　　　,j|l;;.　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
j'´ '´ '´／ゞ';;::`´ヽ　　｀`´ｰ　ﾞi　;;: ,r'　　　　　 )　　,r､　　　　　　,rヾlir'ﾐ,
　　/ ,;:' '´/　ｰ≡;i{､　　　　　／ヾr'´　　,.　　　'`;;:､　〉ゝ　 r-ｰ-､_ ,{i＝i= }i､
ｰr-､j　,!　,;',;'ｨ;;:ｲ''｀`ゞ､_,､-‐'´ヽ:;/　､　｀`ヽ　　;:､　｀' (´　｀ゞ､;;;;'',,fi､,≡:;ｲ＝=､
,,:'　｀`ゞ､,;;ゞ､ "´ｲ ,...　`'彡 ,／´　　｀ヾ､ヾ　　　'　　　ｰ､　ii;j ｀i;;!'´ﾆil';;;;ゞr､_,r'ミ
'　　　ｰ‐─　,rｰ'ﾞｰ─-､_j;:r'´　　　　ヾ,ゞ　　　　　　　　､ゞ,ﾐ;:l;;l　　,! 　,!,i;;'´¨/
;.　　　r-‐;;'"}　　　　　　　　　　　｀`ヾ､　ﾉ　　　　　　　,;;;:　(i,;)））､,,:;!､__,:};!_,.､l　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
....　　　_,,,ｨ､ i　　　　　　　　'ヾ人　　､}(　/　　　　ノ　　 ,r'i　 r'"ヾ-‐i‐-:;ｲ, / ヾ　　　　　　　　　　　　　「　　　へ　＼
　　　　,.r'´,ｨ'l､　　　_ｨ;;､　　　､,.ミﾐ'´　,;:'´ﾊ　　　'´　　,j　,r'　 }ミ,r;}ゞ‐'─l:::.i 　,jl　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|
,l:.　　　ヾ;'´ｲ'´ﾄ､_　　j (＿,r'´（`'´`ｰ'´,ﾉ　 i; l　　（｀'´ Y´　　　 ,ｲ≡＝‐-ゞ､,r'　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　　　　　　｜
ｷ:.　　,.彡;:､　　　 }ヽ、'´　｀　　　､,;{　　　ﾞﾚ　　 ,ゝ'　　　　　　　 i;;;:: ,;:li三ﾐ;}jlK　　　　　　　　　　　　　　 | __｀___ 　　　 !
'i　　　,r'"´,;ゞ､_,.イレ'ﾞ､　　　　　　　　　,.{ i'　　 )　　　　　　　 ,ｲ　;;;;;;jk三ミ}ﾞkiヾ､　　　　　　　　　　　　　　　｛　　　　　　　/

841 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:17:45 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　／　　　　　　　｀　、　　　　　　　　 .γ《＠》　　　　　　 `＠》　　　　　　　　　　　　／:::〈 -‐……‐-ミ::::::〈
　　....../　　　　　/｀丶､　 ((⌒＾ﾊ　　　　　　　　　/　/ /　／　　　　　　ヽ‘,　　　　　　＿ /::::::／　　　　　　　ヽ::::＼
　　　　　　 / 　/　　　＼　ヾＶ/ｉ　　　　　　　 .ｉ　 |　i / 　 / ｉ　i　　i　 !ヽ　', '.　　　　　　　〉〃:::::｣ i 　i　 !　　i　! i ｉ　',:::::〈
　　 {　　　ｉ　 /　　　　　　＼　ﾉ　　　　　　　 .|　 |　l 　　/l从》l/ヽﾊ/jﾊﾊ　ｉ |　　　　　 .〈:::ｉ|::::〈i　|､N _,.l＼/､_l/jﾊ　ﾊ:::/
　　　’,　Y＾V/　＝　　　＝　Y´　　　　　　　　　 |　 |　l i 　ｉ〈(秘)〉　　 t::ﾃ j　 ! !　　　　　　　 iヽ@:::::ﾄ､!　○ 　　 ○　jｲ:::_｢
　　　　〉┴-く.xwx　　(ﾌ　 xwﾑ　　　　　　　　 .}　 l　| l　 |xwx　　,　　ｘwﾉ /| |　　　　　　 i　 l｀Vi| |　　　　З　　　ﾊ|´
　　　ヾ＝‐〈≧=‐-　-‐=≦‐〈　　　　　　　　 / 　‘, ∨ヽ|≧=‐-　-‐=≦}イ./〈　　　　　　　 | 　| 　.| l≧=‐-　-‐=≦ | |
　　　　 >=r'´　　{ に0ｺ } ｀ヽｲ　　　　　　　 {　　 .┏━━━━━━━┓..　 }　　　　　　 .|　 |　/ﾄ廴::::f⌒＠⌒i::｀｣_|_

　　　　　　　　　＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　（空白）
　　　 _..　-=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニi　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r─-=ミ　　　 .　 -┐
.　∠ﾆ＞ '"´　＿＿＿＿＿|__　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　　{　　　｀'r‐r'´ 　　 |
.〈ﾆ／_ -=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ!　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＼　　　　　　　　　　　　 >､∠二ﾆ'='‐=ﾆﾆ＞ｸ
　 >'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-────-='　　　　　　　　　　　／　／　.　-‐　　　‐-ミ　　　　　　　　　　　く　　＿_.∠＿ト＼＿_＼
. <ﾆﾆニ／´: : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ　　　　　　　　／　　 ' ／: : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　 .／ﾚ, '´ / .　 /　　', 　ヽ　ヾ
　｀¨7´: :/: : : :/:.:∧: : |: : ､:ヽ: : ‘,　　　　　　　／＿＿{./: : : /: :／|: : ∧: : ',: : ｉ　　　　　　　／　./ 　 i　i　 {　　 } 　! ! 　i
　　 {: : : : : : :/／_,. ＼| ､_ :｀ﾆ=‐ﾉ　　　　　　　 |: : : ,{: : :./:／､_ |／ _,.＼:}: :ﾉ　　　　　　../　　　八　ﾄ､l ､_|＼／l_,. ﾚ|　∧
　　 .‘, : i: : : :ｉ　＞　＿＜　jイヽ　　　　　　　　 |: : : :'＼〈´ ＿　　＿　jイ　　　　　〈　　　_j＼_{　○ 　　 ○　jイ_　〉
　　......}从: : : |xwx 　（_ソ　xwﾉ　 .〉　））　　　　 .|: : : :.ｉ　｢xwx　　 ,　　xwハ.　　　　　　　 .｀マﾆ=ヾ=〈xwx　　ー　xwﾉ=r'7
　　　　｀ヽ{≧=‐-　-‐=≦/　／　　　　　　　 |: : : :.|　|≧=‐-　-‐=≦ |: :i　　　　　　　　 .ヾ=-r｀ｿ≧=‐/⌒Y⌒ヽソ´
　　　　　／:::{{　〈_,小〉 }}:::{イ　　　　　　　　 |: : : :.|　|:::{{　〈_,小〉 }}:ヽ|: :|　＼ -､　　　　 .｀ｿ／　　/￣｀7｢￣｀} ｿ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

842 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:18:04 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――のいばら村の片隅にある墓地に、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∧　　　　　　　　　　 .小さな墓が三つ並んで建っていた。
　　　　　／|￣￣|　　　　　　　　　　　　　　　　|　i
　　　　 | : | 　　|　　　／ｌ　　　　　　　／|￣￣| |　|　　　　　　　　　_　　その中には、幼い骸が一つずつ納められている。
　　　　| . | 　　| .　　/　/　　　　　　　| : | 　　|..〉.:|　　　　　　／|
　　　　 | : | 　　|￣|/　/　　　　　　　| : | 　　| |　| 　　　　　 | : |..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
＼　　　 | . | 　　|　 |_ /　　　／|￣| :| : | 　　| |　ｌ'w'^~^ヽ／|￣| : | 　　|　 | | 　 . .; : |
　:|　　　:| . | 　　|　 |/　　　　 :| . |　 | .| : | 　　| |　|　　　 | : |　 | : | 　　|　 | |.:　'　.　.|
　:l,,r'"゛''| : | 　　|　 | |￣￣l 　 | : | 　| :| : | 　　l l ;";　ｌ⌒ｌ　| : | 　| : | 　　|　 | | 　 . .. : |
　:i　　 |￣|￣￣￣i: |_|　　 |,;''"| : |　 ||￣γ￣￣　ｌl　 |　 |　| : |　 | : | 　　|　 | |;..　..　　|
.　l:　 |￣￣|￣￣￣| .|　　 l 　 | : l　|￣ |_|￣￣￣|_| : |　 |　| : | |￣|￣￣￣||￣|￣￣￣|

　　　　|　　　　　|　 |　　　 |　　　　　　 |　　　　　|　 |　　　 |
　　　 |　　　　　|　 |　　　　|　　　　　　 |　　　　　|　 |　　　　| 　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　| 　　　 |　 |　　　　|　　　　　　 .| 　　　 |　 |　　　　|
　　　 |　　　　 |　 |　　　 |　　　　　　 .|　　　　 |　 |　　　 |　　　　　そして今。二人の少女が四つ目の骸を傍らに、
　　　　|　　　　 |　 |　　　　|　　　　　　　　|　　　　 |　 |　　　　|
　　　　|　　　　 | 　|　　　　|　　　　　　　　|　　　　 | 　|　　　　|　　　　慣れた手つきで新しい墓穴を掘っていた。
　　　 |ﾉ　　､.|　 .|　　　､|　　　　　　　　|ﾉ　　､.|　 .|　　　､|
　　　ﾉ_＿＿__,ゝ　ｿ_＿＿ゝ　　　　　ﾉ_＿＿__,ゝ　ｿ_＿＿ゝ　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 _ノﾞ￣⌒＾⌒}　 .{ ⌒＾⌒}　　　　　 _ノﾞ￣⌒＾⌒}　 .{ ⌒＾⌒}
　　'ﾆ＝==⊂⊃=｝　{=⊂⊃=｝　　　　'ﾆ＝==⊂⊃=｝　{=⊂⊃=｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -―――――― ￢＿_ノ^゛`―-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀ヽ　､　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::レ'´_≧=　＿ヽ
　　　　　　　　　　　　　,，'"　　　　　　　≧=-'"￣｀丶　　　／::::::::::::::::::::::-―:::::::::::::::::::::::::｀ヽ￣￣
　　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　　､　 /⌒丶　　ヽ　／:::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
　　　　　　　　 _,，彡　　　　　i　　　　　Ｖ::;::::::::::::ヽ㍉lイ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉.＿＿＿＿,--、
　　　.斗　＞'" .　'"　　)　　　/l　　　　 ,　}::::､:::::::::::::::､::}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈　　　　{ 　〔_　｀ヽ
　　 |:::::::::{ . イ　　___彡'　　　ｲ　　　イ　/:::::::＼廴;;;;;;`ーミ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼―＝ミ≧=ヽ､　ヽ
　　Λ:::::::Ⅵ　　　　　　　　／/　／⌒ >'⌒ヽ＜ ::::::::: ヽ::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、　　　　　゛ー┘
　〈/ ＞､:;ヾ､＿　　　　　〈　 /{_　〔ノノィ　,　ヽ::::::::::j＿_ノ::::::::::::::::::::::::::ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、
　〈//　Ll＞　.　　　　　　　　ヽ＿ヽ　￣　 ⌒￣`ー--'　￣　　ミ､::::::::／　`　　.,:::::::::::::::::::＿_:::::::_:::::_>

843 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:18:21 ID:LfEKVIbk0
　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　 ,. ≦._　ヽ
　　　　　　　　　　　　　〃´　　｀ﾐ‐-
　　　　　　　　　　　　　　 .″　　＼ヽ＿_｀ヽ _　 -‐-　､
.　　　　　　　　　　　　　　 Ⅷ 　＼＼'，　￣　　　　ヽ　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　ヾ　＼　､＼　　　　　　｝
　　　　　　　　､__ヽr=三≧-､＼｀ミ　　ヽ､,ｨ彡　,ｨ≠‐　　　　　水銀燈には、ただそれを眺めることしかできない。
.　　　　　ｰ=三三三三三三≧;,;＞｀ヾ　､　. ミ. ､≦
.　　　　ｰく三三三三＞三彡´;;;;;;;｀ﾐ三＼　｀ヽ .'，､ヽ　　　　　人形剣によって作り替えられた肉体は、
　　　　　　 '´'⌒√´￣ﾑ＝/'´;;;;;;;;;;;;ム;;ｒ ´ ｀ヾ￣ミ⌒＼
　　　　　　　　　　　 |;;;;|´;;;;;;;;;;;;;;{.|;;;;|　　　　　　　　　　　　　穴を掘る程度さえ人並みには行えないからだ。
　　　　　　　　　　　 |;;;;|;;;;ﾞゞ_;;;;;;i !;;;;!
　　　　　　　　　　　 |;;;;| ;;;;;;;;;;;;;;;! !;;;|　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 l;;;;;!´;;;;;;;;;;;;ヽi;;;;!
.　　　　　　　　　　　 |;;;;' ;;;;;;;;;;;;;;;ヾ',;;!
.　　　　　　　　　　　 l;;;;! ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　、　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉,　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　 /ノ　　　　　　　　 , ′　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／　　　　　　　　 ――どうしてこうなった、と少女は嘆いた。
　　　　　　　　　　__　＿　__　,.　　　　 _／　＿彡イ
　　　　　　 '"　　　 ..,,, "　｀　　　￣￣　ｲ　　|　　　　　　　　今の自分は、何よりも強くなった筈だったのに。
　　　　　　　　　　　　　ー='　　　　　　　／　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 '´|　　|　　　　　　　　　　　今の自分は、どんな人間よりうまくやれる筈なのに。
｀　、　　　　　　　　　　　 ,　'´ 　｜　 |
　　　｀　 .,　　　　　　　　　　イ　　　　　|　　;　　　　　　　　　　　どうして、妹の墓が四つも建っているののだと。
＿＿＿＿_＞＿、＿,　＜　l | 　　　 |　 /
::::::::::::::: ／.::::::::::|:::::::|二::.＼　ｌ |　　　　/　/　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:::::::::::／.:::::／￣|:::::::ﾄ､::|＼:.＼ |　　　/　/　　　　　　/

844 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:18:33 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　 ∧∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | ヽ
　　　　　　　　(；ﾟ -ﾟ)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;:　　　 |　 |　　...,,.;:;:∧∧
　　　　　　━( つ━Ｏ━━(((＜＞　　　　　　　　　　　;:,.　　 |＿|　　;::;;,;::(:;,.;:;ﾟ')　　　　/:),/;)
　　　　　～（,,　つ　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧∧;::　　　　 ||..　.;:;:;::;;:;::-､;:つ　　～‐-､;/
　　　　　　　 (,/´　　　　　　　　　　　　　　　　　(ﾟp;ﾟ;;:)彡　∧∧つ　　.;:;: ;:;:8;:;: ;:,.,.,.,.,..　;;:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ━(;:つ((;:;:., (ﾟへﾟﾒ)ヽ　　　　　.∞:∞;∞:;;:;
　　　　　　　　　 ∧∧　　　　　　　　　　　　　～（;:;　ミ;:　ヽ,) ､_ ,,）～　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　(；>_<)　　　　　　　　　　　　　　　ヽ;:)　;:;:;;:;:　＼ヽ,)
　　　　　　　━( つ━Ｏ━━(((＜＞　　　　　　　　　　　 "'';:;;:,..＼l　　　　　　 .……その答えは単純である。
　　　　　　～（,,　つ
　　　　　　　　 (,/´　　　　　 ∧∧　　　　　　　　　　　　（,.,.,..,,.,.,.　　　 ,.,,.,.∧ 　例え一人で十人殺せる魔法少女が居ようと、
　　　　　　　　　　　　　　　　(#ﾟ皿ﾟ)　　　　　　　　　　と:;:;:::;:(:;:;@:),.,.(:;::;;:つ
　　　　　　　　　　　　　　━( つ━Ｏ━━(((＜＞　　　　　　 ."';:;:;;:;:;:;:;:;;'"　　　敵が十五人いれば五人が浮く。
　　　　　　　　　　　　　～（,,　つ
　　　　　　　　　　　　　 (,/´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧∧　　　　　　　　;:,.
　　　　　　　　　　　　　 | ヽ　　　　　　　　　　　　　 (*ﾟ皿ﾟ)　　　　　　　　　"';::;,.∧∧
　　　　　　　　　 ;:　　　 |　 |　　..　　　　　　　　 .( つﾊﾊつ━━━━━(((＜l*ﾟＯﾟ)
　　　　　　　　　 ;:,.　　 |＿|　　;:　　　　　　 .～（,,　ﾐ,,ﾟ＿')　　　　　　　　　/ つ　つ
　　　　　 ∧∧;::　　　　 ||..　.;:;:;　　　　　　彡（｀Ｕ" ノ　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　..(ﾟp;ﾟ;;:)彡　∧∧つ　　.　　　　　　　　 >￣>^>　　∧∧
　　　 ━(;:つ((;:;:., (　　 )ヽ　　　　　　　　　　　　　　　 (ilﾟＯﾟ)つ　　　　そしてそれ以外の村民は、魔法少女ではない。
　　　　.～（;:;　ミ;:　ヽ,) ､_ ,,）～　　　　　　　　　　　　　　━(;:つ;i─≪━((
　　　　　　ヽ;:)　;:;:;;:;:　＼ヽ,)　　　　　　　　　　 ∧∧ Ｏ∧∧　　　　　　　浮いた五人を相手に、何人もの命を使わねば
　　　　　　　　　　 "'';:;;:,..＼l　　　　　　　　　　　(ili>0<)　(iliTＯ･;:｡;:ﾟ;:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( つ━Ｏ━l:;:と:)(((＜＞　　　殺す事さえままならぬのだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～（,,　　/ 　 /;::;:: ,,）～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (,/'(,/　　 (;/'(;/　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

845 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:18:49 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
. . . . ＼.　　　　　　　 /|　　　　　　　｀ヾ､ /　　 . .|　　　 l
. . . . . . ｀. .、　＿___　／::i!　　　　　　　　　　　　　　 . ..i!　　　 |　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
. . . . . . . . . ｀ヾ:::::::::::::マ_ ﾍ　　　　　　　　　　　　　 . . ;′　　 |
. . . . . . . . . . . ｀ヾ:､:::::::::::｀:ヽ. .　　　　　 . 　　 . . . . ;'. .　　　 |　　戦と同じである。一人の強兵が居ようと、
. . . . . . . . . . . . . . .ヽ7_ヽ:、:::ヽ.＿　　＿. : : . . . . . . . 〃.. .　　　｜
. . . . . . . . . . . . . . . . . . ￣　´ ｀¨ ￣. . . . . . . . . . . . /. . . .　　　.!　　他が弱卒であるならその軍は打ち倒される。
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .／. . . . . .　　　 |
. . ､. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ,　イ. . . . . . . .　　　｜. 　たった一人の少女では、敵の群れを殺すには足りても
. . . .｀. .‐-. ._ . . . . . . . . . . . . . . . . . . , -‐　´ 　 |. . . . . . . .　　　 |
. . . . . . . . . . ￣. . . ―--―　　　　´　　　　　　 |. . . . . . , ..≦三≧ 　村人の群れを護るには手が足りないのだ。
.　　. . . .　　　　. . . . . . . . .'.　　　　　　　　　　　i. . . ,.ィ.≠´ . . . . |
.　　 . . ＿　　　 . . . . . .　　 '.　　　　　　　　　　 i!ィﾞ≠´ . . . . . . . i!.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　／､　ﾐ､　　 . . . . .　　　i!　　　　　　　　／.／. . . . . . . . . . . .|
.　/　 . .i!. . }　　 . . . . .　　　 |　　　　　　／.／　 '. . . . . . . . . . . .!
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 =＝ニ＝=
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´^⌒＾⌒＾⌒^｀､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　′　　　　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　　 ! 　　　　　　 i　　 |　　　　　　　　　　　けれど、その事実を水銀燈は認められない。
　　　　　　　　　　　　　　 !　　,!　　　　　　　　　 l　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 i　　　　　　　　　 ! 　 :i!　　　　　　　　　 .少女の心は自責の炎に焼かれたが故に、
　　　　　　　　　　　　　　　 /!　　 i 　 |　　　　　 .|　　!　　|i!
　　　　　　　　　　　　＿_// l　　l　　!　　　　　 !　　l　　|iﾊ _＿　　　　　 .仕方ないという言葉を使うのを許せなかった。
　　　　　　　　／::::://　l　! .|　　|　　　　　 ! 　 .| |　 l ∧::::::＼
　　　　　　　　　 /::::::::/ 　 /　|　!　　i　　　　　 ,!　　.| .l　 i　∧:::::::::'，　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 {::::::://　./　 '　.|　　 ',　　　 ./!　　｜ !　 ',　', ＼:::::}
　　　　　　　　　　 ';;; ' /　,/　 i　　　　ﾄ､　　 //　　　　l　　ヽ　', ∧ﾘ
　　　　　　　　　　 / .ｲ　〃.!　!　　!　　　{ﾊ　././　　 /　 i　 !　ﾄ. ﾊ ∧
　　　　　　　 / // ./ { .|　l　 .∧ .ﾊ　ヾ!/ / ,/　,ﾊ　 !　|　| ﾄ. ﾄ. ﾊ
　　　　　　　　　 i /,.{ /　.! ﾊ .!　 i |ﾊ｜　||.|/　i　 /iﾊ　 |　i! .| | ! !ﾊ .i
　　　　　　　　　 |.{　.!{　 .| |ﾊ |　 |:|　ﾊ !　 i!|i　 | /! |ﾊ}　.! ﾘ| i! !.! |　| |

846 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:19:04 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　 |　　　　 |　 |　　　 |　　　　　　 .|　　　　 |　 |　　　 |
　　　　|　　　　 |　 |　　　　|　　　　　　　　|　　　　 |　 |　　　　|　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|　　　　 | 　|　　　　|　　　　　　　　|　　　　 | 　|　　　　|
　　　 |ﾉ　　､.|　 .|　　　､|　　　　　　　　|ﾉ　　､.|　 .|　　　､|　　　　　――つまりは、己の力が足りぬのだ。
　　　ﾉ_＿＿__,ゝ　ｿ_＿＿ゝ　　　　　ﾉ_＿＿__,ゝ　ｿ_＿＿ゝ
　　 _ノﾞ￣⌒＾⌒}　 .{ ⌒＾⌒}　　　　　 _ノﾞ￣⌒＾⌒}　 .{ ⌒＾⌒}　　　　..自分はうまく殺せなかった。自分が不甲斐ないから、
　　'ﾆ＝==⊂⊃=｝　{=⊂⊃=｝　　　　'ﾆ＝==⊂⊃=｝　{=⊂⊃=｝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -. 　妹たちは墓穴の下に居るのだと。
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣｀ヽ　､　　　　　　　　　　　　　／::::::::::
　　　　　　　　　　　　　,，'"　　　　　　　≧=-'"￣｀丶　　　／:::::::::::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　　　､　 /⌒丶　　ヽ　／:::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{
　　　　　　　　 _,，彡　　　　　i　　　　　Ｖ::;::::::::::::ヽ㍉lイ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉.＿＿＿＿,--、
　　　.斗　＞'" .　'"　　)　　　/l　　　　 ,　}::::､:::::::::::::::､::}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈　　　　{ 　〔_　｀ヽ
　　 |:::::::::{ . イ　　___彡'　　　ｲ　　　イ　/:::::::＼廴;;;;;;`ーミ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼―＝ミ≧=ヽ､　ヽ
　　Λ:::::::Ⅵ　　　　　　　　／/　／⌒ >'⌒ヽ＜ ::::::::: ヽ::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、　　　　　゛ー┘
　〈/ ＞､:;ヾ､＿　　　　　〈　 /{_　〔ノノィ　,　ヽ::::::::::j＿_ノ::::::::::::::::::::::::::ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...、
　〈//　Ll＞　.　　　　　　　　ヽ＿ヽ　￣　 ⌒￣`ー--'　￣　　ミ､::::::::／　`　　.,:::::::::::::::::::＿_:::::::_:::::_>
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自分はもっと上手く殺せるようにならねばならぬ。
　　　　　 ., ＜´　　　　　＞､
　　　　　 ./　,ｨ伝三三≧zx､. ＼　　　　 .……けれど、それはどうやって？
　　　　　.., .,イ之´￣￣｀ミ三≧,∧
　　　　　 |j乂ﾂ /　 i　 j　 i.:｀弋f}∧　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .《|》　.| .| 　 |　 |　 }　} .《丞≫
　　　 x介 i .!/}/}/}　 |lﾍﾍﾍｭ_ l i ∧
　　　 .ﾑ,/| .| / /./∧从{ i j .} },〉 |　∧
　　　 .z/,j| .|.|　い　ﾉ　.入　　 | .:! ﾊﾍ
. 　　 / .∧.| 〉　　/　　 .乂　.ﾉ}/l }八∧　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　/ ./.:.{ | |　　.|ー一'"　}　|jｭ ,ｿ:.:人∧
　　./ ./:.:.:.| |{∨⌒入銀チ厂￣} .:.:.:.:.:.:.〉＼　　　　　　　　　　　水銀燈は、体を作り替えられることで強くなった。
. 　/ .∧.:.: リ〉^Y´　〉介〈 ,イ￣〉ノ::／ﾍ　＼
　　/ /＼介{＼人_ノ}ﾙﾙ/:.:.:.:.:.:|.:.《{》 i l.ﾍ.　　＼　　　　　　　　 .己の肉体には、もう作り替える場所など残っていない。
　＼〃/〈∧〉:.:.:.:.:／j{Ⅳ{.:.:.:.:.:.∧.:/　.| ! ∧　ヽ.　＼
　　...ﾍｿ ./／.:.:.／zj从从|.:.:.:.:.:.:.:{/:＼.|,j 　.ﾄ､　＼　＼　　　　　　 .これ以上、どうすればいいのだと少女は頭を抱え――。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

847 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:19:16 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　!､ ,.-''|　＼_　　　 /　　　!　　　　　　 !　　　ヽ　　　／ ./'￣'y‐'
　　　　, --- ､___ゝ、ヽ　＼＿/ﾞ､　 /　　　　　　　ヽ , ‐ヽ__, ‐'　　.! ／'L__,, -‐'-､
　　　 .|　　　:､　　　｀'''´　　　　　　　/　　　　　　　　　!　　　　　　　 '´　　　 /　　　/
　　　　ヽ　　ヽ　　, 　　,, -‐　　　　 .!　　　　　　 /　　　　　 ─-､、　 /─／
　　　　　＼/　ヽ / .／゛　　　　　 !　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　ヽゝ 7＜´
　　 ./ ￣''　｀'‐-ゝ/　　　　　　 /　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　 | :‐' ´　´￣＼
　　 !　　ヽ、　,!　.!　　　　　　　 _,／　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　|　│　 /　　,/
　　＼、　＼､!　.|　 , -‐‐／‐'二_,─'‐ｰ-､　／￣￣｀ｰﾆ｀丶、　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　ｒ'´ﾞ＼ r'‐lヽ、　/ﾞ　　/ ,-/　　 _　　　　ﾞ|　　　　　.／　　ﾄ- | ､ . ゝ
　＼　　ﾞゞヽ_ニ_,｀　_-i'´　 .ｒ　 , -'冖　　　l　　　￣´　　　'´　　!_＼--　　――そうしてふと。自分の体には、まだ
　　　｀ｰ_/　ヽ　　｀／ .ヽ　　 ´　　　　　　.!　,　　く　　　　ﾞ7´　 |
　　　　　　｀ｰ-‐'　 _/　 - ､　　　　　｀￣‐'　 !　｀￣´　,　-'　 |, ‐　ー　　 .刃物を入れてない場所がある事に気が付いた。
　　　　　　　　　　 :!､　　/　　 /￣＼___　　　 !　 -‐-､/　　　　　`'xﾆ　|
　　　　　　　　　　/　　　ヽ , -.′　 ‐'　　ﾞl　 .!　　　　　　、　｀'ィ゛　　.....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　/　　　 _!　　　/、　_,　 ´　 :|　　　 '＿ , !　　_,‐--／　ヽ
　　　　　　　　　 ,|　- ､.'　　　'|　_, ￣｀ｰ‐-､ | ‐'"´　　.＼　 .'　　　.|-‐ .く
　　　　　　　　　ヽ　　＼,／　　ｰ　 -､　　　 !　　 ,.-　　,-'‐'￣｀ヽ／　　/
　　　　　　　　　 |　 ---l／　__　　　　 _‐'"´ .|　￣'ｒ　　ヽ＿　　 /--　 :!
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

848 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:19:32 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　ｨ ,.;;;iiii|||||||）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `-､／,,!ii||||||||||||||i､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨii||||||||||||||!!'''" }
　　　　　　　　　　　　　 (（ ●　　　　　　　　　　`|||||||!'''"　_...　`;
　　　　　　　　　　　　 _..., /　　　　　　　　　　　/|||!'"／／　_..　` ､
　　　　　　　　　　　 _..f　./!､　● ）)　　　　　　/l||!'／　--=＝￣ /
　　　　　　　　　　 _i　l_/_.　×　　　　　　　　 i i|!〃..-- ､､＿　　/
　　　　　　　　　　 (└ｨﾆ､_/- !r;;､　　　　　　 l..┏━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　 ×/``ﾆ`ヾ!||||i;､,,..　　　,ｨ!ﾆ
　　　　　　　　　　 /　し="　　`ｰｨi|||||i;,､<〃!､　　　　.（空白）
　　　　　　　　　　　 ./　/ （／、　　/||||||||||||||||ii;;;i
　　　　　　　　　 .■■■ /■ヽ-'ー"T||||||||||||||||||||||.┗━━━━━━━┛.
　　　　　　　＿■■■■■■■＿_　``'''〃||||||||||||||||||||||||||||||/{_
　　　　　　 |　　,＞　　　　　＜　　i　　　　`''''〃=＝ﾐ;|||||||||||||/ii;､ヽ､_
　　　　　　　 i. 　 i ＿　':,　! ,'__ _ ヽ　i　　　　　 .〃!||||||||iiiiｪｪｪｨii||||||ii;､ヾヽ_
　　　　　　 /云i　廴.　ゝⅤ 廴.　>　 i　　　　　　./!l!|||||||||||||||||||||||||||||||i､ヽ_`ヽ､_
.　　　　　　{ iヾi　u.　 ¨　i :　~ｰ､　　i　　　　　 ./ i! !||||||||||||||||||||||||||||||||i ヽヽ_　 `ｰ､
　　　　　ヽ_ i　　〃, ､_ _,. ヾ u 　 }　　　　　 ./ l !,i|||||||||||||||||||||||||||||||||i;　ヽヾ-､　ヽ
　　　　　　　ミi　　i rｪｴｴｴｪj i　　/ﾐ　　　　〈 /!i`〉ﾐミﾘﾘ||||||||||||||||||||||||| 　ヽヾ`i　ヽ
　　　　　　　　∧,　i .|x‐-‐y_| i　 /ミ　　　　 .｛ ! !l/ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾗ''ﾃ''ﾃ''ﾒ''ｦ┘　　ヽヽヽ　ﾘ､
　　　　　　,'', ∧　爻ｪｪ爻　./: :}　　　　 .| !l〈ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾒ`ﾒ`ｿ　　　　　ヽヽ !　 lヽ.
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

849 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:19:48 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _、　　　　　 _ 、　　　　　　　　　_　　　　　　　　　 _＿,, ､､
" ￣　'''' '-　ｧ- ― ''''　￣ "''､‐"~　　"ﾄィ '' "ﾞ　　 '' "'ｰﾞ"''ィ' "￣'　　"―''''""ﾞﾞ￣''ｰ'､　,,　、"､-'"
　"　''　、　/　''　"""　''　""　'、""　''ｒ '"ヾ　'　""　''　"ｒ ´　'　""　''　""　'　"　'　"〟ヾ　　 "ﾞ　"　;
　"　'''　　""　"　　ﾞ　"ﾞ　"ﾞ　"　"　''　""　'　''　"　　"ﾞ''　"　　"ﾞ''　"　　"ﾞ''　"　　"ﾞ　"''　"　,,　　､
''　" _ｒ､　"_ 　ﾞ''　"　　"ﾞ　;_;　'　､　"　_ ''　"''　" 　"　''　"　　"ﾞ　''　"　　"ﾞ　''　"　"　''　〟,,　;　;"ﾞ"
/"''ｰ､―;;'"､"､ _ｧ―､;;";;、　"'''､,,､―~;;"'';;,ｧ―､;'''"'"'';;　--､＿,―;;"'''-､'";;;､ｨﾆ　;￣｀ｧ―､;;"'';;､-ﾆ
　,―､"￣ヾ";;"､､-<￣｀,―_￣;;"''､､｀-ﾆ＿;;";;､― ｌ;;";"";;,､　　;;"、ｌ―‐i. ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
,／￣/ヽ　;;;"ミ ;;"／￣ｌヽ　―' ､_,／　　;;､ヾ''";;､／￣丶;;"''"､＿ ,,,,､､､､ -
ｌ￣､,,ィ''i"i''=;;_ ／＿＿__ｌ_ヽ;;" ;／　　　　　　ヽ　　　　　＼　 ; ,,　　､　;; ,､. 　ようやく世の中が平穏に満ち始めたころ。
,,､ｨ'"ｌｌｌ,,ィ''"　 "'- ,, ;;""､;; ''　"ﾞ;,、＿;_;　;;　 " ;;";; ;;"、＿_＼ ;;　　,､ィ'"／
ｌｌ l,,､ｨ''" ￣￣￣￣ "'-､;;＿,,,, ､､､､　　　　　 .;_"､　ﾞ　 ";、　 l,､ィ'" ／／　　キュゥべえは、のいばら村の跡に足を運んだ。
-ﾆﾞ|　 i――‐ｲ.￣￣ll 　ｉ"ﾆ- l l ｌｌヽ　　　_　､',; ;, . ; ,;;ﾉ､ィ'" ／／／／／
l ｌ _|＿lｪｪｪｪｪi|[[[[[[[[|＿! ｌｌｌｌｌｌｌ l,ヽ"ﾞ￣￣ゝ;; ; ; シ "''‐‐､.／／／／.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌｌヽ　;;　　 "ｌ;i!;;lｌ　　　|lｌ|."''‐-､／／／／／／／／／／／／,
―――――――――――――――‐ `　　　　ｌi!;;;ｌ　;　;　|lｌ|:::;;;;| l l "''‐-､／／／／／／／／／／
三| |三三l三三| |三三l三三| |三三l三三|! "''　　ﾉl!;i!ｌ　　;" |lｌ|::;;;;;| l l l l l l l "''‐-､／／／／／／／,
三| |三三l三三| |三三l「ｭ三| |三三l三三|!; ;; "...∧＿∧　 "|lｌ|｢｢｢| l l l l l l l l l l ｌｌ "''‐-､／／／ . _､ィ'
三| |三三l三三| |三｢ｭﾛ品iｉi |三三l三三|!. 　ii//(・ー・)ヽ.　."'‐､ｌ｣ｌ l l l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌ"''‐-､_,ィｌｌｌ
三| |三三l三三| |｢Eﾆ|口器ﾛﾛ三三l三三|!;:. /ノ　( uu ) ヽ）.,　ｖ "''‐-､l l l l l l l l l l l l l l ｌｌｌｌｌ l ｌ|ｌｌｌｌ

850 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:20:31 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　＼, V
　　　　　　　　　 `L,,_
　　　　　　　　　　 |ヽ､)　　　 ,､
　　　　　　　　　　 /　　　　ヽYﾉ
　　　　　　　　　 /　　　r''ヽ、.|
　　　　　　　　　|　　　　`ｰ-ヽ|ヮ　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　|　　　　　　　`|
　　　　　　　　　|.　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　そこには幾つもの、頭の開かれた野伏りの骸があった。
　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　|
　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　それらは皆、手ひどく弄られた脳髄を晒しながら、
　　　　　　　　　 .■■■■■■
　　　　　　　＿■■■■■■■＿_　　　　　　　　　　　　　試し斬りに使われた巻藁のように地に転がされている。
　　　　　　 |　　,＞　　　　　＜　　i
　　　　　　　 i. 　 i ＿　':,　! ,'__ _ ヽ　i　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 /云i　廴.　ゝⅤ 廴.　>　 i
.　　　　　　{ iヾi　u.　 ¨　i :　~ｰ､　　i
　　　　　ヽ_ i　　〃, ､_ _,. ヾ u 　 }　　　　-|-ヽ -|―、ﾚ　|
　　　　　　　ミi　　i rｪｴｴｴｪj i　　/ﾐ　　　...ｄ⌒) /| _ﾉ　_ノ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　 _/｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／￣　　`ｰ‐ 　￢
　　　　　　　　　　 / ●　　　　　／/
　　　　　　　　　　　　　 { (__　　 ● 　/ l/　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　＼　`ー'　　,　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 | iヽ　　イ!　 |　　　　　　　　　　　　　「やあ、水銀燈。気分はどうだい？
　　　　　　　　　　　　　　　 | 乂}　　 `|　｜
　　　　　　　　　　　　　　｜　ﾉ　　,:ｺ､　|　　　　　　　　　　　　　息災であれば何よりなんだけれどね」
　　　　　　　　　　　　　　〃／　　// |　　､‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｱ　　 /::i⊆ -一'__,ノ　　　　　　　　　　　　キュゥべえが朗らかな声でそう問うと。
　　　　　　　　　　　　 {　　　 |::::∨￣　＼
　　　　　　　　　　　　ｒヽ　　　､＿、　　、＼　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼ヽ　　､)
　　　　　　　　　　　　　　　　　ー----一'＾ヽ _)ｰ'

851 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:20:44 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　x --x__x--zz---　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｬ≦:::::::::i辷ゞィソ:::`ヽ＞ｘ　` ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ:::::::＞片尺豸x:::::::::::::::::＼ミx ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　〃=.ｲイﾁ'´　　　　　｀`辷ｚ::::::::::::::ﾍ斗. ',
　　　　　　　　　　　　　　　　 L=イ´　　　　　　　　　　　　乂z､:::::∧ｷハ
　　　　　　　　　　　　 ,..〃/　 /　 / .　　 ! |　 l　.|　i!　ゝﾑ::::::::iｿ　i
　　　　　　　　　　　　　　〃ｲ_/' i　'　./i　| !　 | |　 |i　|. i.|　 7i- ､:::iｨ　i
　　　　　　　　　　　　　,ｲイ´.//!.i! i　/ .i .li |　 i .!　ﾘiVi .i | i jYzィ7ｲiヾ .|
　　　　　　　　　　　　〃　　//i l　 i　!ヽi　| | ! j .iV i!　i .j | / ｨ==､__,zz､j.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　'′.／　,'∧ ﾍ |　　.'､iﾍ∧! ',ﾉ７/i了 L==ﾃﾊij､_i,'
　　　 -=ｚ､　　　 ,.イ/., '/,'.ハ　ﾍ　　　　　　　　　　　 '/./, './ ji||　7 　　魔法少女は、からくり仕掛けのように振り返り、
　　　　　ヾ＼　. イ　〈:i/ /,'i' , ' 〉ﾊ､　　　　　　　　　ｲ:/ｲ /.i〃!', i
　　　　　　　 ≧x::ニニz:ヾ_ i::!､〃 i.ハ　　　　　　 .彳:/　/: j ,' |::i.!　　　　「……あなたは、なに」
　　　　,.ィ´ニニニニニニニﾆ≧x_,7//!＞.､　　　　　イ,　 /i/ i/! |　i　　 ,
　　 ,イ≦￣イﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ_7 r-.///j i | l　＞--＜:::.../　/.!.|　| | .! ハ〃　と、寒気のするような声でそう問い返した。
　　　　ィ´ /ニニニニﾆ／i::,'j:::::///::i＞､_,ｲ:::/:iﾊ::::ヽ/　/　i |　| |∧i_,.イニ
　　　　　 /ｲ／ニニニi:',iﾍi' i:::7.,'/::::iｲi　ﾑ:::::::i.|:::::::/　/ハﾆﾆ:￣￣ヽ,ニ..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 ′'イﾌﾆﾆﾆｲヾi.',::V:::i,.'/:::::::/　　〃=' izz/　/イﾉｲ i:::::::::::::::::ヽニニニニニ
　　　　／　／イ￣.〈',:::::::::::::::::i j:::rV ヽ _//__ _.i:i ｲ／　 !v::ヽ::::::::::::::::::::::| ＼ヽ｀`ヽ､
　　／　／　　　r==ヽ::::::::::::::::| !::/　廴几ﾊ廴／'´ﾊ几__i､.',:::::::::::::::::::::::::::ヽ　ヽ＼
　　〃　〃　　 / .j::izzzz>:::::::::::| !'　i　√/ r----j　i　ゝ'ｲ:::ヽ､::::::::::::::::::::::::::ﾍ　i 　 ',
　 /　 /　／i /　ｲ√ 7:::::::::::::i::::::i　i:i　V　└==､/N .i　　＼::::::::＼::::::::::::::::::::/　.j

　　　　　　　　　　　　　　 _/｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／￣　　`ｰ‐ 　￢
　　　　　　　　　　　　　 ■■■■■ 　／/
　　　　　　　　　　　 ■■■■■　/ l/　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　■■■■■,　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 | iヽ　　イ!　 |　　　　　　　　「ボクが誰か――いや、何かわからないのかい。
　　　　　　　　　　　　　　　 | 乂}　　 `|　｜
　　　　　　　　　　　　　　｜　ﾉ　　,:ｺ､　|　　　　　　　　まったく、君は本当に愚かな真似をしたね。
　　　　　　　　　　　　　　〃／　　// |　　､‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　ﾞｱ　　 /::i⊆ -一'__,ノ　　　　　　　自分の頭に手を出すなんて、全く正気の沙汰じゃない」
　　　　　　　　　　　　 {　　　 |::::∨￣　＼
　　　　　　　　　　　　ｒヽ　　　､＿、　　、＼　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼ヽ　　､)
　　　　　　　　　　　　　　　　　ー----一'＾ヽ _)ｰ'

852 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:21:01 ID:LfEKVIbk0

¨¨　‐-　. _　　　　　　　　　　　 ,.． -‐ｧ
､　　　　　｀ヽ-‐…‐- ミ,.． '"　　　 /ﾆ
ニ､　　　　　　　　　　　｀ヽ.　　　 /ﾆﾆ　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ニ=ヽ　　　　　　　　　 '. 　 /ニﾆ
´ 　 i　　　　　　　　　　 :. /ﾆﾆﾆ　　　　　　　 .「君の手元がほんの少し狂うだけで、あるいは
　　 i　　　　　　　　　　　　　 '. ｀ヽ.ｿ
　　 |　　 ■■■■■■■■■■　 '.　　　　　　　　 .使う道具が少し汚れているだけで、君は死んでいたんだよ。
　　 l　　 ■■■■■■■■■■　　'.
　 .,:′ 　■■■■■■■■■■　　i　　　　　　　　　 ……既に剣以外は全て捨てた肉体で、よくやったものだ。
　人　　　　　　　　　　　　　　 .:　　 |
´　　丶　　　　　　　　　　　　　イ　　 |　　　　　　　　そこまでして力を得て、君は一体何をするつもりだい？」
.　　　／≧=-　　　_　.　 -=≦ . ‐=ﾆ二ﾆ= ､
.　／　　　　　 /　　　　　. ‐=‐ ´　　i ｀　}　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
／　　　!　　　　ｲ　　　　 {=‐{ | 　　 |彡'
　 |　　 |　　　　 |　　　　　 `ｰ-| 　　 |

　く::ｬ1／i 　　 _」 L!Ｌ_j_　　! | i　 / / _j＿」 Lハ
　　＼;ィ个:　　 | i |_┼十_｀ｔﾊハ/}/　　　　.厂i
　　　/ //|i　　　l 　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　 {:{ j:{　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　 ,
　　 i　j/ {:l　　　､＼　　　　　　　　　　　　　厶'
　　 |　　 jﾉ　　ヾ厂丶　　　　　　　　　　　／　,　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 |　　　八　　＼ ` ､　　　　　　　　　　　 //
　　 |　′　　ヽ.　　ト　＼　　　　　　　　イ爪　　　　　　　　　　 .「――殺すわ」
　　 |/ 　　　ﾊ　　 '.＼ :j`jr ． _　　 _ .　´ _」{.| }
　　 i !　　　 ,小　　 {　 i !」≧ｧ⌒7不ミく7/,ｲ|.　　　　　　　　　　　　と、水銀燈は速やかに答えた。
. 　从　, -=ニﾆ=ミ　 '.　川/《 (ノィ介ｘ. ヾ> 》ﾊ
　厶イ/////////ﾊ　(才7//777//ｲ//7ｧ=/,{_j　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━┛
／/////////////∧　(>v/////// !///////人
////////////////∧ ﾄ(>ｖ/////　}///////厂
/////////////////ﾊ　'.　`(>ｖ/　ﾑｨノvﾌｰ'
/////////////////}Z 　ｒ‐ｚ_/{　 _rﾍＶ⌒L「{_r
/////////////////ヲ　/》 `7:j⌒7　}:i 　 '/　′

853 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:21:38 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 ─　　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　 ',　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
￣￣｀｀゛¨ ￢―-　＿,ｨ'＾ｌ'＾ｈ　　　　　　　 i　　　 / ｀ヽ　　　 i
＿,.....､＿_,......__,.....＿/ }　|　| .i_　　　　　　　　 i ■■■■■■■　 i　　　　　　　　「私の村を襲った、野伏りの親玉。
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./. /　|　| .|二￢‐- ｚ=ﾅ､　■■■■■■■ 　 i
-―― ￢'¨´￣￣ﾌﾞ /　/　,　ﾄ､二 ‐-ﾆ>〈ヾｌ|ハ　　 |　　　　　　　　 i　　　　　　　　あの男を、殺す。あの男に復讐する。
.　　　　　　　　／　　　　 / /　　　｀¨￢‐-| |||:::::',　　ヽ　　　　　　　 i
.　＿,,　　-―/　　　　　　 /　――‐r ､＿」ｌ||:::::::',　　-―　　　　　　　ﾄ.、　　　　　私の願いは、それだけよ」
￣　　　　　 .ｌ　　　　　ノ　　　　　ヾミL_ノヶｵ!:::::＼　　　　　　／　　 i: :＼
.　　　　　　 |　　　　／　　　　　　　　　￣　｀ ' '　-ヽ＿ _／. . -―'": : : :＼.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 |　　＿ /__　　　　　　　　　　　　　　　　_,, -┴‐－'. : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　_＿」-＜ : : : : |　　　　　　　　　　　　　＞　 . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :'.,.
　　　　 |: : : : : : : : : : : :|　　　　　　　　　　　　／　　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　 |: : : : : : : : : : : :|　　　　　　　　　　／　　. . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ、　　　　.ハ
　　　　　　　　　　　　　ﾄ　＼-―-' ､l|
　　　　　　　　　　　　　 |/,ヽ　　　　　ヽ
　　　　　　 __ 　　　　／/ 　　■■■■　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　〈＾ヽ､＿r⌒ヾ.--＜／　ゝ.　■■■■
　(　　≧　￣　|l___／　　　ノ　　　T　,へ＼= ､　　　　　　　　　　「……その男の顔も、名前も。
（＿＿＞-‐ﾆﾌﾉ　　　　　/|| 　　レ y-'.　＼))
　　　　　　｀￣__ 　　　 / ﾘ |　|　 |_ノ　ゞ≧_ へ　　　　　　　　　君には、もう二度と分からないのに？
　　　／´￣　　　＼ .／='' 　l　|　ト、 __　　〉　　ヽ
　　/　　　　 ⌒ヽ.　/　⌒ヽ._l　|　/　V/ 〉　ししｔノ　　　　　　　　 .もう二度と、思い出す事さえできないのに？」
　　i　　　　　〉,|　　　 //7)／　//./
　　ゝ.、　　　　（´ ゝ、　./　/,,,〉ゝ〈_(/　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　ヽ、　　＿｀ヽ　｀(しﾉ
　　　　　　｀￣　　｀ｿ

854 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:21:53 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　＿rｘvｘvｘvｘｬ―-　、
　　　　　　　 ,ィｆ＞^厂{爻}勹⌒＾下ミ｀ヽ、
　　　　　　　rfﾌ::.::.::.:_｀ー'＾ー'::.::.::.::.::.::.::ヽ>､ヽ
　　　　＿fｦ::.::.rｘtﾀ^⌒＾⌒^X≧z::::.::.::.::.:::圦ﾊ
　　　 /r‐ｖ':r彡 |l| l|l| l ｉl ｌi l l| !l| ｌ|ﾄミｋ::.::.::.:Vfハ
　　　{〈ィ/＾ ,1ｌｌ|l !|l| |l|| |l | ｌ | ｌ |l| ! |ヽ>、::.:V! l|　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　｀７/ // ll| |l| |l!| |l!| ｌ| ｌ | l | |ｌ| ! |//＾ヽ:/⌒》
　　/丁7 ｌ| l　l|l |l| |l!| |l!| |l |l l|ｌ | |l| | |ﾄﾐ=彳|厂´|　　　　　　　　　「――問題ないわ。
　　ﾚ⌒l| ｌ| |　|l| !l| !ｌ| |l | || |l |l| | l|! | |ﾚ⌒ヽ|ﾚ⌒!
　　　 /|ｌ |ｌ！ |仆ミ｣ｌｌ| ｌ |､｣斗ヒて {{ィ/77ﾊ＼j　　　　　　　　　　今の私でも、剣の事は分かるもの。
　　. //lハﾄ､ヽf.　　　　　　　　　　'/// l |! | |
　　/// 7∧ヽﾊ　　　　　　　　　　 //ﾊ /! j l　| |　　　　　　　　あの男は、剣を持っていた。剣士だった」
　　〃 // ハ/小.　　　　　　　　　／〈// l｜| |　! |
　　″{ { ,'　// |l ヽ、. 　　　　　／// ハ | |　| ﾄ､　,　=彡　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　⌒ヾﾒ､/,'＿川 |｀丶､　　　 , イ　// ,'ｌ　lﾙ'　l| | ∨∠/三
　　:―::.::厂:.:.:/// |!| l|l /｀fT!＾ヽ￣} ' / |　|l ＼_!｣ / 彡竺三
　　ー=彳:.:.:.///:｀Yヽﾙﾍ /」ﾄ､／:/ /ﾊ/⌒7:´:.:.:.:｀ヽ三三三
　　'⌒Ｖ:.:.:.:.{ l {:.:.:.:＼ <ヽ:.:.jj:.:.:.:./ //ノ:.:.:.;':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼三三

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　＿_
　　　　　　　　　　　　／｀´: : : :＼　　＿ ........._　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r- '⌒ヽ
　　　　　　　　　 , -ｲ:.:.:/{{｀ヽ-: : :ヽ .ア:__,.へ:::｀ヾ　　　　　　　　　　　　　　　 _ノﾞヾ、　　　.j　,___ぅ^′
＿＿　　　　　／:.:.:.:ゞ/rx__r廾>ヽ: }ｱ::ﾉ,zz　 __ヽ<, -へ__　　　　　,　---.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
: : : : :＞-- '´_:.:.:.:.:.:.:.:.L..」└‐┘!／}:_/　ﾟ-　ﾟ ' ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:ゞ´￣>´::::::::::::::::::::
　　　 }:.:,　´: : :｀丶: : : ＼ｰ｀,. イ:.:il:.:ゝ!　 [二l　ハi:.i:.:.:.:.:.／/＜__::::::::,､::::::ヽ.　「だから、この世の剣士をぜんぶ殺す。
^~｀ヽレ′: : : : : : :厂｀Lア二,イ:V ヾ__ヽ　 .._ ｲlr．ヽ＞｀. . . . . . .く/V　xz-
:::::::::::l: : : : : : : : : ／　 <／ヽ／｀ヽ／　　　　　ゝ..__/. . . . ,､. ,､_ト. .ﾐ　__ﾟ- .r　屍の山が建つほど、血の河が流れるほど、
:::::::::::ハi,､,､i: : : /　　　　　　　　　.l　　　i　　　　　 Ⅵ. . ノ-イ r． Lト'ｰ 'イ⌒
Aﾍ::::j__Lヽ_r-ァ'　　　　　　　 ./　j　　　i　　　　　ヽVr┘・｀　_ｰﾚﾍ V⌒′.　剣持つ者を斬って、殺して、命を絶やしてやる」
.ﾟ '　r ':::::}　ア　　　　　　　／}　 Y⌒ヽl　　　　　　　　＞- ､.ｰ'イ´｀ヽ L＿.
-‐'´:::/:::| ∠_　　　　　　∠、　丁]　 .厂　　　　　　r ⌒7:.:/:.｀¨´:.:.:.:.:.:｀ヽ　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::::::::::）:::／:.:.:.:.｀丶__　　j.　　ヽ　!/　 ,l　　　　　　　ヽ　 !V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:,/l｀＼!　l　 /r‐┴ ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:::::::＞ '::::::::::::::::::::::::::::V- ､　　 './　 / !　　, -= ￣￣^＼｀!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽヽ-l ./／ノ:.:.:.:.:.:.:.￣｀ヽ- ....＿
::／::::::::::::::／::::::::::::::::{　　ヽ　　l　./|　}／:::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L_ヽL) /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}: : : :/:
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

855 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:22:13 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　 -ﾆ‐ ､　　　　　　　　　　　　　　　　「その果てなら、私はあの男を殺している。
　　　　　　　　　 ,∠ -――‐ヽ
　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　何千何万の屍で築いた山のどこかに、
　　　　　　　　　 {:::; -‐-､-‐- ､|
　　　　　　　　　 V　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　あの男の骸が埋まっている。
　　　　　　　　　ヽ　　　　　ノ
　　　　　　　　　　　｀￣￣´　　　　　　　　　　　　　　　　　私はそれでいい。だから、何も問題はないのよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

-――― -　､　　　　　　　ト　,　　　　　　　　　 , イ
　　　　　　　　＼　　　　　　 |　　＞､　＿＿　　 , ＜　　|
　　　　　　　　　＼　　　　　､　　　　´　　　　　｀　　　 .j
　　　　　　 ,　--　､ヽ　　　 /　〉　　　　　　　　　　　　　λ
　　　　　 /　　　　ヽ}　　 /　/　　　　　　　　　　　　　ﾍﾊ
.　　　　/　　　　ﾘ　 ./　 i　　　　　　　　　　　　　　 , ﾊ
　　　　,　　　　　　 /　　 ,　　　　　　　　　　　　　　 j　ﾍ
　　　 i　　　　　　　　/ 　　ゝ、　　　　　　　　 ,ｲ　　ﾍ
　　　　|　　　　　 r ､/　　　　j　＞　__　　　　 _ 　＜　|　　　ﾊ　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|　　　　　ヾｿ　　　　,　　　　/ ,....､　　 |　　　　 ,　　ﾍィ=ァ
　　　　 ,　　　　　入＼　　ﾑ　　 , /::::::::ヽ　　 |　　　　　l　　　ﾍ//　　　キュゥべえの背が、ぶるりと震える。
　　　ﾊ　　　 /.｡　｀ヾｭ厶｣　　ｉ'::::八::::::',　　|　　　　入　_ ／ﾍ
　　　　　ﾍ　／　Ｏｏ/　　　 /:::/　 }::::::} 　 |　　　　'ｰ-イ　　｡､　　　畏怖と歓喜の入り混じった、稲妻のようなものが
　　　　　　ヽ'　　　 /　 /　　　　 /:::::Ｌ__｣:::::::| 　ﾊ　　　　　　 ,　o O　ヽ
　　　　　　　＼ , イ .／　　　　ハ:::::::::::::::::::/ 　ﾊ　　　　ﾍ.　　　　　　その背筋を一瞬に駆けていった。
　　　　　　　　＼.ﾚ'　　　　 /　｀ー--‐ '　　　､j　　　　　　ﾍ　　､　ヽ
　　　　　　　　　　＼　　　　 /　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ、＼.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　＼　　 ,　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　＼_｣｀ｰ'
　　　　　　　　　　　　＼　i　　　　　　　　　　　 j
　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　/
ヽ、　　　　　　　　　　　　　　｀ー　　　　　　　　　/
　｀　ー -　　＿＿＿＿＿＿＿,ィ､＿＿＿＿_厶

856 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:22:30 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　｢　＼　　＿＿　 -┴　ｧ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ■■■■■く／
　　　　　　　　　　　　　　　　∨ ■■■■■ .Ｙ　　　　　　｝　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　 _|{　■■■■■ .八　　　　　,′
　　　　　　　　　　／八 ■■■■■.ｲ　丶.　　　/　　　　　　 .「……素晴らしい。そうか、そこまで憎いかい。
　　　　　　　　 ⌒＼/　, 　 /　ｰｧ　　　Ｔ´ {　　　＼／＼
　　　　　　（（⌒>く.／　/ . : /　　　　 ',: :ヽ　　　　〈）　）　　　　　妹たちを死に至らしめたものが憎いかい。
　　　　　　　＼{／ : : :/ : : /　　　　　ヽ-ﾍ . : : ／／､
　　　　　　　　　／＼＼＿∧: : ,′|　ｉ　ｉ　|　∨∧／／ : : :＼＿_　　 .でも、水銀燈。君にもう一つだけ聞いておくよ」
　　　　　　（＿ﾟ: :｡ーｧ‐' : ;　　|　 |　 |　|　　ー‐く: : : : :｡: ﾟ : _ノ
　　　　　　　　　 / . : : ｡人: : :.:! 　 |　 |　 |　|　　　　　＼: ｡ : : : :）　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　（_／{:_:/　＼:｛.　　　 {　,'　　　　ﾉ　　　＼_ﾉ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　￣>　＼)（／　　く

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　 r‐-､＿r‐､__　　　　　　　　 ,.． -‐……‐-ミ　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　　　　　＿＿＿＼
　　　　　 ,.ｨ´:::::::::::::::::::::::::::＼　　 .γ《＠》　　　　　　 `＠》　　....／　　　　　　　｀　、　　／　／　.　-‐　　　‐-ミ
　　　　／:::〈 -‐……‐-ミ::::::〈　　　/　/ /　／　　　　　　ヽ‘,　 /　　　　　/｀丶､　 ((⌒＾ﾊ　／　　 ' ／: : : : : : : : : : : : : ヽ
　　＿ /::::::／　　　　　　　ヽ::::＼　ｉ　 |　i / 　 / ｉ　i　　i　 !ヽ　', '.　　　 / 　/　　　＼　ヾＶ/ｉ　＿＿{./: : : /: :／|: : ∧: : ',: : ｉ
　　〉〃:::::｣ i 　i　 !　　i　! i ｉ　',:::::〈　|　 |　l 　　/l从》l/ヽﾊ/jﾊﾊ　ｉ |.{　　　ｉ　 /　　　　　　＼　ﾉ.....|: : : ,{: : :./:／､_ |／ _,.＼:}: :ﾉ
. 　〈:::ｉ|::::〈i　|､N _,.l＼/､_l/jﾊ　ﾊ:::/　|　 |　l i 　ｉ■■■■■■j　 ! !.’,　Y＾V/. ■■■■■.Y´　　.|: : : :'＼〈■■■■■■jイ
. 　 iヽ@:::::ﾄ､! ■■■■■ jｲ:::_｢　 }　 l　| l　 |■■■■■■ﾉ /| |.　〉┴-く　■■■■■ﾑ　　...|: : : :.ｉ　｢■■■■■■ハ
　　i　 l｀Vi| |. ■■■■■ ﾊ|´.　　/ 　‘, ∨ヽ|≧=‐-　-‐=≦}イ./〈.　ヾ＝‐〈≧=‐-　-‐=≦‐〈.　.....|: : : :.|　|≧=‐-　-‐=≦ |: :i
　　| 　| 　.| l≧=‐-　-‐=≦ | |　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　r─-=ミ　　　 .　 -┐　　　　　_..　-=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニi　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 {　　　｀'r‐r'´ 　　 |　　.....∠ﾆ＞ '"´　＿＿＿＿＿|__
　　　　　 >､∠二ﾆ'='‐=ﾆﾆ＞ｸ　　〈ﾆ／_ -=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ!　　　　「今の君は、妹の顔を思い出せるのかい？
.　　　く　　＿_.∠＿ト＼＿_＼　　 >'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-────-='
　　　／ﾚ, '´ / .　 /　　', 　ヽ　ヾ.　<ﾆﾆニ／´: : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ　　　愛しい愛しい六人の妹の名前を、
.　　／　./ 　 i　i　 {　　 } 　! ! 　i　　｀¨7´: :/: : : :/:.:∧: : |: : ､:ヽ: : ‘,
　 /　　　八　ﾄ､l ､_|＼／l_,. ﾚ|　∧　　...{: : : : : : :/／_,. ＼| ､_ :｀ﾆ=‐ﾉ　　　.一つずつ挙げる事が出来るかい？」
. 〈　　　_j＼_{.■■■■■ .jイ_　〉　　‘, : i: : : :ｉ■■■■■■jイヽ
　｀マﾆ=ヾ=〈...■■■■■ ﾉ=r'7　　　 .}从: : : |■■■■■■ﾉ　 .〉..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヾ=-r｀ｿ≧=‐/⌒Y⌒ヽソ´　　　　　 .｀ヽ{≧=‐-　-‐=≦/　／
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

857 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:22:49 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　 -く?鴨> -
　　　　　　　　　　／　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 ′ 　 !:!　 } /　　ﾊ
　　　　　　　　　　　　 |　|　斗ﾄ　lト廴/ｲ l|
　　　　　　　　　　　　 |　,ィ　　　　　 /}　l|
　　　　　　　　　　　　 |: lﾄ　　　　　　..ﾘ　ｌﾄ
　　　　　　　　　　　ｲヽゞﾄ､　　ｲlｲ〃∧　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 l　∧ }::≧＜::!/ ｌ|/トゝ
　　　　　　　　　　　イ_ｲ-从::::/Ｔヾ:::ﾑ从トミ＼　　　　　　　 ……水銀燈は答えない。まるでネジの切れたように
　　　　　　　　　 /⌒ヽ　 ∨个　　 /::}:⌒ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　/:::::::::::ﾊ～^{薔}～ｲ:::|::::::::∧ヾ　＼　　　　ぴたりと止まって、言葉もなにも紡がなくなった。
　　　　　　　　 /:::::::::::::::ﾊヽ｀¨´ 〃:::::|:::::::::::ﾊﾉ｝　 )
　　　　　　　　　{:::::::::::::::::::::}::::ヽ人/:::::::::}:::::::::::::}　　〃　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　＼:::::::::::::::!::::::::∞::::::::::::〉::::::／
　　　　　　　　　　ノ`¨7:::::::|::::::::介::::::::::ﾊ:::::::{ﾊゝ
　　　　　　　ｰ=彡ｲﾊ:::::∧::::::::::::::::::/:::::::::::}从＼
　　　　　　　　　　ノl|ト7∧:::ゞ:::∧:::/::::/!::|/ l| }ゞ
　　　　　　　　 / ｲl|7ﾊ }}:::::::/X∨:::/ .∨ヽ从从
　　　　　　　　 .ノ从乂}～∧::::{ >< 〉/-～}:}

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　ヽ
　　　　　　　＿＿＿＿＿　　　　　　 ,. ---'　 __　}
　　　　　　　ヽ- ､ __　　　｀ー―-'´　　　　　｀＼
　　　　　　　　ヾ　　｀ﾞ - ､ _　　　■■■■■■■■
　　　　　　　　　ヾ　　　　　　>　　■■■■■■■■　　　　....┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 ___　　ヾ　　　／　　 ■■■■■■■■
　　　　　　{ r､二=､　｀,>'　　/　　■■■■■■■■　　　　　　　「……やはり、君は愚かだ。本当に愚かだよ。
｀。ヽ､_　　ヽヽ　ヽ／　　./　　　　　　　　　　 ,イ
　　　　｀ー-､ヾ-'　　　　/ヽ　　　　　　　　　r'<=,J　　　　　　　　せめて祈っておくよ、水銀燈。君の仇討ちが実ることを」
　　。　　　　　ヽヽ　　　/　　｀ー――/　　　|_ノ,ヽ>)
､__　　　　　　　　＼＼/､ヽ＞　＿,／　　　　 |　　￣　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　。　　　　　ノヽ ‐ ﾉ￣　／｀ヽ　　　　 |
｀ー―――‐'´￣　　,＿＿__／　/ /　　　　　|
　　　　　　　 , ..r‐,r'´　　　　　／ /　　　/　/
ー- ､ _____ノ　 l　ヽ､＿___,／／　　　/　 /
ー―-- ､_　　　＼＿＿,. 　'　　　　ｲ　 /　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 |ヽ　　　　　　　　　　　　／/　/
　　　　　ヽ､　　　　　　　　　／　 |　/　　　　　　　　　　　「君が築いた屍山の頂で、その命を終える前に。
　　　　　　ヽヽ　　　　　 ,. -'　　　　|　|
　　　　　　 |　|ﾞ､　　　r'´　　　　　　｀´　　　　　　　　　　　せめて本物の仇と、できない夫と顔を合わせていることをね」
　　　　　　 |　| |　　 /
　　　　　ノ /　|　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 {　{　 |　/
　　　　　ー'　 |,,/

858 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:23:07 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r 、　　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　｀ヽ. --- '　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} 　　　　　ﾘ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.._/:i　　　　　　　 i ﾊ　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿r_‐〃ｧ' ｨﾍ.　　　　　　ﾊ　 X'　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾞ=-___..ゞ≦ノ　`7 　 ┌　´ ﾑ"　｀ｰ-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　　　　ノﾞﾊ　　|　　　　＼　､.　マ′　　そう言うと、キュゥべえはどこかへ消えた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィ::廴ノﾘ　　|　　　　ヽ) ￣
　　　　 . ＜￣￣＞｡.　　　　　　　　　 /　ゞ==彳　/ |　　　　　　　　　　　　　何処へ消えたのか、
　　　　／　　　　　　　＞ .　　　　　　　 .ｲ　'　　　　 .ｲ　|
　　　/　　　　　　　　　　＞｡.. _ ..｡＜　 /|:l　　 rく:jﾍ　!　　　　　　　　　　　今の水銀燈にはまるで分らなかった。
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /八}　,ノ　　　｀¨
　　:!　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 {　ト､　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　:! 　 . ｬ==‐-　..__　　　　　　　 _.　イ　　　ゝ- '
　　 ', /: :i　　　　　　￣¨¨¨¨¨¨￣
　　　＼八_
　　　　　￣

859 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:23:24 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（空白）
　　　　／￣￣＼
　　　／　　「　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛
　　　 |　　（ ●）（●）
　　　 |　　　　　｜　|
　　　 |　　　　　__´___ﾉ
　　　 |　　　　　`ー'´}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.　　　　　　　､
　　　ヽ　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　＞ｰ　＜ /
＿__ｲ.ヽヽ、___ ＿ノﾞ-､.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y o　　o 　Y､
:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /i　､,._,　　　ｉ＼ィ=x
　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ヽ､　　　　ノﾍ　＼ }}
　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,〆、 / /　　　　＼ ',　__シ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

860 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:23:35 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　＿_irﾆ二二ミﾒ､_
　　　　　　　　　　 /:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:￣＼
　　　　　　　 /:.:.:|/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.ヽ
　　　　　　 /:.:.{:.:!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.〈
　　　　　　 /:.:.:.:.V:.:.://:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!/ハ
　　　　　　　 i:.:.:.:.:.:.:|:.//:.:/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.∧
　　　　　　 |:.:.:.:.:.:.:|:./:.:/:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.}
　　　　　　　＼＿_//:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:./
　　　　　　　　　　＼＿＿＿〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.├‐ '　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　｀T「￣|￣「 T`ミ〒彳
　　　　　　　　　　　　||＿_j　 |　|　　 |　|　　　　　　　　　　　　それから少し後。
　　　　　　　　　　　　|　　　 |　￣´　 |
　　　　　　　　　　　　|　　　 |　　　　　|　　　　　　　　　　　のいばらの村跡に、一人の男が現れた。
　　　　　　　　　　　　|　　　　〉　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j　　　〈　　　　 |　　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　〈　　　　〉　　　　|
　　　　　　　　　　 |　　　 |　　　　 |
　　　　　　 _,.======|　　　 |　　　　 |
　　二ﾆニ三三三三=|　　　 |　　　　 |
　三三三三三三三=|　　　 !　　　　/
　　＼三三三三三三ヽ＿,.〈＿___,.イ
　　　　　￣￣￣ ‐＝ﾆ三三{　　ヽ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿／

861 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:23:55 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　,､-‐''"´ 　 ,','
　　,､-‐''"´　　　　 ,','二二二二二二二二二二二二二二二二二司
''"´ｨ!　,　;　.　　　　,','　　　　　　 ,..-――-.、　　　　　　　　 |　i.!
iヽ ._　 /i　.　　.　　//　　　　　　　/ 　　　　ヽ　　　　　　　　 |　i.!
ﾚ’|/-/　iｰ .'7　　//　　　　　　 |　「　　　へ　|　　　　　　　 |　i.!
／!　＼/∠/　. 　,ｲ　　　　　　 | （●）（●） | 　　　　　　 │ i.!
￣/＼ ,ヘ/.　　,'.i　　　　　　　　　|　　　 |　　　 !　　　　　　　　 .|　i.!
くi k_./i,ｲ/　.　　i .|　　　　　　　　 |　　__´__　　 l 　　　 ,ｨ⌒ヽ.　 |　i.!
＼k、　.ﾘ　　.　 |.|　　　　　　　　　`、　　　　 ,'　　　　（　　　ﾉ . !　i.!. ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　r' .〉'´　iﾝ　　.　.|　　　　　　　　　　ヽ　　　ノ　　　　 /　　i　 .|　i.i
ｔｧ￣　.　､|.l.||,,.　|　　　　　 ...／⌒ヾﾆﾆﾆﾆﾆﾆｼ⌒＼ .,,'｀ー '´i、 |　i.i　　男は、名を設楽場できない夫と言った。
　..　　＼ i|　! |..｀|　　　 .,ｨ'´￣｀ヽ　　　 |○　　　　　　|　　　　' .|　i.i
　　‐ 　　|´ ｊ,　　　　　 ../三三.互.',ヽ　　|　　　　　　　 i　　　 ,′ |　i.i　　彼は焼けた家の残骸や、壊れた日常の破片を
　　　‐.´'.l| !,　　|!,　　　..i三三三三 i　i　 |○　　　/｀ヽ､',　　 /　　|　i.i
　　　　　/　!.| |!!´i　　　..l三三三三|　l　 |　　　　,' 　　　｀'ｰ'´　　..|　i.i　　蹴散らしながら、村の奥の方へと歩んでいく。
　　　　　　. .!´"', ',　　 .ﾉ/￣￣￣!,'　!　.|○　　 i　　　　　　　　 |　i.i
　　　　　　　　　 .', ',　　.| .￣￣￣ i　　',_|＿＿ , |　　　　　　　 |　i.i　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　. ヽヾ　.ヽ三三三,'　　　f..　　.　ﾘ　　　　　　 |　i.i
　　　　　　　　　　ヽヾ､...ゞ三ｼ⌒ヽ.､ﾉ　　...　|　　　　　　　 |　i.i
　　　　　　　　　　　　ヽヾ、　　　　ヽ.　　　 |　　　　　　　 |　i.i
　　　　　　　　　　　　　ヽヾ、　　　　　ヽ、　.　|　　　　　　　 .|　i.i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　. |

　　　　　　　 -‐======ミ
　　　　／　.／:::::::::《＠》::::::＼
. 　　 / 　 /:／｀^⌒＾⌒＾⌒^ヾ　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　 {/ 　/, 　i 　　i 　',　',
　　　i 　くj!〉.∧|＼|＼／|/ｉ,ﾊ　}〉　　　　　　／￣￣￣＼　　　　　そこには水銀燈が居た。彼女を見るなり、
　　　| 　 ,小､{　　　　　　 jｲ{　　　　　 .／　　　　　　＼
　　　|　　 |　ｉ.　　　　　　　ﾊi　　　　 ./　　　　　　　　　ヽ　　..できない夫は感慨のない平坦な声でこう告げる。
　　　|.ト--ﾍ. |≧=‐-　-‐=≦! ﾑ　　　　 |　　　　　　　　　 |
　　　| ｀Z:::∧{Y::::::', 薔j:ヽY::jｲj´　　　　 .| 　　　　　　　 |　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　| 　 ´ﾞ⌒∧:::::ヾ:‐'::ノ::!^´ |　　　　 | 　　　　　　　l
　　 j从ﾊﾊ,.<:_::ヽ:::::ﾏ:::!:::::|从ｉ{　　　　　 |　　　　　　　　　 /
　　　＜／::__〃⌒ヾﾞＶ|二}'⌒ヽ　　　　　.|　　　　　　〃/
　　 γ⌒´:::::::::｀i　　}⌒i＿〉　　}　　　　　.＼、__　　　　（
　　　￣｀ﾆ=─┴= ﾞ￣｀¨¨¨¨´　　　　　　　　 _）_ =＝＝＼　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　ヽ　　　.「噂は聞いたぜ水銀燈。仇討ちがしたいんだってな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　,　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 |　　　　　　 l.|　　　しかし、ここに居ても仇はやって来ない。違うか？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 l　　　　　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 |.　　　　　 |. l　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　|　　　　　　 |.│

863 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:24:11 ID:LfEKVIbk0

　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　／　　「　　へ
　　　　|　　（■■■）|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……おまえは、誰。
.　　　　|　　　　｜　　|
　　　　 |　　　__´___　j　　　　　　＞==ｫ=…=‐ﾐ　　　　　　　何者だ。おまえは、何の用なんだ」
　　　　 |　　　 `ー'´　}　　　　　　.／　／:::::::::::::::::::::＼
　　　　ヽ　　　　　　 }　　　　ｰ=′ 「::/::::::::ィ::」⌒⌒ヽ　　　　　　唸るように水銀燈が問うと、
　　　　　ヽ　　　　ノ　　　　　../　　 7}:::::/厂　　　　 ∨
　　　　　　/　　　く　　　　 /ｨ　│〉}::::{〈　　　　　　　 ∨　　　しかしできない夫は軽薄に笑った。
　　　　　　|　　　　 |　　　　　　.,l∧ｲ 7:天〈　　　　　　＼
　　　　　　|　　　　|　　　　　 .′ |　`介「　　　　　　　　「..　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　￣￣￣　　　　　　　　 (|ｨ　 |¨|　　　　　　　　ﾄ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '1　冂　　　l}　　　　　ヾく::
　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　 V　　 ∧　　　　　　Ｖ/∧　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　 {∧厶.ｲ　//∧　　　　　ﾄiﾊ厂
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ｌﾄ.ｲ///ﾊ　　　トリ::{　　　　　　　　　　　「おっと悪い悪い、怒らないでくれ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,|ｌ|:::|/W:::::}人ﾙ':::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,厶イ≧ー─‐＜:::￣::}＼　　　　　　　　　俺の要件はたった一つさ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:::::::｀＞=､::::::::::::｀二ﾌ⌒′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣ (＿／￣￣　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／「　へ　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （ ■■■ ) 　|　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　| 　　 | 　　　 |
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　　__｀___　　　|　　　　　　　　　　　　　　　「俺はね、お前の村の話を聞いて、
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　`ー'´ 　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　ひどく心を痛めたんだよ。
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _　＿ ,　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_　　　　　　　　　　だからお前の仇討に、少しでも
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ　　　　　　手を貸してやりたいと思ったのさ――」
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

864 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:24:40 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ､
　　　　　　　　　　　　　　 ': :ヽ'　　　　　　　　　　　 ,　イ
　　　　　　　　　　　　　 /: : : :| ’ 　　　　　　　／／|
　　　　　　　　　　　　　　　j: : : : :|　ヽ　＿_　　　　.／／: :｜
　　　　　　　　　　　　　厶-‐　　　　　　　￣　　､/　/: : : : :|
　　　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　　　　　　　　　＼: : :|
　　　　　　　　　／ /　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼j　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　　／　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　＼
　　　　　　　　／　　 /　　,-==-､　　　　　　　　　___　　　i　　＼　　　　 ――この日。できない夫はまるで
　　　　　　　/　　　 ,　　　　　　　　　　　　 ' ⌒ヽ　｜　　　ヽ
　　　　　 /　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　ﾍ　　何かに先んじて教えられていたかのように、
.　　　　 /　　　　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j　　　　ﾊ
.　　　　 /　　　　　　　ヽ　　　　　　｀ｰ' ー '　　　　　　 ,ｲ　　　　　　屋敷に刀を置いたまま、この村跡を訪れている。
　　　　/　　　　　　　　/ ｀　　_　　　　　　　　　　／ .|　　　　　 ’
.　　　/　　　　　　　　 j　　　　　ﾝー‐　　　　 r‐　'　　　 |　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 ,　　　　　　　 l　　　 /　　　　　　 l　　　　 |　　　　　　　 |
.　　 i　　　　　　　　　,　　　 /　､　　　　　　　　|　　　　 |　　　　　　　 |
＝= |　　　　　　 i　　　 ,　　ﾍ　　　　 /.　｜　　　　 |　　　　　　　 |
-　__l 　　　　　　 | 　　 i　　　 i　　　　/　　 |　　　　　　|　　　　　　　 |ﾆ＝===- 　、
｀.ｰ-ミｭ､　　　　　 .|ﾐ､　｜　　　|　　　/　　　ヽ、　 r‐''ﾆ|　　　　　　　 |　＿ - ‐ ' _ノ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

865 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:24:52 ID:LfEKVIbk0

───────────────────────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

───────────────────────────────────────────

.

866 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:25:05 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　……やがて、キル子は
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ‐'／ `<,ム,,、 _／´ ￣く　　　　　　　　　　　　　　　気絶から目を覚ました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,. ‐'".／:::.　......　:::::o::::::"''"...:::::::..', ｀ﾞヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ‐'"　　／:::::. ::i::::::: 　 ::::...　　　::::::::::　i　　　／￣￣｀゛'' -､,...┗━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　,. ‐'"　　　　／　　　:::l　　　 :::::o 　　.,:　　　 l　／: : : : : : : : : : : : : ｀ヽ
　　　　＿　　　　　　,. ‐'"　　　　　／::.　 .:::::::./i::::: 　:::::::: 　　,,ｲ:::.　　　l/: : : : : : : : : : : : : : : : :
.-‐''"　　　　゛'' -､,,＿＿　　　　／::::::::　　:::::/　i　　 :::::o:::::　/　　........ :lヽ､: : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ／　　　　　　 /　 /::::..　　　　/　　 :::::::::::li　　＼: : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　／　　　..::::::..　／￣゛''-､,, 　　 /　　　　　 :/l　　　　゛''-､,,: : : : : : : :
　　　　　　　　　　　 ,r ''"＼　　 :::::::::／　　　　　　　￣゛/::::::::.　　　:/　l　　　　　　　　゛'' ──
　　　　　　　　　　　(＿　　人_,,.-‐''"　　　　　　　　　／::::::::::::　　 :/ヽ,ﾉ
　　　　　　　　　　　　　し'　　　　　　　　　　　　　／　　　　..::::::/　　　＼

867 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:25:22 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　 _＿＿_ _
　　　　　　　, .:´:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　 ,' :::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::i
　　　　i :::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ::::::::::::i
　　　　i::::::::l::i::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ｌ::::::::::::l　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|:::l::::l::|（●）￣（●）Lｊ:::::ﾄ､:l::::::|
　　　　L:l::::l_i　　　、　　　 |::::」ﾉ」:::::l　　　　　　　　 .ここは何処だと、彼女は最初にそう思った。
　　　　　￣ﾊ　　　　　　　　 iﾚ::::i:::::::::l
　　　　　　 i: :＞／ ⌒ヽ _, ィ´i:::l:::::::::|　　　　　　　　 .自分は水銀燈に敗れた。獣の如き力で刀を叩きつけられ、
　　　　　　　|: ／　　　　レ'｀ヽl:::l:::::::::|
　　　　　ﾉﾚ'　　　　　/　　／ヽl:::::::::|　　　　　　　　 .赤子の手を捻るが如くあっさりと倒された、筈である。
　　　　／　　　　　　/　／　　　＼::::|
　　　 /　　　　　　　/／　　　　 |:::i　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　/　　　　　　l/　　　 / ,.　　 |::::|
　　　ヽ/ 　　 /　　「￣｀7´　　　 |:::::|
　　　　l　　　/　　！_ ＿/　　　　∧::::|
　　　　|　　/　　　！　 /　　　　　|　ヽ!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　 :::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|::::::|（●）　（●)|::::|:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀　　 ._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀...＞　´ /　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|:::::{´ ヽヽil､:::|:::::| ／／　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ',:|:／／　　　{_　　　　..それなのに、今のキル子は天下の往来でなく、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:i|:|:::::| ＼|┴. ／／　　　／: :〉_
　　　　　　　 ,　-,=＿―　､ー.|:||:|::,i'l.　　／／　　　 .／: : : /: :ヽ.　どこぞの屋根の下にある。体には布団が被せられ、
　　　　　　　 .／　 /: : : : : ｀ヽ). !| |.ﾞ::j＼. ／/ /　　　.／ : : : : /: : : :
　　　　　　 .／　／: : : : : : : /　　| _|/. 　/　/ /　　／: : : : : : :' : : : :　 . 刀は取り上げられることもなく傍らに置かれていた。
　　　　 .／　／: : : : : : : :./　　.....У　 /／／　／: : : : : : : : : : : : : :
　　　..／　　/´ ￣　｀丶: /　　　｀￣..l　/　／ : : : : : : : : : : : : : : : : ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　 . ／　　丶. _　　 _ . ﾉ　　　　　　　 ! l／: : : : : : : : : : : ＿: : -‐: :´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
. 　i　　　　　　　￣　　　　　　　　　　 .'〈.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :./
. 　l｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼＼: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
. 　∟ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_____｀丶､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/
　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　 |i.|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　［］区区区区|i.|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　 |i.|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　￣

868 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:25:43 ID:LfEKVIbk0

　　　　　 /::::::::::::::::::::,　　　　　　　　 l::::::::::::::::::l:|
　　　　　,:'::::::::::::::/::::/ 　　　　　　 |::::,:::::::::::::ﾘ
　　　　冫､:::::::::/::::/　　　　　　　　　 |::;'':::::::::l::｜
　　　　〈　ﾞｆ＝=y'　　　　　　　　　　 |':::::::::::::,!:::}　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 .｀;.　|ｰ一'!　　　　　　　　　　|:::::::::::::::i:::|
　　 .:::... l|　l.　　 {　　　　　　　　　　 i::::::::::::::::ｌ::|　　　　　　　状況の不可解さに、少女が首を傾げると。
　　　 .::::l|　ヽ-―',::..　　　　　　　 }:;;':::::::::::::iﾉ
　　　　 .::ヾ､､_＿,ﾉ::::::::::..　　　　　　 ;':::::::::::::::-､|　　　　　　　「ああ、よかった。目が覚めたかい」
　　　　　 .:::::｀￣´:::::::::::::::::::.......　　　 ,!::;:::::::::::::::::l
　　　　　　 : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::.....i'´::::::::::::::::､';　　　　　　不意に、そのような聞き覚えのない声が届いた。
　　　　　　　　 : :::::::::::::::::::::::::::::::::〈__,..-::ー-;､j
　　　　　　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::|　ヾこニﾆﾞ'､　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::::::::::::::'、、ヽー一'ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::::::｀"ヽ｀.、　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::＼ヽ.　　　 j';:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::ゝ.` ｰ '",ﾉ:::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ ¨¨´

　　　　　　　　　　　＿　　 __
　　　　　　　　ｰ､―-ゝ `ｰ-､)`ｰ-､
　　　　　 ,.-=ﾆ´　　　　＿__,z――へ、
　　　　,.-=ﾆ´ 　　　_ノ: : : : : : : : : : : :ヽ.
　　　　　／, 　　　_ﾌ: : : : : : : : : : : : : : : :i　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　/イ　, 　_ノ: : : : :,ｨﾉ!/!,ｯ; : : : : : : :|　,　,
　　　　' /イ　_ﾌ: : : :/ﾚ'r_‐_‐_､ﾚ'!彡: : : ::lノlノ!ノ　　　　　　　 .「心配しなくていい。私は医者だよ。
　　　 '　/,ｲ: : ;.くi:ﾊ　X 'ヱ･>｀ﾌ: ｯ-､: : : : :レ' ,
　　　　　〃 |: /l: :/ ﾉ　 X｀ﾞﾞ'　く:.:/,んﾘ: : : : :Lノ!　　　　　　君が道端で倒れていたんで、何事かと思って拾ったのさ。
　　　　＿　ヽ! lλ‘ｰ_＿_｀X 　 ,ﾞ′∠:_: : : _;彡'
　　　　ヽ. ￣`ｰ‐ﾍ. 　―　｢￣￣￣´　　￣ /　　　　　　　　　命に別状はないようだから、安心してくれ」
　　　　　 ,ゝ、　＿,ヽ__,..　!　　　／￣｀￣￣｀ｽ
　　　＿/＿_,.>./::/＾,＞―┘　　　/　　　　　　　/　＼. 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヽ　　　　しﾍ∧　　　　　　　BLACKJACK　　　ヽ
　　　　〉、　　　/:/:::∧ /ー㏄Vーヽ　　/ー'ヽ/ﾆ〉㏄,　　　/ﾞー'ヽ
　　　 |　ヽ. ／:/::::/::..| ヽ┐ /〉＝〈∞＾V７ /〈二〉〃L､∞＾V７ /
　　　　|　 <__;;/_:_/:::::::i　 /／ '７／ /／/／◆／メ､!l7//／/／
　　　　　　　　　　　　　　´　　 ´　　´　 ´　　　｀″　｀′´ 　´

869 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:26:04 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　/:::::,:::::::::::､::::::::i､:::::::､ヽ
　　　　　　　 '::::::::l::::::::::::::i:::::::::|:::::::::ﾞ!､ﾞ.
　　　　　　　l:::::::::|:::::::::::::::|ﾞ::_:_:j|::::::::ヾi:ﾞ.
　　　　　　 |:i:::::::|!:::::_-‐'"i/r,‐i|::::::::::ll:::|
　　　　　 |::|:::::::|ﾒ'､_丶　' ゞ彳:,イ:::::|::|
　　　　　　　|::|::‐.Yi（<,ﾒ　　　　　　j!:::::|:|　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　|::〉:::|::｀､´　｀　_　　 , '!|::::::||
　　　　　　　｀ヽｲ:::::ヽ､　　　　 .ｲ |::|:::::|:|　　　　　　　　　　「……それは、その。ありがとうございます」
　　　　　　　　　 |:::::::|:ﾊ｀､＝ '　　iﾞ|::::::|:ﾞ!
　　　　　　　　 ,r=.i:::::::|_　　ﾞヽ.､　ﾞlﾞi!:::::ﾞ!::､　　　　　　　　　 .ぎこちない口調で、キル子は答えた。
　　　　　　　 / i　､ﾞi::::::|｀ﾞ､　　ヽヽ､| iヽ::ヾ､
　　　　　　　/ j　ヽ.､::::ﾞ!　＼.　　＼| | ヽ::ヽヽ　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 !　|　　ヾ::::::ﾞ! 　＼　　ヽ!　`ﾄ､ヽヽ
　　　　　　 |　 |　　　 |::::::ﾞ!　　　ヽ.　.j　　 | ＼ヽﾞ.
　　　　　　 |／｀ヽ､　 |:::::::|　　　　_V'-　-ﾑ__ ヽ:ﾞ!ﾞ!
　　　　　　 !　　　＼ !:::::|　 _.-‐´ﾒﾞ二＝‐-ｪ`ヽ!:iﾞ､
　　　　　　　|　　　　　ﾞ|:::::|／,-"´ﾑ-‐＝─＝‐-}::ヽ!.
　　　　　　　|　　　　　,|:::::!_,-'"´　　　　　　_　／ヽ:ヾ!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　 i´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 {　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ﾉ　　　 /　/
　　　　　　　　　　　　　　　　 !　／　　／　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.斗/　 x＿∠_―′　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　､丶`　　.{　 l　 ~ﾞ''＜ｧ
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　レ'　　　　　＼　　　　　　　「体は痛まないかい？　ここに痛み止めがある。
　　　　　　　　　　　　　 ∠==--――-= ..,,＿＿_／く
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　 .￣!　　　　　飲むなら水を持ってくるから、遠慮なく言ってくれ」
　　　　　　　　　　 /.　　　　　　　　　 |　 |
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　 |　 |　　　　　　　 ……状況の不可解さに、キル子が再び首を傾げた。
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　ｌ　 |
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　｝ l|　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　 /　l|
　　　　　　　　　　　　八　　　　　　　　　　 ,ﾘ
　　　　　　　　　　　 ~"''～､、　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣

870 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:26:18 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　＿∠-─z＿
　　　　　　　　　　ィ´　　　　　　-=ﾆ、
　　　　　　　　　/::{　　　　　　　　　ミヽ　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　ﾊJ::｛　　　　　　　　　＼ヽ
　　　　　　{V:::::::::7　　　　　　　､ヽ＼iﾊ!　　　　　　　　　　　　「それで、なんだ。君が眠っている間に、
　　　　　　ミ::::::〈^YW{ ｉ |　l | l　l　ﾊ |ﾚ'
　　　　　　个ｰ〈ﾍ.X W V ﾘﾉ},ハ} }ﾘ!　　　　　　　　　　　　服を脱がせてみたんだが」
　　　　／　｜　ヽ.＼X ＿ '　人V
　　　 / '⌒ヽl/⌒ヽ'.　,＞ -.イ／｝　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　｛　　　ヽ　　　∨　　　ﾉ　　ﾊ

　　　　　　　　　　　　 ∧＿_
　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.　　.￣1i
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　.《
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:. 　 ≫
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
　　　　　 |:::::|::::::|（○）::::（○)|::::|::|
　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀
　　　　　 |:::::|:´:|､_ 　／ﾔヽ、:i ｀
　　　　　 |:::::|:::::{´,／　.∧　ヽ|
　　　　 |:::::|:::::|ｲ　　　 ,/　　ﾞ.
　　　　 |:i|:|:::::|　　　　/ゝ､_;ﾉ
　　　　 |:||:|::,i'l､_,. ィ" j_k　　ヽ.

871 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:26:35 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　 ' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　　　　　　 /:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　　　　　　　　　　　　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　　　　　　　　　 |:::|::::|(○）::::（○）|::::::|:::::|_ _
　　　　　　　　　 ´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|. 　｀ヽ
　　　　　　ﾌｰｯ　　 ´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　 .｀ヽ､
　　　　　　ﾌｰｯ　　　 ../ 　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　/.　　　　　　　　　 ≦､　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　｀フ￣　　　/
　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ　　　　　　　　　　　 /　　　　／
　　　　　　　　　　　　/　　　　r- ､' ヽﾍ､-ｭ　　 _ﾉ　　　／
　　　　　　　　　　　ﾉ　￣￣└-ﾒ_j .| | |~ﾞi||-､￣ヽ. ／i
　　　　　　　　　　　i　　　　　　 'ゝ､_｀`´-ｲ||　ﾞi　　 |¨`‐-'．_
　　　　　　　　　　　ゝ､　_ -‐'"´　　 j　└'"｀Tﾉゝ､ﾉ‐-．_　　~¨ ‐-．_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i､　　　　｀`´　　　　　｀ヽ` ‐-．__ ` ‐-．__

　　　　　　　　　　　＿＿＿＿__
　　　　　　　　　 , '"　　　　　　　｀､
　　　　　　　／ |　　　　　　　　　　 ,l
　　　　　　/　　|　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　 .!　　 | i i＿　　＿l__'_'　　　　|
　　　　　 |,ｨ´　|￣＿＿＿＿＿＿＿ }
　 l､　i､|ｰ|, -'"|￣| ,,-‐=､‐-,　ｷ‐,=-,!'　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 .＼､ﾞヽ　　,-､| 　!　'こIｺう'ﾞ　〈fｴI) |　　　　　　　　r‐､
　｀ｰ`=-　　 | Ｃ| ｜＿＿＿＿__.lｷ＿j　　　　 ,-,l´ﾞ!　|'｀!　　　　　 .「やめてくれ。やましい事はしていない。
　｀ｰ｀=-　　｀ｰP￣　　　 ―-　i:　　,{　　　　　|　|　|　|　!
　ヽ_￣　　　　_ｿ　　　　　　　　r.　　 ||　　　　 |　|　}　|　|　　　　　 .私は医者だと言っただろう。医療行為だから。
　　　￣＞‐''´ 〉　　　　　 ―‐┼‐　　|-､.　　　 | ｜ l　l　|,‐ｧ
_,.．-'''"､_　＼|_　　　　　　　- ┤‐　　|　 ''‐- _　 |　' 　　　| /　　　　　 .本当死ぬからやめて。いや、やめてくれ」
　　⌒ヽ　｀''‐｀-￣｀ ‐- _　　　 | _,.．''　　ﾘ' 　＼|　　　　　　|
　　　　|　　　　　　　　　　｀ -‐'　　‐-'''"　　　ハ　　　　l　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　i　ヾ、　　　　　　　　　　　　　　　‐-''" 　〉　　,,,.,, 　|
　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　,,‐―'￣￣￣└v' 　　　 ,/
　　　　　　　　　　　　　　　　　_ﾉ　　　'' '' 　　'"　｀''┐ 　 /
　　　　　　　　　　　　　_,.．-''　　　　　　　　　_,,-―┘_,,ィ

872 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:27:00 ID:LfEKVIbk0

　　　/　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　/　　　　 ,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　/ /　　　|: ,: : /: : : :/: : : : : i: : : : //ﾊ: : : : : : : :
　　　 /　l　　　1: /!: : : / /: : : ://: : :/ノノｨ: : : : : : :
　　　,|　 |　|　 |':.:|≧: . |:/:／:/_仁ｨ:≦Zz／ｨ: . r‐､: : 　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |　|　|!　 |!:.|ゞｾl:.:ﾄ;イ／ﾗ人ゞ仍;ｊ　 /ｨ::/ う l: :
　　　||　|l　|l　 |:.:|￣´|:l ／　　キ　￣´､　 /: | 仆 |: :　　　　　「……気を取り直して、話を戻すが。
　　　 |ヽﾄ　||,　|::|　　ｿ　　　　　ｷ　　　／: : | .ﾚ /: :
　　　　|: : ', |:',　'!　　/　　　　　　キ r‐1: : :─ '"´: :　　　　 .君の体には、鉄の棒で殴られたような痕があった」
　　　　 |: : ヾ: ', ﾄ,　ヽ-‐ ､　　　　ヾ!: : : : : : : : : : : :
　　　 '´: : : : : :.ヽ!＼　ー─‐─　　ﾊ: : : : : : : : : :.:　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　: : : : : : : : : : : : ＼　´￣｀､, ＜|::|: : : : : : : : : :
　　　: : : : : : : : : : : : : <`ー　≦:::::＼: :.|: : : : : : : : : :
　　　: : : : : : : : : : : / ∨: :ﾊ: : |: : : : |: :|: : : : : : : : : :

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ　　　　　　　　　　ﾚ /　　　 .〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::::::|:::::::|:::::/!::::::/l:::::ﾊ::::/::::::::|　ｌ　　　　　　　　　　　　 /　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '::::::::::|::::::l'_Vメｰ '　-'ﾆ._7::::::l::::l　|　　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　 ´'⌒ヽ`.　　　／::::::::::::ﾊ:::::!　　　 , 　　 ./::::::/7:::..|　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　_.. -―...＞` ー.':::::::::::::::::::::ゝ-!　　 ., -､　　 .ゝノ:::::::::::.!　　　　　　　　 /.
　　　　　, 　"´´:::::::::::: _,.. -─ ' ::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ.. 　´￣｀　　イ:::::::::::::./　　　　　　　　 / 　　　 ,i′
　　　 ∠::::::::::::_..　'" ´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_＞　　ｲ::ﾚ:::::::::::::::./　　　　　　　　　　,iン　　 ./
　　 /:::::::::,.. '´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ:::::::::::::::::::ハ＼　　/ン:::::::/i:::...┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　｀'／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_,.. - ´::::::::::／::::∧ : :＼_V ´:::::::::ノV:/
　　　　j::::::::::::::::::::.. -― "´ ／::::::::::::::イ '::::::::/: : ゝ '´:::イ::::::／.／　　　　「峰打ちだね。君は誰かと殺し合いをして、敗けた。
　　　　ゝ::_..イ／´　　　　'::::::::::::::／j :/:::::.:ノ:／:::::／::::::::　／
　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::／／::/:::::, ／::...イ::::::::::.,..-'´　　　　　　　それも手加減をされて敗けたんだ。違うかい」
　　　　　　　　　　　 '::::::::::::::／ ':::::::::レ '´ イ／::::_..-'"
　　　　　　　　　　/ｲ:::::::::／　/:::::::::/...イ.　_.. -'"　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　ﾉ::::／　イ:::::::::.._,,　‐'"　　　　　　　　　　　　 _,,..ﾉ｀-゛ _..-彡‐″::::::ﾉ　　ﾚ'
　　　　　　　　　　　　　 _,,　-'''"゛　　　　　　　　　　_,,,.. -‐'''"゛　 ._,,v＝'''"
　　　　　 ._,,,,..　-‐'''"゛　　　　　　　　 _,,,.. --;;;;,ﾞ″
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

873 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:27:21 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､
　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　 /:::::,::::::,::::::::::::::::::､:::ヾ:::::.
.　　　ｌ:,f::i:::|_:::|_:::::::::､:::::i|:::::i:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:::|::::|(●） |:::::::|::::::|:::::|:::::|
　　　 ´ |::〈　　　|_::::::!:::::|:::::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……ええ、違いません」
　　　　 ´ iヽ‐　　_,.|｀:|::::|:::::|:::::|
.　　　　 |:::::7 l/'　　ﾞ｀1::::::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　|::::ｲ./　 ,ィ　　|:::::|:::::|
　　　　　　|::::i┴─ |　　 |:::::|::|i:|

　　 ~￣ー-　　　　　　　　　　厂
　　　　　　　　`,つ　　　ｰ=一
　　　　　　　　( 　　 r―一　　　　　　　　　､_＿
　　　　　　　　　￣） |　　　　　　　　　　　　　,＞　二ﾆﾒﾄﾍ、　　　...┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　{._ l　　　　_　　　　　　ｰイ　　　`Z:::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　}l.＿｣｣ﾉ}　　　　　　　〃ｨrﾍﾊ気ﾒ;:::::::::::::::　　　　「君がどうしてそんな事をしたのかは聞かない。
.　　　　　　　　　　 ~￣77/＿　　　　　　　　l _　　ｷ　〉::::::::::::!
　　　　　　　　　　　 f′ ,＝'　　　　　　　〈_　｀　ｷ　ﾚ‐;::::::ﾉ　　　　けれど、君は敗けた。恐らくは圧倒的な実力差で。
　　.　　　　　　　　　 /　ノ　　　　　　　　　　/　　　　 Σ::::く_,
　　　　　　　　　　　 /　f　　　　　　　_ -r一/　rﾍ.￣〉-―-<　　　　 .……これに懲りたら、もう殺し合いはやめるべきだ」
.　　　　　　　　　　 / 　 !__　　　_／/ ,ﾑﾉ´/´　 |／　　　　＼, v‐
　　　　　　　　　　/　　 |　ﾒ^'￣l　 /　　{／　　　　　　　　　〆　.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　|　　ﾄ　　〉　　　　　 i′　　　　　　　　　　　　／　　　　 /
　　　　　　　　　　L_＿ﾉムノ一ｰ-f　　/o　　　　　　　　　, -一>'　　　　-=ニ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;　 /　　　　　　　　イ´　／　 -=ニ
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 {　　　　　　　　　/　　/　ﾉ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ﾉo　　　　　　　 /　　 lf　/
　　　　　　　　　　　　　　　　〈　 /＿＿__　　　, ィ′　　|巛

874 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:27:43 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
／　　　　　　　　　＜/　　　 |
　　　　　　　　　　 -┴──＜L_
　　　　　　　／､　　　　　　　　＞　´二二ニ=ｧ
　　　　　　／下ﾊ　　　　　　　　　　／､:::::::::::::/
.　　　　　ｌ　　￣　　＿　　　　　　ヽ　＼::／　　　　　　　　　イ
.　　　　　 |　､_　　　下心　　　　　　 ‘,　＼　　 r=x　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　八　　ー'　　￣　　　　　ﾊ　　＼_//_」ｌ　-‐o
　　　　 {{个、　　　　　　　　　　　　 /　､　　　￣　} | 　　 o　　「例えば、君のご両親はそんな事を望まないだろう。
＼　　ヾl|＿＼　　　　　　　　　　／　　＼　　　 //
　＼　　　下￣＞‐-ｧ　　　　-＜　　　　　＼　 //　　　　 o　　君に、平穏な暮らしを送って欲しいと願うはずだよ。
＼　｀ー─ -＼＼　　l　　　　　　ヽ　　　　　 |V/ー─　　￣
　｀ー‐ - ‐─　＼　　|　　　　　　　ト､　　　 ∨　　　　　　　　だからこの敗北を、君は潮時と見て足を洗うべきなんだ」
　　　　　　　　　￣ﾄ､　 } 　　　ヽ::＼
　　　　　　　　　　 |　∨　　　 l　　＼:..＼　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 |　｜　　　 |　　　＼´＞- ､
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　／　／/::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 /.／イ::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ:::::::::/::::::ﾉ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.　　　　 /./　//:::::::::::::::::::::::::::::/　|:::::/::::::/ i::::::::::::::::::::::::: _ _ :::::::::::::::　　　　　.「君のような少女が剣を取ったんだ。
　　　　　 |/　//::::::/:::::::::::::::::ﾊ:::| ./:::/三≧/／/::::::::::::::/　_　ヾ:::::::::::
　　　　　 |　/ .i:::::/i::::::::::::::::::| 升彡イニ￣　 /／i::::::::::| /　） i:::::::::::　　　　きっと、並々ならぬ事情があるのだろう」
.　　　　　　i　.l::/ ｨ::::::::::::::::::|　ヾ心 j ／　　　　./::::::::::| ） /　.|::,:::::-
.　　　　　　|　.| ﾊ i:::::::::::::::::::ミ､　）‐'´　　　　　 /::::::::::::| / - ' ´三三　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　 |　　| |.ﾚi::::::::::::::,､:ヽ＼　　　　　 ./:::_::::-:::'::´三三三三
.　　　　　ヽ　 | |　|:::::::::::/　｀ﾐ､_ ＼　　 _　- ' ´三三三三三三三
　　　　　　　Ⅶ　Ⅵ::::::::/_　　-　　　 Y´三三三三三三三三三三. 　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　ヽ　 V:::ﾊ:::::::＞､　　＿ .＼三三三三三三三三三三
　　　　　　　　　　／ヾハ:::/三 >'￣　　　ヽ三三三三三三三三三　　　「しかしそれでも、徒花のように散るぐらいなら。
　　　　　　　／三三三/三三ﾆ｝￣　　　 V三三三三三三三三三
　　　　　／三三三三三三三::i､　　　_ ィト三三三三三三三三.　　　その殺意を諦め、己が命を大切にしたほうが
　　　　　 <三三三三三三三三三三三三ﾆ.| ヽ三三三三三三三
　　　　　　｀ -　､三三三三三三三三三≧／:::＼三三三三三三..　　　まだマシだと、私は思うね」
　　　　　　　　　　｀ - ､三三三三三／／/）:::::::::人三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　＼三三ﾆ.／／/.//::::::::/ | |三三三三三三　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

875 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:28:02 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　.....-─:::::-..､
　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　/:::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 ,:::::::::::::i:::i:i::::::::::::::i:L::::::::ﾊ
　　　 i:::::::i:::::i:;ｨｿ:::::::::::::込､:;ﾉ:ﾊ
　　　 |:::::::i:::::!､;jｨ彳'"´'{ﾟ●;::::!`
　　　 |:::::::ﾊ::ﾍ`ﾟ●〉　､　""}:::!　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 V:::::ヽVﾍ""　　　　/::::i
　　　　|::::::::::Vﾍ:ｪ　＿´／ l::::l　　　　　　　　　　　「……お気遣い、ありがとうございます。
　　　　|::::::::::::,Vﾍ｀ヽ､ﾄ.ヽ.ｊ:::::|
　　　　|:::::／ .｀Vﾍ　ヽ.|　||:::::l　　　　　　　　　　　　でも、私はもう行かないと」
　　　　|::/ヽ　　Vﾞ:.､　ﾞ!　|ヽ:j'
　　　　|::i　ヽ|　　　'‐ｧ､ |　|　ﾞﾔ　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　|:::! 　＼　　　　j 　|　　l|
　　　　|::::!　　　ヽ、 /　 / 　_ﾉ|!
　　　　|::::| 　　　 V 　 / _,.ｨ'"! i
　　　　|::::ﾔ　　　　ﾔ'´　　　　|　!

.　　　　　　 {ﾊ/ /　　　j/i/／ﾉ-‐=彡'　ﾉ,1　　　　　　　 i
　　　　　　　 |　!　　/{i/-‐‐=＝=≧彡' ﾉ　　　　　　　　　i　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 !ﾊ! i　/X `赱テ'⌒´￣｀7´　　　　　　　 | i　ｉ i
　　　　　　　　 VV{　　X　　　　　　 /　/⌒Ｙ　　　　　　ﾚLノ!ﾉノ}　　　「――殺し合いにか。
　　　　　　　　　　　/ヽ　　　X　　　 /　/ ん│　　　　　__彡'彡ｲノ
　　　　　　　　　 (　　　　　　X　　 (　 / ん' ム=≠´￣￣　　　　　｀７.　どうしてこう、少女というものは死に急ぐんだい。
　　　　　 r‐--‐=ﾆ｀ヽ＿_　　　X 「￣￣￣´　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　ヽ.　　　　ﾊ ‐　　　 `!　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.　　　無為に命を散らすことに、何の意味がある？」
　　　　　　＼　　　 }　　　　　〉　　　　　　　　　　　　　　（
　　　　　　　 _｀つ　　 `ｧ‐┬=f升　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　ｆ⌒T´￣￣´ 　　　／ﾆ､立7´_j

876 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:28:17 ID:LfEKVIbk0

　　　　　 ,.-─‐-.､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　 |:::: ::::::::::::::::::::::ｌ
.　　　　　 |::: ::::::::::::::::::::::::!
.　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　 !:::::::::::::::::::::::::lｉ:|
.　　　　　 !:::::::::::::::::::::::::l|::|　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　 /|::::::::::::::::::::::::lｌ.,7:!
　　　　 |:| !::::::::::::::::::::::l|.l|　!　　　　　　　　　　「……ねえ、先生」
　　　　 ! !|:::::::::::::::::::::::| |　 l
.　　　 /　|:l|::::::::|!:::::::ll|::l|　 | 　　　　　　　　　　　　　ぽつりと、キル子は言葉を吐いた。
　　　　l_　 |:|.!:::::::|l!::::::|l:.:||　 l
.　　　ヽ |ll_|__:_!|:∟:!:.::l‐!　 l　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　／　　　　　｀ヽ! 　 !
　　　 /　/ .　　　　　　ヽ..._│
.　　　 |､　! 　　　　　　｀＜ヽ,
　　 _メ´丶､:　　　　 -‐─､:ヽ　:｀＼
　　 ∟ ､┴-　　 -l＿____, -ｰ‐‐‐‐'

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　 .|;. | ヽヽヽヽヽヽヽヽヽ.||　 || 　||
　　　. | .:|⌒ﾟ⌒ﾟ⌒ﾟ⌒ﾟ⌒ﾟ⌒ﾟ⌒ﾟ⌒||==||==||==
　　 . . .|. i|　　ﾟ　o　　　　　゜　。　 ||＿||＿||＿
　　. .:.:.::|;. |　。　　　゜　ﾟ　o 　　　　||￣||￣||￣　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　. . .:.:::::|l i| ｡　　゜　ﾟ　｡　　　o　 .　||==||==||==
. . .:.:::::::::! .,!　　　　　.　　。　　　。||＿||＿||＿　　　　　　　　　　「先生は、食べるものも無い真冬の村に、
.:.:.::::::::::::| ;i|　　　ﾟ　。　o　　　　｡　　 ||￣||￣||￣
:::::::::::::::::|　|　ﾟ　　o　　　　　゜　　　 ||==||==||==　　　　　　　　　　閉じ込められたことはありますか」
:::::::::::::::::|　|＿＿＿＿ ∧∧ ＿＿___.||￣￣￣￣
;;;;;;;;;;;;;;;;;|;i |三二三ﾆ.:/⌒ヽ) ニ三ニ||＿＿＿＿　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::::::::::::::::::::: 　　　　 ,/:::::.:. . ヽ　　　　.:.:::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::　　　　　 (;;;;;;;;;;;;,;,;,,,,) 　　 .:.::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::　　　　　 .:.:::::::::::::::::. . 　　 .:.:::::::::::::::::::::::::::
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

877 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:28:32 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　＿∠-─z＿
　　　　　　　　　　ィ´　　　　　　-=ﾆ、
　　　　　　　　　/::{　　　　　　　　　ミヽ
　　　　　　　ﾊJ::｛　　　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓
　　　　　　{V:::::::::7　　　　　　　､ヽ＼iﾊ!
　　　　　　ミ::::::〈^YW{ ｉ |　l | l　l　ﾊ |ﾚ'　　　　　　　　　　　　　　「何の話だ？」
　　　　　　个ｰ〈ﾍ.X W V ﾘﾉ},ハ} }ﾘ!
　　　　／　｜　ヽ.＼X ＿ '　人V　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛
　　　 / '⌒ヽl/⌒ヽ'.　,＞ -.イ／｝
　　　｛　　　ヽ　　　∨　　　ﾉ　　ﾊ

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
. 　　ｌ,f:::i| :::::|:::::::||::::: |i::::i:::i
　　　 |:|:::::|_:::::|:::::::||:::::_|::::::|::l　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:|::::_| 　　 ,､　　 |_:::|::|
　　　 |:|:´:|ﾞ:､／ |l|＼,.ｨ|:｀::|::|　　　　　　　　　　　「その食べるものも無い冬の村で、
　　　 |:|::::|::/　　 |　　ﾞヽ:::::|::|
　　　 |:|::::|/　　 ∧　　 |:::::|:::|　　　　　　　　　飢えて死にそうになったら、先生はどうしますか」
　　　 |:|::::|　　／,| ヽ　|:::::|:::|
　　　 |:|:i'l〉ｲ´　 .|　｀ﾄ〈'i,::|:::|　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |::::::＼_ 　 |:|　　 ,ノ:::|:::|
　　　 |仆ｲ|'i|｀ゝ' ﾞｰ:'´|::/|ilﾊ|

878 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:28:47 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ:::::::ヾ｀
　　　　　　　　　　　　/ ＼　　　　　　　　　 ∧＼:::::::∧
　　　　　　　　　　　/　　　＼　　　　　　　ﾊ:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　 /　　 rニニヽ　　　　　　　ミ､::::::::::::::ﾊ
∧　　　　　　　 /　　ゞ'´￣￣￣ヾ　　　　　　}::::::::::::::::ﾊ
　/|　　　　　　　 }　　　　　 - - ニニ　　　　　ﾊ::::::::::::ﾊ､::i
　∧　　　　　　　i　　　　　ィ t;;;;テ=カﾐ　　i､　|:::::::::::i .ヽ|　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
:::::::::∨,-､　　　 |　　　　　ヾ: : : ノ　ハ　/　＼|:::::::::::::}
::::::::／　　＼　　ヽ　　　　　　＼／　　V　　　＼::::.,､i　　　　　　「……そりゃあ、私も死にたくはないからな。
::::::{　　ハ　　i　　　ヽ　　　　　　 ´　　　　　　　　　 > l
:::::::|　 {　(及ヾ　　　 i　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　木の皮やその辺の野草でも齧って、生き延びるさ」
:::::::ヽ　ヽ ::::)　　｀ー''´　　　　　　　　　　　　　 r'´
::::::::::::＼　ソ　　　　　　／/　　　　　　　　　 i　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::::::::::::::::::＼,_､　　　　／:::/　　　　　　　　　　/
:::::::::::::::::::::ハ:::＞ ' ´::::::::/ 　　　　　　　　　´i
三三三ニ=''´::::::::::::::::::/ｷ　　　　　　　　　 /＿＿＿＿＿＿＿
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/､　ｷ　　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::／
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{　　＞､　_ 　　　　　i::::::::::::::::::::::＞-'´
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|　ヽ /:::/::::::::｀＞- '´:::::::＞' ´

　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!　　　　....┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀　　　　　　 .「ええ。普段食べない、食べたくないものを食べると思います。
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!　　　　　　 .それで、その普段食べない木の皮や野草なんかが
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|　　　　　　　　けっこう美味しかったら、その後も食べ続けますか？」
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

879 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:29:05 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　 _､
　　　　　　　　　　　＿､-､＿）＼
　　　　　　　　≦￣　　　　ヽ　＞-､
　　　　　　＜￣　　　　　＿＿≦ヽ＜｀＼
　　　　 -≦　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　／　　　　　　 ,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　／ /　　　　　　､'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　'´ フ　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i　ﾉ/i /l　　　　　　　 .「もう食べないと思うがね。木の皮や野草など、
　　 / /　　　　　/:::::::::::::::::::ﾊ:::/|::::ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::://:/　/
　　Ⅶ　/　　　ﾉ:::::::::::::::::i:/ .|/ .i < ﾚ´|:::::r-､::::::::::::::::/／/　　　　　美味しくても食うのは惨めだ。
　　 / ｲ　　　 /ｲ::::::::::::::::ﾚニ三' ､￣ﾉ:::/ ｊ i::::::::::::::::::::::/／
　　 V |　/　 ,　 |:::::::::::::::|｀､´､ヱソ ./::::.i i} /::::::::::::::::::／ノ　　　　　　この街には他に、充分な食い物があるのだし」
　　　　|∧　 i　 |:::::::::::Ⅳ　 X　　　　{::::/　ノ:::::::::::::::::::彡
　　　　V∧ .ﾊ　i:::::::ﾊ:i/　　　Ｘ　　　Ｖノ /r―- --＜　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　Vハﾊ;:::|､Vヽ_＿ ,　X　　／／/::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　 Xハ/ﾚ:::::::ヽ､　　　　＜／ゝ/::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::ト- イ/／ハ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::

　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ー）::::::|｀
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

880 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:29:23 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　＿,,ｨ､__,,ｨ´￣￣￣￣￣￣￣｀ヽー―- ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
. 　　　 ´ヽﾊ　|///ゝ　　　　　　　　　＼ー―ゝ､｀　､　　　　　　　＿
　　　　{　　 } !} |/／　｝　　　　　　　　　　　 {　　　ヽ｀ー=ﾆﾆ=ー――=´―‐`r―-. 　「……私は、冬の村で
　　　ゝ _ﾉﾉﾉ'´⌒Y　／￣｀¨―r――　　_､}＿＿　,ｒ- ､　　　　　　　　　 |
　　　　　　￣　　　　ヽ{　　　　 }　　　　　　　　　　´　ヽ彡.　〈::ヽ r‐､ ___　――'´￣. 　普段食べないものを食べました」
　　　　　　　　　　　　　｀ー――'￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　 ';::::i }::::}{;;;;l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l::::｀:::::ヽ:::lr-､　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__,}::::::::::::::::::ヽノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く:_:_:::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ-､:::::::::::::::::ヽ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　 _＿＿_ _
　　　　　　　, .:´:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　 ,' :::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::i
　　　　i :::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ::::::::::::i
　　　　i::::::::l::i::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ｌ::::::::::::l　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|:::l::::l::|.（ー）￣（ー）Lｊ:::::ﾄ､:l::::::|
　　　　L:l::::l_i　　　、　　　 |::::」ﾉ」:::::l　　　　　　　　　「ですけど、私は先生と違って村を出た後も
　　　　　￣ﾊ　　　　　　　　 iﾚ::::i:::::::::l
　　　　　　 i: :＞／ ⌒ヽ _, ィ´i:::l:::::::::|　　　　　　　　　それを食べ続けたくなってしまったんです。
　　　　　　　|: ／　　　　レ'｀ヽl:::l:::::::::|
　　　　　ﾉﾚ'　　　　　/　　／ヽl:::::::::|　　　　　　　　　 ……その味を、忘れられなくなってしまったんです」
　　　　／　　　　　　/　／　　　＼::::|
　　　 /　　　　　　　/／　　　　 |:::i　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　/　　　　　　l/　　　 / ,.　　 |::::|
　　　ヽ/ 　　 /　　「￣｀7´　　　 |:::::|
　　　　l　　　/　　！_ ＿/　　　　∧::::|
　　　　|　　/　　　！　 /　　　　　|　ヽ!

881 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:29:42 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　 .,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 !:::::::::::::/!::::::::::::::::::::､::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::i/i:::::::::::::::::::::ﾊ:::|::::::::!
　　　　　　　　　　　　　|l:i::::::::i/.|_::_l_:::::_|_::::|zi:|::::::::|
　　　　　　　　　　　　 |::l::::::::|　　　　　　　.!:::::::::i　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 l:::|_:i|:::|　　　　　　　　 |_::li::_|
　　　　　　　　　　　　|:::::l:::::::! 　.ﾄｪｪｪｪｪｲ.　.|:::::|:::!　　　　　　　　　「さながら、人を人とも思えぬ獣のように。
　　　　　　　　　　　 l::::::|::::::|＼ゞｪｪｪｪｿ.／i:::::l::l
　　　　　　　　　 l::::::l:::::::lヽ.l＞､. _ .イ_l:::::i:::::l:|　　　　　　　　あるいは、人の道を踏み外した悪鬼のように」
　　　　　　　　　　　　l::::::l:::::::l 　ヽ､　　 ,//!:::::l::::l!l
.　　　　　　　　　　　 l::::::l::::::::|.　　ヽヽ／/　!::ﾊ::::l:|　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 l:／|:::::::::ﾄ、　　ヽ／　 .l:::l l::::ﾄ､
　　　　　　　　　　　/　/::::::ﾊ:! .ヽ　　/ 　　 |:::| l:::l　 i
　　　　　　　　　　 ,'　 l::::::/　l!　ヽ. / 　　 /l:::! !i|! 　l
　　　　　　　　　　,' 　 |!|::l　　　 ∨ 　　 ,'　l:l　l.l! 　 !
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　ｨ辷fｰr-r------------ｨ-r一ヽ　、
　　　　　　　　　　 , '/〃__{__{__{___|___|___|___|___}__}__}__}__ﾊ　}　　　　　　 .「――けれど、そんなのは、いやだ。
　　　　　　　　 { { <　__ __ __ __ ___ ___ ___ __ __ __ __　> } i
　　　　　　　　　　　　　ヾ::{　{　{　{　|　 |　 |　 |　}　}　}__l＞’　　　　　　　　私は、悪鬼のままでは居たくない」
　　　　　　　　　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　｀ｰ───────´　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

882 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:29:59 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　 .,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 !:::::::::::::/!::::::::::::::::::::､::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::i/i:::::::::::::::::::::ﾊ:::|::::::::!
　　　　　　　　　　　　　|l:i::::::::i/.|_::_l_:::::_|_::::|zi:|::::::::|
　　　　　　　　　　　　 |::l::::::::|ﾟ●ｿ`　　 'ﾟ●ｿ!:::::::::i
　　　　　　　　　 l:::|_:i|:::|ﾞ¨ ´　　　ﾞ ¨´|_::li::_|　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　|:::::l:::::::!　　　丶　　　|:::::|:::!
　　　　　　　　　　　 l::::::|::::::|＼. 　 ‐‐ 　／i:::::l::l　　　　　　　　　「だから、殺し合いをしに行くんです。
　　　　　　　　　 l::::::l:::::::lヽ.l＞､. _ .イ_l:::::i:::::l:|
　　　　　　　　　　　　l::::::l:::::::l 　ヽ､　　 ,//!:::::l::::l!l　　　　　　　 .屍山血河の果てに、悪鬼を辞める道がある。
.　　　　　　　　　　　 l::::::l::::::::|.　　ヽヽ／/　!::ﾊ::::l:|
　　　　　　　　　　 l:／|:::::::::ﾄ、　　ヽ／　 .l:::l l::::ﾄ､　　　　　　 ……そんな事を、教えてもらったから」
　　　　　　　　　　　/　/::::::ﾊ:! .ヽ　　/ 　　 |:::| l:::l　 i
　　　　　　　　　　 ,'　 l::::::/　l!　ヽ. / 　　 /l:::! !i|! 　l　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　,' 　 |!|::l　　　 ∨ 　　 ,'　l:l　l.l! 　 !
.　　　　　　　　 ,'ヽ、.i::l::l| /　　 / 　　 ,' 　|:|　!| /　|
　　　　　　　 ,'　　ヽ|:l!:/ 　／　　　 ,'　　i::i　l/　　|

.　　　　　　 {ﾊ/ /　　　j/i/／ﾉ-‐=彡'　ﾉ,1　　　　　　　 i　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 |　!　　/{i/-‐‐=＝=≧彡' ﾉ　　　　　　　　　i
　　　　　　　　 !ﾊ! i　/X `赱テ'⌒´￣｀7´　　　　　　　 | i　ｉ. 　「……実力差は自分でもわかっているだろう？
　　　　　　　　 VV{　　X　　　　　　 /　/⌒Ｙ　　　　　　ﾚLノ!
　　　　　　　　　　　/ヽ　　　X　　　 /　/ ん│　　　　　__彡'..　.君に勝ち目はない。負ければ次は殺されるだろう。
　　　　　　　　　 (　　　　　　X　　 (　 / ん' ム=≠´￣￣
　　　　　 r‐--‐=ﾆ｀ヽ.＿,　　　X 「￣￣￣´　　　　　　　　　それでも、君は諦めるつもりがないのかい？」
　　　　　　ヽ.　　　　ﾊ ‐　　　 `!
　　　　　　＼　　　 }　　　　　〉　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　　　　　　　 _｀つ　　 `ｧ‐┬=f升　　　　　　　　　　　　　　　　　　` ｰ--
　ｆ⌒T´￣￣´ 　　　／ﾆ､立7´_j

883 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:30:12 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　 ,. . :-――- ．、
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : ::＼
　　　　　　　 /: : : : : : : : : :/. : : : : : :.＼
.　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : :/ .: : : : :.i: :､:.ヽ
　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : :| :._i: : :.ﾄ」:.|_|:i」!
　　　　　　　 |: : : : : : : :_: : ｨ（ー）　（ー)
.　　　　　　　　 |: : : : : :.,ｨｹ! : |.　　　、　|　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 ! : : : : : ゝ､|: :.|　　　__ 　ﾉ
　　　　　　　　　 |: : : : : /:./ |: :.ﾄ､　　 .ｨ′　　　　　　　　「戦います。勝ち目がなくても、それでも。
　　　　　　　　　 }: : : : /:.∧ |: :.|　/ 辷'l:.|
　　　　　　　/:.:.:.／j:./　`j: :.|,ｲ＼　||:.|　　　　　　　　　ただ無為に徒花のように死ぬと分かっていても。
.　　　　　　　 /:.:r'’∨∧.　 |: :!v}| 　Ⅵ! 》
　　　　　　　 /: : |　/:∧　＼|:.:ﾄ､||　　| |:.}}、　　　　　　　　それでも、私が悪鬼でなくなれるなら」
.　　　　　　 /:.-r=彡/　'　　|:.:l　||　　| |:.|l |
　　　　　　/ ／厂7/　　　 |:.:l＼|　　| Ⅵ..|　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　/ : : : |,ｲ/　　　',　 |:.:|　 | 　 |　!:! |
　　　　　': : : : :.|:./　　　　i,　|:.:|　 | 　 |　 Ⅵ
　　　　 |: : : : :.l/ 　　　 |　|:.:|　 |　　ヽ　 }〉
　　　　 |: : : : :.|　　　　　 |　|:.:|　 |　　　} 仆､

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 /
　　　　　　　　　　　　＿∠-─z＿. 　 ′／
　　　　　　　　　　ィ´　　　　　　-=ﾆ、
　　　　　　　　　/::{　　　　　　　　　ミヽ　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　ﾊJ::｛　　　　　　　　　＼ヽ
　　　　　　{V:::::::::7　　　　　　　､ヽ＼iﾊ　　　　　　　　　　　　「でも、勘違いしないでください」
　　　　　　ミ::::::〈^YW{ ｉ |　l | l　l　ﾊ |ﾚ'
　　　　　　个ｰ〈ﾍ.X W V ﾘﾉ},ハ} }ﾘ!　　　　　　　　　　　　　と、キル子は言った。
　　　　／　｜　ヽ.＼X ＿ '　人V
　　　 / '⌒ヽl/⌒ヽ'.　,＞ -.イ／｝　　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　｛　　　ヽ　　　∨　　　ﾉ　　ﾊ

884 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:30:29 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　 ,. . :-――- ．、
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : ::＼
　　　　　　　 /: : : : : : : : : :/. : : : : : :.＼
.　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : :/ .: : : : :.i: :､:.ヽ
　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : :| :._i: : :.ﾄ」:.|_|:i」!
　　　　　　　 |: : : : : : : :_: : ｨ（●）　（ー)
.　　　　　　　　 |: : : : : :.,ｨｹ! : |.　　　、　|
　　　　　　　 ! : : : : : ゝ､|: :.|　　　__ 　ﾉ　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 |: : : : : /:./ |: :.ﾄ､　　 .ｨ′
　　　　　　　　　 }: : : : /:.∧ |: :.|　/ 辷'l:.|　　　　　　　　　　　　　　　　　「勝ち目がなくても、私はやります。
　　　　　　　/:.:.:.／j:./　`j: :.|,ｲ＼　||:.|
.　　　　　　　 /:.:r'’∨∧.　 |: :!v}| 　Ⅵ! 》　　　　　　　　　　　　　　　　でも実は、今回は勝算があるんですよ」
　　　　　　　 /: : |　/:∧　＼|:.:ﾄ､||　　| |:.}}、
.　　　　　　 /:.-r=彡/　'　　|:.:l　||　　| |:.|l |　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　/ ／厂7/　　　 |:.:l＼|　　| Ⅵ..|
　　　　/ : : : |,ｲ/　　　',　 |:.:|　 | 　 |　!:! |
　　　　　': : : : :.|:./　　　　i,　|:.:|　 | 　 |　 Ⅵ
　　　　 |: : : : :.l/ 　　　 |　|:.:|　 |　　ヽ　 }〉
　　　　 |: : : : :.|　　　　　 |　|:.:|　 |　　　} 仆､

　　　　　　　　　　　＿　　 __
　　　　　　　　ｰ､―-ゝ `ｰ-､)`ｰ-､
　　　　　 ,.-=ﾆ´　　　　＿__,z――へ、
　　　　,.-=ﾆ´ 　　　_ノ: : : : : : : : : : : :ヽ.
　　　　　／, 　　　_ﾌ: : : : : : : : : : : : : : : :i　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　/イ　, 　_ノ: : : : :,ｨﾉ!/!,ｯ; : : : : : : :|　,　,
　　　　' /イ　_ﾌ: : : :/ﾚ'r_‐_‐_､ﾚ'!彡: : : ::lノlノ!ノ　　　　　　　　　　　「……そうかい。
　　　 '　/,ｲ: : ;.くi:ﾊ　X 'ヱ･>｀ﾌ: ｯ-､: : : : :レ' ,
　　　　　〃 |: /l: :/ ﾉ　 X｀ﾞﾞ'　く:.:/,んﾘ: : : : :Lノ!　　　　　　　　それなら、好きにするといい」
　　　　＿　ヽ! lλ‘ｰ_＿_｀X 　 ,ﾞ′∠:_: : : _;彡'
　　　　ヽ. ￣`ｰ‐ﾍ. 　―　｢￣￣￣´　　￣ /　　　　　　　　　　　医師は、まるで狐のようなもののごとく微笑んだ。
　　　　　 ,ゝ、　＿,ヽ__,..　!　　　／￣｀￣￣｀ｽ
　　　＿/＿_,.>./::/＾,＞―┘　　　/　　　　　　　/　＼　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヽ　　　　しﾍ∧　　　　　　　BLACKJACK　　　ヽ
　　　　〉、　　　/:/:::∧ /ー㏄Vーヽ　　/ー'ヽ/ﾆ〉㏄,　　　/ﾞー'ヽ
　　　 |　ヽ. ／:/::::/::..| ヽ┐ /〉＝〈∞＾V７ /〈二〉〃L､∞＾V７ /
　　　　|　 <__;;/_:_/:::::::i　 /／ '７／ /／/／◆／メ､!l7//／/／
　　　　　　　　　　　　　　´　　 ´　　´　 ´　　　｀″　｀′´ 　´

885 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:30:43 ID:LfEKVIbk0

───────────────────────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

───────────────────────────────────────────

.

886 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:30:59 ID:LfEKVIbk0

:::l洲:::::::::lllll／:.:.:.
-l洲,,,,／lll廴
;';';';';';';';';';';';';';';';'ヽ
:::洲l　,-llll{_ノ;';';';';'＼
;';';';'／,.ｲll|⌒ﾐ;';';';';';';')
７洲／/lll{:: ::　:.:~'´´´　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_＿＿＿＿__
(;';';';';';';';'ミzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz,.ィ升三三三三三ﾒ,
l洲　/,l洲､'//'//////////////////////////,ｲ三三三三三三ア/ム
l洲 //l洲トミ=========================,ｲ三三三三三三ア/,<'//,＼
}洲 l＿洲l_|__|＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＞く三三三三三三ア//ｲｌ| `'ミ//,＼
}洲　.|洲ｌ |　l　 |　　　　　　　　 l二ア´三三三三三三＞く彡イ:::|::|　　/`'寺/≧=ァ
l洲zzz|洲l |　l　 |　　　　　　　　　`寸ZZZZZZZZZ彡イニニニニニﾆ7　_二＞＜
l洲￣ }洲lｺ　|ニ|ニニニニニニﾆﾆ|| l＼＞´／￣l:l::|￣¨ア￣￣７__./二＿_|　　 |
===ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二二二￣￣￣7‐‐=彡_ ∠___∠」jｌ:|__,ｨ───/__/＿＿/_| ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/___/i:i:i:ｉ:ｉ|:|:::|:|:::|:|:::|:|:::|l‐.|:|::|　.TT　　　　＿＿＿＿_,,
ﾆ=-　」j'j'j'j'j'j'j'i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|」」」|i:i:i:i:|:|:::|:|:::|:|:::|:|:::|l　|:|::|　 |::|「「「「i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:.　その晩、設楽場できない夫の屋敷は
　　　　　　　　￣　=-　」幵幵:i:i:ｉ:i:|:|:::|:|:::|:|:::|:|:::|l　|:|::|　 |::||i:|ｉ|ｉ|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
　　　 .,:'´￣:｀ヽ　　　　　.二ﾆ=-[二二]」∟∟」L.l:|::|＿|::||i:|ｉ|ｉ|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i　地獄のごとき有り様と化した。
　　　 /│LiLﾊ i　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ=-　.」_||i:|ｉ|ｉ|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
　　　 |::::|ii ﾟ -ﾟﾉi|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　=-　　i:i:i:i:i:i.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |:::ﾊヽyヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣
　　　 |:::U===l)
　　　 WLl_＿l
　　　　 ∪.∪

887 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:31:17 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:;:;_`::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l:/　 `ヾ;. 　l　 /
　　　 ,..-―‐-､　　　　　　　　　　　 |:{ 　 .: :. ﾞi,　 . ′／　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　／､　 | .l .l .lつ　 γ::;ﾆ:; ､　　, 　-┴'ｰ-　...,,λ
　/　　l__ﾉノノ-'　　 .l::/　　`:;>'´::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ　　　　　　　最初に死んだのは、できない夫に飼われている
./ ヽ―/￣´　　　　ﾞ;{　.: : ,j':::::::::::::::::::::::::, - ７::::::::ﾞ:,
　　　 ,'　　　　　　　 .ヾ　,;:゛:::::::::r‐- ､::::::Ｌ fえﾌ:::rvﾞ,　　　　　模部拳四郎という名のごろつきである。
　　　.l　　　　　　　 .У::::::::::::::`rｭ､」:::::::::::::;;:::::::i　 i
　　　 ',　　　　　　　　 ,'::::::::::::::;;;:＾ｰ''¨:へ;::::;;i _｀`′ !　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 .l　　　　　　　　 }i;::::::::{`⌒ヾ:ｼ′ γ､´r:}　ｆ　{
　　 /l、　　　　　　 jji;;::::::ヽ,　　　　　 `''_ｪ´-ｨ　λ
ー''"__/￣"''‐＜￣￣｀..ﾘi;;;:::::::::"'::,　､`ｰ ''¨ _,. ノ　彡
／´　ヽ、　　　ヽ　　､≫：;;_::::::::::',　｀￣　"ﾞ　 ,.:ミ.
　　　　｀''-..,,_　　　　 .,' 　ヽ."''>:>;ﾘﾊj,.,,､ゝ＜_　　￣｀ヽ、　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.、　　　　　　　　　 /　　　　　￣￣　　　　 l　　、　　　 .',
. ｀"''-..,,　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　ヽ　　',　　　　ヽ　　　　　　　夜半、倉庫の酒をくすねようと部屋を出た彼は
　　　　｀"''―-イ　　 /　　　　　　　　　　ヽ　/　　　 /＼
　　　　　　　　　ヽ.__ノ　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　　　 -'　　ヽ　　　　その途中、中庭に佇む黒髪の少女を見た。
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 "''-　　ヽ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 / ｀''-,,　　　　　 ',. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 /.　　　｀l ／　　　ヽ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　 |　　　　／　　　　　 l

;i;l:|;li;|:l;i;|;i:l:|i;l:l|:i;li|l:i;l|:i;li|;l;i:|;i:li|;l;i;|l;:i:|i;l:i|;l:i:|i:;l;|l;i;l|:i:l;|:;i:l|:i;l:|:i:ｌｌ|:i:l:i:l:|ll|:i;l;|i;l:i|;l:i;|;li;:|;l;il|:i;l:|l;i
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三lｌ|:l:i:l:i:|ll三三三三三三三三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:i:l:i:l:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:l:i:l:i:|
　　　　　　　　 ,　-‐‐-　、　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　 ./:f:i|,:::l_:::l_::i::i::::i:::::l　　　　　　　　　 .――他の連中が連れ込んだか、あるいは買った女だろう。
　　　　　　　 .|:::|（●）（●）;::::|::::|
　　　　　　 ` !　｀　　 .|:::::|::::|　　　　　　　　　　　拳四郎の想像力は、少女の正体をその程度にしか考えない。
　　　　　　　 i:`/｀ｮy-‐|:::::|::::|
　　　　　　　 |/　　 > .ｲ.|:::|::::|　　　　　　　　　「こいつはいい、俺の相手もしろ。拒んだら、分かるだろ？」
--ミ:_:_:_:_:_: :_:_　|{ 　 /─-| |::::|:::|
--／-､三三l」__.|> ./＿＿| !':::|:::| .ｧr'´｀ヽ,....----､.　笑いながら、彼は魔法少女にそう声をかける。
‐‐ゝ--r＜二＞/ V┴─|___,'ヾ|　ﾌ⌒⌒´`ー‐‐‐‐
三ｿ-‐'⌒'ー‐‐'.＼| |　　 lrｪﾘ　}　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　 | |　　　|　,ｲ　　　　　　　　　　　　　　 |:l:i:l:i:|
..zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz |:i:l:i:l:|zzzzzzzzzzzzzzzzzzz
..／　　　　／　　　／　　/　　　/　　　/　　　/　　　,'　　　　 .|:l:i:l:i:| ∨.　 ∨　　　ﾍ　　ヽ

888 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:31:34 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |;'i/:j|＿＿_| 　l'i,:|::||:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / |┴─ |＿_,'ヾ| ||
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾔ|　　　lrｪﾘ　}:| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　 |　 ,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　ﾚ'´|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　　　.|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　＿　＿＿＿＿＿　　　　 .|_:|＿＿＿_,|
　　　　　　　　,:.´:.,r''"´ヽ_,,.､　　　　｀ヽ　　　.,ﾍrﾘ　ﾄｰ}　　　　　　　　　 .次の瞬間、模部拳四郎は死んだ。
　　　　　　 ,'r'"´　　　　　｀ー=ﾆ..,,ﾄｭ_,.}-ｧ. 　`ｰ' 　`ｰ'
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　／ｰ- ..,,=-――――――- ..,,_ 　　彼の命は瞬く間に、壁や床を汚す血糊や
　　　　　　.{　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_;;;::::=::;;,_;;;;;｀'
　　　　　　 ',｀ｰ-､　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r''''"´　　　　　｀''ヾ　　.悪臭を放つ臓物になって、それで終わった。
　　,.......xｭｮｮ.｀￣｀ｰ ..,,_　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／;;;;;＼
　　`寸圭圭圭}　寸圭.｀ｰ ..,,_　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,r'´￣＼;;;;;;;｀ｰ .,_. 　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　｀¨¨¨¨´ ,佳圭圭圭圭.｀ヽ_{_ノ｀ヾ＝-'´　　　　　＼;;;;;;;;;;,r｀ヽ_ _
　　　　　　{少r:ゞミ王王圭圭圭圭少'´￣¨¨¨´　　　　　　.｀ヾ{´⌒}r'´ ｀ヽ
　　　　　　　 {圭圭圭沁　｀¨¨¨´　f壬心　　　　　　　　　　｀￣´｀ー‐ '
　　　　　　　　寸少'￣ r劣}　　　弋圭ｦ
　　　　　　　　　　　　　￣

　　　　　　　　　　　　　　 |il|il|il|il|il|:::|i Ⅳ
　　　　　　　　　　　　　　 |il|il|il|il|il|:::|i /
　　　　　　　　　　　　　　　ｰ=ﾐY|il|il|il|il|il|:::|il|
　　　　　　　　　　　　　　　　　ミ1三≧ il|:::|ilト.　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　彡/　｀ヾ::::ゞ=彡∧
　　　　　　　　　　　　　彡ｿ　　　＼:::::／　|　　　　　　「おい、どうした？　なんか妙な音がしたが……」
　　　　　　　　　　　　　　　彡::}__,,r:::::::::::ｪ::::::::::y、
　　　　　　　　　　　　　　彡::｢t￣`ｰ='7⌒ｰ=''〈}　　　　　　偶然現れた二人目もまた、黒髪の少女の姿を見た。
　　　　　　　　　　　　　彡::人_,　l　ノニﾆ　 /ﾉ
　　　　　　　_＿ ..　-=彡.:::::::/　|　|　{-─-{{　|　　　　　　　 .血濡れの刀を携え、足元に死体を転がすキル子の姿を。
　　／´　　　　　　　 `ｰ=彡''　　＼` 弋三ﾖj ∧ｰ── - -
　〃　　　　￣￣￣＼　　＼　＼_＿＿/ ∧＼　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
//　 _＿＿＿　　　　 `ｰr　 -=ミｰ-　_＿彡'' }::.. }´￣｀ヽ.　　ノ　ノ
{{ ／/　　　　　｀ヾ　_＿＿人＿＿/∧ｰ一 ” 　弋从　　　 }_＿彡"ヽ
　`ｰ{　　　　　　　　 _才　　｜:::::::::::::||　　　　. 　 Ⅵ:::`ｰ=彡　　　　　}
　　　|　　　　　 _才"　　　 | |::::::::::::||　　　 :　　Ⅵ:::::::::∧_＿＿__ 人
　　人＿__才"　　　　　　 | |::::::::::::||　　　　 i　　 Ⅵ:::::::::::i　　　　　　|

889 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:31:49 ID:LfEKVIbk0

　　./　∧　　　　　　　　 .＼＼
　 ./　/∧　　　　　　　　　 .,. ＼＼从/
　/　.//∧　　　　　　　　　　　　そ　　て　　／￣￣￣￣ヽ
　　////∧　　　　　　　　　 i´￣｀ｸ、./:::::::::::::::　　　　 i
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､../＼　|:::::::::::::::::::::::　　 !
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､..‐-ゝ:::::::::::::::::::::::　ノ-=,,,_　　　　　　　r‐-、
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.　　　　　　　　　　　￣'''ー-‐=='　　i
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|.::::::::::::::::::::::::::　　　　___　　　　　　　　　,,ノ
　.////////∧ |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|　:::::::::::::::::::::::::::::　　ヽ､.￣'''''''＝=.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|.‐ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::　　ヽ
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|.　.,,斗-‐‐==‐‐- ､　　 i　　　　　 .「……魔法少女だ！　魔法少女が出たぞ！
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|　/　　　　　　　　　ヽ　　.i../
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|./　　　　　　　　　　 i　　 ! ,.-､　　　　.おいてめぇら、獲物もってコイツを殺――」
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|.'　　　　　　　　　 i　　 ´　/.
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|　　　　　　　　　　　　i　　_／..＼. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||　　　　　　　　　　　｀￣　　 .＼＼
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′　　　　　　　　　　　　　　　＼＼
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　｀　　　　　　 i"Ⅳ　/　　　　　 /圭圭Ⅳ　　　　　　　　　　　　　　　　il ｌ′ 　　　　ｨ幺圭圭圭圭圭才㌢
　　　　　　　　　　　ｌⅣ 　."、　　　　/圭圭Ⅳ　　　　　　　　　　 _　　　　,,i!!″　　　　 . ｨ幺圭圭圭才㌢ｰ'″
　　　　　　　　　　/./　　　 l｢　　 ../圭圭Ⅳ　　　　　　　　　 ,,iｌ″　　　.´　　　　ｨ幺圭圭圭才'"
　　　　 .,i''l　　 .,〃　　　 .〃 /　 ./圭圭Ⅳ 　　　 .,．　　　　 _ /″　　　　　　ｨ.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　,ｌⅣ　　〃　　　.,〃 ./ 　,/圭圭/ 　　　 .／　　　　 ,r'./ 　　　　.,　　　ｨ幺圭
　　　.〃　　 ./l　　　､〃　,iｒ　/圭圭/ 　　　.,〃　　　　.,ノﾝ′　　.,,ir'"　　ｨ幺圭圭. 　叫び声はそれで終わる。
　　〃　 .,ﾉ~;/　　.,/./ .,ﾉ/ /圭圭Ⅳ　.,.. |″　　　　,i'ﾝ"　　　,iｉ'"　.,..-'ｲ圭圭Ⅳ゛
　 .il″　/圭Ⅳ　,ｨ彰i彡'ﾞi/'"圭圭圭込才Ⅳ　　　　,-/'"　,.. ;;/!"._.刈圭圭圭Ⅳ_..-　代わりに壁床を濡らす紅色と、
. ,i|′ ,/圭圭レ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭|　　,iｌ!ﾝ''／...-彡 '',ﾞ..ｨ幺圭圭圭,ｨ幺圭才
// 幺圭圭ﾚﾞ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭Ⅳ. |/‐才ンｨ幺ﾞ‐'ﾞ圭圭圭圭才ﾞ‐'''^ﾞﾞ''″　　..漂う臓物の臭いが少しだけ濃くなった。
/幺;圭圭〃圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭込ｨ幺,iﾃｱ´圭圭圭圭圭圭才"　　　　　　_,,,
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭才　＿_..;;ﾒ｀-ｰ'"゛.　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭i彡ｨ幺圭才　　　　　　　　ｨ幺圭圭圭圭圭圭圭圭
圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭才'´ 　　　　　　 _..- _ｨ刈圭圭Ⅳ 　 .ﾞ'''ﾞﾞﾞ´　,,-''"
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

890 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:32:02 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　 _＿＿_ _
　　　　　　　, .:´:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　 ,' :::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::i
　　　　i :::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ::::::::::::i
　　　　i::::::::l::i::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ｌ::::::::::::l　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|:::l::::l::|.（ー）￣（ー）Lｊ:::::ﾄ､:l::::::|
　　　　L:l::::l_i　　　、　　　 |::::」ﾉ」:::::l　　　　　　　 ……静かだった屋敷が、にわかに騒がしくなり始める。
　　　　　￣ﾊ　　　　　　　　 iﾚ::::i:::::::::l
　　　　　　 i: :＞／ ⌒ヽ _, ィ´i:::l:::::::::|　　　　　　　集団の駆ける乱雑な足音と、殺意を孕んだ叫び声が
　　　　　　　|: ／　　　　レ'｀ヽl:::l:::::::::|
　　　　　ﾉﾚ'　　　　　/　　／ヽl:::::::::|　　　　　　　魔法少女の耳に届いた。
　　　　／　　　　　　/　／　　　＼::::|
　　　 /　　　　　　　/／　　　　 |:::i　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　/　　　　　　l/　　　 / ,.　　 |::::|
　　　ヽ/ 　　 /　　「￣｀7´　　　 |:::::|
　　　　l　　　/　　！_ ＿/　　　　∧::::|
　　　　|　　/　　　！　 /　　　　　|　ヽ!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　／　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 lヽ　､
.　　　　　 ′ 　　､　　 /　　　:. 　 i　　　　　　　　/i／i／i／i ,　　　　　　　　　　　　　　　 i＼ |　ヽ!ヽ
.　　　　　 l　　=＝､〉iliく　,＝= 　　 l　　　　　､ .|`: : : : : ; : : : ' i　　　　　　　　　　　　　　ヽ､_|　 `
.　　　　　 l　　　’彡ハ三ﾐ,’　" 　 i-､　　　 !ミﾐ´゛゛゛""""ヾ彡',.　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 ,ヽ!　　　　　　　　　　　　 =ﾘ　　　､i: :ﾐ､＿　＿,＿ﾐV/
　　　　 {k 　　　　ノ`-=-'ヽ　　　/ ｋ/　　　　ヾr////.几////ュ'　　　　　すぐに人が山ほど押しかけてくるだろう。
　　　　`戔　　　　　　　　　　、　r-'　　　　　.r-i ￣　,　￣　　ト
　　　　　　 .i　ー=＝＝ニﾆ` '.:　i　　　　　　 .ﾏ !　　　　　　　,!ﾉ　　　　...できない夫は金と権力にものを言わせ、
　　　　　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　｀',　ｰ=＝-‐`,
　　　　　　　_i　＼＿＿＿＿／ﾄ､　　　　　　　　　＼　　　ィ　　　　　　　先のようなごろつきを私兵として数多く囲っている。
　　　　　＜　!　　　　　　　　 /　＞､.＿　　　　_ !: :｀. .´: :!_
-―‐く　　. : : :　　　　　　 . . . . .　　／//＞,　＜/ : : : : /: |/ヽ　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
/////＼　 : :　＿ヽ ..　 /＿: : : :／//////　　　　ヽ　 _ノ///`ー､　　　 .从彡/¨´_メヾヾ　　　　　　／/ゝ　 ///
l///////＞　､＿ .`　　 '＿,　＜///////　. . .　　　 ∨/////////`ー--､[///]-[///]i!i!`　　　／//　　　///
.l///////////////////////////////: : : : : : : .　　 }//////////////∧￣ .' ￣´ ,ﾉi!　　＿／///`ー―////
..l//////////////////////////////: :　 : : : : : : 　 i///////////////∧ｰ==‐ ' ｨ/　　 ///////　　　 ////
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

891 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:32:15 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　 _＿＿_ _
　　　　　　　, .:´:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　 ,' :::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::i
　　　　i :::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ::::::::::::i
　　　　i::::::::l::i::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ｌ::::::::::::l　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|:::l::::l::|（ー）￣（●）Lｊ:::::ﾄ､:l::::::|
　　　　L:l::::l_i　　　、　　　 |::::」ﾉ」:::::l　　　　　　　　 .「まあ、そうね。練習ぐらいにはなるかしら」
　　　　　￣ﾊ　　　　　　　　 iﾚ::::i:::::::::l
　　　　　　 i: :＞／ ⌒ヽ _, ィ´i:::l:::::::::|　　　　　　　　 .綻びかける口元を押さえつけながら、
　　　　　　　|: ／　　　　レ'｀ヽl:::l:::::::::|
　　　　　ﾉﾚ'　　　　　/　　／ヽl:::::::::|　　　　　　　　 .キル子はそのように呟いた。
　　　　／　　　　　　/　／　　　＼::::|
　　　 /　　　　　　　/／　　　　 |:::i　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　/　　　　　　l/　　　 / ,.　　 |::::|
　　　ヽ/ 　　 /　　「￣｀7´　　　 |:::::|
　　　　l　　　/　　！_ ＿/　　　　∧::::|
　　　　|　　/　　　！　 /　　　　　|　ヽ!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　ｨ辷fｰr-r------------ｨ-r一ヽ　、　　　　 .かくして戦禍のように分別なく、
　　　　 , '/〃__{__{__{___|___|___|___|___}__}__}__}__ﾊ　}
　　　　.{ { <　__ __ __ __ ___ ___ ___ __ __ __ __　> } i　　　　　 .少女はこの世の地獄を産み始める。
　　　　　　　ヾ::{　{　{　{　|　 |　 |　 |　}　}　}__l＞’
　　　　　　　　｀￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　　　　　　 .けれどもそれは布石である。全ては水銀燈に勝つ為の、
　　　　　　　　｀ｰ───────´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そしてできない夫を殺し、己が悲願を成す為の。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

892 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:32:27 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
..　.寸圭圭圭圭/:::::::::::::ゝヽ‐''"｀ヽ-.、::::::|.　　,;'　 |　.ｲ:::|圭圭圭圭圭ヽ|　　　　 ;' |
　　　.｀`x圭圭/　　　ζ　　　　　　　ヽ::::|　 :' 　 |　 /,,-''圭圭圭圭圭ﾘ|　　　　;'. ﾊ
　　　　　　.￣'´　　　 /　　　　　　　　　 l:|　　　 |　 |:ヽ圭圭圭圭少　|　　　 ;'ヽ .ﾘ
　　　　 .／:::::::::::::::::::::/　　　　　　　 |j　　　..| 　|::::::＼　圭圭圭K._i' ';　　 '　} /
　　　.／:::::::::::::::l::::::::::ヽ　　　　　　　 |　　　　{;　 | 、::::::ヽ圭王圭　| ,;;　　　..| !
..　.／::::::::::＿:::::::｀ヽ_,,..-|　　　　　　 /,, .."".｀i'" /:::::::::::::::/ '´￣¨¨¨|:;;'　　　　'l ｀i
.　l::::::::::::::::::┴┐／　　｀"''''''v_,,..-''"´/'',-''" 　 l,:./::::::::::::::/　　　　　 /'　　　　　.!　.|
..　.ヽ、:::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　_,l '' 　　 ,:'　{::::::.┏━━━━━━━┓.: '　_>‐{
　　　.＼:::::::::::::::::::::＼　　　/――‐‐'ヽヽ　　 . !､ .ヽ'"　　　　　　　　　 ,､ン"'=||=＼
　　　　...＼:::::::::::::::::::::＼　ヽ　　　　／　.} _,,..-'' ./　|　　　　（中略）　　　　..､ヽヽ.ヽ=||=＼
　　　　　　.＼:::::::::／／‐-.._＼_フ‐'　　/　　　　.|　 l'　　　　　　　　　　　　　｀ヽヾヽ　＼彡=｀ヽ
　　　　　　　 .＼〈／Y´ 、ヽ_〉　　　　 .ヽ＿_／又ヽ{. ┗━━━━━━━┛.ﾞ"ヽヽ､_　 .|､＿,,ﾉ）､
　　　　　　　　　　　ヽヽ Y__/　　　　　 |ﾍﾍ　|.》《| .l　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾞ　―‐ ´ .ﾘ
　　　　　　　　　｀~´　　　　　　　 lヽi|　 |》《.|.ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''''''''''' ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ |　ヽ==ヽヽ,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'lヽ　/､　　ﾘl､l　　　　　　　　　　　　　　　 __　　　　 .l　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､ヽ､_二彡ﾘ　　　　　　　　　　〈.　｀ヽ　　 r'′,/｀''‐‐――-.、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ-==-´　　　 ,..xｭｭｭｭ､　　 _,,...--‐ ┘-.、|. 　ヽ.r'´::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {圭圭圭／::::::::::、::::::::::::::::::| }　　＼::::::::_,,-'⌒::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __........__寸圭圭l:::::::::::::::::::｀ヽ.::::: ／´ 　　　／::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.......xｭｮｮｭｭ.、,....ｨ升圭圭圭圭圭圭',:::::::::::::::-‐''"::::::￣"'''::‐‐-v' ::::::::::::::::::::::::::::/
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

893 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:32:49 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,,illllllllllllillii,,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,iiilllllllllllllllllllllllllll,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,illllllllllllllllllllllllllllllll
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : illllllllllllllllllllllllllllllllll′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,lllllllllllllllllllllllllllllll!ﾞ°
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,,,iiiiiillllllllllllllllllllllllllllll!ﾞ゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,,illllllllllllllllllllllllll!!lﾞﾞ￣
　　　　　　　　　 ,,,,,iiiii,,,,,_　　　　　　　　　　 : ,,lllllllllllllllllllllllll!!ﾞ｀
　　　　　　　　　.._,,illlllllllllllllllllli,,,　　　　　　　　　　llllllllll.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 .,,,illllllllllllllllllllllllllllllll　　　　　　　　ﾞﾞﾞ!!!!!
　　　　　　　,,lllllllllllllllllllllllllllllllll!ﾞ　　　　　　　　　　　　　　　――にぢにぢと、濡れた足音を立てながらキル子は歩く。
　　　　　 : ,iilllllllllllllllllllllllllllllll!ﾞ｀
　　　　　,iillllllllllllllllllllllllllll!lﾞ”　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　,,,illllllllllllllllll!!!!lﾞﾞﾞ″
　　_,,lllllllllllllllllll!ﾞ’
　: .llllllllllllllllllllll、
　: l!llllllllllllllll!!ﾞ
　 : .ﾞ!!lll!!ﾞﾞﾞ°

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y:ヒ、　 ,、　　　|| r┘.:|-┐|.;|:|::|:::::::|:::
工|工|工l工エエｴl＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `=|;:{二　 |:|　/＼.||...::/〉:::::::,⊥;:|::rｪｪェェ
__|＿__|_,工工]エｴ}ﾆTニ7〉ｪｪｪｭ　　　　　　　　　　　　　　　　|;:厂 .r┴:/.::.:.└┐/.::: __|_rェェｴlエ工
＿|＿|_;工工]エlｴ|-[]─[[:ﾛ::ﾛ:{　　　　　　　　　　　　　　　 |:;| 　 |..::::'┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
__|＿|＿l工工;エｴ|＿＿__]〕ﾆlﾆl　　　　　　　　　　　　　､.v,,!;:.v､ﾐ.:ゞ;y
＿|工|_;工工]エlｴ|┴┬／>─‐>　　　　　　　　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv　辺りはすっかり静かだ。生者の痕跡は殆どなく
__|＿|二l工工;エｴ}┬／／.::::／　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ,v,,v,vゞゞ;;
＿|＿|_,工工]エlｴ}／／.::::／v､::.;.;...　　　　 ;.w;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ':ヾvv'w:,ゞ;;;ヾ.:;. 　ただ転がった骸と、それの放つ悪臭だけが
__|二ｌ＿l工工;エｴl／,,;;,／　　　　....-::.;.;::.::::-..... .. .... . ... ... .`"''､v,;.wVゞ
_|＿|＿l;;工工;エｴl-_L-|,,;..v､　　　 ....::. ::: .:.;:へ.;.'.. .＿... .'..　__　｀.';;::....　.かつて生者の居たことを辛うじて示している。
､.v,,;..v､, 工工エｴ|-l_ L|vゞ;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ',,,ゞ､.v,,;..v､ ~~. .::/vへ＼-/:/＼へ .
ゞ;爻彡ヾ;ゞ;yゞ､.vk,,..vｌ,|ゞﾞ;ﾐﾞ､.v,,;..v＜＞'ﾆﾆTﾆニTニTニ>/./,:､:.:.＼;..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
”v:";v;oゞゞ;yゞ　ゞ;爻彡ヾ;,,;..v､,...:/ ./:/.ー～「l─「l─「l-|:|.／ <;~~`.::: llニコ;;::／>.爻v;oゞ;ゞ彡ゞﾞ;
.:ﾞ;ゞ;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ':,oヾv”v':,ゞ;;ﾐﾞ'爻。....:~~'～<二二二>~　~~　~／ <＼＼　　　ゞ;ヾ.<／:ゞ;yゞﾞ;;ﾐﾞ':,;oゞ;ヾ;
.:ﾞ;;ﾐﾞ':,”:";oヾv;;ﾐﾞ'爻vゞ;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ':,;.;:: .:.　....　 ..'　 .　　....::.;.~~`´:~:.::~~.~`.... .. . __　ゞ;ヾﾞヾ;ゞ;yゞ;ﾐﾞ':,ゞ.彡
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

894 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:33:04 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀　　　　　もはやこの屋敷で、人が死んでいない場所を探す方が難しい。
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!　　　　　　　 .どこへ行っても骸と血溜まり。漂う死臭が鼻をつき、
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|　　　　　　　　　目に映ることごとくが赤黒い何かに染まっていた。
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

　　　　　　　　　　　　 |　　 ||
　　　　　　　　　　　　 |　　 ||
　　　　　　　　　　　　 |　　 ||
　　　　 ┼┐─　　　　　 |　　 ||
.　　　　　　￣|　､､　　　　...| 　　||　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 ┘　　　 |　　 ||　: "´ ￣｀ : ､
　　　　　　　　　　／　 |　　 ||.::::::::::::::::::::::::::ヽ::､　　　　　　 .そうして地獄のごとく、戦禍のごとく歩んだ果てに、
　　　　　　　　　／　　 |　　 ||::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
　　　　　　　　　　　／|　　 ||i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|　　　　　　　　キル子は最後の部屋へと辿り着く。
　　　　　　　　　　　　 |　　 |||（●)　 (●）|::::::|:|
　　　　　　　　　　　／|　　 ||.| 　　､　　 |_::::|::|　　　　　　　魔法少女は濡れた足袋を脱ぎ捨ててから、
　　　　　　　　　　／／|　　 |||ﾞ:､_　‐‐　_,.ｨ|:｀::|::|
　　　　　　　　／／／／|　　 ||.:::::/ ヽ//ヽ:::1::::|::|　　　　　　そっと部屋の襖に手を掛けた。
　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿|　　 ||.::/､ ,/　　, ﾞ.|:::::|::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｒ─-､ i┴─‐. i　|:::::|::i　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　 {二　 |.|＿＿＿|　l'i,:|::||
　　　　　　　　　　　　　　　 └┐_ノ.|───|_,.ｨﾔ|::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　||:::/| 　　　 lrｪl}:| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 || 　| 　　　　:|　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ||ゝ:| 　　　ﾚ'.

895 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:33:39 ID:LfEKVIbk0

　　　　`'弌is｡`'く>>､＼ニﾆﾏﾑﾆニﾏﾑニﾆ:|:|ニニｉ||ニﾆﾆ∥ﾆニ//ﾆﾆ//ﾆﾆアxく>>'´　　,ィ㌻　 :|::|
.　　　　　　|::ﾄﾐs｡`'く>>､＼二ﾏﾑﾆﾆﾏﾑﾆニi:|二二||ニニ∥ニﾆ//ニ//ニアxく>>'´　 ,ィ㌻　　 .|::|.
.　　　　　　|::| ｀'弌s｡`'く>､`ー‐`ー‐‐┴─ ┴─ ┴─‐┴‐─'─‐‐"─くく >>'´　,ィ㌻　　　　 |::|
.　　　　　　|::|　　｀'弌s｡`Y´¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨｀Y´,.ィ㌻|　　　　　　　|::|
.　　　　　　|::|　　　　 `'弌ＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺ:||彡'´..|::|　　　　　　　|::|
.　　　　　　|::|　　　　　　 :|　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i:i|　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　|::|　　　　　　 :|　　　　　　　　　　　　　　　　　 |i:i|
二ﾆ=‐　　 |ﾆ=-　　　　　 :|ＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺZＺZZZZ|　　　　　　　　　「……おーおー、本当に生きてやがったのか。
-=ﾆ二三二ﾆ=-￣_=-　,,,_|　 |　|￣~~|　 |~￣~|　　|~￣~|:::|i:i|
. 　　￣”“l|::|￣ ||　ｰr =-￣ |　||￣.:||　 ||..／￣￣＼..::||:::|ＺＺＺＺＺＺＺＺＺZ. 　昨日、たしかにぶった斬られてたよな？
　　　　　　||::| 　 || 　 l| |i:i:|￣|　||　　||　／　「　　ヘ＼:::|i:i|＿||＿||＿||_,,,
　　　　　　||::| 　 || 　 l| |i:i:|　 |　||____,l|.　| 　（●）（●）　| _|i:i|￣￣￣￣~|~ﾞ. 　誰かに治療でもしてもらったの、お前」
　　　　　　||::| 　 || 　 l| |i:i:|　 |　|ﾆﾆﾆ|.　|　　　　 |　　　│.|i:i|::　━┳　　|
　　　　　　||::|　ｏ||ｏ　l| |i:i:|　 |　　　　　 .|　　　__´___　　 | :|i:i| _lｌ_　┗━━┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　||::| 　 || 　 l| |i:i:|_ ┴───/.|　　　`ー'´　　.| ,|i:i|ｰ||───'s｡.|ト |l,_　ll 　 :| |　　 :|::|::| |
　　　　　　||::|　 _||_ -┴ァ'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ. ヽ　　　　　 /.ﾆ|i:i|ﾆ||ニニニニニ≧s｡.｀|ｰ- | |__　　.|::|::| |
　　　　　　||::|‐'"_,.｡o≦===========ァ'=〕ヽ　　　 /..=====爪============｀'＜≧s｡.,｀` ┘|::| |
　　　　　　||┘≦────────'──./　　　く..───rx‐､================｀'＜≧s｡|::| |
　　　　 ,.　´￣￣￣￣￣￣￣￣￣ｱ￣￣..|　　　　　|　￣￣＼＼＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ≧s｡| |

　　　　　　　　　　　／￣　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　 i
　　　　　　　　　　i　　　　　 '
　　　　　　　　　ﾘ._ 　　　 /
　　　　　　　／-: : ｀: :.､／　　　　　　　　　＿
　　　　,. .-: ::´: : : : : : : :｀': ,　　　　　　　　　　 ,. ≦._　ヽ
.　　　,'; : : : : : /: : : : : : : : : ＞.､　　　　　 .〃´　　｀ﾐ‐-　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　!i: : : : : : : : : : : :.／: : : : :/　　　　　　　 ″　　＼ヽ＿_｀ヽ _　 -‐-
.　　 ,':i : : : : : : : : : ; ': : : : : : :/　　　　　　 .Ⅷ 　＼＼'，　￣　　　　　 .できない夫は、まるで平坦な口調でそう言った。
.　　 !:.l: : : : : : : : :.i: ; ': : : : :./　　　　　　　　ヾ　＼　､＼
.　　i: :.!: : : : : : : :.,!: : : : : : :/　　 .､__ヽr=三≧-､＼｀ミ　　ヽ､,ｨ彡　,ｨ. 　数多の屍を産んだ魔法少女を前にして、
　　i: : i: : : : : : : :,!: : : ; : :./　　.ｰ=三三三三三三≧;,;＞｀ヾ　､　. ミ. ､≦
　ﾘ:.ヽl: : :i: : : :.i' : ;: ': :.:/. 　ｰく三三三三＞三彡´;;;;;;;｀ﾐ三＼　｀ヽ .'，､..　.彼は小指の爪先ほどの焦りも見せていない。
.　｛: :ヾi: : : : : :ﾘ: : : : : /　　......'´'⌒√´￣ﾑ＝/'´;;;;;;;;;;;;ム;;ｒ ´ ｀ヾ￣ミ⌒
　　'; : :.i: : : :./: : : : : :/i､　　　　　　　　 |;;;;|´;;;;;;;;;;;;;;{.|;;;;|　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 i: : :.!: :./: : : : : :/: :,:i　　　　　　　　 |;;;;|;;;;ﾞゞ_;;;;;;i !;;;;!
　　 |: : :.l:/: : : : : :/: : : :.ヽ　　　　　　　 |;;;;| ;;;;;;;;;;;;;;;! !;;;|
　　 |: :_./: : : : :.:/ : : : : : ﾘ　　　　　　　　 .l;;;;;!´;;;;;;;;;;;;ヽi;;;;!

896 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:34:04 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , - ' ´孑ヌ -｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／j⌒__{ 辷杉'r'￣ヽ-ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:'イ ,::　　r--t____, ､　 t::.. ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/i　,　_r'￣　　　　ゝ'´Y　`Y
　　　　　　　　　　　　　　　_,.--}〃/　 '　　 /!'　　 }| 　 !廴ヾ｝
　　　　　　　　　　 Y::>'´ィ:::}|　|　{　i　/ }|.| ., /}| /ｲ }　　}:ヽ
　　　　　　　　　　 _　 zV/:/:::/.{　i　===x.　j |/ｲ.x===/　　ﾘ::::ﾊ
　　　　　　　　 r≦´＜.／`/:::/ 八　Vi {ﾟ::ﾘヽ　　'´{ﾟ:::ﾘ〃 .／::_:::/
　　　　　　　彳　／　 /´ ! 　| ＼ﾍ｀¨　　 , 　｀¨厶イ/{:{ヾ.',
　　　　　　　 , '　　 ≠/　{　 {',　　ヽ　　 ,　、　 / { i:| |:|.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 /　　　／'　ハ　ヾ､　　{:＞　.　　. ＜:{∧{ i | |
　　　　　　　　/　　／／　/　 ∧　V＼ V:ﾉヽ孑 'ﾊ_,､!:::ﾍ-:| |　　その傍らには、もう一人の魔法少女がいる。
　　　　　 /　／／　　/　〈　ヽ ∨ ＼　／ j}､ヽi}⌒ｲ　:り!
　　　　　 ./／／ ,:'　 ./　　 {_, : ´ ＼　Y{　ヾ:/>＜ﾆﾆﾆ≦　}.　.――人形剣の体現者、水銀燈。
　　　　　 /,'／ィ'　　./　　／　　　　　　r ∨{r===t_j⌒ー'´
　　　　　 .{,'＜　/　/./　　〈　　 , -- ､_:. ::{　７､　　ヽ　〈薔〉　　彼女は何とも言えぬ表情で、キル子の姿をじっと睨んだ。
　　　　 | 　 ./　/./　　　　ヽ　　　r==x　i　　Y__,.､　　　V 7
　　　　　　 ./　/ ,′　, ｲ　／ﾌY　　　 T　　　　　ー─-v...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　7　,'　{ 　 ,:'./　, '〈:/ }::',　　　 |ﾍ　-:::::::::::::' r≦::::ヽ: } 　 i　.∧
　　　　　　　|　'　｜　' /　/　ﾉ／}/　　　 ! j:ヽ　　　ヾ≠i∨',::i 　 |　　 }

　　　　　／￣￣＼
　　　　／　　　「　　＼　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|　　　（ ●）（●）
.　　　　| 　　　　　　|　 l　　　　　　　　　　「……うわ。なんか臭うと思ったら死体だらけじゃん。
　　　　 |　　　　　___´__ﾉ
.　　　ｌ^l^lｎ　　　　　　 }　　　　　　　　　　どうすんだよ、おい。俺は明日からもここで暮らすんだぞ。
.　　　ヽ　 L　　　　　 }
　　　　ゝ　ﾉ　　　　ノ　　　　　　　　　　　　　　　殺すなら殺すでもう少し後先考えろよな」
　　　／　 /　　　　　＼
　／　　 /　　　　　　　＼　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
. /　　　/　　　　　　　　-一'''''''ー-､.
人＿＿ﾉ　　　　　　　(⌒＿(⌒)⌒)⌒))

897 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:34:22 ID:LfEKVIbk0

　　　　　 ,-‐〈｛?鴨}‐‐.､‐､
　　　／:／　　　　＼::ヽﾊ
.　　 /　 ,　l、　、 , 　{ﾋ{}ｺ} !
　　ｌ ,ｨ {７Tハ　T寸寸i ||　|
　　 |ハ |l┬ｒ　ヽ|r‐┬}　| 　|
　　　} `ﾄ　じ　　ﾋソﾉ|　|)　|　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 |　|ヽ､_ 　_ 　　_,ィ|　| 　|　＿ノ
　　　',. |.｜ l 7Eニ::ィ　|./|　 |/::::＜＿　　　　　　　　 .「……ねえ、もしかしてキヌ子が来たの？」
　　　　,|. |　'ｲ<予>::::｀l　 | 　|:::::＼:／
　　　　 | l 　 i´V/｀.|::::| 　|　 |＼}＼　　　　　　　　　　　どこか不安げに、水銀燈は尋ねる。
　　　　 | l. 　j|:::::::::::|::::| 　l　 .|
　　　　 |∧／:/ ',:::::|::::|　∧　|　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　／::ヽ/X ﾍ:::ﾋﾘ ./　|./
　　　/:./:/:/_ _ _ _〉:＼:::＼
　　/／|:t:∧ハﾊﾊﾊ::.::.t::::::l

　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　／　　　　　　＼
　　　 |　　 -‐' 　へ　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「キル子っつってた気がしたが、そうだよ。
　　　 |.　（■■■ ） |
　　　 |　　　　｜　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おい水銀燈、アレ死んでねえんだけど。
　　　 |　　　 __´___ 　ｌ
　　　　ヽ　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ……お前、驚いてねえって事は知ってたな？」
　　　　　ヽ　　　　ノ
　　　　　　/　　　く　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　/　　　　ヽ

898 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:34:42 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:f:i|,:::l_:::l_::i::i::::i:::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::|（■■■）;::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ` !　｀ _ 　 |:::::|::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:`::┐y-‐|:::::|::::|
　　　　　　　　　　＿〔()〕_　　　　　　　　　　　 .|::::ｲ /　,ｲ.|:::|::::|
　　　　　　　　／　　￣　＼　　　　　　　　　　　　|:::::i┴─| |::::|:::|
　　　　　　　/　　　　　　　ハ　　　　　　　　 |;/j|＿＿| !':::|:::|
　　　　　 /　/　　　　　《ll》　　　　　　　　　　 /.|┴─|___,'ヾ|
　　　　 / /　/ il　　j　　 | |　　　　　　　　　　｀ﾔ|　　 lrｪﾘ　} 　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　 ≧/ /　,'　i　　il　　l厶イ　　　　　　　　　　　 | |　　　|　,ｲ
.　　＞f　i 　 i　|　　il　　 | |::::＜　　　　　　　　　 .| |　　　ﾚ　|　　　　　水銀燈は、何も答えない。ただ刀を握り、
　　 '⌒)人ィ从ノ|:人从ﾉﾉﾊ|ﾉヽ(⌒　　　　　　　　 | | 　　　 |
　　　　　　　く::::〉:::::ー'{::::}　　　　　　　　　　　　　 |_|＿＿＿_|　　　　　キル子とできない夫の間に立ちはだかる。
　　　　　　　　／::::::::::::::〉ハ　　　　　　　　　　　　 ,ﾍrﾘ　ﾄｰi,
　　　　　　／.:::/.:::::|::::::::(__iﾄ､　　　　　　　　　　　／＿_」. |＿」　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　／.::::::/.::/:::|:::::::::|::|:|::.＼
　　　 ∠　‐　7::X:::/::::::::::|:+:| ｰ-＼

　　　　　　　　　　　,. -ｭ,ﾆニ弌垳ト､
　　　　　　　／r'^　_rﾍ-ﾍ/＾ヽr宀､
　　　　　　　 /!７ト､7′ 〃　　　ｌヽヽ
　　　、　　　　/ l//L｣| ∧ｌ |　! |l　｜　!　ヽ
　　 |:l　　　 / 〃 ||丁l トH､lV| |l　 /l　 } l　|
　　ヾヽ　 / 〃　|l　| ｌ抔卞｀ヽ{　/-ト/ //ﾘ
　＼　ヽ:∨　|」 /ｌ|　ｌﾄヽ￣　　ﾚ'戎ｼ' ／ ′
⌒ヽ!ヽ._j＼＼ / 八　|ヽ　　　__ ' ∠r1=彳　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
::..::..::..::..::..｀::..::ヽ/　ﾊヽ‐ >､　 ,. イ|　}::..｀ヽ、
::..::..::..::. ／⌒ヽ､ヽjノヽ.∨r 芥､/:./ /::..::..::.､＼　　　　　　　　　　　「どうして来たの？」
::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ｝l,ハ/-/ 〈::..::..::.｀ヾ＼ヽ
::..::..／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨_　||　ヽ:ﾚ':.:ヽ::..::..::.くヽ.j　　　　　　　　　　　　ぽつりと、魔法少女は問うた。
::.r'´.:.:.:..::.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ||ｰrﾍ.:.:、:.:.＼ヽヽ:〉
仆､ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ｝　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
′　＼_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨_　ゞ=仆ヽ.:.:_ノ
　,　　　〉个､:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_　ｌ　 }〉:.}'´
　|　　く_/^ﾄ､>:.∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_ﾘ　〈|:.ハ
　|　　//:.:.:||:.:./　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨┐r':.:{ ､ヽ
　!|　//:.:.:.:||:./　　｝:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.| l　|

899 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:34:56 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//::::://!::::::::::::::::::lﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:|::::::_LL!＿__!ii::::::l::i
　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::l::::::!■■■■.!_::|:i　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::i:::i　　 ' 　　 ,'::｀::|
　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::;i::!,ﾞ:..､_ ^　.イ::::j::::i　　　　　　　　　　　「……逆に聞くけれど。
　　　　　　　　　　　　　　　　 /:／￣.|::!　ヽv/´ 〉ヽ/:::::::.
　　　　　　　　　　　 _,-'"´ヽ　! .!::|V　У　/ 　|.ヽ:::ﾊ　　　　　　　　　　　 .あなたは同じことをされて、
　　　　　　　　　_,.. -＜_　　　　ﾞ:..| |::| .ﾔ/　 / 　 !/　V:ハ
〈＼　　　_,.. -‐ '"　　　　｀　‐-､_ ﾞ.!|::|,／　 ,/!　　|' ,／ヾ､!　　　　　　　　　大人しく諦めるの？」
　＼｀ヽ.|　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ≦::|ｲ｀ﾞ＝'-ｪ､._j／＿＿_＼
　｀ヽ-‐|　　　　　　_,.　　 ,..:ｨ´::::! /:/ ￣￣￣￣.〉.＼　　　　　＼　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　ゝ　　_,.-‐"　　　 ,/:::;::::j/'"　　　　　　　!:::ﾞﾄ､｀ヽ､　　　　＼
　　　　くヽイ　　　　　／::,ｲ/"ﾄ､.__　　　　　　,!::::::|, ヽ､_ ｀ヽ　　　｀ﾒ__,　-‐ｧ
　　　　　ヽ　　　　　 _,./:／//ﾞヽ､/_　￣｀ﾞ¨¨¨´ﾔ::::/ 　　｀ｰ､.　　,..ｲ.＿　っ
　　　　　　｀ｰ‐ ' "´ ﾚ'" 　 /　 /　　￣｀ﾞ¨¨¨¨´ｲ:/　　　　　　 ,.ｨ'"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　_＿_＿
　　　　　　　　　　　　　 ,., ' ´::::::.ｒ乞ト.::::::｀丶、
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::;ヾこﾝ;:::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　x=l=v:::::,nｰ＾⌒ ⌒ ⌒^ｰｒ､:::::ｙ=l=x
　　　　　　　　　　《_八_》ﾌ　 |　li |i il　 |il l |　ト《_八_》
　　　　　　　　　　ﾞi'介´ｌ |i|iｌ|il|ｌ|il|ｉ|l i|ｌi|ｌ|lil|ｌi|i| ｌ`介'i′
　　　　　　　　　　　| l|l |lil|ｌ| li||ili|ｌ|ｌ i|li|ｉ|ili|ｌiｌliｌｉ|il| il |　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 | |ｌ|i |ｌ|il il|||il|l | l l |ｌ|ｉ |li li|ｌ|li|ｉｌ| |
　　　　　　　　 | l|从vＴﾞ弋l | lハl | l斗ｆＴ7从i|l |　　　　　　　　　「……無理ねえ。諦めないわねえ。
　　　　　　　｜ｌiｌi|lﾞｉ　◯　　　　　 ◯　 /l|iｌiｌ｜
　　　　　　　　　　｜|ｌiｌ| li､　　　　　　　　　　 'il |ｌiｌ|｜　　　　　　　 .なら、あなたもそうよねえ。
　　　　　　　　　｜ｌiｌ | |i｀.　　　　　　　　　/ i| | ｌiｌ｜
　　　　　　　　　__》ﾐ＼| |ｉ l|＞_ 　￢　 _イ|l ｉ| |厶ｲ廴　　　　　　できれば、諦めてほしかったのだけど」
　　　　　　 ≧三三ﾍ／:::::|}〉≧=≦〈{|:::::＼/三三≦
　　　　　　　　 }三三Ⅳ:::::::::::|}〉〈八〉〈{|:::::::::::Ⅵ三三{　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　￣}/ 丁|ﾊ::::::::::|}〉⌒Y⌒〈{|::::::::::/l|丁ヾ{￣
　　　　　　　 .|l　|i｜|::::::|::|}〉〈匂〉〈{|::|::::::|｜i|　l|

900 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:35:10 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　 ‐━‐ r‐ｋ､..　　l　 /
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　r｢r竺7ｋ、. 　′／
　　　　　　　　　　　　　　／　　　r｢r竺ア＾'沁、
.　　　　　　　　　　　〃〃　　__,r｢竺ア|^//ｼ沁
　　　　　　　　　　　　∥ ∥　 (__ノｸ⌒)　]/ｲ「从沁
.　　　　　　　　　　 ∥M! 　　｛｛　）厂　[⌒ヽ　ⅰ1
　　　　　　　　　　　　　｜　　八イ)八　i|^㍗∨l |リ　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　 ┃　　(( ii(　 Ⅳ| ｀ (V从｢
　　　　､＿乂__/　　　｜　　　)从＼|　　_ノ　　　　　　　　　　「おい、水銀燈。水銀燈」
　　　　乂＿こミｱ　　　　　　　／ |Λ八_／　　　　　＿
　　　　ミ辷ﾆｱ　　　　　 | 　　　 |ニ＼＼ _ノ斗;ｾｆア⌒　　　　　 .できない夫が、少し呆れたような声を出した。
　　　　 __ノｱ　　　　　　 |　　　 |斗ｬｾ些斗ｬｾ些.,_
.　　　⌒彡ｱ　　　 / 　　|　　　 |ｾ些斗ｬｾ些ｆア⌒　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　/　/　　　　　　　 |斗ｬｾ些斗ｬｾ些ミ　　　rｖへ
.　　　　 /　　 /　　　　　　　　 |ｾ些斗ｬｾ些ｆア⌒　　〈　　ヽ
　　　　/　　　′ⅰ　　　　|　　　 |⌒^'ミ辷斗ｬｾ些ミ　　rっ＿ノ
　　　 ,′　　　　　i!　　　ﾉ　　　 ⅰ:i:i:i:i:i:`ミ辷(｢/⌒＾～くr'＾〉

　　　／￣￣＼
　／　「　　へ＼　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 |　（■■■）　|
.　 |　　　｜　　　|　　　　　　　　　　　　　　「お前の心情は知らん。手心を加えた理由は聞かん。
.　 |　　 __´___　　|　　　、、
　　|　　 `ー'´　　}l⌒l　ﾉﾉ　　　　　　　　　　　　そういうのいいから、さっさとそれを殺せ。
.　ヽ　　　　　　.}`'''|　＼
　　ヽ　　　　　ノ ./　　　＼　　　　　　　　　　 .お前が見逃したせいで山程死んだ。その責任を取れ」
　　　/　　　く/　/　　　　　　＼
　　　|　　　　　＼＼　　　　　＼　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 |　　　　|ヽ、二⌒)、　　　　　＼

901 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:35:22 ID:LfEKVIbk0

　　　／/／ィ　ヽ＠､
　　　{{x}}／/ |　/｀､::.',
　　　i人r ● iｲ／∧::i
　　　i l　ゝ''''　　●//i　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　|　vﾍ　 - 　ノゝ i
　ミミi〉-+〕{{x}}〔¨」V　i彡　　　　　　　 .「ええと。もしも、また見逃したら、駄目？」
　゛ﾐr:::::::r⌒⌒j::::Y i　i
　　 l:::::::r⌒⌒j::::::l i ﾊ　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　|::::::::ﾄ,＠イ:::::| iﾉ
　　ヽ:::::::::::::::::::√ノ
　　　　l:::::::::::::::::::l

　　　　／￣￣＼
　　　／　「　　ヘ＼　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 | 　（■■■）　|
　　 |　　　 |　　　│　　　　　　　　　　　　　　「この期に及んでその質問ってすげえなお前。
　　 |　　　__´___　　.|
　　 |　　　`ー'´　　.|　　　　　　　　　　　　　　　駄目に決まってんだろ。そん時はお前もう放り出してやる。
　　　ヽ　　　　　 /
.　　　　ヽ　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　仇討ちなんか二度と手伝ってやんねえ。飢え死にでもしろ」
. 　　　 /　　　く
　　　　 |　　　　 |　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 |　　　　|

902 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:35:38 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,.ｨ(rﾝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／７::::::メ⌒￢､、
　　　　 / 　　　　　　　　　　　／　　{:::イ /',　 ', 　ヽ
　　　〃　　　　　　　　　 /　/ 「rﾌ〉ム､ﾄ、 } 　 } }
　　　 { 、　　　　　　　　/／ノi｣ﾍΛ弋ﾁﾄ､}ﾑイ,' }
.　　　　ヽ｀　 .,＿　 ,.．-一 ´ ／　 |:|:|ﾍ._ゝ　ｨﾇｲ　ﾉ
　　　　｀ｰ-　.,_　__　ミ圭圭ミｭ､」:ﾄ|､}　　　´＜ｲ{　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　／一 ´ ／ィ圭圭圭У::::::. 丶>ｰ＜'i　ハ＼
　　　　　　 {　　　≦彡圭圭圭ﾐ/:::::::::::::::::.VｆL j }/　 }　 )　　　　　　　　「……分かったわ、でくのぼ夫」
　　　　　　　　　 / ／　豸彡癶ｆ::::::::::::::::::::::iｲ77、　/／
　　　　　　／ /　 , ｲ　/　人:::::::へ::::::ィ~`{(ｿ／´　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　＿　　　　　 / 彡圭{　i ／　ﾊ:::|::::::::|:::..ヽ、ﾉ〉
.　　　ヽ、____／∠圭ﾐ八 {´ 　 /　}::|::::::::|:::::::::::ノ、
　　　　　`一-´／　 /　　)'　　　　 i::|::::::::|::::::::/ヽ＼
　　　　　　／　／|　　　　 {:::＞::|::::::::|:::::::{ 　　＼＼
　　　　　 / 　／　　＼　　　／..::::/:::::::∧:::::::...、　　)ノ

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　「　　へ/＼'ｰ､　　　　　　　,, ..,､　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　|　（ ■■/　　.＼` ､　　 .　／／ /
　　　　　　 |　　　　| /　　　　＼ヽ､,.／／　./　　　　　　「おう。それが終わったら死体の片付けだ。
　　　　　　　　 |　　 __ /　　　　　　｀`７７　　./
　　　　　　　　 |　　　/　　　　　　　 / /　　 /　　　　　　　 .今夜ばかりは無理にでも手伝わせるから、そのつもりでな」
　　　　　　　　ヽ　 /　　　　　　ｆヽ、/ / , -,./
　　　　　　　　　ヽ/　　　　r-､ヽ　∨,ノ　/　　　　　　　 .そう言うと、できない夫は先程まで読んでいた書を開いた。
　　　　　　　　　　/＼　　　〈＼.＼,〉　｀,　ｆ
　　　　　　　　　　|　＼　　(ヽヽ｀..　　　|　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　|　　　＼　＼　　　　　ﾉ

903 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:35:52 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : "´ ￣｀ : ､　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 _　　　　　　　 ,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､.
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　 .//:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.　　　　　　 .――ふと、キル子の中に一つの言葉が産まれた。
　　　　　　　　｜ !　　　　　　..ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,.　　|:|:::::|　　　　　　.|::::::|:| 　　　　　 “もしもあなたができない夫を斬らせてくれるなら、
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　|:|::::_|　ﾄｪｪｪｲ　.|_::::|::|.
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　 .|:|:´:|ﾞ:､_ヾｪｪｿ._,ｨ|:｀::|::|　　　　　　 .私は、あなたの仇討を手伝ってあげる。”
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　　　 .／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-.　そんな誘いが、悪魔の囁きのように頭を過ったのだ。
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;::
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　./　∧
　 ./　/∧
　/　.//∧
　　////∧
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　.////////∧ |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|　　　　　　　　　　　　少女は、すぐにそれを喉の奥に呑み込んだ。
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　　　　　　　　剣を構え、敵を見据える。昨夜打たれた一撃の、
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|　　　　　　　　　　　その痛みを思い出して精神を研ぎ澄ます。
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y

904 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:36:07 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
＼＼＼＼ : |:::::::::::::::::::/ 　／:::::::::::＞＝′￣￣`ー-､:::ヽ : /:::::::::::::::::/´　　／
ー.＼＼.._ ＼:::::::::::::::: ′ /::::::::::／　/　　 l l　 '.　ヽ　＼:∨:::::::::::::┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
￣　,. ＼＼从/..:::::::::::|　/:::::::／　　'　|　　 | |　｜　|l　　　ﾄ|:::::::::::::::/
＿〈匸そ　　て二＞=､l:::／　　...l| ｌ |　　　 | |l　ハ／　|／. 二.　:::.　　――水銀燈は、眼前の魔法少女を見据えながら、
ｰ‐／:::ゝ,　　そ.〈〈_//イ　　　　ｌ| | | 　 //　| |ｊ厶ｲ|ｌ　 //::::::::::::::.__
／:::::::::::"`/'^r 　＼　ｲ　|　| 　｣_八ｌハ〃　 lイ　　 ||　 |::::::.:::::／.:::　　昨夜斬られた傷を服の上から撫でた。
:::::::::::::::::::::〈｛ ::::::.＼＼.　| ∥　 |/ 　　ﾍ　　 /　　　ﾘ　 |::::::.:::/ /:.::.
::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::.＼＼八.　|l　　　　　＼/　　　 /　/ ::::::./ /:::::::　　すでに縫い塞がれ、痛みも引いた些末な傷。
::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::|＼＼.＼|＼　　　　　　　 /／{::::::::::|/:::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::|.　.＼＼.　　＼　　　　　／＿〉:::::::::::::::::: ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ｌ　　 |:＼＼＞一≧ー―＜/／ __/⌒ ー‐､__::::::::ヾ:::::厶　r┴　￣　　　　〈　　/ 　 |::|
￣￣`ー- ､:::::::::::::::::::::l　　 |::|:::.＼＼　〈にﾌ小.V/|　ｌ::〈　 |、ｌ　　｀＜￣　　　└―'⌒＼　　／　　ー'⌒ヽ|::|
　　　　　｀ー―－ﾍ　　|::|::::|}　＼＼从/..　 ∨ レ'::: ',　|　ﾉ　　　　＼　　　　　　　　 }／　 /　　　　〉|
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　く::ｬ1／i 　　 _」 L!Ｌ_j_　　! | i　 / / _j＿」 Lハ　　 .……これは、恐らく魔法であろう。
　　＼;ィ个:　　 | i |_┼十_｀ｔﾊハ/}/　、､　jノ_,, i
　　　/ //|i　　　l 　、､　　 _,,　　　　 ,;來悉彩´1　　 .偶々自分には効かなかっただけの、致死の一撃。
　　　 {:{ j:{　　ヽ ,;來悉彩′　　　　　　　 ,
　　 i　j/ {:l　　　､＼　　　　　　　　　　　　　厶'　　 .眼前の少女が、血のにじむ思いで修めた技なのだ。
　　 |　　 jﾉ　　ヾ厂丶　　　　　 `　　　　／　,.
　　 |　　　八　　＼ ` ､　　　　　　-‐　　　　 //.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 |　′　　ヽ.　　ト　＼　　　　　　　　イ爪
　　 |/ 　　　ﾊ　　 '.＼ :j`jr ． _　　 _ .　´ _」{.| }
　　 i !　　　 ,小　　 {　 i !」≧ｧ⌒7不ミく7/,ｲ|
. 　从　, -=ニﾆ=ミ　 '.　川/《 (ノィ介ｘ. ヾ> 》ﾊ　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　厶イ/////////ﾊ　(才7//777//ｲ//7ｧ=/,{_j
／/////////////∧　(>v/////// !///////人　　　　　　　しかしその術理は皆目見当もつかぬ。
////////////////∧ ﾄ(>ｖ/////　}///////厂
/////////////////ﾊ　'.　`(>ｖ/　ﾑｨノvﾌｰ'　　　　　　　　　　　　些末な傷を、深手のそれに変える術を少女は知らぬ。
/////////////////}Z 　ｒ‐ｚ_/{　 _rﾍＶ⌒L「{_r
/////////////////ヲ　/》 `7:j⌒7　}:i 　 '/　′　　　　　　　　　　一瞬だけ、水銀燈はその不可思議に思いを馳せて。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

905 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:36:24 ID:LfEKVIbk0

　く::ｬ1／i 　　 _」 L!Ｌ_j_　　! | i　 / / _j＿」 Lハ
　　＼;ィ个:　　 | i |_┼十_｀ｔﾊハ/}/　　　　.厂i
　　　/ //|i　　　l 　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　 {:{ j:{　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　 ,
　　 i　j/ {:l　　　､＼　　　　　　　　　　　　　厶'　　...┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 |　　 jﾉ　　ヾ厂丶　　　　　　　　　　　／　,
　　 |　　　八　　＼ ` ､　　　　　　　　　　　 //　　　　　.少女は、すぐにそれを頭の奥に追いやった。
　　 |　′　　ヽ.　　ト　＼　　　　　　　　イ爪
　　 |/ 　　　ﾊ　　 '.＼ :j`jr ． _　　 _ .　´ _」{.| }　　　　剣を構え、敵を見据える。己が心に唯一残った憎悪を燃やし、
　　 i !　　　 ,小　　 {　 i !」≧ｧ⌒7不ミく7/,ｲ|.
. 　从　, -=ニﾆ=ミ　 '.　川/《 (ノィ介ｘ. ヾ> 》ﾊ　　　　 .その痛みを思い出して精神を研ぎ澄ます。
　厶イ/////////ﾊ　(才7//777//ｲ//7ｧ=/,{_j
／/////////////∧　(>v/////// !///////人　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
////////////////∧ ﾄ(>ｖ/////　}///////厂
/////////////////ﾊ　'.　`(>ｖ/　ﾑｨノvﾌｰ'
/////////////////}Z 　ｒ‐ｚ_/{　 _rﾍＶ⌒L「{_r
/////////////////ヲ　/》 `7:j⌒7　}:i 　 '/　′

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　 .||..|爻乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂爻| .||
　　　　　 .||..|爻ｲ只二二二二二二二二二二二二二二二二二只ﾄ爻| .||
　　　　　 .||..|爻ｲ.|. // //　　　　　　　　 ,.-─‐-.､　　　　　　 .|ﾄ爻| .||
　　　　　 .||..|爻ｲ.|// //　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　 |ﾄ爻| .||
　　　　　 .||..|爻ｲ.|/ //　　　　　　　 |:::: ::::::::::::::::::::::ｌ　　　　　　 |ﾄ爻| .||
　　　　　 .||..|爻ｲ.| //　　　　　　　 .|::: ::::::::::::::::::::::::!　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 .,-‐〈｛?鴨}‐‐.､‐､　　　　　　 .|:::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　 .／:／　　　　＼::ヽﾊ　　　　　 ..!:::::::::::::::::::::::::lｉ:|　　　　　　　 ……かくして魔法少女たちは、
　　　 /　 ,　l、　、 , 　{ﾋ{}ｺ} !　　　　　　!:::::::::::::::::::::::::l|::|
. 　　ｌ ,ｨ {７Tハ　T寸寸i ||　|　　　　..../|::::::::::::::::::::::::lｌ.,7:!　　　　　同じ願いを抱えたが故にその心を寄せながら
. 　　 |ハ |l　　　ヽ|　　.}　| 　|　　　　..|:| !::::::::::::::::::::::l|.l|　!
　　　 .} `ﾄ　　　　　　 .|　|)　|　　　.....! !|:::::::::::::::::::::::| |　 l,　　　　同じ願いを抱えたが故に、その命を奪い合う。
　　　....|　|ヽ､_　　　 _,ィ|　| 　|　＿ノ.l..　|:l|::::::::|!:::::::ll|::l|　 |
　　　 .',. |.｜ l 7Eニ::ィ　|./|　 |/::::＜＿. |:|.!:::::::|l!::::::|l:.:||　 l　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .,|. |　'ｲ<予>::::｀l　 | 　|:::::＼:／ _|ll_|__:_!|:∟:!:.::l‐!　l　　　　..|ﾄ爻| .||
　　　　 .| l 　 i´V/｀.|::::| 　|　 |＼}＼　　.|　　　　　 | 　 l　　....../ |ﾄ爻| .||
　　　　 .| l. 　j|:::::::::::|::::| 　l　 .|　　　　 |　　　　　　 |　/　　...../ /|ﾄ爻| .||
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

906 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:36:35 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　-‐====‐- 　ミ._, - ミ_,.斗= ミ
　　　　　　　　／::::::《＠》:::::::::＼.　＼　´ ヾ:.　　｀丶
　　　　　　　　 ^⌒＾⌒＾⌒^´＼:::',　　 ,　　 .i:::::‐-　　＼
　　　　　　　 /　/　ｉ　　 i　 , ',　ヾ} 　　′.　jト----- ミ　＼
　　　　　　〈{　∧ﾊ|＼／|／|∧.〈j!>　　i. ／ｨﾆﾍ、.　　｀Y fﾐV
　　　　　　　　 }Ⅵ　　　　　　 },.小.　　|.／二ﾆ=ム　　　 {:ﾍ_j ｝
ﾊゝ　　　　　 .八　　　　　　　 .i　l　　 |　二ニニ∧　　 /=彡　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
八_　　　　　　ﾄⅥ≧=‐-　-‐=≦|. ,'--.ｲ.|.∠二二二ﾊ
. ',∧　　　　　　　　〈　 /:: 　　　 ,ｨi〔ﾆ=〃/二二二ニi　　　　　　　　　　 ――爆ぜるような音を立て、
∨',∧　　　　　　./　　　._/ r‐≦ﾆﾆ/ﾆ/:j/二二ニニﾆ|_
. ∨',∧　　　　/　　 ./⌒｀´〃ニ=/ﾆ/≠二二二二二ニ｝　　　　　　　　 .水銀燈はキル子へと飛び込んだ。
　 ∨',∧　　　　/　　, '　　　　 Vﾆﾆ{ﾆ/ﾆﾄ､二＞'´　 /⌒ヾ
　　ヾﾟ,∧..　　/　 , '　,.イ　　　 |ニ=ﾚ二二ム‘,　　ｲ　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　V∧'´,ﾉ　./ イ／　　　　 !二二二二ﾆﾑゝ::´ ∨
　　　_ﾉ　／′ｲ＞'´ 　　　　 i二二二二ﾆﾆ}ﾊ　　 V
　　　ヾﾍ_彡'::〈´　　　　　　　　　∨二二二二ﾘ　}　　 V　　 ,.斗:≦
　　　／／..V∧　　　　　　　　 !二二ﾆ＞'´Y├v‐<_ﾉ ≦ニニニ=
.　 ∠／　　 V∧　　　　　　　　　 i__＞ト-　 __j斗≦二二ニニニﾆﾆ
　　　　　　　　⌒　　　　　　　　　　　　斗:≦二二二二二二二二ﾆﾆ
　　　　　　　　　　　　　　　　斗:≦二二二二二二二二二二二二二

.

907 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:36:55 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　_...．-‐　￣　　　　　　　　　　￣.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　/　　　　　──　───────────
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　＝───────　　　　　　　　　　その動きは、もはや人間のそれではない。
　　　　　　　　　　　　/　　　／
　　　　　　　　　　　/　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　獲物を見定めた獣のそれより遥かに速く。
　　　　　　　　／ /＿／､
　　　　　　　　　＼＿＿／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人形剣に全てを捧げた水銀燈にのみ許された、
　　　　　　　　　/ミ,ｒ´ノ:ｌ＼
　　　　　　　　　ヽﾉ/:::::/:::::::＼　＿＿〔()〕_　　　　　　　　　　　　　　　　　人知の外にある速度である。
　　　　　　　　　〈:ﾉ､／::::::::::::::::＼.　　　￣　＼
　　　　　　　　　　　＼:::::::::::::::::::::＼　　　　 .ハ　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::＼.　　......《ll》　　　　　　　　　　　　　 //:::,::::::,:::::::､〃　　∧|
　　　　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::＼j　　 | |　　　　　　　　　　　ｌ,f:::i|_:::::|:::::./　　 /:::i::|
　　　　　　　　　　 ≧ ＼:::::::::::::::::::＼. l厶イ　　　　　　　　　　 .|:|:::::|（ ■ '　,ﾍ/..|::::::|:|
　　　　　　　　　　　　　＞f..／::＼:::::::::::::::::ヽ.| |::::＜　　　　　 .＿　,ﾍ _|:|::::_| ／　／. 　|_::::|::|
　　　　　　　　　　　 '⌒) ::::::::::::::::＼:::::::::::::::ｌ|ﾉヽ(⌒　⊂ﾆﾆﾆ((ﾆ(ヽ| |三　／　／　三三三三三三三三＞
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ.　　　　　　　　ヽ、 `ﾞ／.／.　　　　　　 j　　|
　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　　　　　　　　＼.／／　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　　　　　／`ー‐ｲ　　　　　　　　|`ー'ﾞ
　　　　　　.／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|＼　　　　　　　　　　　／　　　　 .|　　　　　　　　|
　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::＞　　　　　　　　／　　　　　ﾉ　　　　　　　　i
. 　　　　 /´＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|/っﾉ　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ
　　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.. 　　　　：/　 /
　　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　　 ./　 /：
　　　　　　　　:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:. 　：/　 /
　　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ.　 /　 /：　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 |:::::|::::::|（ー）:::（○)|::::|:::|.：/　 /
　　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀/　 /：　　　　　　　　　まともにやり合っては負ける、と。
　　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀../　 /ヽ
　　　　　　　　／　　　　　　　　 /　 /： .|　　　　　　　　 .キル子の直感は決して間違ってはいない。
　　　　　　 /´ｰ　､　　　　`´　　r======､　|
　　　　　　 |　　　　　　　　　　_ｨ"￣ﾐヾr-'　 |　　　　　　　　辛うじて受けた一撃は、掌が痺れるほどに重く。
　　　　　　ヽ､　　　ヽ.　_．-'" ,ｨ‐-=､ﾒ-‐ 　 |
　　　　　　　ﾞ､　　　/´　　　 ,f_,___　/＿　　ﾉ　　　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ヽ.　　　　　／　ゝ-'`~ヽ　￣
　　　　　　　　　ゝ､＿_／　　　　　　　`ヽ､

908 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:37:13 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　 rf薔Y
　　　　　　　＞ “ ￣ ” -=戈≦
　　　　　　　 ´　　　　　　　　　　　－-z＿＿＿ノ
　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　－-z＿＿＿＿ノ　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 √｀ヽi　　　　　＼　　　　　　　　　　－-z＿_＿＿＿＿＿＿ノ
｀ヽ　　 ⌒＞|　　　　　　＼　　　　　　　ーｚ＿＿＿＿＿＿＿ノ　　　　　そして瞬く間に次の一撃が襲い来るほど、
≧=ﾆ三三ﾆ=| /　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　-z＿_＿ノ
三三三三三Ⅳ 　　　　　　　_｀　　　 -ｚ　＿＿　　　｀`ヽ　　　　　　人形剣には絶え間もない。
三三三三三 }　　　　　　　　　　　　　　-ｚ　＿＿__　　￣｀`ヽ　　ﾊ
三三三三三/　　 i　　　　　_　　　　　　　　　　＿　｀`ヽ　_ 斗rfｾ//ﾍ　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
寸三三三ﾆ/　　　 |　　　　　　　　 -=　ﾆ￣＿_＿￣ィ//////////厂〉
/イ^￣｀ヽ/　　　从　　　　　 {≧=- 　　　 -=≦/////////////〈弋　　　/i}
　　　　　/　　　　　　＼　　 { 　 Ⅵ,////　　　　｀ヽ〈///////////〉　 }ーミ　|/|＿＿＿＿＿＿＿_＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　rf壬,'　　 |　,　　|　　＼　ゝ _ Ⅵ//〈　　　　　　／＼ ⌒`^=≦///　〈　ヽ〉|/|────　　　　　　　　　　　　　　　　　／
　　j,//{　　　| {　　 l 　　 |ゝ　　　` ＜へ.＿＿／,////＼＿＿__￣ゝ__入＿ツ |/|──────────────　”
　　㏍,∧　　i| k　　i! `ヽ　|/////≧=-｀ヽ//////////////////≧=-z＿＿＿|/|//////／
　 √//∧　.ｌ|/∧　{　　ﾊ |////////////////////////////////////////∧l////／
　从{///∧　|//∧ |　/Ⅵｊ//////////////////////////////////////////////
.　　｀ヽ//∧ ﾚ//∧Ⅳ//////////////////////////////////////////////／
　　　　ゝ≦ﾍ|レ’ ／//////////////////////////////////＼/////////／

　　./　∧
　 ./　/∧
　/　.//∧
　　////∧
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　.////////∧ |:::|::::|(○）:::（○）|::::::|:::::|　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　　　　　　少女は迫りくる死の一撃への盾にするべく
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|　　　　　　　　　己が剣を諸手で構え――。
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y

909 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:37:33 ID:LfEKVIbk0
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / |　　　　　　＿＿＿＿　ｰ　,_
　　　　　　　　　'|､　　　　　　．　　 /　.ヽ-‐'"￣￣゛　　Z二　..,,_.　　　｀'!＝;;- ..、
　　　　　　　　　 !.ﾞl,　　　　　 il　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ"'ｰ-..,,,、.｀''-ﾐ;;､
　　　　　　　　　　　ｌ,　　　　 .l.ﾞi　 /　　　　　　　／'￣￣￣''''ｰ　,,,　　ﾞ'｀-二　　ﾞﾞ'ﾍ､
　　　　　　　　 ! .'l．　､　 |　! /　　　　　　　 / 　　　　　　　　｀''ｰ､、　 .｀ﾞ''ミ..,,,　ﾞ''-、
　　　　　　　　　　 |,│　 |l　 !　.゛　　　　　　　 lﾞ　　　　　　　　　　｀'-､.　｀'-,ﾞﾞ“'ｰ　｀'
　　　　　　　　　　　ｌ !　　l.!　!　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　｀''-、　｀''そ_
　　　　　　　　　　　..ｌ|　　|.!│　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　て＼
　　　　　　　　　ﾞ!　　|.l.|　　　　　　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.　＼　｀
　　　　　　　　　 | 　　 .l　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　＼　　　ﾞ!i､
　　　　　　　　　 |, ,　 .|　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼. ＼　　　.ﾞ !-,
　　　　　 ll,　　　　　 .ｌ.ｌ、　|　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ﾞ'､　　　ヽ＼
　　　　　　ｌ.ｌ　ﾄ　　　ｌ.! ｌ .|　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　ｌ.ヽ| ｌ　　　 .ｌﾚｌ,|　　　　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　! 　 .ｌ.　　　 !　ﾘ　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　 ――その抵抗を嘲笑うかのような剛剣が、
　　　　　　　 !　　ｌ　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　 .|,　　.!､　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　キル子を襲う。
　　　　　　ｌ　　｀'-　､ |,　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞl、
　　　　　　　　 'ト、　 .亅 .ｌ,.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　ヽ　 |!　ﾘｌ、　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　ｌ.　l　　.ｌ.ｌL　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ .|　　.! ｌ|、　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ .!　　.! !li　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ｌ.!　　 ! .ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ｌl　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ﾘ　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 il　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

910 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:37:56 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,,.... -― 　／＼
　　　　　　　　　　　　　　　,,.. -‐'''"゛　_,,,.....　／　／；＼
　　　　　　　　　　　,, 　'" ,,,.. -‐'''"゛　__ 　／　／　／
　　　　　　　　　 ,..‐'゛ ,, 　'",,.. -‐'''"゛　　／　／　／
　　　　　　　／　,..‐'゛　　　　　　／　／　／
　　　　　　　　　　　　　　　　／　／　／　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　,,..　--―‐　　　　　　／　／　／
　 ,, 　'"　,,..　--――-　　　／　／　／　　　　　　　　　　　　　きん、と甲高い音が部屋の中に響く。
／,,. 　'"　　　　　　　　／　／　／
／,, 　'"　　　　　　　　　／　／　.／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　剣の刃先がくるくると、無様に宙を舞っていた。
／　　　　　　　　　　／　／　／
　　　　　　　　　／　　　／　　　　　　　　　　 _.. ‐'"　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　 /　　　／　　　　　　　 ,,..　-''"_.. ‐'"
　　　　　　　　　/　　イ　　｀ﾞ''ｰ---‐　''"ﾞ´,,.. -''"_.. ‐'"
　　　　　　　　 /イ　　　｀ﾞ''ｰ----‐　''"ﾞ´,,... -''"
　　　　　　　　　　｀ﾞ''ｰ-----‐　''"ﾞ´
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 ./::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 /:::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キル子の刀が、半ばから折れている。
　　　...l::::::::::::::::::ﾊ::::!::::ﾊ:::::!:::::::::l:::::::::::i
　　　...|:::::::::::::i:::ﾚ::::|::::l::::|:::|:::::::::|:::|:::::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　並大抵では折れぬとされる筈のそれは、
、　　...|::::::::::::i::::::::r≧ミ L:ﾊ::__,z|_:!::::_;′
. ヽ、　i::::::::{`l::::::l:::iﾟ○ｿ:::::::::'○ﾟi〃:::i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかし水銀燈の斬撃に容易く屈したのだ。
　　　 .l:::::::::ヽi:::::|:_|ﾞ¨ ´ 　　,　¨´!!:_:::i!
　　　 .l:::::::::::::i:::::ﾄ　　　　　ﾉ:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　.....,:::::::::::::::i:::::! ｀　､ _　´...イ:::::|　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　 ,:::::::::::::::::i:::::|ヽ､　 lﾄ､:::::ﾊ:::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　　　　　　　　＼ ,　==ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　　　　　　　　　　　／　　　　 ≫x　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　　　　　　　　　／{　　　　〃　　≫x　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ﾏﾑミ‘，‐-　､
　　　　　　　 ,xく､　､　　/:′ 　/::::::::::::≫x_　＿＿＿＿＿_ , 　-‐.／（ヽ‐く　ヽ　 /〉
　　　　　／::::＼ヽ　ヽ　{::{　　 {:::::::::::::::::/:::´::::::::::::::::::::::::::::::::::{ {　く　　｀¨¨¨¨¨´　//}

911 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:38:10 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　ｒ= ､ -―= ＜￣　､
　　　　　　　　　　　　　〈{薔}〉::::::::::::::::::｀::. ､　＼
　　　　　　　　　　　 ,ｒi'／ｌﾍ"＼´＼｀､＼::::＼　ﾍ,ｒｧi
　　　　　　　　　 Уｨ　! ､＼.＼. ＼ヽ　ｒ､::ヽ //!l
　　　　　　　　　　〃 ll | i.ﾄ､＼＼.＼　ヽ!. !:,､∨∧|:!　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　　 ii l　ll | l.ト､ヽ＼,,≧ﾐxil ﾊ. !:| 〉:小.」|
.　　　　　　　　 !!.l　ll |+乂ヽ　　　　.| ! !:Ｖ/ｉ.|ヽヽ　　　　　　　　これで終わりだ、と水銀燈は感じた。
　　　　　　　　　　　ｿ/!|ｲ､ﾘ｀　　　　ﾉｌ | ! !〉ｲ l ! |ﾞi:|
　　　　　　　　　　 ///!;　ｒ′　　　　　//!.ﾚ' ｲl .!.! l l:|　､　　　　　　　 .いかな剣士も刀がなくば無力であるように、
　　　　　　　／／二｀､!、　　　彡ｵ／,　!l .!.! l l:ﾄ､　＼
　　　ｆ｀Y´＞.//´　/<ｨしｸ>＼　　　 .ィ |:{ /.∧!ﾊヽLムー､.＼　　　　..いかな魔法少女も刀がなくば少女でしかない。
　 ,. ┴├, | 〈〔__,.ノ-‐二⊃＼_｀＞く !ﾊ:Ｖ ∧┴≧ノ:::::::::::::＼
.〈__ -+- ⌒ヽ >- -＜ｉ|.ｒﾍ　|:::⌒i￣∧! ﾄ.〈:::/「::::ｲ:::::::::::::::::::::　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　} ,. ﾉ! ,.--ｲ　ﾄ---<Ｌ!/!::::＼:::::::l::::/::::| |.i:::/ .ﾚ'::::|::::::::::::::::::::::
.〈（ ,. -､ーフi !'｀ー┐<]|::::::::::｀::/::::i>ｨ^i.!ﾚ′/::::::::＼:::::::::::::::::
∧丁__ﾉ　_ ﾄ _」_,ｒ<厂､,人::::::::::r～ｲｨ､ !ハ!_　!ヽ:::::::::::::::::::::::::::

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　 | : i: :八x==　 .　　　""|: :!ﾉﾊﾉ.「ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　| : l: i:∧""　　＜ｦ　 .|:.( ∨ . |　|
　　　　　　　　　　　　　　　| : l: :i: :〕ト .　 _ __　. イ!:∧ ∨:|　|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 ∩　 .N人ﾉヽ!;从ﾙ ∧_ ／ル' ∧ Ⅵ　.!｀ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ |　./ )　　　 }＞＜! 〈〉／　/　}__　　し'へ　　　　全ての魔法は剣の有ることを前提とするものだ。
　　　　　　　　　　　　| |_/ /　　 ∠斗.＜j レ'⌒ヽ' イ(___ﾉ　　しﾉﾊ
　　　　　　　　　 r「　　 /　／、　　　　　　　　从入 _ __ イ　 i}　　　 .刀なく発動する魔法などどこにもない。
　　　　　　　ﾉし(⌒Y ／ヽ:::}　ﾉⅤ厂ⅥⅤ入　　∧　　　　ノ
　　　　　　　　　〈＼__ メY、:: :::}⌒7.:⌒ ー'´.:￣`ヽV/　＞ --＜＼　　　故に魔法少女の殺し合いは、
　　　　　　　　　 }＼　　 j　〉／j ./. :: :: :: :: :: :: :: :: :: 7　´　　　　　V∧
　　　　　　　　　 |　＞く／　ﾉ人 :: : :.ノヾ. :: :: _::ノ{　　　　　　 V∧　　原則として先に剣を手放した方の敗けとなる。
　　　　　　　　　人__ _／　　 //　 }「　　o li ＞ ≠斗　　　　　　　　V ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　 //　　/　　　.|!　　　　∧　　　　　　　　V ji..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　 //　　/　＼ o j|　_ _ ／ .∧ 　　　　　 i　|
　　　　　　　　　　　 //　　/ 　　　 i| 　　　 ' ∧　　　　　　 .|　!
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

912 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:38:37 ID:LfEKVIbk0

　＼:ヽ、　　　　　　　ヾ三三Ν{　! ∨:::／{::://:／ {::::::／!:}　　　　　　　　　　　　,ィ!
　　＼::`ー――――ゞ≧三圦ヽ!　∨　〃/ｲ　　ヾｲ　 |ﾘ　　/}　　　　　　 , イ≦'　　 ,ィ
　　　　ヾ:::::::::::::::::::::::::::::ﾄﾐ三三ﾄ､ `　　　/ ,′　　　" 　ﾊ　／/　,.イ-ｧ=彡三≦彡ィ::／_＿＿_ ..ィ／
　　　　＼::::::::::::::::::::::::≧三三ﾍ　　　 {.:　　　　　　　　ﾚ’ 'イ ∠斗―ｧ三≦三彡′:::::::::::::::::／
　　　　　　＼:::::::::::::::::::::::≧三三ヽ　　 }ﾄ!　　　　　　　　　　　　　 ,イ三三三三≦:::::::::::::::::／
　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::＞≧三＼vﾍﾘィ≦ミ:ｘ､　　　　　__／≧三三三彡ｲ::::: ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
..＿＿＿＿＿＿＿＿_〕 |::::..三≧≦x才:水==く匂:::::ヾ;　　　 `ｧ=三三三≦´:::::::::::::::::
―──────―‐ |<.ちイ::::::::::::{7{7ｲ　ｨ/ ｨ　｀ヾ:::}ｲL_ ／〃::イｧｒ≦::::::::::::::::::::::／　　キル子の背筋を冷や汗が伝った。
　￣￣￣￣￣￣￣￣〕_|.∠三ｧ‐…ゞ/ //{ﾐイ／} i Yﾘ:::/7´:::;ｲ} ,}　}ア:::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::{/ﾍハ　."　ｲﾉ /::::彡'´￣｀ヾミ三:::::::::::::／　　　　 .水銀燈の三撃目は、
　　　　　　　　　　_ .．-=彡::::::::::::::::::::::′::::::ミｰ:≦ｲ √:´::::::::::::::::::::::::::::｀＞::≦､
　　ｬ―一…::¨￣::::::::::::::::::::::::::::::::::ｒｖ=彡7/≦≧ /ｲ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　　　 .すでにその肉体に迫りつつある。
　　　｀ヾ::::::::::::::::::::=[{=＝ｧ::::::::::::::イ≦ﾐｔ//＜´｀＞ {/7､::::::::::::::::::::::::::＝＝=/7、::::::ヽ
　　　　　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::／　ィ　 Y厶＞＜__}//∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾚ`´:::::::::::::..┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 `ー―――一彡入/　　　/　　　 i　　ﾍ `　｀>､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　　　　　　　‘ﾍ　　 {７ﾐｘ.　 |　　　ヽ. / 　ヾ:_＿__三三三二:ミｘ:::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ､!′｀ヾ:_Lr一彡'

　　　　　　　　　　 ./;:;:;:;:;:;:/;:;:;:;:|;:;:;::;:;:|;:;::;:;:;|:;:;;:;'.
　　　　　　　　　　　!;:;:;:;:;:;:;||:;::;;:;;||;:;:;:;:ｲ=-ﾐ;|;:;:;:;:|l
　　　　　　　　　　　|;:;:;:;:;:;:;l||y=ﾐ;:::~´::i, ●ﾟj:!;:;:;:;:;:|
　　　　　　　　　　　|;:;:;:;:;:;:;:k｡● }::::::::::ゞ="::|;:;:;:;:l:|
　　　　　　　　　　　|;;::;;;:;:;:;:;ﾔ≡":::::::::::::::::::::l;;;;;;;;;!
　　　　　　　　　　 └ｰ-;:;:;;:;_!.:::::::::::::::::::::::::::i;;;;;;;l
　{{　　　　　　　／;;;;;;,ﾉ :|;;;;;;;|::＞:::::::::::::::/ |;;;;!　 ,.　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　ヾ、　　　　／;:;;;;;;;;/ ::::|;;;;;;;|:::::::::::::::::／:::ヽ,.-'´:.＼
…＝≦二'′,.;:;;;;;;;;;;;!'´　l;;;;;;;;!:::::::::::／::::::-'´:::::::::::::::.＼　　　　　　　このままでは彼女は、なす術なく水銀燈に
　　　　／;:;:';;;;;;;;;;;;;/ 　　 !;;; /;;;!: ／ : ,-::'´:::::::::::::::::::::::::＼
　　／;:;:／;:;;;;;;;;;;/ 　　　 ,iﾞ　／ ,-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::;f´＼　　　　　　 .惨殺され、その命を散らしてしまうだろう。
.／;:;;:／;:;:;:;:;;;;;;/ 　　　　!　　　;-'´:::::::::::::::::::::::::::::::::::;:- 'ﾞ　　＼
;:;:;／;:;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　./. ;:-'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;ノ　　　　　 ,. '.　　　　人の命食む悪鬼のまま、その命を終えてしまう。
／;:;:;:;:;;;;;;;;;;/　　　 ./-'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ´　　　　 ,　'´
;;;;;;;;;;;;;;;; ,ノ　　　 ,r:'r'´　　|:::::::::::::::::::::::::r'⌒´　　　 ,. ‐;|´　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　／,／￣￣＿!　　　|::::::::::::::;rｰ- '´　　　 , -'´　i　!
　　　(＾/　　､　ヾ__ r‐ く. ヽ_|rｰ- '　　　　,. -'´　　　　! .l
　　　,/　､　 i,Z、＼＼ヽ, .|　　　　 ,. - '´　　　　　 l　l
　　入､ヽ　l､＼　ゝ　y-.' |　 ,. - '´　　　　　　　　l　l
　r'´　ヽヽ　ヽ 'ｰ　　　 _ ノ:'‐ ' ´
　l　　, -ヽゝ-`'´＞ー ´

913 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:38:56 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,-､　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　）　　　.／　）
　　　　　　　　　　　　　 _　 -─=　￣　＿　　　　￣¨　　 …‐-=　　_　　　　　　　　　 /　 /　　 .／ヽ.／
　　　　　　　_ z=ﾆ二￣　　　　 .　　　　　　　　　￣¨　…‐-=　._　　｀__ヽ　　　　　　　/　 / 　／　／
.　　　 , 　 ´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヾ. 　　ヽ　　　　 /　（__／ヽ／
　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿'´￣　ｰ＜　　　　　　（
.　（ {　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丶、　　　　＼　　　　￣￣i￣￣i￣）
　　ヽ　　　　　　　　　　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　　／＼　　　　ヽ　　　 ────一'
　　　＼.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＿__＼／　　　ヽ.__　　　 i　　　＼
　　　　　丶、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿/ﾌ　/__,　イ　　　　 ´／　ー一'´￣＼　＼
　　　　　　　｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /// 　 /　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / l/　　ｉ　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　|　　　　／/
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　＼__　／　/　　　　／￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧ '，　　　　　￣￣}　　　　　 .|　　 (⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　＼＼／/〉＿/￣　　　　　 .代　〃Y⌒:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　＼＿＿／　　　　　　　　　＼{{ く|　Y⌒:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓　　　 .＼| く|　Y⌒:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼| く|　Y⌒:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――そんなのは、いやだ。　　　　　　　　　　＼| く|　Y⌒:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼| く|　Y⌒:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だから、キル子は――。　　　　　　　　　　　＼| く|　Y⌒:＼ﾉﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼| く|　r 彡'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　＼|://
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈〈

914 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:39:12 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　 ,.
　　　　　　　　　　/∧　　　　　　　　　　　　,....:::::::::::::::::‐-.....､
　　　　　　　　 !　 ∧　　　　　　　　　,.::":::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　 i　　l∧　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　i　　l/∧　　　　　 ,/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　| 　 l//∧　　　　 ,::::::::/::::::::::::::/:::::,':::::::::::::|i:::::::::::::::'.
　　　　　　　　　 | 　 l///∧ 　　　' :::::::|:::::::::::::: |:::::,'::::::::::::::| !:::::::::::i:::|　　　　__
　　　　　　　　　 |　　l////∧ 　 │::::::|::::::::::::::: |:::::|::::::::::::::j |::::::::::;｣:::| 　　　|　|ｰr､
　　　　　　　　　　! 　 l////,'∧ 　 | ::::: |:::::::::::::: ly::'=::､─‐i ‐ｨﾃﾄ´::::::|　　 _,|　| / /`ﾄ､
　　　　　　　　　　 . 　 l/////,∧　| ::::: ｌ:::::::::::::::::|｡● ﾟ}.　　　!●｡;::|:::::|r‐´　!__ﾄ_/ﾔ,ｲ､｣
　　　　　　　　　 . 　 l//////∧|:::::::::ｌ_::::::::::::::_|ﾞー " 　　　｀" ::::､::::|｀￣´ゝ-イ⌒ﾄ､
　　　　　　　　ﾔ　　l//////∧:::::::::::｀l:::::::::|　　　　 ´　　/ : |　　_..., ｨ .{　　　ヽ'、
　　　　　　　　　ﾞ.　　 l//////∧::::::::::::|:::::::::ﾄ　　　- ‐ 　ｲ :::::|-‐"　　 `､＼　　　〉
　　　　　　　　 ∨　　l//////∧::::::::::::::::::::{　｀　 ,　_／| ||::::::|　　　　ヽ＼／i |
　　　　　　　　　 ∨　　l//////,∧:.::::∧::::::::〈＼_〈.ﾔﾄ､ :| ||::::::|　　　　　　〉ヾﾄ.　| |
　　　　　　　　　　　 ∨ 　 l//////,∧"⌒＼::::: ＼＼ﾞi V."八::: |i　　　　 /　　､ヽ| |
　　　　　　　　　　　　 ∨　　l//////∧￣￣.＼::::::|､ヾ､ .Vヽ∧|.i　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　∨　　 l//////∧‐.／／'⌒＞　ヽ.ﾞi ∨ﾞ:| i　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 .∨　　l//////∧.／´￣＼　〉　　ヾ!. ∨:､i　　　 /　　だから、キル子は折れた剣を投げて棄て。
　　　　　　　　　　　　　　　∨　　 l//////,'ﾍ　　　 ∨＼　 7　 }　} !　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　.∨　　 l///////∨　　　,}.　ヽ ,'　 .,'　i　|　 /　　そののち、己が懐から、
　　　　　　　　　　　　　　　　　.∨　　l//////八　　　 | 　　ﾒ　 ,'　,! 　l
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:∨　　l//////∧.　　 |　　,/ 　ﾉ_,.ﾒ　　　　　　奇術のように二本目の刀を取り出した。
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::∨ 　 l//,'　　〉　 , |　 /_,.ｨ " 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::∨　/　　　 / 　 / |="´　　　　 |　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::∨'ヽﾑ厶r'__／　ｲ　　　　　_|､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::｀{二（.ノ^)/`く|:::|ﾆ-─ｪ=＝" .|　｀＝─　＿＿,..i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::::::::::::|　＼二////〉::|￣´　　　　　.|

915 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:39:25 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　 :　: :: :::::从
　　　　　　　　　　 :　: :: :::::::::匕　　　　　　　　　　　　　｛ll｝rf(⌒}lk
　　　　　　　　　　 :　: :: ::::::::::::｢　　　　　　　　　　　 .{l} ヾl) ,ﾉｼ′
　　　　　　　　　　 :　: :: ::::::::::::K　　　　　　　　　　　 .lj　　 lj´
　　　　　　　　　　 :　: :: ::::::::::::ト　　　　　　　　　　　Ｏ　Ｏ
　　　　　　　　　 :　: :: ::::::::::::j　　　　　　ィ壬三≧ｘ　　　　　　 1::..
　　　　　　　　 :　: :: ::::::::::::( 　　　　／〃　　　　　　｀ヽ　　　　ﾉ.::::::::.:.
　　　　　　　　 :　: :: ::::::::::::＼＿／　{I{　　ﾘ∧ハﾊﾉ　　ｘ彡::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　＿　_　..　-=彡　　 }I}　　从...　/〃　／.:::::::::::::::::〃　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　_＿＿___＿＿____＿＿__　　..　-=ヾ}ｰ　､ミイ /し　(::::::::::::::::::::〃
　　√｀ヾ:::::::::::::::::::::::::::ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::)}.ﾉ/　　　 )::::::::::::::〃　　　　　 .……なんだ、今のは。
　　￣下}＞─ -　　　　…≠セ:::::. -=ミ::..ｰ=彡'〃　ｰ=彡.:::::::::::::::》
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾌ.::::::::::::::::／{彡” ..:.:::::::::::::::::::::::::::::::{　　　　　 .水銀燈は、思わず我が目を疑うように
　　　　　　　　　　　　　　／..:::::::::::::〃.:::::| ..:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ
　　　　　　　　　　　／...::::::::::::::::::{{_i::::::|_＿__￣ ¨　 …━=彡'　　　　　　　 .その足を止めてしまい。
　　　　　　　　_＿　　-=彡..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.｀:
　　　　　　´　　.　. ......:..:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. |　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　／　.　. ......:..:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
　〃　.　. .......:..:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
　　.　. .........:..:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,.' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　　　　　　　　　 /:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.`ｰ-､
　　　　　　　　　 i:::::::::::ヾ.|━ ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::| 　　＼━━━━━┓　　　┏━━━━━━━━━━━━┓
　　___r '´￣ヽ';二::::::::::::( |━ |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|.　　　ヽ━━━━
　 !ゝ:{　　　 /　　ヽr:::::::::ヽ..´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::| 　　　 l　　　　　　　　　　　　　そして、その隙を見逃す
　　　∨￣￣＼　　 l:::::::::::::::ヽ　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　|
　　　　＼　　　　ｰ--ゝ──‐｀ｰ':≧ － '＿＿／　　　　　　　|　　　　　　　　　　魔法少女などいない。
　　　　　{　　　　＼　　　　　　丶､　　　　　　　　　　　l
　　　　　＼　　　　　 `　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　＼＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　 .|

916 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:39:42 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|　　　　|i　　..' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ| 　　　|ｉ　 ::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i|　　　　　|ｉ:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　　　　　　　　　　　　　　 i|　　　　　 |ｉ f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　　　　　　　　　　　　　　 i|　　　　 ,|i:::|::::|.■■■■ |::::::|:::::|　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 ,.:::''::´::￣::`:::.、　 i|　　　　　　 ,|i´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|
.　　　／:;: '´Ｔ丁l `ヽ::}　i|　　　　　 |i. 　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　　　 .キル子は剣を打ち下ろす。
.　　　 /{:::/ ｌ |ｌﾄ､ｌ Nﾄｌ i. i|　　　　　　　　|i 　／⌒´ 　　　｀￣＼
　　　 lｄｂ|　ｌ k＼ヽﾚ／ﾘli|　　　　　　　 |i　|　　　　　　　 ,､　ヽ　　　　　　並の剣士ならそれだけで死ぬような、
.　　　| ∧l 　lK　　　　　.i|　　　　　　　　　　|i ＼　＼　　　　　　||　 │
　　 ,ｌ／::⌒ヽ.　　　 ,. i|　　　　　　　　　i|i ＼　＼　　　 /　 /　　　　　 .余りに早く鋭く、そして精確な一撃。
　　／::: へ::: :::＼___ イﾄ.i| 　　　　　　　　　　i||,＼　＼　　;′ 〈
　／,ｲ／ﾆ|::: ::: :::{ 《薔Y :.i|i　　　　　　　　　　　　　 /i|!＼　／] 　 /＼　　　　　　.しかし、魔法少女はそれでは死なぬ。
( _ ノ ≦≠|::: ::: :::ヾ__＼´..i|i.　　　　　　　　／　　 i|(ノ／)）￣　ﾍ
　　　Nヾ≦|::: ::: ::: ::: ::: ::＼_.i|ｉ　　　　　　／　　／　,ゝ￣.、　　　∧　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 .|::: ::: ::: ::: ::: ::: :ヽ..i|ｉ　　　　　　　/　＼＼　／　　　＼　　　 |
　　　　　　　ヽ::: :::: ::: ::: ::: ::: ::.　i|ｉ　　　　 !.　／　／　　　　　　　〉　　!
　　　　　　　　＼::: ::: ::: ::: :::. ､ ::　i|ｉ　　＼＼　／ | 　　　　　ﾍ　　　＼
　　　　　　　　　　＼::: ::: :::＼:: × ::　i|i 　／　／　〈　　　　　　　ﾍ,　　　)
　　　　　　　　　　　＼::: :::／＼::: ::: :::...i|i__／＿___ノ　　　　　　　　 `ｰ‐ '

　　　　　　　　 l |　 /: :./: : : : : : : : : : : : : : : : : : :| |
　　　　　　　　 l | l/: :./: :　 '⌒ヽ　: : : : : : : : : : : :,
　　＿＿＿　| 　 |/: :./／ニニニニ` 守:.:: : : : : : : :',　|
　　　ヽ, -,.　l |　　＼/　_ -=ﾆニニニニ｀守___＿＿j　| l　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 ,..l　＼＼l |_jI:と'’　_ ＞=-ニニニニニニニ ∨.l.　｜
　　.....l |　ｧ= '´_　←=ニニニニニニニニニニニ　!　　　　　　　　　……何かを確かめるように、
　　.....l |/ ∠ニニニニニニニニニ?・、　 __ ニニ7
　　.....l l.:ニニニニニニニニニニニア.∠ニニﾆ:7_　　　　　　　　水銀燈は打ち下ろされた刃の切っ先へ
　　.....|,j_ニニニニニニニニニニニ／¨¨¨¨¨¨¨´　｀ﾞ'ｰ ..、
　　　　｀¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨´.'-..、　　　　　　　｀''ｰ､　　全体重をかけて強く踏みつける。
　　　　　　　　　　　　　　　 ;ﾞ ''ｰ､,.｀''-､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''-､,..｀''-..、　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'ｰ､, ｀''-..、　　　　　　　　　　　｀''ｰ．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-..、｀'ｰ..、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、｀''-､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''‐､、.｀''-..、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、.｀'ｰ..、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''‐､、｀'ｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、

917 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:40:00 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐====‐- 　ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::《＠》:::::::::＼.　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^⌒＾⌒＾⌒^´＼:::',　　 ,　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　/　ｉ　　 i　 , ',　ヾ} 　　′
　　　　　　　　　 i:::::::::::ヾ.|━〈{　∧ﾊ|＼／|／|∧.〈j!>　　i ＼━━━━━┓　　そして、その首と頭を切り離さんと
　　___r '´￣ヽ';二::::::::::::( |━. }Ⅵ　　　　　　 },.小.　　|　　ヽ━━━━
　 !ゝ:{　　　 /　　ヽr:::::::::ヽ. ´八　　　　　　　.i　l　　 |　　...l　　　　　　　刀を振り被る。ひとたび触れれば巨岩さえ
　　　∨￣￣＼　　 l:::::::::::::::ヽ.ﾄⅥ≧=‐-　-‐=≦|. ,'--.ｲ.|　　...|
　　　　＼　　　　ｰ--ゝ──‐｀ｰ':≧ － '＿＿／　　　　　　　|　　　　　　　　　　砕きかねない一撃が、キル子を狙う。
　　　　　{　　　　＼　　　　　　丶､　　　　　　　　　　　l
　　　　　＼　　　　　 `　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　＼＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　 .|

　　./　∧
　 ./　/∧
　/　.//∧
　　////∧
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|　　　　　　　 ……それを受けるために構えられたのは、
　.////////∧ |:::|::::|.■■■■ |::::::|:::::|
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　　　　　　　三本目の刃である。一本目は折られ、
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|　　　　　　　　　二本目は地に釘付け。そしてこの三本目は――。
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y

918 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:40:16 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　/`l
　　　　..,､. 　 l　 |/ 〉
　　　 .,l |　　l　 |ﾚ'
　　　....,!　L.-ヾi=,'　　　　　　　　　　　　　 -‐====‐- 　ミ
. 　_,.-'´　 _, - '_´　　　　　　　　　　　　　／::::::《＠》:::::::::＼.　＼
. 　|_,.- '´|　L-'´_|　　　　　＿＿　　　　_.^⌒＾⌒＾⌒^´＼:::',　　 ,.
.　　,.-'´　 ,.-'" 　　　／＿＿ノ　　／丿.　ｉ　　 i　 , ',　ヾ} 　　′
. 　|,.- '´| |　　　　／>　　　　　　　／／.∧ﾊ|＼／|／|∧.〈j!>　　i.i｀ヾ､
　　　 .|,i　　／ r´　　　,____,. - '´ ／..}Ⅵ　　　　　　 },.小.　　|.ｊ　　ヾ／
　　　　　　　く／Ll　　　/＿＿__,／　 . ´八　　　　　　　.i　l　　 |　　.／／ -
　　　　　　　　　　　　　＼＼..　.ﾄⅥ≧=‐-　-‐=≦|. ,'--.ｲ.|..／.／　　　 .＝
　　　　　　　　　　　　　丶＼＼丶....／二≧＝二｀ヽ､..／／／..-=､　　　　　`
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼＼ヽ...　O　　　....二.／／／／. ＿　～　　　＿ー＿＿＿　-――　二
　　　　　　／::.....　　　　　　　　＼＼　＼＼　　　　 ..／／／／..―――　￣￣　―――　￣￣　￣／
　　　　　/ ;':::::... ....　　　　　　　 .ヽ　＼＼　　＼＼.。／／ .／／　　　　　　　　 .＿＿　＿　＿　-‐￣
　　　　 i　;:::::::: ::: ::...　　　　　　〇　　ヽ＼ヾ__｀-..／　／／　　　　　　　　　　　　＿＿－￣.
　　　　 :i　:;:::::::::::::::.......　　　　　 ,. -─- ､　　　　　　　　 .三二 ≡ = - -　――￣
　　　　 ',　';:::::: :::: ::::::: :::.....　／:::::::::::::｀"''ヽ　　　　＼　＼＼　。. 　-―　＝
　　　　　 ',　':;:::::::::::::::::::::::::.../::::::::::::::::::::::::::::::｀く.　　..＼＼　＼＼　０＿.
　　　　　　〉,.‐rゝ:::: :::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::i.. 。//　＼＼ .＼＼　　￣ヽ.
　　　　　　'〈,_し'｀::::.:::::_;;､/::::/:::::::::::::::::::::::::::::::/.　　/｀~´　ヾ＼＼ヽ　　　 .＼
　　　　　　　｀''ｰ::: :_,ﾍ7 !__/!:::::: /::::::::::::::::::/! 　＼. 。　　　ヽ＼.＼丶.
　　　　　　　　　／　!､!_ 　,.ｲヽ/::::ﾊ:::/:::::/::!　　＼＼.　　　　　　..＼＼
　　　　　　　 ./　,.ｨ´｀'ｰrｲ.　　'-ﾍﾚ::i/ヽ/V　　　　　　　　　　　　　　＼.
　　　　　　　 .!　'ｰ.､ _,.／　　　　　　i 〉　　＼　＼　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　ヽ.___ﾝ「ﾍ　　　./　　　!'　＼＼
　　　　　　 _,,.. -''"::::｀ヽ､_　　 .__,.」､　＼　　＼
　　　　　　 rｉ"へ::::::::／::::::/::::￣￣ﾊ:::::｀ヽ.

919 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:40:33 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : "´ ￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､　　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
　　　　　　　　　　　　　　　ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|　　　　　　　 .――三本目はいともたやすく打ち砕かれ、
　　　　　　　　　　　　　　　__ 　／..|:|:::::|（●)　 (●）|::::::|:|
　　　　　　　　　　　　　　|._,ｲ　__||:|::::_| 　　､　　 |_::::|::|　　　　　　　そして当然のように棄てられる。
　　　　 ., ､　　、　　 .{__　ｲ´　|:|:´:|ﾞ:､_　‐‐　_,.ｨ|:｀::|::|ヽ
　　　　 .＼.> ／　　ｌ二二二ｌ　　...｀　ヽ　　 ,イ´ ⌒ / .ｉ　　　　　　キル子の取り出したるは四本目。
　　　　 .< ／､＼　　　 | .|　　　　...／　ｉ　　 {　　　 ./　 {
　　　　　　　 .＼＼　　.| .|　　 ..／　　.､. 　.}　　ｨ'　　ヽ　　　　 .ごろつき共を殺して奪った、彼らの刀のうちの一本。
　　　　　 .＿　　￣　　.| .|.　.__ノ　　　　 , .ヘｉ　　 .ｉ　　　∧
　　　　／／　　　　　　| .|／　　　＞'´　　　}　　 .{､　　　∧　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　....／／　　　　　　　 .| .|　　.／´　　　　　 .ｉ　　　} ヽ　　 .ｉ
　　....└　　　　　　　 ∨ ,／　　　　　　　　ｉ　　ｉ　 {ヽ._／
　　　　　　　　　／　 ∠　　　　　　　ｉ　　ｉ　　ヽ.＿}
　　　　　　　　　　　 {＿＿＿__ﾉ　　　　　　　 __,ﾉ　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '‐‐{_ｴ_}_)つ

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. -ｰ' 二二二ｰ- ､
　　　　　　　　　　　　　　　／／:￣__::::::::::::::::￣｀:::ヽ
　　　　　　　　　　　　／〃'::::::/´ﾉ〉):_ノ_ﾉ::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　 //´::::::__,ｨ:ゝ-':__,:::-──- ､::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　 /ﾞ::::::::::／￣￣＼　ヽ＼　ヽ＼::::::::ﾊ__
　　　　　　　　　　　　 !:::::::／　ｉ　　　　　ヽ　',　ヽ　＼ヽ>,仁》
　　　　　　　　　　　＿ |::::ハ　　', 　　　　　ｉ　｝　!　!　 ',<ノ||＼　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　《ﾆﾊ_ゞ、＼　＼　　　　!　||　 |　|__ ||　l | ＼>
　　　　　　　　　　　ｿ|| ＼＼　＼　＼　　 | .从,ｨ匕Lィ||　| |　〈´　　　　　　飛び退いた魔法少女に、水銀燈は
　　　　　　　　　 | '､　＼＼,＞≧ゝ,　|/ /　　　　.|i　| ｌ　|
　　　　　　　　　ハ＼　 `卞　　　ヾ′ 　　　 / // 　ﾄ､　　　　 ,　--.　.合点のいった顔で問いかける。
　　　　　　 .｀ヽ、　〈/|:} ヽ,＼　＼　　　　　　　　　/ // /　ｌ　ヽ　／::::／::
　　　　　／:::;:ｨ:::::＼　//|　 |＼＼, __＞　　　　　ｲ!// / 　　! 　 ∨:::::::::':─. 　「……それ、あなたの魔法じゃないわね？」
　　　 . .. ::／::::ハ::::∨ﾑ'〉　｢｀:::ゝ,＼_ ≧ｭ,fヽ_ .ィ─ﾍ,ィ　l　　 |l 　/::::__::::＼:::
　　 . .. .:. ::::／／__;／:::::|　 |::::::::::ﾍ　 !:::::::l　|::::ﾊ;:::::_:::::ヽｌ　　ｌ| 〈::::::::::＼::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　. ::／;::/／/::::::::::: !　/ :::::::::::::}　|::::::::l　!/ 　∨ ｝/::::/ /　ﾊ｀ゞ､::::＼＼:::::ヾ
　　　　　　 ∨／!:::::::::::::::| /:::::::::::::::::|　|::::ノ|　ト-ｰく /_｣:::/ /　/::::ヽ:::ヽ＼:::ヽ＼
　　　　　　／／|:::::::::::::::ﾚ ::::::::::::::::::|　|::_〉 }　 ─ｰ､ヾ才／}　/:::::::::::＼:＼＼〉＼
　　　　 ,／／／ﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::::::! /:::〉ﾍ! 　￣＼ヽ)=::､/ /::::::::::::::::::::::::::＼　 `
　　　 ./／／／人::::::::::::::::::::::::::::::::|/::{ ｀入_　　ゝ}_ソ/｀´}/::::::::::::::::::::::::::::::::::}
　　　/´／／／ /｜::::::::::::::::::::::::::::::::::（＼__　￣Z_r､_｢|　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､

920 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:40:45 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣:::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//::::://!::::::::::::::::::lﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:|::::::_LL!＿__!ii::::::l::i
　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::l::::::!■■■■.!_::|:i　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::i:::i　　 ' 　　 ,'::｀::|
　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::;i::!,ﾞ:..､_ ^　.イ::::j::::i　　　　　　　　　　　　　　「ええ、あなたと出会う前に、
　　　　　　　　　　　　　　　　 /:／￣.|::!　ヽv/´ 〉ヽ/:::::::.
　　　　　　　　　　　 _,-'"´ヽ　! .!::|V　У　/ 　|.ヽ:::ﾊ　　　　　　　　　　　　別の魔法少女と少し闘ってね。
　　　　　　　　　_,.. -＜_　　　　ﾞ:..| |::| .ﾔ/　 / 　 !/　V:ハ
〈＼　　　_,.. -‐ '"　　　　｀　‐-､_ ﾞ.!|::|,／　 ,/!　　|' ,／ヾ､!　　　　　　　　　 .これは、その彼女の魔法」
　＼｀ヽ.|　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ≦::|ｲ｀ﾞ＝'-ｪ､._j／＿＿_＼
　｀ヽ-‐|　　　　　　_,.　　 ,..:ｨ´::::! /:/ ￣￣￣￣.〉.＼　　　　　＼　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　ゝ　　_,.-‐"　　　 ,/:::;::::j/'"　　　　　　　!:::ﾞﾄ､｀ヽ､　　　　＼
　　　　くヽイ　　　　　／::,ｲ/"ﾄ､.__　　　　　　,!::::::|, ヽ､_ ｀ヽ　　　｀ﾒ__,　-‐ｧ
　　　　　ヽ　　　　　 _,./:／//ﾞヽ､/_　￣｀ﾞ¨¨¨´ﾔ::::/ 　　｀ｰ､.　　,..ｲ.＿　っ
　　　　　　｀ｰ‐ ' "´ ﾚ'" 　 /　 /　　￣｀ﾞ¨¨¨¨´ｲ:/　　　　　　 ,.ｨ'"

　　　　　　　　　　　,. -ｭ,ﾆニ弌垳ト､
　　　　　　　／r'^　_rﾍ-ﾍ/＾ヽr宀､
　　　　　　　 /!７ト､7′ 〃　　　ｌヽヽ
　　　、　　　　/ l//L｣| ∧ｌ |　! |l　｜　!　ヽ
　　 |:l　　　 / 〃 ||丁l トH､lV| |l　 /l　 } l　|
　　ヾヽ　 / 〃　|l　| ｌ　　｀ヽ{　/-ト/ //ﾘ　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　＼　ヽ:∨　|」 /ｌ|　ｌﾄヽ　　　ﾚ'　ｼ' ／ ′
⌒ヽ!ヽ._j＼＼ / 八　|ヽ. 　　　 ∠r1=彳　　　　　　　　　　「……そういうこと」
::..::..::..::..::..｀::..::ヽ/　ﾊヽ‐ >､　 ,. イ|　}::..｀ヽ、
::..::..::..::. ／⌒ヽ､ヽjノヽ.∨r 芥､/:./ /::..::..::.､＼　　　　　　　 .自分の魔法が通じぬなら、他人のそれを借りる。
::..::..::.::./:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ⌒Tlヽ｝l,ハ/-/ 〈::..::..::.｀ヾ＼ヽ
::..::..／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨_　||　ヽ:ﾚ':.:ヽ::..::..::.くヽ.j　　　　　　なるほど道理だ、と水銀燈は少しだけ感心して。
::.r'´.:.:.:..::.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_ ||ｰrﾍ.:.:、:.:.＼ヽヽ:〉
仆､ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_l〉 ri心:.:',:.:.:.:.:ヽ｝　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
′　＼_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∨_　ゞ=仆ヽ.:.:_ノ
　,　　　〉个､:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.∨_　ｌ　 }〉:.}'´
　|　　く_/^ﾄ､>:.∧:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨_ﾘ　〈|:.ハ
　|　　//:.:.:||:.:./　ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨┐r':.:{ ､ヽ
　!|　//:.:.:.:||:./　　｝:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.| l　|

921 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:41:09 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　x≦ .薔x､
　　　　　　　　　　　　　　 , '/ﾟ辷}ゞ三≠辷､
. |＼　　　　　　　　　 //辷}／　　　　｀ヽi
　i.ﾍ.ヽ　　　　　　　　　ﾑ{辷}.′　,　　　 i　ﾊ
　 i .ﾍ∧　　　　　　　 i 〆iﾍ i |从ﾘi　|ｌﾉ从 i
.　 i.　ﾍ∧　　　　　　 i　ﾁ}{ﾊｲ　　ヽﾉ　.ﾉﾘ
　　i／.ﾍﾊ　　　　　ﾑ .! | ヽﾐ　　　 /ﾉ｀ヽ
　　 `ﾏ　.∧　　　　　ﾑ　　　 i≧x　／ | ヽ　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　ﾏ　∧.　　　　//　ﾉ xﾆへﾏ/iﾊﾍ　i､
.　　　ﾏ　∧.　　 / ヾミﾑ三ﾆﾑ`´rztrz､ﾊ　　　　　　　そして同時に、愚かだと思った。
　　　　　ﾏ　∧　/ ｰ≠i!ﾉ三三 .ﾑﾑﾞﾟ~　ﾊ.｀i
　　　　　ﾏ .∧ｰ=彡i!i!〈三三ﾆﾉ三ﾑ　　 /ﾆ|＼　　　　　　付け焼刃の魔法では、少女は大人になれない。
　　　　　ﾏ ∧´ ,ｲi!i!/ `斧ﾄ/`三三≧┘ﾆﾊ＼ミ=‐
　　　　　　　　ﾏ.∧/ﾉノi!i!i!i|三 |＼三三ﾆﾏﾊ〉ﾄ､. ＼　　　　 .背伸びをした子供のように、ただ無惨に死ぬるだけなのに。
　　　　　　　　i ﾏ∧| 　|∨ﾉ三 | | lヽ三三三ﾔﾊﾑ､､ヽ
　　　　　　　　|　iﾏ∧　| .//ﾊ .{ .ﾏﾘ）三三ﾆﾔ iﾑ｀ゝヾ.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ｉ　|. ﾏ∧. `// |ﾊi　　/三三三米ヽ.i´ ヽ_
　　　　　　　　ﾏﾘ　ﾏ.∧///} .ﾊ.／三三三三i.ﾑ三ﾑヾ｀≠
　　　　　　　　　　ﾏ_ﾑﾁi}ﾊ刈ﾆ/ ﾏ三三三{､/ﾊ三.i　ヾ.＼
　　　　　　　　　　　 //｀ｰ} }_}} ﾊ三三ﾏ三三 i´.｀ヽﾏ }ヾ,､,≠′
　　　　　　　　　　　 {//ﾉ才,ノ圦}三三ﾆ＼三.}　　　ﾏﾆ＼}
　　　　　　　　　　　//　｀ｰ´斗~三三三三i￣＞<´　ﾏ三ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　/::::::::,::::,':::::::::::､:::::､:::::ヽ　　　　..そんなのは水銀燈にでも分かる事だ。
　　　　　　　　　　/::::::::::|:::::|:::::::::::::|!:::::!:::::::::!
　　　　　　　　　　|:|::::::::|:::::||:::::::::::::||:::::|:::::::::|! 　　 .急場しのぎに他人の技を借りて勝つなど、
　　　　　　　　 |:|::::::::|::::｣|_::::_::::::｣l_::｣!:::::::::|!
　　　　　　　　　 |::|_::::::|i!■■■■■j|_::_:::｣| 　　所詮追い詰められた者の夢である。
　　　　　　　　　 |::|::::::T ■■■■■ .|:::::::|::|
　　　　　　　　　,'::::|::::::|:､.　　　ﾞ　　　 /|:::::::|::|　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　!::::|:::::::|::ヽ.　 ´ ｀　 .ｲ::::|:::::::|:::!
　　　　　　　 !:::::|::::::i／ヾ､` ｰ ´ ﾉ/ヽ::::::::|:::!　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 !::::::|:::::::|　　ヽヽ .／/ 　 !::::::::|:::|
　　　　　　　　|::／ !::::::|､　　ヽΧ/　　　!::::::::|　ヽ.　　　　　　　　　　　つまり彼女もまた追い詰められ、
　　　　　　　 // !　|:::::::|ヽ.　　 У　　/.|:::::::::!　|!　.
　　　　　　　/　 :　 !::::::|　ヽ　./　　 /　|:::::::::|　i!　ﾞ!..　　　　　　　　　 .そんな藁のような勝算に縋るほかなかったのだと。
　　　　　　 /　　i.　|:::::::|　ヽ/　　 ./　　|:::::::::|　!　　ヽ
　　　　　　/　　　!　!::::::|　./　　　/　　　|:::::::::| ,j　　　ﾞ!　　　　　　　　　　魔法少女は、侮るようにそう合点して――。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

922 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:41:25 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　/::::::::,::::,':::::::::::､:::::､:::::ヽ
　　　　　　　　　　/::::::::::|:::::|:::::::::::::|!:::::!:::::::::!
　　　　　　　　　　|:|::::::::|:::::||:::::::::::::||:::::|:::::::::|!
　　　　　　　　 |:|::::::::|::::｣|_::::_::::::｣l_::｣!:::::::::|!
　　　　　　　　　 |::|_::::::|i!ﾟ●,!　　 iﾟ●;j|_::_:::｣|
　　　　　　　　　 |::|::::::T ｀¨　　　　 ¨´ .|:::::::|::|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　,'::::|::::::|:､.　　　ﾞ　　　 /|:::::::|::|
　　　　　　　　　!::::|:::::::|::ヽ.　 ´ ｀　 .ｲ::::|:::::::|:::!　　　　　　　 ――けれど、それは否である。
　　　　　　　 !:::::|::::::i／ヾ､` ｰ ´ ﾉ/ヽ::::::::|:::!
　　　　　　　　 !::::::|:::::::|　　ヽヽ .／/ 　 !::::::::|:::|　　　　　　　　こんなものはただの真似事、時間稼ぎにしかならぬ。
　　　　　　　　|::／ !::::::|､　　ヽΧ/　　　!::::::::|　ヽ.
　　　　　　　 // !　|:::::::|ヽ.　　 У　　/.|:::::::::!　|!　.　　　　　そんな事は、キル子が一番よく分かっている。
　　　　　　　/　 :　 !::::::|　ヽ　./　　 /　|:::::::::|　i!　ﾞ!
　　　　　　 /　　i.　|:::::::|　ヽ/　　 ./　　|:::::::::|　!　　ヽ　　.....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　/　　　!　!::::::|　./　　　/　　　|:::::::::| ,j　　　ﾞ!
　　　　　 !　　　　! !::::::|,/- =ｪ./_____ 　 |:::::::::|/　　／ヽ
　　　　　/　`ヽ､__,7|::::::|ゝ‐=二＿＿￣`|:::::::::|}‐'"´　　ヽ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　　　　　　　　　　　ﾞ‐'　|.ｌ
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､_;;;;;;;;|　　　　　　　 .,,,　　　　 .　ｌ､;ﾞ￢．
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　｀''" : l.;;;;;;;;;;lﾞﾞ'<;,v､;;;;;;;;;;/'　　　 .｀''''"　　　　　　　 !;;ﾞ''┐　　　　.ﾞ'ｰ'"
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .tナ‐'￣″ ∥ .｀'―ｰ!lｌ..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　　　　　　　ﾘ'i
,! .／　　,i";;{_ 　　　　　　　　　　　　　　　 =!.!.ｌ　　　　　　そもそも魔法とは、才ある少女が涙に追い込まれながら
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マ　,
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ　　　　　　　　　i'''j　　.!､　血の滲むような努力をして、ようやく使いこなせる魔技である。
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア　　　,......、　　　,iﾐ;;/　 ,r'
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;.　魔法少女と言えど、一朝一夕で他人のそれには届けない。
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,　　　　｀''''''ｉ_;;;;;;;;;i;;,ﾞ　　ｌ;;;
..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝ..r‐┐　　　i";;;;;;;;i┘.　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !　　 .〔;;;;;;;;;;;;ヽ :lﾆ二'ﾞ'';;．　　　　.,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,　　ヽ!　　　　　 "'"　　　　　.．　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'―- -ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'---､　　　　　　　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ'　　　　　　　　 l7　　　l
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

923 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:41:37 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　//＼:ﾞ､::::::::::::::::::::::::ヾ､:::::ﾞ､::`､::＼::人__
　　　　　　ノ" {::::l >ﾐ、:::::::::::::::::::::::::＼:::::::｀;::::::ヾ､:::ミx､
　　　　　　　　 l::::ﾄ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽﾄ､::}::::::::)}::)〉⌒. ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 V:廴:::::::::::::::::::::::::::::::::::r-癶::::::::jﾄﾄく
　　　　　　　V::＜＿:::::::::::::::::::: ／l:::::{::从ﾄ}　　　　　 ――数多の暗器を己が衣に隠し、その暗器をもって
　　　　　　　　　　＼:::::::＜__　　'"　 lﾘ从(
　　　　　　　　　　　二トミr＝ミx､γ┐　　　　　　　　　己が屈強な肉体を隠す、隠形剣。
　　　　　　　　　　／__　　 `ヽ､　》《ノ￣ヽ__
　　　　　　 ,,.＞<"´　　｀"'''''''''"⌒''''^''ミ.....__ ｀ヽ　　　　　　キル子の模倣は、さやかの操る魔法の域にはまるで及ばない。
　　　,..ィ'"::::::::ヽ　Y　　　 __r-(^～､_　　　　/＼〉
r''"~:::::::::::ヾ::;;;;:::} ﾉ-　 r-{< >''"￣`ヽ〉-r'"ニ)::癶＿..　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
乂::::::::::::::::::::{ }}ミ≧x＜>'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`／.:.:.:.ヽ／::＼~''ｰ...、　　 r---r"　　ノj｝
　　`''＜:::::::::`ﾞ}ト≪ﾐ圭≧xヒ^iﾞ^ﾄ_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}::::::::::::＼　　`ヽィ''{　　　ヽ／
　　　　｀''＜:{｀ミ=z､`≪圭ｼ j ﾉ }ヽ:.:／ii:.:.:.:.:ﾉ＼:::::::::⌒''":::::::::弋　　／､
　　　　　 j: : :ヽ＿ゞ `''ミ､~''f_}x会少1 .ii.:.／ : : : ＼:::::::::::::::::＞''"`''"､　　`'''ー--
　　　　　　j: : :l: :└┬‐ ''''"~｀ヽ､　{{ トj　il`"＞..､ : : : `ｰ'''": : : : : : : : : : :`ヽ、
　　　　　　! : : l : : : :} 　　　　 `＝=z　jjヽ､　　　＞..､: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　＼ ::::::::::::::::／　／　　　 }　　　ハ.　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　＼::::::／　／　　　 /!　　　 i　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　. '　　　　　　/ i|　　　　 |　　.ｌi　　　　　　　　＿ _
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　 / /、,ゝ=＝= く　　 .ﾘ　　从　　　ｨ升ﾍ´　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ!　､_γ　r,J三;ヾ,｀ヾ,.../　 , '　ハ／/{　 Y　　　　　 ijﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l　i. く( 　 {三●;= }　 )> ／　 /／/.／ゝ_人　　＿メハ〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |l...´　　ヽ_.ヾ;三;〃.／　/　ル' ./／　　　　　￣　　　( (
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　从ハル'　j＞'´￣￣j　/⌒Y//／　　　　　　　　　　　　 ) )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　￣￣￣￣｀ヽヽ.　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＿＿＿ _」_ﾉ
　　　　　　　　　　　　　／　／´￣　/: : : } __ ＼!　　　　――そして、剣に触れるだけで敵の筋と心拍と骨格を読み、
　　　　 /≧x、　r==､_ ／　／　　　　/: : : :/: : : : : `ｰr
　　　　　｀＜≧t　　　　くヌ　　　 /: : : :/: : : : : : ／j　　それを基に心さえ読む、心眼剣。
　　　　　　　　　 ⌒ ⌒ー＜≧x. r ､/: : : :./: : : : : :./: :/
　　　　　　　　　　　　　　　　｀＜し' :_: : :/ : : : : : 〈: : {　　　キル子の模倣は、妖夢の操る魔法の域にはまるで届かない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　し/´: : : :i : : : : : : : :ﾏ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : ,ｨ升介ト、: : : : :.ﾏ.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　／: : ／,. ～⌒へ＼: : : : :ﾏ: 〉≧x.
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

924 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:41:51 ID:LfEKVIbk0

．　　　/ 　 ,./　　　　　　 !ﾚﾞ / 　|　 . /　∧　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
..ｌ　　 /　 ./　　　　　　　ﾞi￣" 　　｀../　/∧
　!　./　 /　　　　　　　｢"　　　　　 /　.//∧　　　　　　　　 .キル子に真似できたのは、ほんの十本程度の刀を
　ｌ./　/　　　　　　　 /　　　　　 /　 .///∧
　　ｌ ./　　　　　　　 /　　　　 ./　 .////∧ 　　　　 .　　己が衣の下に隠して、なんとか支障なく打ち合える程度。
　　..ｌ、　　　　　　　｀＼、　　　./ 　 //////∧.　　 .／::::::
　　　ヽ　　　　　　　　　　　 l.ヽ_＿ /. 　 ///////∧.　./:::::,::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ｒ　　　ヽ　　　　　　　　　　　ｌ　　/　　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|. 　_..-''',ﾞ -'".、　　,　　,!　　　ｌ
.「'､　　　ヽ　　　　　　　　　　ヽ.../　.　　////////∧ |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|''',ﾞ -'"　　 _/｀ﾞ''". l　 .lﾞ　　　　l
/　ヽ,　　　ヽ　　　　　　　　　　 / 　　　./////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　　....'ヽ,　　　 .ゝ l　　　　　l
　　　ヽ　　　＼　　　　　　　　〈　　　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　　　 .ｌ　 . _,,.〉/　　　　　│
　　　　＼　.,, .,＼　　　　　　　　＼.　　 ∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|　　　　　　　l／　 ./ 　　　　 ,ィ tｰ
　　　 .,,、ﾞ / ﾞﾞ.＼,ﾞ＿ο　　　　　　＼　　.＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|　　　　　　　 / 　　　　　!　　ｌ
　　　 .lﾞ ´　　　　　　て　　　　　　＼　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|　　　　　 ,..-'´　　　　　i､ ! ／
　　　ｌ　　　　　　　　ヽ.,　　　　　　　 .＼　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|　　　 ._..-'´　　　　　　 ,.i!ﾞ.ゝ.ｌ
　　 .ヽ　　　　　／'"＼　　　　　　　.＼　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||. ._..-'"　　　　　　 ,i'l′　 .!_,
　　　 .ｌ_、　　　　　ｌ .､　　　＼　　　　　 .,　｀　＼.　＼//,ｲ l／　　　 .｀ﾞ._,, ‐'″　　　　　　　　　　/ 　　　　　ヽ
　　　　　｀'-_..--"´　 .＼　　｀'-,　 ._.　､　　　　｀＼.　＼/イ　　ヾ.. _..-'"゛　　.,,イ　　　　　　 /

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
.　　　　　 ′ 　　､　　 /　　　:. 　 i　　　　　　　　/i／i／i／i ,　　　　　　　　　　　　　　　 i＼ |　ヽ!ヽ
.　　　　　 l　　=＝､〉iliく　,＝= 　　 l　　　　　､ .|`: : : : : ; : : : ' i　　　　　　　　　　　　　　ヽ､_|　 `
.　　　　　 l　　　’彡ハ三ﾐ,’　" 　 i-､　　　 !ミﾐ´゛゛゛""""ヾ彡',　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　 ,ヽ!　　　　　　　　　　　　 =ﾘ　　　､i: :ﾐ､＿　＿,＿ﾐV/　　　　　　　　　　　　ヽ￣
　　　　 {k 　　　　ノ`-=-'ヽ　　　/ ｋ/　　　　ヾr////.几////ュ'.　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　`戔　　　　　　　　　　、　r-'　　　　　.r-i ￣　,　￣　　ト
　　　　　　 .i　ー=＝＝ニﾆ` '.:　i　　　　　　 .ﾏ !　　　　　　　,!ﾉ　　キル子に真似できたのは、幾度も刃を打ち合わせて、
　　　　　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　｀',　ｰ=＝-‐`,
　　　　　　　_i　＼＿＿＿＿／ﾄ､　　　　　　　　　＼　　　ィ.　　　　やっと相手の筋と骨の姿を読み取れた程度である。
　　　　　＜　!　　　　　　　　 /　＞､.＿　　　　_ !: :｀. .´: :!_
-―‐く　　. : : :　　　　　　 . . . . .　　／//＞,　＜/ : : : : /: |/ヽ　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
/////＼　 : :　＿ヽ ..　 /＿: : : :／//////　　　　ヽ　 _ノ///`ー､　　　 .从彡/¨´_メヾヾ　　　　　　／/ゝ　 ///
l///////＞　､＿ .`　　 '＿,　＜///////　. . .　　　 ∨/////////`ー--､[///]-[///]i!i!`　　　／//　　　///
.l///////////////////////////////: : : : : : : .　　 }//////////////∧￣ .' ￣´ ,ﾉi!　　＿／///`ー―////
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

925 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:42:11 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾔ|　　　lrｪﾘ　}:| |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　 |　 ,ｨ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　ﾚ'´|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | |　　　　　.|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　＿　＿＿＿＿＿　　　　 .|_:|＿＿＿_,|
　　　　　　　　,:.´:.,r''"´ヽ_,,.､　　　　｀ヽ　　　.,ﾍrﾘ　ﾄｰ}　　　　　　　　　 .……そう、全ては布石である。
　　　　　　 ,'r'"´　　　　　｀ー=ﾆ..,,ﾄｭ_,.}-ｧ. 　`ｰ' 　`ｰ'
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　／ｰ- ..,,=-――――――- ..,,_ 　　借りた魔法の試し斬りは、ごろつきどもの
　　　　　　.{　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_;;;::::=::;;,_;;;;;｀'
　　　　　　 ',｀ｰ-､　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r''''"´　　　　　｀''ヾ　　.命を使って十分に行われた。
　　,.......xｭｮｮ.｀￣｀ｰ ..,,_　　　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／;;;;;＼
　　`寸圭圭圭}　寸圭.｀ｰ ..,,_　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_,,r'´￣＼;;;;;;;｀ｰ .,_. 　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　｀¨¨¨¨´ ,佳圭圭圭圭.｀ヽ_{_ノ｀ヾ＝-'´　　　　　＼;;;;;;;;;;,r｀ヽ_ _
　　　　　　{少r:ゞミ王王圭圭圭圭少'´￣¨¨¨´　　　　　　.｀ヾ{´⌒}r'´ ｀ヽ
　　　　　　　 {圭圭圭沁　｀¨¨¨´　f壬心　　　　　　　　　　｀￣´｀ー‐ '
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　／　　　　　.:/　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　／＿＿__ 　 .::/
　　　　　／　　VＺﾆ=-＞──-　,._＿__　　　　　　　　　　 .『残酷剣は相手の力の流れを利用する魔法だ。
　　　　 /　　　ア^／　　　　　　 r＝=≧:､
　　　 .:　　　　/　/　●　　　　　｀ヾ二ア… 、　　　　　　　力の流れが分からなければ、何の意味も成さない』
　　　 |　　　 .′ :.　　　　　　 ●　ｉ:. Y´　　　＼
　　　ｌ　,.-=#==ｘi＼　 `^ｰ' 　　 .::从 |　　　　　　'.　　　　かつて、キュゥべえはキル子にそう言った。
.　　　＼`ｰ=i　　 {ゝ::≧ｧ---‐r＜/_＿ｌ__:::::.　　　　}
　　　　　　¨¨ |　　人¨¨ :′　　 Vく{「￣「_≫:::.　　 /　　　　 .――つまり、分かるようになればいいだけの事。
　　　　　　　 |　。｡ﾟヽ i　　　　＼j　　＼ヾ::::　　′
　　　　　　　ｌ　ﾄ､ |`ﾇ | ｕ　し　ヽ。､｡､ﾟ＼:／　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

926 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:42:35 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }＼|　　/{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }＿｀¨¨_/　　　　　　__,.　──-　_
　　　　　　　　　　　　 ⌒ヽ　　　 }＿＿__{　　　 ., ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　　　ー… 二三込＼,_ /＿＿／　　　.〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　ー=　ア／￣￣　〉/ 〈_,.. ∠　-=,..._, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　　　／ /　　　／,/　　ト､＿＿_/　　7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ　　　　　..なんということはない。
　　　　／／/　／／　/′　 |　＼＿_(　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ
　　　　　' 　レﾞ／／／ /／/　/,　　　　　 .ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ　　　　　　借りた隠形剣で時間と手数を稼ぎ、
　　　　　　ノ/)／／)／/　/　//　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,
　　　　　　　 .ﾚ'／)／)／)ノ／/　　　　　　　　 /7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ　　　　　　借りた心眼剣で筋と骨を読み。
　　　　　　　,　ア{￣￣`く/ﾞ　　　　　　　　 //　　　　　　　　 _,.　i|
　　　　　　./　/―｀¨¨¨¨¨_＼　　　　　＿＿./ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .|　｛―――――ｧ宀､斗[　　_,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／
　　　　　＼{――――‐/　　　ヽレ＼_}__{　ﾚ }　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　　　　`ヽ―――｛　　　　 ‘，　　し ⌒..＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　_...-‐:::￣￣ヽｰ-.､_
　　　　　　　　 ..-‐,:::::::::::::::::::::､:::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　/／::::::::/::::::::::::::::::i::::::::::::::､:::::ヽ
　　　　　　/／/::/::/::::::::,!:::::|:::::|::::::::::::::|:::|:::ヽ　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　/'　/:::::i:::/!::::::::||::::::i:::::|:::::::::::::::|::|::::::ﾞi.
　　　　/'　 /:::::::|::| |::::::::| l:::::::l:::::|:::::::::::::::|:|:::::::::ﾞi　　　　　 ..そして己が眼で水銀燈の太刀筋を見れば――
　　　　　 ,::::::::::|`|､| :::::|　| :::i::|::::|:::::::::|:::::||::::::::::ヽ
　　　　　 i::::::,-ｲ:::j |:::_ji　　|_:::i::::_|::::::_/ﾄ:::|:::::::::::::..　　　　　 .血のにじむ思いで鍛え上げられた残酷剣は、
　　　　　´￣　/:::l. ` ﾉ　　 `＝'"´|::::::::|_|::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　 /::::::ゝ　｀　　　　　 .'|:::::::::| ヽ､:::::::::::::ヽ､　　　 .己が天敵さえ殺し得る領域に届くのだ。
　　　　　　 /::::::ノ　ヽ `丶　　／ ,|::::::::::l　_ｨゝ-､_::::::::／:::
　　　　　 /::::／　／ゝ-‐= ´　／'|::::::::_｣'-‐'"ヽ､ヽr､::::...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 /／　　／/　　|　　ヾヽ//_＞'/7　　　　､＼／`‐´:::::ヽ

927 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:42:50 ID:LfEKVIbk0

　　　 _＿＿＿ノ　!　,ィ　／　　　　　　　　　　　　　 |　　　ヽ个o｡ _______ ｡o个／　　　　　　 ∥　∥　} ､　　　　　　／ヽ　ヽ┐
　　／　　｀",＝‐'´｀｀ヽヾ　　　　　　ｉ　　　　　　　 |　　　　...＼ ____________ ィi〔　　　　　　　 /　 ./ヽ,ｲ＼, 彡ﾆﾆﾆ＜／　`､　ﾟ,こ
　 /　　　　/　　　　　　｀ヽ,　　　　 !　　　　　　　　 !　　　　　　 |　|　　　　　　　　　　／　／__ 」　　{ {　　　　ヽヽ　 ∧. ∨
　ｉ　　　 /´　　　　　　　　 '､　　　 |　　　　　　　　　!　　　　　　　 .|　|　　　　　　　ィi〔　.／　」⌒ﾐh「ヾr､　　　 ././　　　.}　:}」
　 {　　／ ,　　　　　　　　　　ｉ　　　　ｉ　　　　　　　 !ﾐh､　　　　　 |　|　　　　　｡s个　　／ヾ,¨´ﾟ,-　_ 　ﾐhﾍﾆﾆﾆイ､.　　 / ∥〉
　ヽと_,イ､,　　　　　　　　　 ',　　　 !　　　　　　　　/h､　 ~"''～､、__,,}　{_,,jI斗ｆｾ升　_､+''"}＜ン「ヽ＼　ﾐh､　ヽ　　ﾐh､＼/　/」
　　ヽ　/ /｀ー---,　　　　　　',　　　ｉ　　　　　 /../.:}ﾐh､　　　　　　　　　　　_ ィi〔 ∨､r」ヽ_,,...⌒「ヽ,,ﾐh､　〉　心┐__彡ﾞ／「
　　　と,イ　　　　　',　　　　　　',　　 !　　　　　　　/..允トﾐ／}:¨/} 「¨¨}ﾆ{___,'ヾ⌒} ＼」　／jI竓芋ミﾐh､｡o≦ イ､　ﾟ｡┳-､」ヽ」
　　　　',　'､　　　　　',　　　　　　ヽ　/　　　　　　 /.　}..{　　｀┗‐ｲ∧_,/ ∧:」{┗ ┘　　 ∥ /　　　　 `､ ',イ　　　 ',　',⌒}　　　　┏
　　　ヽ　ヽ　　　　 ',　　　　　 ∨　　　　　 /.辷㌻ヾ､　　ヽ{　　__　　 ┏}　!　　　　 {:　{　　　　　　∥} 　　　　}　',＜　 r-､」j
　　　　　ヽ　　ヽ､_, 　 ',　　　　　ヽ　　　　 /.ヽ」┓　}}====}}ヽ┘ヾ´ヽ/辷ﾞ{ r､　_彡ﾞ､ヽ　　　　　/ /　　　　 ∥　}」/ﾐh」｡o≦
　　　　　　',　　ｉ　　　',　　　　　　　ヽ　　　 /. ､　ヾ/ヾﾞ.r､彡´´ji斗.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.,,..
　　　　　　 ',　　ｉ　　　',　　　　　　　ヽ　　 /.　ヽ ∧/-「..... ィi〔寸　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ム
　　　　　　ヽ　　ｉ　　ヽ　　　　　 l　　 /.''＜__ﾟ｡　',＜／　ム寸　キル子には、既に見えている。
　　　　　　　　＼　ｉ　　　ヽ　　　　　　ｲｲL/{_」',　',ノ　　　丿└
　　　　　　　　　　｀"ｉ　　　ヽ　　　　　　　/ ｉ　　　　.]　.:}こ}　　/　／. 　人形剣によって生み出された、異形の人体。
　　　　　　　　　　　 {!　　　　＼　　　 /　ヽ　　　∥　}‐┓ ∥∥
　　　　　　　　　　ｉ　　　　　　｀ヽ--- '　　　＼　.∥　┗┤ .{ ∧　　　もはや人とは呼べぬ構造をした、
　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　＼.　「_¨´´´,, ､心 ,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　＼.ｲrｾ升　ﾐh､__. 　剣以外を捨て去った肉体の、その正体が。　　　 .:{
　　　　　　　　　　　　|　　､　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ..　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,」
　　　　　　　　　　 !　　ij　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.､　　　　...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛..゛ ',
　　　　　　　　　　　 |, 　 '　　　　　　　､　　　　　　　ヽ..~''＜ ______ ,,.｡*'"　ィi「〉´　　　　　　　　　　／　∨./ ',ﾞ ´　 ji斗fｾﾁ
　　　　　　　　　　　　/'　　　　　　　　　　} 　　　　　　　 ',.ﾐh､__　__,,,,...,,｡s≦､} ｀´　　　　　　　　　　　┗===∨ .∧'ﾞ~´　　　　_,
　　　　　　　　　　　 /　　､　　　　　　　　ｉ　　　　　　　　　　ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　圦..,,__∨..。｡ *''ﾟ::::

928 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:43:11 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　 (ﾘﾉヽ､卯) /
　　　　　　　　　　　　　 9!, ﾟヮﾟﾉ≠)n=ｮ
　　　　　　　　　　　　　ﾐ(_)二つ,,ノ
　　　　　　　　　　　 /(__ﾊ_)
　　　　　 ┌──┐..　.｀しﾃ′　　.＿__　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 i二ニニ二i　　　　く/',二二ヽ>
　　　　　 i´ノﾉﾉヽ）））　　　　　 .|l |ノﾉｲﾊ)）　　　　　　　　　　　　そして、思う。如何なる覚悟があれば、
　　　　　Ｗﾘﾟ -ﾟﾉﾘ　　　　　　 |l |ﾘﾟｰﾟﾉｌ|
　　　　　 ⊂)_介｣つΟΟ　　...ﾉl_|(l_介｣).|　　　　　　　　　　　己が肉体をこうも尋常でなく
　　　　　　〈__l__〉　 Χ　　 .≦ノ｀ヽﾉﾍ≧
　　　　　　〈_ハ_〉　　　　 .ミく二二二〉ﾐ　　　　　　　　　　　　　作り変えられることを許せたのか。
　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　 .ｨ/~~~' ､
　　　　r@"￣~@ヽ　　　....,',i＞＜iヽ　　　､_/ / ￣｀ヽ}　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/ﾉﾘliliﾊiliﾊ　　　 ./（(ﾉﾉﾘﾉ）)　　 ,》@ i(从_从)）
　　　ﾉ从ﾘ＠-ﾟﾉ从　　（(ﾐi!ﾟヮﾟﾉﾐ)） . 　 ||ヽ|| ﾟ -ﾟﾉ| ||
　　ﾉ从とi,,ξ,,,iつﾊ　　 .⊂)夲!つ　　　...|| 〈iﾐ'介'ﾐi〉||
　　ﾉﾘ从く,,,,ξ,,,,>ﾘ从　　 .(ﾑ!,,ｊﾑ)　　　 .≦ ノ,ﾉハヽ､≧
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　_...-‐:::￣￣ヽｰ-.､_
　　　　　　　　 ..-‐,:::::::::::::::::::::､:::::::::::::::::ヽ.　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　/／::::::::/::::::::::::::::::i::::::::::::::､:::::ヽ
　　　　　　/／/::/::/::::::::,!:::::|:::::|::::::::::::::|:::|:::ヽ.　　　　　　　　どれ程の覚悟があれば、己が異形の魔物に
　　　　　/'　/:::::i:::/!::::::::||::::::i､:::|:::::::::::::::|::|::::::ﾞi
　　　　/'　 /:::::::|::| |::::::::| l:::::::lヽ|:::::::::::::::|:|:::::::::ﾞi　　　　　　　なることに耐えられたのか。
　　　　　 ,::::::::::|`|､|_::i::｣ |_:::i:_|_,,|:::::::::|:::::||::::::::::ヽ
　　　　　 i::::::,-ｲ:::ji､Vji　　j!.ﾟ● |::::::_/ﾄ:::|:::::::::::::ヽ　　　　　　一瞬だけ、キル子は眼前の水銀燈に思いを馳せて。
　　　　　´￣　/:::l. ` ﾉ　　 `＝'"´|::::::::|_|::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　 /::::::ゝ　｀　　　　　 .'|:::::::::| ヽ､:::::::::::::ヽ､　／　――少女は、すぐにそれを頭の隅に追いやった。
　　　　　　 /::::::ノ　ヽ `丶　　／ ,|::::::::::l　_ｨゝ-､_::::::::／:::
　　　　　 /::::／　／ゝ-‐= ´　／'|::::::::_｣'-‐'"ヽ､ヽr､::::....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 /／　　／/　　|　　ヾヽ//_＞'/7　　　　､＼／`‐

929 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:43:25 ID:LfEKVIbk0

:::::＼く : : : :ｌ:::::::::::::::::＼／　　／:::｛〈?鴨}｝:::::::::::::::::::::::＼ : : : : }::::::::::::::::::/／　　　　　´
―‐-＼＼ : |:::::::::::::::::::/ 　／:::::::::::＞＝′￣￣`ー-､:::ヽ : /:::::.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ー -- ＿_ ＼:::::::::::::::: ′ /::::::::::／　/　　 l l　 '.　ヽ　＼:∨::::::::::
￣　＿― -- ＼:::::::::::|　/:::::::／　　'　|　　 | |　｜　|l　　　ﾄ|::::::::::::.　――今度こそ終わりだ、と水銀燈は剣を振るう。
＿〈匸＞―一ｧ二＞=､l:::／　　 l| ｌ |　　　 | |l　ハ／　|／. 二
ｰ‐／::::::::::::::://::: 〈〈_//イ　　　　ｌ| | | 　 //　| |ｊ厶ｲ|ｌ　 //::::::::::::.　人形剣によって作り替えられた鋭敏な感覚は、
／:::::::::::::::::://::::::::::＞ｲ　|　| 　｣_八ｌハ〃　 lイ　　 ||　 |::::::.:::::／
:::::::::::::::::::::〈｛ ::::::く/´:::ｌ　| ∥.　.|/ 　　ﾍ　　 /　　　ﾘ　 |::::::.::/ /　キル子が全ての暗器を吐き出したことに気づいている。
::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::|　| 八　 |l　　　　　＼/　　　 /　/ ::::::/ /::
::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::| 　|{　＼.|＼　　　　　　　 /／{::::::::::./: ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::|　　 |::l::＼.　＼　　　　　／＿〉:::::::.::::::::::::::::::::|ｌ:::::::::/⌒ヽ￣　　_　-― 　ﾉ　　/　',::|
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ｌ　　 |::|::::|} ＞一≧ー―＜/／ __/⌒ ー‐､__::::::::ヾ:::::厶　r┴　￣　　　　〈　　/ 　 |::|
￣￣`ー- ､:::::::::::::::::::::l　　 |::|::::|}　　　〈にﾌ小.V/|　ｌ::〈　 |、ｌ　　｀＜￣　　　└―'⌒＼　　／　　ー'⌒ヽ|::|
　　　　　｀ー―－ﾍ　　|::|::::|}にニニヾイ　 ∨ レ':::::',　|　ﾉ　　　　＼　　　　　　　　 }／　 /　　　　〉|
　　　　　　　　　　　　　l＼ |人::::く￣ト-个ーｆ⌒ｰ勹::::::::レ　′/＾/　/ 　ヽ　　　　　（　　 /　　　　／|::|
　　　　　　　　　　　　　| |:::::::::::::ー＼　｜　/　　／:::::_ノ　 |　ｌ　ｌ　∧　　｜／　／　　　 `ｰ'⌒ヽ　　/｛　 |::|
　　　　　　　　　　　　　| |::::::::::::::::::::::::＞――＜:::::::::（__,ノ⌒| ├ |　ﾄ､＿_ ﾉ´　／　　　　　　　ハ　/ /｀ヽ|:|
　　　　　　　　　　　　　| |:::::::::::::::::::::/≫====≪＼::::::::::::::::::::レ′|　ｌ　　｛　／⌒ヽ　　　　／　 |/ /　　 }ﾉ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　＼＼＼　＼＼＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼＼　＼＼　　＼＼　＼＼　＼＼　　/:　　　　　　　　　　 ..::::／
￣　-　＿　　＼＼　＼＼＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼＼　＼＼　　＼＼　＼＼　＼ヽ/..::　　　　　　　　　　...::／　＼
-　_　　￣　-　＿　　　＼＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　￣　-　 _　　　　￣　-　＿　＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼
_　　　　　　￣　-　__　　　　￣　-　 ,_ 　　＼＼　　＼＼＼　＼　それは奇しくも、最初に会った夜と同じ太刀筋で。
　　-　＿　　　　　￣　-　__　　　￣　 -　＿　　 ,. ‐┐
＼　　　￣　-　__　　　　　　　￣　-　__　　　　　￣＞''　＞――　違うのは、此度は刃が返らないこと。
　＼　＼　　　￣　-　＿　　　　　　￣　-＞　　　　/　ヽ .:
＼　＼　＼　＼＼　　￣　-　__　　　／　　　／＞　 _ﾉ--、　魔法少女を殺すことを、もはや彼女は躊躇わない。
＼＼　＼　＼　＼＼　＼　　　￣／　　＞''/_／::　)/　　/:::
　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　..／__＞''″　　/::.　　/:::　/::::..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
＼　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　　　　　〈:::　　〈:: 　 l:::: 　 {::　　{=-/　　〃//)　　＼＼　＼＼　＼　＼＼
　＼　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　＼＼　｀`～､＼　 ‘, 　 ‘,　　￣|=- ∥/// 　　　＼＼　＼＼　＼　＼＼
　　＼　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　＼＼＼　￣＼＿＿＿ ,､丶`＞-乂シ'　＼＼　　＼＼　＼＼　＼　＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

930 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:43:47 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿--ｰ''~二=--‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿　←-　..,,＿,　　　　　 ''ﾞ''.'''''''"''''''￢／　　_,,,,,........---‐っ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣^"''''‐ｰ-―'''''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ´　 ´　　　　　 .........ii,i....--ーヽ""￣´　　　　 ,..‐^゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ._,,_,,　．--;;i,,.　　　　　　　　　　.__,,..　-ｰ'''"ﾞ´　　　　　　　 ,,∠-″／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣゛　　　　　 _,,,ﾆ｀-!“゛　　　　　　　　　　 ,..-'ﾞ!'",／
　　　　　　　--＝＝二二二―‐　　　　　　 ----―'''''"ﾞ´　　　　　　　　　　　　　 : ,,.,､_,, ‐"　　.'"
＿_,　　　　　　　　　　　　　　　　　　_i,,i　--ｰ''''''ﾞﾞ´　　　　　　　　　　　　　　 , / ﾞイ
　.,,｀-｀-!ﾞ''冖'　　　　　　ﾞ二二ﾞﾞ不￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,..イ"‐"
'''"゛　　　　──＝＝lj√　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , ',,､ ‐" .'゛　 ,-'ジﾞ
　　　　 ._,,,,..　-‐'''"゛　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,ｨlﾘ'"　,..y,.．　,i/'"
　-ｰ'''″　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.../ . ／ ´''".,r'"ン“　　 ″
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.ｨｆ/''　／　　　,ﾉ　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,／゛ /ﾞ,　＞'"　.,.彡"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.. |", ／　_ノン'"　　　.r!"　　　　その太刀筋は流星の如く。
　　　　　　　　　　　　 _　　,／゛ '"゛　　,.;;ﾂ'"
　　　　　　　　　　　　,..;;l!ﾞ／　　　　 .,ir'"　　　　　　　　　　　　　　　煌めくような一瞬の間に、剣士も魔法少女も区別なく
　　　　　　　　　　..‐^r''"゛　 ._,ir"　　.゛
　　　　　　／　　._..､;;>/'"　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人体を両断してただの肉塊に変えてしまう事だろう。
　　　　.,..-'Ｚ./　,.／".'!ﾞ /
　.,..-'"　 .‘　,ｒ'"　　 .／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
‘　　　　　,,ﾉ゛　._, ,./
　　　 . ／ ,..-'"　´
　　　　 ″

931 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:44:16 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　´￣　/:::l. ` ﾉ　　 `＝'"´|::::::::|_|::::::::::::::::ヽ　　　　 .／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ゝ　｀　　　　　 .'|:::::::::| ヽ､:::::::::::::ヽ､　／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ノ　ヽ `丶　　／ ,|::::::::::l　_ｨゝ-､_::::::::／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　 /::::／　／ゝ-‐= ´　／'|::::::::_｣'-‐'"ヽ､ヽr､::::／／
　　　　　　　　　　　　　 /／　　／/　　|　　ヾヽ//_＞'/7　　　　､＼／`‐´:::::ヽ
　　　　　　　　　　　／'　　　/　/　　|　　＿`メ‐'´　/　　　　　､＼ゝ'　ヽ､::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　／／　　　 / 　ﾒ─-‐"´　　　　ﾉゝ----i'ヽ_ゝｰ'　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　／::::/　　　　/　'"-/´　　　　　　　／/／::::::::::T´ |
　　　　　　／::／/　　　／／／　　　　　　 r_ 二二⌒丶､ｰ::!‐-ヽ､　　 .……無論、それは刃が届けば、の話である。
　　　　　/:://::::/　　／ /´／　　　　　　　 ⊂二二_´ 　　 `ヽ
　　　　 // / V´_／　　ゝ"　　　　　　　　 _ ⊆ 三二､　　　　 |　　　　　　剣を振るうその最中。水銀燈は、両断される筈の
　　　　 , -‐＝"　　　　　　　　　　　　 . イヽ-､_ゝﾆﾆ､__＿　 i
　　　 /　　　　　　　　　　　　＿ﾆ-‐'"´　 `ミ_ｰ--/::::::::::::ヽヽ｀|　　　　 .少女が奇妙な構えをしている事に気が付いた。
　　　i_rﾆ二二二ﾆﾆ=-‐'"￣　　　　　　　 |､_￣　7:::::::::::::::∧ヾ`|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|､ _‐/::::::::::::::::/--＼j|　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　 -く仡> -　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　／　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 ′ 　 !:!　 } /　　ﾊ　　　　　　..刺すような悪寒と、死の錯覚が
　　　　　　　　　　　　 |　|　斗ﾄ　lト廴/ｲ l|
　　　　　　　　　　　　 |　,ィ　　　　　 /}　l|　　　　　魔法少女の背中を撫ぜていく。
　　　　　　　　　　　　 |: lﾄ　　　　　　..ﾘ　ｌﾄ
　　　　　　　　　　　ｲヽゞﾄ､　　ｲlｲ〃∧　　　　　 .その構えには見覚えがある。
　　　　　　　　　 l　∧ }::≧＜::!/ ｌ|/トゝ
　　　　　　　　　　　イ_ｲ-从::::/Ｔヾ:::ﾑ从トミ＼.　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 /⌒ヽ　 ∨个　　 /::}:⌒ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　/:::::::::::ﾊ～^{薔}～ｲ:::|::::::::∧ヾ　＼　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 /:::::::::::::::ﾊヽ｀¨´ 〃:::::|:::::::::::ﾊﾉ｝　 )
　　　　　　　　　{:::::::::::::::::::::}::::ヽ人/:::::::::}:::::::::::::}　　〃　　　　　　　　　それは紛れもなく、昨夜放たれた魔法と同じ――。
　　　　　　　　　＼:::::::::::::::!::::::::∞::::::::::::〉::::::／
　　　　　　　　　　ノ`¨7:::::::|::::::::介::::::::::ﾊ:::::::{ﾊゝ　　　　　　　　　　　　　「――おやすみなさい、水銀燈」
　　　　　　　ｰ=彡ｲﾊ:::::∧::::::::::::::::::/:::::::::::}从＼
　　　　　　　　　　ノl|ト7∧:::ゞ:::∧:::/::::/!::|/ l| }ゞ　　　　　　　　　　　どこか口惜しそうに、キル子はそう呟いた。
　　　　　　　　 / ｲl|7ﾊ }}:::::::/X∨:::/ .∨ヽ从从
　　　　　　　　 .ノ从乂}～∧::::{ >< 〉/-～}:}　　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

932 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:44:30 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ./　　　　　　　　　　　 !　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　,i"/　　　　　　　　　　　　　!　　.|
　　　　　　　　　　　　　　 /./　　　　　　　　　　　 l　　 .!
　　　　　　　　　　　　　　　 /./　　　　　　　　　　　 ,!　　 .!
　　　　　　　　　　　　 //　　　　　　　　　　　　　　　l　　　|
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　,!　　　　　　　　　＿＿＿--ｰ''~二=--‐
　　　　　　　　　　　ﾌ　　＿＿＿＿＿＿＿＿＿ !　　　.|.,,＿,　　　　　 ''ﾞ''.'''''''"''''''￢／　　_,,,,,........---‐っ
　　　　　　　　　　　 ″　　　　　　 .￣^"''''‐ｰ-―'''.!　　　 !.´　 ´　　　　　 .........ii,i....--ーヽ""￣´　　　　 ,..‐^゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,,_,,　．--;;i,,.../　　　 l　　　　 .__,,..　-ｰ'''"ﾞ´　　　　　　　 ,,∠-″／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣゛　　,!　　　 lﾞ　_,,,ﾆ｀-!“゛　　　　　　　　　　 ,..-'ﾞ!'",／
　　　　　　　 --＝＝二二二―‐　　　　　　 ---.!　　　 .!　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
＿_,　　　　　　　　　　　　　　　　　　_i,,i　--ｰ''''''ﾞ./　　　 ,!
.　,,｀-｀-!ﾞ''冖'　　　　　　ﾞ二二ﾞﾞ不￣　　　　　 ./　　　 /　　　　　　　 ――そうして水銀燈が.
'''"゛　　　　──＝＝lj√　　　　　　　　　 /　　　 /　　　　　., ',,､ ‐
　　　　 ._,,,,..　-‐'''"゛　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　ｌ　　　　　　　　　己の失策を悟った、次の瞬間。
　-ｰ'''″　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　　./.. ／ ´''".,r'"ン“
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　/　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,./ 　　　 ./..'"　.,.彡"
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.. |", ／./ 　　　 ./　　.r!"
　　　　　　　　　　　　 _　　,／゛ '"゛. 　/　　　　 /
　　　　　　　　　　　　,..;;l!ﾞ／　　　　 .,i./ 　　　　/
　　　　　　　　 .‐^r''"゛　 ._,ir"　　.゛/ 　　　　./
　　　　　　／　　._..､;;>/'"　　　...,i′　　　 ./
　　　　.,..-'Ｚ./　,.／".'!ﾞ /　　　　　../ 　　　　 /
.　,..-'"　 .‘　,ｒ'"　　 .／　　　　　 / 　　　　 ./
‘　　　　　,,ﾉ゛　._, ,./　　　　　　./ 　　　　　/
　　　 .／ ,..-'"　´　　　　　 / 　　　　　./
　　　　 ″　　　　　　　　 / 　　　　　./
　　　　　　　　　　　　 / 　　　　　 ,/

933 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:44:44 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ ....　-‐　￣｀`丶／:::::::::::...::....:::::: ,/l'´:::::::: , i､!
--――――――――------――　　　￣　　　　　　　　　　　＼￣￣ゝｨ__／:::;;;;:::;;;;ノi/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 ´/ィ "´ '"´
　　　.＿　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`　　　 {
　　　　　,￣￣￣￣￣￣￣￣ゝ,,, ￣￣￣＞ ――― - ､　　　　　　　　　　　､
、　　　　　　　　　　　　 _,,ﾐ/゛　ヽ;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　　 `　　　　　　　　　　　＼
;ヽ、　.,ﾉ７　　　　　　　ヽ‐゛　 ,r''ﾞ;;;;;;;;;;;{　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
'''-､ﾞﾞア'"　　　　　　　　 {,ﾞ二､,,-､;;;;;;;;､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',
　 ...ｌ′　　 :l";二ﾞ''''┐　　　　　 ,l´;;;;;;;;;;;;;ヽ　　　　　　　　 :､　　　／ /　　　　　　　.､
._..．　　　_.　 ´　,〉;;;;;;ﾞ'ｰ､,　 . _,._..ﾐ;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　　　 ::.-‐ ´ ／　./　　∠.　　　ヽ
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./　　　　　　　　　　　　／　 .; '　／＼　　　　ヽ
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;,　　　　　　　　　　　 .／ヽ　./ ／　　　＼　　　　＼
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;.,　　　　　　　　　　 .　　　　, - '´　　　 ,.,,,　丶、　　　＼
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　｀''" : l　 . ,　　　　　　　　　　.:　　 ,　'´　　　　　 .!;;ﾞ''┐　＼　　　 .＼
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .t　　.,　　　　　　　　　 .:　　／　　　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　 ./　　　　　　　　 ,:':　 , '
,! .／　　,i";;{_　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　../　　/　　　　　　　　彼女の肢体は、まるで屍に添えられた
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　i　　　　　　 ;:　　/, ､,,,
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ. i 　　　　　　 {:　　　､､,,;l,ﾞ,,r‐ｰ､　　　　　曼珠沙華のように、艶やかに花開いた。
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア. /　　　　　　　　　i:.　　　丶 ;;;;;;;;;;;;;｝ ._.. ;
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　. {　　　　　　　　　 .!　　　　ヽ;;;;;;;;;; ｌ!´二..,.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,. i　　　　　　　　　　.　.,　　　＼;;;;;;;;;;,! ﾞ'―'''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'l,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝi.　　　　　　　　　　､: 　　　＼.´　　　　　　　 : ,ii;;,ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;i　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　丶　..,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i　　　　　　　　　　　　､　　　　　　',　　"'"　　　　　.．　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;i　　　　　　　　　　　　 ',.　　　　　　',　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;i　　　　　　　　　　　　 i::..　　　　　 {　　　　　　　　　.l7　　　l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;',　　　　　　　　　　　 i､::::::..　　　 '、　　　　　　　　　　　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　ﾍ::`:::::　　　　ヽ.

934 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:45:09 ID:LfEKVIbk0

ﾆ、　　　　　 / ｀７/ //¨l ＼ﾍV^)ツ `　j/　V)ツ/　／}/／　Уニニニニニ=‐-＿＿_ ,ノ
ニ＼}＼　,／　 // //　 | 　 :　＼　　　 ′　　厶イ　 l:し)　ﾉ霜斧 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ニニニニ=‐- 〈/ 〈〈　八　　`く⌒　　_　,′　.ｲｌ　｜ {,__／..(圭圭圭{!
ニニニニニニニ=‐v /　∧ 　｛i`'ト ,, _ .．r升八　､　ﾏ:¨.　寸圭圭ｲ . 　――死んでゆく、死んでゆく。
ニニニニニニﾆ／⌒:::`:'ｰﾍ　＼l⌒Lf⌒Y}:l:::::::＼　　'.::::::τ'{{7⌒∴
ニニニr―ｖ'⌒′:::::::::::::::::::::::,　、lし/＼V:/^Y)::::::::::.,　＼:::::)/.ｰｆく⌒..　.全てがゆるやかに落ちる視界の中で、水銀燈は
ニニニ|::::::{(;::::::::::::::::::::::::::::::::::::,　　|イl_　｀¨_⌒)}:::::::::::'..　。∴{!.:::::辷
ニニﾆ7:::::::い :::::::::::::::::::::::::::::::::l 　 | jﾉ＾fｰ'⌒く/}):::::.＿,ｨ( 　 '.::::::::::::::::: 　己の臓腑がこぼれてゆくのを眺めている。
ニ=-‐{:::::::::::ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ　 f{ 　 (k勿)　_(7.,ｨ圭||ｱ　'’.|＼__:::＿
／ニ{f⌒>)::::::::::::::::::::::::::／:::::::::| j∧)_　｀¨´ _(/:::.炸圭(./∧.{.　.,ィ升.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ﾆ=‐ {{ｱ爪{:::::::::::::::::::::::/^i{::::::::::|/::::::＼)r_v;f仏:;_..⌒`寸ﾄ､.__}　,{抄'⌒ 　　　ﾉ斧ﾐ､　o...　　∴炸圭圭圭|iて ',∴ ･　　　　　　　　 _ノ
　／::// |{}}≧=-‐… '′八::::::::′::::::::::::／ィ／, ￣゜. ヘ　j..ﾉ/　　　　　 ⌒∴　　・　ﾉ(_ノ圭斥⌒',寸ﾐ､　　　　　　　　',.:,：･'｀¨∵
:'::::::// :::|{}}　　　　　　 /　 ,＼::::::::::::::::::ｰ'::/ / /　,,、　　　／/　　　ノ(.爪}　　　　　　 /少'⌒ `　　　　　　　..,, _,.｡x≦少"・
:::: 〈/:／(f¨ -‐ｧ＿／｝／ )∧::::::::::::::::::::::ｰ.π_ノ心､_ノ(,炸||(　　 ,,.,⌒　・っ　　∴ ･.　　　　　　　　　　　 .;,,ｨ炒⌒;.　　　　c=≠
:::::／　　 }:〉　（´　　　´　　 ′ ;:::::::::::::::::::::::::::.)圭圭圭圭圭ア　　∴：¨'`　　　`　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',∴ ･　　　　　⌒
:/ 　　〈/　　　　　　　　　　　　}:::::::::::::::::::.τ｀Ⅷ:圭圭圭圭(_ノ廴　τミx｡、∴＿_.　　　　　　　ノ廴_,ｨ炸廴ｨ
　　　　　　　　　　　　　　厂:::::::::ニニ.　)}圭圭圭圭圭そ `⌒'・　　 __,ｨ圭掛x　∵　　　 ,ｨ炸圭少⌒'・
　　_ . 　-‐…―-　 . _＿ . -‐ｧ(:::::::::::::::::::.._,ｨ炸圭圭才寸圭廴｡x:≦少"´⌒''''⌒¨∵¨´.::::::／⌒. ⌒¨¨∵：･
￣::::::::::::::::::::::::::::::::_::::::-‐::::::::::::::}:::::::::::::::::::::::::::.⌒`寸ﾄ､∴｀寸ﾐ､　∵：･‐-::::::_::::::::::__ 　-‐ '

　　　　　　　　　　　　　　　　　、　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉,　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　 /ノ　　　　　　　　 , ′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　／
　　　　　　　　　　__　＿　__　,.　　　　 _／　＿彡イ　　　　　　　自分の負けだ。一度勝った相手と侮って、
　　　　　　 '"　　　 ..,,, "　｀　　　￣￣　ｲ　　|
　　　　　　　　　　　　　ー='　　　　　　　／　|　　　　　　　　 .敵を視ようとしなかった。それだけの理由で、己は死ぬ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　 '´|　　|
｀　、　　　　　　　　　　　 ,　'´ 　｜　 |　　　　　　　　　　魔法少女は、全てを諦めるようにその眼を閉じて――。
　　　｀　 .,　　　　　　　　　　イ　　　　　|　　;
＿＿＿＿_＞＿、＿,　＜　l | 　　　 |　 /　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::::::::::::::: ／.::::::::::|:::::::|二::.＼　ｌ |　　　　/　/
:::::::::::／.:::::／￣|:::::::ﾄ､::|＼:.＼ |　　　/　/　　　　　　/

935 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:45:26 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　 /´　　, - '´￣ｒ-､ヽ
　　　　　　　　{|　ｒ┴-　､/rf薔}_}ムイ　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　ゞ=ｲ「￣｀＞'Ｚｌ:|､/￣´'.
　　　　　　　　　　{:|_　　　ｨ:=､'＼Ｙﾍ. l　　　　　　　　 ――その瞼の闇の中に、水銀燈は
　　　　　　　　　　ヽｒ=、　ゞ 'xx /ソ / ﾍ　_
　　　　　　　　　　 !じj ,　┐　仏ノヘ／'´ﾊ _　　　　 .ひどく懐かしい影を見た。
　　　　　　　　　　　人　ヽ.ノ／｀＞､ _ ＼_.｣ﾍ｣ｒ
　　　　　　　　　　　Ｚ,　了'´　　r- ､ _/_〉＿, -､　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　 /寸　　　l　Ｌ／￣ヽ
　　　　　　　　　　　７¨＼_　 _,／　ｉ　　　＼_＿┌-、　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　ｒ￢､_, - ｒ_ｯ'┐　　　. :.::＼　l　　　＿/, ┐' //
　　　　ヽＺ / _／!ｰ'　　　　 . :.::.::.l　　__「,＿,ﾍ,_!′'ー┐　　　　　　　　　　　　「……かな、りあ？」
　　　　　,〈　{ {才ﾌ　　　　　 . : .ｒ'ﾞヽ.｣　,r‐'´,_ ,一イ￣´
　　　　　しＬ.∨へ　　　　　　ノ＼　{ 〈:.:￣: ::._.:／　　　　　　　　　　　　　　　失われていたはずの名前が、
　　　　　　　ｌ j:.〈└i　　　　　　',　｀ヽＬ＞-'´＿_
　　　　　　　/.: : Ｌ.└､　　　　　　　　＿ｒ '´／¨ﾌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　するりと言葉になって出る。
　　　　　　〈: : : : :.} 　 ¨L,　　　　ｒ ┘ _r'´.:.:／
　　　　　 }: : : : :.下∟└ｔ. -冖’ _r┘:.Tﾞ´　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 /. : : : : .:.ヽ:.:'ｰt.＿, -┘: : : : :ヽ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　!､ ,.-''|　＼_　　　 /　　　!　　　　　　 !　　　ヽ　　　／ ./'￣'y‐'
　　　　, --- ､___ゝ、ヽ　＼＿/ﾞ､　 /　　　　　　　ヽ , ‐ヽ__, ‐'　　.! ／'L__,, -‐'-､
　　　 .|　　　:､　　　｀'''´　　　　　　　/　　　　　　　　　!　　　　　　　 '´　　　 /　　　/
　　　　ヽ　　ヽ　　, 　　,, -‐　　　　 .!　　　　　　 /　　　　　 ─-､、　 /─／
　　　　　＼/　ヽ / .／゛　　　　　 !　　　　　　　　ヽ　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 ./ ￣''　｀'‐-ゝ/　　　　　　 /　　　　　　　　　ヽ
　　 !　　ヽ、　,!　.!　　　　　　　 _,／　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　 ……破損した脳髄が、何らかの衝撃を理由に
　　＼、　＼､!　.|　 , -‐‐／‐'二_,─'‐ｰ-､　／￣￣｀ｰﾆ｀丶、
　　ｒ'´ﾞ＼ r'‐lヽ、　/ﾞ　　/ ,-/　　 _　　　　ﾞ|　　　　　.／　　ﾄ- | ､　　その機能を取り戻すのは決して珍しい話ではない。
　＼　　ﾞゞヽ_ニ_,｀　_-i'´　 .ｒ　 , -'冖　　　l　　　￣´　　　'´　　!_
　　　｀ｰ_/　ヽ　　｀／ .ヽ　　 ´　　　　　　.!　,　　く　　　　ﾞ7´ 　　それは一説には走馬燈のように、瀕死の肉体が
　　　　　　｀ｰ-‐'　 _/　 - ､　　　　　｀￣‐'　 !　｀￣´　,　-'　 |, ‐
　　　　　　　　　　 :!､　　/　　 /￣＼___　　　 !　 -‐-､/　　　　　`'x　　生きる術を脳から探し当てようとした結果だという。
　　　　　　　　　　/　　　ヽ , -.′　 ‐'　　ﾞl　 .!　　　　　　、　｀'ィ゛
　　　　　　　　　　/　　　 _!　　　/、　_,　 ´　 :|　　　 '＿ , !　　_,‐-..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 ,|　- ､.'　　　'|　_, ￣｀ｰ‐-､ | ‐'"´　　.＼　 .'　　　.|-‐ .く
　　　　　　　　　ヽ　　＼,／　　ｰ　 -､　　　 !　　 ,.-　　,-'‐'￣｀ヽ／　　/
　　　　　　　　　 |　 ---l／　__　　　　 _‐'"´ .|　￣'ｒ　　ヽ＿　　 /--　 :!
　　　　　　　　　｀j　　／ /　　ヽ　　＼　　 !　、　￣　 /　　 .!　ヽ　　/′
　　　　　　　　　　ゝ　.　　!　　　 "　　 "　　/　.′　　　　　'′.′　　, /
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

936 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:46:25 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────――――────
　　　　　　　 r‐-､＿r‐､__　　　　　　　　 ,.． -‐……‐-ミ　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　　　　　＿＿＿＼
　　　　　 ,.ｨ´:::::::::::::::::::::::::::＼　　 .γ《＠》　　　　　　 `＠》　　....／　　　　　　　｀　、　　／　／　.　-‐　　　‐-ミ
　　　　／:::〈 -‐……‐-ミ::::::〈　　　/　/ /　／　　　　　　ヽ‘,　 /　　　　　/｀丶､　 ((⌒＾ﾊ　／　　 ' ／: : : : : : : : : : : : : ヽ.
　　＿ /::::::／　　　　　　　ヽ::::＼　ｉ　 |　i / 　 / ｉ　i　　i　 !ヽ　', '.　　　 / 　/　　　＼　ヾＶ/ｉ...＿＿{./: : : /: :／|: : ∧: : ',: : ｉ.
　　〉〃:::::｣ i 　i　 !　　i　! i ｉ　',:::::〈　|　 |　l　　 /l从》l/ヽﾊ/jﾊﾊ　ｉ |.{　　　ｉ　 /　　　　　　＼　ﾉ.....|: : : ,{: : :./:／､_ |／ _,.＼:}: :ﾉ
.　〈:::ｉ|::::〈i　|､N _,.l＼/､_l/jﾊ　ﾊ:::/　|　 |　l i　ｉ〈(秘)〉　　 t::ﾃ j　 ! !.’,　Y＾V/　―　　　 ―　Y´ 　 .|: : : :'＼〈´ ＿　　＿　jイ.
. 　 iヽ@:::::ﾄ､!　○ 　　 ○　jｲ:::_｢..　.}　 l　| l　 |xwx　　,　　ｘwﾉ /| |.....〉┴-く:::::::::　　ｰ　　:::::ﾑ.　　..|: : : :.ｉ　｢xwx　　 ,　　xwハ..
　　i　 l｀Vi| |　　　　З　　　ﾊ|´..　　/ 　‘, ∨ヽ.|≧=‐-　-‐=≦}イ./〈....ヾ＝‐〈≧=‐-　-‐=≦‐〈..　....|: : : :.|　|≧=‐-　-‐=≦ |: :ii..
　　| 　| 　.| l≧=‐-　-‐=≦ | |　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　 r─-=ミ　　　 .　 -┐　　　　 _..　-=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニi.　　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 {　　　｀'r‐r'´ 　　 |　　.....∠ﾆ＞ '"´　＿＿＿＿＿|__.
　　　　　 >､∠二ﾆ'='‐=ﾆﾆ＞ｸ　　〈ﾆ／_ -=ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ!　　　　巡る夢のように、愛しい顔が思い浮かぶ。
.　　　く　　＿_.∠＿ト＼＿_＼　　>'ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=-────-='.
　　　／ﾚ, '´ / .　 /　　', 　ヽ　ヾ.　<ﾆﾆニ／´: : : : : : : : : : : : : : ｀ヽ.　　　そうだ。あの子たちは、こんな風に笑うのだ。
.　　／　./ 　 i　i　 {　　 } 　! ! 　i　　｀¨7´: :/: : : :/:.:∧: : |: : ､:ヽ: : ‘,
　 /　　　八　ﾄ､l ､_|＼／l_,. ﾚ|　∧　　...{: : : : : : :/／_,. ＼| ､_ :｀ﾆ=‐ﾉ.　　　.――私は、この笑顔を護ろうと思ったのだ。
. 〈　　　_j＼_{　○ 　　 ○　jイ_　〉　 ‘, : i: : : :ｉ　＞　＿＜　jイヽ
　｀マﾆ=ヾ=〈xwx　　ー　xwﾉ=r'7　　......}从: : : |xwx 　（_ソ　xwﾉ　 .〉　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヾ=-r｀ｿ≧=‐/⌒Y⌒ヽソ´　　　　　　..｀ヽ{≧=‐-　-‐=≦/　／.
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

|ﾚ　　　　　∠ノ: : : : : :..:.:l : : : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :
.ｲ　　　／l|.: : : : : : : : : :.l　l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
V　　／=='': : : : : : : : : : :.l: :l:.: : : : : : :..:. : |　l　: : : : : : : : : : :
ｨ| ／=ｲ: l : : │ : : : : !: : :l :.l..:: : : : : : : : : |　|　 : : : : : : : : :　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
,ｲ! ﾄヽ.:.:|: : : :|..: : : : :|　: :ト.ヽ : : : : : : : : .∧!ヽ:ヽ. : : : : : :l : :
::|　|::ヽ V : : :│　 : : :l､ : :l　＼i : : : : : : :. l__lj__j　ﾊ　: : : /l　　　　　「……金糸雀。蒼星石、翠星石。
::|　|: ::j　ヽ: :.:l＼＿:_:j__ヽl..__　＼　: : : :ィ　ﾘ　Y: .ﾍ : : ,
::|　／　／＼ゝ´ ＼: :l　ｰ＼　　＼ : :/　　　 l :/|　 /　　　　　 .真紅に、雛苺に、雪華綺晶」
::| 　　／: :.|　＼!　　ゝ＼　ヽ　　ゝ/ ___,.ィ /:/　! /
:: : 丁| : : :.ヽ. 　　 ___＿_｀., 　　　　　｀￣´ /　 ..ｲｲ　　　　　　 .最期に少女は失ったものを思い出し、そして――。
::.: : |│､　 : :＼　´´ ￣ ´　　　　　　　　/／..: : :|
:: : : ゝ＼:ゝ､. . :＼　　　　　　　 /　　イ　..: : : |　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::ヽ: : : ＼＼l `ー‐` 　　　　　　_　　　ｲ　 .: : : : |
:: : ＼: : : ＼＼　　　　　￣　　　／│　: : : : : |

937 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:46:40 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　辷:::::::::::::::::::厶イ',.＼＼ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　辷::::::::::::::::テ//| l .|| i ヽ､ヽ.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　.,:辷:::::::::::::テ 7/j | i .|| |　 ',∨.Y.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　 .′.//t_:::::::::ri:}　 |.| | ! i .|| | 　 | !　| |.|...　　‐‐─‐──‐──┐
　　　　　　　　　　　　　　　 i　//{:r_ﾌx::=x' 　 |.| i | | .|| | 　 } !　| jﾘ　　　　　　　　　　　　└┐
　　　　　　　　　　　　　 / //r彡.'7八::|　　 !| |z=ミ|j_i.　// .///　　　　　　　　　　　　┌┘
　　　　　　　　　　　　　　　 / // /　/ i　　|j,　　|ﾊ弋①━━━━━━━━━─────┘
　　　　　　　　　　　　 / // /　/ /! 　 | ヽハヾ、`′　{ ヽ´彳
　　　　　　　　　　　　　 / // /　/ /｜　ハ　ﾍ､ﾍ　　　冫　',
　　　　　　　　　　　 ,ｲ // /　/ /　 ! 　　 ',　ハ｀`ヽ - ﾉ i | ハ
　　　　　　　　／／./ /　/ /　 /i　　　ﾊ　 ∧ 　イ',〃j　/
　　　　　　　　　／／/ / /　/ /　 / .|∨　　 !ヽ-:＜ﾆ x_ヽ i./　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　／／.イ / /　/ /　 /　 j ∧ 　 .|':: :: :: :: :: ::.＞ｘヽ､
　　　　　 ,. イ　〃７　./ /　/ /　 /　 //:::::∨　i:: :: :: :: :: :: :: :: :: Y ヽ､　　　　　　　　「――できない夫」
`ー─ ' ´　　　 {{　　/ /　/ /　 /　 //:::::::::::V　!:: :: :: :: :: :: :: :: ::7ヽ　 `ヽ､
　　　　　　　　　ヾ　.|　!　{　|　 .|　 //__:::＞.ｨ∨i:: :: :: :: :: :: :: :: ::ﾄ､　∨　　＼　　　　　　.愛しい妹たちを奪った、
　　　　　　　　　　 | .'|　|　| /:.|　{ｲ＞,.:::--==ヽ:: :: :: :: :: :: :: :: r≦　.V　　　＼
　　　　　　　　　　　 V |りレ':: : |/イ＜:::::::::::://::|:: :: :: :: :: :: :: :: ﾄ='　　|/|　　 jⅥ　　　憎き怨敵の名を思い出した。
　　　　　　　　　　　_}ヾ:: :: :: :: :: ヽ::::＞ｘ-:' <::::j:: :: :: :: :: :: :: ::.∧ミ==x j/|／
　　　　　　　　　　　ヽ:: :: :: :: :: :: :: ＼:／／:::::７:: :: :: :: :: :: :: :: ::∧ﾐ=､ }}　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 V:: :: :: ::＿r--､::＞-:.＜:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::＼}〃
　　　　　　　　　　　　 .':: :: :: :/　　　　ヽ:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ヽrt　 __
　　　　　　　　　　 7:: :: :: :.i　　　　　＼　:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::ハ:: :: {::(>=≦:::)
　　　　　　　　　　 7:: :: :: : t　　　　　 r':: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::∧:: :: ーiYiヾ=x

　　　　　　　　　　　　　 l　 /
　　　　　　　　　　　　　　 ′／
　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　／「　　へ　＼
　　　　　　　　| （●）（●）　 |　　　　　　　　　そのとき、できない夫の背筋がぶるりと震えた。
　　　　　　　　|　　　|　　　　│
　　　 ',￣￣￣｀`'‐､｀_,.､-―‐'―‐┐　　　　　　.訳も分からず、彼は今まで書に向けていた視線を上げる。
　　　　,:'ヽ、　　　　 |　　　　　　　ノヽ、
　　　　〉 -､）　　　　 .|　　　　　　(,､-　i 　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　ヽ -､）　　　　|　　　　　　(,.､- ﾉ

938 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:46:56 ID:LfEKVIbk0

　.，::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼　　　　＿＿ヽヽﾑ }　／　ｲ　　ﾑ' ／　　　 /　/　／/　／./　i/　　　　 /　　　　＞ ´
　，::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::> ―≦　 }ヽヽ＼ i　i '　ノ　ィ　／　， ‘　/　/イ ∠.イ　／ / l　　　　／　　　／　　＿＿＿＿
../:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ∧::::::::: ／　　＜￣ヽ　 iイ .V　／ィT T ｱ==-､　 ´― '―　　イ／／ /　　　／　　　／＿ム｡o≦　―
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::YY:::: イ ── ≦ ヽ- ニヽ　 }イj. Tﾌ{-}ﾉヽ--ヽiｧマ ――＞イ　イ　 /　　／　　　　＞　＞-ﾐ､　´ 　　ノ
. ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l／::::::::::::::::::::::::::::::::: ＞くｱ／ ´￣￣￣＜=--イ l/ ┐ﾏ￣　　　　　/　イ　　　　　／／　イ― ヽ―イ
　　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::＿_／::::::::: /　　　　　　　　　　マ.¨ﾏ Y ヽヽミ―――´　　　　　　＞./ /
　　　 `＜:::::::::::::::::::::::: /:::::::::::::=-＜　 L/::::::::::::/ // //.// / ／　　　　＼ﾏ┬}　＼　　　　　　　＞ ´ イi ./／
　　　　　　` ＜::::::::::::: i≦ └-､/ .(_　 .i:::::::::::: /// / _＼i / ハ　i. ヽ　ヽ　ヽY} )＿__ ヽ＞　､＿　　 ≦　イ /　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　 ` マ ,イ/ ノ L ､_, ､ﾌ::::::::::: i.l|' |' i.{ {①ヽ{　.}.ハ　}　 l　　Vｧ' ＜ノ＿ ,　　　　　　　ノ /　　　　　　 ./´
　　　　　　　　　　/ニニﾆOﾆニニヽ　.∧:::::::::{　 i i､{ ｀¨　ヽ--ム_ﾉﾉﾉ　　 Vﾏヽヽニヽ＼二二二彡'ノ　　　　　　　ｲ'　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　 |　|　　 / ／｀＜ヽ:::::::::::: {､ヽ　　ﾉ　　　L①＞ﾉﾉ　.lU.ﾑヽ＼｀マ =――≦ ´　　　　＿. ィ／　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　 |　|　　/´　　　　＜＞＜i:::: l ＼　、　　　イ ' / iハ:::::::::::￣`　　ヽ `　― ニニニﾆ-==　　　　　　 /
　　　　　　　　　 , |　.|´￣￣イ:::::::::::::::::::::: i:::: L　＞----=≦　ィノ{　 }::::::::::::::::::/ 7ヽ l　 , ――　　　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　／ :|　..|::::::::::::::::::::::::::::::::::: -=ﾍ　V,ィ.ﾊ{ ヽ }≦　／´ ./::::::::::::::::::::::::: i/　 j レ　ノ＿＿　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　／ :::: |　　| ::::::::::::::: /≦　＞ァ　{ミァヽｨ.ヽi-､　イ:::::::::::|::::::::::: ィ== ＜f ＜ﾉニニ¨　＜　 ≧o｡＿＿／　　　｡o ´
　　　　　　　　　/:::::::::::: |　　| ::::::::::::: /／´__:::::::π_ノ心､_ノ(,炸||(:::::::::,,.ｲヽ::::: iｲ::::::::::::: ≦ミ､― ´　　　　 ≧ o ｡＿＿｡o≦ イｱ
　　　　　　　　 /:::::::::::::: |　　|＿＿ィ｡o≦:::::::ﾊ. )圭圭圭圭圭ア:::::: ∴. 　＼:: {:::::::::::::::::::::::::::::::ニ==――― ＜　　　　　／／
　　　　　　　 / :::::::::::::: |　　|≦l＞ ' ∨ ::::::::: τ｀Ⅷ:圭圭圭圭(_ノ廴:::: ヽ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　./::::::::::: ／ |　　| ::::| 　　|:::::: /＿ァ. )}圭圭圭圭圭そ `⌒.:::::
　　　　　　　i:::::＞´ :::::: |　　| ::::| 　　|:: / .V.._,ｨ炸圭圭才寸圭廴｡x:≦::::::: 　彼が見たのは、一つの殺意。
　　　　　 l./ .::::::::::::::: |　　| ::::| 　　|/ r≦　 7..⌒`寸ﾄ､∴｀寸ﾐ､　∵:::::::
　　　　　.l.':::::::::::::::::::: |　　| ::::| 　　　ヽ＿｀1　└‐. `寸そ：¨'`沁っ::::: ／. 　腹に開いた穴から臓物をまき散らし、
　　　　　　 |{::::::::::::::::::::: |　　| ::::| 　　　　　　L.l. )..　../　　｀　:,:..l:::::::::::／i
　　　　　　　ヽ :::::::::::::::: |　　| ::::| 　　　　 .。∴{!.　/　　　　 .ﾉ霜斧ﾐx,゜.∨　それでも剣を手に己へ斬りかからんとする、
　　　　　　　　＼ .:::::::::: |　　| ::::| 　　　＿,ｨ(.　ヽ　 /　　　 .(圭圭圭{!'
　　　　　　　　　＼:::::::::|　　| ::::|. 　 _,ｨ圭||ｱ　'’.￣i　　　　...寸圭圭ｲ :';'''　　...水銀燈の姿である。
　　　　　　　　　　　＼_::|　　| :::|　　 .炸圭(　　　ヽ＿／.τ'{{7⌒∴：
　　　　　　　　　｀∨∨ ::|　　...⌒`寸ﾄ､　　　　　　　 .)/　　　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　 ∨'＼|　　　　　　　　　　　　　　。∴{!

939 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:47:10 ID:LfEKVIbk0

　　　　／￣￣＼
　　　／　「　　ヘ＼　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 | 　（●）（●）　|
　　 |　　　 |　　　│　　　　　　　　　「……え？」
　　 |　　　__´___　　.|
　　 |　　　`ー'´　　.|　　　　　　　　　　彼は自分の奪ったものを理解しない。
　　　ヽ　　　　　 /
.　　　　ヽ　　　 /　　　　　　　　　　　ゆえに、少女の執念が理解できない。
. 　　　 /　　　く
　　　　 |　　　　 |　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 |　　　　|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　＼＼＼　＼＼＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼＼　＼＼　　＼＼　＼＼　＼＼　　/:　　　　　　　　　　 ..::::／
￣　-　＿　　＼＼　＼＼＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼＼　＼＼　　＼＼　＼＼　＼ヽ/..::　　　　　　　　　　...::／　＼
-　_　　￣　-　＿　　　＼＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　￣　-　 _　　　　￣　-　＿　＼　　＼＼＼　　＼＼＼　＼＼
_　　　　　　￣　-　__　　　　￣　-　 ,_ 　　＼＼　　＼＼＼　＼　　だから、目の前の光景が理解できない。
　　-　＿　　　　　￣　-　__　　　￣　 -　＿　　 ,. ‐┐
＼　　　￣　-　__　　　　　　　￣　-　__　　　　　￣＞''　＞――　　ほんの一瞬、刹那の後に訪れる己の死を、
　＼　＼　　　￣　-　＿　　　　　　￣　-＞　　　　/　ヽ .:
＼　＼　＼　＼＼　　￣　-　__　　　／　　　／＞　 _ﾉ--、　　できない夫は察する事ができないのだ。
＼＼　＼　＼　＼＼　＼　　　￣／　　＞''/_／::　)/　　/:::
　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　..／__＞''″　　/::.　　/:::　/::::..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
＼　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　　　　　〈:::　　〈:: 　 l:::: 　 {::　　{=-/　　〃//)　　＼＼　＼＼　＼　＼＼
　＼　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　＼＼　｀`～､＼　 ‘, 　 ‘,　　￣|=- ∥/// 　　　＼＼　＼＼　＼　＼＼
　　＼　＼＼　＼　＼　＼＼　＼　＼＼＼　￣＼＿＿＿ ,､丶`＞-乂シ'　＼＼　　＼＼　＼＼　＼　＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

941 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:47:53 ID:LfEKVIbk0
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''-､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l,　 .i |　　　　! |　　　! ,l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'-､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　,! .Ｖ! 　　|!　　　| /　　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'-､　　　　　　　　　　　　　　　 ∨　　.!　　 ′　　,!.l　　　　ｌl
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,!　　　　　　!.!　　　 /.l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼,　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　|lﾞ　　 ! i　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `-、　　　　　　　　　　　　　ｌｉｌ　 l　　　ll　　 ,l ｌ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　 |V |　　 l 　　 l!" !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,，　￣￣　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　 !　 .」　　　.| .ill
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　γ　　　　　　　ヽ　ヽ,　　　　　　　　　　　　　　|　.〃　　　l /l′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |.　Γ　　へ　　|　　ヽ　　　　　　　　　　　　　!i.,iﾞlﾞ　　　 l l.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　(●)　　(●)　|　　　ヽ　　　　　　　　　　ﾚ /　　　 .〃
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　|　　　　|　　　 .ｌ　　　　　　　　　　　　 /　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　　　　`　　　　|　　　 |.　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (⌒＼　八　　rﾆ_ﾆｭ　 .ﾉ　　　　...|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　(⌒＼＼　　　 .「＼　　　　　.!　　　.かくして、息も絶え絶えの、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＼　＼≧=イ|　　,>=‐-‐../
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (￣￣厂｀`ヽ厶イニニニ./　　　　見る影もないような末期の一撃は。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿／⌒'(___／　 )}二ﾆ=ミ /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／(＿_,,..-z=ニ≧=彡'｡|_　　 /　　　　　 .けれど確かに、できない夫の胴を切り開いた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ニニ／--∨{,廴_アﾆ=ニ.／
　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖﾆ//ｰｰ‐/　匸}￣　／. 　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 .＿＿＿＿＿＿＿　 }ﾆ{ {--／／/:| ,..-'´　　　　　　　 ,..‐"　　　.、.
　　　　　　..／　　　　　　　　　　　￣￣￣二ﾆ´._..-'"　　　　　　　　／　　 ._.イ彡'"
　　　　...∠二二ニﾆ=-―――￢冖T二｢._.. -'"　　　　　　　　　 ,..‐´　　 .,／ﾚl!“゛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,　‐'"　　　　　　　　　　　　 _,,..ﾉ｀-゛ _..-彡‐″
　　　　　　　　　　　　　　_,,　-'''"゛　　　　　　　　　　_,,,.. -‐'''"゛　 ._,,v＝'''".
　　　　　　._,,,,..　-‐'''"゛　　　　　　　　 _,,,.. --;;;;,ﾞ″. 　　 :{ニニニ{二二二＼
ー￢''''ﾞﾞﾞ´　　　　　　　　　　　　_,,,..lﾘ｀-!''“￣　　..:{　　　Ｖﾆニﾆ{ニニニﾆﾆ＼
　　　　　　　　＿,,,,.. ／-----/------/　＼　 ./　、　　　Vニニニニニニニﾆ＼
　　　　　　　　　　／------/------厶　　　　〈　　＼　　＼ニ／ニニニニニﾆ｝

942 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:48:20 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,,、　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｔ匕ア::-‐＜￣　‐-
　　　　　　　　　　　　　イ.:〆.::〆　　　　　｀　、　　＼
　　　　　　　　　　　　／I7.:〃.::/」　　　　　　＼＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　I7.:〃.::/｣　　＼　　　　　l　ヽ　ヽ
　　　　　　　　 /　 {{l:::|l|::::ｌ}}　　 l |　＼　　　　 i　　 l　ﾊ　　 _,,.　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 ′　{{|:::|l|::::|}}　|　 | ﾄ､／｀　､　 |　　|　　|　／ｲ
　　　　　　　　　　|　　 {{|:::|l|::::|}}　|　 |　X＼　'､＼人 _|_　　|/i|ｌ|ｌ|　　　　　　　　「――ああ、一歩足りなかった。
　　　　　　　　　　|　　 {{|:::|l|::::|}}　、 ∨ヽ _,,;;;;;彡,,　　　　i　 |i|ｌ|ｌ|l|
　　　　　　　　 ,　/　 {{|:::|l|::::|}}　　＼ヽ　´´￣　　　　 ! lli　|l|ｌ|ｌ|lﾚ{　　　　　でも、充分」
　　　　　　 / / ,　小:.ぃ::.ﾏ} ＿　＼＼,"""　　　- ´i　|ｌ|ｌ |ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|l
　　　　　　　　/ / /　/ ｌ　＞=rｆ<⌒ヾ　　＼　　　　　 ;　|l|l| |ｌ|ｌ|ｌ|ｌl′　　　　...水銀燈は、そう言って笑った。
　　　　　 / / /　　 | {:{___ﾉハﾄ =='＼ー一　　　 . イ l|l|ｌ|!|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|
　　　＼､　/ / /　/ 　 | `￢1|　 |:|＼＼＼　ー　〔_　　|　|ｌ|l|||ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　〉三≧x. / 　丿　ﾉ:|　 |:|　ヽ　＼＼ -r=く}＼ﾑイ￣￣ヽ
　　 _,,.≧ﾆ三三≧==三≧ト．,,_ ｀′　 }　 } ＼＼_ﾉハ、`￢-､::::::::::::::＼
≧ﾆ三三三三三三三三三三三≧ｭｘ..ﾉ__厶 ―- ＼::::冫　　　＼:::::::::::::::＼
三三三三三三三三三三三三三三二ﾆ7.:::::::::::::::::.＼´　　＿,rv＼::::::::::::::::i

　　　　　　　　　　　/::::::::,::::,':::::::::::､:::::､:::::ヽ
　　　　　　　　　　/::::::::::|:::::|:::::::::::::|!:::::!:::::::::!
　　　　　　　　　　|:|::::::::|:::::||:::::::::::::||:::::|:::::::::|!
　　　　　　　　 |:|::::::::|::::｣|_::::_::::::｣l_::｣!:::::::::|!　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 |::|_::::::|i!ﾟ○,!:::::::::iﾟ○;j|_::_:::｣|
　　　　　　　　　 |::|::::::T ｀¨　　　　 ¨´ .|:::::::|::|　　　　　　　　　 .「ありがとう、キル子。ごめんなさい。
　　　　　　　　　,'::::|::::::|:､.　　　ﾞ　　 u./|:::::::|::|
　　　　　　　　　!::::|:::::::|::ヽ.　 ´ ｀　.ｲ::::|:::::::|:::!　　　　　　　　　　　それから――おやすみなさい」
　　　　　　　 !:::::|::::::i／ヾ､` ｰ ´ ﾉ/ヽ::::::::|:::!
　　　　　　　　 !::::::|:::::::|　　ヽヽ .／/ 　 !::::::::|:::|　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　|::／ !::::::|､　　ヽΧ/　　　!::::::::|　ヽ.
　　　　　　　 // !　|:::::::|ヽ.　　 У　　/.|:::::::::!　|!　.

943 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:48:33 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//￣ヽi ／,.≦√:::::ー＜:::::フ_ ＜::ト､ゝ┐_,ハ
　　　　　　　　　　　　　　　r_ ﾆﾆﾆj::::::二ﾆﾆﾆﾆyzzﾝ､＿,ﾊー=ミ::::::::ュ＼ヽ　>_}}　,
　　　　　　　　　　　　　　　　 _j::ｰ':〈≠,:／　￣　　　　　　￣乂zz＜::::::::}ヽ:.　<,Y ',
　　　　　　　　　　　　／／／/ テ'　　　　　　　　　　　　　 `＝r､:::ヽヾ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　 <／　/::/=ﾁ /　　　　　　　　　　　　　　　　乂_寸ム
　　　　　　　　　　　　　　　// ,.:'　'　　　　　　　　　　　　　　　　　 ((_∨　　..それだけ言うと、水銀燈は目を閉じた。
　　　　　　　　　　　　　 {:／'　 i　　　　　　　　　　　　　　　　 ',￣{_
　　　　　　　　　　　　／　'　　l　　 , .! 　 |　　 .l 　　　 ,'　　　　　 ,　　　　安らかに眠るように、その息を引き取った。
　　　　　　　　　　 ∠＿__|　　 '　　|,ﾊ　 !, |　,'|　!　　　ﾊ　　　　　｜
　　　　　　　　／二二二 {　　 ',　.|　 ',｀:トｭ' :i　|　　　'｜i.　　　 i　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 ,.............../二二二ﾆﾆﾑｉ　　}ヽﾄ､　',｜{ |　| /: 　 /　|∧　　　　}　　ﾄ=::::|二Ⅵ二二ミｘ
　　　　　 ,'二二二二二二二ﾆ=ﾑ}　ﾘ　　 ` ＝zヾ　}' !　 /￣}'￢, 　　 ,'　　:|,ﾑ }:::}二二二二ニ |
.　　　　　_{二二ム二ﾆﾆ{二二二(j | ,ハ　　　　　　 ′}／　､/　　', 　 } '　　ﾘV ):７ﾆ/二二二ﾆﾆト .,
　　　,ｘく二二二ニﾑﾆニ',ニニニ/ j |　ﾄ､　　　　　　　　 ` ＝=zY 　　／　 Y:二/二二ﾆ／二二ﾆ＼
　／二ニニニニ二ﾑニﾆ,二二厶ｲ |　,ﾊ　　　　　　　　　　､　　　ﾉ　　　ノ　ノ二{ﾊ ,r┐￣＞=＜￣ヽ、
。゜=, '´￣￣｀　-(: ; ＼＿_',二二(_, ､l /　ﾍ、　-､｀ '　_　=ミ＞=ﾆ_r'__ーv't=-二ﾆ}ｰ'　_,.='´ヽ￣￣｀　、
二/　ー── r─'ニ＝──(::===彡'　フY< ＞-　'´　　　ヽ＼｀ー-y　｀ー=ミ、　￣｀　､　〉　 - ､_
ニ!　　､_　　,'　　　　　　　 f´_　　--　j￢ ´　　　　　　､　ヽ　ヽ,＼（__　 __　　　 r'　　　　　乂
／ー-　　==_┐　　　　　「´　　　ー７､{:..　　　　　　 ,　 ‘,　 ‘,　 ‘,ﾉ　 )　　｀　、Ｌ,　＿＿＿　　[,　￣｀
ﾄ､　弋￢ｒ== '　ー── :j　　＿_　 i{:...　　　　　　 ,.ｨﾒ､　':,　〉／---j＿,.　 ---- ミ　　　　　｀　j
.　＼　｀ y::､　　　　　〃　､_　rﾁ ,､::二＝─　´∠__　／:イ　ゝ_　　 ...:Y　　　　(__　　　　　,ハ___ユ／
　　ヽ /ﾊ-(｀＜　 __{{　　　ﾉ　 ,==z_／　　　　　　　　　　　　∠＿＿,. '　ヽ＿,､_　ヽ　／
　　　　　　　￣￣￣￣ヽ_＞'´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {　　／　　ゝ─　´

944 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:48:59 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……う、がぶ、あ」
.　　　　　　　　　／:;:;:;:　;　　　　　ﾒ＼（⌒二＼
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;　　　　　　|´:￣￣￣￣￣｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　溺れた子犬のような声が、
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;: ＃　　　ﾒ　|　',∴ ･':;;:：：##;　ヽ＼＿＿
　　　　　 .ｨ-=-;;;＼:;:;:;:;:;:;:;:　　　＃　 /　',∴ ･' :;; 　　　　ﾒ　＼＿＿）_．　　　　　.できない夫の喉から響いた。
　　　　 .ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣￣￣#;il;;ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､　　　ﾒ　）
　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v .. 　　￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ
　　　　 ;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

-───-　、　　　 ´￣￣￣｀ヽ
　で　　死.　ヽ／
　き　　ん　　　オ　オ　オ　　　}　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　な　　で.　　 i　イ　.イ　.イ　　j 川 j_j_,
　い　な.　　　|　　　　　　,_州ﾚ┴'~^'＜j:i_,　　　　　　　　　彼は、まだ死んではいない。
　夫..　.い.　　 |　　　　　 j:ﾙ′　　　　　 `Vj
　　　　 .わ　　.ｲー--┐　_i|　 ,ｘ===　ﾚ=ﾐ、 i　　　　　　　　　　　　息も絶え絶えの、一刻も持たない死に体であれど、
､＿＿　＿∠i:j:|ij;l,　　ヽ(　l　"r￢ i　' 宀　｜
　 j:ﾚ^ヽ{ 　　　｀ﾞ'i　　　「｀　　__ﾟ, | i　.ﾟ__　 '^i　　　　　　　　　　　少なくとも今はまだ命が続いている。水銀燈の剣は、
　 |′ ,ﾆ_´　｀,ﾆ.　|　　　Ｌ_.　　　r, _ぅ　　　,_ﾉ
. _」　｀ﾟ┘　└ﾟ´　l┐　　　ヽ　　r― ､　 /　　　　　　　　　　できない夫を即死させるには一歩足りなかった。
..| 　 ,､　 (ｎ n)　　　｜　　　　ﾄ､　｀こ´　.ｲ
..ヽ,i　ヾｰ===-ｧ'^　ﾄ'　　　　 r|　　ー‐　　|､　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　r|、　｀こﾆ´　　ﾉ､　　　 _l |　　　　　　l} }､＿
__,{:{j丶.._　＿__,.　' |} }ｰ--＜ﾄ＼　　　　 / /　　　｀ヽ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

945 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:49:20 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　｢　＼　　＿＿　／⌒ｧ　）　｀丶
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　 ´　　ｷ: :｀: : :./　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　ｷ : : : :く／　　　　　）
　　　　　　　　　　　　　　　　∨　●　　　ｷ● : :Ｙ　　　　　　ﾉ　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　 _|{　　　､_, ､_,ｷ : : 八　　　　　,′
　　　　　　　　　　／八　　　　　　　ｷｲ　丶.　　　/　　　　　　　「――だから、君が仇討ちを遂げたいと願うなら
　　　　　　　　 ⌒＼/　, 　 /　ｰｧ　　　Ｔ´ {　　　＼／＼
　　　　　　（（⌒>く.／　/ . : /　　　　 ',: :ヽ　　　　〈）　）　　　　　 .今のうちに彼を殺すしかないんだよ」
　　　　　　　＼{／ : : :/ : : /　　　　　ヽ-ﾍ . : : ／／､
　　　　　　　　　／＼＼＿∧: : ,′|　ｉ　ｉ　 |　∨∧／／ : : :＼＿_　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　（＿ﾟ: :｡ーｧ‐' : ;　　|　 |　 |　 |　　ー‐く: : : : :｡: ﾟ : _ノ
　　　　　　　　　 / . : : ｡人: : :.:| 　 |　 |　 |　 |　　 }　　＼: ｡ : : : :）
　　　　　　　　（_／{:_:/　＼: iヽ丶ソ　丶ソ　ノ　　　　＼_ﾉ￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣⌒　　⌒￣

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　「　　ヘ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　（○）（○）　|
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 |　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　__´___　　|　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　`ー'´　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 /　　　　　　　　　　 .「このまま放っておけば彼は死んでしまうだろう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ＿＿＿／.　...-‐====‐- 　ミ
　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.　　　　　　 .| .|　　／::::::《＠》:::::::::＼.　＼　けれどその死因は水銀燈の一太刀だ。
　　　　　 ,::´:,::'::::::::::::::::::::::: ＼|ヽ　　　..| .|　 . ^⌒＾⌒＾⌒^´＼:::',
　　　　　.:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:.| .|　　　..| .|../　/　ｉ　　 i　 , ',　ヾ} 　　果たされるのは彼女の仇討で、きみのではない」
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|i.| .|　　　..| .|.{　∧ﾊ|＼／|／|∧.〈j!>
　　　　　 |:::::|::::::|（○）　（○)|:: | .|　　　..| .|.}Ⅵ　＞＿　＜　},.小.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j::: | .|　　..ｌニニl八wx　ヽ_) 　xwx i　l　　 |
　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i. | .|　　 .{-}.U) Ⅵ≧=‐-　-‐=≦|. ,'--.ｲ.|
　　　　　 |:::::|:::::{´ ヽヽil､:::|::::..ｌニニl　　 |X|_ソ::::γ::{ 薔　}:::::::::}∧::::r' .|
　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ',:|::::..(U.{-}　　..￣｀ｉ丁､:::＼／::::::::､:::〈'´`　..!
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

946 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:49:37 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「う、いやだ、嫌だ……。
.　　　　　　　　　／:;:;:;:　;　　　　　ﾒ＼（⌒二＼
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;　　　　　　|´:￣￣￣￣￣｀ヽ　　　　　　　　こんな、こんな馬鹿なことが、あってたまるか。
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;: ＃　　　ﾒ　|　',∴ ･':;;:：：##;　ヽ＼＿＿
　　　　　 .ｨ-=-;;;＼:;:;:;:;:;:;:;:　　　＃　 /　',∴ ･' :;; 　　　　ﾒ　＼＿＿）_．　　死にたくない、俺はまだ、こんな……」
　　　　 .ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣￣￣#;il;;ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､　　　ﾒ　）
　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v .. 　　￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ
　　　　 ;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´

　　　　　　　　　　　＿　　 __
　　　　　　　　ｰ､―-ゝ `ｰ-､)`ｰ-､
　　　　　 ,.-=ﾆ´　　　　＿__,z――へ、
　　　　,.-=ﾆ´ 　　　_ノ: : : : : : : : : : : :ヽ.　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　／, 　　　_ﾌ: : : : : : : : : : : : : : : :i
　　　　/イ　, 　_ノ: : : : :,ｨﾉ!/!,ｯ; : : : : : : :|　,　,　　　　　　　　　「君に残された道は二つだ。
　　　　' /イ　_ﾌ: : : :/ﾚ'r_‐_‐_､ﾚ'!彡: : : ::lノlノ!ノ
　　　 '　/,ｲ: : ;.くi:ﾊ　X 'ヱ･>｀ﾌ: ｯ-､: : : : :レ' ,　　　　　　 .死者の願いを踏みにじり、己の仇討ちを果たすか。
　　　　　〃 |: /l: :/ ﾉ　 X｀ﾞﾞ'　く:.:/,んﾘ: : : : :Lノ!
　　　　＿　ヽ! lλ‘ｰ_＿_｀X 　 ,ﾞ′∠:_: : : _;彡'　　　　　　 .己の復讐を諦めて、死者の願いを尊ぶか、さ」
　　　　ヽ. ￣`ｰ‐ﾍ. 　―　｢￣￣￣´　　￣ /
　　　　　 ,ゝ、　＿,ヽ__,..　!　　　／￣｀￣￣｀ｽ　　　　　キュゥべえは、嫌になるほど朗らかにそう言った。
　　　＿/＿_,.>./::/＾,＞―┘　　　/　　　　　　　/　＼
　　　ヽ　　　　しﾍ∧　　　　　　　BLACKJACK　　　ヽ.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　〉、　　　/:/:::∧ /ー㏄Vーヽ　　/ー'ヽ/ﾆ〉㏄,　　　/ﾞー'ヽ
　　　 |　ヽ. ／:/::::/::..| ヽ┐ /〉＝〈∞＾V７ /〈二〉〃L､∞＾V７ /
　　　　|　 <__;;/_:_/:::::::i　 /／ '７／ /／/／◆／メ､!l7//／/／
　　　　　　　　　　　　　　´　　 ´　　´　 ´　　　｀″　｀′´ 　´

947 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:49:48 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　 /　　　　　　　　 r-
　　　　　　　　/ {　　　　　　　　 |: : .　＼　　　---=ミ　 _　　 -= 7
　　　　　 /　ゝ　　　　　　／　}／　　　　　　　　｀　　　／ : ｉ
　　　　　　　'　　　　　　　＿ ' 　／　　　　　　　　　　　　＼　∨
　　　　　 {　　　　　　　　 /　 ,　　　　　　　　　　　　　　ヽハ
　　　　　　 ! 　　　　　 /　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　≧=-
　　　　　　　　　　　_＿,彡'　　,　　斗=廾十　　　　}-=ミ}､　　ｉ　　､､
　　　　　　　　　　　￣ /　　.:　　 | / 从!　　　 /从 /　＼　 |　　 }　＼
　　　　　　　　ヽ　　　　,　　　ｉ　　 {才示㍉､　 / x竓ミ､ } 　　!　　 !　　　　ー..　┏━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　　　＼　　ﾉ　　 }∧　{ r' ㌫} 　 ∨'' ノ:心㍉　　　　　- ､
　　　　　　　　　　　　/ 　　　 }:. 从乂zソ　　　　{ ゞソﾉ　　 /{.　　　　　　　　　　　　「さて、君はどうする？
　　　　　　　　-=ミ, 　　　　　∧　 {ヽ　　　｀　｀¨_彡　 , '/{　　　　＼___
　　　　　　　　{　( /　　　　　 , ､ヽ　　､　ヽ　 -　　ノ　／/ { :. 　　　　　 V　}　┗━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ヽ＼　　　　 ∧´{　　{.≧s｡ __　 -=彡イ　}.＼{八　　　　　　ノ /
　　　　　　　　　/　　=--　__/ﾉ }　､__　＼　　　才　＿彡'　　} '∧　　_ ≠ ／}　　　　　　　　|
　　　　　　　／. . . . . .. . ≧=彡　　＼￣{　人　r≦／　　ノゝ--=≦彡 . . : : : :.､　　　　 ,
.　　　　　／ ◇: : : : : : ／　}ノr--r--彡 /{: :}ヽ＞- r＜{ヽﾉ　　　　＼: : : : : : ◇: ＼
　　　　／: : : : :.◇: ◇/　／　|:|／ヽ/ ／:乂z乂＼ヽﾉ　　　　| ヽ＼　八:◇:◇: : : : : : ＼　 /
　　　/: : : : ／: : : /{ノ／　　 |　　　, .:.:.:（__八__）:.:.∨＼　　　　　＼　＼:{､: : ＼､: : : : ＼
　　 {_彡イ: : : :.,　　　　　　 |　　人:.:.:.:.:/:v:∨:.:.ノ,　　＼　　　　　　＼/ゝ(＼: : ヽ ――'
　　　　｀¨´乂ヽ　　　　　　ｨ／:.:.:.:r 　Ｙ .}∨:{ }　　 / ＼　　　　　, 乂)　　￣　／
　　　　　　　　　乂＼　　　　／ <:.:.:.:./ {　/ﾊ:.}:.:.:.:|''　　∧￣＼.　　　/_乂)　　／
　　　　　　　　　　乂入　　 ,　　　:}ゝ'　 ∨{　}:}:.:.:.:}　　 ,:　＼　　＼　 /_乂/　／
　　　　　　　　 r---ゝへ=/ 　／八　　 }:{　}:}:彡'　　 ,　　}: ＼　　ゝ'_乂ﾉﾊ<
.　　　　　　　　乂　　　　｀　／　/: ∧　　 { {　}:}　{　　 /　 /　　＼　　　　 }i ＼

948 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:50:10 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「治してくれ……助けてくれ……。
　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿;
.　　　　　　　　　／:;:;:;:　;　　　　　ﾒ＼（⌒二＼　　　　　　　　　　　　　　頼む、後生だ。治してくれたら何でもする……。
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;　　　　　　|´:￣￣￣￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;: ＃　　　ﾒ　|　',∴ ･':;;:：：##;　ヽ＼＿＿　　　　俺と、お前は……ああ、頼むよ……」
　　　　　 .ｨ-=-;;;＼:;:;:;:;:;:;:;:　　　＃　 /　',∴ ･' :;; 　　　　ﾒ　＼＿＿）_．
　　　　 .ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣￣￣#;il;;ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､　　　ﾒ　）..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v .. 　　￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣
　　　　 .ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ
　　　　 ;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´

　　./　∧　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 ./　/∧
　/　.//∧　　　　　　　　　　　　　　　キル子は、震える手で剣を構える。
　　////∧
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､　　　 .――復讐すれば、かつての己を取り戻せると
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.　　..以前キュゥべえは言った。
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　.////////∧ |:::|::::|(○）::::（○）|::::::|:::::|.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　魔物として悦楽のまま殺すのではなく。
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人として在るべき怒りの為に殺すことで、
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人の心を思い出せるのだと。
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

949 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:50:24 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　 .,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 !:::::::::::::/!::::::::::::::::::::､::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::i/i:::::::::::::::::::::ﾊ:::|::::::::!
　　　　　　　　　　　　　|l:i::::::::i/.|_::_l_:::::_|_::::|zi:|::::::::|　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　 |::l::::::::|　　　　　　　.!:::::::::i
　　　　　　　　　 l:::|_:i|:::|　　　　　　　　 |_::li::_|　　　　　　　　 .――いまだ少女の心は血肉食む魔物のまま。
　　　　　　　　　　　　|:::::l:::::::! 　.ﾄｪｪｪｪｪｲ.　.|:::::|:::!
　　　　　　　　　　　 l::::::|::::::|＼ゞｪｪｪｪｿ.／i:::::l::l　　　　　　　　設楽場の屋敷にただよう屍臭さえ、キル子には
　　　　　　　　　 l::::::l:::::::lヽ.l＞､. _ .イ_l:::::i:::::l:|
　　　　　　　　　　　　l::::::l:::::::l 　ヽ､　　 ,//!:::::l::::l!l　　　　　　　　腹の虫を鳴かせる良き香りでしかない。
.　　　　　　　　　　　 l::::::l::::::::|.　　ヽヽ／/　!::ﾊ::::l:|
　　　　　　　　　　 l:／|:::::::::ﾄ、　　ヽ／　 .l:::l l::::ﾄ､　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　/　/::::::ﾊ:! .ヽ　　/ 　　 |:::| l:::l　 i
　　　　　　　　　　 ,'　 l::::::/　l!　ヽ. / 　　 /l:::! !i|! 　l
　　　　　　　　　　,' 　 |!|::l　　　 ∨ 　　 ,'　l:l　l.l! 　 !
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だから、自分は仇討ちを遂げねばならぬのだと。
.　　　　　　　　　／:;:;:;:　;　　　　　ﾒ＼（⌒二＼
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;　　　　　　|´:￣￣￣￣￣｀ヽ　　　　　　　　　　自分はこの男を殺さねばならぬのだと、
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;: ＃　　　ﾒ　|　',∴ ･':;;:：：##;　ヽ＼＿＿
　　　　　 .ｨ-=-;;;＼:;:;:;:;:;:;:;:　　　＃　 /　',∴ ･' :;; 　　　　ﾒ　＼＿＿）_．. 　キル子は己を奮い立たせて――。
　　　　 .ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣￣￣#;il;;ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､　　　ﾒ　）
　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v .. 　　￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ
　　　　 ;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´

950 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:50:40 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　イ.:〆.::〆　　　　　｀　、　　＼
　　　　　　　　　　　　／I7.:〃.::/」　　　　　　＼＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　I7.:〃.::/｣　　＼　　　　　l　ヽ　ヽ
　　　　　　　　 /　 {{l:::|l|::::ｌ}}　　 l |　＼　　　　 i　　 l　ﾊ　　 _,,.
　　　　　　　　　 ′　{{|:::|l|::::|}}　|　 | ﾄ､／｀　､　 |　　|　　|　／ｲ
　　　　　　　　　　|　　 {{|:::|l|::::|}}　|　 |　X＼　'､＼人 _|_　　|/i|ｌ|ｌ|.　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　|　　 {{|:::|l|::::|}}　、 ∨ヽ _,,;;;;;彡,,　　　　i　 |i|ｌ|ｌ|l|
　　　　　　　　 ,　/　 {{|:::|l|::::|}}　　＼ヽ　´´￣　　　　 ! lli　|l|ｌ|ｌ|lﾚ{. 　――だから、自分は仇討ちをせねばならぬのに。
　　　　　　 / / ,　小:.ぃ::.ﾏ} ＿　＼＼,"""　　　- ´i　|ｌ|ｌ |ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|l
　　　　　　　　/ / /　/ ｌ　＞=rｆ<⌒ヾ　　＼　　　　　 ;　|l|l| |ｌ|ｌ|ｌ|ｌl′.この男を、殺さなくてはならないのに。
　　　　　 / / /　　 | {:{___ﾉハﾄ =='＼ー一　　　 . イ l|l|ｌ|!|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|
　　　＼､　/ / /　/ 　 | `￢1|　 |:|＼＼＼　ー　〔_　　|　|ｌ|l|||ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　〉三≧x. / 　丿　ﾉ:|　 |:|　ヽ　＼＼ -r=く}＼ﾑイ￣￣ヽ
　　 _,,.≧ﾆ三三≧==三≧ト．,,_ ｀′　 }　 } ＼＼_ﾉハ、`￢-､::::::::::::::＼
≧ﾆ三三三三三三三三三三三≧ｭｘ..ﾉ__厶 ―- ＼::::冫　　　＼:::::::::::::::＼
三三三三三三三三三三三三三三二ﾆ7.:::::::::::::::::.＼´　　＿,rv＼::::::::::::::::i
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　./　∧
　 ./　/∧
　/　.//∧
　　////∧
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.　　　　　　　　　 .剣を持つ手が震えている。
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　.////////∧ |:::|::::|(○）::::（○）|::::::|:::::|　　　　　　　　　切っ先は岩のようにぴくりとも動かない。
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　　　　　　殺せ殺せと呪いのように唱えても、
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|　　　　　　　　　それらはただ空言として溶けるばかり。
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y

951 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:50:52 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / |┴─ |＿_,'ヾ| ||
　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ--ﾊ､　　　　　 .｀ﾔ|　　　lrｪﾘ　}:| |
　　　　　　　　　　　　　　（CωＣヾ.､＿_,､　　 | |　　　 |　 ,ｨ　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　 /|ﾌ　ヽ.´＼l|}_ぅ'　　 | |　　　ﾚ'´|
　　　　　　　　　　　　　 ,==（ lｊlj　）＜^ヽ､　　　.| |　　　　　.|　　　　　　 .ほどなくして、できない夫は死んだ。
　　　　　　　　　　　　　ｔｔｔﾌ　　　　　｀)ノ　　 .|_:|＿＿＿_,|
　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿;　　　　　　　　　 ,ﾍrﾘ　ﾄｰ}　　　　　　　　死にたくない、死にたくないと呟きながら、
.　　　　　　　　　／:;:;:;:　;　　　　　ﾒ＼（⌒二＼　 `ｰ' 　`ｰ'
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;　　　　　　|´:￣￣￣￣￣｀ヽ　　　　　　　　　 .血が足りなくなって死んでしまった。
　　　　　　　　　│:;:;:;:;:;:;:;: ＃　　　ﾒ　|　',∴ ･':;;:：：##;　ヽ＼＿＿
　　　　　 .ｨ-=-;;;＼:;:;:;:;:;:;:;:　　　＃　 /　',∴ ･' :;; 　　　　ﾒ　＼＿＿）_．.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣￣￣#;il;;ﾞ　 /￣￣￣￣￣￣ヽ､　　　ﾒ　）
　　　　 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v .. 　　￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￣￣￣
　　　　 .ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ
　　　　 ;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´

952 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:51:09 ID:LfEKVIbk0

───────────────────────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

───────────────────────────────────────────

.

953 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:51:23 ID:LfEKVIbk0

、　　　　　　　　　　 `:.、　　　　　　　　　　　　 : :.　::..　　　　　　 .: :. .:.::. 　:. . :.　;:;;:
、　､、　　　　　、　　　`:.、.　　;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ　::::...　.....　,.': :... 　:. :. . :.::,; +
､＼ヽ､ :.;;:.,..;,:,.,.,..,,..:...;...,..,,,.､丶　　　　 .;:;;:　, .,., *.,::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... . 　　.:::　　　　. ;:
| | ｢｢｢｢｢｢｢｢|.|.|.|.Ｉ.Ｉ.ＩTT.ｌ.ｌ.ｉ.ｉ　/`:.、　　　　　　　 :;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..:
|_|_|｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣｣.Ｉ.ＩＩｌ.ｌ.ｉ.ｉ./ ''''"＾　　　　　　　　　　　 ;:;;:　, .,., *.,::.. :..: 　 /"""∧__/.:::
,,...ヽ､､＼ヽ､､丶､ヽ､ヽ､､､､､`;,,、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　.::::/""/,;;::::
| 厂｢干幵幵幵ｌﾛiﾆフﾆﾆｌｉ`ﾞｌxｉ:i::i':,、　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:''"/,, .::::/ ,, /,;;;;;;;;;
|ﾉ川　!│L⊥⊥ﾛ|ノ:::::圀||ミ|x|:i::ﾄ､ `:,、　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
|j_j乢山Ｌiア"毛[i「｀ﾞヽ:::::||ミ|x|:i::| ｉﾞ;.、　　　　　　,;'""´,;' 　,;'
凵Ｌ」 ::::::′　下[||○　:::::||ミ|x|:i::| ｌ :　　,:'' ',:'ﾞ,;'",;' , ,,,,, , ,, /,:, 　「惜しかったね、キル子。君の仇討ちは未遂に終わった。
|　｛::::::::::{　　津[||亭　}::_||　|x|:i::| ｌ i_　└-Ｌ竹TTﾛ何呵可
|⌒}:::::::::::　　盛[|i斗ｬヤi||　i: |:i::| ｌ [__　　　　　 └┴--==Ｌ　　.最後の一人さえ殺せれば、己は仇討ちを遂げたと
|　 };;;;::::::::::ｰ---[||二ﾆ二||　:: |:i::| i⊥ﾆ　 .. 　　　　　￣¨
|密密密密密密[||三ﾆ=-||　:: i／￣.　,.　　　　　　　､　　　　　　.そう信じることも出来ただろうに」
| ＩTＩTＩTＩTＩTＩTＩT[|H‐!T!「〕!-=ﾆ_￣　 i　＞ｰ　＜ /
ＬＩ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:Ｉ:乢斗也三￣_　　　　..Y o　　o 　Y､..　.,. . ,..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
匚￣￣　　 -=ﾆ二￣　　　　　　 /i　､,._,　　　ｉ＼ィ=x
[ _　 -=ﾆ二￣_　. .　　　　　　　　 ./ ヽ､　　　　ノﾍ　＼ }}
{三三二￣＿ _ _ . .　.　.　　　　....,〆、 / /　　　　＼ ',　__シ

954 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:51:45 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |:::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::|　 /:::::::::::::::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| ./::::::::::::::::::::::::::y'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::::::::::::::::::::::/　　　....┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　キル子は何も答えない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　　　ただ迷子のように闇雲に、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::／:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈::::::〈二二二＼:::::／〈　　　　　　　　　　行く当てもなくただ足を動かしている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼/::/::/::/::∧ ＼:::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈::::::::∨::/::/::/::∧　∨￣＼　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`─‐∨ /::/:::/ /＼　　　〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.;::;.:;.; ..;:`ー─--- ───′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
　　　　　　　　　　　 ...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
　　　　　　　　　　...:;:.;:.;:;..:.;:;.:.;::.;:;.;:.;:.:;.;:.:; :;;;;;;;: : :;;;...:;;...:

¨¨　‐-　. _　　　　　　　　　　　 ,.． -‐ｧ
､　　　　　｀ヽ-‐…‐- ミ,.． '"　　　 /ﾆ
ニ､　　　　　　　　　　　｀ヽ.　　　 /ﾆﾆ
ニ=ヽ　　　　　　　　　 '. 　 /ニﾆ
´ 　 i　　　　　　　　　　 :. /ﾆﾆﾆ　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 i　　　　　　　　　　　　　 '. ｀ヽ.ｿ
　　 |　　　　x≠ミ　　　　　r==ﾐ　'. 　 '.　　　　　　　　　　「そう落ち込まなくてもいいじゃあないか。
　　 l　　 ⊂⊃　　　　　　　 ⊂⊃　　'.
　 .,:′ 　　　　　 `ｰ'＾ｰ′　　 }　　i　　　　　　　　 .君は、己の願いを邪魔するものを殺す事ができた。
　人　　　　　　　　　　　　　　 .:　　 |
´　　丶　　　　　　　　　　　　　イ　　 |　　　　　　　　　叶わぬ願いを介錯するのは許す事ができた。けれど」
.　　　／≧=-　　　_　.　 -=≦ . ‐=ﾆ二ﾆ= ､
.　／　　　　　 /　　　　　. ‐=‐ ´　　i ｀　}　　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
／　　　!　　　　ｲ　　　　 {=‐{ | 　　 |彡'
　 |　　 |　　　　 |　　　　　 `ｰ-| 　　 |

955 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:55:02 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　イ.:〆.::〆　　　　　｀　、　　＼
　　　　　　　　　　　　／I7.:〃.::/」　　　　　　＼＼　＼
　　　　　　　　　　　 /　I7.:〃.::/｣　　＼　　　　　l　ヽ　ヽ
　　　　　　　　 /　 {{l:::|l|::::ｌ}}　　 l |　＼　　　　 i　　 l　ﾊ　　 _,,.
　　　　　　　　　 ′　{{|:::|l|::::|}}　|　 | ﾄ､／｀　､　 |　　|　　|　／ｲ
　　　　　　　　　　|　　 {{|:::|l|::::|}}　|　 |　X＼　'､＼人 _|_　　|/i|ｌ|ｌ|.　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　|　　 {{|:::|l|::::|}}　、 ∨ヽ _,,;;;;;彡,,　　　　i　 |i|ｌ|ｌ|l|
　　　　　　　　 ,　/　 {{|:::|l|::::|}}　　＼ヽ　´´￣　　　　 ! lli　|l|ｌ|ｌ|lﾚ{. 　「――けれど、叶った願いを横取りする事は
　　　　　　 / / ,　小:.ぃ::.ﾏ} ＿　＼＼,"""　　　- ´i　|ｌ|ｌ |ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|l
　　　　　　　　/ / /　/ ｌ　＞=rｆ<⌒ヾ　　＼　　　　　 ;　|l|l| |ｌ|ｌ|ｌ|ｌl′.出来なかった。たった二度顔を合わせた程度の、
　　　　　 / / /　　 | {:{___ﾉハﾄ =='＼ー一　　　 . イ l|l|ｌ|!|ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|
　　　＼､　/ / /　/ 　 | `￢1|　 |:|＼＼＼　ー　〔_　　|　|ｌ|l|||ｌ|ｌ|ｌ|ｌ|　　 .少女の悲願を踏みにじるのは許せなかったんだ」
　　　　〉三≧x. / 　丿　ﾉ:|　 |:|　ヽ　＼＼ -r=く}＼ﾑイ￣￣ヽ
　　 _,,.≧ﾆ三三≧==三≧ト．,,_ ｀′　 }　 } ＼＼_ﾉハ、`￢-､:::::::::::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
≧ﾆ三三三三三三三三三三三≧ｭｘ..ﾉ__厶 ―- ＼::::冫　　　＼:::::::::::::::＼
三三三三三三三三三三三三三三二ﾆ7.:::::::::::::::::.＼´　　＿,rv＼::::::::::::::::i
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |:::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| 　 |::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::|　 /:::::::::::::::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::::::::::::| ./::::::::::::::::::::::::::y'
　　　　　　　　　　　ﾊヽ　　　 _ 　 |:::::::::::::::::::::::::ﾚ:::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　ﾒ7〉　ｰ＜/　　|:::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　／ /'　 C 　ヽ　 |::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　 .,r=＜､　ノ　　　ｰ'ソ.　.|:::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::/　　　　　.「――それは君にとって、
　　　 .／^ .ｒ≦´ﾟ・_｡))´≫ 　　「/　　....|::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/
. 　ー'　　　.‘ｰ'ｔ_r_'ｲ=''´　　　　!'　　　...|:::::::::／:::::::::::::::::::::::::::/　　　　　　そこまで悲観する事でもない筈さ。違うかい？」
. !　　　　　i　　　ヽ　　 !　lｲ　　　...〈::::::〈二二二＼:::::／〈
. ゝ　　　　.八　　 .ノー　.ｸ|　i'　　　 /＼/::/::/::/::∧ ＼:::::::〉　　　　 .……キル子は、何も答えない。
. 　｀ヽ　( ´ . t_l^!ｒ´　　｛j.r|　ｔ　　 .〈::::::::∨::/::/::/::∧　∨￣＼
　　　 .､ .ヽ　 ,!j,!　　　　｀~.ゝ-'　　　　`─‐∨ /::/:::/ /＼　　　〉. 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 .｀ｿ　　~　　　　　　　　　　　 .:.;::;.:;.; ..;:`ー─--- ───′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　...:;.:;.:;;:.;:::;;;;;;;:: :;;;...:;;..;;;...:;;...:;;
　　　　　　　　　　　 ...:;:;:;.:.;:.:;.:;.:;.:;.:;:.;.:;.;. :;;;;;;;:::; ;;;;;;:: ;......:;;
　　　　　　　　　　...:;:.;:.;:;..:.;:;.:.;::.;:;.;:.;:.:;.;:.:; :;;;;;;;: : :;;;...:;;...:

956 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:55:21 ID:LfEKVIbk0

¨¨　‐-　. _　　　　　　　　　　　 ,.． -‐ｧ
､　　　　　｀ヽ-‐…‐- ミ,.． '"　　　 /ﾆ
ニ､　　　　　　　　　　　｀ヽ.　　　 /ﾆﾆ
ニ=ヽ　　　　　　　　　 '. 　 /ニﾆ
´ 　 i　　　　　　　　　　 :. /ﾆﾆﾆ
　　 i　　　　　　　　　　　　　 '. ｀ヽ.ｿ　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 |　　　　x≠ミ　　　　　r==ﾐ　'. 　 '.
　　 l　　 ⊂⊃　　　　　　　 ⊂⊃　　'.　　　　　　　「……キル子。君と会うのは、多分これが最後だ。
　 .,:′ 　　　　　 `ｰ'＾ｰ′　　 }　　i
　人　　　　　　　　　　　　　　 .:　　 |　　　　　　　 .だから二つだけ、君に本当のことを話そうと思う」
´　　丶　　　　　　　　　　　　　イ　　 |
.　　　／≧=-　　　_　.　 -=≦ . ‐=ﾆ二ﾆ= ､　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　／　　　　　 /　　　　　. ‐=‐ ´　　i ｀　}
／　　　!　　　　ｲ　　　　 {=‐{ | 　　 |彡'
　 |　　 |　　　　 |　　　　　 `ｰ-| 　　 |

　　　　　　　　　　　　　 --‐‐...､　　l　 /
　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::｀ヽ.　 ′／　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 ./:::,:::::::::::::::::::::::::::::､:ヽ.
　　　　　　　　 /::::/::::::::::,:::::::/::::::ヽヽ::ヽ　　　　　　　　　　　　「――ひとつはボクの企みのことだ。
　　　　　　　 .|::::::i::::::::::i!:::::/:::::::::::|::::l:i!:i
　　　　　　　 |::::::|::::::::::i!_:/j::::::::::_｣::/|ヽ|　　　　　　　　　　　　　　君たちには秘密にしていたけどね。ボクは本当は、
　　　　　　　 !:::::|_:::::::::|○ﾟｿ￣'●'､ﾞヽ_,､
　　　　　　　 .|:::::/i:`:‐ri｀¨´　　｀¨i､_`　|　`ヽ､　　　　　　　　　君たちにはただの魔物になって欲しかったんだ」
　　　　　　　 j::::/`|::::::ﾄ､　　__'　ｲ:::i'ﾞヽ|　　　 `ヽ.
　　　　　 ,.ｨ-'‐ｲ､ .|::::::ﾄﾐゝ､_..イ人::ﾞ!　 |　　　　　ヽ.　　　　　キュゥべえは、それでも朗らかな声で言った。
　　　　　.／､　　　 `|:::::::| ヾﾐ∥ヽ｀ヽ::ﾞ!ﾞ‐!　　　　　　 |
　　　　../　　ヽ.　　　|:::::::|　　ヾ|　ﾞ! ヾ､:ﾞ!.|　　　　　　ｲ　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　.../　　　　ﾞ!　　 |::::::::iヽ　 .|　 .|　ヾ.i|　　　　／ |.
　　.../　　　　　､ヽ　　|::::::::| .ヽ j　　 !　　ヾ!　　,／　　!

957 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:55:37 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ）　　　　　|　　人　　　　　 .-}ﾄ　　　　　　、　ト､　　/Ｔ|::|:::::::|:::
　　　　　　　 ,　　　｀Y´（　　' 　　 ,/　　　く、　　　　　 Y:ヒ、　 ,、　　　|| r┘.:|-┐|.;|:|::|:::::::|:::
工|工|工l工エエｴl＼　　　）､　　／　　　　　 }　　　　...`=|;:{二　 |:|　/＼.||...::/〉:::::::,⊥;:|::rｪｪェェ
__|＿__|_,工工]エｴ}ﾆTニ7〉ｪｪｪｭ　　::::::::::::::::::::::　＼ﾉ!　　　　|;:厂 .r┴:/.::.:.└┐/.::: __|_rェェｴlエ工
＿|＿|_;工工]エlｴ|-[]─[[:ﾛ::ﾛ:{　　.）　　　 ::::::::::::::::::::::ゝ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
__|＿|＿l工工;エｴ|＿＿__]〕ﾆlﾆl　　　　　　　　 .::::::::::::
＿|工|_;工工]エlｴ|┴┬／>─‐>.　.:::::::::::::::::::::::::. 　､.v,,;.　　.「苦悩でなく快楽の為に。憤怒でなく愉悦の為に。
__|＿|二l工工;エｴ}┬／／.::::／　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞ
＿|＿|_,工工]エlｴ}／／.　.) ､　　　 )ヽ　　　　　　（　ﾐﾞ':　　際限なく願いもなく、戦禍のように人を殺して欲しかった。
__|二ｌ＿l工工;エｴl／,,;;,／　 . ) （　（　　）ヽ　；　・　）　;
_|＿|＿l. 　(. 　エｴl-.　.)　` 　（ (　）　）（（　　　）ヽ ( ､　　君たちの村がされたことを、君たちにやって欲しかったんだ」
.:　,　)　　　)　　)ヽ（ ( :（　　）　　　ヽ､）　）　（　（　））;
　）ヽ　 (丶　　)ヽ　（　（）　　（　;;　　;､:　　;　;）__）　）..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
. （　（　 .）　）ノ　 |　:　)　＿,,,-､__　　;;　.､　　　　　（／（＿）ヽ　）ヽ ;;.　.lニコ.　.::::）　　ﾍｿﾊ　　　,ゞ
._ノ　　`-'　　　　　 `-'　:~～--～~--、_;; ::　　､.､.　） (　（　　）ヽ　　　　.;: . .:::: .:ｿ　　　ﾉ:.::.:.. :（　　　（
.　　　＿,,;::- ‐' ～~ ~ 　__,_　　　　　　　　`‐-､__　　（_（_）　）（　（　　　::.: :::..::..:（　　　（::..::..:::.::ﾉ　　　　）
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　 |:::⇔:::|
　　　　　　　　　 |:::⇔:::|　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　　　「二ニ」
　　　　　　　　 {ｰ =≦}　　　　　　　　　　　　「そうすれば――君たちが生き延びたように、
　　　　　　　　　　 jﾆ=-　 `　、
　　　　　　　　　　辷ニ=ミ､　｀ヽ､　　　　　　　魔法少女の才を持つ少女が生き延びる」
　　　　　　　　　 |:::⇔:::|　｀ヽr=x｀ヽ､
　　　　　　　　 r‐::┴=ﾆ:::::￣｀ｰ:､　｀＾j　ヽ､. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　 (::::::::::::r‐==ﾆi::::::r‐'　　　｀ヽ､　ヽ、
.　　　　　　　｀^ ーＬ＿___l￣　　　　　　　｀ヽ　ヽ、
　　　　　　　　　　　 |: l: { !　　　　　　　　＼　＼　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　 |: l: } {　　　　　　　　　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　|: l: { |　　　　　　　　　　 '，　 .　　　　　　「そうなれば、君たちが願ったように、
　　　　　　　　　 |: l: } !　　　　　　　　　　　　　 ‘，　'.
　　　　　　　　　　 |: l: {｛　　　　　　　　　　　　 ‘，　'.　　　　　少女たちは魔法を願い、魔法少女になるだろう」
　　　　　　　　　　　 |: l: } i　　　　　　　　　　　 ‘，　' .
　　　　　　　　　　　　 |: l: { {　　　　　　　　　　　　　 ‘，　　　....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　 |: l: }｛　　　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　ヽ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

958 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:56:04 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　｀丶
　　　　　　　　　　　　　　　｢　＼　　＿＿　 -┴　ｧ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 __ く／
　　　　　　　　　　　　　　　　∨　__　　　 '⌒　Ｙ　　　　　　｝
　　　　　　　　　　　　　　 _|{　'⌒　r:‐ﾍ　　八　　　　　,′　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　／八　　　､:::ノ　　ｲ　丶.　　　/
　　　　　　　　 ⌒＼/　, 　 /　ｰｧ　　　Ｔ´ {　　　＼／＼　　　　　　　　　「……やがてその魔法少女も魔物となり、
　　　　　　（（⌒>く.／　/ . : /　　　　 ',: :ヽ　　　　〈）　）
　　　　　　　＼{／ : : :/ : : /　　　　　ヽ-ﾍ . : : ／／､　　　　　　　　そして戦禍のごとく殺して回って、
　　　　　　　　　／＼＼＿∧: : ,′|　ｉ　ｉ　|　∨∧／／ : : :＼＿_
　　　　　　（＿ﾟ: :｡ーｧ‐' : ;　　|　 |　 |　|　　ー‐く: : : : :｡: ﾟ : _ノ　　　　　どこかで新たに生き延びた少女が魔法を願う」
　　　　　　　　　 / . : : ｡人: : :.:! 　 |　 |　 |　|　　　　　＼: ｡ : : : :）
　　　　　　　　（_／{:_:/　＼:｛.　　　 {　,'　　　　ﾉ　　　＼_ﾉ￣　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　￣>　＼)（／　　く
　　　　　　　　　　　　　　　　／　／￣￣￣＼　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　'ー‐　　　　　　　　ー‐'

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　 0__0
　　　　　　　 ( ･_ヽ｡
　　　　　　 /【 )ヽ
　　　　　　ノLL
　　　　　　　 .／＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .0__0　　　　　...0__0
　　　　 .( ･_ヽ｡　　　　 ( ･_ヽ｡　　　　　　　　　　　　　　　　「そうすれば、魔法少女は未来永劫、
　　　 ./【 )ヽ　　　　 ./【 )ヽ
　　　 .ノLL　　　　　..ノLL　　　　　　　　　　　　　　　　　　　絶えることなく増え続ける」
　　／＼　　　　　　　 .／＼
._0　　　...0__0　　　　0__0　　　...0__0　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.･_ヽ｡　　 ( ･_ヽ｡　　 ( ･_ヽ｡　　 ( ･_ヽ｡
.)ヽ　　 ./【 )ヽ. 　　/【 )ヽ　　 ./【 )ヽ
L　　　..ノLL.　　　ノLL　　　..ノLL
＼　　　／＼　　　／＼　　 .／＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

959 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:56:18 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　 [￣/￣/...l....∨∧|.......∧　　　　　　＼／￣￣＼
.　　　　　　 r┘/.......'.......`i...∨/|......{.....〉　　　　　／＼　　　　'　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 )ｰ{........{...........}.....∨!......K⊥.,_　　／　　 '...＼／
　　　　　　　　　⌒＼....ヽ.....人___,/....__.....＼__＼　　　　　 ',.....ﾟ　　　　　　　　　「そうなれば、ボクは孤独を恐れることもなく、
　　　　　　　　　　￣￣}__／.{..__{　}......／￣]＿_ノ}　　 }.......ﾟ
　　　　　　　　　　 (￣.............{(＿,厶ノ⌒ア.....／ノ　　　}..........ﾟ　 _/｀ヽ　　..永遠に魔法少女の傍らに居ることが出来る」
　　　　　　　　　　　　／＼＿＿,以_人人／￣∨ /　　　　 }...........／￣　　`
　　　　　　　　　／'　　〈￣＼(::::::::::::::｝　　 ∨　　　　　}......../ ● 　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 /　　　 _△)○ ＼_ノ´ﾟ,　　　 ,　　　　　 }.......{ (__　　 ● 　/ l/
　　　　　　　　 |　　_. - ￣ /＼)　/　 | ∧　　　 :　　　　　 .......＼　`ー'　　,　｜
　　　　　　　　　_ - ￣　_ -/　　 ∨　　|/.ハ　　！　　　　　}.........| iヽ　　イ!　 |
　　　　　　_. -　　　 _ - /./　　　/　　 |/　∧ 、　{_　　　　　}.........| 乂}　　 `|　｜
　　　_　-　　　　_ -　　 |..{　　　ト...,__,.ﾑ///r〉＿／＼＿　　}.......｜　ﾉ　　,:ｺ､　|
　　/　　　　 _ -　　＼　|..{　　　/::::::::::::::{⌒´}::::::::::::::／　　＼}.....〃／　　// |　　､‐- ､
　 ,　　　 _ -　　　　　　 |...＼／「¨¨¨¨｢¨　　ー― '::{　　　　 }.....ﾞｱ　　 /::i⊆ -一'__,ノ
　-‐　　　　　　　　　　　＼....＼|::::::::::::　　　　 '::::::::::,　　　　}......{　　　 |::::∨￣　＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ、　　　　.ハ
　　　　　　　　　　　　　ﾄ　＼-―-' ､l|
　　　　　　　　　　　　　 |/,ヽ　　　　　ヽ
　　　　　　 __ 　　　　／/ 　　（' ）　　fj　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　〈＾ヽ､＿r⌒ヾ.--＜／　ゝ.　　　 -ﾍノ
　(　　≧　￣　|l___／　　　ノ　　　T　,へ＼= ､　　　　　　　　　「……それだけが、ボクの願いで
（＿＿＞-‐ﾆﾌﾉ　　　　　/|| 　　レ y-'.　＼))
　　　　　　｀￣__ 　　　 / ﾘ |　|　 |_ノ　ゞ≧_ へ　　　　　　　　　　 .そしてボクの企みだったんだよ」
　　　／´￣　　　＼ .／='' 　l　|　ト、 __　　〉　　ヽ
　　/　　　　 ⌒ヽ.　/　⌒ヽ._l　|　/　V/ 〉　ししｔノ　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　i　　　　　〉,|　　　 //7)／　//./
　　ゝ.、　　　　（´ ゝ、　./　/,,,〉ゝ〈_(/
　　　　ヽ、　　＿｀ヽ　｀(しﾉ
　　　　　　｀￣　　｀ｿ

960 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:56:37 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　 ':::::::::::ﾊ::ﾊ::!::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　l::::::i::::'__iL_!i::::::::::ﾊ::::::::::j
　　　　　　　　　　 |::::_l::::|i.ﾟ●,ﾞ￣'≦zﾊ:::::jj
　　　　　　　　　　 |:::{ i:::::!ﾞ¨ ´::::::〈ﾟ●r'lヽﾘ　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　 |:::::::!:::!　　　 '　ﾞ¨〃:!
　　　　　　　　　　 j:::::::i:::ト､　‐ 　ィ:::/::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……キュゥべえ、おまえ」
　　　　　　　　　　/::::::::i:::! l! ＞´'ヽ.:/::::L__
　　　　　　　　 / ￣/::j! l!,／　/:/ ／　ヽ　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 ,イ　　/::/　/　／:/ /　　　ﾞ!
　　　　　　　／ j'､ ./i:::i! / 　/ {::::|/ . -‐ ヘ,′
　　　　　 /　 ′Y ///　　,′|:::/ ,／　　 ,

　〉　　　　　＼＼　　　　　　　　　　｀ヽ／　／::::::::::::::::/
/´￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::/
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::/
　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::/
　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V
　　./　　　　 /v⌒;　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　 / 　　　弋__ン　　　　　　　　 /⌒; 　　 |
　,′　　　　　　　　　　　　　　　辷ン　　∧　　　　　　　　「けれど、そうはならなかった」
/ .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　',
　　　＼　　　　　　　　、　　　　　　　　　　 / 　　 ',　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　＞　　　　　　　ー 'ヽ __ﾉ　　　　／　　　',
　　　／　　　≧ｭ．.　　　　　　　　　　　＜|　　　　 ',
　／　　　　　　　　　｀　￣￣　 ´ 　　　 i}　　　　　 i

961 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:56:53 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　　＿＿＿
　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　..._ｒヽ'´　　　　　｀ヽ、
　　　　　../: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　..く~ｲゝﾉ --====- 、　ヽ,
　　　　 .' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　,'　｀r´　　,　　　　　　 ',
　　　　...ｉ: : :.ｉ: : :.|／:::::＼|::＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　i 　L 　/,. -－- .、._i 」　i
　　　　...|: : :.|: : :.|::::::::::::::::::::::::::::::::jｲｉ:|　　i　　／ .,'´ 。ﾞ', ヽ.ｲル'　　.....┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 /ﾍ: : ､: : |::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:ﾊ| 　 L　i i.＼乂 __ ノ　/. |
　　　　　 ∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　 .ヽ!、|_ ｀ｰ- －´L|ﾉ　　　　　　　「君たち四人の魔法少女は、
　　　　　　　／　{f⌒()⌒i}｀ヽ　　　　　　 _,r' ヽヽ-∞'ゝ、
　　　　　　　　　　　 _ ＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　誰もが憤怒と苦悩の為にばかり剣を取った。
　　　　　　 ,....'´::::::::{＠}::ｰ､
　　　　　　　イ:::／ ´　~￣~ ｀＼　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.　　　　　　　死と残酷のみを求める、魔物にはならなかった」
　　　　　　 //::〃 i　,ハ　　 /ヽ､ﾍ　　　 .,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　 |∞:i ｌｌﾚ　　ヽノ　 } !｀ｌｺ　 . :::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　〔人 }　　　　　　　　小iVヽ.　|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
　　　　　 |!　i､. 　　　　　　 lｉ|ノ　　|:::::|::::::|. 　　　　 |::::|::|
　　　　　＿| 　l　ヽ､　　　　　ﾉi|　　.....|:::::|:::::_|.ﾄｪｪｪｪｪｪｲ.|:::::| ｀
　　　／:: ;;| 　ｌ　 x＞､ __,　イｌ　|　　　..|:::::|:´:|､. ゞｪｪｪｪｿ.ﾉ:::i
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　/:::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　 |:::: ::::::::::::::::::::::ｌ
.　　　　　 |::: ::::::::::::::::::::::::!
.　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　 !:::::::::::::::::::::::::lｉ:|　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　 !:::::::::::::::::::::::::l|::|
.　　　　 /|::::::::::::::::::::::::lｌ.,7:!　　　　　　　　　　　　「悦楽の為に快楽の為に人を殺せる君でさえ、
　　　　 |:| !::::::::::::::::::::::l|.l|　!
　　　　 ! !|:::::::::::::::::::::::| |　 l　　　　　　　　　　　　　　その願いは悦楽と快楽から己を遠ざけるものだった。
.　　　 /　|:l|::::::::|!:::::::ll|::l|　 |
　　　　l_　 |:|.!:::::::|l!::::::|l:.:||　 l　　　　　　　　　　　　 ……だからボクは、それが悲しい」
.　　　ヽ |ll_|__:_!|:∟:!:.::l‐!　 l
.　　　／　　　　　｀ヽ! 　 !　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 /　/ .　　　　　　ヽ..._│
.　　　 |､　! 　　　　　　｀＜ヽ,
　　 _メ´丶､:　　　　 -‐─､:ヽ　:｀＼
　　 ∟ ､┴-　　 -l＿____, -ｰ‐‐‐‐'
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

962 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:57:41 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　／　　　　　.:/
　　　　　　　／＿＿__ 　 .::/　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　／　　VＺﾆ=-＞──-　,._＿__
　　　　 /　　　ア^／　　　　　　 r＝=≧:､　　　　　　　　「だけどボクは使い魔だ。
　　　 .:　　　　/　/　●　　　　　｀ヾ二ア… 、
　　　 |　　　 .′ :.　　　　　　 ●　ｉ:. Y´　　　＼　　　　　　　　魔法少女に仕えるものだ。だからもう一つだけ
　　　ｌ　,.-=#==ｘi＼　 `^ｰ' 　　 .::从 |　　　　　　'.
.　　　＼`ｰ=i　　 {ゝ::≧ｧ---‐r＜/_＿ｌ__:::::.　　　　}　　　　　　君に本当のことを――君の希望を教えよう」
　　　　　　¨¨ |　　人¨¨ :′　　 Vく{「￣「_≫:::.　　 /
　　　　　　　 |　。｡ﾟヽ i　　　　＼j　　＼ヾ::::　　′　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　ｌ　ﾄ､ |`ﾇ | ｕ　し　ヽ。､｡､ﾟ＼:／

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　ｘ≦ﾕ　　　　＿___
　　　　　　　　　　　　　　　(_/::::::｀`ヽ、　 l＞―-ミｘ､
　　　　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::＼＼::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　-━ヽ:::::::_;:::-┴-:､ー--､_::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 >'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼::::::::::::::::}　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼::::_rく
　　　　　　　　　　　　　　　＿ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.ヽ　　　　　　 .「キル子。君の復讐は終わっていないよ。
　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:.:.}
　　　　　　　　　　　　￣￣￣≧=----:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾘ　―--　　　君が過去の己を取り戻す術は、失われていない。
　　　　　　　　　　　━━／´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;v≠ﾍ､:.ノ
　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.＿:.:.:.:.:.:.:.:._L/::::.　.::::::Yi　-━―　　　　少し考えれば、すぐにわかる事だろう？」
　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.＿_/´　　　￣￣ ⌒V::...　　　.:!
　　　　　　　　　　　　{／￣＼}　　━━―　　―`ｰ---='’　━―　 . ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　「「{^l l.「 !＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　 i二ヽj」」 ]｜　　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　 !.」￣￣￣￣￣￣￣￣￣
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

963 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:57:54 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　／:::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 /::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　/:::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　 l::::::::::::::::::ﾊ::::!::::ﾊ:::::!:::::::::l:::::::::::i
　　　　　 |:::::::::::::i:::ﾚ::::|::::l::::|:::|:::::::::|:::|:::::::!
　　　　　 |::::::::::::i::::::::r≧ミ L:ﾊ::__,z|_:!::::_;′
　　　　 i::::::::{`l::::::l:::iﾟ●ｿ　　'●ﾟi〃:::i|
　　　　 l:::::::::ヽi:::::|:_|ﾞ¨ ´ 　　,　¨´!!:_:::i!　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 l:::::::::::::i:::::ﾄ　　　　　ﾉ:|
　　　　　 ,:::::::::::::::i:::::! ｀　､ _　´...イ:::::|　　　　　　　　　「……どういう意味よ、それは」
　　　　　,:::::::::::::::::i:::::|ヽ､　 lﾄ､:::::ﾊ:::::!
　　　　 l::::::::::_＞ﾍ::::!　ヽ.　ﾞ､ヽ/ l::::|　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 |::／-､　　ﾍ::!､　　ヽ. |　i､l::::!
　　　　〃　　ヽ.　　l:!｀､　　ヽ.i　iヽ:ﾊ
　　　　′　　　　　　V､ヽ　　ﾞj　.|V│
　　　　l　　　　 l　j　 Vﾍ∧　 ,′ iヽ !

　　　　　　　　　　　、　　　　　　　　，
　　　　　　　　　　　 i ＼　　　　　　／ i|
　　　　　　　　　　　 |ｉ＼＼＿＿／/.　i|　　　　　　　　　　_＿＿___
　　　　　　　　　　　 |ｉ/ 　　　　　＼　　　　i:　　　／　　　　　｀┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 /l　　　　　　 i:　＼　　 {ｉ　　／
　　　　　　　　　　　　/. | ●　　　 ●　　|i　　＼　＼¨　　 :|　　　　　　 .「簡単な話さ。君が殺すべき五人は死んだ。
.　　　　　　　ｒｒヽ/. 八　　､_,_,　　　　ﾉ＼／　＼.　 ‐-―|
　　　　　　　 i.i／　　/ ` ‐‐‐┐　　:ｰ-=<.＼　　＼　　人　　　　　　 .けれど、君はまだ生きているじゃあないか」
.　　　 ____＿／＼. ／　　　　　|:.　　　　　　＼　　　≧=-ミ___
　　　｀‐=＝―　 "　　　　　 | ＼.　　　　　　 |ﾞ―＝===‐‐‐┘.　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 l/　/‐-┐.　 i|　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　 |　/　/ }:::::::}.　 / ＼＿＿＿＿＿＿／
　　　　　　　　　　　　　　　 { {~　/{~::::{~~　/
　　　　　　　　　　　　　　　　 `¨¨゛　￣￣ ´

964 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:58:13 ID:LfEKVIbk0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　 0__0
　　　　　　　 ( ･_ヽ｡
　　　　　　 /【 )ヽ
　　　　　　ノLL　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 .／＼
　　　　 .0__0　　　　　...0__0　　　　　　　　　　　　　　　「復讐は連鎖する。君が始めた復讐は、
　　　　 .( ･_ヽ｡　　　　 ( ･_ヽ｡
　　　 ./【 )ヽ　　　　 ./【 )ヽ　　　　　　　　　　　　　　今度は君が殺されるべきものとなって続くんだ。
　　　 .ノLL　　　　　..ノLL
　　／＼　　　　　　　 .／＼　　　　　　　　　　　　ただ、それだけのことなんだよ」
._0　　　...0__0　　　　0__0　　　...0__0
.･_ヽ｡　　 ( ･_ヽ｡　　 ( ･_ヽ｡　　 ( ･_ヽ｡　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.)ヽ　　 ./【 )ヽ. 　　/【 )ヽ　　 ./【 )ヽ
L　　　..ノLL.　　　ノLL　　　..ノLL
＼　　　／＼　　　／＼　　 .／＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r 、　　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　｀ヽ. --- '　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　　　　　　　 .ﾘ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.._/:i　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿r_‐〃ｧ' ｨﾍ.　　　　　　ﾊ　「……いいかい、キル子。それでも、次が最後だ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾞ=-___..ゞ≦ノ　`7 　 ┌　´
　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　　　　ノﾞﾊ　　|　　　　　魔物を辞めると決めたなら、少女に戻ると決めたなら。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィ::廴ノﾘ　　|
　　　　　..＜￣￣＞｡.　　　　　　　　　 /　ゞ==彳　/ |　　　　君は、決して次の機会を誤ってはいけないよ」
　　　／　　　　　　　＞ .　　　　　　　 .ｲ　'　　　　 .ｲ　|
　　/　　　　　　　　　　＞｡.. _ ..｡＜　 /|:l　　 rく:jﾍ　!　　　　 .それだけ言うと、キュゥべえはするすると闇に消えた。
　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /八}　,ノ　　　｀¨
　:!　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 {　ト､　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　:! 　 . ｬ==‐-　..__　　　　　　　 _.　イ　　　ゝ- '
　 ', /: :i　　　　　　￣¨¨¨¨¨¨￣
　　＼八_
　　　　￣

966 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:58:31 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　／　　 ,　　　　　　　 l　　　　　，
　　　　　_ ,:'　　　,／　　　　　　　　　　 |　　　　 ;'
　　　　　/〈　　　 /　　　　　　　　　ﾄ､　　　 ;'
　　　〈　ﾞ､ｰ-‐'i　　　　　　　　　　　　 |　｀ｰ--:'　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　｀;.　|ｰ一'!　　　　　　　　　　　 |　　　　;'
　　　 :::... l|　l.　　 {　　　　　　　　　　　　ｌ　　　 ;'　　　　　　　　　　　 .――やがて、夜闇の中から、
　　　　 ::::l|　ヽ-―',::..　　　　　　　　　　　!　　　;
　　　　　 ::ヾ､､_＿,ﾉ::::::::::..　　　　　　 ;　　 :'　　　　　　　　　　　　　ざりざりという音がキル子の耳に届く。
　　　　　　:::::｀￣´:::::::::::::::::::......　　　　　 ,!　　 ::
　　　　　　　　　: : ::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　ﾉ　　 :;　　　　　　　　　　　足音である。この静かな夜になじむ、
　　　　　　　　　　　: :::::::::::::::::::::::::::::::::::∧ 　　 :、
　　　　　　　　　　　　 :::::::::::::::::::::::::::::::|　ヾ仁二>、　　　　　　　　　　　　二つ足の生者がしっかりと歩む音。
　　　　　　　　　　　　　　:::::::::::::::::::::::::::'、、ヽｰ一'ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::::::::｀"ヽ｀.、　　＼　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::::::::::::::＼ヽ　　 j';:..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::::::ゝ` ｰ ",ﾉ:::::..
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣

　　　　　　　　　　 _＿＿_ _
　　　　　　　, .:´:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　 ,' :::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::i
　　　　i :::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ::::::::::::i
　　　　i::::::::l::i::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ｌ::::::::::::l　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|:::l::::l::|（●）￣（●）Lｊ:::::ﾄ､:l::::::|
　　　　L:l::::l_i　　　、　　　 |::::」ﾉ」:::::l　　　　　　　　　　　　　　　それに釣られて、
　　　　　￣ﾊ　　　　　　　　 iﾚ::::i:::::::::l
　　　　　　 i: :＞／ ⌒ヽ _, ィ´i:::l:::::::::|　　　　　　　　　　　　　　　思わずキル子が視線を向けると――。
　　　　　　　|: ／　　　　レ'｀ヽl:::l:::::::::|
　　　　　ﾉﾚ'　　　　　/　　／ヽl:::::::::|　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　／　　　　　　/　／　　　＼::::|
　　　 /　　　　　　　/／　　　　 |:::i

967 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:58:54 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　＿__
　　　　　　　　　　　　　　｀＜｀ミ　ｘ、
　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ.　　　｀　､
　　　　　　　　 .-‐ '´￣￣｀ヽ､ _､　　＼
　　　　　　　　　／　／" ｀ヽヽ　　　＼ヽ.　＼
　　　　　 .//, '/　　　　　ヽﾊ､　　ヽ.ヽ＼　ヽ＼
　　　　　 .〃 {_{　　―　　ﾘ| ｌ　　　ｌ i|i|}.　ヽ. ヾ､｀　、
　　　　　　　ﾚ!小ｌ）（● ）　从|、　ﾉ、 i|..′　＼ヾ¨ヽ＞
　　　　　　　（､,､_,⊂⊃　　|ﾉ＼ﾘ |ﾉ　　　　.ヾ､｀¨ノ--ｭ
　　　　　　　 .ヽ、　　　　j /レ　j　,/ 　　　　　　＿_〕-､　 }
　　　　　　　　　　　ヘ,､ __,イ　 -‐/イ. ﾉ｀＞―ｭ.ノ　　　｀ﾘく´＼　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　／ミヽ　　　　＼　　　ヽ　　 .ﾉ　 ∨¨ヽ
　　　　　　　　　　　　ム_　ヽﾄ　　　　　　　＼　　　　／　　　`一′　　　　　 .――そこには刀を携えた、
　　　　　　　　　　 .ｲ　　＼ｷ､　　　　　　　＞一 ´
　　　　　　　　__.．'ノ }　　　ヽヾ.､＿＿__.ｨ彡′　　　　　　　　　　　　　　　一人の少女が立っていた。
　　　　　　　　￣´　ハ　　＼ﾍ｀ｰｒ――"
　　　　　　　　　　 .ﾊ　ヽ　　　ｷ./1　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 i!　､　ｷ　　　　ヽ＼
　　　　　　　　　　 l!　　　ｷ　　　　ﾍ　ｵ､
　　　　　　　　　　/ﾄ.､＿__.}　　x==y ´シヽ
　　　　　　　　／ｉヾ.i__ l　lゝf＞-:ﾍ'　　､｀ヽ
　　　　　　　く　/　　 i!　　　 !、　　}ヽ　　ヾ′
　　　　　　　　〈.　　　l!. 　　　､.ﾘjソ　､＞'^ヽ
　　　　　　　　　　｀＞.l!.　　　　 .．／　　　　＼
　　　　　　　　　　￣ | ￣￣ Τ´ 　＼　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　 |　　　 !　　　　ヽ　　　　＼
　　　　　　　　　　　　i　　　 |　　　　　＼.　　　　　＼

968 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:59:04 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
. 　　ｌ,f:::i| :::::|:::::::||::::: |i::::i:::i
　　　 |:|:::::|_:::::|:::::::||:::::_|::::::|::l
　　　 |:|::::_| 　　 ,､　　 |_:::|::|　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━┓
　　　 |:|:´:|ﾞ:､／ |l|＼,.ｨ|:｀::|::|
　　　 |:|::::|::/　　 |　　ﾞヽ:::::|::|　　　　　　　　　　　　　「……どちら様？」
　　　 |:|::::|/　　 ∧　　 |:::::|:::|
　　　 |:|::::|　　／,| ヽ　|:::::|:::|　　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━┛
　　　 |:|:i'l〉ｲ´　 .|　｀ﾄ〈'i,::|:::|
　　　 |::::::＼_ 　 |:|　　 ,ノ:::|:::|
　　　 |仆ｲ|'i|｀ゝ' ﾞｰ:'´|::/|ilﾊ|

　　　　　　　　　　　, -‐ '´ ￣｀ヽ､
　　　　　　　　　／　／" ｀ヽヽ　　＼
.　　　　　　　　/　　/　　　　ヽヽ　　､ヽ
　　　　　　　 /　　{_{　,　　　ｰ- リヽ　i　i.　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 |l i ﾙｌノ　　　（● ）从　ﾄ､ﾘ
　　　　　　　ﾚ l ﾊ（ ●） ,､_,　⊂⊃|ノj　　　　　　　　　　　　　　「入速出、やる実」
　　　　　　　ｿ　ﾍ⊃　｀⌒　　　 / /
　　　　　　ﾚ' '　ゝv-､_　　,.イ／　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ｒヽヽ::::::|ヽ`ー'´,1ｰ:::::ヽ、
　　　　　　　　 {　Ｖ:::::::::∨yヽ/::::::::::／,1

969 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:59:19 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　, -‐ : : : : : - 、
　　　　　　 ,.イ: : : : : : : : : : : :｀:ヽ､
　　　　 / : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :',
　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.',
　　　　l: : 〃: : : : : : : : :!/: : : : ﾉ: : :ｿ
　　　　|i //: :,i: .|: : : : :/: : : : :/_: :ノ　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|i从: : {: :l : :彡（｀|!: :/⊂⊃
　　　　　ﾚVl ,r'|/ﾚyﾉ ` |/ﾉ　丿　　　　　　　　　「お前に殺された、入速出やる夫の娘だお。
　　　　　　　 /:: :: ＞⌒ヽ_ イ
　　　　　／´:: :: :: :/:: :: :ト､　　　　　　　　　　　　　　魔法少女。今宵は、仇討ちに参った」
　　　　く:: :: :: :: :|:/:: :: :: |､::＼
　　　　 r|:: :: :: |:: |!:: :: :: ::|::ヽ-,';、　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　∧:ヽ:: ::＼:|::: :: :: :|:: ::/:: :',
　　　 /:: :: ::＼:: ::`|:: :: :: :|:: :: ｀ヽ､!
　　　,':: :: :: ::/ ＼:::|:: :: :: :!:ヽ:: :: :: |

970 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/28(土) 23:59:30 ID:LfEKVIbk0

　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ .. _-‐ _‐__､
　　　　　　　　　　　　　　　.，´r_'7-'`´::::::｢Lｦrt､
　　　　　　　　　　　　　,　´rァ'::::::::::::::::::::::::ゞ__フ::＼
　　　　　　　　　　　　/　_ｨｹ::::::::::: __r__t__ァ､_z-_､:::ヽ
　　　　　　　　　 / 　l/::::::__/ノ｀´　　　　　　　　ゞ.|
　　　　　　　　　　 /r＝ｱr≦/　/ 　　 /　　　　ヽ　ヽヽ
　　　　　　　　/ |l_〆::|ヽヽ　i::: 　 | | 　　　　|!　 |　!
　　　　　　　　.ｲ ..ゞｲ :::|| //　|::::　 | |::|:::　　　ﾊ　 l　|
　　　　　　　　/ ,.::::::i:|| 　|ﾄ∧　∧:::l..| |::|::::. 　　/:::l:::/ /|
　　　　　 . '　:::::::/:;.　||lj::　ﾊﾘ廾丁ゞiハ;::　メ|:::/:/::/lﾘ　　　　　　　　　　　 |＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 /
　　　　 / .::::::::::/::/　从::::　ﾊゝﾞ＝l‐　　 l､/_/ﾚ::/ノ　　　　　　　　　　＿|　＼/＼/　　＼／＼/　|∧／　/／/
　　　　　/　:::::::::::i::/　　|iハ:: ∨　　　　 ´ ﾌｲ|ノ　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　　　,. ´.:::::::::::::: |:|::::　 |ノ^ヽ.:| ＼　ヽ_ｧ ′⌒))　rﾍﾍ｢ﾉ,'Yチ,'　ヽ　　　　 ∠　　　　　　　つづく！！　　　　　　＞
　　 / .::::::: ,.．─|:|:::: 　|::::::,r=f{{}}≧､/rfﾑ´⌒rヘﾍ｀Y孑"ﾍ/__,.-､｀ｰ､　　　 .／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＼
　　/ .::::::::;;//:::::::Ⅳ::::　ヽr=f}{≧≦}}ﾐﾑ,ﾍﾍ｢j/7‐ｧ､>:::<ﾆﾆﾁﾍ:::ﾍヘ__ノ　　　..￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣
　7 ::::::::::::::| i::::::::::::::ヽ::.:...{{}}{≧》《≦}{}}ヘﾍf' /∠イ)Jヽ＼)/ｨﾊ__／ミ)　　　　　 ./／　　　|/　　　＼/　　　＼|
. ハ::::::::::::::| ::::::::::::_;:::::＼:㌫㌧'_y'^(二ﾆ＞:::::＜ﾆ二ミ)ｿ㍊)/rfﾑﾐﾑ
/ :::::::::::::::ﾉ _,二 - :::::ヽ ::,.㌫riｉﾞYY´!∠／/ /∧ヽ､ノrf斥fぇf'ﾁ}}'r亠､
　|::::::::::.//:::::::::::::::::::::::ヽf―-､ﾍ| |/＞'f'ヽiノ ,r-､´ {fﾁ}(≧k}}rfyj〉　 ,}___
..:|!:::::::::f ::::::::::::::::::::::::::::::(二ﾆ≧::::´＼ﾍ｢:ｌ. /　／) tfｼ{{炒ﾂﾑｽﾁ／ __ノ
:∧::::::::ゝ_;::::::::::､ f>　　 (__／／/(二ﾆ＼| |/／ｨニ)yf'ﾑ匕rf{{爻}｢}ヾぇｰ―'ヽ、
:|　ヽ.::::∧ ＞-i:::丈　　　(／　/ (二二ﾆ:::::::ﾆ二二)≧{}} {{}≧ｪｭｯ'ｼ}{}}ﾐ､㍊ﾐｰ'
:|　　∨　|/ | /::::｢::ヽ¨｀ﾞヽ｀¨´ 　(__／ ,/ｊ lヽ.ヽ､ヽｧ'}}}ｼ'ｰゞ{{}Wkｿ)}yｿﾂ,㍊ｼ

972 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2017/01/29(日) 00:01:36 ID:q0csgHIc0

　　　　　　　　 |￣｀　-‐━‐- 　., 　 ´ ￣|
　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　く￣｀　、
.　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　 ', 　　＼　　　　　　　　　　本日の投下は以上となります。
　　　　 __,ﾞ__　　・　　　・　　　　　　　i　　　　＼
　　　　 __i__　　　　　　　　　　　　 ____ | 　　　　ヽ　　　　　　お付き合い頂きありがとうございました。
　　　　 __|__　 (＿＿人＿＿＿,ﾉ、　____ /　　　　　　　 ∨
　　　　　 `、　| {/:ｌj:::::::lj:::::|　|ﾊ}　 ___,_'　　　　　　　　 V　　　　　 .残り二話ですが、第九話と第十話は
　　　　　　　 `ー|八　ヮ　　 |　|ﾌ},.、イ　　　　|　　　　　　Ⅴ
　　　　　　　　ヽ「￣| [￣ |　ﾊヽ|＼　　　／|　　　　　　 ‘,　　　　同時投下を予定しております。
　　　　　　　　 r＜V＞､}/ ﾉ川　ヽ　/ ::: |　　 │　　　　.
　　　　　　　 (( L}＿＿{」 ))　　|　　ｉ　|::::::::|　　　|ヽ　　　　　　　そこまで日を置かずに投下できたらいいなあ（願望）
　　　　　　　　　 /　|　|　＼　　 |　　|　|::::::::|　　　|::|　　　 i
　　　　　　　　　　　￣|「￣||￣　　 |　　|　|::::::::|　　　|::|　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　|　|::::::::|　　　|::|　　　 |

973 ：書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。： 2017/01/29(日) 00:24:04 ID:0KGGVyQs0
乙でした。

復讐の連鎖、と来たか･･･　上手い･･････

976 ：書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。： 2017/01/29(日) 00:48:20 ID:lSchszdU0
乙。

これまで倒してきた強敵の技を使って新しい強敵を倒すのは燃えるな！

977 ：書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。： 2017/01/29(日) 00:55:04 ID:wzXS4jgw0
永遠に繋がっていくのか・・・
おつっした

978 ：書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。： 2017/01/29(日) 01:05:23 ID:3vntcU1Q0
乙　修羅道の果て

980 ：書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。： 2017/01/29(日) 05:21:07 ID:4bSuH13M0
乙。できない夫はラスボスじゃ無いだろなーとは思ってたが、こう来たか。

982 ：書き込みが反映され辛いようです。連続投稿にご注意を。： 2017/01/29(日) 13:11:57 ID:Let/i7Zc0
乙でした
やる夫って娘が居たのか

≪ キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第九話　魔法・残酷剣 | HOME | キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第七話　少女水銀燈 ≫

コメントの投稿

トラックバック

この記事のトラックバックURL

https://yaruonichijou.com/tb.php/15969-bd9fab53

キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです 第八話 魔法・人形剣

キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第八話　魔法・人形剣