キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第四話　魔法・隠形剣やる夫達のいる日常

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キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第四話　魔法・隠形剣

目次　現行スレ

253 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:12:06 ID:FkQQwRpc0
　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　＿ (　　　　＼
　　　　　　, ' : : : : :＼　　　　＼ノヽ
　　　　　/: : : :l: : : : : :＼＿＿ノ __|_
　　　　∧: :∧丶: : : :ヾヽ: !: ::ヽ　ヽ/
　　　 .(・ω・｀ )　＼: : :ヽi: ｌ: : : |＼/ ゝ
　　∈二　∈二　　 ~ ~|:;| ）: ﾉ　 ´
　　　　{ﾖ　　　E]ヽ　　.j::ﾉ: :８x
　　　　ｌ |　　　辷 ',-イく_~　l: :|　　　　　　　お待たせいたしました。投下を開始いたします。
　　　丶!　　　ト　^´,, イ',　!: :l
　　　　　!　　　　| ｀- ´　 |"　!: :l　　　　　　正直第四話は割と好み分かれそうなアレですけど
　　　　　!　__ (_　i -=-‐t┘　|: :',
　　　　　∪　 /∪ i　i　i.)　　.l: : ',　　　　　宜しければお付き合い下さい。
　　　　　　　（_,（_,_二二[つ　ヽ从

254 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:12:43 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　〃ﾆニヽ　　　　　　　　 .〃ﾆニヽ　　　　　.}　　　　八　　　　〃ﾆニヽ　　　　　　　　 .〃ﾆニヽ
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　....≠　　　　　ヽ､　　　..i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜　ァ''"　　　　　　　　　　　　　　≧　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜./　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.　/　　　　　　　＼　　　イ　　　　　..|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.. i!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.. |　　　　　　　　　 }　　　　　　 .|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:...|　　　　　　　　　　　　　　　 /　|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:...|　　　　i|　　　　　 /　 }　　　 /　 .|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:...|　　　　i!　　　　　　/ 　ﾊ　　　 /　　..i:.＜＞.:i. 　┏━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:...|　　　　|　　　　　 /　　　ﾍ　 /|　　　i:.＜＞.:i
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:...|　　　　|　　　　　 ,'　　　　/　　　　i:.＜＞.:i　　　　第四話　魔法・隠形剣
　　　　　　　 !:.＜＞.:i　　　　　　　　 !:. |　　　　l!　　　　　　 ,　　　　　　 |　　 .!:.＜＞.:i
　　　　　　　 !:.＜＞.:|　　　　　　　 !:..i!　　　 l!　　　　　　f　　　 {　　{　　 .!:.＜＞.:|　 ┗━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 !:.＜＞.:|　　　　　　　 !:.i!　　　 i!!　　　　　　{　　　　　 | 　 . !:.＜＞.:|　　　　　　　 !:.＜＞.:|
　　　　　 .＿__,!ﾆﾆﾆニﾞ!＿_　　　　 .＿__,!.i!　　　　i!! 　　　　　　　　 ∨.＿__,!ﾆﾆﾆニﾞ!＿_　　　　 .＿__,!ﾆﾆﾆニﾞ!＿_
　　　...r=､ｰｧ=‐=======‐‐‐' 　 r=､ｰｧ=‐.i!　　　　ｉ!!　　　　　　　　 r=､ｰｧ=‐=======‐‐‐' 　 r=､ｰｧ=‐=======‐‐‐'
　　　 .ﾏ}/{〃 i!:. :==.ﾟ:;::|　　　　 .ﾏ}/{〃..i!　　　　i!　　　　　　　　　　　　　ﾏ}/{〃 i!:. :==.ﾟ:;::|　　　　 .ﾏ}/{〃 i!:. :==.ﾟ:;::|
　　　　.{ﾏ}}/=､iﾄ‐‐‐‐‐-!_　　　　.{ﾏ}}/=､.ｉ!　　　ｉ!　　　　　　 V　　　 .{ﾏ}}/=､iﾄ‐‐‐‐‐-!_　　　　.{ﾏ}}/=､iﾄ‐‐‐‐‐-!_
　　　 _､ｧ'彳ヾ=-‐─--{　　　 _､ｧ'彳.i! 　　 i!　　　　　　　 ',　　　 _､ｧ'彳ヾ=-‐─--{　　　 _､ｧ'彳ヾ=-‐─--{
　　　 {ﾆ彡へi!‐ミ,,_____/　　　 {ﾆ彡　ｉ!　　　i! 　　　　　　　 }　　　..{ﾆ彡へi!‐ミ,,_____/　　　 {ﾆ彡へi!‐ミ,,_____/
　　　｀}____ゝ:.:＼':i:i:i:i:|　　　　....｀}____..i!　　 i!　　　　　　　　　　 '　　　...｀}____ゝ:.:＼':i:i:i:i:|　　　　....｀}____ゝ:.:＼':i:i:i:i:|
　　　　 j_,,../7 ､__.>‐､:j　　　　 .j_,,...i!　　 i!　　　　　　　　　人　　　　 j_,,../7 ､__.>‐､:j　　　　 .j_,,../7 ､__.>‐､:j
　　　　.../ﾆﾆy.:.:ﾉ≧=--}　　　　 /ﾆ...i!　　　i!　　　　　　　 '"´ﾏ'"`　　　./ﾆﾆy.:.:ﾉ≧=--}　　　　 /ﾆﾆy.:.:ﾉ≧=--}
　　　 ./7:i:ﾄ､彡'＿＿__.}　　　　 ./7:i:..i!　　　f　　　　　　　　　　　}　　　 /7:i:ﾄ､彡'＿＿__.}　　　　 ./7:i:ﾄ､彡'＿＿__.}
　　　....{:!!:.{{､ !:.ﾟ:._:._:，:.i　　　　 {:!!:.{{.i!　　　 }!　　　　　　　　　　.|　　　　.{:!!:.{{､ !:.ﾟ:._:._:，:.i　　　　 {:!!:.{{､ !:.ﾟ:._:._:，:.i
　　　　.!iヽ='' !::._:;:ﾞ::ﾟ_:.:i　　　　　 .!iヽ..i!　　　 i} 　　　　　　　 |　　　 .!iヽ='' !::._:;:ﾞ::ﾟ_:.:i　　　　　 .!iヽ='' !::._:;:ﾞ::ﾟ_:.:i
　　　 ij　　 i:.::_，_'_。:!　　　　　 .ij. 　{　　　ﾊ!　　　　　　　.| 　　　 ij　　 i:.::_，_'_。:!　　　　　 .ij　　 i:.::_，_'_。:!

255 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:13:02 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　『結局の所、さやかは何も知らなかった。

　　　　　　　　　　　　　　　それは誰にも責のない、運命の悪戯の仕業であろう。

　　　　　　　　　　　　　　　そうしてひなげし村の人々が悪意なく作り上げた組み細工は、

　　　　　　　　　　　　　　　彼女が契約するという最後の欠片をはめ込むことで、

　　　　　　　　　　　　　　　最悪の形をもって完成することとなる。

　　　　　　　　　　　　　　　 ――だから、これは全て終わった後の物語だ。』

　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　《剣客魔法少女録　第一巻『残酷剣』（民明書房）より》

.

257 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:13:16 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|
　| 　「――うん。契約するよ、キュゥべえ。　　　　　　　　　　　　 |
　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　| 　あたしは皆を護りたい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　| 　大切な仁美と、大好きな恭介と、ずっと一緒に居たいから。　 |
　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━┓
　| 　だからあたし、魔法少女になる」
　|＿＿＿＿＿　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　　（前略）
　　　　　　 ∨
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　 |＼　　　　　　　／|
　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＼＼　　　　／／|
　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : 　,>　｀´￣｀´　<　 ′
. 　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｖ　　　　　　Ｖ
　　　.' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i{　●　　　 ●　}i
　　ｉ: : :.ｉ: : :.l／､_＼| ヽ:_!, ﾊ: i:.ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八　　､_,_, 　　八
　　 |: : :.|: : :.|　 ○ 　＿ ○　jｲｉ:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　个 . ＿　＿ . 个 ',
　　 /ﾍ: : ､: : |xwx 　（_ソ　ｘwﾉ:ﾊ|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /,,―　-ー　　､　,　-‐ ､
　　　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（　　　,　-‐　'"　　　　　）
　　　　　　／　{f⌒()⌒i}｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `;ー"　`　ー-ー　-ー'
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

258 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:13:43 ID:FkQQwRpc0

;:;:;';';';';';';';';';';';';';';';'㍉: : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ、⌒ヽ　　　　　　　　　 ).:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ⌒＼.:.:
;:;:;:;:;:;／￣＼;';';';';';';'冫 : : : : : : : : : : : : : : : : ⌒'ｰ-､、　　　　　＜´´.:.:.: .:.:.: .:.:.:.: .:.:.: .:.:.: .:.:.: .:.:.: .:.:.: .:.:.: .:.: ノ　　　　丶
;:;:;:;:;:;＼＿／;';';';';';'ノ-─～-==ミ : : : : : : : : : : : : : : :｀`～､、　　　｀´⌒ヽ .::.: .:.: .:.: .:.: .:.: .:.: .:.: .:.: .:.: .:γ´
､; :;:;:;:;:;:;| |;';';'_､-'";';'.:.:.:.:.:.:.:;:;:;:;::;.:,ミｘ : : : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ、　　⌒ヽ､_.: .: .: .: -～､、.: .: .: .: .: .: .: .:乂_
ili＼_:_:__| |,,||ﾉ_:_:;';';';';';';';';';';';';:;.:,:;.:,:;.:,爻 : : : : : : : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ─''＾ヽ　⌒'"　　　　⌒) . . . . . . ノ⌒ヽ
ilililiｌ＼ilｉ| |il||ililililil＼;:;:;';';';';';';';';';'.:.:.:.:.:シ＿＿: : : : : : : : : : : _､ｘ'＾;:;:.:.:.:.:.:.:.:.:㍉＿,､､--､、　　　＿　　　　　_,､-‐''""＾^''
‐:┬一ｉｌ| |il||ilililililililil＼;';';';';';／:::::::||ﾋﾅｹﾞｼ ||=|| : : : :,､,ｖ爻i:i:i:;:;:;:;:;:;::;.:,.:.:.:.:.:.:.:.::;.:,:;.:㍉:;.:,`'＜,.:'´｀`''＞-'",.:'´,.:'´,.:'´,.:'´
::::::||~¨~:| l~||二i~¨¨¨|¨/;';／;';';';:;:;:;||ﾑﾗ＿ _||=|| : : : :乂i:i:i:i:i:i:i:;:;:;:;:;:;::;.:,:;.:,.:.:.:.:.:.:.:.:;:;:州:;.:,'^＾ｼ: : ／,.:'´,.:'´,.:'´_,､-''"´.:.:.:
::::::||　　:| |''||'''''''l|　　|/／⌒^~"' "＾||￣_:_:_:_:_:|| : : :|￣｜i:i:i:i::i:i:i:i:i:i:;:;:;:;::;.:,:;.:,:;.:,;:;:i:i:ﾝ;';':;.:,:;.く_ノ,.:'´,.:'´,.:／⌒.: .: .:;';' .: .:
::::::||　　.| |::||::::: ||　　l;';';';'ｖ从从|￣i||ア~　＼_,||＼: | :: ::|i:i:i:i:i:i:i:i:i:＼i:i:;:;:;:;:;:;:i:i:i:i:彡';';';';';';';'シ＾''‐=彡'⌒;';'.:.:.:.:.:.:.:.:;';';';';'
＿从从i| |::||ｉ丁||　　|;';ﾞ;';州州州洲||㏍㏍xｘ|_||｀`T|: : ::|_乂ﾐ=‐-＼''Ｙi/''""´｀`＾^ヽi{⌒,､,､ﾊ从 ;';';';';';';';';';';'.:.:シ'⌒''''
乂从乂'| |从⊥┘ｰ┴┐㏍㏍㏍些||;;;::::　-─||二-|'⌒'|　　｀`＿二Yｉ}ﾆﾆﾆ=-ｪｪェ}{ェ=-┐;';';'ﾐﾐ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ:ﾞ: : : 从从
川从川l| |比=-　￣_|￣　､丶`　　　　　　丶､Ｔﾆﾆ二_¨　'''　─=⊥∟_'^＾^㍉-‐冖''"｀:､＼;'ﾐﾐﾐ .:从.: .: .: .:''''',､,､,､
从川从i| |「　_┐i[ _ィi ／.　　_,／￣￣`￣＼　　L_└⊥_｢二_Ｔ'' ｰｒ-　＿｣;';';';';';'シ从ﾐﾐｘ,､｀:､＼'''ﾞ .: .: .: .: .: 爻爻爻
乂从川i| ||ｉ了|',ｨ㌻ｨ'ﾞ.　　／/ 　 /`　i 　　　.i　　　　.⌒≧s｡｀`'' └.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.
刈川洲l|_|||┘'ｱﾞ: //　　..../ /　ﾚハヾﾙヽV　 l　　　　　　　　_ ⌒≧=‐
川州㌻＿ｨﾞ_ｱ: : //　　　　 .j v､!○::::::○ i　 '〈　　......''' " ￣　　　　 ´"　「――結婚、するの？　仁美と、恭介が？」
洲洲洲ｿﾞ＿　''"Π￣　　　 .ﾘ〈　　ワ　 /　 i ﾊ
洲祓'":;.:,:;.'ﾞ　.:.:.ｌ｜.:.: :　　......ﾙﾚ`ｰｩ　ｔ-ﾚ,､ﾙﾊ　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
刈'":;.:,:;.:,'ﾞ　.: .:.:l :|.:.:.:.:　　　　　 /´o()oこノ〈　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :　:　:　　　　　　　　´"''￢-　__´"''≠
:;.:,:;.:,:;.:,'ﾞ　　. :. ｌ　|.:.:.:.:.　　　　 ./ `／＼'j　　＼　　　　　　　　　　　　　　　: : : . . .　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ " '
:;.:,:;.:,'ﾞ　　　.: .:ｌ　 |.:.: : .　　　 .,/ー(~~i~~/ー､! 　＼　　　　　　　　　　　 _ : : : : : . . .　　.　　.

259 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:14:01 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　 ,:' : : : : / : ､: : : : : : : :ヽ : ',
　　　　　　　　 /:/ : : : jI: : : :＼: : : : : : : :',: :.
　　　　　　　 ,':,': : : : / }:i : : : : ',: : :ヽ: : : i : i
　　　　　　ｉ { : : : .'　从 : : : : i、: : :',: :､| : }　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 |:ﾊ: : : { -‐　＼: : :{ ＼: :i: : :',: :!
　　　　　　 | : N: :.{ｘｾ卞　＼:l乍心}: :} ∨　　　　　　　　「……ええ。もう何年も先の話になりますけど、
　　　　　　ﾄ､:∧ :代:ソ　　　　弋ソ !:.从 ',
　　　　　　 .':ハ: :ヾ　""　　 '　　""/ｲ' i: : }　　　　　　　　 .十五になったら恭介さんの家にお嫁に行くように、と」
　　　　　　 {:ｉ　N: ∧　　　＿　　, ' : /: :/
.　　　　　　从/: i: : :}＞ . 　　 . イ、: : !:.从　　　　　　　　 .仁美はどこか申し訳なさそうに、そう言った。
　　　　　　／ `/: :从:∨`ー¨‐ '"　i!: : :ヽ : ヽ
.　　　　　　 :′: /: ,:' :圦′､＿j＿／ヽ: : / /: 八　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　＞､i: :ﾊ : : : ヾ´ 丁!￣≧ｘ/イ`/イ､
　　　　　　 /´ /イjIヾー､}＝∨＝＝＝冫i!　　ヽ
　　　　　 i　　　ヽ ∨＝＝ハ＝＝／ ∥ 　　 !

　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 丶
　　　　　　　 .: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :〃 : : : / :l: :i ﾍ
　　　　　　 / : : : : : : : : : /: : : : /: : : : : : : : ′ : : /l :从 : ∧
　　　　 /: : : : : : : : : : ′: : : : : : : : : : : : {: ＿〃ﾉ : : ∧ｌ＼
.　　　　 /ｲ : : : : : : : : : { : : : : ｌ: : : :/: : : 从＿_ ` ! : : : /`
　　　　 /　{: : : : :ｌ: : : : : | : : : : |: : :/: :: : :/ γ;ヾ　ﾚﾉ:}:/　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　八: : : : !: : : : : ! : : : : ! : : : : : : ′ !ﾒ　　 | ｌﾉ′
　　　　　　ヽｊ: ｌ:|: : :〃 |: : : :从: ′: : : :!　　　　　乂　　　　　　　　　　　「誰が、そんなこと、決めたの」
　　　　　　 V,ﾊ : ∧ :|: : : :/ : !: :: :: : :|　　　　／
　　　　　　　　　　 ∨　ヽﾍ: ::ハ: ｌ: : : : : :!　　ｚｧ┘　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　f＝＝＝＝从 !八{ : : 从　／
　　　　　　　」　　　　　　　　≧xﾊ: :}≧‐-'
　　　　　　 λ　　　　　　　冫ヾ

260 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:14:12 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　＼ヽ　　 |　l　　/／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　| l　　/／
　　　　　　．こ　　．な　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：　　ヤ
　　　二ﾆ　：　の　：　ん　 -‐　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ　：　　バ　　 -‐
　　　 -‐　！村　？だ　ﾆ二　　　　　　　　　　　　　　　-‐　　：　　イ　　ﾆ二
　　　　　　　　は　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　／/　　　| ｌ　　ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　l　|　ヽ＼
　　　　　　　 _,r～～～～.､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……村のお爺さま方です。
　　　　　 r' _,r～～～～､ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　＿--､, -ｚ._
　　　　　｛ﾉ　　u ｀ﾆﾆ´　ヽ.)　　　　　 _,-ｰvｰｚ_　　　　　　　＞::::::::::::::::::＜　　.私たちがまだ赤ちゃんの頃に取り決めて、
.　　　　　｛Ｌ_ r=＝=　u.==､l′　　　ｲ ,､,､,､,､,､ヽ　　　　　 /::::::::;:::ﾊ:::､:::::ヾ
　　　　　 {r=ｉ|　r ｡＝　｡=､ |　　　　 | l--､ v,.-ヽ|　　　　　ｲ:::ｨ/K u >ﾍﾄ:::|. 　私の家も、恭介さんの家も
　　　　　　{|L||ij ｀ニ7　 lﾆ´v|　　　　 1|⊂･　･⊃|,l　　　　　 .ｈ:｢こ･j=｢･う]:ｎ
　　　　　　{`ｧ| r─' L＿｣ｰ､|　　　　　｛ｆ|L　∪ v」|ｆ）　　　　　|f||:￣,」 L￣:||ｊ.|　そういうつもりで話が進んでると」
　　　　_／{/ :| |（二二ニ二）|.　　　　｀|.⊂ニつ l´　　　　　ヽl　‘‐ｕ‐’v:ﾚ'
-‐'''"´::|:::::ﾄ､ヽ_ , , , ,一, , _人　　　　 ,ゝ､.二. ｲヽ_　　　　　 _/l.ヾ二二ﾌ　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:::::::::::::::|::::::|　＼　￣｀¨ﾌ丁 |:::: ＼-‐''"´|: :|､.＿_,.|: :|: ｀＞ｰ''"´|: :|＼.二.／|: :「｀'''ｰ- .、
::::::::::::: |:::::│　　＼__／　|:::::|::::::::::: ＼ : |,.へ.　　/へ|:/| : : : : :│: |.＼　／| :│: : : : : l:ヽ.
::::::::::::::|::::::::|　　 ,.ｲ:ヽ.　,|::::::|::::::::::::::::::〉、 : : ヽ/: : : /: :|: : : : : :|: : l 　Ｘ.　 |: : |: : : : : :|: ハ
:::::::::::: |::::::: |ヽ／　〉:〈.∨|:::::::|:::::::::::::::/::::| : : : :|ﾟ: : :;ﾊ : :|: : : : : ;＞:|／〉〈＼|:＜; : : : : :|/: : l
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　 |: |.: : :|: : : :|: : / 　　|: : : : : : |: :|.: : :|ヽ: :|ヽ.: : :|.: : :|.: :/: : : | |
　　 |: |.: : :|: : : :|: :斗―‐ﾄ､.: : : : :|: :|―┼-ﾏ!､ﾍ: : |.: : :|: /＾}: :∧{
　　 |: |.: : :|: : : :|/　＿＿{　＼.: : :!ヽﾄ､:.:ｊ＿}＿_Ｖｊ!.: : :}/ﾉ,ﾘ :/　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　∧|: : : :＼: :{´￣う､_ﾊ` 　丶: ｌ　} j/ ´ う､_ﾊ￣}｀: :/ 7´.:/
　ノ　 |:.: : : : :.|ゞ、ゞ--┘　　　＼　　　　ゞ--'　'|: :/: :ｊ/ｊ/　　　　..さやかは、何かの言葉を吐き出しそうになって、
　　　！: :|: : :.|八　 /／/／　　　　　 /／/／ﾉ ///
　　　八: :|: : :.|‐介x、　　　　　　′　　　　　　イ: :/〃-　、　　　　 .けれど喉の奥にぐっと押し込んだ。
　　　　∧{ヽ: :Ｖ　||　` 　 .._　　´￣｀　　_..　´ /:_:ｲ/′　　＼
　　　 /　ﾍ　＼ﾞ、|| 　＼　 ≧=┬=≦ 　／/´　||　　　　ﾞ,　　　どんな言葉を吐こうとしたのかは、彼女にも分からない。
　　 ,′　　　　＼　　　　／／　　＼＼　　　　　　　　　　　ゝ､
　／　　　　|.　　　　／／.　　　　＼＼.　　　　 |　　　 }..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　{　　　　　！ }.　　／／　　　　　　＼＼　　　 /　　　〆　/
　ヽ　　　　 ∨　／／ュュュｭ、　,ｬｭュュュ.＼＼l　　}ﾉ　　　/　 /

.

261 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:14:46 ID:FkQQwRpc0

　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }: : : : : : : : : ヽ
　　,　　　　　 . . . .|. . : : : : : : : : : :ﾄ､ : : : : : |: : :丶
　　ｉ: : : : : : : : : : : :|: : : : : : : : : : 〃　＼: : : 」_: : :ﾄ､、
　　|: : : : : : : : : : : :|: : : : : |: : : :/　　　　＼.:.:| : : :|　＼　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　l: : : : : : : |: : : : |: : : : : |: : :厶イ　　　　,.斗ｙ : |
　　l: : : : : : : |: : : : |: : : : : |: :/　　　　　　´ r'} N:.:|　　　　　　　　「じゃあ、仁美はどう思ってるの。
　 ∧.:.: : : : : |: : : : |: : : : : | / _,ｘ≪ 　　　り |:.Ν
　/　ﾞ; |: : : : :|: : : : |: : : : : |〆_)､_ﾘ　　　　　.:.:j: |　　　　　　　　　　.恭介との、結婚って」
　　　从: : : : |: : : :！ : : : :|　弋_ノ　　　　丶ｲ:/
　　　　＼: 八:ヽ : :ﾞ; : : :八　　:.:.:　　 ,　／::从　　　　　　　　　代わりに出てきたのは、縋るようなそんな言葉。
　　　　　　＼|＼＼:＼ : : ﾍ、_　　　´　くヽ}ｲ､
　　　　　　　　　〕＼{＼{＼: :', 　ヾ爪　／:}　 }　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　／≧=‐-｀`.._＼',　ノ_jr'ヾ:.:.:|　　ヽ
　　　　　　/ 　　　　　　ヽ「:.:.:ゝく:.:./　　　〉

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__
　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐　¨`´　　　　｀`ヽ、
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 , '　　　／　　　／　　　　　ヽ
　　　　　　　　 /　　 / 　　　 '.　　　　　ヽ　ヽ
.　　　　　　　 / / 　./　　　　　　'.　　　',　 ',　ヽ　ヽ
　　　　　　　　 / / 　./　　　　 .／ '.　'.　　'.　 ',　　ヽ　',　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　ﾉノ　 .l　　　ｌ　 /　　 ',　',　　',.　',　　 '. 　l
　　　　　　／　　　 l　　　l　/　 ''"´ ヽﾄ､　ﾄ､_!　　 !　 l 　　　けれど、仁美は何も答えなかった。
. 　　　 , '　　　　　__! 　 . l /　　 ,_ 　　ヽ! ＼ lⅥ　　l　 ,'
　　　　 /　　　　l　/‐',　　ｌ',ｨﾃうﾘﾞ'　　　　　ｧﾐ､_ !　λ ,'　　　　　嫌とか、辞めたいとか、結婚したくないとか、
　　　　ヽ、 . 　 l　ヽ、ヽ　ヽ辻り　　　　　斥ﾘﾞ/! / l/
　　　　　〉､　　ヽ　｀ヽヽ. ヽ, , ,　　　　ゞ=' ﾚY ヽ　　　　　そういうことを言ってくれたりはしなかった。
　　　　ノ　 }　　　）　r‐〉ヽ､!　　　　　､　' ' 'ﾉ　　 }
　　ヽ≠'′　／⌒ヽ､__|ミヽ､ヽ､　 ‐ ‐　 ,.　＜　　_／　　　　　　 .ただ何かを気遣うように、じっと口を噤むだけ。
　　 / 　　 / 　　　ヾ、,.へ)｀`i＞-ｧ＜‐ ､ ,.ィ"´
.　　 {　　 ./　　　　 r‐／／´） rｪ､＿}:} __　Y　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヽ／＿＿　　､!:::{　　'´,.）:ﾚ-‐　Y´:::}　‘，

.

262 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:15:21 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　 __,.　──-　_
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――だからさやかには、
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　　　　　　　　　　それだけで充分な答えになった。
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧
　　　　　　|::::::::| j　　｀`ヽ､　∨::::ハ
　　　　　　∨::::| i　　　　　　　∨::::::i

　　　　　　　　　　　　　　 .. .. --:7:ヽ――: . . ..､
　　　　　　　　　　　　／: : : : : ::l: : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　　　　,. : : : : : : : : l: : : : : : : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　　　　 ./: : : /: : : :/:/l: :i: : : : : : : : : : : : :.ハ
　　　　　　　　　 /:: : :/: : ://:/　!: l: : : :l: : : : : : : : :l: : :.
　　　　　　　　 ./ /: /:: ::/l::ll:l 　 !: !::. : :|:　:l : : : : : |: : : :!
　　　　　　　　 /: :l: :ｲ:: /_.l斗lイ　l::ﾄ､: :､!: : |: : : l: : |う): :l
　　　　　　　ノ : ::|:: :l::/　 l'　l!.　　',l　＼lー:l:､: ::|: : l)).┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 | : : |: :.ﾚ　　　　　　　i!　　ヽ＼: ::|: : l:::::
　　　　　　　 | : : |: : |　x＝=､　　　　　＿　ヽ.|:: /:|:::　　「てことは、仁美はもう男探ししなくて済むじゃん！
　　　　　　　 /ｲ: .:| : :| , , , , ,　　　　　　´⌒ヾ.　 |/.: :!:::
　　　　　　 ./'　l: ::|: : |　　　　　　.,　　　 , , , , ,　l::: : |::: 　いーなあ、あたしも早く男見つけて親を安心させないと！」
　　　　　　 |: l:|: : |　　　　,､＿＿__. 　　　　/! ::/::
　　　　　　ヽﾄ:ヽ::l＞.　　丶＿_.ノ　　　 .ｨ::ll :/l:/┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　ヾ',lﾊlヾ＞,. 　　　　 .　＜/ﾚ./:/ /
　　　　　　　　　　　　ヾ.　{ﾐ===｀T´=='=}　　 /'ｲ.
　　　　　　　　　__ ／｀ｖ‐,ｨヽ､.　　||　／.l__
　　　　　　　 ./　/ ￣二l_――.､._}{_.ｧ――"'､￣￣ヽ
　　　　　　 .ノ　 |　　 --､}:::::::::＞{::::}＜:::::::::::::/　　　∧
　　　　　／　 l　|　　　ィ }:::::::::::/´Tヽ::::::::::::::::l　　　/　＼

263 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:15:37 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　＿_　　 _
　　　　　　　 ,. : ´: : : :｀ ´ : ヽ.　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : ､: .　　　　　　　「……ごめんなさい、さやかさん」
　　　　　 |/ : : : : : : : : : : : : : : : : :i :}
.　　　　　 / : : : , : : : : : : : : : : i : : : l/　　　　　　　　 .仁美は、最後にぽつりとそう言った。
　　　　　 :' : : : / : : : : : : : : : : : ! : : 〈
　　　　　 |: : :､ ! : : : : : : : :､: : : :l : : : ヽ　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　人: : } ｌ : : i: : : : : : ＼: : : : : : :i
　　　　　　ヽ': :ヽ: :{: : : : : : : : ヽ: : : : /
　　　　　　,.:': :/: : : ヽ､: i: : : : : : } : i: :{.._,}
　　　　 ,: : :_{: : : : : : :｀ｉ : : : : :/: : }:_:_ノ　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　人:/　ヽ､: : :i: : :l: : : : /: :,. '　ヽ.
　　　　　／　　 }: :∧ : : : ﾊ: : Y　　}　ゝ､　　　　　　　　　　 ――ひなげし村に、最初の野伏りが襲ってきたのは、
.　　　 / 　 l　　/イ　ヽ: : {　＼{.　　i　　 }
　　　　{.　　 i 　　　　＼j.　　　 ,'　／　　　　　　　　　　この会話から数日後の事となる。
　　　ヽ.　　'　　　　　　　　　　 ' ､_ }
　　　　　{/　　', 　　　　　　　 ,'　　 l　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　| 　　 .}　　　　　　　　 {　　 l

.

264 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:15:48 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　,..r;;:　　（　人)　 )　,;｀ｰ､　　　　　　　 |　ヽ丶　　　　　　　_）　消　　汚
　ヾゞ､　　ゞ'´　　　'｀´　　｀ヾ､　　　　─|─　　　　　　　　_）　毒　物
　　　　　　　　　　-‐':､ゞ'｀` 　,l　　　　/ |　ヽ　　　　　　 _）　だ　　は
ヾ､ゞ;;.　　,r-､　　　｀ヾ､　　　　ヽ､　　　　　　　　　　　　 _）　 l
, rヾ　　 ,r!/r'ヽ　　　　'｀　　　　　＼　　　　＿|＿　　　　　 _）　っ
　　　_,,,.,ﾉ､_ ヽ,　　　　　　　｀ゞ;;　　 ;:､　　　　／|　　　　　　｀)　！
,r‐'''"　,.r ,ｲ彡ミﾐヾ､　　　　　　｀`　 ´;;i　　　　　　　　　　　　　V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ｨ'´　,:;;;;彳彡ミ;j｀､　　　　　　　　`i;:､　　　　　　オ┏━━━━━━━┓
;;　ヾ､彡;;;ﾉﾘ;jjjjj;;;jr'　i 　 .　ノ;;:''　｀ﾞ｀､　｀`ｰ､
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;ﾚ　,t'´ 　　　　　　 ,.､ｰ､　　ゝ　　　ｫ　　（中略）
;'ｲ;;;'ヾ｀`ヽ､ｨ;;i ,ri'´　　ヽヾノ　,ry' il'Yﾞr　　ヽ､
j'´ '´ '´／ゞ';;::`´ヽ　　｀`´ｰ　ﾞi　;;: ,r'　　　　　 )　　┗━━━━━━━┛..
　　/ ,;:' '´/　ｰ≡;i{､　　　　　／ヾr'´　　,.　　　'`;;:､　〉ゝ　 r-ｰ-､_ ,{i＝i= }i､
ｰr-､j　,!　,;',;'ｨ;;:ｲ''｀`ゞ､_,､-‐'´ヽ:;/　､　｀`ヽ　　;:､　｀' (´　｀ゞ､;;;;'',,fi､,≡:;ｲ＝=､
,,:'　｀`ゞ､,;;ゞ､ "´ｲ ,...　`'彡 ,／´　　｀ヾ､ヾ　　　'　　　ｰ､　ii;j ｀i;;!'´ﾆil';;;;ゞr､_,r'ミ
'　　　ｰ‐─　,rｰ'ﾞｰ─-､_j;:r'´　　　　ヾ,ゞ　　　　　　　　､ゞ,ﾐ;:l;;l　　,! 　,!,i;;'´¨/
;.　　　r-‐;;'"}　　　　　　　　　　　｀`ヾ､　ﾉ　　　　　　　,;;;:　(i,;)））､,,:;!､__,:};!_,.､l
....　　　_,,,ｨ､ i　　　　　　　　'ヾ人　　､}(　/　　　　ノ　　 ,r'i　 r'"ヾ-‐i‐-:;ｲ, / ヾ
　　　　,.r'´,ｨ'l､　　　_ｨ;;､　　　､,.ミﾐ'´　,;:'´ﾊ　　　'´　　,j　,r'　 }ミ,r;}ゞ‐'─l:::.i 　,jl
,l:.　　　ヾ;'´ｲ'´ﾄ､_　　j (＿,r'´（`'´`ｰ'´,ﾉ　 i; l　　（｀'´ Y´　　　 ,ｲ≡＝‐-ゞ､,r'
ｷ:.　　,.彡;:､　　　 }ヽ、'´　｀　　　､,;{　　　ﾞﾚ　　 ,ゝ'　　　　　　　 i;;;:: ,;:li三ﾐ;}jlK
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

265 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:16:01 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　’、．・”；　　’　　　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　∵”　　　　　　、′‘ ・．　．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　家が燃えていた。屍が転がっていた。

　　　　　　　　　　　　　､　　,　　　`　　　帰る場所がなくなって、知己の顔が死んでいる。
　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ）
　　　　　　　 ,　　　｀Y´（　　' 　　 ,.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
工|工|工l工エエｴl＼　　　）､　　／　　　　　 }　　　　...`=|;:{二　 |:|　/＼.||...::/〉:::::::,⊥;:|::rｪｪェェ
__|＿__|_,工工]エｴ}ﾆTニ7〉ｪｪｪｭ　　::::::::::::::::::::::　＼ﾉ!　　　　|;:厂 .r┴:/.::.:.└┐/.::: __|_rェェｴlエ工
＿|＿|_;工工]エlｴ|-[]─[[:ﾛ::ﾛ:{　　.）　　　 ::::::::::::::::::::::ゝ　　...|:;| 　 |..::::':::: .r:､:...|:::::ｒ┘..;;'ｴエ工[工[
__|＿|＿l工工;エｴ|＿＿__]〕ﾆlﾆl　　　　　　　　 .::::::::::::　､.v,,!;:.v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ ,工/＼＞工工工
＿|工|_;工工]エlｴ|┴┬／>─‐>.　.:::::::::::::::::::::::::. 　､.v,,;..v ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
__|＿|二l工工;エｴ}┬／／.::::／　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ,
＿|＿|_,工工]エlｴ}／／.　.) ､　　　 )ヽ　　　　　　（　ﾐﾞ':ヾvv　 ――さやかは確かに全ての野伏りを返り討ちにした。
__|二ｌ＿l工工;エｴl／,,;;,／　 . ) （　（　　）ヽ　；　・　）　;　'..
_|＿|＿l. 　(. 　エｴl-.　.)　` 　（ (　）　）（（　　　）ヽ ( ､　　）.　代わりに幾人の村人が殺され、幾つかの物が失われた。
.:　,　)　　　)　　)ヽ（ ( :（　　）　　　ヽ､）　）　（　（　））; （　（
　）ヽ　 (丶　　)ヽ　（　（）　　（　;;　　;､:　　;　;）__）　）　（___.　それが、ひなげし村の魔法少女の初陣だった。
. （　（　 .）　）ノ　 |　:　)　＿,,,-､__　　;;　.､　　　　　（／（＿）
._ノ　　`-'　　　　　 `-'　:~～--～~--、_;; ::　　､.､.　） (　（..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　＿,,;::- ‐' ～~ ~ 　__,_　　　　　　　　`‐-､__　　（_（_）　）（　（　　　::.: :::..::..:（　　　（::..::..:::.::ﾉ　　　　）

.

266 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:16:17 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　／｀´: : : :＼　　＿ ........._
　　　　　　　　　 , -ｲ:.:.:/{{｀ヽ-: : :ヽ .ア:__,.へ:::｀ヾ　　　　　　　　　　　　　　　 _.　.村人の骸が、墓場に運ばれていく。
＿＿　　　　　／:.:.:.:ゞ/rx__r廾>ヽ: }ｱ::ﾉ,zz　 __ヽ<, -へ__　　　　　,　---　、-{:
: : : : :＞-- '´_:.:.:.:.:.:.:.:.L..」└‐┘!／}:_/　ﾟ-　ﾟ ' ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:ゞ´￣>´::::::::::::::::::::ヽ　 . ほんの少し前まで生きていた人々。
　　　 }:.:,　´: : :｀丶: : : ＼ｰ｀,. イ:.:il:.:ゝ!　 [二l　ハi:.i:.:.:.:.:.／/＜__::::::::,､::::::ヽ:::l:.
^~｀ヽレ′: : : : : : :厂｀Lア二,イ:V ヾ__ヽ　 .._ ｲlr．ヽ＞｀. . . . . . .く/V　xz-↑L. 　魔法少女が守れなかった、
:::::::::::l: : : : : : : : : ／　 <／ヽ／｀ヽ／　　　　　ゝ..__/. . . . ,､. ,､_ト. .ﾐ　__ﾟ- .r '::::
:::::::::::ハi,､,､i: : : /　　　　　　　　　.l　　　i　　　　　 Ⅵ. . ノ-イ r． Lト'ｰ 'イ⌒ヽ.　.今や無惨な屍と化した者たち。
Aﾍ::::j__Lヽ_r-ァ'　　　　　　　 ./　j　　　i　　　　　ヽVr┘・｀　_ｰﾚﾍ V⌒′'.
.ﾟ '　r ':::::}　ア　　　　　　　／}　 Y⌒ヽl　　　　　　　　＞- ､.ｰ'イ´｀ヽ L＿.ノ!..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
-‐'´:::/:::| ∠_　　　　　　∠、　丁]　 .厂　　　　　　r ⌒7:.:/:.｀¨´:.:.:.:.:.:｀ヽ＿_l　.l　　厂ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
::::::::::）:::／:.:.:.:.｀丶__　　j.　　ヽ　!/　 ,l　　　　　　　ヽ　 !V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:,/l｀＼!　l　 /r‐┴ ､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:::::::＞ '::::::::::::::::::::::::::::V- ､　　 './　 / !　　, -= ￣￣^＼｀!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽヽ-l ./／ノ:.:.:.:.:.:.:.￣｀ヽ- ....＿
::／::::::::::::::／::::::::::::::::{　　ヽ　　l　./|　}／:::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L_ヽL) /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}: : : :/:

　　　　　　　　　　　　　　　 i : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　 __}ヽ: : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　/´　　￣￣ヽ: : :!: : : : : :
　　　　　　　　　　 /　　　 ',　　 ', : i!: : : : : :
　　　　　　　　　／　　　　　　　　 i: 八: : : : : :
　　　　　　　　　 , '　　　　　　　 l　　 /ｲ　 } i: :..;.:　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　ヽ　,.　　　　 |　　　　 i人:ξ
　　　　　　　　 У　　　　､.ノ　　　　　ヽ:　　　　　　　　　　　　　その中に、幼子の骸が一つ混じっていた。
　　　　　　　　 '　　　　 }　　　 .,,:;;#圭#;;
.　　　　　　　　 ,'　　　　 /　　　　　　 .;;;#圭　　　　　　　　　　　仁美である。彼女は背中に大きく開く傷を作り、
　　　　　　　　　 / 　　　 ,　　　　　 .:.;;;#圭#
　　　　　　 / 　　　 ,　　　　 ..:;;;#圭圭#　　　　　　　　　　　　そのまま動かなくなって、死んでいた。
　　　　　　　　 ' 　　　 /　　　 :;;;#圭圭圭#;;:
.　　　　　　 '　　　　 /　　　　..;;;#圭#;;.圭#;;:.}　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　 r' ´ ￣|　　,.′...　.:;;;#圭圭圭#;;　　..`
　　　　 !　　　 | .／ヽ　　　..;;;#圭#;;.#;;:
. 　　　　 .'　　　 |/　／　;.:;;;#圭圭圭#;;
.　　　 , ′　　　　　i_　　......::;;;圭圭#;;:
　　　　ヽ7 ￣` ､　 |:i`: ､　　　　　　　　　　　　,
..　　　　/　　　 / ＞':i:i:ｉ人　　　　　　　　 /:i

267 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:16:38 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　 __,.　──-　_
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,　　　　　　　　　　　　　「――どうして。どうして、こんな」
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　　　　　　　　　　　さやかは、どこか壊れたような表情で
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　　　　　そう呟いた。
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　|ヽ、　　　　ハ
　　　　　　　　　　　　|｀,>｀ー―‐'　ﾘ、
　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　　　　　）ヽ　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　/　i　　:::::::::::::／ ./
　　　　　＿＿,,＝ｙ'　ﾉゝ.＿ ,',´⌒ヾ,'　　　　　　　　　　　　　　　　自分は魔法少女になった筈なのに。
　　　　(＿o＞￣ l|／　_ﾉ／'0'o}/ﾉ'
　　　　（,-´'o≧=ﾉ'　　（_,（＿,し'´|´　　　　　　　　　　　　　　　皆を護れるだけの魔法を得た筈なのに。
　　　　　－'´　　´　／　　　　　 |
　／´￣｀ヽ、　　　/　 '⌒ヽ|　||　lヽ　　　　　　　　　　　　　どうして、どうして、こんなことに――。
　|　　　⌒ヽ. ￣＞i　　　　ﾘ. ||　| ,!
　ヽ　　　　　＼_ノ| ゝ.＿_'´,,).,j.,.,j'´)　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　＼＿＿＿＿ノ

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

268 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:16:53 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　 ',:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｌ　　　　　 /::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.ｌ
　　　　　　　　　　　 ',:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|　　　　　　/:::::::::::::.:.:.:.:.:.:. !
　　　　　　　　　　ｉ:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｌ　　　　　 /::::::::::::::::::::::::.:./
　　　　　　　　　ｌ:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｌ　　　　　/:::::::::::::::::::::. ／
　　　　　　　　　　　ｌ::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｌ　　　　ｉ:::::::::::::::::::.: /
　　　　　　　　　　　ｌ::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｌ　　　　 !::::::::::::::::::.:./
　　　　　　　　　　　　　ｌ::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.ｌ　　　 !:::::::::::::::::. /　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　ｌ::::::ｉ:::::::.:.:.:.:.:.:.: |.　　　ｉ:::::::::::::::.:./
　　　　　　　　　　　　　　ｌ::::::ｌ:::::::.:./:.:.:.:.:|　　　　 !::::::::::::::.:/　　　　　 .「――どうして、って、そんなの決まってるだろ」
　　　　　　　　　　　　ｌ::::::ｌ:::::::/:.:.:.:.:.:|.　　　 /::::::::::::::./
　　　　　　　　　　　　　ｌ:::: |::::/:.:.:.:.:.:.:.|　　　/:::::::::::::::.:ｌ　　　　　　そんなさやかに、言葉をかける者の姿があった。
　　　　　　　　　　ｌ:::::|:/:.:.:.:.:.:.:.:.:ｌ　　 ∧:::::::::::::::.:〉
　　　　　　　　　　　 |::: ｌ':.:.:.:.:.:.:.:.:. !　　 {ｉ　ー ⌒ｉ´　　　　　　　　その声色はひどく震え、歪んだ怒気を孕んでいる。
　　　　　　　　　　　　ｌ::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ',　　ヾ､　　　 !
　　　　　　　　　　 /::ヽ:―‐:.､:.:.:.:.:.:〉　　ｌ!　　　ヽ　　　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　〈:::::,　―　､:::.:.:.:.:!　　　ｌ{　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　 V　　　　　￣ヽ　　　ヾ､＿ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　 |　　　｀ー ´
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　‐'}
　　　　　　　　　　　{ ｀ー―――‐　´　‐'
　　　　　　　　　　　ー――――― ´

　　　　　　＿__　　　　　＿
　　　　　　｀`ヽ、`ヽ､,i'"´∠ _
　　　　 ,. ‐'"´￣　　　　　　　｀`ﾆゝ
.　　∠´-,‐:‐'　　　　　　　　　　　｀`ヽ
　　　／　　　　　　　　　　　　　　　ゝ
.　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　　／/　　　　　　　/l、　　　　　　　 l
　　　l　　　　　 /| ./　l、iﾍ　　　　 |　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 .l /| ,　/! /. l./　u l | , 〉.iﾍ、 .　 |
　　 |/ |/|/`!/-ﾆl_　　v'|/'_ﾆl~ ヽ|、 l　　　　　　　　　　「皆を護れる力があるのに犠牲者が出たってのは、
　　　/´l|.|　!' /⌒　　　　 ⌒ヽ　　|.i^ヽ
　　　l |6||　　ｌ（0）　　　（0） l　u ||.6l|　　　　　　　　　　つまりさやかに護る気がなかったって事だろ。違うか」
　　　ヽ._||　　ヽ､_　:| 　 |:　_,ノ　　 ||_ノ
　　　　 ∥　u　　（　　）　　　　.∥　　　　　　　　　彼は村の若者で、名を三好という。
　　　　　| v /⌒ヽ､` ‐'´,.ノ⌒ヽ　 |＼
　　　._／l　 l ,. -─‐三─‐- ､ﾉ　 !　 l ､　　　　　　　　 .此度の襲撃で偶々生き残った、悪運の強い一人だ。
,.‐''"´/ 　ヽ､` -‐ '´.＿｀` ‐-" ,‐'´.　 |　｀` ‐
　, -‐''"⌒)ヽ`‐､. 　 ≡ 　 , ‐'´l .l　　│　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
（　 -‐'"⌒)-､〉l:::` ‐--‐'":::::::::l　| 　 . |
.（　 -‐'"⌒)ノ, |、::::::::::::::::::::::,ノ!　|　　 .|
/（　-‐''"⌒)ﾉ　! ` ‐----‐'´ .l　 |　　 |
　 (._,,. -‐' ,"＼ l　　　　　　 l　,へ、　 |
　　　　　 /　　ヽ　　　　　ﾚ'　　＼ .|

269 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:17:10 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　 /　　　　　　l| |　　/　　　l　　　ー-　＿　　＼__ノ/　 |　　ヽ ',　 |　l　| | l:::::::::::ヽ }　{:::::::::::::/　　l　-‐
　 l　　　　ヽ　 l　　/_ - ､　{､ｰ-＼　　　　＼　＼ -‐/￣`ｰ-､ヽ|　　 l | 乂:::::::::ﾉ∧乂::::::ノ　 //＿イ
　 |　 _ -‐-､＼l　//::::::::::i　 l　／　￣ヽ　　　＼　＼//　ﾉ　}　}/l　　　 }ｰ- ＝彡_ｰ､ゝ￣　／/
￣l l/::::::::::::::ヽﾍ |l{::::::::::::::} l }　　　{ ／::＼　　　＼　.＼　　/､　l::∨　　 lヽ /／::::::::`ｰ.､＼　 /　｀丶
.　 l {l::::::::::::::::::|　､乂:::::::彡　l／　//::::::::::::::` ｰ､　　`ｰ､＼ l　乂l:::∨　 ∧ l |:::::::::::::::::::::::ヽ　/　､　ヽ
／ヽ乂:::::::::彡　　`ｰ￣-‐ ./ ノ／､＼::::::::::::::::::{　ノ　　 / } |/:::::::::::::∨　 ∧l |::::::::::::::::::::::///＿＿＿＼
￣ヽﾍｰﾆ三ﾆ _/￣｀ヽヽ //　／＼＼＼:::::::::::/ ﾉ　　 / ./､ l::::::::::::::::∨ ､ ∧､`ｰ､::::::::／_ノ:::::::::::::::::::::::::
ー-　ﾍ　 /γ´:::::::::::::::|　　l／::::::::::::ヽ　､　`ｰ-.|　l. ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ー-＝.ﾍ l　|::::::::::::::::::::」　ノ::::::::::::::::::::乂　､_　r|　l
:::::::::::::::::ヽ l ヽ:::::::::::::/ //:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ l::l |:|　l.　　　……どのような錯乱が、どのような狂気が
＿:::::::::::::::::＼_￣`ｰ'＿/::::::::::::::::::::::::::::::::::::lﾉ:ゝl| /
ｰ､￣二⊃:::::::￣￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://　　　　彼をこの論理に追い込んだかは誰にもわからぬ。
　＼､　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__/　　l|
　ヽ　＼｀ｰ､＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　l| ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
､＼ヽ＼＼:::＼}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　l|　 |l::::::::::::::::::::::::::::／／:::::／ _-‐､　　　　／::::::::::::::::::::::
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　＿＿ヽ、
　　　　　　　　　斗‐‐‐:::::≧:≦:メ、　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　＞≦::::::::::::::::::::::::::::::メ,
　　　　　　　／／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::v　　　　　　 .――十に満たぬ少女に守られる屈辱。
　　　　　　　 .:〃/::::/:/::ﾊ::::;::V:::::::::::::,
　　　　　　　 ' /://!/斗/　zVz:V::::v:::::,　　　　　己が何の役にも立たぬ苦痛。
　　　　　　　 / ,'ﾊ!:::::::::::::::::::::::::::::Yミ:::i
　　　　　　　　/　i :::::::::::::::::::::::::::::'!:}}:::|　　　　　　あるいは、理不尽な暴力への恐怖。
　　　　　　　　　　 !:::::::::::::::::::::::::::::irﾉ::::!、
　　　　　　　　　　　i:::::::::::::::::::::::::::::|:＼/ ',　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　,。r≦:::::::::::::::::::::::::::: !: :/　 }ヽミ
　　　　 ,。≦　　/　i:＼::::::::::::::: ,..イ: /　　| 、　｀＜
　　　ﾊ＞r≦ /　/　{ ＞r≦: : : :,:'j'　　 !　｀ :、　｀､　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 ,　!　　　,'　,..、 {ゝ、______ ,.:'　'　　 .i　　　＼　　ノヽ
　　　,　 i　　 /'"´　ヾ',　　　　 ,:' _ﾉ、　 .!　　　　　ﾌ´ 　ﾊ　　　　　　　　　 .それらがどう重なり、どうねじ曲がり、
　　　!　:.',　　　　　　 o,　　　/'´　　　＼」　　　　 /　　　　:!
　　 /　ヾ,　　　　　　　',　 /　`　　　　　　　　　 ,　　,　　　!　　　　　　　　どう歪めばこのような疑心に至るのか、
　 ,.:　　 ,ﾊ}　　　　　　　 Y　　　 ,、　　　　j{ i　 ,'　／　　　j、
　,　　　ヾ {::!　　　　　　 { o'"　ﾊ' ￣￣￣j! ,　' 〃ﾉ　　　j }　　　　　　　　　その答えは彼にさえ分からないのだ。
　!　　　　ヾ'|　　　　　 }　　　 !ヾミz斗彡'　v{/／　　　　 {
　ヽ　　　　 .!　　　　　　 ! 　　.|　　Ｙ´　　i　ｖj'　/　　　　　',　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　/ ＼　　　.!　　　　　＼ﾉ　　　.!　　　　　 j　 j'　(　　　　　　',

270 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:17:36 ID:FkQQwRpc0

　　　　　／　　厂　　　　　　　 : : : .
　　　／　　　　|. 　 l　　　　　　　　 : .＼
　　 . :　　 /　 |: 　 |: .　l: : . ＼　　ヽ　:.
　　/ . : : : /ｌ :/ |: : . |: : :.|ヽ: : : .ヽ　　 |≫l
　 .: :.l : : :/ |/　 |ヽ: :|＼:｣／＼:: :.l　　 |≫|
　 : : | : :/｀ |≧ｰ'　∨ ｀ヽﾊ仆;＼|:　　|　 |　　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 |: :l: :/／/;ﾊ　　　　　　 |l しﾘ　 |:.　 :|　 |l
　 |: :l: :.|　 l:しﾘ　　　　　｀¨´ //|::　 :l　:八　　　　　　　　　　　　　「な、なんでそんな事しなきゃいけない、んですか！
　ﾉ:八: :ﾄ//｀¨　　 ´＿_　　　　　 |:: . / :/
　/', : 〉ヽ、　　　 '　⌒ヽ　　　／|:: /／　　　　　　　　ヘ　　　　どうして、あたしが皆を見殺しにするような真似を――」
　　∨ヽ: :＞　.　　ｰ─' 　. イ //／　　　　　　　 ⌒l　＼＼
　　　　＼: : /: :＞ｰ┬　 ´＿|_／　　　　　　　　　　 |　(＼　| │┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　∨∨/厂Ｙ厂￣￣￣Ｌ.／⌒ヽ　　　　　 (＼ヽ＼/
　　　／￣￣７＿乂＿＿＿／　　　　　＼　　 (＼＼＼〉　l
　　 /.　　　／　　　　　　　　＼　　　ｰ─ヽ　へ＼〉　 /
　／　　／　　　　　　　　　　　｜　　　　　　／/〈　　／|
〈　　　　人ュュュｭ、　,ｬｭュュュ人　　　　／　/|　＼　/ /ﾉ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:::::::::::／/メく／.:／　V:j:::::|v:::.! V,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:ｧ－:::} '" ≫ミく'　 ,z彡'´ｖ:| V:|　ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:;' ,'-'::;'　〃 (ﾀ　　　笊Ｖﾊﾉ　Ｖ　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ':{ {- !/　,{{　　　　 , ｀’ ｊ ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:人ゝj'　　ゝ-'.: : { {:､_ノﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……そんなの決まってる、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '::ｱ￣} し　　　ゝ､ _,r'　 '
　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　,}　　,.:≦s。___,.､　 '　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　分かり切った事じゃないか」
　　　　　　　　　　　　　　 ___〃 {'　　　}　ゝ-- :::__:::ヾj　,'　　　　　　　　,'　　＿ヽ_
　　　　　　　　　　　斗七　 ,'　 j:、　　＼　　　-- 、ｰ' /　　　　　　　 __{ ,'´、　　_,　)、　　　　　そう言うと、三好はゆっくりと
　　　　　 ,。ｓ≦　　　　　〃　 } ',　　　　 ≧ｘ､　 ,。r≦　　　　　　　,'　ヽ!　＞'"　 ,.:　!
　　　／、　　　　　　　__〃　　 ', ,、　　　　　　｀／{　',　｀＜　　　　ﾑ'__}ゝ{ 　＞'　　｀　　　　 .左手を揚げ。
　　 /　　Ｖ　　斗七´　' |　　　 , ', ＞s。＿＿'ﾉ! {　 ,ミ　　｀＜　　｀ｰ{' ゝ'　　 _,,.ィ　,
　　,.:　　　 v'"´　　　　,.:　!　　　 ', '.、　　　　　　ﾉ ,{　 ,　｀＜ __,!ﾊ　　　 ',　｀Ｔﾌ´:.、　　|.　┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　 ,　　　　　',　　　　　 !::! |　　　　　 :、　　　　 /j　j　　,　　　　 Y　 ,　　　ゝ　 ,'　　　　　i
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/　　　!　　　 ,　　 '　　　 !,..イ´　':,ゝ'　ヽ　／'"　/:＼ j　　　　/　　 ,　　　　ゝ　　　ノ　|
　　　 ,!　　　ヽ　,'　　　　　　　　　ヾ、　 Y´　　 /　　｀　　　!/　　　 ,　　　　　}　　　j:　 !

271 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:17:53 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　　 '　　　　 }　　　 .,,:;;#圭#;;
.　　　　　　　　 ,'　　　　 /　　　　　　 .;;;#圭　　　　　　　　　　　　「あいつに、死んで欲しかったんだろ」
　　　　　　　　　 / 　　　 ,　　　　　 .:.;;;#圭#
　　　　　　 / 　　　 ,　　　　 ..:;;;#圭圭#　　　　　　　　　　　　　仁美の亡骸を、指さした。
　　　　　　　　 ' 　　　 /　　　 :;;;#圭圭圭#;;:
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　　　　 !　　　 | .／ヽ　　　..;;;#圭#;;.#;;:
. 　　　　 .'　　　 |/　／　;.:;;;#圭圭圭#;;
.　　　 , ′　　　　　i_　　......::;;;圭圭#;;:
　　　　ヽ7 ￣` ､　 |:i`: ､　　　　　　　　　　　　,
..　　　　/　　　 / ＞':i:i:ｉ人　　　　　　　　 /:i
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　　　　　　　　,.　':´|: :｀: : :｀:ヽ､
　　　　　　／: : : : |: : : ､:ヽ: ヽ:＼
　　　　　 /: i: : l: :A i:ヽ: :l: :l: : l i:､:ヽ
　　　　　l: : l: : l:/:::::|ﾞ､:i､: |ヾi.: | l: i: :|
　　　　　|: i: l: |/:::::::! ヾﾞ､|rt-;|;:|: :l: |
　　　　　|: i:.ヽ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: :l: :{
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　　　　　 !!l i vr,ヽ､ _:::::_ , ィ;´//
　　　　　　　ヾi　 rﾉ--r-ﾞ-,´
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　　　ｒ'´　　.V　L__/ |!!!-i L_」　,|　　｀ヽ
　　　ヽ｀ヽ /　　　/ l　　 l .i　　.ヽ_, r'::/
　　　　 >.-､{　........ー...........ー......... }::,.ィ'
　　　　 i　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　|
　　　　 |　　i |ー　　 ´￣｀ー　'/i 　　.|

272 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:18:03 ID:FkQQwRpc0

.　　∠´-,‐:‐'　　　　　　　　　　　｀`ヽ
　　　／　　　　　　　　　　　　　　　ゝ
.　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　　／/　　　　　　　/l、　　　　　　　 l
　　　l　　　　　 /| ./　l、iﾍ　　　　 |
　　 .l /| ,　/! /. l./　u l | , 〉.iﾍ、 .　 |
　　 |/ |/|/`!/-ﾆl_　　v'|/'_ﾆl~ ヽ|、 l　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　/´l|.|　!' /⌒　　　　 ⌒ヽ　　|.i^ヽ
　　　l |6||　　ｌ（0）　　　（0） l　u ||.6l|　　　　　　　　　　 .「仁美さえいなければ、恭介と結婚できて家を残せるって
　　　ヽ._||　　ヽ､_　:| 　 |:　_,ノ　　 ||_ノ
　　　　 ∥　u　　（　　）　　　　.∥　　　　　　　　　　　　そう考えたんだろ！　だからわざと手を抜いて、
　　　　　| v /⌒ヽ､` ‐'´,.ノ⌒ヽ　 |＼
　　　._／l　 l ,. -─‐三─‐- ､ﾉ　 !　 l ､　　　　　　　　仁美を野伏りに襲わせたんだ！　違うか！」
,.‐''"´/ 　ヽ､` -‐ '´.＿｀` ‐-" ,‐'´.　 |　｀` ‐
　, -‐''"⌒)ヽ`‐､. 　 ≡ 　 , ‐'´l .l　　│　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
（　 -‐'"⌒)-､〉l:::` ‐--‐'":::::::::l　| 　 . |
.（　 -‐'"⌒)ノ, |、::::::::::::::::::::::,ノ!　|　　 .|
/（　-‐''"⌒)ﾉ　! ` ‐----‐'´ .l　 |　　 |
　 (._,,. -‐' ,"＼ l　　　　　　 l　,へ、　 |
　　　　　 /　　ヽ　　　　　ﾚ'　　＼ .|

　　　ﾉ'i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.|:.:.ﾊ:.:.:ｉ:ﾄ､|:.:.i:ハ
　　　　 V.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.l:./ﾊ!:.:l:ｲ|!ﾘｲ′
　　　　　V.:.:ｌ:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.l:{､ﾍヽ:.ﾊ!{′　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　 V:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:ﾊ:iV　ヽ　>
　　　　　　}ﾍ:.:.:.､:.:.:.:.:.;.:./ ヽ､　t､/　　　　　　　　　　　　　　　　　「――もう、やめて下さい」
　　　　　　　ヽﾄ､ト／!:/＿ト　.／
　　　　　　　　 }￣￣￣￣` !　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　怒号を飛ばす三好に、
　　　　　　＿/＿　＿＿＿ヽ_
　　　_ .＜　　　　　　　　　　　　＞、　　　　　　　　　　　　　　　　　待ったをかけたのは恭介であった。
　　「　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、
　　|、　　　　　　　　　　　　　　　　　　i |　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　ハ　　　　　　　　　　　　　　 | |
　ﾉ.　∨　　　　　　　　　　　　　　　　,′|
　|　　i|　　　　　　　　　　　　　　　　i　　|
　|　　 |　　　　　　　　　　　　　 |　　ヽ
. ′ 　 |　　　　　　　　　　　　　　　 |　　 |

273 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:18:25 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　＿__
　　　　　　　　　 /ヽ:.:.:.:.:.:＞:.
　　　　　　　　　　／′.:ヽ:.:.:.:.:.:.､:.｀ヽ
　　　　　　　　　 /.:.ｉ:.:.:.:､:.:.ヽ:.:.:.:､:.ヽ:.:.ﾟ.
　　　　　　　　　.:ｉ:.:.|:.:.:､:.ヽ:.:.＼:.:.ヽ:.Y:.:.　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　ｉ:|:.:.ﾄ_､:.ヽ:.ﾄィ､:.ヽ:.:.:.:ｌ:.:.|
　　　　　　　　 |:|:.:.|ィtｫヽ:! 'Tufヽ:.:,:.}Y:!　　　　　　　　　　　　　　　　「さやかを侮辱するのはやめて下さい。
　　　　　　　　　!ﾍ:.:ﾄ!`' ﾉ　　 `" ﾉｲ/ｲﾘヽ
　　　　　　　　　　ヽゞ　｀　__　　u' _{从　　　　　　　　　　　　　彼女は僕たちの為に、
　　　　　　　　　　　　＞　｀ ’ イ／ _ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ,孑r＜／　＼　　　　　　　　　　　　　　　　心身をすり減らして戦ってくれたんだ。
　　　　　　　　　　　　 /i 《. ／＿＿　ﾟ．
　　　　　　　　　　　　　ハl 》 /　　　, ヽ　．　　　　　　　　　　　それを、僕たちが追い詰めてはいけない」
　　　　　　　　　　 /　 ||i .| ／／　 i　．
　　　　　　　　　　　　 _}ヽ |||／／　　　 |　 |　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　」　　|「／　　　 .ﾉ　 |
　　　　　　　　　　　ﾉ　　 |丿　　　 ∠　　｛

　　　　　　 .ij.{.i　 .i {､　　　　｀　　　　ﾟ｡.j　　ﾑ'}　i'　 .} i
　　　　　　　|ﾏ ',　{ ミｭ､. 　, -､　　　 .,ｲ'/　 / ./} i　ノノ. 　┏━━━━━━━━┓
　　　　　　　liﾏヽ .iﾏ／).､￣　　 ,,.ｲ/ ./ ／ ./ ﾊ{=　´
　　　　　／ﾏ＞‐'― .マミ= ≦ イｨ　/／／/,'　}i　　　　　　　「恭介……」
　　　　 / ／ｧ　　　　　ミY i}￣二フ },／/　/　　 j'
　. , イ/ﾑ≧ ､＿＿,,ｬヽ>/ノ二｀｀ﾏマ=- ､　　　　　　 ┗━━━━━━━━┛
／　／　{ ﾏV￣` マ＜/ ｀{ ､　　　　＼　.ﾑ
　　（ミi= ､__} i　　　ﾏ＞ -=== ､　 ., ‐==i　.}､
　／ Y　　 .i ヽ　　　 }'　　　　　　　ﾏ''￣ヽﾑヽ
　　 ./　　 .i　　　　／ヽ　　　　　ハ　i　i ＼. ', ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━┓
　　ﾉ　　 l　 ≦ -- マ､　　　　　 {,---ｧ--ﾏ}'　 ',　ヽ
≦/　　　 .i 彡￣} }≧､＼　　　　　　}ﾏ　　 .ﾏ　　ヽ ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「――それに」
/7　　　ﾘ　　　 o'.l　　ヽ＼　　　i´　i　　　ﾏ＞.､　　＼
i.ﾉ　　　 ,　　　　.l l　　　　 `　､≧-}　　',　　　 ',､　 `=-.､ )　　　　　　　　　　　　　　　　　と、恭介は続ける。
{'　　　　/　　　　.l l　　　　　　　￣ﾏ　　',　　　　ﾏ､　　　//
ﾏ　　　/　　　　.oi |　　　　　　　　　.L　　i　　　　 V　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━┛
..‘，　/　　　　　 .i } ､　　　　　　　　　‘，ヽ　　　　}　, '

274 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:18:49 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　, r '´　 __ ,- ､　　｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　 ,／　　 /　　　　ヽ　　　＼
　　　　　　　　　　　-=ｿ　　　 / i　　　　　　ヽヽ　　＼
　　　　　　　　　　　 ./　／ ,ｲ /　　i　　　　ヽヽ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　//　　/　| ﾊ　　| i､　　　　　|　　　　|
　　　　　　　　　　 //　 /￣｀|/ l　 || |ヽi ､i　　　 |　| 　　|
　　　　　　　　　　 |/　 /.Tヽ |　ヽ | T-､!_/ 　/　　/ 　　.|
　　　　　　　　　　ﾘl　/　じ'　　　ヾ＿__ ﾚY /　　/　/　/　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　/ | i/　　ノ　　　　i' ,.ﾊ　i/ 　 ,/__/　/
　　　　　　　　　　　　|,}　　｀　　　　ﾞ´　/.ｨ　 ,仁il}/ ,ｲ　　　　　「仁美が死んだから僕と結婚できるなんて、
　　　　　　　　　　　　Vヽ　　､__　　　　 ´/_ノ=ソノ /ﾚ
　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　　 ,.イ´ |￣´ｨ |.　　　　　　　さやかが考えるはずありません。
　　　　　　　　　　, --――-,ﾃT'´￣ ´　　 _,|イ´ ﾚ
　　　　　　　　　 /　　　　　　ﾄ､|＿_ ,. -, -' ´ ト､　　　　　　　　 ……僕は、ほんとうに仁美のことが好きだったんだ。
　　　　　　　　 /　　　　　　　!　|l|￣ ´ 　 ,／　　＼
　　　　　　　　/　　　,　　　　　ilr-― '　´　　　　　　＼_　　　　　　僕はもう、彼女以外の人と結ばれる気はない」
　　　　　　　i´　　　 .|　　　　 .il|　　　　　　　　　　　　 ,-ヽ
　　　　　 r‐ ' ＼　　.|　　　　 il|　　　　　　　　　　　,　　　 |　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　／　　｀ヽ､　|　　　　 |l|　　　　　　　　　　 /　　　 .|
　　／　　　　　　　,.|　　　　.!l|　　　__　　　 i　　/　　　　/

　　　　　　　　　　 ,__　___
　　　　　　　　,.　':´|: :｀: : :｀:ヽ､
　　　　　　／: : : : |: : : ､:ヽ: ヽ:＼
　　　　　 /: i: : l: :A i:ヽ: :l: :l: : l i:､:ヽ
　　　　　l: : l: : l:/:::::|ﾞ､:i､: |ヾi.: | l: i: :|
　　　　　|: i: l: |/:::::::! ヾﾞ､|rt-;|;:|: :l: |
　　　　　|: i:.ヽ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: :l: :{　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　!: i: : :i:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: i: |
　　　　　i: l: : :|､:::::::::::::::::::::::::::::::,.!:/i/　　　　　　　　　　　　　「そんな事、さやかだって分かってる筈です。
　　　　　 !!l i vr,ヽ､ _:::::_ , ィ;´//
　　　　　　　ヾi　 rﾉ--r-ﾞ-,´　　　　　　　　　　　　　　　　　僕たちは親友だったんだから。そうだろ、さやか？」
　　　　　　　__ ,..-'―-rr―'--.､
　　　　　　/　 |　　r'´,.AL　　､/｀ヽ　　　　　　　　　　　　いやに確りとした言葉遣いで、恭介はそう尋ねた。
　　　　　/　　ヽ _,.イ.liii l｀i､__/　　　!
　　　ｒ'´　　.V　L__/ |!!!-i L_」　,|　　｀ヽ　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヽ｀ヽ /　　　/ l　　 l .i　　.ヽ_, r'::/
　　　　 >.-､{　........ー...........ー......... }::,.ィ'
　　　　 i　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　|
　　　　 |　　i |ー　　 ´￣｀ー　'/i 　　.|

275 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:18:59 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　 ,__　___
　　　　　　　　,.　':´|: :｀: : :｀:ヽ､
　　　　　　／: : : : |: : : ､:ヽ: ヽ:＼
　　　　　 /: i: : l: :A i:ヽ: :l: :l: : l i:､:ヽ
　　　　　l: : l: : l:/:::::|ﾞ､:i､: |ヾi.: | l: i: :|
　　　　　|: i: l: |/:::::::! ヾﾞ､|rt-;|;:|: :l: |
　　　　　|: i:.ヽ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: :l: :{
　　　　　!: i: : :i:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: i: |
　　　　　i: l: : :|､:::::::::::::::::::::::::::::::,.!:/i/　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓
　　　　　 !!l i vr,ヽ､ _:::::_ , ィ;´//
　　　　　　　ヾi　 rﾉ--r-ﾞ-,´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……うん」
　　　　　　　__ ,..-'―-rr―'--.､
　　　　　　/　 |　　r'´,.AL　　､/｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛
　　　　　/　　ヽ _,.イ.liii l｀i､__/　　　!
　　　ｒ'´　　.V　L__/ |!!!-i L_」　,|　　｀ヽ
　　　ヽ｀ヽ /　　　/ l　　 l .i　　.ヽ_, r'::/
　　　　 >.-､{　........ー...........ー......... }::,.ィ'
　　　　 i　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　|
　　　　 |　　i |ー　　 ´￣｀ー　'/i 　　.|

276 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:19:20 ID:FkQQwRpc0

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　,..r;;:　　（　人)　 )　,;｀ｰ､　　　　　　　 |　ヽ丶　　　　　　　_）　消　　汚
　ヾゞ､　　ゞ'´　　　'｀´　　｀ヾ､　　　　─|─　　　　　　　　_）　毒　物
　　　　　　　　　　-‐':､ゞ'｀` 　,l　　　　/ |　ヽ　　　　　　 _）　だ　　は
ヾ､ゞ;;.　　,r-､　　　｀ヾ､　　　　ヽ､　　　　　　　　　　　　 _）　 l
, rヾ　　 ,r!/r'ヽ　　　　'｀　　　　　＼　　　　＿|＿　　　　　 _）　っ
　　　_,,,.,ﾉ､_ ヽ,　　　　　　　｀ゞ;;　　 ;:､　　　　／|　　　　　　｀)　！
,r‐'''"　,.r ,ｲ彡ミﾐヾ､　　　　　　｀`　 ´;;i　　　　　　　　　　　　　V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ｨ'´　,:;;;;彳彡ミ;j｀､　　　　　　　　`i;:､　　　　　　オ┏━━━━━━━┓
;;　ヾ､彡;;;ﾉﾘ;jjjjj;;;jr'　i 　 .　ノ;;:''　｀ﾞ｀､　｀`ｰ､
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;ﾚ　,t'´ 　　　　　　 ,.､ｰ､　　ゝ　　　ｫ　　（中略）
;'ｲ;;;'ヾ｀`ヽ､ｨ;;i ,ri'´　　ヽヾノ　,ry' il'Yﾞr　　ヽ､
j'´ '´ '´／ゞ';;::`´ヽ　　｀`´ｰ　ﾞi　;;: ,r'　　　　　 )　　┗━━━━━━━┛..
　　/ ,;:' '´/　ｰ≡;i{､　　　　　／ヾr'´　　,.　　　'`;;:､　〉ゝ　 r-ｰ-､_ ,{i＝i= }i､
ｰr-､j　,!　,;',;'ｨ;;:ｲ''｀`ゞ､_,､-‐'´ヽ:;/　､　｀`ヽ　　;:､　｀' (´　｀ゞ､;;;;'',,fi､,≡:;ｲ＝=､
,,:'　｀`ゞ､,;;ゞ､ "´ｲ ,...　`'彡 ,／´　　｀ヾ､ヾ　　　'　　　ｰ､　ii;j ｀i;;!'´ﾆil';;;;ゞr､_,r'ミ
'　　　ｰ‐─　,rｰ'ﾞｰ─-､_j;:r'´　　　　ヾ,ゞ　　　　　　　　､ゞ,ﾐ;:l;;l　　,! 　,!,i;;'´¨/
;.　　　r-‐;;'"}　　　　　　　　　　　｀`ヾ､　ﾉ　　　　　　　,;;;:　(i,;)））､,,:;!､__,:};!_,.､l
....　　　_,,,ｨ､ i　　　　　　　　'ヾ人　　､}(　/　　　　ノ　　 ,r'i　 r'"ヾ-‐i‐-:;ｲ, / ヾ
　　　　,.r'´,ｨ'l､　　　_ｨ;;､　　　､,.ミﾐ'´　,;:'´ﾊ　　　'´　　,j　,r'　 }ミ,r;}ゞ‐'─l:::.i 　,jl
,l:.　　　ヾ;'´ｲ'´ﾄ､_　　j (＿,r'´（`'´`ｰ'´,ﾉ　 i; l　　（｀'´ Y´　　　 ,ｲ≡＝‐-ゞ､,r'
ｷ:.　　,.彡;:､　　　 }ヽ、'´　｀　　　､,;{　　　ﾞﾚ　　 ,ゝ'　　　　　　　 i;;;:: ,;:li三ﾐ;}jlK
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277 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:20:11 ID:FkQQwRpc0

　　　　 V.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.l:./ﾊ!:.:l:ｲ|!ﾘｲ′　　　　 .斗‐‐‐:::::≧:≦:メ、
　　　　　V.:.:ｌ:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.l:{､ﾍヽ:.ﾊ!{′　　　　 .＞≦::::::::::::::::::::::::::::::メ,
.　　　　 V:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:ﾊ:iV　ヽ　>　　　　 .／／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::v
　　　　　　}ﾍ:.:.:.､:.:.:.:.:.;.:./ ヽ､　 _/　　　　　　 .:〃/::::/:/::ﾊ::::;::V:::::::::::::,
　　　　　　　ヽﾄ､ト／!:/＿ト　.／　　　　　　 .' /://!/斗/　zVz:V::::v:::::,　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 }￣￣￣￣` !　　　　　　　　　 ./ ,'ﾊ! r‐.;;;#圭#;;.ヾﾞYミ:::i
　　　　　　＿/＿　＿＿＿ヽ_　　　　　　　　 /.　:;;;#圭圭圭#;;...'!:}}:::|　　　　　　　　　この次の野伏りの襲撃で、
　　　_ .＜　　　　　　　　　　　　＞、　　　　　　　　 .!..::;;;...;;;#圭#;;..:irﾉ::::!、
　　「　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　 .i. :.#圭#圭圭#;;:＼/ ',　　　　　　　恭介と三好はあっけなく死んだ。
　　|、　　.,,:;;#圭#;;　　　　　　　　　　 i |　　　 ,。r≦.#圭圭圭:;::#;;:.!: :/　 }ヽミ
.　ハ　　　　　 ;;;..,,:;;#圭#;;　　　　　 | |　,。≦　　/　i:　圭圭..　 ,..イ: /　　| 、　｀＜.┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　ﾉ.　∨　 . :;.,,:;;#圭#;圭圭#;;　　　....,′|.ﾊ＞r≦ /　/　{ ＞r≦: : : :,:'j'　　 !　｀ :、　｀､
　|　　i|..　.,,:;;#圭#.;;;#圭圭#;;　　　 .i　 . ,　!　　　,'　,..、 {ゝ、______ ,.:'　'　　 .i　　　＼　　ノヽ
　|　　 |　　　....:;;;#圭圭圭圭.#;;:　　.|　 ,　 i　　 /'"´　ヾ',　　　　 ,:' _ﾉ、　 .!　　　　　ﾌ´ 　ﾊ
. ′ 　 |　　:;;;#..::;;;圭圭#;;:　　　　|　 !　:.',　　　　　　 o,　　　/'´　　　＼」　　　　 /　　　　:!
,′　　 |　　　.::;;;圭圭#;;:　　　　　　.|　/　ヾ,　　　　　　　',　 /　`　　　　　　　　　 ,　　,　　　!

　　　　　＼ヽ　　 |　l　　/／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　| l　　/／
　　　　　　．. こ　　．な　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：　　ヤ
　　　二ﾆ　：　の　：　ん　 -‐　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ.　　：　　バ　　 -‐
　　　 -‐　！. 魔　？だ　ﾆ二　　　　　　　　　　　　　　　-‐　　：　　イ　　ﾆ二
　　　　　　　　物　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！
　　　　　／/　　　| ｌ　　ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　l　|　ヽ＼
　　　　　　　 _,r～～～～.､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 r' _,r～～～～､ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　＿--､,
　　　　　｛ﾉ　　u ｀ﾆﾆ´　ヽ.)　　　　　 _,-ｰvｰｚ_　　　　　　　＞::::::::::　　 ――そうしてとうとう、ひなげし村の村人達は
.　　　　　｛Ｌ_ r=＝=　u.==､l′　　　ｲ ,､,､,､,､,､ヽ　　　　　 /::::::::;:::ﾊ
　　　　　 {r=ｉ|　r ｡＝　｡=､ |　　　　 | l--､ v,.-ヽ|　　　　　ｲ:::ｨ/K u　　三好の疑心を信じるようになった。
　　　　　　{|L||ij ｀ニ7　 lﾆ´v|　　　　 1|⊂･　･⊃|,l　　　　　 .ｈ:｢こ･j=
　　　　　　{`ｧ| r─' L＿｣ｰ､|　　　　　｛ｆ|L　∪ v」|ｆ）　　　　　|f||:￣,」. 　　つまり、三好と恭介の死は、さやかがわざと
　　　　_／{/ :| |（二二ニ二）|.　　　　｀|.⊂ニつ l´　　　　　ヽl　‘‐ｕ
-‐'''"´::|:::::ﾄ､ヽ_ , , , ,一, , _人　　　　 ,ゝ､.二. ｲヽ_　　　　　 _/l.ヾ二　　引き起こしたに他ならぬのだ、と。
:::::::::::::::|::::::|　＼　￣｀¨ﾌ丁 |:::: ＼-‐''"´|: :|､.＿_,.|: :|: ｀＞ｰ''"´|: :|＼.二
::::::::::::: |:::::│　　＼__／　|:::::|::::::::::: ＼ : |,.へ.　　/へ|:/| : : : : :│: |.　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
::::::::::::::|::::::::|　　 ,.ｲ:ヽ.　,|::::::|::::::::::::::::::〉、 : : ヽ/: : : /: :|: : : : : :|: : l 　Ｘ.　 |: : |: : : : : :|: ハ
:::::::::::: |::::::: |ヽ／　〉:〈.∨|:::::::|:::::::::::::::/::::| : : : :|ﾟ: : :;ﾊ : :|: : : : : ;＞:|／〉〈＼|:＜; : : : : :|/: : l

278 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:20:28 ID:FkQQwRpc0

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　 /　　　　　　l| |　　/　　　l　　　ー-　＿　　＼__ノ/　 |　　ヽ ',　 |　l　| | l:::::::::::ヽ }　{:::::::::::::/　　l　-‐
　 l　　　　ヽ　 l　　/_ - ､　{､ｰ-＼　　　　＼　＼ -‐/￣`ｰ-､ヽ|　　 l | 乂:::::::::ﾉ∧乂::::::ノ　 //＿イ
　 |　 _ -‐-､＼l　//::::::::::i　 l　／　￣ヽ　　　＼　＼//　ﾉ　}　}/l　　　 }ｰ- ＝彡_ｰ､ゝ￣　／/
￣l l/::::::::::::::ヽﾍ |l{::::::::::::::} l }　　　{ ／::＼　　　＼　.＼　　/､　l::∨　　 lヽ /／::::::::`ｰ.､＼　 /　｀丶
.　 l {l::::::::::::::::::|　､乂:::::::彡　l／　//::::::::::::::` ｰ､　　`ｰ､＼ l　乂l:::∨　 ∧ l |:::::::::::::::::::::::ヽ　/　､　ヽ
／ヽ乂:::::::::彡　　`ｰ￣-‐ ./ ノ／､＼::::::::::::::::::{　ノ　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
￣ヽﾍｰﾆ三ﾆ _/￣｀ヽヽ //　／＼＼＼:::::::::::/ ﾉ　　 / .
ー-　ﾍ　 /γ´:::::::::::::::|　　l／::::::::::::ヽ　､　`ｰ-.|　l　　 / /　自身から恭介を奪った仁美を。
ー-＝.ﾍ l　|::::::::::::::::::::」　ノ::::::::::::::::::::乂　､_　r|　l　　 |/./
:::::::::::::::::ヽ l ヽ:::::::::::::/ //:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ l::l |:|　l　　/ /|:.　自身を拒絶した恭介を。
＿:::::::::::::::::＼_￣`ｰ'＿/::::::::::::::::::::::::::::::::::::lﾉ:ゝl| /　 / /ノ:
ｰ､￣二⊃:::::::￣￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://　　l　|::::::　自身の正体を突き止めた三好を――
　＼､　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__/　　l|　ヽ|::::::
　ヽ　＼｀ｰ､＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　l| 　 }:::::::.　野伏りたちが殺すよう、さやかが仕向けたのだ、と。
､＼ヽ＼＼:::＼}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　l|　 |l:::::::::
..＼:＼＼.､＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_r‐ｲ　　　l|　　l|　 | }::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
ヽ　ﾍ:::＼} `┘::::::::::::::::::::::::::::::::rイ _ノ´￣l　 l　}　l　/　|:::::::::::::::::::::::::::::::::/ ／:::::／／ .／::::::::::::::::::::::::::::::::
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　　　　　　　　　　 ,__　___
　　　　　　　　,.　':´|: :｀: : :｀:ヽ､
　　　　　　／: : : : |: : : ､:ヽ: ヽ:＼
　　　　　 /: i: : l: :A i:ヽ: :l: :l: : l i:､:ヽ
　　　　　l: : l: : l:/:::::|ﾞ､:i､: |ヾi.: | l: i: :|
　　　　　|: i: l: |/:::::::! ヾﾞ､|rt-;|;:|: :l: |
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　　　　　 !!l i vr,ヽ､ _:::::_ , ィ;´//
　　　　　　　ヾi　 rﾉ--r-ﾞ-,´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　けれど、さやかには分からない。
　　　　　　　__ ,..-'―-rr―'--.､
　　　　　　/　 |　　r'´,.AL　　､/｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　自分が彼らの言うような魔物なのか、
　　　　　/　　ヽ _,.イ.liii l｀i､__/　　　!
　　　ｒ'´　　.V　L__/ |!!!-i L_」　,|　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　それとも違うものなのか。
　　　ヽ｀ヽ /　　　/ l　　 l .i　　.ヽ_, r'::/
　　　　 >.-､{　........ー...........ー......... }::,.ィ'　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 i　　ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　|
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279 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:20:44 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　／.;､:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ
　　　　　　　 /.:.:.:{:.:.:.i:.:.i:.:.:.:､:.:ヽ
　　　　　　　 '.:ｉ.:.:∧:.:.l:.:.ﾄ､:.:.:.',:.:.:',　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 {:.ｨ:ﾅ　ヽ:.!､:.ｨ‐､-:.',:.i:.
　　　　　　 }:.l:.f. 　　｀ヽ　 |:}:.ﾄﾞ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『さやかと結婚しない』と断言した
　　　　　　　 l:ﾊ:!　　　　　　ﾚﾞ）!
　　　　　　　ﾉﾍゝ　　　　ｨィ!ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　恭介に対して、少しも嫌な気持ちを
　　　　　　　　ヾヽ＞＿＜|从{
　　　　　　　　　 |二II二］､＿　　　　　　　　　　　　　　　　　抱かなかったと言えるのか？
　　　　　　　, -= '´　　||　　　　　￣ゝ、
　　　　　　 |､ i　　　　||　　　 |　 /　 i　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 _|　|　　　　||　＿＿ |. / 　 .|
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　　　　　　　 ,':,': : : : / }:i : : : : ',: : :ヽ: : : i : i
　　　　　　ｉ { : : : .'　从 : : : : i、: : :',: :､| : }
　　　　　　 |:ﾊ: : : {　　＼: : :{ ＼: :i: : :',: :!　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 | : N: :.{ 　　　　＼:l　　 }: :} ∨
　　　　　　ﾄ､:∧ :|　　　　　　　　　 !:.从 ',　　　　　　　　　　　『仁美さえいなければ』という考えが、
　　　　　　 .':ハ: :ヾ　　　　　　 /ｲ' i: : }
　　　　　　 {:ｉ　N: ∧　　　　　　, ' : /: :/　　　　　　　　　果たして本当に自分の中に
.　　　　　　从/: i: : :}＞ . 　　 . イ、: : !:.从
　　　　　　／ `/: :从:∨`ー¨‐ '"　i!: : :ヽ : ヽ　　　　　　　　　 .渦巻いてはいなかったと言えるのか？
.　　　　　　 :′: /: ,:' :圦′､＿j＿／ヽ: : / /: 八
　　　　　＞､i: :ﾊ : : : ヾ´ 丁!￣≧ｘ/イ`/イ､　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 /´ /イjIヾー､}＝∨＝＝＝冫i!　　ヽ
　　　　　 i　　　ヽ ∨＝＝ハ＝＝／ ∥ 　　 !
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　　　　　　　　　　　＿ヽｰ-､ ,. -;ｚ.__
　　　　　　　　　　,＞　 ` 　 ′ '　∠._
　　　　　　　　　／　　　　　　＜
　　　　　　　　ｲ　　　　　 ,、　　ヾ　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　│　 ,　,.イハ. ﾄ､　 |
　　　　　　　 | .ｨ／　 |ﾉ　ヽ|　ヽ |　　　　　　　　　　　　　　それらの嫌な気持ちや、渦巻く考えが、
　　　　　　　　　r'ｺ|　　　　　　　　 |Fヽ
　　　　　　　 |にl|　　　　　　 l|-ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　三好の言う通りに自分の手を緩めさせ、
　　　　　　　ヽﾆ|　　　　　　 |ン
　　　　　　　　　　 | 　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　そのせいで彼らは死んでしまったのではないか？
　　　　　　　　　　 ,.l　　　　　　　　 l,､
　　　　　　_,　 -‐''::｢l.＼　　　 .／/|::`'ｰ-　._　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　,､-‐''":::::::::::::::::.:| ＼. ` ー '　／ .|:::::::::::::::::::`''ｰ-,､
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280 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:21:00 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　 __,.　──-　_
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,　　　　　　　　　　さやかには、分からなかった。
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　　　　　　　　　　　　　どれだけ考えても、誰とどのように言い争っても、
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　　　　　　　彼女には答えが出せなかったのだ。
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧

281 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:21:13 ID:FkQQwRpc0

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　,..r;;:　　（　人)　 )　,;｀ｰ､　　　　　　　 |　ヽ丶　　　　　　　_）　消　　汚
　ヾゞ､　　ゞ'´　　　'｀´　　｀ヾ､　　　　─|─　　　　　　　　_）　毒　物
　　　　　　　　　　-‐':､ゞ'｀` 　,l　　　　/ |　ヽ　　　　　　 _）　だ　　は
ヾ､ゞ;;.　　,r-､　　　｀ヾ､　　　　ヽ､　　　　　　　　　　　　 _）　 l
, rヾ　　 ,r!/r'ヽ　　　　'｀　　　　　＼　　　　＿|＿　　　　　 _）　っ
　　　_,,,.,ﾉ､_ ヽ,　　　　　　　｀ゞ;;　　 ;:､　　　　／|　　　　　　｀)　！
,r‐'''"　,.r ,ｲ彡ミﾐヾ､　　　　　　｀`　 ´;;i　　　　　　　　　　　　　V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ｨ'´　,:;;;;彳彡ミ;j｀､　　　　　　　　`i;:､　　　　　　オ┏━━━━━━━┓
;;　ヾ､彡;;;ﾉﾘ;jjjjj;;;jr'　i 　 .　ノ;;:''　｀ﾞ｀､　｀`ｰ､
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;ﾚ　,t'´ 　　　　　　 ,.､ｰ､　　ゝ　　　ｫ　　（中略）
;'ｲ;;;'ヾ｀`ヽ､ｨ;;i ,ri'´　　ヽヾノ　,ry' il'Yﾞr　　ヽ､
j'´ '´ '´／ゞ';;::`´ヽ　　｀`´ｰ　ﾞi　;;: ,r'　　　　　 )　　┗━━━━━━━┛..
　　/ ,;:' '´/　ｰ≡;i{､　　　　　／ヾr'´　　,.　　　'`;;:､　〉ゝ　 r-ｰ-､_ ,{i＝i= }i､　　　　　　　　　　　　　　　 _,／￣￣`￣＼
ｰr-､j　,!　,;',;'ｨ;;:ｲ''｀`ゞ､_,､-‐'´ヽ:;/　､　｀`ヽ　　;:､　｀' (´　｀ゞ､;;;;'',,fi､,≡:;ｲ＝=､　　　　　　　　　　　　／/ 　 /`　i 　　　.i
,,:'　｀`ゞ､,;;ゞ､ "´ｲ ,...　`'彡 ,／´　　｀ヾ､ヾ　　　'　　　ｰ､　ii;j ｀i;;!'´ﾆil';;;;ゞr､_,r'ミ　　　　　　　　　　　　 / /　ﾚハヾﾙヽV　 l
'　　　ｰ‐─　,rｰ'ﾞｰ─-､_j;:r'´　　　　ヾ,ゞ　　　　　　　　､ゞ,ﾐ;:l;;l　　,! 　,!,i;;'´¨/　　　　　　　　　　　　　 j v､!::::::::::::::::::::i　 '〈
;.　　　r-‐;;'"}　　　　　　　　　　　｀`ヾ､　ﾉ　　　　　　　,;;;:　(i,;)））､,,:;!､__,:};!_,.､l　　　　　　　　　　　　ﾘ〈::::::::::::::::::::/　 i ﾊ
....　　　_,,,ｨ､ i　　　　　　　　'ヾ人　　､}(　/　　　　ノ　　 ,r'i　 r'"ヾ-‐i‐-:;ｲ, / ヾ　　　　　　　　　　　　ﾙﾚ`ｰｩ　ｔ-ﾚ,､ﾙﾊ
　　　　,.r'´,ｨ'l､　　　_ｨ;;､　　　､,.ミﾐ'´　,;:'´ﾊ　　　'´　　,j　,r'　 }ミ,r;}ゞ‐'─l:::.i 　,jl　　　　　　　　　　　　　　　　　 /´o()oこノ〈
,l:.　　　ヾ;'´ｲ'´ﾄ､_　　j (＿,r'´（`'´`ｰ'´,ﾉ　 i; l　　（｀'´ Y´　　　 ,ｲ≡＝‐-ゞ､,r'　　　　　　　　　　　　　　 / `／＼'j　　＼
ｷ:.　　,.彡;:､　　　 }ヽ、'´　｀　　　､,;{　　　ﾞﾚ　　 ,ゝ'　　　　　　　 i;;;:: ,;:li三ﾐ;}jlK　　　　　　　　　　　　　 ,/ー(~~i~~/ー､! 　＼
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282 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:21:27 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /| r`l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::|└:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::| ..:::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｔ　　　　　　　　　　　　　 |::| ..:::ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -}ﾄ　　　　　　、　ト､　　/Ｔ|::|:::::::|:::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y:ヒ、　 ,、　　　|| r┘.:|-┐|.;|:|::|:::::::|:::
工|工|工l工エエｴl＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `=|;:{二　 |:|　/＼.||...::/〉:::::::,⊥;:|::rｪｪェェ
__|＿__|_,工工]エｴ}ﾆTニ7〉ｪｪｪｭ　　　　　　　　　　　　　　　　|;:厂 .r┴:/.::.:.└┐/.::: __|_rェェｴlエ工
＿|＿|_;工工]エlｴ|-[]─[[:ﾛ::ﾛ:{　　　　　　　　　　　　　　　 |:;| 　 |..::::':::: .r:､:...|:::::ｒ┘..;;'ｴエ工[工[
__|＿|＿l工工;エｴ|＿＿__]〕ﾆlﾆl　　　　　　　　　　　　　､.v,,!;:.v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞ.┏━━━━━━━━━━━━━━┓
＿|工|_;工工]エlｴ|┴┬／>─‐>　　　　　　　　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ.v;ゞ
__|＿|二l工工;エｴ}┬／／.::::／　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ,v,,v,vゞゞ;;ゞv;ゞゞ,. 　やがて、ひなげし村は滅んだ。
＿|＿|_,工工]エlｴ}／／.::::／v､::.;.;...　　　　 ;.w;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ':ヾvv'w:,ゞ;;;ヾ.:;ゞ彡ゞ/.
__|二ｌ＿l工工;エｴl／,,;;,／　　　　....-::.;.;::.::::-..... .. .... . ... ... .`"''､v,;.wVゞ;v;ゞ;';..┗━━━━━━━━━━━━━━┛
_|＿|＿l;;工工;エｴl-_L-|,,;..v､　　　 ....::. ::: .:.;:へ.;.'.. .＿... .'..　__　｀.';;::.._/＼二:トﾆH.{ｴエ[工l工工
､.v,,;..v､, 工工エｴ|-l_ L|vゞ;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ',,,ゞ､.v,,;..v､ ~~. .::/vへ＼-/:/＼へ . ､.v,,;.v<|ﾆHﾆ|ｴエ}工]工[ﾆ
ゞ;爻彡ヾ;ゞ;yゞ､.vk,,..vｌ,|ゞﾞ;ﾐﾞ､.v,,;..v＜＞'ﾆﾆTﾆニTニTニ>/./,:､:.:.＼;ゞﾐ.:ゞ;y;､HﾆH.kv,l.v[工;工工
”v:";v;oゞゞ;yゞ　ゞ;爻彡ヾ;,,;..v､,...:/ ./:/.ー～「l─「l─「l-|:|.／ <;~~`.::: llニコ;;::／>.爻v;oゞ;ゞ彡ゞﾞ;
.:ﾞ;ゞ;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ':,oヾv”v':,ゞ;;ﾐﾞ'爻。....:~~'～<二二二>~　~~　~／ <＼＼　　　ゞ;ヾ.<／:ゞ;yゞﾞ;;ﾐﾞ':,;oゞ;ヾ;
.:ﾞ;;ﾐﾞ':,”:";oヾv;;ﾐﾞ'爻vゞ;ヾ.:ﾞ;;ﾐﾞ':,;.;:: .:.　....　 ..'　 .　　....::.;.~~`´:~:.::~~.~`.... .. . __　ゞ;ヾﾞヾ;ゞ;yゞ;ﾐﾞ':,ゞ.

283 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:21:42 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　 ,.': : :l: : : : : : : : : : : ヽﾌ : : ＼
　　　　　　　　　　　　　 /: : : : !: : : : : : : :､: : : : 〈〉: : : :ゝ、
　　　　　　　　　 ,': : : : : ｌ: : :ｌ: : : : l-‐､: : : ',-､: : !
　　　　　　　　　　　　　ｉ: : : : l: :ｌ: : :!ヽ:lヽl:::::::ヽ: : :',.}: : :l
　　　　　　　　　　　　 l: : : : :.!: lヽ:.l::::ヽ::':::::::::::`! : l': :i: !
　　　　　　　　　　　　　l :!: : : :lヽ::::::::::::::::::::::::::::::::l: :.! :ﾙ　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 l:l ; : : :'/:::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ: :lｿ,-‐　､
　　　　　　　　　　　　　 ':l ヽ: : : :ヽ:::::::::::::::::::::::／ｲ: !/ 　　ヽ　　　　 ――さやかは最後まで剣を振り続け、
　　　　　　　　　　　　　 ,.- ヽ ,＞‐ '⌒ ､　ｒｰr;r}:/　　　　　､
　　　　　　　　　　　　　〈　　ｆ./ /　　　　ヽ }::::〉l;.'　　　.／　　　　　　 .そして最後まで生き残った。
　　　　　　　　　　 ,.、　ヽ ,ゝ、　　　,ヽ'i;l〈　　　　 /　　、
　　　　　　　　　　　 ,　､ヽ /　　V .／　ヽl　'　　　 ,　　　　　　彼女以外の村民は、みんな揃って墓の下。
　　　　　　　　　　　　 ,　　｀/　　　ヽ、　　 i ヽ　　　 ./ 　　　 ,
　　　　　　　　　 ,　　 ./ 　　　 i　、　　'.　ヽ　 /　　　　　　　少女の手元に残ったものは僅か、剣と魔法と――。
　　　　　　　　　 ,,,,,,,,,,/,, 　　　　 '　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　 ,;;;;;;;/;;;;;;;;;;;,,,　 ./.　　　、　　　 /ﾄ､　　　　　 i.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　 ,;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;〉　､　　　　　 /　!ﾊ､　　　　 |
.　　　　　　　　　 ,;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　丶./ 　ゝ/ヽ.__
　　　　　　　　　 ,;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　、　　　､　　　　　　　〉///,＼　 '
　　　　　　　　　 ,;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;:'　　　　　　、　　　　　 V/////,＞,l
　　　　　　　　　 ,;;';;;;;;;;;;;;;;;;;:' 　　　＼　　、　　　　　V//////,∧
.　　　　　　　／;;;;;;;;;;;;;;;;:'　　　　　　　　　　、　　　　ヽ///////,＼

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　 /　　　　　　l| |　　/　　　l　　　ー-　＿　　＼__ノ/　 |　　ヽ ',　 |　l　| | l:::::::::::ヽ }　{:::::::::::::/　　l　-‐
　 l　　　　ヽ　 l　　/_ - ､　{､ｰ-＼　　　　＼　＼ -‐/￣`ｰ-､ヽ|　　 l | 乂:::::::::ﾉ∧乂::::::ノ　 //＿イ
　 |　 _ -‐-､＼l　//::::::::::i　 l　／　￣ヽ　　　＼　＼//　ﾉ　}　}/l　　　 }ｰ- ＝彡_ｰ､ゝ￣　／/
￣l l/::::::::::::::ヽﾍ |l{::::::::::::::} l }　　　{ ／::＼　　　＼　.＼　　/､　l::∨　　 lヽ /／::::::::`ｰ.､＼　 /　｀丶
.　 l {l::::::::::::::::::|　､乂:::::::彡　l／　//::::::::::::::` ｰ､　　`ｰ､＼ l　乂l:::∨　 ∧ l |:::::::::::::::::::::::ヽ　/　､　ヽ
／ヽ乂:::::::::彡　　`ｰ￣-‐ ./ ノ／､＼::::::::::::::::::{　ノ　　 / } |/:::::::::.┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
￣ヽﾍｰﾆ三ﾆ _/￣｀ヽヽ //　／＼＼＼:::::::::::/ ﾉ　　 / ./､ l::::::::::::::
ー-　ﾍ　 /γ´:::::::::::::::|　　l／::::::::::::ヽ　､　`ｰ-.|　l　　 / /l 　 l:::::::::::::　　――あとはその頭にとり憑いた、
ー-＝.ﾍ l　|::::::::::::::::::::」　ノ::::::::::::::::::::乂　､_　r|　l　　 |/./l | } 〉::::::::::
:::::::::::::::::ヽ l ヽ:::::::::::::/ //:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ l::l |:|　l　　/ /|:| |//::::::::::::　　あまりに根深い疑心のみであった。
＿:::::::::::::::::＼_￣`ｰ'＿/::::::::::::::::::::::::::::::::::::lﾉ:ゝl| /　 / /ノ:∪´::::::::::::::
ｰ､￣二⊃:::::::￣￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://　　l　|::::::::::::::::::::::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　＼､　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__/　　l|　ヽ|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣￣　　＿　　　　　　 _ -‐=
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284 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:21:55 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　 / ､　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　__/　　＼　　　/ 　V＾ヽ
　　　　　　　　　　　 ,　７　　　￣￣　　＼　＼
　　　　　　　　　 /／　　　　　　　　　　　丶　 ,　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　 /　　　 ●　　　_　　　●　　　　 ′
.　　　　　　　　　 /　{　　　　　　 _）　　　　 }　　 ,　　　　　　　　「でもね、さやか。気付いてないようだけど、
　　　　　　_　　　 /　　　　　　　　　 _）　　　　　　　 ′,　　　_
　　　　　(（＼／　　 ∧　　　　　　　　　　　　　∧　　　＼／）)　　　　　君はその全てを捨ててしまってもいいんだよ？」
　　　　＼､　　　 /　＼　　　　　　　　　　／　　,　　　　ｘぐ
　　　　　／　＼ . 　 /、　　　≧=‐-　　-‐=≦　　　 ′　　／　＼　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　／　　　　 ` 'く　）)　　　　i 　　　　 i　　　　 (（　,.　　　　　　＼
　／　　　　　　　 /¨´　　　　|　{　　　 }　|　　　　　｀¨ ＼　　　　　ヽ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　／.;､:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ..　.,':,': : : : / }:i : : : : ',: : :ヽ: :.／　　　　　　＜　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 /.:.:.:{:.:.:.i:.:.i:.:.:.:､:.:ヽ.ｉ { : : : .'　从 : : : : i、: : :',: ｲ　　　　　 ,、　　ヾ
　　　　　　　 '.:ｉ.:.:∧:.:.l:.:.ﾄ､:.:.:.',:.:.:'|:ﾊ: : : {　　＼: : :{ ＼: :i:│　 ,　,.イハ. ﾄ､　 |　　　「君の心にとりつく疑心を忘れて、
　　　　　 {:.ｨ:ﾅ　ヽ:.!､:.ｨ‐､-:.',:..| : N: :.{ 　　　　＼:l　　 }:..| .ｨ／　 |ﾉ　ヽ|　ヽ |
　　　　　　 }:.l:.f. 　　｀ヽ　 |:}:.ﾄ.ﾄ､:∧ :|　　　　　　　 r'ｺ|　　　　　　　　 |Fヽ　　君の体に隠した暗器を放り捨てて。
　　　　　　　 l:ﾊ:!　　　　　　ﾚﾞ）.':ハ: :ヾ　　　　　　　　 |にl|　　　　　　 l|-ﾘ
　　　　　　　ﾉﾍゝ　　　　ｨィ!.{:ｉ　N: ∧　　　　　　, ' ヽﾆ|　　　　　　 |ン　　　何もかも有耶無耶のままにして」
　　　　　　　　ヾヽ＞＿＜|从{　从/: i: : :}＞ . 　　 . イ、: : !:..|　　　　　　 |
　　　　　　　　　 |二II二］､.　／ `/: :从:∨`ー¨‐ '"　i!: : :..,.l　　　　　　　　 l,､.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　, -= '´　　||　　　...:′: /: ,:' :圦′､＿j＿._,　 -‐''::｢l.＼　　　 .／/|::`'ｰ-　._
　　　　　　 |､ i　　　　||　　　＞､i: :ﾊ : : : ヾ ,､-‐''":::::::::::::::::.:| ＼. ` ー '　／ .|:::::::::::::::::::`''ｰ-,､
　　　　　　 _|　|　　　　||　＿　/´ /イjIヾー､./::l:::::::::::::::::::::::::::::l.　　＼　／　 .|::::::::::::::::::::::::::::/::l
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285 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:22:05 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　　　　　､-＿-　 , -―-'　ﾊ
　　　　　　　　　　　＼　,>　　　　　｀ヽ
　　　　　　 __　　　　／/　　　　　　(')l　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　〈＾ヽ､＿r⌒ヾ.--＜／ﾍ　　(' )　_,-' ﾉ
　(　　≧　￣　|l___／　　 .＞　＿　f´｀）＼= ､　　　　　　　　「自分が生きのびただけで充分だって思い込んで、
（＿＿＞-‐ﾆﾌﾉ　　　　　ﾉ!　　　 |_| （ヽ　＼))
　　　　　　｀￣__ 　　　 / ﾘ |　|　 |__ノゞ≧_ へ　　　　　　　 .どこか遠いところで幸せに暮らしたっていいんだよ？」
　　　／´￣　　　＼ .／='' 　l　|　ト、 __　　〉　　ヽ
　　/　　　　 ⌒ヽ.　/　⌒ヽ._l　|　/　V/ 〉　ししｔノ　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　i　　　　　〉,|　　　 //7)／　//./
　　ゝ.、　　　　（´ ゝ、　./　/,,,〉ゝ〈_(/
　　　　ヽ、　　＿｀ヽ　｀(しﾉ
　　　　　　｀￣　　｀ｿ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唐突に表れたキュゥべえの言葉に、
　　　　　　　　 ,=ﾆfｰr-r------------ｨ-r一ｰ'､
.　　　　　　 / /　{__{__{__{___|___|___|___|___}__}__}__}__}ヽヽ　　　　　　　　しかし魔法少女はしっかりと首を横に振った。
　　　　　 {　} }-{　{　{　{　|　 |　 |　 |　}　}　}　l　|ｰ}　}
　　　　　　ヾ `ｰ'-'￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`ｰ'-'-' ﾉ.　　　　　　その姿は、小さなことに拘る子供のようであり、
　　　　　　　｀ー───────────一´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あるいはしがらみに縛られた大人のようでもあった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

286 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:22:25 ID:FkQQwRpc0

¨¨　‐-　. _　　　　　　　　　　　 ,.． -‐ｧ
､　　　　　｀ヽ-‐…‐- ミ,.． '"　　　 /ﾆ
ニ､　　　　　　　　　　　｀ヽ.　　　 /ﾆﾆ　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ニ=ヽ　　　　　　　　　 '. 　 /ニﾆ
´ 　 i　　　　　　　　　　 :. /ﾆﾆﾆ　　　　　　　　「――うん、そうだ。君にはそれができない。
　　 i　　　　　　　　　　　　　 '. ｀ヽ.ｿ
　　 |　　　　x≠ミ　　　　　r==ﾐ　'. 　 '.　　　　　　　　　 .君は暗器を捨てられない、君は疑心を忘れられない。
　　 l　　 ⊂⊃　　　　　　　 ⊂⊃　　'.
　 .,:′ 　　　　　 `ｰ'＾ｰ′　　 }　　i　　　　　　　　君はもう無垢な少女に戻ることはできない。
　人　　　　　　　　　　　　　　 .:　　 |
´　　丶　　　　　　　　　　　　　イ　　 |　　　　　　　　 .何故なら、君はもう魔法少女という名の魔物なのだから」
.　　　／≧=-　　　_　.　 -=≦ . ‐=ﾆ二ﾆ= ､
.　／　　　　　 /　　　　　. ‐=‐ ´　　i ｀　}　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
／　　　!　　　　ｲ　　　　 {=‐{ | 　　 |彡'
　 |　　 |　　　　 |　　　　　 `ｰ-| 　　 |

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　イ : : : : : : : : : ｀ヽ　　　　　　　けどね、とキュゥべえは続ける。
　　　　　　　／: :｛: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　〃:: :: :｛: : : : : : : : : : : :: : : : :.　　　　.「君の疑問に、君の疑心に答えなんて出ないんだよ。
　　　　　　　 ′: :: :/{: : : :ヽ: : : :‘， : : : : :‘，
　　　　　 .: : : : :/ 从: : : : ＼: : :ﾍ : : : : : ﾊ　　　何故なら、君が疑ってるのは自分自身なのだから」
　　　　　　 .: : : : /::::::::::＼: :|:::::＼: :｝: :从 : ∧
　　　　　ﾉﾙ': ::ﾘ::::::::::::::::::＼::::::::::::::! : l, ､: :: :}.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　 |: : 从:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:: :}　｝:: ::}
.　　　　　　 |: : ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:: :}.ノ: : :ﾘ
　　　　　 |: / : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:: :｝ハｊ丿
　　　　　　 |/{: :: :ト:::::::::::::::::::::::::::: イ: :ﾉﾙ'
　　　　　　八: 从: l: :≧=－ . r‐| 〃　　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 `　ヾ ` / 冫f´　 λ､
　　　　　　　　　r‐‐-′入〃仆､〆　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　「たとえ、君がどんな答えを得たとしても。
　　　　　　　　〃／孑　冫┴ ､＼　　　ヽ＼
　　　　　　　 /　 -‐=　￣／Yl　＼　　　ﾍ　｝　　　　　　　己を魔物と判じても、あるいはそれ以外と判じても。
　　　　　　　　ｌ　rf千ミ孑{　'ニ｝幵ﾉＶ＼　 `寸
　　　　　　　/二{::::::::::::￣{　　ヲ::::::::＼｝| ＼　ﾍ　　　　　　　　　そう判断した己をこそ、君は信じる事が出来ないのだから」
　　　　　　 .′ ｛::::::::::: ,z┘　丿:::::::::::::从 -‐┤ﾏ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

287 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:22:42 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　 , : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
　　　　　　　　 /: : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ', : : : : ',
　　　　　　　　　　/:/ : : : /: /l : .|: : : : : : : : ﾊ: : : : : :|＿: : : : : :j
　　　　　　　　 |/|: | : /|: :|｜:.:|: : : :|: : : :.ヽ|: : : : : |フﾉ_: : : : :|
　　　　　　　　 l! |: |: :| イ|::::',: :ﾄ､: ｀ト: : :ヽ:.| : : : : 从フﾉ: : : N
　　　　　　　　　　 |: |: :|::::|!::::::ヽl::::＼{＼: : :l | : : : : |: :|: : : : : :|　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　l: |ヽ|::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽト:l : : : :├ 、: : : : :,
.　　　　　　　　　 l: :ﾊ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽl: : : l :ﾊﾉ: : 八/.　　　　　「……じゃあ、あたしは、どうすればいいの。
　　　　　　　　　 l: l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: : : l厶ｲ: : /
　　　　　　　　ヽ| 入:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: l : l　ﾚ|ｲ/　＼.　　　　　　どうやって、答えを出せばいいって言うの」
　　　　　　　　　　　　　| : ＞:::::::::::::::::::::::::::::::-|/| :厶′　　// .＼
　　　　　　　　　　　　　',: : | ヽN｀ ┬　´へ　＿|/　／　 //　　　＼　　　　さやかは、蜜に誘われる虫のように、そう尋ね。
.　　　　　　　　　　　＼l　　　ﾉ＿{{ ＼く　／　／´　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| ヽ　＞ｒ┬─‐ ┐　 /　　　　　..　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　／　 |;　　├l　　　 |　V　　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　／＿　ヽ--イ　ﾄ、　｜　| /　　　　　　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　｀　|　｜|｜| ヽノ　／　　　　　 |　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ヽ｜|｜|　　　く　　　　　　　　|　　　',

. . . . ＼.　　　　　　　 /|　　　　　　　｀ヾ､ /　　 . .|　　　 l
. . . . . . ｀. .、　＿___　／::i!　　　　　　　　　　　　　　 . ..i!　　　 |
. . . . . . . . . ｀ヾ:::::::::::::マ_ ﾍ　　　　　　　　　　　　　 . . ;′　　 |
. . . . . . . . . . . ｀ヾ:､:::::::::::｀:ヽ. .　　　　　 . 　　 . . . . ;'. .　　　 |
. . . . . . . . . . . . . . .ヽ7_ヽ:、:::ヽ.＿　　＿. : : . . . . . . . 〃.. .　　　｜　　　...┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
. . . . . . . . . . . . . . . . . . ￣　´ ｀¨ ￣. . . . . . . . . . . . /. . . .　　　.!
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .／. . . . . .　　　 |　　　　　　.「――人を斬ればいいのさ」
. . ､. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ,　イ. . . . . . . .　　　｜
. . . .｀. .‐-. ._ . . . . . . . . . . . . . . . . . . , -‐　´ 　 |. . . . . . . .　　　 |　　　　　 .キュゥべえは、虫食い花のようにそう答えた。
. . . . . . . . . . ￣. . . ―--―　　　　´　　　　　　 |. . . . . . , ..≦三≧ ､
.　　. . . .　　　　. . . . . . . . .'.　　　　　　　　　　　i. . . ,.ィ.≠´ . . . . | ,ﾀ　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　 . . ＿　　　 . . . . . .　　 '.　　　　　　　　　　 i!ィﾞ≠´ . . . . . . . i!
.　　／､　ﾐ､　　 . . . . .　　　i!　　　　　　　　／.／. . . . . . . . . . . .|
.　/　 . .i!. . }　　 . . . . .　　　 |　　　　　　／.／　 '. . . . . . . . . . . .!

288 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:22:56 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　|ヽ、　　　　ハ
　　　　　　　　　　　　|｀,>｀ー―‐'　ﾘ、
　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　　　　　）ヽ　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　/　i　　:::::::::::::／ ./
　　　　　＿＿,,＝ｙ'　ﾉゝ.＿ ,',´⌒ヾ,'　　　　　　　　　　　 .「自分のことが分からなくなった君でも、
　　　　(＿o＞￣ l|／　_ﾉ／'0'o}/ﾉ'
　　　　（,-´'o≧=ﾉ'　　（_,（＿,し'´|´　　　　　　　　　　　　　自分の剣のことは分かるだろう。
　　　　　－'´　　´　／　　　　　 |
　／´￣｀ヽ、　　　/　 '⌒ヽ|　||　lヽ　　　　　　　　　　　何故なら、君はもう魔法少女という名の魔物なのだから」
　|　　　⌒ヽ. ￣＞i　　　　ﾘ. ||　| ,!
　ヽ　　　　　＼_ノ| ゝ.＿_'´,,).,j.,.,j'´)　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　＼＿＿＿＿ノ

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: : : : :＞-- '´_:.:.:.:.:.:.:.:.L..」└‐┘!／}:_/　ﾟ-　ﾟ ' ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:ゞ´￣>´:::::::::::::::..　.「だから人を斬るんだよ。
　　　 }:.:,　´: : :｀丶: : : ＼ｰ｀,. イ:.:il:.:ゝ!　 [二l　ハi:.i:.:.:.:.:.／/＜__::::::::,､:::::
^~｀ヽレ′: : : : : : :厂｀Lア二,イ:V ヾ__ヽ　 .._ ｲlr．ヽ＞｀. . . . . . .く/V　xz..　.老人を斬り、若人を斬り、男を斬り、女を斬り。
:::::::::::l: : : : : : : : : ／　 <／ヽ／｀ヽ／　　　　　ゝ..__/. . . . ,､. ,､_ト. .ﾐ　__ﾟ-
:::::::::::ハi,､,､i: : : /　　　　　　　　　.l　　　i　　　　　 Ⅵ. . ノ-イ r． Lト'ｰ '　　屍の山を敷いて道を引きなさい、
Aﾍ::::j__Lヽ_r-ァ'　　　　　　　 ./　j　　　i　　　　　ヽVr┘・｀　_ｰﾚﾍ V⌒
.ﾟ '　r ':::::}　ア　　　　　　　／}　 Y⌒ヽl　　　　　　　　＞- ､.ｰ'イ´｀ヽ L.　　血の河を撒いて道を固めなさい」
-‐'´:::/:::| ∠_　　　　　　∠、　丁]　 .厂　　　　　　r ⌒7:.:/:.｀¨´:.:.:.:.:.:｀ヽ
::::::::::）:::／:.:.:.:.｀丶__　　j.　　ヽ　!/　 ,l　　　　　　　ヽ　 !V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:,/.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
:::::::＞ '::::::::::::::::::::::::::::V- ､　　 './　 / !　　, -= ￣￣^＼｀!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽヽ-l ./／ノ:.:.:.:.:.:.:.￣｀ヽ- ....＿
::／::::::::::::::／::::::::::::::::{　　ヽ　　l　./|　}／:::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.L_ヽL) /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}: : : :/:
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289 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:23:18 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ､
　　　　　　　　　　　　　　 ': :ヽ'　　　　　　　　　　　 ,　イ
　　　　　　　　　　　　　 /: : : :| ’ 　　　　　　　／／|
　　　　　　　　　　　　　　　j: : : : :|　ヽ　＿_　　　　.／／: :｜
　　　　　　　　　　　　　厶-‐　　　　　　　￣　　､/　/: : : : :|
　　　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　　　　　　　　　＼: : :|
　　　　　　　　　／ /　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼j
.　　　　　　　　／　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　＼
　　　　　　　　／　　 /　　,-==-､　　　　　　　　　___　　　i　　＼.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　/　　　 ,　　　　　　　　　　　　 ' ⌒ヽ　｜　　　ヽ
　　　　　 /　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　「そうすれば。君が築いた屍の道の果てで、
.　　　　 /　　　　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j
.　　　　 /　　　　　　　ヽ　　　　　　｀ｰ' ー '　　　　　　 ,ｲ　　　　　　必ずや剣がその答えを出してくれるだろうさ。
　　　　/　　　　　　　　/ ｀　　_　　　　　　　　　　／ .|
.　　　/　　　　　　　　 j　　　　　ﾝー‐　　　　 r‐　'　　　 |　　　　　　 ……君が、全てを忘れてしまわない限りはね」
　　 ,　　　　　　　 l　　　 /　　　　　　 l　　　　 |
.　　 i　　　　　　　　　,　　　 /　､　　　　　　　　|　　　　 |　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
＝= |　　　　　　 i　　　 ,　　ﾍ　　　　 /.　｜　　　　 |　　　　　　　 |
-　__l 　　　　　　 | 　　 i　　　 i　　　　/　　 |　　　　　　|　　　　　　　 |ﾆ＝===- 　、
｀.ｰ-ミｭ､　　　　　 .|ﾐ､　｜　　　|　　　/　　　ヽ、　 r‐''ﾆ|　　　　　　　 |　＿ - ‐ ' _ノ

290 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:23:30 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

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291 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:23:44 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.､　　　　　　　　,
　　　　　　　　　　　_＿＿＿＿_ _　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: :ヽ　　　　　 /:|
　　　　　　　　 , .:´:::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : ｌ　　　　　 / : !
　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : :|____,,,,,,,___!: : :.|
　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : : : : :｀､｀､: : : : !､
　　　　　　 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : : :`､ `､: : : :ヽ
　　　　 /::::::::,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　冫: : : : : : :,-ｰ'´l 　 l｀ｰ-､!
　　　　　;'::::::::/::::::::::::;:::::::::::::::;::::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : i: : : : :.i:::::●:::l 　 l:::●::|
　　　　　i::::::::l::::::::::i::」 ;:::::l::::::!::::::i::::::::::::ｌ:::::::::::::::::::::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /.: : / : : : :l:::::::::::;;,!.　＿､ /
　　　　　|!」:::|i::::::::lｙｰ=ﾐ::|::::::ｌ:::l::|::!::i::::::ｌ::::;::::::::::::::::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～
　　　　ﾞヾ!::L!::i ｡● !'ﾞヾ''Lrｰ=ﾐ;:j_/;:/:;:::!:::::::::::::|
　　　　　　　|:::ヾ!」ゞｰ 'ﾟ　　 i ｡● !.7:::::/::::i:::::::::::::|　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　|:::::::!」""　 ,　　　ゞｰ 'ﾟ/::::/::::::::!::::::::::::|
　　　　　　 |:::::::!::::>、　　　　　 "" 7:::/::::::::::|:::|::::::::|　　　　　　　　　そして、キル子は銭湯に入っていた。
　　　　　　 i::::::|_:::::i!ヽ　ヽ　　　 /::/:::::::::::::|:::i:::::::::!
　　　　　　 ,':::::::i!::∧!.、｀‐ｔ‐ ＜/:::/｀ー、_,,!;;」;::::::|　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　 |:::::/ ./::/　　＼!　.::/:::/　 _ ノ　　　ヽ::::|
　　　　　　 |:::/._/::/ 　　　 .::/:::/　　　　　　 }:::::!
　　　　　　 |:'／.／　　　　　j;::/　　　ｖ　　　{:::::|
　　　　　 i〃´　　　 ;.'´　　　　　　/ 　　　/::::::|
: : : : : : : : ,': : : : ~:':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~',: : : : : : : : : : : : : : : :
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292 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:24:10 ID:FkQQwRpc0

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.　　　　　　／／.　　//:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:...-─＝二三--─
.　　　　／／　　　 ..ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|
.　　　 , '　　　　　 .|:|:::::|（●)　 (●）|::::::|:|.ｒfi、--─==＝≡
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.　 ,'　　 , '　　　 ,.ィ=＝　　 l　￣ i　　/::::::{::::::ﾊ　｀ヽ　-≡┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
. 　　 , '　　 ,　'"　　　 .／ l　 l / 　 /:::::ｒ┴'__ﾉヽ_　l
　　 //　,　"　　　 _.. -/::|　_｀ヽ--一':::::::::￣l:::::::::l ｀ヽ　　　　 .魔法少女さやかに絡まれてから、半刻ほどが経っている。
..　//／／　　　 ./ 　 /:::::¨´:::::::::::_;;::::;;_／::::/!:::::::::!　ﾊ
　 , ' ／　　　 .{ i　 i::ヽ:;;_:::-:二:::‐--:::::‐'":::ﾄ､_::/＼　l　　　キル子は料理屋を抜け出すとその足で銭湯に向かい、
　　　　　　,　 '"　}　　';::__;;::':´::::::::::＿:::::::::::::::::l　　 }　 ∨
.　　　 ,　'　　　　/　　 |::::::､::::／::{::::::::｀ヽ:／::ﾊ　　 i　　|　　　 .何の躊躇もなく肩まで風呂に漬かったのである。
　　／　　　　　.ﾉ　　ﾊ::::::::::i::／:ヽ｀¨:ヽ:}::::::::::ヽ　　　 i
　　　　　　　　/二二ヽ. ＼::::i:::_;;::--＼¨´:＼/⌒＼＿/　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　､_　　　 / ｒ‐､ｧ‐､∨ﾉ／:/::::::::::::::::ヽ丶:;|
　　　三二　ｉ:ﾉ､ヽ.>_ﾉﾉ´:::::/:::::::::::::::::::::::ﾊ:::く
.　｀ｰ-　_ 　 {ヽソ:__／::::::::;':::::::::::::::::::::::::::::|::/
.　　　　　　￣￣　　 {:::::::::ﾊ:::::::::::::::::::::::::::/:::{
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　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ　　　　　　　　　　　それからずっと、キル子は湯船に入ったままだ。
　　　　　 |:::::|::::::|（●）　（●)|::::|::|
　　　　　 |:::::|:::::/// 　 ,　 ///::| ｀　　　　　　　　　　　　　頬には赤みが差し、頭は少しぼやけ始めていた。
　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀
　　　　　 |:::::|:::::{´ 　　ヽ:::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　しかしまだ、彼女は湯から出る気配を見せない。
. 　':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~
　 . :; : : ; : : : : : : : : : : : : ::; : : : ; : ; : : ;　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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293 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:24:21 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／）／ )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾊ　　／　／／
　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ﾉ／　／／　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　/ ／　.／　,.'-‐''"´　__,.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　 / ´　／　／　,. -‐''"´　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　 , '　　　　　　〈　　　 _,. -‐ ､　　　　　　　　　時折、彼女は湯船の中から手を出して、
　　　　　　　　　　　　　 ,. '　　　　　　　　｀￣´　　_／
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　_,.-‐''"´　　　　　　　　その臭いを嗅いだ。
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　/　　　　　　__,.- '´
　　　　　　　　/　　　　　　/
　　':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~
　　:; : : ; : : : : : : : : : : : : ::; : : : ; : ; : : ;

　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
　　　　　 |:::::|::::::|（ー）　（ー)|::::|::|　　　　　　　　　　　　　　　キル子の手には、ある臭いが染みついている。
　　　　　 |:::::|:::::/// 　 ,　 ///::| ｀
　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀　－３　　　　　　　　　　それは鉄に似た臭いと、腐臭めいた微かな臭い。
　　　　　 |:::::|:::::{´ 　　ヽ:::|:::::|
. 　':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　 . :; : : ; : : : : : : : : : : : : ::; : : : ; : ; : : ;

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294 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:24:54 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　　／ : : : : : : : : : / : : `ｰ: :ヽ
　　　　　〃: :: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　　　 / : : : / : : : : : : /l: : : : : : : : : : : : :.
　　　　　 / : : : /: :: :ノ: :／从: : :/: : : : : : : : : :.
　　　　 .: : : : : : :: :〃|/廾ト.!:: :ハ: :从: : :}: : : :.　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　′: : :八: :/:::::::::::::::ヽｊ: : }　!匕: ｝: :|: : : :|
　　　　 { : : : : : : !:l:::::::::::::::::::::ﾍ: :|:::::::::::::从 : : : : |　　　　　　　　　 .――血と屍の臭い。
　　　　/ｲ: :: : : :ハ:::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::l ﾉ: : /: |
.　　　/　{: : : : : |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'/: : 从 :.　　　　　　　　　　　あの魔法少女、さやかが発していたものと
　　　八: : : : :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::′ / / ＼
　　　　　 V:: :从＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::人: / /　　　　　　　　　　　　　ほぼ同種の臭いである。
　　　　　　　ヾ|　≧=　､＿_　　　ヒ升: :/ /
　　　　　　／｀ヽ　　＼　ｊハ,ﾊ从ｌ丿/　　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　〃-‐=＝ﾊ. ,､ /冫
　　　　　/　　　　　　ﾍ::::ヽ/ヽ
　　　 /　　　　　 ‘，::｝::::}
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　.....-─:::::-..､
　　　　　　　　　,.-:':":::::::::::::::::::::::::｀ヽ,__
　　　　　　　／::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
　　　　　　　／::／:::::::::::::／:::::::::::::/:::::､::::::::::::::＼
　　　　　　 {::〃:::::::::::::::/:::::::::::::::::/::::::::j::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　 "/::::::::::::::::/::::::::::::／/:::/::/j::::::::::l:::::::::::ﾊ.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 V/::::::://::::::::／ _/__/:/ /::::i::::::l::::::::::::::}
　　　　　　　ヾV,=-､-‐´　/'=-､`ノ:::::::j::::::l::::::::::::::j　　　恐らくあの料理屋で、彼女もこの血なまぐさい臭いを嗅ぎ取り、
　　　　　　　　　　i!!ﾟ●,!　　｣゜●｡;'/:::::/::::::::l::::::::::::;′
　　　　　　　　　 /|,｀ "　　　｀""´ｲ:::::/::::::::::l:::::::::::/　　　こちらを魔法少女と察したのだろう。
　　　　　　　 {::;､""　　　"" /::::://:!／:::::::::::::i
　　　　　　　　/|::::lヽ.　｀　　　　i:::::/ｲ::j::::::::::::::::::;　　..　　ならばキル子としては、そんなものは消さなくてはいけなかった。
　　　　　 _,':::!::::|:::.＞;、　　, ';イ:::::::::!::::::!:::::::::!
　　　　　　　,'::::::!::::l:::::::::７　　　　ゞ;:::.!::::::::!:::::::.l　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 ,':::::::l:::::|_::-''´';　　　　 !::::ト:、::::::::::!　　　　　 ./ :::::::::::|:,:: ●::ﾉ:,i'､"::::● .l::l:::::::.ヽ
～ .～　　.,'::::;r-!::::!　‐-　､　　　　　l::::.l　ヽ､:::::!～. ～.../ ::::::::::::::lﾞ:.ｌ,::::::::./ 　ヽ,:::::::./ :lﾞ:::::::::.ｌ
: : : : : : : :,'::::ｲ　l:::::l　　　　　　　r ― !::::.!　　ヽ;!: : : : : : : :～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～
: : : : : :: :,':::::!　 !:::::|　　　　　　　 .l:::::!　　　　 li: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : ～～|　 !:::::.!　　　　　　　　!::::!　　　　|:!: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
: : : : ,': : : : ~:':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~',: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

295 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:25:13 ID:FkQQwRpc0

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　　　 .／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　.../: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　..,r'ﾞ' 'ﾞ';,'ﾞ';.,
　　　 ' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',..;'ﾞ'ﾞ｀　　｀ ´｀ﾞ;,
　　....ｉ: : :.ｉ: : :.l／､_＼| ヽ:_!, ﾊ: i:.ｉ..　., : : :_: : : . .　';,
　　....|: : :.|: : :.|　 ○ 　＿ ○　jｲｉ:|.;.--＝'⌒'ﾞ''i.;.,:,, ;:　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　/ﾍ: : ､: : |xwx 　（_ソ　ｘwﾉ:ﾊ|　　　　　｀'; ;
　　　 .∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　　　　　　　　 i,　　　　　　　　 .……この臭いを道しるべに、
　　　　　　 i　　　　　　　　,.; ;　　　　　　　　　　　　ﾞi
　　　　　 l　　　　　　,.:;;'　;:　;:　　　　　　;;;''　　　　:;　　　　　　　さやかに犬のように追い回されては困るのだ。
　　　　　　　i　　　 ,..,,.;:'ﾞ　　;:　'　　　,. ''ﾞﾞ´　;;　　　　 :;
　　　　　 l　　,,　　　　　ﾉ　　,..;: ｰ〈´ ｀' ';:,　　　　:;　　　　....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　ヽ,　;;,　 ;,　　 /,. ''ﾞ´　　　ヽ、　｀' ;.　　　 i
　　　　　　 i　｀'r'ﾞﾞ　　/　　　　　　　｀'-.,　ヽ、　ヽ
　　　　　　　　　|　　i,　　 i　　　　　　　　ヽ　 iヽ　ﾞ'.,
　　　　　　　　　| 　 li　　,i　　　　　　　　　　 i　 |　＼　 i
　　　　　　　　　|　 l.i　　/　　　　　　　　　　／,_ノ　　ヽ　l
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　 /:::::,::::::,::::::::::::::::::､:::ヾ:::::.　　　　　　　　　　　　　　　　　　キル子は、彼女と斬り合いたくなかった。
.　　　ｌ:,f::i:::|_:::|_:::::::::､:::::i|:::::i:::::|
　　　 |:::|::::|(●） |:::::::|::::::|:::::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さやかに殺されてしまうのは御免だし、
　　　 ´ |::〈　 ///|_:::::!:::::|:::::|:::::|
　　　　 ´ iヽ‐　　_,.|｀:|::::|:::::|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　さやかを殺してしまうのも同じぐらい嫌だったからだ。
　　...':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~
　　　.:; : : ; : : : : : : : : : : : : ::; : : : ; : ; : : ;　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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296 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:25:42 ID:FkQQwRpc0

　　　　 .,.'ヽ　　　　　　　　　　　　　　＿
　　....／.:::::.ｌ　　　　　　　　　　　　　　 ,...:'.:..:..:..:..:｀.:..:...､
:ｰ､,/:::::::::::::|　　　　　　　　　　　 ,.:´..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..ヽ
.::::::::::::::::::::::l'　　　　　　　　　　　 /..:../..:./..:..:..:..:.ﾉl.:..:..:..:..:.',
::::/ ｀,::::::::::/　　　　　　　　　　　 ,': //..:./..:....:..ノ/ ',.:..:､:..　: i　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
./　/ ::::::::'、　　　　　　　　　　　 l:..:|..:..:/..:..:.:.|:.:.:|:.:.:i:.:.:.|.:..:..:.!
. `く::::●.ﾍ::ヽ　　　　　　　　　　 |:..:i.:..;'.:..:/::::|_:.:_|::::|::::_!:..:..:..|　　　　　 .勿論、キル子は気付いている。
　　｀''''"　ヽ:::ﾞ　　　　　　　　 .|:..:i.:.;.:.:.;●ｿ`　　'ﾟ●ｿ|:.:...:..|
.～ .～ .～～.～　　　　　　　　 l:,:..!.:.;..::lﾞ¨ ´ 　,　ﾞ ¨´!:..:.,:..:|　　　　　　何年もの殺し合いによって染みついた臭いが、
　　　　　　　　　　　　　　 |.;..i..:..'..::!　　　＿　　ノl:..:..:,.:.|
　　　　　　　　　　　　　　　 l.;'..:!..:..;..:|:｀.,､ _　_ イ::l:j:..:.:..;..:|　　　　　 .少し湯に漬けた程度で落ちる訳がない、という事に。
　　　　　　　　　　　　　　 ,':;.:..i..:..:.',.:|､ﾉ　　　　'､､!:..:.;..;..:.|
　　　　　　　　　　　　ﾉ/:. ;':..:..:..;..!‐-､　 ,..-‐ｉ,'.;:..:;..':..:l|　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　「ﾉ/j.::.:..:..:.;.::!　　　　　,','.;:..:.;:..:..:.「ｌ、
　　　　　　　　　　　 ~:':～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～~
　　　　　　　　　　　　 : :; : : ; : : : : : : : : : : : : ::; : : : ; : ; : : ;

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　 .／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　.../: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　..,r'ﾞ' 'ﾞ';,'ﾞ';.,
　　　 ' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',..;'ﾞ'ﾞ｀　　｀ ´｀ﾞ;,
　　....ｉ: : :.ｉ: : :.l／､_＼| ヽ:_!, ﾊ: i:.ｉ..　., : : :_: : : . .　';,
　　....|: : :.|: : :.|　 ○ 　＿ ○　jｲｉ:|.;.--＝'⌒'ﾞ''i.;.,:,, ;:
.　　/ﾍ: : ､: : |xwx 　（_ソ　ｘwﾉ:ﾊ|　　　　　｀'; ;　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 .∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　　　　　　　　 i,
　　　　　　 i　　　　　　　　,.; ;　　　　　　　　　　　　ﾞi 　　　　　　　こんな気休め程度で、魔法少女の執念と妄念からは
　　　　　 l　　　　　　,.:;;'　;:　;:　　　　　　;;;''　　　　:;
　　　　　　　i　　　 ,..,,.;:'ﾞ　　;:　'　　　,. ''ﾞﾞ´　;;　　　　 :;　　　　　　　　　逃げることはできないのだ、という事に。
　　　　　 l　　,,　　　　　ﾉ　　,..;: ｰ〈´ ｀' ';:,　　　　:;
　　　　　　ヽ,　;;,　 ;,　　 /,. ''ﾞ´　　　ヽ、　｀' ;.　　　 i　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 i　｀'r'ﾞﾞ　　/　　　　　　　｀'-.,　ヽ、　ヽ
　　　　　　　　　|　　i,　　 i　　　　　　　　ヽ　 iヽ　ﾞ'.,
　　　　　　　　　| 　 li　　,i　　　　　　　　　　 i　 |　＼　 i
　　　　　　　　　|　 l.i　　/　　　　　　　　　　／,_ノ　　ヽ　l
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297 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:26:00 ID:FkQQwRpc0

　　　,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.､　　　　　　　　,
　　　"::＼　　　　　　　,.'ヽ　　　　　　　　　　　　 |: :ヽ　　　　　 /:|
　　/:::::::::.ｌ.　　　　　　　.／.:::::.ｌ　　　　　　　　　　　　 /: : : ｌ　　　　　 / : !
　　!:::::::::::::!-‐'''''''''''ｰ､,/:::::::::::::|　　　　　　　　　　 /: : : : :|____,,,,,,,___!: : :.|
　 .|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l'　　　　　　　　　　 ,': : : : : : : : :｀､｀､: : : : !､
　　!:::::::::::::::::ｒ'"ヽ::::::/ ｀,::::::::::/　　　　　　　　　 .ｌ: : : : : : : : : : :`､ `､: : : :ヽ
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　," :::::,, へ,●:::`ﾌ' `く::::●.ﾍ::ヽ　　　　　　　 / : i: : : : :.i:::::●:::l 　 l:::●::|
.":::::::.,"　　｀'ｰ''"　　　｀''''"　ヽ:::ﾞ、　　　　　　 /.: : / : : : :l:::::::::::;;,!.　＿､ /　　　　――そして、キル子は気付いていない。
:～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～:　　　　　　..～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　湯煙の中から己を執拗に見張る、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _...-''''''''''''- ..,、
　　　　　　　　　　　　　　　 / :::::::::::::::t:::::::::::ﾞヽ　　　　　　　　　　　　　　　殺意に満ちた視線達の存在に。
　　　　　　　　　　　　 ,..'''″:::::::::::::::::::|::::::::::::::::ﾞ'''.､
　　　　　　　　　　　　　 / ::::::::!:::''ﾞﾞﾞヽぃ:":l::'/ﾞﾞﾞ::::::l::::ヽ　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　 / :::::::::::|:,:: ●::ﾉ:,i'､"::::● .l::l:::::::.ヽ
　　　　　　　　　　　 / ::::::::::::::lﾞ:.ｌ,::::::::./ 　ヽ,:::::::./ :lﾞ:::::::::.ｌ
　　　　　　　　　　　 .:～.～.～.～　～. ～ .～ .～～.～

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298 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:26:30 ID:FkQQwRpc0

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299 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:26:55 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Π　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Π
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旦三l二二l二二l二二l¨／＾＼¨l二二l二二l二二l三旦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　／／'＾＼＼　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　／／｀¨Ｏ¨´＼＼　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　／／〔王l王l王〕＼＼　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　＜／＝＝＝＝＝＝＝＼＞.　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　,′　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀,　　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／　　　　　　　 γ´三三三ヽ　　　　　　　　　　　＼　 ∧
　　　　　　　　　　　　　 /　　乂ゞ､　　　　　　　　/ﾞ/　　◎ 　ヾヽ　　　　　　　 , 彡丿　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 ≪亞亞亞｀＜三三三三三彡｀ ‐-（(t)）-‐ ´乂三三三三三彡´亞亞亞≫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l〈〉lｌ=(Ｙ)=ｌl〈〉l|　|　　　　　　　　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l〈〉lｌ=(Ｙ)=ｌl〈〉l|　|　　　　　　　　|　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l〈〉lｌ=(Ｙ)=ｌl〈〉l|　|　　　　　　　　|　|
　　　　　　　　ﾊ-ﾊ　　　　　　　　 ..|　|　　　　　　　　|　|l＝lｌ=(Ｙ)=ｌl＝l|　|　　　　　　　　|　|　　　　　　　　ﾊ-ﾊ､
　　　　　　／/Cω）　　　　　　　 .|　|　　　　　　　　|　|l＝ll=GQ=ll＝l|　|　　　　　　　　|　|　　　　　　　（ωＣヾ､＿,､
　　　　 c'ヾ､/ﾉ)　 |　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l＝ll=.从.=ll＝l|　|　　　　　　　　|　|　　　　　　　　　　.|　　(ゝl|}ぅ(^ヽ
　　　　 (⌒ﾌ(　）ljlj　　　　　　ｏ　　 |　|　　　　　　　　|　|l＝ll＝ll＝ll＝l|　|　　　　　　　　|　|　　　ｏ　　　　　 tlｔｌ（　 )＜ノソ
　　　　|￣￣￣￣|￣|　　　　　 ||＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌl＝l┌―――‐┐ｆ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝||　　　　　 |￣|￣￣￣￣|
　　　　|　　　　 | 　|　　　　　 ||＿||＿||＿||＿||＿||＿||＿||l＿.心眼＿.!.l|＿||＿||＿||＿||＿||＿||＿||　　　　　 |　 | 　　　　|
　　　　|　　　　 | 　|　　　　　[二二二二二二二二二二二|l三三三┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓　|
　　　　|　　　　 | 　| 　　　　 | .|:::::::::::::::::::::::| .|::::::::::::::::::::::|l三三三　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　|　　　　 | 　| 　　　　凵:::::::::::::::::::::::凵::::::::::::::::::::::|l三三三. 　眞峰の街の周囲には、　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　|　　　　 |, ＜　　　　　　　　　　　　　　　／／_ ＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|
　　　　￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／＿＿＿＿.　　九つばかりの古い神社が建てられている。　　￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_ ＿＿＿＿＿　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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300 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:27:08 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　＿_　　　　　　　　　　Ｏ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　（/⌒)）
　　　　　〔l´　　　　　　　　 ,　'´￣￣｀ｰ-､　　　　　　　　　　　　　　　　　　何時から在るのか、何が祀られてるのか、
　　　　　　Ｏ　　　　　　　／　　〃" ｀ヽ､　＼
　　　　＿＿＿_　　　　　 ./　/　ﾊ/　～～＼ﾊﾍ　　 |＼　　　　　　／| 　　街の老人どもでさえ誰も知らぬ。
　　　／～～～＼　　　　.|i │ ｌ |ﾘ　／､,, ＼ }_}ハ. 　|＼＼　　　　／／|
　／　　～～～　＼.　　ﾉ　|　从（●）　（●） | N..　.: 　,>　｀´￣｀´　<　 ′　　はるか昔に人の手から放り出され、あとは
／　 -（◎）―（◎）＼.　从（| i !|　〃､_,､_, ヾ lｉ|ノ　　...Ｖ　　　　　　Ｖ
|　　（（（__人__）））　 |　　ヽi　ﾉ、　 . ∩ ノ ⊃　　　　i{　ノ　　　｀ヽ　　.}　　　.朽ちるのを待つばかりの廃墟たちである。
/　　　　 ∩ノ ⊃　　／　　..／ゝx＞／　＿ノ　　　　 .八　●　　　●　　八
(　＼　／＿ノ　|　 |　　....(.　＼／　.／_ノ │　　　/ .|ﾍ⊃ ､_,､_,⊂⊃ 　　',┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.＼　“　　／＿＿|　 |　　　..＼　 “　／_＿_|　 |.　　/　..l　./⌒l,　 __,　イ　　 ',
　. ＼／＿＿＿／　　　　　＼／＿＿＿ /.＿/　 ...il /　 /　　　　　'...　　',＿_

|　　| 　|　|　　　＿√　　　　　　#　 '　　　メ　: . 　　　　.':
|　　| 　|　|　　';'　　　　.,　　　;,'　　　　　　":
|　　| 　|　|　　 .＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　.':　　　　　　　　　　.',';:
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|　　| 　|　|　　 | 　　|ゝ::::::ζ＼　;|| 　 |;`;|　#　_ '　　　;';　: . 　 ',　　　　　　　　　　'.;.
|　　| 　|　|　　 | 　　|＼;;;; ＼';､＼.|　 :|':i;;|　　　　　　　　　　 ',　　　　　　#;.
|　　| 　|　|　　 | 　　￣￣￣　＼';､.＼|;';;;|:. ﾟ　;ﾞ　ﾟv-=-.　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
|　　| 　|　|　　 | 　　　　　　　.＼';､＼;|　　　　「;.':"
|　　| 　|　|　　 | 　　　　　 ,/￣.￣'＼';､＼､_,_,_,_,_,_,_;.',;:　>　そのうちの一つを、キル子は仮宿にしていた。
|　　| 　|　|　　 | 　　　　　 |＼＿＿＿＼';､＼..:::::::./|　 <
|　　| 　| .ヽ￣＼￣￣￣￣￣＼|__;_;_;_;_;!─＼';､＼,_;l/￣￣. 　綺麗とは言えず、決して寝心地もよくない廃屋だったが、
|　　|＿|/　ゞ;;:_ﾉ　;;:ﾞ´　　　　ゝヾ　　　　　　　"~''ヽ/
　　_,,　　　　""　;;　　/ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　それでも雨風凌いで刀を隠しておくには十分だったからだ。
　　ヽ/　　_　　　　　　￣';;;　　　　　　　　　　;;:　　　　"`
　　　　　//　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌゝ　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::'' ;,　　　　　　　　　　　 :' ;
　　　　　　　　,,;'　:.,;;:
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301 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:27:27 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　・　　　　 .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,　;,::;
　　　;:;;:　, .,.,　　　　　　　　　　　　　　　　 .,. ;:;:。 ,.:;,;,:,　　*:,; ;.,;,::;;。,... ..　;:
;:;;:　, .,., .,. ;:;:　　　:. :.　 .: :　 -‐-　 :. .:.::. .:.: :. .:.:　 ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,...
　　　　;:;;:　, .,., *.,　. : ,r'´.　　　｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.: 　;,;
　　　　　　＋　　.: ..: :'　..:.　　　　　ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;:　, .,., .,. ;:　;　　,;,:,:,; ;.,;,::;;,... ..　;:
　　　　　　　　　　: :.　::..　　　　　　 .: :. .:.::. 　:. . :.　;:;;:　, .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:,　　*
;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ　::::...　.....　,.': :..
　　　　;:;;:　, .,., *.,::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... . 　,::;;,... ..　;:
　　　..:. :..., : ´ ￣｀゛ ::　..　;:　　::..　　　:┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　;:;:::..,:::人::':::::::::::::::::::::::::＼...;.,;,::;;,... ..
　　　...::::{:;o）,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.;,;,:,:,; ;.,;,::;;,...　さて。キル子は結局、適当な頃合いで
..　.:　 |:::::i゛´:|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::
　　.....|:::::|::::::|（≡）　（≡)|::::|::　　　　　　風呂から抜けて、大人しく家路に着いた。
　　　.|:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::|
　　　.|:::::|:´:|､_ 　／ﾔヽ、:i ｀　　　　　　　夏のぬるい夜風を湯冷ましに、長い野道を歩いていく。
　　　.|:::::|:::::{´,／　.∧　ヽ|
　　 .|:::::|:::::|ｲ　　　 ,/　　ﾞ.　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 .|:i|:|:::::|　　　　/ゝ､_;ﾉ
　　 .|:||:|::,i'l､_,. ィ" j_k　　ヽ.
　　 .|| |ッ'ﾞ＼　　 /‐ヽ､／
　　　.|　|:::|| 　`iｰ　　.| ´
　　　　　 .|　　| 　　 |

〃;;;彡;;i!;:i!|/〃;;;彡;"'ﾊ,,;)ヾ.:.:ﾊﾞ:.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;＞>､;ヽ､:;;:y':／;:. :;:'':;:;:;ゞ;ゞゞ;ゞ;:'':;;:,'ﾐヾ:,;:ゞ'ゞ';
::':.,|:;;:i!;;i!;:i!|｀ヽ＼|;;ﾚ;／;;'';;..;.;.;.;.ﾞ:.~.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.`‐ヽ:::;:;:::/:;;/ｿ;;:';;ゞﾐ:;.;;ゞ;:;ゞ,:;i''`ヾ;ﾐ:;;:,ゞ:;ゞﾐ,
ヽ.:;};;:i!;;i!;:i!|;:;:;:;:）;;;;;;/''ヽV/.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;´ゞvゝ､7-ｰ;,'ﾐ:;ﾐ,"ゞ;", |; ｉ;;;;:|!;;;;;;;;.`;;:ｿ:;:ﾐゝ
;:;:Y;;:i!::i!:;;:i!|v,l|V::从X､ﾉﾒ.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;"＞>､;ヽ､ ;:yﾊﾞ:.:.:.:.:|: |::.;;;;::ｌ .:|;;;;:|
;:;:;:|;;:i!::i!;;:i!:|､lW:八ﾍ{V::从ivヾ;;) ::;:;:;;:;;;:;;:;;;;;;;:;:;:;;::.;.;.;;:;:;:;.`‐　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
;:;:;:|;;:i!;:i!;;i!;:|XゞV:从XゞViv:l;,ゝ);)':;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;~^:.:>ｰ
八ゞivXx::ｲ八X､ γ从Wｗｖ~ '〃::;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;Ｙ;;:;:;:;:;:;:;　周囲には殆ど人気がない。
iソゞiv,l|V::从|lililﾚ/X､w,,'~""´,ヾゞ"､　　　　　　ヾ:;:::;ﾐ从";:;:;:;
_､八ゞiv,l|iv:l;,ｲｲ､八ｲ,,~=-:;:;:;:;ヾ;;;;゛　　　　　ヾ:.::;:;::从ゞ;)ゞ　致し方のない話である。こんな時間に街外れを出歩くなど、
V从;､lW:八ﾍ{V::从Xゞヾ;:;:;:;:;:`,,;;;:゛　　　　　　ヽ:;.:;.:;.:.;.;从ｲ､
ﾊ､;vvヾﾍwゞ,,;;''~";:;:;:;:;:;:;〃""";゛　　　　　　　ヽ;.:;.:;.;.;.;;.:ミiv　それは余程の物好きか、あるいは――。
;;;;､lW:八ﾍ{V::从ivヾ;;) ................゛　　　　　　 ;;:.;:.;;;......;;.;:.ﾊ
ゞゞV:从XゞViv:l;,ゝ);)'.;:.;:.;:.;:.゛　　　　　　　　　 ;;.:;.:;.:;ゝ...;,..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
ゝX､ γ从Wｗｖ~ ';.:;.:;.:;.:;.:;゛　　　　　　　　　　　　';.:;.:;.:;....;:.;...;;;;;.....ﾐＹﾐ ; , ;|:;.:: ::r : :| :i |ゞ,ｲiv:,ｲ
ﾊililﾚ/X､w,,'~".;:.;;:.;:.;:.;:.;:.;゛　.　　　　　　　　　　　 ';.:;.:;.:;.;:.;;;;;;;;;;;:.;:.:;.:;ミ; /.::/ :::|i :.:| :l;ﾊ:从Xゞ
fﾊｲｲ､八ｲ,,~=-;;.;:.;:.;:.;:.;:.゛　　　　　　　　　　　　　　ヽ;.:;.;:;.:r;;;;;;;;:;.:;.:;.:;.:ノ,;ノ : ::八 :ゝ::ヽ＼＿,,.,.
ﾊ{V::从XゞＹ∥/／〃゛　　　　　　　　　　　　ヽ;.:;.:;.:;........;;;..;.;:;.;;:´.:: :／.::::ヾ::＼::＼::ｰ､ ,

302 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:27:40 ID:FkQQwRpc0

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　　{:　:　:　:　:　:　:　:〉　　　　　　　 /.: .: .: .: .:. ::::::::::}ｰrヘ__|＿_.ｨ―｢　　　　　.:.::::::::::::〈:　:　:　:　:　:　:　:｝
　　ー-＝ニニ＝‐´_＿＿＿_ _ _ ｛ヽ＿.: .: .:＿_.: /::rニ=㏄弋)=ﾆ){　―..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　 .:.::::｀ー-=ニニ=ﾚ:::.:.: ／rヘm､ﾄ､＼＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.:::::::::::::::::::/::::::: (_ｿ＾ミ爻ｼ^ｽrﾍ)　ヽ　　　 ――その物好きを狙う、
　　　　　　　　　　　　　　　　　.:.:::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､:::::::.:.::.:.:.::.:.　:　:　:　:　:/}
　　　　　　　　　　 .:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::L::::ヽ:::.:.＿:.:.＿＿＿ _ノ　|　　　悪辣な狩人以外には存在しないのだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　 .:.:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ=ニニ二＿＿二ニ=一′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 /
　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿　　 .′／
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!　　　　　　　　　　　　　　「待たれよ、そこな少女」
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ　　　　　　　　　　　　　　　低く通る声と、幾つもの鋭利な殺意が、
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|　　　　　　　　　　　　　　　　　キル子の足を止めさせた。
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

303 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:27:55 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　 _...-''''''''''''- ..,、
　　　　　　　　　　　 / :::::::::::::::t:::::::::::ﾞヽ
　　　　　　　　 ,..'''″:::::::::::::::::::|::::::::::::::::ﾞ'''.､
　　　　　　 ./ ::::::::!:::''ﾞﾞﾞヽぃ:":l::'/ﾞﾞﾞ::::::l::::ヽ
　　　　　 ./ :::::::::::|:,:: ●::ﾉ:,i'､"::::● .l::l:::::::.ヽ
　　　　　　../ ::::::::::::::lﾞ:.ｌ,::::::::./ 　ヽ,:::::::./ :lﾞ:::::::::.ｌ
　　　　　 !:::::::::::::::::｝:.::`::,r′ .__　ヽ::ﾞ::::/:::::::::::::ｌ
　　　　　ｌ.::::::::::::::|､:.ｌ:/゛ .i'"　｀'i .ｌ.::,ｌ::::::::::::::/　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 .ヽ:::::::::::| ｀彳　 .`'―‐゛ .'!"|:::::::::::./
　　　　　　 .ヽ::::::,!　　ｌ　 ...／＼　 / .lﾞ::::::./　　　　　　　　　「美筆やらない夫を斬った魔法少女とお見受けするが、
　　　　　　　 .｀ﾞ"　　｀i'‐'ﾞ''''''''''ﾞ‐'|　ﾞ'''''"
　　　　　　　　　　　 ,ﾍ1、　　 /へ　　　　　　　　　　　　相違ないな？　お命、頂戴する」
　　　　　　　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／／::::::｀ト-　　 _
　　　　　　／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /::::::::::::/: : : : : : :＼　　　　　　まずは一人目。釜瀬三兄弟の長男、釜瀬健一郎である。
　　　　／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : ＼
　　　./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : :　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/: : :/: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: : : iz!}: : i : : : : : :
　　./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : : : : |Z1: : !: : : : : :
　 /: : : : :i: : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : : : :!ｷ!: : i : : : : : :
. /: : :/: : l: :/:: : : : :／::::::::／: : : : : : : : : :!ｷ!: : l: j1: i : :
/: : : :! : : l: :! : : :／::::::::／: :rｭ､: : : : : : : !ｷ!: : !/1: :l:/

　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　 "::＼　　　　　　　,.'ヽ
　　　　　　　　　 /:::::::::.ｌ.　　　　　　　.／.:::::.ｌ
　　　　　　　　　 !:::::::::::::!-‐'''''''''''ｰ､,/:::::::::::::|
　　　　　　　　 .|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l'
　　　　　　　　　 !:::::::::::::::::ｒ'"ヽ::::::/ ｀,::::::::::/
　　　　　　　　　 ':::::::::::::::::.＼　ヽ/　/ ::::::::'、
　　　　　　　　 ," :::::,, へ,●:::`ﾌ' `く::::●.ﾍ::ヽ
　　　　　　　 .":::::::.,"　　｀'ｰ''"　　　｀''''"　ヽ:::ﾞ、
　　　　　　　ﾞヽ::.ｌ　　　　　　　　　＿　ヽ　,,'::::,ﾞ　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　ﾞ''　　　　　　　　（::::::）　〉 /:::./
　　　　　　　　　｀　、.-....__　￣,　/ .ｌ.:/　　　　　　　　 .「いや兄キ、コイツに違いねえよ！　俺ァあの晩、
　　　　　　　　　　　　　| ｀''ｰ - .二／ ,,,'
　　　　　　　　　　　 ,ﾍ1、　　 /へ　　　　　　　　　コイツがやらない夫を斬る所を確かに見たんだ！」
　　　　　　　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／／::::::｀ト-　　 _
　　　　　　／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /::::::::::::/: : : : : : :＼　　　　　 .次いで二人目。釜瀬三兄弟の次男、釜瀬憲次郎。
　　　　／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : ＼
　　　./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : :　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/: : :/: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: : : iz!}: : i : : : : : :
　　./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : : : : |Z1: : !: : : : : :
　 /: : : : :i: : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : : : :!ｷ!: : i : : : : : :
. /: : :/: : l: :/:: : : : :／::::::::／: : : : : : : : : :!ｷ!: : l: j1: i : :
/: : : :! : : l: :! : : :／::::::::／: :rｭ､: : : : : : : !ｷ!: : !/1: :l:/

304 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:28:21 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　 l.､　　　　　　　　,
　　　　　　　　　　　　　　 |: :ヽ　　　　　 /:|
　　　　　　　　　　　 /: : : ｌ　　　　　 / : !
　　　　　　　　　　 /: : : : :|____,,,,,,,___!: : :.|
　　　　　　　　　　　　　　,': : : : : : : : :｀､｀､: : : : !､
　　　　　　　　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : : :`､ `､: : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　冫: : : : : : :,-ｰ'´l 　 l｀ｰ-､!
　　　　　　　　　　　 ./ : i: : : : :.i:::::●:::l 　 l:::●::|　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　 |: : / : : : :l:::::::::::;;,!.　＿､ /
　　　　　　　　　　　 l :　l,: : : : :!::::::/　　（::::::）丶　　　　　　「でも兄上、この子普通の女の子にしか見えないよ。
　　　　　　　　　　　　　. |: :l.ヽ.: : : l:::/.　　　￣　ヽ
　　　　　　　　　　　 ,ﾍ1、　ヽ: : / 　　　　, '´`､　l　　　　　　そんな子を今から斬るなんて……興奮してきた……」
　　　　　　　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／..i　　　　/..,,,,,,,.i. /
　　　　　　／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /:::`ｰ--- '　ヽ　 `.'. 　　　　　　　くわえて釜瀬三兄弟の末弟、釜瀬堅三郎が現れた。
　　　　／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : ＼
　　　./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : : 　　　　　そして、最後にもう一人――。
　　　/: : :/: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: : : iz!}: : i : : : : : :
　　./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : : : : |Z1: : !: : : : : :　　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　 /: : : : :i: : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : : : :!ｷ!: : i : : : : : :
. /: : :/: : l: :/:: : : : :／::::::::／: : : : : : : : : :!ｷ!: : l: j1: i : :
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, . : ´ : : : : : : :｀丶､
　　　　　　　　　　　　　　　 , :´: : :.:.l: : : : : : : : : : ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : / :l: : : : : :＼: : : : :＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : / :∧.: :＼: : :.|: : : : :i: :i: :ヽ　　　　　　　　/´￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　{: : : : ｀メ､_」: : : |＼_| イ: : }:.:.l: : :l　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　ノ: : :i: :Vx==ﾐ　　 x==ト､V: :.:l: : :ﾄ､　　　　　　 |　残　釜
　　　　　　　　　　　　　　　イ: : l: :V r:::::i　　　 r.::::i　V.:: :l ): ﾄ､〉　　　　 |　念　瀬
　　　　　　　　　　　　 l : :∩ ﾄ弋ツ　 ,　弋ツノ : :./: /ﾊ　　　　　　 |　！　三
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: :| L_' ' ' '　　＿ ' ' ' ' ' l.:/: //l l　　　　　＿ノ　さ.　兄
　　　　　　　　　　 ,　‐‐─ヽ|　 _ﾆﾕ　ヽ　 _ﾉ　＜l/: //　ﾘ　　　　￣ヽ　　や　弟
　　　　　　　　　　　　{　　　　　ヽ　ﾆﾆヽ｀二 ´ﾉ:ﾉﾚｲ: //　　　　　　　　 |　か　の
　　　　　　　　　　　 _レ´　　　　 )　　｀J::「:「::::::`ヽ　｀ヽ　　　　　　　　 |　ち　四
　　　　　　　　　　_ノ _ ＿ r　´￣＼ _ノ:::: ｲハ:::::::::〈　　　i　　　　　　　　　 |　ゃ　人
　　　　　　　　 /´　　　　 | 　　　ﾉイ::i::L: :ﾄ､:::::::}　　 } 　　　　　　 |　ん　目
　　　　　　/ 　　　　 |　　　／　　|:::|　　 |::i＼ﾉ　　　ヽ　　　　　　　　 |　で . と
　　　　　　　　＼_ ＿　　イ＼／　　　　L」　　 Li　}　　　　ﾉ　　　　　　　　 |　し.　思
　　　　　　/￣＼──-イ. : : : . . . . . イ: . . . . . .:ﾉ　　／　　　　　　　　 |　た.　っ
　　　　　〈　　　　＼: : .　: : : : .　　　　　. : : : イ　　 /　　　　　　　　　|　！　た
　　　「￣￣￣￣〃　　＼　　　　　　　／　　　　 .　　　　　　　　 |　　　？
　　　　 | . : . : . : . //　　　　　　　　　　イ　　　i　　　 i　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＿／

305 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:28:33 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.､　　　　　　　　,
　　　　　.,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: :ヽ　　　　　 /:|　　../|
　　　　..."::＼　　　　　　　,.'ヽ　　　　　　　　　　　　 /: : : ｌ　　　　　 / : !..M/ .|／|＿
　　　.../:::::::::.ｌ.　　　　　　　.／.:::::.ｌ./|　　　　　　　　 /: : : : :|____,,,,,,,___!: : :.|　　　　　／
　　　...!:::::::::::::!-‐'''''''''''ｰ､,/::::::::.M/ .|／|＿　　　　 .,': : : : : : : : :｀､｀､: : : : !､　　　　 .Z
　　　..|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l'　　　／　　　　ｌ: : : : : : : : : : :`､ `､: : : :ヽ
　　　...!:::::::::::::::::ｒ'"ヽ::::::/ ｀,::::::::::/　　　..Z　　　　　冫: : : : : : :,-ｰ'´l 　 l｀ｰ-､!
　　　...':::::::::::::::::.＼　ヽ/　/ ::::::::'、　　　　　　　　 / : i: : : : :.i:::::○:::l 　 l:::○::|
　　...," :::::,, へ,○:::`ﾌ' `く::::○.ﾍ::ヽ　　　　　　　　　 |: : / : : : :l:::::::::::;;,!.　＿､ /
　　":::::::.,"　　｀'ｰ''"　　　｀''''"　ヽ:::ﾞ、　　　　　　　 l :　l,: : :../|.::::::/　　（::::::）丶
..　.ﾞヽ::.ｌ　　　　　　　　　＿　ヽ　,,'::::,ﾞ　　_...-''''''''''''- ..,、　M/ .|／|＿　￣　ヽ
　　　...ﾞ''　　　　　　　　（::::::）　〉/:::./ 　 / :::::::::::::::t:::::::::::ﾞヽ..ヽ: : /　／　 , '´`､　l
　　　　 .｀　、.-....__　￣,　/ .ｌ.:/.,..'''″:::::::::::::::::::|::::::::::::::::ﾞ'''.､..i..　.Z..　./..,,,,,,,.i. /
　　　　　　 | ｀''ｰ - .二／_,,,/ / ::::::::!:::''ﾞﾞﾞヽぃ:":l::'/ﾞﾞﾞ::::::l::::ヽ.ｰ--- '　ヽ.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 .,ﾍ1、　　 /へ　 / :::::::::::|:,:: ○::ﾉ:,i'､"::::○ .l::l:::::::.ヽ.:/: : : : : !:
　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／／:::::: / ::::::::::::::lﾞ:.ｌ,::::::::./ 　ヽ,:::::::./ :lﾞ:::::::::.ｌ.: : r'1: : !　　……余りに予想外の出現だったからだろう。
.／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /::::::::::: !:::::::::::::::::｝:.::`::,r′ .__　ヽ::ﾞ::::/:::::::::::::ｌ : iz!}: : i
.: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/ ｌ.::::::::::::::|､:.ｌ:/゛ .i'"　｀'i .ｌ.::,ｌ::::::::::::::/. : |Z1: : !: 　突如聞こえた四つ目の声に、三兄弟は
.: : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: :..ヽ:::::::::::| ｀彳　 .`'―‐゛ .'!"|:::::::::::./.: : :!ｷ!: : i
..: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: :../: :.ヽ::::::,!　　ｌ　 ...／＼　 / .lﾞ::::::./. : : : !ｷ!: : l:　　さやかの方へ振り向き、息を呑んでしまい。
　:l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : :../: : : :! ｀ﾞ"　　｀i'‐'ﾞ''''''''''ﾞ‐'|　ﾞ'''''".: : : : : !ｷ!: : !
. : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : :.: : : : i! : : i: :.,ﾍ1、　　 /へ-<:ｷ、 : : : :!ｷ!:: :l.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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306 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:28:46 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　 .ﾄ､_　ﾘ::::::::::j　　　 /　　　 |::::::::::|' /'　　ﾉ　　ﾞ.　　　　　　 ――そして、その隙を見逃す魔法少女などいない。
　　　　　　　　 ,'　　｀|:::::::::::|──'──-ﾄ|::::::::::j|/　　　/　　　}.
　　　　　　 /i　　　|::::::::::| 　　　　　 |:::::::::!ﾔ　　 ,　　　ｲﾄ　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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　　　　　 !:'j　　　 |::::::::{二二ﾆ─-　　 |:::::::i_　j　_i',ｨ-"　/　.|
　　　　　　 ,:'/　　　　.|::::|::|　　　　￣｀　` |::li::|>イ´　　　　/　　|
　　　　　　,' /　　　　 ||:::|:::|　　　　　　　　.!,／　　　　　／　　 jﾄ.
　　　　 j./　　　　　||:::|､|　　　　　　　／　　　　　／　　　 /::!ヽ
　　　　　 /　　　　　 /ﾔ|ヾ￣フ＝‐＝ﾅﾞヽ.　　 , イ　　　　　/.:::ﾔ､:
　　　　　/　　　　　　ﾄ､_ﾔ ` <.／　ｨ　,　　　＼"　　　　　　/ |　ヾ;ヽ.
　　　　 /　　　　　　/　　｀`ｰ<_／/ / ,ｨ､__,ｪｨ:"ﾄ､　　　　　/　|　　ヽヽ:.
　　　　ヽ._ 　　　 i　　　　　　｀"＝"´　　∨＼＼　　／　 |

307 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:28:58 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : /::::::
　　　　　 .／＼..　　　.__　,=ﾐ　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : /::::::::
　　　　く　.／__＼／ ,／`ｰ/ 　　 /:/ : : : : : : : : : : : : /:::::／
　　　　　　く::::レ'__ヽ／　)ﾉ/､　　 ./:/ : : : : : : : : : : : : /:::: : : : :　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　ノ＼:::|／　／/ /　 . V: : : : : : : : : : : : : /:´ : : : : :
　　　　　　.′　　__　／　/ / }　　 ./: : : .、: : : : : : : : : : : : : : : ,::　　　　 .キル子は流れるような踏み込みで
　　　　　..{　　ｰ　　　　/ /　.! 　　ヽ: : :::l: : : : : : : : : : : : : : : .;:::
.　.＿　___j　　　ｰ　　　 __ }._＼　 }: :::::|: : : : : : : : : : : : : : .;:::::　　　　　堅三郎の懐に潜りこむと、
..´　／/　　　　　　　　ｰ　／:レ'__＼}: ／!: : : : : : : : : : : : : :/::::::
..　./ニ′　　　　　　　　／. ＼::::レ' ／　 |: : : : : .....:::::': : : :/::: : :　　　　 .彼の腰の脇差に手を伸ばし、抜き取った。
.　.{ﾆﾆ{　　　　.　 -‐　´ 　　　.＼／　　 / : : : .::: へ:::: .:／::: : : :
　　ﾏ込zzzz彳　　　　　　　 .／　　イ : : : ／: : : :.／::: : : : : :　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　..ﾏﾆﾆ=-人　　　　　　　 .{　　　/　ｌ: : : ｜ : : ／:::::::::::::::::.....
..一￢==彡　　　　　　　　　 .＼　ヽ,/: : : .::|: : :/￣￣￣￣￣`
　　　　　　　　　　　　　　ヽﾆ/: : : .:::/: :/ : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : .:::/: : l : : : : : : : : : : : : :

　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ゝﾄ,vｪｪｪｪvｪｲ　 '|:::::::::| ヽ､:::::::::::::ヽ､　／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ノ　ヽxｭｪｪyvｿ／ ,|::::::::::l　_ｨゝ-､_::::::::／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　 /::::／　／ゝ-‐= ´　／'|::::::::_｣'-‐'"ヽ､ヽr､::::／／
　　　　　　　　　　　　　 /／　　／/　　|　　ヾヽ//_＞'/7　　　　､＼／`‐´:::::ヽ
　　　　　　　　　　　／'　　　/　/　　|　　＿`メ‐'´　/　　　　　､＼ゝ'　ヽ､::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　／／　　　 / 　ﾒ─-‐"´　　　　ﾉゝ----i'ヽ_ゝｰ'　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　／::::/　　　　/　'"-/´　　　　　　　／/／::::::::::T´ |
　　　　　　／::／/　　　／／／　　　　　　 r_ 二二⌒丶､ｰ::!‐-ヽ､　　,r-　そして、奪われたと気付かせる前に刃を構え。
　　　　　/:://::::/　　／ /´／　　　　　　　 ⊂二二_´ 　　 `ヽ　　　　￣`
　　　　 // / V´_／　　ゝ"　　　　　　　　 _ ⊆ 三二､　　　　 |　　　　　　その顔には、幽鬼のような笑みを浮かべて。
　　　　 , -‐＝"　　　　　　　　　　　　 . イヽ-､_ゝﾆﾆ､__＿　 i
　　　 /　　　　　　　　　　　　＿ﾆ-‐'"´　 `ミ_ｰ--/::::::::::::ヽヽ｀|　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　i_rﾆ二二二ﾆﾆ=-‐'"￣　　　　　　　 |､_￣　7:::::::::::::::∧ヾ`|　　　　　　　　　　　　 i　　　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|､ _‐/::::::::::::::::/--＼j|　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ　/:::::/i:::::::/￣￣｀ヽ　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　｀ｰ/::ﾉ::/::::/｀`‐---＝ヽ　　　　　　　　　　　 |

308 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:29:10 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　"::＼　　　　　　　,.'ヽ
　　　　　　　　　 _...-''''''''''''- ..,、. 　/:::::::::.ｌ.　　　　　　　.／.:::::.ｌ　　l.､　　　　　　　　,
　　　　　　　　　　　 / :::::::::::::::t:::::::::::ﾞヽ...!:::::::::::::!-‐'''''''''''ｰ､,/:::::::::::::| 　 |: :ヽ　　　　　 /:|
　　　　　　　　 ,..'''″:::::::::::::::::::|::::::::::::::::ﾞ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l'.　/: : : ｌ　　　　　 / : !
　　　　　　 ./ ::::::::!:::''ﾞﾞﾞヽぃ:":l::'/ﾞﾞﾞ::::::.!:::::::::::::::::ｒ'"ヽ::::::/ ｀,::::::::::/./: : : : :|____,,,,,,,___!: : :.|
　　　　　 ./ :::::::::::|:,:: ○::ﾉ:,i'､"::::○ .l::.':::::::::::::::::.＼　ヽ/　/ ::::::::'..,': : : : : : : : :｀､｀､: : : : !､
　　　　　　../ ::::::::::::::lﾞ:.ｌ,::::::::./ 　ヽ,:::::::. ," :::::,, へ,○:::`ﾌ' `く::::○.ﾍ::.ｌ: : : : : : : : : : :`､ `､: : : :ヽ
　　　　　 !:::::::::::::::::｝:.::`::,r′ .__　ヽ::ﾞ":::::::.,"　　｀'ｰ''"　　　｀''''". 　冫: : : : : : :,-ｰ'´l 　 l｀ｰ-､!
　　　　　ｌ.::::::::::::::|､:.ｌ:/゛ .i'"　｀'i .ｌ.ﾞヽ::.ｌ　　　　　　　　　＿　ヽ.　/ : i: : : : :.i:::::○:::l 　 l:::○::|
　　　　　 .ヽ:::::::::::| ｀彳　 .`'―‐゛ .'!"|:::ﾞ''　　　　　　　　（::::::）　〉..|: : / : : : :l:::::::::::;;,!.　＿､ /
　　　　　　 .ヽ::::::,!　　ｌ　 ...／＼　 / .lﾞ::::::..｀　、.-....__　￣,　/ .ｌ.l :　l,: : : : :!::::::/　　（::::::）丶
　　　　　　　 .｀ﾞ"　　｀i'‐'ﾞ''''''''''ﾞ‐'|　ﾞ'''''".　　| ｀''ｰ - .二／ ,,,'..|: :l.ヽ.: : : l:::/.　　　￣　ヽ
　　　　　　　　　　　 ,ﾍ1、　　 /へ　　　　....,ﾍ1、　　 /へ..　.,ﾍ1、　ヽ: : / 　　　　, '´`､　l
　　　　　　　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／／:::::._　 -イ::::::::::,ﾍ　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／..i　　　　/..,,,,,,,.i. /
　　　　　　／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /:::.／: : : : : :!::::::::::::,　／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /:::`ｰ--- '　ヽ　 `.'. 　 ┏━━━━━━━━━━━┓
　　　　／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/.／: : : :i: : : : !:::::::::.／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : ＼
　　　./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::.　/: : : : : :!: : : : ヽ::::./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : :　　 ――瞬く間の、斬撃。
　　　/: : :/: !: :!: : : : : : ＼／::./: : :/: !: :!: : : : : :../: : :/: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: : : iz!}: : i : : : : : :
　　./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::/: : : :!: :l: :i: : : : : :./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : : : : |Z1: : !: : : : : :..┗━━━━━━━━━━━┛
　 /: : : : :i: : V: : : : : : ／::::./: : : : :i: : V: : : : :./: : : : :i: : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : : : :!ｷ!: : i : : : : : :
. /: : :/: :.＼　　　　|l|＼　　　　|l|w/＼　　　　|l|w＼　　　　|l|＼　　　　|l| ＼　　　　|l|w/L ,r_／. : :
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: : : : :l : : :! : :∨./／　 }´　　/／　 }´　　　/／　 }´　　 /／　 }´　　 /／　 }´　 /／　 }´.z! :i: : l: :
: : : : :l: : : !: : : '.: : : : : : :.: : : : :l: : : !: : : '.: : : : : : :l: : : !: : : '.: : : : : : : : : : : : : : : l:＼}! }l__j: : : j: : :! :
: : : : :l: : : !: : : : r──- : : : : :l: : : !: : : : r...: : : : :l: : : !: : : : r──--------　‐'下zｿ::::::::::::!1: : :!::
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309 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:29:22 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　 /|｀ "　　　｀""´ｲ:::::/::::::::::l:::::::::::/
　　　　　　 {::､　ﾄｪｪｪｪｪｲ/ /::::://:!／:::::::::::::i
　　　　　　　 |::::lヽﾔｪｪｱ´／:::::/ｲ::j:::::::::::::::::::;　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　 !:::|　{ヽ／／:::::／ナ:/:::::::::::::::::::{
　　　　　　　 !:::!　／::::::::／／￣｀ヽ､:::::::::::::::::､　　　　　　　　　　夜の野道に、人が倒れ込む音と
　　　　　　　　 V／:／:::::::｀/　　ヽ.　＼::::::::::::＼ｰ--── '´
　　　　　　　／:ィ! ￣ r:77// 　　　〉､＿ヽ::::::::::::::｀ヽ､＿_　　　　　　　 .血と臓物のこぼれる音が、三つ連なって響く。
　　　／⌒:／　V!　 ´/〃i　　　／　　ヽ.｀ヽ:::::::::＼｀ｰ─-｀ﾆ＝ﾆﾐ､
　　　 /::::/:／　　　V! ///　l!　／　　　　　＼､､:::::::::::::｀ヽ､＿　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/::/:/　　　　　.V!/ i　 |i /　　／　　　　 i､ヽ::::::::::::::::::::::::￣::￣￣｀ﾞ`ヾ─-:､..
　　 // !/　　　　　　ヽ!　 |i/　／　　　　　! 〉　＼:::::::::::::::::::::::::＝=ﾄ､:::::::::::::::::::::｀ヽ.
　　〉'　!|　　　　　　 l　　||　/ 　　　　　 / .l.､_ 　＼::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ.::::::::::::::::::::＼
　　/:|　|.　　　　　　　　l　　|／　　　　　　/ 　/　｀ヽ.　ヽﾄ.:::::::｀ヽ､｀ヽ､.::::::::＼::::::::::::::::::::::＼
　　|::|　|:､　　　　　　　ヽ／　　　　　　　　/　　/　　　/ 　ﾞ､　＼::::::::｀ヽ.　｀`ヽ.::ヽ.::::::::::::::::::::::::ヽ
　　|::|　.|::ﾞ､　　　　　／　　　　　　　　 /　　 /　　 /　　　ヽ　　＼::::::::::ヽ.　　｀､:::::::::::::::::::::::::::::ﾞ.
　　|:::| 　!:::ヽ　　　　／　　　　　　　　　 /　　./　　/　　　　　ヽ　　ヽ

　　　　　　　　　 __,.　──-　_
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　　　　　　　しかしその音を聞き届けたのは、幾ばくの獣と虫と、
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　　　　　　あとは二人の魔法少女ばかりであった。
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧
　　　　　　|::::::::| j　　｀`ヽ､　∨::::ハ
　　　　　　∨::::| i　　　　　　　∨::::::i

310 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:29:39 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　 ,: : : : 厂: : : : : : : : : : : : : : : : :‘，
　　　　　　　　　　　 / : : : /: :/: :{: : : : : : : : : : ヽ:.: : : ‘，
　　　　　　　　　　　　　//: : :/｜j : : |: : : : : : : : : : : | : : : : ‘
　　　　　　　　　　 /ｲ l :/:::::|: | : : |＼: : : |: : : : : :|: : : : : :l
　　　　　　　　　　　 |: V:::::::|:八::　|:::::ヽ : |: : : : : :|≫: : : :|
　　　　　　　　　　　　　从N:::::::::::::::＼{:::::::::Vヽ: l: : : :|≫ : : :′　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 |: :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: :|: : りヘ: : :/
　　　　　　　　　　　 |: :|ｌ::::::::::::::::::::::::::::::::::|: :|: :ﾊ「｝: :′　　　　　　　　　「なんだ、噂通りじゃん」
　　　　　　　　　　　　ﾉ: 从:::::::::::::::::::::::::::::::::|:/|/厂／: : {
　　　　　　　　　　　　　ヽ＼::::::::::::::::::::::／彡イ: : /: 从　　　　　　　　さやかは笑った。それは例えるなら、
　　　　　　　　　　　　　　　　＞_┬＿´＿从ﾊﾚ|/ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　／_〃　|厂￣￣￣〈　　　　　　　　　　　　　　迷子を見つけた親のような顔で。
　　　　　　　　　　　 / /( }_ 〃ミ　　 ‐＝彡
　　　　　　　　　　　　　〈人Υ 〉― ミ＿　＿＿＼　　　　　　　　　　「人を斬るとき、笑うんだね」
　　　　　　　　　　　　人___| 从ミ＝-ｱ ⌒￣⌒ハ
　　　　　　　　　　　　　　 {　／八　　 /　　　　　｜　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 ∨　/　ﾊ　　「　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 '～/　　| ーｲ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 | ⌒ｰ┘　 |　　　　　　 |

　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
　　　　　 |:::::|::::::|（●）　（●)|::::|::|　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀
　　　　　 |:::::|:´:|､_ 　／ﾔヽ、:i ｀　　　　　　　　　　　　「……ええ、まあ、そうらしいわね。
　　　　　 |:::::|:::::{´,／　.∧　ヽ|
　　　　 |:::::|:::::|ｲ　　　 ,/　　ﾞ.　　　　　　　　　　　　　　　　　自分では、よくわからないのだけど」
　　　　 |:i|:|:::::|　　　　/ゝ､_;ﾉ
　　　　 |:||:|::,i'l､_,. ィ" j_k　　ヽ.　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 || |ッ'ﾞ＼　　 /‐ヽ､／
　　　　　 |　|:::|| 　`iｰ　　.| ´
　　　　　　　 |　　| 　　 |

311 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:29:49 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　-‐…‐- ミ　　　　　　 rfh
　　　　　　　　　／　 . : . :r―: . : . `: 、　　　　 | |||l
　　　　　　　　　. : . : . : . :|: . : . : . : .　＼　　 ∩ ｌｌｌ|
　　　　　　　 ; . : . : . :/. :∧:. : . : . : . : .　＼　{＇　;
　　　　　　　ｉ. : i. : . :|: /:::::ヽ . :|、:| . : . : ヽ:､ヽ＿{
　　　　　　　 | . :|. : . :V::::::::::::＼| 斗 |. : . :| 　＼￣＼　　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 |. :∧ . : |::::::::::::::::::::::::::从. :|ﾊ} 　L -=ﾆ´
　　　　　　　 |. :ゞﾍ . :|::::::::::::::::::::::::::川. :|　　　ﾆﾆﾆ　　　　　　　「ふうん？　ま、いいや。
　　　　　　八. :|. :＼|:::::::::::::::::::::::::从| ;ﾊ　　　ﾆﾆﾆ
　　　　　　ヽ|从厂＞_-　-‐≦､{ j/　　　,ﾆﾆニ　　　　　　　それじゃあさ、今度こそやろうよ、キル子。
　　　　　　　／／´　　｀`TﾆTTﾆﾆﾆﾆﾆﾆニニ
　　　　　　　　／ｨ　　　　　　 |ニ| |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ′　　　　　　　別にいいでしょ、人を斬って笑えるならさ」
　　　　　　／　　{　　　　, -┬―┴‐ ､-－　￣
　　　　　,　　　　八　　rﾊ⌒’　............. }　　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　_..　 '" 　　／　 `rﾊ⌒’............::::ﾉ...:〈
'´　　　　 ,　 ´ 　　｀ヽ .......`...‐...／＼ﾉ
　　　,　′　　　　　 }＿＿彡" 　ﾟ}}‘､　　　　　　　　　　　　/
　 ,　′　　　　　　ハ　　　　　　ﾟ}}　￣,ニ、・‥ ‐-　-‐ '

　　　　　　　　　 ,. . :-――- ．、
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : ::＼
　　　　　　　 /: : : : : : : : : :/. : : : : : :.＼
.　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : :/ .: : : : :.i: :､:.ヽ
　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : :| :._i: : :.ﾄ」:.|_|:i」!
　　　　　　　 |: : : : : : : :_: : ｨ（●）　（●)
.　　　　　　　　 |: : : : : :.,ｨｹ! : |.　　　、　|
　　　　　　　 ! : : : : : ゝ､|: :.|　　　__ 　ﾉ
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　　　　　　　/:.:.:.／j:./　`j: :.|,ｲ＼　||:.|
.　　　　　　　 /:.:r'’∨∧.　 |: :!v}| 　Ⅵ! 》
　　　　　　　 /: : |　/:∧　＼|:.:ﾄ､||　　| |:.}}、
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　　　　　　/ ／厂7/　　　 |:.:l＼|　　| Ⅵ..|
　　　　/ : : : |,ｲ/　　　',　 |:.:|　 | 　 |　!:! |

312 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:30:12 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　 ,. . :-――- ．、
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : ::＼
　　　　　　　 /: : : : : : : : : :/. : : : : : :.＼
.　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : :/ .: : : : :.i: :､:.ヽ
　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : :| :._i: : :.ﾄ」:.|_|:i」!
　　　　　　　 |: : : : : : : :_: : ｨ（ー）　（ー)
.　　　　　　　　 |: : : : : :.,ｨｹ! : |.　　　、　|　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 ! : : : : : ゝ､|: :.|　　　__ 　ﾉ
　　　　　　　　　 |: : : : : /:./ |: :.ﾄ､　　 .ｨ′　　　　　　　　　「……この先の神社に、自前の刀を隠してあるの。
　　　　　　　　　 }: : : : /:.∧ |: :.|　/ 辷'l:.|　　＼ -､
　　　　　　　/:.:.:.／j:./　`j: :.|,ｲ＼　||:.| 　　　.（__丿　　　　　今から取りに行ってもいい？」
.　　　　　　　 /:.:r'’∨∧.　 |: :!v}| 　Ⅵ! 》
　　　　　　　 /: : |　/:∧　＼|:.:ﾄ､||　　| |:.}}、　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　 /:.-r=彡/　'　　|:.:l　||　　| |:.|l |
　　　　　　/ ／厂7/　　　 |:.:l＼|　　| Ⅵ..|
　　　　/ : : : |,ｲ/　　　',　 |:.:|　 | 　 |　!:! |

　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　., ‐=ﾆヽ
　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　.....!_i　　））
. 　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　....＿ノノ
　　　.' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',. 　//￣
　　ｉ: : :.ｉ: : :.|／　＼| ＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　◎　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 |: : :.|: : :.|　 о 　　 о　jｲｉ:|
　　 /ﾍ: : ､: : |　　　､_,､_,　　ﾉ:ﾊ|　　　　　　　　　　　　　　　　　　「え？　別にいいじゃん、刀なんてその辺の使えば。
　　　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨
　　　　　 Y´　{f⌒()⌒i}｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なんならあたしの一本貸してあげよっか？」
　　　　　　 /　ｨゞ-介r'ﾞﾉ〈
　　　　　,.ｲ　/〉　〈/ l｣　〈　ヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　∧ `‐/:'丶､／＼,.ｲヽノ　ﾊ
　　　　｀¨`'r'::::/::::i::::::::i:::::::',:::〉‐'¨´

313 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:30:29 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ー）::::::|｀
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ　　　　　　　　「嫌よ。せめて使い慣れたのを握りたいの。
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|　　　　　　　　　　 ……なにせ、これから魔法少女を斬らなきゃいけないんだもの」
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

314 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:30:39 ID:FkQQwRpc0

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315 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:30:56 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Π　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Π
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旦三l二二l二二l二二l¨／＾＼¨l二二l二二l二二l三旦
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　／／'＾＼＼　　　　　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　＜　――古神社の境内は、異様なほどに静まり返っていた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　,′
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　／　　　　　　　　耳に届くのは風の擦れる音だけで、虫一匹さえ鳴きもせぬ。
　　　　　　　　　　　　　 /　　乂ゞ､
　　　　　　　　　　　　　　　　 ≪亞亞亞｀＜三三三三　まるで夜が丸ごと固唾を飲んで、何かを見守っているかのように。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|.　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　 .|　|l〈〉lｌ=(Ｙ)=ｌl〈〉l|　|　　　　　　　　|　|..' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　ﾊ-ﾊ　　　 .／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　 .|　|l＝lｌ=(Ｙ)=ｌl＝l|　|　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､　 . ﾊ-ﾊ､
　　　　　　／/Cω）　　/: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　..|　|l＝ll=GQ=ll＝l|　|　　　　 /:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::　（ωＣヾ､＿,､
　　　　 c'ヾ､/ﾉ)　 |.　　' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ', 　 |　|l＝ll=.从.=ll＝l|　|　　　　 .ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|　 .|　　(ゝl|}ぅ(^ヽ
　　　　 (⌒ﾌ(　）ljlj　　..ｉ: : :.ｉ: : :.|／　＼| ＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　 |　|l＝ll＝ll＝ll＝l|　|　　　　 |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|.　.tlｔｌ（　 )＜ノソ
　　　　|￣￣￣￣|￣|.　|: : :.|: : :.|　 о 　　 о　jｲｉ:|.　ｌl＝l┌―――‐┐ｆ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::| .|￣|￣￣￣￣|
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　　　　|　　　　 | 　|　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　二二二|l三三三三ｌ|二二二二二二.　|:::::|:::7 l/'　ﾞ1::::|:::::|..|　 | 　　　　|
　　　　|　　　　 | 　|　　　　 .Y´　{f⌒()⌒i}｀ヽ.|::::::::::::::::::::::|l三三三三ｌ|::::::::::::::::::::::| .|:::::::::|:::::|::ｲ./　 ,ィ |:::::|:::::| |　 | 　　　　|
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　　　　￣￣￣￣　　　　 ∧ `‐/:'丶､／＼,.ｲヽノ　ﾊ　＿＿＿＿＿＿　_ ＿＿＿＿＿　/ |┴─ |＿_,'ヾ| ||.. 　￣￣￣￣
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　　　　　　　　　　　　　｀`7ヽ⊥::::⊥　ィ´ _ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ _＼＼　　 | |　　　 |　 ,ｨ

316 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:31:12 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　 r ､...-――- ...
　　　　　　　　　　　　　 . イ:| ..:..:....:....:.....:.....:.. ミ...、
　　　　　　　　　／........:| ..:...:......:ヽ:、:...:. ＼:.. ＼
　　　　　　　　 /　　./ /| ..:...:{:......:|:..ヽ＼ヽ:.ヽ:.....ヽ
　　　　　　　　　 /　..:..:,i:/　i:i:...:.乂:__ト_:..ﾄ:..ヽi:.....∨:..‘，
　　　　　　　 / .:′/{/___乂..:..:..ﾄ.丁x=ミ､..:i!..:..:..iう):..:
　　　　　　　 ,′:|...:|l ,ｧ=ミ ∧{:..:{　 'f.::うi}ﾄ､|..:..:...i)):....{
　　　　　　／ｲ八 :{ { ん:.1　＼} 　ヒ..ｿ　｜:..:...|:.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　／´　|.八:..ド　ヒツ　　'　　　/ /i ﾊ｜:..:...「i:.
　　　　　　　　　｜ ..:ト＼/i/　　　　　　　　｜:..:...|ﾉ::　「ねーねーキル子ー、合図とかいるー？」
　　　　　　　　　 : ...:|:{　　　　 __ .　 ≦ ｀i　　　|:′:..};⌒
　　　　　　＿ r‐ ﾐ...:込.　　　‘廴　　ノ　　　j{:..:.../　. 　静けさにそぐわぬ明るい声で、さやかは尋ねる。
　　　　　〈　v`{__ﾉヽヽ:{:＞ ..　　　　　 . イﾊ|r＜トイ
　　　　r―廴} 　　 __}_ :ﾄ､:{::.:ir≧i‐＿ ...斗≦}八 __入　仲睦まじきものがそうするような、あまりに気安い態度。
　　　　＞ ._)　　　 ( __,.. ヽ≧八¨¨}}r―　´　人r乂
　　　〈　Y､　　　/　　　ﾊ＞‐‐ミ }}}_,. ≦￣￣〉{ ＼ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　ヽﾉ　＼　＿ , ィﾁ　〉.........:={:..:}-:............. 〈八　　了不´　｜
　　　　　　　 { `廴_ ／　 {............:.:.廴｢`:.............. } /　　//　}:{ 　 {、
　　　　　　　ﾉ /:ハ:i　　　{:.:.:.:.:.::イ| |ヽミ::........:.:.{ﾑ:､　j::{　｜､　ﾉ}'＼
　　　　 ,ｲ{ {:/　 }:}　　ﾉ＜/::/八.{ ∧:{＞ミ:.:.〉ト __ﾉ　八:∨ﾑ　ﾉ

　　　　　　　.....-─:::::-..､
　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　/:::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 ,:::::::::::::i:::i:i::::::::::::::i:L::::::::ﾊ
　　　 i:::::::i:::::i:;ｨｿ:::::::::::::込､:;ﾉ:ﾊ
　　　 |:::::::i:::::!､;jｨ彳'"´'{ﾟ●;::::!`
　　　 |:::::::ﾊ::ﾍ`ﾟ●〉　､　""}:::!
　　　 V:::::ヽVﾍ""　　　　/::::i　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|::::::::::Vﾍ:ｪ　＿´／ l::::l
　　　　|::::::::::::,Vﾍ｀ヽ､ﾄ.ヽ.ｊ:::::|　　　　　　　　　　　　対するキル子は、だらりと体を弛緩させながら、
　　　　|:::::／ .｀Vﾍ　ヽ.|　||:::::l
　　　　|::/ヽ　　Vﾞ:.､　ﾞ!　|ヽ:j'　　　　　　　　　　素っ気ない口調でこう答えた。
　　　　|::i　ヽ|　　　'‐ｧ､ |　|　ﾞﾔ
　　　　|:::! 　＼　　　　j 　|　　l|　　　　　　　　　「別に要らないわ。今までも、そんなものは無かったもの」
　　　　|::::!　　　ヽ、 /　 / 　_ﾉ|!
　　　　|::::| 　　　 V 　 / _,.ｨ'"! i　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　|::::ﾔ　　　　ﾔ'´　　　　|　!
　　　　|::::/､　　　　ヽ　　　_,ｲ　|
　　　 |::/　｀＼.　　　| _,. -'",ｲ　 |
　　　 //　　　ヽ,　　|_,.ｨ-''"　|　 l
　　 /∧　　　　　　　}　　ヽ /　　}

317 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:31:25 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　　　　　　/: : : : : : : : : : : ∧: : : ヽ: ヽ: : ヽ: : : : : :ヽヽ_,.. - - ' ´ ￣￣｀ヽ
　 ,r-- ､ _ _　　　 /: : : : : : ,: : : : l: :|　l: : : :.ヽ: :ヽ: :.ヽ: :ヽ: : : ヽヽ　　　 ,　　　　　 |
　/　　　､､｀ー |: i: : : : : |: : : : |: :|　ヾi: : : ヽ: :ヽ: : :ﾄ: :ヽ: : :l: | ､ヽ- /　　　　　　|
　|　　　　　ヽヽ　 |: |: : : : : |: : : :/l: |　/ヾi､: : :l､:ーﾄ､: lヽ: :l: : :|:| ヾ､/　　　　　　 |
　|　　　　　　ヽ　 |: |: : : : : |: : :| |:|'´ 　ヽヽ: : l＼:.| ヾ| ヽ: l: : |: |＿/　　　　　　 /. 　┏━━━━━━━━━━━━━┓
　ヽ　　　　　　ヽ |: l: : :l: : :ヽ::|　|　　　　ヽヽ: |　, -- ､　Vl: :|: :| ,/　　　　　　　/
　ヽ　　　　　　ヽ:l: : : |: : :ヽ:|　, --｀　　　　｀　　　　｀　 |: l: :i:|/　　　　　　 /　　　　 .「ま、それもそっか。
　　ヽ　　　　　　｀i: : : |: : : ヽ|/　　　　　　､　　　　　　　ﾚ': :l::k　　　　　 /
　　　ヽ　　　　　 /l: : : |: : : : |　　　　　　　　＿　　　　　ﾉ: : lﾘ､｀ヽ､ ____/　　　　　それじゃ、お言葉に甘えて
　　　　ヽ　　　ノ　l: : :ヽ: : : :|　　　　　r　´　　 l　　　　,イ: : 人　ヽ､_　　 /
　　　　　ヾー'´　　 ,|:l: : : |: : :ヽ､　　　　ヽ､　　'　　 ,イ: :/l: :/　＼　　ー/　　　　　　　　適当に始めちゃおっか――」
　　　　　　ゝ＿＿,ノヽヽ: lヽ: : ヽヽi ー- ､ ___　=r' / Vﾚ' |:/　　　｀ーr'
　　　　　　ヽ＿＿,ノヾヽ:{ ヾ: ヾ ,.)､￣￣ >,,<￣ヽ,./　 /　　　　　　/　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　｀i､　　　　ヽヽ＼l　,.＞ヽ{ r,!..!r, ／ノ　 / 　 /　　　人
　　　　　　　　.|　＼　　　 i ヽ､＿＿,. -'｀ー‐'｀ー､__/　　 !　　／　ヽ

　　　／ | : |: :l : :i : : :| :|、: :| : : : : ＼: : :} : :ヽﾍ＿|/::::::::|
　　　　　|: :l : l: : l : : : l:トＶ_:ﾄ､: | |: ｌレく l : : : l＼ |:::::::::::|＿＿
. 　　　 |:∧: l: : l:ｌ: : ∧ :::::::::::＼ﾄ､l|::::｢＼ : : |､　ﾚﾆﾆミ}＼＿＼
.　　　　 |　 V:! : ｌ:l : : ∧:::::::::::::::::::::::::::::::/:ﾊ : ﾄ､ﾉ　　　|　　　￣￣＼
　　　　　 ∧l : : l : : ﾄ､ゝ:::::::::::::::::::::::::/lト{＼ｌ__し'ﾆヽ._ｊ　＼　　　　＼
.　　　　　　厶ﾆNヽ!: ｌｌﾄ､:::::::::::::::::::::::／ノ　　（__ﾉノｲﾄr ＼　　＼　　　　 |
　　　　　 //　__　　ヾ＼l{　＞　__ イ／{　＼／ /⌒i ‘Ｔ´ ＼　　ヽ　　　│
.　　　　〈〈／--＼　　　｀＜＿{0}ﾘ　__ヽ.／　, ′ /　/.　　＼　　＼　ｊ
　　　　 /￣￣ヽ:} ﾉ　 rvr ､＿{　｢ｿ／　 , ′　/__/　　　　＼　　＼{　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━┓
.　　　 /::::::::::::____ﾋ'__辷ﾚ=====ヽ／　　, ′　 / {. 　　　　　　　＼　　）
　　　 /::::::::／　 /　＼　　　／　　 , ′　　/　＼　　　　　　）／　　　　　　　　 .「――な、っと」
　　　 |:::::ノ|　　　　　　＼.__／　　　, ′　　 /ヽ.＿/
　　　　∨　.|　　i⌒ヽ　　|　　　￣）, ′　　 /　　＼　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━┛
　　　　/　　| 　ｌ_／´V　 ‘,｀ー‐ ', ′　　 ./〕＿__,ﾉ〕
　　　 / 　 ∧　∧ 辷 ∨　 ',　　, ′　　　, ′　＿_}__}
　　　 |　　 }　',　ﾊ辷∧　 ‘，　　　,　'＼＿＿/ ﾉ
　　　 l 　 │　'，　}　/　＼__}　　　，─rグー‐┬'
　　　 l　　 !　　}　 |/　　，　　 .／／￣＼　　　，
　　　 |　ノ　　‘ｰ/　　　　／／　　　　ヽ___ﾉﾊ
　　　｀¨　　　　./　 , ’ 　／‐く　　　　　 ,ﾊ￣＼
.　　　　　　　 ,'　,　　／　　　〔＼＿＿_／　∧＿ノ'，
.　　　　　　　 ;　/　／　　　　　＼＼＿＿／::∧ 　 ∧
　　　　　　 ; ./／　　　　　　　　｀¨¨⌒ヽ----ﾍ　　 '，

318 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:31:44 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ|　　　　|i　　　....-‐……‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ| 　　　|ｉ　／: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i|　　　　　|ｉ./: : :{: : : : ヽ : : : ',: : : : : :,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i|　　　　　 |ｉ./ : : ∧: : ｉ、:.', : : : !: : : : : :',
　　　　　　　 , :_, - ― - 、　　　　 i| 　　　　 ,|i.i: i: /::::::＼| ＼ﾄ､ﾄ､:|: : :.ｉ: : :.ｉ
　　　　　　,::´:,::'::::::::::::::::::::＼　　　..i|　　　　　　,|i..|:.Ｎ::::::::::::::::::::::::::::::::|: : :.|: : :.|　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::､:::::､:::ﾞ:..　.i| 　　　　　|i...|:八 ::::::::::::::::::::::::::::::|: : /: : ﾊ!
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_|:::::_|:::::,|iﾞl::ｌ...i|　　　　　　　　|i. 　∨≧=‐-　-‐=≦ﾚｲ､i∨　　　　　　　さやかは一瞬で間合いを詰め、
　　　　 |:::::|::::::| （●）（●)|::/...i|　　　　　　　 |i　|　　　　　　　 ,､　ヽ
　　　　 |:::::|::::::|　　　, 　 j::|`'i|　　　　　　　　　　|i ＼　＼　　　　　　||　 │　　　　　　 .打ち下ろしの斬撃を放った。
　　　　／ ⌒ヽ_　　 -‐_ノ|`ヽi|　　　　　　　　　i|i ＼　＼　　　 /　 /
　　／　　　　　＼ヾil､::/　　....i| 　　　　　　　　　　i||,＼　＼　　;′ 〈　　　　　　　速度と体重が乗せられた、
　／ヽ　　　　　　　　ノ　　　　...i|i　　　　　　　　　　　　　 /i|!＼　／] 　 /＼
( _ イ）　　,.-、　,. -‐'＼‐--‐'..i|i.　　　　　　　　／　　 i|(ノ／)）￣　ﾍ　　　　　 .受けるにはあまりにも重い一撃。
　　レ__ノ´|::/i／: : : : :._,.＼　　 .i|ｉ　　　　　　／　　／　,ゝ￣.、　　　∧
　　　　　　|: :|" : : : ／　　....＼　 . i|ｉ　　　　　　　/　＼＼　／　　　＼　　　 |　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 |: :| : : ／　　　　　　ヽ.　 i|ｉ　　　　 !.　／　／　　　　　　　〉　　!
　　　　　　　ヽ／　　　　　　　｜　　..i|ｉ　　＼＼　／ | 　　　　　ﾍ　　　＼
　　　　　　＼.　　　　　　｜　　　....i|i 　／　／　〈　　　　　　　ﾍ,　　　)
　　　　　　　　　　|　　　　　　｜　　　　　..i|i__／＿___ノ　　　　　　　　 `ｰ‐ '

　　　　　　　　 l |　 /: :./: : : : : : : : : : : : : : : : : : :| |
　　　　　　　　 l | l/: :./: :　 '⌒ヽ　: : : : : : : : : : : :,
　　＿＿＿　| 　 |/: :./／ニニニニ` 守:.:: : : : : : : :',　|
　　　ヽ, -,.　l |　　＼/　_ -=ﾆニニニニ｀守___＿＿j　| l　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 ,..l　＼＼l |_jI:と'’　_ ＞=-ニニニニニニニ ∨.l.　｜
　　.....l |　ｧ= '´_　←=ニニニニニニニニニニニ　!　　　　　　　　　並の剣士ならこれで死ぬ。しかし魔法少女は死なぬ。
　　.....l |/ ∠ニニニニニニニニニ№、　 __ ニニ7
　　.....l l.:ニニニニニニニニニニニア.∠ニニﾆ:7_　　　　　　　　皮一枚で回避したキル子は、地面に打ち下ろされた
　　.....|,j_ニニニニニニニニニニニ／¨¨¨¨¨¨¨´　｀ﾞ'ｰ ..、
　　　　｀¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨´.'-..、　　　　　　　｀''ｰ､　　切っ先を全体重をかけて踏みつけた。
　　　　　　　　　　　　　　　 ;ﾞ ''ｰ､,.｀''-､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''-､,..｀''-..、　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀'ｰ､, ｀''-..、　　　　　　　　　　　｀''ｰ．
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-..、｀'ｰ..、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、｀''-､、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ''‐､、.｀''-..、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、.｀'ｰ..、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''‐､、｀'ｰ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､、

319 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:32:03 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,.' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　　　　　　　　　 /:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.`ｰ-､
　　　　　　　　　 i:::::::::::ヾ.|━ ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::| 　　＼━━━━━┓.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　___r '´￣ヽ';二::::::::::::( |━ |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|.　　　ヽ━━━━
　 !ゝ:{　　　 /　　ヽr:::::::::ヽ..´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::| 　　　 l　　　　　　　　　そのまま、さやかの細い首筋を狙う。
　　　∨￣￣＼　　 l:::::::::::::::ヽ　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|　　　　|
　　　　＼　　　　ｰ--ゝ──‐｀ｰ':≧ － '＿＿／　　　　　　　|　　　　　　　　 .小さく鋭い、ただ命を刈り取る為だけの
　　　　　{　　　　＼　　　　　　丶､　　　　　　　　　　　l
　　　　　＼　　　　　 `　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　 .あまりに精確な斬撃である。
　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　＼＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ　　　　　　　　 .l.ll
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　 .l ｌ|
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　 .!　| 　 ./|　　　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ　　　　　..l　l|　 /|..|
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!　　　　 l　 | .//　|　　┌‐ '´ ￣ : : : .　 .　　 .並の剣士ならこれで死ぬ。
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!　　　　　.! 　|//　/. 　／: : : : : : ｀丶、: : : ＼
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀　　　　....l　 //　/　 /: :i:!: : : : : :＼: : ＼: : : :. 　そして、魔法少女はまだ死なぬ。
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ　　　　　 | .//　/　　: : :.!ﾄ、: : :ヽ: : ＼: : ＼: :
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!　　　　　 |//　/..　.ｌ: : : :l:::::＼: : :|::::::::::ヽ.: l:i: :　さやかは流れるように二刀目を
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|　　　　　 .//　/　　..|:i : : |:::::::::::＼j:::::::::::.ハ:i:ﾄ.:
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|　　　　　　　//　/|　　 |:l: : ∧:::::::::::::::::::::::::::::::l:l:|ﾉ:　抜刀し、致死の一撃を受け止めた。
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!　　　　　 .//　/l |　　 .从: : : ﾊ:::::::::::::::::::::::::::ｲ::ﾘ:ハ
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl　　　　　　//　/　 |　　　 )ﾙ': 入 _ ＿ . イ‐くル'.┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃　　　　 .//　/|　ｌ |　　　　...Ⅵル ___ )ﾉく _＞´ ￣ユ._
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '　　　　 //　/. |　ｌ |　　　　　 .／／⌒ ⌒ ー ---＜　＼

320 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:32:18 ID:FkQQwRpc0

　＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿||
／＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿||＿_.rv-┐＿＿＿ｍｎ_
＼　　　　　　　　　　　　　　　　||―‐L_　ﾉ―――(√_｣）
　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣||　厂　〉. 　　　 T 　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /＼., : ´ ￣｀゛ ::　....｣
　　　　　　　　　　　　　　　 _/　,./´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　〈　〈.:/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　　　　　　　　　　 ∧　 V.:::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ　　　　　　 .――ぎぃん、と鈍い音が夜に響く。
　　　　　　　　　　　　　　 ..∧　 V..:|（●）　（●)|::::|::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .〉-彡V. 　　 ,　　 j:::::| ｀　　　　　　　鋼の打ち合った衝撃がキル子の刀を吹き飛ばし、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Vﾆ三ﾊ　 -‐ _ノ:::i ｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .V三ﾆ　=z-‐くjfV′　　　　　　　その持ち主の体を仰け反らせる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `守三℡人/ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|三三ニﾆﾆ|　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〉三三三ﾆﾘ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,.≦三三三三ﾆﾃ

　　　　　　　　､::／ .:ィ/.; .::::::::.:.:.､:.丶:.ヽ:､:.ヽ　　　　 .′|!|　　　　　　／
:.　　　　　ヽ　／. .:／/.: !::i::i!:::.:.:.ｉ:ﾄ､:.ヽ:.i ヾ∧　　　 / 　 |!|　　　　 .:/
.　　　　／´/ /　,:::ｨ ::ﾑ:ﾊ::::::.|::!:::.ヽ:.ﾞl:　i:. ; 　　 .　　 l |　　　. : :′
:.　　　　　　　 { /ﾚ/.:ｲ|::/:::::::Ⅴ:::!::!::::::|::.!　,::！..　／　　　l |　　. :／
＼:.　　　　　　ﾚヽ.{ :/刈ﾄ:::::::::ﾚ､:!:ｲ::::::!:;'）/::从／　　　　｜: : :／
　 `＜: : .＿　、　ﾚ从ﾄi､::::::::::::::＼!::::::〃/.:/／　　　 . :| |／　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 γ＼:.　　` ヘ:::::::::::::::::::::ｲ,ｲ／　二ニ＝― | |
　　　　　ｉ　　 `＜: : .`ﾄ＞_　_＜／ィ≦イ　ヽ　　　　 | |　　　　　　　　しかしさやかは、衝撃任せに刀を捨てる事で
.　　　　　　｜　　　_,､二、｀＝＝-‐'´__,､_ 　 ,　　゜.　　　 | |
　　＿＿____j.、　　辷宀､ﾄ,、_ __,ィく,ィ宀くヽi 　　ﾟ.､　　| |　　　　　　　　無様な仰け反りを回避した。
　／:i:i:i:i:i:i:i:i:｝≧＝ｲ:i:i:i:i:i:ヾくУ＞':i:i:i:i:i:i:i:Υﾄ--≦ｲ　　 | |
/:i:i:i:i:i:i:i:i:rf｀T ―‐' ､:i:i:i:i:i:i:i:ヽｲ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾉ:ｉ:`r ¨´ '.ー‐:| |―-､　　　　　　　そして懐から三本目を抜刀し、構え。
:i:i,く＞＜ﾉヽ|,.ｨ==┴ヽ:i:i:i:i:i:i:人:i:i:i:i:i:i:i:i ィくyｰﾑ ___ﾉく:ｉ:ｉ:| |:i:i:i:i:‘,
:i:iゝｉ　　｀ヽく:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ辷＝´o}{o｀二二/／．`ゝ.:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ| |:i:i:i:i:ｉ:{　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:i:｛Y　　　　　 Y:i:i:i:i:i:i:i:iゝ―――-|･｀ーく:._　〟＼:i:i:i:i:i:i:| |:i:i:i:i:i:iゝ―-､
:i:｛_!`　　　　ゞ､:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i｝　　　|:!｀＜_ 　｀ヽ:i:i:i| |:i:i:／:i:i:i:i:i:i:i:‘,
:i:if｀iｰ-　　　　　＞―――ｧr―‐|　　　.|′ __ `ー‐-くﾒｉ| |二｀Y:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
:i:i:くヽ.　　　　／　, ′＞､/ハ__` ＞＜⌒ヽヽ.＼く￣`'}:くY／,ﾞ |:i:i:i:i:i:i:i:i:,′

321 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:32:37 ID:FkQQwRpc0

-‐…･･････････････・･･･……‐-　　　　　 _
　　　　　　　　　　　　　　　　　 " ''　 ‐-　　　 ≧s｡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞｡,　　　〕iト　　　　　　　　三 ' "´￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 - -　──　＝　ニ　三　三::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　＼,　三/:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─　＝＝　ニ　三　三:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　}　　　　}. 三::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 - ─　＝　∥　　　 ∥ .三|::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ｱ　　　,/　　　 .三ヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─　__ア　　　,／.三　三　三　　　　　　､＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞゛　　ィi〔　　　　　 ≡　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞'"　　ィi〔）ヽ　　　　　　　　,-|　.　|
　　　　　　　　　　　　　　　　_　≧=-‐ ''" ｡r ≦゛.─　＝＝　ニ　三　.三　i､___,l　　咄嗟に飛びのいた魔法少女の鼻先を、
　＿__　　　　　　　-　‐…･･････'' "　　　　　　　(⌒）　.｡；　ﾟ　,, 　　　　　）ｿ(___i）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (⌒・⌒　・＝　ニ≡　三三三　　　　.弧を描く刃金が掠めてゆく。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '';:.　,､,,･：･､､,,＝＝ニニニニ三
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀　　　　　　　　「――全く、こうも湯水みたいに刀を使うとは。
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!　　　　　　　　やり辛いったらありゃしないわ」
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|　　　　　　　　　　　　ぼそりと、忌々しげにキル子は呟いた。
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

322 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:32:48 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　ｌ.::::::::::::::|､:.ｌ:/゛ .i'"　｀'i .ｌ.::,ｌ::::::::::::::/
　　　　　 .ヽ:::::::::::| ｀彳　 .`'―‐゛ .'!"|:::::::::::./
　　　　　　 .ヽ::::::,!　　ｌ　 ...／＼　 / .lﾞ::::::./
　　　　　　　 .｀ﾞ"　　｀i'‐'ﾞ''''''''''ﾞ‐'|　ﾞ'''''"
　　　　　　　　　　　 ,ﾍ1、　　 /へ
　　　　　　　　_　 -イ::::::::::,ﾍ　／／::::::｀ト-　　 _　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　／: : : : : :!::::::::::::, ﾍ/ /::::::::::::/: : : : : : :＼
　　　　／: : : :i: : : : !::::::::::::::ゞ_/::::::::::::/: : : : : !: : : : ＼　　　尋常の剣士ならば、大抵は二本しか刀を持てぬ。
　　　./: : : : : :!: : : : ヽ::::::::::::／:::::::::::/: : r'1: : ! : : : : : :
　　　/: : :/: !: :!: : : : : : ＼／:::::::::::／: : : iz!}: : i : : : : : :　　　そして二刀持ちどもの剣術は、刀を折らぬよう手放さぬよう、
　　./: : : :!: :l: :i: : : : : : : :/:::::::::::／: : : : : |Z1: : !: : : : : :
　 /: : : : :i: : V: : : : : : ／::::::::／::: : : : : : :!ｷ!: : i : : : : : : 　　丁重に扱うのが常道である。
. /: : :/: : l: :/:: : : : :／::::::::／: : : : : : : : : :!ｷ!: : l: j1: i : :
/: : : :! : : l: :! : : :／::::::::／: :rｭ､: : : : : : : !ｷ!: : !/1: :l:/　　　戦いの中で剣を失えば、それは死に直結するからだ。
: : : : i! : : i: :!::／::::::::／ : : ::'-<:ｷ、 : : : : !ｷ!:: :l: { : :j1:
: : : : :i: : : !: :Y:::::::／ : : : : : : : :＼ｷz、: : ::!ｷ!:: :!: :!: :ﾘ :.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
: : : : :l : : :! : :∨´: : : : : : : : : : : : :＼ｷz=,f＝}rz! :i: : l: :
: : : : :l: : : !: : : '.: : : : : : : : : : : : : : : l:＼}! }l__j: : : j: : :! :
: : : : :l: : : !: : : : r──--------　‐'下zｿ::::::::::::!1: : :!::
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　　　　　　　　　 __,.　──-　_
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　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,　　　　　　　　　　　　　　　　ではもしも、人が数多の刃を持てたなら。
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　　　　　　　　　　　　　　一本や二本の剣を手放そうが刀が折れようが、
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　構わず戦い続けられるものがいたならば。
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧
　　　　　　|::::::::| j　　｀`ヽ､　∨::::ハ

323 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:33:15 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,, ＿
　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -'"__:::::__:::::::｀ヽ､
　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓　　　 . _／:::: 「`::::::　 :::::::ヽ:::::ヽ
　　　　.:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: . , .ﾊ::ﾊ:::::/＼:::::}:::::::',
　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ　　　 .それが扱う剣法は、既存の剣術とはまるで異なる　　　　　.i::::{::::!..ﾚ'::::::::Ｖ:::::::::ヽ/::::::::i
　　　　 |:::::|::::::|（●）　（●)|::::|::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　iヽｌ . ｌ:::::::::::::::::::::::::::::ｌ:::::::::::i
　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀　　 .異形の剣になるのは明白である。　　　　　　　　　　　　　　　ヽ|〉ll::::::::::::::::::::::::::::::|::::i:::ﾊ
　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒ヽﾙ;ﾍ:::::::::::::::::::::::::::::iノ/⌒i
　　　　 |:::::|:::::{´ ヽヽil､:::|:::::|　　　　　 .そこまでは、キル子も理解はしていたが。　　　　　　　 .＼ / 　ヽ i＞,､ __,　イァ /　 /
　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ',:|:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（./　　,i .{ ,-ＹＹ=　 } .ﾍ､_,∧
　　　 |:i|:|:::::| 　 |┴─i:|:::::|　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.　　　ヽ　、.i . . |くハ」|　ヾ:::　丿'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -＝-　 .　　　....rｪｭ
　　　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ=- ､}ヒ{
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ＼　　　へﾆﾆﾆ/￣｀　＜/　γ⌒ヽ
　　　　　　　 /: : :{: : : : ヽ : : : ',: : : : : :,.／　　ヽ /　　　　＞‐乂__ソ
　　　　　　 ./ : : ∧: : ｉ、:.', : : : !: : :..／　　　　ﾟ,　　　　　　　 }ヒ{
　　　　　　　i: i: /:::::＼| ＼ﾄ､ﾄ､:|: :./ ￣　‐-　 _ /　　　　　　 f二二二l
　　　　　　　|:.Ｎ::::::::::::::::::::::::::::::::|:./　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 .| 矧
　　　　　　　|:八::::::::::::::::::::::::::::::::.ﾉ　　　　　　　　＼　　　　 | 矧　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　∨≧=‐-　-‐=.／　　　　　　　　　｀　‐- ､　 | 矧
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　／／〕iト､矧　　　　それでも、さやかの次の動きは測りかねた。
　　　　　　　　　　　　 /　、　　　　　　　　　／／　　　＼|
　　　　　　　　　　　　　　 ′　＼　＿　 __________　　　{/　　　　　 ',　　　 ……彼女は刀の届く距離でもないのに構え、
　　　　　　　　　　ｉ　　　　 /＿＿＿＿｀ヽノ　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　 }　　　　　 /　　　　　＞　´　　　　　　　ﾉ　　　　.一本の刀を大きく振り被り、そのまま――
　　　　　　　　　　 {＿＿＿r'　　　＞ ´　　　　　　　　 /矧
　　　　　　　　　　　 {ﾆﾆニﾉ＿__ / 　　　　　　　　　 _ ＜ .| 矧　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　 |!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ,〈　　　ヽ　　　 _　＜　　　....| 矧
　　　　　　　　　　　　　 Vﾆﾆﾆ＞ ´/ﾆﾆヽﾉィ≦/////ヽ　　 | 矧
　　　　　　　　　　　　　　｀￣´　　/ﾆﾆﾆﾆi!　｀＜//////＼ . | 矧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆﾆﾆニ/　　　　｀＜////,　＼_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆニ／　　　　　　＞///ノ//ヽ
　　　　　　　　　 {⌒〕iト.　 /ﾆﾆﾆ/　　　　　　　　 (/////////ノ
　　　　　　　　　　 V/￣　〕iト.ﾆﾆ/　　　　　　　　｀￣￣　´

324 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:33:38 ID:FkQQwRpc0

　　＼
　　　　　､
.　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／! 　　　 .／
　　、　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　│　　　／
.　　.....＼　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 .l　　／　　／
.　　　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 |.／　　／ ……‐-ミ
　　　　　　＼　　　＼.　　　　　 |　　　　　　　　／　　　　　／　　／|.: : : : : : : : : : :＼
.　　　　　　＼　　　＼.　　 Ν‘,　　　　 .／　　　　　／　　／ : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ
　　　　　　　＼　　　＼.　 | 　‘　 /l 　.／　　　　　／　　／.: : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',
.　　　＿_＿_＿_＿＼　　　＼j.　　∨ :|／　　　　　／　　／.ｉ: : :.ｉ: : :.l／:::::＼|::ヽ:_!, ﾊ: i:.ｉ
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／. 　|: : :.|: : :.|::::::::::::::::::::::::::::::::jｲｉ:|ニ〉、
.　　　　 _＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .∠,,＿＿＿＿＿.|::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:ﾊ|.　‐ }､　　　　　　　_
─=ニ二.＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|≧=‐-　-‐=≦∨.　　　　}　　　　__r ´　ヽ
.　　　　　＿.二ﾆ=‐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　/ ‐‐‐‐‐- ､__./＼_ﾉ＿__ ノ _　-＜ニヽ　　ﾉ
─=ニ二.＿＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∠,,＿＿＿　　　　｀7ヽ __　＜ﾆﾆﾆﾆﾆ＞ ´￣
　　　　　　　. 　 -‐　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _＿_＿_＿_＿_.二　　　　/ /ﾆﾆﾆﾆﾆニ＞ ´
-‐　　　　　　　　　　　　　　　　 l 　　l　　　　　　＼　　　＼.　　　｀'' ‐-　...,,_　　/ /ﾆﾆﾆﾆ＞ ´
‐──────…ｧ　　　　　 i:ｌ　　 l:ｉ: 　　　　　　､　　＼.　_ ＿ .　＜　　￣　} ￣　　　　 .┏━━━━━━━━┓
　　　　　　　／　　　　　　　　ｌ　　　 l:，　　　　＼　　＼　　　＼　　　.､- ､　　　 i|
.　　　　　　／　　　　/　　　 .ｌ　　　　l‘　　　　　＼　　＼￣￣　　　 V }　　　 i!　　　　　　　　　 ――投げる。
　　　　　　／　　　 /　　　　 .l　　　 .l∧　　　　　　　＼　　＼　　　　 .V}　　　 i!
　　　 ∠,,＿________/　　　　　 .l　　　　 .l ∧ l. ､　　　　＼　　＼　　　　ｿ　　 /　i!　　　　　　　 ┗━━━━━━━━┛
.　　　　　　　　　 / 　　　　 l　　　　　 .ｌ＼',|　＼　　　　＼_＿＿＼　　...{i 　 /
　　　　　　　　 /　　　　　l 　　　　 l＼＼　　＼　　　　　＼.ハ　　　 |!/,/
　　　　　　　　　/　　　　　／l　　　　　ｌ　　　　　　寸､＼　　　＼.　　　 /　　　 /
.　　　　　　　 /　　　　　／　 l　　　　　　ｌ　　　　　　　＼＼　　　＼ ―/　　　 /
　　　　　　 /　　　／　　　l　　　　　　　　ｌ　　　　　　　＼＼　　　＼.　　　　/
.　　　　　　./　　／　 . 　　l　　　　　　　　 l.　　　　　　　　　＼　　　　　＼.￣}´}
.　　　　　 /　　／　 . 　　　 l　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　＼. 　Vﾆﾆヽ_ﾉ_/
　　　　 /　.／　　　　　　ｌ　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　＼..ﾆﾆﾆﾆ∨
.　　　　/.／　　　　　　 l 　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　＼.ﾆﾆノ
　　　　　　　　　　　　 l 　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　＼

325 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:33:51 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　, - ─‐ - ､.
　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 .,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 !:::::::::::::/!::::::::::::::::::::､::::::::::::l　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::i/i:::::::::::::::::::::ﾊ:::|::::::::!
　　　　　　　　　　　　　|l:i::::::::i/.|_::_l_:::::_|_::::|zi:|::::::::|　　　　　　　　　　　 ……放たれた剣は一直線の軌道を描き、
　　　　　　　　　　　　 |::l::::::::|ﾟ●ｿ`:::::::::'ﾟ●ｿ!:::::::::i
　　　　　　　　　 l:::|_:i|:::|ﾞ¨ ´:::::::::::::::ﾞ ¨´|_::li::_|　　　　　　　　　キル子のすぐ隣の樹に、深々と突き刺さる。
　　　　　　　　　　　　|:::::l:::::::!　　　丶　　u.|:::::|:::!
　　　　　　　　　　　 l::::::|::::::|＼. 　 ‐‐ 　／i:::::l::l　　＿＿＿_.　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 l::::::l:::::::lヽ.l＞､. _ .イ_l:::::i:::::l:|　　＼＼、＼　　　　 ,､
　　　　　　　　　　　　l::::::l:::::::l 　ヽ､　　 ,//!:::::l::::l!l 　　　＼ヽ＼＼_,､　　/ i}
.　　　　　　　　　　　 l::::::l::::::::|.　　ヽヽ／/　!::ﾊ::::l:|　　　　　＼ヽ＼　/　 }i /
　　　　　　　　　　 l:／|:::::::::ﾄ、　　ヽ／　 .l:::l l::::ﾄ､　　　　〉　＼＼／, ′
　　　　　　　　　　　/　/::::::ﾊ:! .ヽ　　/ 　　 |:::| l:::l　 i　　　　　..` ⌒> ／く
　　　　　　　　　　 ,'　 l::::::/　l!　ヽ. / 　　 /l:::! !i|! 　l　　　.._､ｰ=彡'⌒ヽ.癶、
　　　　　　　　　　,' 　 |!|::l　　　 ∨ 　　 ,'　l:l　l.l! 　 !　　　｀``｀　　　　　寸ｉ>､
.　　　　　　　　 ,'ヽ、.i::l::l| /　　 / 　　 ,' 　|:|　!| /　|　　　　　　　　　ﾞく心、
　　　　　　　 ,'　　ヽ|:l!:/ 　／　　　 ,'　　i::i　l/　　|　　　　　　　　　　　寸癶__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ'､ヽ)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｰ′

　　　　　　　　　　　　　　 ,. . .-―‐-. .､
　　　　　　　　　　　　　　 ,. .':´: : : : : : : : : : : : :`ヽ、
　　　　　　　　　　／: : : : /´: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : ;ｲ : : : : : : : : : : : : : : : : ‘，
　　　　　　　　 /: : : : //::|: : : :l:.: : : : : : : : : : : : : : ',
.　　　　　　　　　 ,':/ : : // :::| ﾄ: : ﾄ; : : :.|: : : : : : :',: : : :l　　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　 l/| : |: 「 ::::::!:|ヽ:.:| ', : : |: : : : :l: : :',: : : !
　　　　　　　　　 l! !: :|:/::::::::::|:|　ヽl｀`ト､|: : : : :|≫:.l: : : !　　　　　　「ありゃ、外しちゃったや」
　　　　　　　　　 |: :|;::::::::::::::l!::::::::::::::::::::!: : : : :!≫:.| : : |
　　　　　　　　　 |: :l |::::::::::::::::::::::::::::::::::|: : : :.:ト､: ﾉ: : : l　　　　　　　どこか愉快そうに、さやかは呟いた。
　　　　　　　　　　 |: :!:|::::::::::::::::::::::::::::::::::|: : :l: ﾉﾉ/: : ∧:l
　　　　　　　　　　　 |: :! ＼:::::::::::::::::::::::::::::|: : l /イ/!: :/　ヽ!　　　　　　　「投げるの久々だからなあ。
.　　　　　　　　　 '; :ﾄ; :/＞.､＿　,,., ...|: :/ｲ: :/ l:./
.　　　　　　　　　 __V,.V-‐ﾄ;/ミ=‐＝''"| /.｀ﾚ'‐-ﾚ､　　　　　　　　　　　どうやら勘が鈍っちゃってますね、これは」
　　　　　　　　　　/　　　　　　　／{＿}＼　　　　　 ‘，
.　　　　　　　　 / 　　　　／／￣　＼＼_,　　　 ‘，　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　／　　　　r＜／..　　　　　ー､＼.　　　＼
.　　　　　　／　　　　／/￣¨うぅrぅrぅう心'''＼＼　　　＼

326 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:34:05 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -＝-　 .　　　....rｪｭ
　　　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　／ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ=- ､}ヒ{
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ＼　　　へﾆﾆﾆ/￣｀　＜/　γ⌒ヽ
　　　　　　　 /: : :{: : : : ヽ : : : ',: : : : : :,.／　　ヽ /　　　　＞‐乂__ソ
　　　　　　 ./ : : ∧: : ｉ、:.', : : : !: : :..／　　　　ﾟ,　　　　　　　 }ヒ{
　　　　　　　i: i: /:::::＼| ＼ﾄ､ﾄ､:|: :./ ￣　‐-　 _ /　　　　　　 f二二二l　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　|:.Ｎ::::::::::::::::::::::::::::::::|:./　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 .| 矧
　　　　　　　|:八::::::::::::::::::::::::::::::::.ﾉ　　　　　　　　＼　　　　 | 矧　　　　「ま、下手な鉄砲でも数撃ちゃ当たるかな。
　　　　　　　　∨≧=‐-　-‐=.／　　　　　　　　　｀　‐- ､　 | 矧
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　／／〕iト､矧　　　　……けどキル子、ちゃんと避けてよー。
　　　　　　　　　　　　 /　、　　　　　　　　　／／　　　＼|
　　　　　　　　　　　　　　 ′　＼　＿　 __________　　　{/　　　　　 ',　　　これで勝つと、ほんと味気ないんだから」
　　　　　　　　　　ｉ　　　　 /＿＿＿＿｀ヽノ　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　　 }　　　　　 /　　　　　＞　´　　　　　　　ﾉ　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 {＿＿＿r'　　　＞ ´　　　　　　　　 /矧
　　　　　　　　　　　 {ﾆﾆニﾉ＿__ / 　　　　　　　　　 _ ＜ .| 矧
　　　　　　　　　　　 |!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ,〈　　　ヽ　　　 _　＜　　　....| 矧
　　　　　　　　　　　　　 Vﾆﾆﾆ＞ ´/ﾆﾆヽﾉィ≦/////ヽ　　 | 矧
　　　　　　　　　　　　　　｀￣´　　/ﾆﾆﾆﾆi!　｀＜//////＼ . | 矧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ﾆﾆﾆニ/　　　　｀＜////,　＼_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆニ／　　　　　　＞///ノ//ヽ
　　　　　　　　　 {⌒〕iト.　 /ﾆﾆﾆ/　　　　　　　　 (/////////ノ
　　　　　　　　　　 V/￣　〕iト.ﾆﾆ/　　　　　　　　｀￣￣　´

　　./　∧
　 ./　/∧
　/　.//∧
　　////∧
　　.////∧　　　　 .　 ' "´￣｀ : ､
　 //////∧. 　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　.///////∧　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　 ///////∧.　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　.////////∧ |:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|
　/////////∧´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　　　　　「無茶言わないで。
　 /////////∧　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　.∨/////// ∧了: :7× / _ﾉ　　＼|:::::|　　　　　　　当てたくないなら、きちんと自分で外して頂戴」
　　＼///////∧ ｀フ: : :.Y_ノ￣ヽ　 |:::::|
　　　＼//////∧〈＿_,r'´　　ノ　 /::|i:|　　　　　　　　内心で頭を抱えながら、それでもキル子は剣を構えた。
　　　　　＼ ////∧_／､　　 / _ イ:|::||:|
　　ﾄ､　　　＼////|‐､: . :レ '´　　 .ト､| ||　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　| ｀　､　　＼//,ｲ l／　　　　　　　ヽ′
　､ l　　　｀　､　＼/イ　　ヾ　　ノ　　　 Y

327 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:35:19 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　 : ﾞ''-､,　ﾞ'-､　　　　ヽ,　　　　　　　　 l..l.′　 .lﾞ ./ /　 ,il′　./ ／
｀'''ｰ　,,,、　 !　　　　　　　　　　　　　　　　｀'‐､,.｀'-､　　　　　｀- 　　　　　 !.!l　　 lﾞ / /　,,---------
　　　　 . ｀'''.!　　　　　　　　　　　　　　　　'ｰ..,,.｀''-.. ＼　　　l ──----- 　l.ゝ　 ,"././ / 　　　　　　　!
　　　　　　 │　　　　　　　　　　　_,　　　｀''ｰ..,｀''‐ .｀''-ﾞ'=i、 !　　　　　　　ｌ .l.∵ .".． ./　　　　　　 |
　　　　　 |　　　　　　　　 - ..,,,ﾞﾞ'''ｰ　,,　　　　　　 l　　　　　　 ! －　　 / 　　　　　　　　　 !
,,,,＿__　　　　　｀ﾞﾞ''''―　..、,i―- ..,,,,_.　｀ﾞ''''ｰ-　　　　　　　　ゝ､,　 .、　 .､ .､ .!.丶　 ./ ./ 　.,-　　　 . _..-'"
'''￢ｰ｀-｀-ﾆﾆﾆ';;';;ｰ-.- ./ 　　　　　 : ~¨''''―- ..,,　　　　　　　　｀'-､＼、ヽｌ .!　　,/,./ . ／ ,／_..-'"゛
　　　　　　　　　　 / 　　　　　　　　　￣''''―-. 　┏━━━━━━━┓　　./ 　'"∠./ ´
　　　　　　　　　　　　ヽ、　　　　　　　　　｀￣二二,,,,,,　　　　　　　　　　　　　　　 ″
＿＿＿＿＿＿＿＿　. ｀'-、　　　　　　　　　　　;;;;;ｰ　　　　（剣戟）　　　　　　　　　 ,_￣ﾞ"'''''―x
--ー‐ー‐ ―‐￢'' '''''''　''" ｀'-、 ._,,,,..　-ｰ''''"ﾞ´　_,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,_｀ﾞ"'‐　　ヽ
　　　　　　　　　 __,,.... .;;;;,,ｯ.―‐_,,,..　-‐;;./ ´　　....┗━━━━━━━┛.i .i　　　　　..,ﾞ"　　　　.ヽ
　　 . _,,,,..　-;;ﾆﾆ｀-ｰ'二ﾆ--‐''''ﾞﾞ,ﾞ.. -‐'''ﾞ,ﾞ．　　,,,　‐'"゛ ,..-'",／ ,,‐　　　　.、.! .|　.i .､　＼.`　　　　 ,,ﾉ
二｀-‐'''"ﾞ´　 .,i''''"ﾞ´　　　　　　　　 : '"´.,.. -''"゛　　　　´　 ‐゛ ,./ .,　　　　/　′!　 ! .l|、　 .＼　　,／ .゛'.‐
　　　　　　　 !　　　　　　　　　　　　　‘ l　　　　　　　　　　　　 / 　　　 ./　　 ."　.|　"L　　　｀''" .:、 .
　_._..ぃｰ''"´ /　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　　　　 / .,i　　　 /　　　　　│　 .ｌ　'l,　.､ .'､, ｀'-,丶
ﾞ~　　　　　 . l　　　　　　　　　　　　　　 lﾞ　　　　　　　　 / .,i"，　　 / 　　　　　　ｌ.　ｌ.　ヽ　｀　 .｀
　　　　　　 .lﾞ　　　　　　　　　　　　　　し.＿_＿_＿_、　　/ ./ ./ .,．　/　　　　　　　ｌ. ..ｌ,　ﾞ'
　　　 _.. -''.l゛　　　　　　　　　　　 ,／　　　　,,．,ﾉ￣´　./ ./ ./ 　 /　　　　　　　　　　　ｌ　"
. -'''″　　ﾞ‐'-　..,,,,_　　　　　 _／゛　　　　.／../　　　　　 " ./　/./　　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　￣''''';;ｰ-'"　　　　　 ,./ .／　　　　　　　　 /　｀'-､　　　　　　 ,..-'´
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.

328 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:35:43 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　 //::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / / //
　　　　　　　　　 || |:::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -/_/ //
　　　　　　　　　 || |:::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / └‐ ′/
　　　　　　　　　 || |:::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀¨7 7¨¨´　　　　　　　　 ∠ニ}
　　　　＿　　　　 || |::／}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　　　　　　　　　/ / //
　　 / /::i 　　 ∠二／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　　　　　　　　　/ / //
　　l|| |::::| 　　　 | | |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　　　　　　 -/_/ //
　　l|| |::::| 　　　 | | |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / /　　　　　　　　 ./ └‐ ′/
　　l|| |::::| 　　　 | | |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ~~~~　　　　　　　 .｀¨///¨¨´
　　l|| |::／}　　　 | | l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ///
　 ∠二／.　　　　 | | l.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ///
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 l| | |　　　　 | | |
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　　　　　 ――ほどなくして。さやかが投げ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／∨ﾊ
　　 l| | | 　　　 ~~~~~~　　　　　　　 .あるいは捨てた剣の数は、四十を超えた。　　　　　　　　　｢￣／::／／
　　 l| | |　　 /二＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | く:::／／
　　 l| | |　　...＼＼::＼　　　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛　　　　　　 .／{ 廴／
　　 l| | |　　　　＼＼::＼､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／廴_|
　　 l| | |　　　　.く　＼＼}　＼　　　 f二＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　 ~~~~~　　　　...＼￣　／　　　 {:::＼ノニﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　　　　　　　　　 .＼／､＼　　　 ∨∧ 　 V',　　　　　　　　　　　 ∠二二}　　　　　..／／
.　　　　　　　　　　　　　　ヽ＼.　　 ∨∧─V',┐　　　　　　　　　　 //:::::/ //　　　 .／／
　　　　　　　　　　　　　　　ヾ＼{ ￣　　　　　 }　　　　　　　　　　 _//＿/ソ/　　　.／／
　　　　　　　　　　　　 ~~~~~~~｀¨¨¨ﾏ¨ﾏ¨¨´　　　　　　　 {＿＿＿__ﾉ　　~~~~~~~~
.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V∧　　　　　　　　　　 //::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨',　　　　　　　　　　 //::/　　..

329 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:35:57 ID:FkQQwRpc0

　　　〃:/:::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　 //::::::::::::::::::/:::::::::::::i:::::::::i::::::i:::::::::i::::::::::::i
　　//!::::::::::::::/::i:::::::::::::ll:::::l::H:i:::::::::::::!::::::::::::i
　 // !:i:::::::::::ii:ト!:::::::::::;ﾊ::＿LLV::::::::jヽ::::::::ﾊ
　 /　LL:::::::〈/:::|::_./l l l l´,´●｡j:::::::/ /::::::::::ヽ　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 |:::::ﾊ/｡●;　　　　` "´::::::/ノ::::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::ﾊ｀"　､　　　 /::::::/|:::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　荒くなった息を整えながら、キル子は考える。
　　　　 |:::::::::ﾊ　　　　　 /:::::/　,ｲ!::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　 '::::∧::::ヽ..._　‐ -　,:::::/／　ﾞ､._::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　 ……暗器は相当に目減りをした。軽率に投げ、
　　　　 ,'::::,　ヽ::::::::::::＞‐イ::::/'　　　 ,.イﾄ‐‐-::､::::::::::::::ﾊ
　　　 /:::/　　＼:_,.ｨ'　|/::::/　　　／　　　／｀ヽ::::::::::::ﾊ　　　　　軽率に棄てる剣法の終わりは、確実に近づいている。
　　　 /:::/　　／´ i　 /:::/　　　,ｲ　　　./　/ 　 ';:::::::::::::ﾊ
.　　　/:::/　　ﾊ　　 ! /:::::/　　,/ 　　　 /　,'　　　',:::::::::::ﾊ　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 /:::/　　　l l　　 |./::::/　　/　　　　 /　/　　　 ,::::::VV
.　　/:::/　　　 | |　　 !':::::,'　 ./　　　　　 i　/　　　　　ﾞ.::::::::/
　　/::::l　　　/ !　　/::::::,　 / 　　　　 j /　　 ,..-‐'"~〉::::::､
　　!:::::|　　　,'ヽ!　.//:::::|　/　　　　　 !/　,.ｨ_,. -‐'"´ヽ.::::::ヽ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　＼.　厶ｲﾄ.:::::::::::::::::::::/ｲ{/ /　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 }　ヽ
　　　　　　 .ヽ＿___＼:::::: イ彡ｲ／　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　　　　　　　　/}ﾉrマ⌒＼⌒ー──＝彡　　　　　／　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　 / 　 /
　　　　 ._ﾊﾊﾊ./:.: /⌒ヽ}r､_ 丶＿　　　　　　　／´￣￣￣　　　　　　　｀ヽ.　　　　　 / 　 /
　　　｀>　{廴／{.:.:.:.:./⌒ヾ}┐_＼＿_＞r─＝彡　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　￣　　　ゝ─{.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　＼__ノヽ
　　　　　　　 .,ｨ/　 //＼.:.:.:.,.イ　　　＼/｀＼　　　　　　　　　　　　 ――そして、そこからが本番だった。
　　　　　 .{厂　　 //　　｀¨´/､＼　　　＼: : ＼
　　　　 {{乂＿／{弋　　　ハ}}:.:.＼､　　＼: : ヽ┐　　　　　　　 .彼女の魔法の本質は剣が尽きた先にある。
　　　　 {{.:.:／.:{￣＼＼＿_ ノ}＼:.:.:.',} 　　　と"´へ
　　　　　..〈∨.:.:.:.|: : : : ｀¨ｱ¨マ¨´: : }ﾄ､:}｝、　　　 } r､ヽ＼　　　　　おぞましい事に、先までの異形の剣法は
　　　　　　.〈＼:.∧: : : : :∧.:.:.:.:＼／.:.:.:＼} 　　 └′＼}jjj
　　　　　　 .＼{､. :｀¨T´.:.:.',.:.:.:.:.:.:＼.:.／ﾉ　　　　　　　　　　　　　ただの魔法の副産物でしかないのだ。
　　　　　　 | ｀¨ｱ¨⌒ーﾍ二二イ〈´
　　　　　　 |＿/　　　　 {＼__ノノ}　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　ノ⌒}　　　　　　＼＿彡' ＼
　　　　　 /＿／　　　　　　　＼　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　弋Ⅵ :{
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.

330 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:36:11 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　／::::::::::::/::::::::::::::::::､:::::::::＼
.　　　　　　 //::::::::j::::::::::::::::::ｉ:::::::::ヽ::::::::::.',　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 i |l:::::::ｉ::ﾊ::::i:::::::ｌ::::l:::::::::::l:::::::::::::
　　　　　　 |ｒ::::::ｉ:|::| |::::::::::::::::i |::|ヾ::|::::i::::::i　　　　実のところ、キル子は最初から気付いていた。
　　　　　　 |::::::::|七 T'､─‐┘T＝ﾚ| :::|:::::|
　　　　　　 |:::|::ﾊ !｡●ﾟ;　　 !｡●ﾟ,!:| :::ﾚ::::|　　　　...さやかの放つ魔法の、恐るべき正体に。
　　　　　　 |´ヽ:::l ｀" ´ 　,　｀ "´　|:::::i:::::|
　　　　　　　　|::人　　　　　　　ｲ:::::l:::::|　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　ノ:::::::＞.　　´｀　　,.ｲ::l::::::'::::::|
　　　　　　 /´ｉ:::l::::::::::::｀ r-‐ ",. -::ｉ::::/:::::::|
　　　　　　　　|::ｉ::::_;／ !|'　／／/:::/i__:i::::|
.　　　　　　　,ｨ|::|´| !　 ! |／,ｲ　/::/"　｀ヾ､　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 ∧l::::!.|　! 　|У"　,/::::,'　　　 / ! ヽ
　　　　　 /　,|:::| !　! .／　　,/:::::/　　　./ j　　ヽ　　　　　　　　　　　.そしてその恐るべき正体にまで辿り着かねば、
.　　　　　/　/:::::| |　|/　　　/.|:::::|　　　/　l 　:.　ヽ
　　　　 /　|.|:::::::| .!/　　 ,ｲ' ,::::::|　　./　/　　:::....∧　　　　 .　　　　.自分には一部の勝ち目もないだろうという事実にも。
.　　　 / 　 |!:::::::!,ｲ　　 //　,::::::| 　 / /　　　::'　丶
.　　　,'丶　,::::::::|"　　 /,' 　 !:::::| 　 l /:　　　_,.ｨ'"´ﾞ､　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 ,'　　 ,:::::::::|　　　/ l　　|:::::::| ／,' 　_,..ｨ'"´　　　ヽ

　　　　　　　　　／. : : : : : : : : : : : : : : : : `: ､
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　　　　　　　　　. : : : : /: : :/: : : : : : : : : : : :/ : : : : ヽ
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　　　　／イ : : ∨ : : : |/::::::::::::::::::::::::|/::::::|/'/ ; : : : : :ﾄ{
　　　　　　 {: : : :,' : : : / ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:/: :/¨ヽ/ ゝ　　　　 .「――ねえ、キル子。ひょっとして、気付いてた？」
　　　　　　 ∨|: :| : : :/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}/: :/ 　 }
　　　　　　 И|: : /＼ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/: ?逢　/　　　　　　　　唐突に、さやかは尋ねる。
　　　　／⌒＼ｊﾊ/　＼丶 ::::::::::::::::::::::::::::::ハ/'|　 {
　　　／..　　　　ヾ、　＼_`_┐ ―┬ : 升:/　} 　ヽ　　　　　　　肩で息をしている割に、その声にはまだ余裕があった。
, -‐´.　　　　　　 `　､　 {ﾞX＾X7ﾞ:｜:/r‐く__/　 ,　ﾍ
|＼　　　　　　＿＿＿｀ヽ‐､>＝'＾|:/人＿ノ／　　 {　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
|　＼　　　　　／ __r-(^～､_　　　 /＼｛　（_ ／　　}
|　　　ヽ　　　/r-{< >''"￣`ヽ〉-r'"ニ).　λ_　（_／　!
|　　　　　｀　.>'".:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`／.:.:.:.ヽ　ハ｀ヽ（_／ /
　　　　　, rく.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}.　　＼＿r‐'"〉

331 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:36:35 ID:FkQQwRpc0

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　　　 ´ |::〈　　　|_::::::!:::::|:::::|:::::|
　　　　 ´ iヽ‐　　_,.|｀:|::::|:::::|:::::|　　　　　　　　　　「……気付いてたって、何によ」
.　　　　 |:::::7 l/'　　ﾞ｀1::::::|:::::|
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　　　　　　　　　　　 l　ﾄ::::::::::::::::::::::::::::::::: 　 | ）　　!
　　　　　　　　　　　 | 从:::::::::::::::::::::::::::::::|　ﾑ′八!　　　「とぼけないでいいよ、あたしの魔法のこと。
　　　　　　　　　　　 |ﾙ' ヽ::::::::::::::::::::::::::::! /　/ﾚ′
　　　　　　　　　　　　 |八/≧ｒ-‐　7/|ﾙ/ノ　　　　　　 .――例えば、あたしがどれぐらい暗器を抱えてたかとか。
　　　　　　　　　　　　　　　＿ｒ‐ミ.､≠ ﾍ＿
　　　　　　　　　　　　　／｀´ Ⅶ ＿　|l|. ＿Ⅳ ヽ　　　　　　　他には、それが何を意味するのか、とかね」
　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅶ!. . .ミT´ . . | 　 l
　　　　　　　　　　 /　　　　　　| . . . 八. . . i! 　 |　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　　　 /　　　　ｉ　　 l. .／||.||＼. j 　乂
　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ゝ＝||.||=≠　 '， .ﾉ
　　　　　　　　　 '，　　i!　　　　　　　　　　　 }/

332 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:36:52 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　.....-─:::::-..､
　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　/:::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 ,:::::::::::::i:::i:i::::::::::::::i:L::::::::ﾊ
　　　 i:::::::i:::::i:;ｨｿ:::::::::::::込､:;ﾉ:ﾊ
　　　 |:::::::i:::::!､;jｨ彳'"´'{ﾟ●;::::!`　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:::::::ﾊ::ﾍ`ﾟ●〉　､　""}:::!
　　　 V:::::ヽVﾍ""　　　　/::::i　　　　　　　　　　「――まあ、眼は良いからね。
　　　　|::::::::::Vﾍ:ｪ　＿´／ l::::l
　　　　|::::::::::::,Vﾍ｀ヽ､ﾄ.ヽ.ｊ:::::|　　　　　　　　　　　あなたが四十余りの暗器で体を守ってる事なら
　　　　|:::::／ .｀Vﾍ　ヽ.|　||:::::l
　　　　|::/ヽ　　Vﾞ:.､　ﾞ!　|ヽ:j'　　　　　　　　　　　　　　料理屋で会った時から気づいてたわ」
　　　　|::i　ヽ|　　　'‐ｧ､ |　|　ﾞﾔ
　　　　|:::! 　＼　　　　j 　|　　l|　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　|::::!　　　ヽ、 /　 / 　_ﾉ|!
　　　　|::::| 　　　 V 　 / _,.ｨ'"! i
　　　　|::::ﾔ　　　　ﾔ'´　　　　|　!
　　　　|::::/､　　　　ヽ　　　_,ｲ　|

　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　 . . : : : : : : : : : : : .
　　　　　　　　／ : : : : |＼: : : : : : : : ＼
　　　　　　　 /: : : : : : : |: : : : : : : : : : : : ヽ
.　　　　　　 ′: : : : /: :|: : : : : : : : ヽ: : : : :.
.　　　　　　ｉ: : : :|: /:::::::|: : : :|: : | : : :| : :ｉ: : ;
.　　　　　 |:! : : |/::::::::: ヽ: : |＼l＼: l: : :lﾌ: i　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　 |:! : : |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Y: : lﾌ: |
.　　　　　 |:! : : |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:|:| : :|　　　　　　「……凄いや。今まで一度も気付かれた事なかったのに。
.　　　　　 |:! : : |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | |:| : :|
　　　　　从: :八:::::::::::::::::::::::::::::::::::: ﾉ:从 i |　　　　　　どうやって気付いたの？　あたし、何かヘマしてた？」
　　　　　　　　ヽ: : ＞::::::::::::::::::::::::＜}/ｲﾊリ
　　　　　　　　　　＼{Ｖ｢￣幵￣|　ノ　 !'　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　　 ,. 　-rr┘__乂__└zz-　.,
　　　　　　 /　　　　／　　　＼　　　ヽ
　　　　　　／　　　／　　　　　　＼　　　∧
　　　　　　｛　　　／ ¨うぅrぅrぅう心''' ＼　　＼

333 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:37:04 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ　　　　　　　「別に、あなたは失敗してないわ。
　　　　　 |:::::|::::::|（●）　（●)|::::|::|
　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀　　　　　　　　単純なことよ。私の眼が見抜けた理由は、
　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀
　　　　　 |:::::|:::::{´ ヽヽil､:::|:::::|　　　　　　　　　あなたの暗器が見抜かれなかった理由と一緒」
　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ',:|:::::|
　　　　 |:i|:|:::::| 　 |┴─i:|:::::|　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　.., ‐=ﾆヽ
　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　 .!_i　　））
. 　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　　＿ノノ
　　　.' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　 //￣
　　ｉ: : :.ｉ: : :.|／:::::＼|::＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　.◎
　　 |: : :.|: : :.|:::::::::::::::::::::::::::::::::jｲｉ:|
　　 /ﾍ: : ､: : |::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:ﾊ|
　　　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨
　　　　　 Y´　{f⌒()⌒i}｀ヽ
　　　　　　 /　ｨゞ-介r'ﾞﾉ〈

334 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:37:18 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　　　　　　　　　　　　　　　 _,,
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　　　　　　　　　　　ﾞ‐'　|.ｌ
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､_;;;;;;;;|　　　　　　　 .,,,　　　　 .　ｌ､;ﾞ￢．
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　｀''" : l.;;;;;;;;;;lﾞﾞ'<;,v､;;;;;;;;;;/'　　　 .｀''''"　　　　　　　 !;;ﾞ''┐　　　　.ﾞ'ｰ'"
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .tナ‐'￣″ ∥ .｀'―ｰ!lｌt;;． .'　　　　　　　　　　!､;;;丿
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　　　　　　　ﾘ'i　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　 ,,、　　　,、
,! .／　　,i";;{_ 　　　　　　　　　　　　　　　 =!.!.ｌ　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マ　, ､,,,
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ　　　　　　　　　i'''j　　.!､,,;l,ﾞ,,r‐ｰ､　（――や、やだ、キル子おねえちゃ、た、助けて。
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア　　　,......、　　　,iﾐ;;/　 ,r'''";;;;;;;;;;;;;｝
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ｌ!　痛い、痛いよ、わたし死にたくない、しにたく、な……）
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,　　　　｀''''''ｉ_;;;;;;;;;i;;,ﾞ　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝ..r‐┐　　　i";;;;;;;;i┘　ゝ､;____,,／┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !　　 .〔;;;;;;;;;;;;ヽ :lﾆ二'ﾞ'';;．　　　　.,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,　　ヽ!　　　　　 "'"　　　　　.．　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'―- -ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'---､　　　　　　　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ'　　　　　　　　 l7　　　l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´　　　　　　　　　　　　　　　 !
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
. 　　ｌ,f:::i| :::::|:::::::||::::: |i::::i:::i
　　　 |:|:::::|_:::::|:::::::||:::::_|::::::|::l
　　　 |:|::::_| 　　 ,､　　 |_:::|::|　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:|:´:|ﾞ:､／ |l|＼,.ｨ|:｀::|::|
　　　 |:|::::|::/　　 |　　ﾞヽ:::::|::|　　　　　　　　　　　　「死にもの狂いで、鍛えたからよ」
　　　 |:|::::|/　　 ∧　　 |:::::|:::|
　　　 |:|::::|　　／,| ヽ　|:::::|:::|　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |:|:i'l〉ｲ´　 .|　｀ﾄ〈'i,::|:::|
　　　 |::::::＼_ 　 |:|　　 ,ノ:::|:::|
　　　 |仆ｲ|'i|｀ゝ' ﾞｰ:'´|::/|ilﾊ|

335 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:37:34 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　　　,,..､._,ii､ -,,..-'';,i'　　　|;;;;;;;;;;;;;.;v―ｰi;;,,v-ｰ'"　　　　　 ,,-- 、
　　　　　　　　ヽ./ 　｀ﾞヽ,;;;;__ゝ,, ..,,lﾞ;;;;;;;;;;./ 　　　　　　　　　　　 _,,iiiﾆｿ一'" : ii、
、　　　　　　　　　　　　 _,,ﾐ/゛　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ‐'―― .... r;;;;ッr‐'''''"゛　 .y､_
;ヽ、　.,ﾉ７　　　　　　　ヽ‐゛　 ,r''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i‐'"　　　　　　　　ヽ;.|
'''-､ﾞﾞア'"　　　　　　　　 {,ﾞ二､,,-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r‐┘ : :lﾆ;;．　　　　゛
　 ...ｌ′　　 :l";二ﾞ''''┐　　　　　 ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、　　　　　　　　　　　［'l、
._..．　　　_.　 ´　,〉;;;;;;ﾞ'ｰ､,　 . _,._..ﾐ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7.　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ.　（――やだ、だめ、死んじゃダメ！　目を開けて、
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` .、　｀''" : l.;;;;;;;;;;lﾞﾞ'<;,v､;;;;;;;;;;/'　　　　..目を開けてよ！　アンタが死んだら、あたしは何の為に……）
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　 .tナ‐'￣″ ∥ .｀'―ｰ!lｌt;;．
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　　　　　　　　　　ﾘ'i　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
,! .／　　,i";;{_ 　　　　　　　　　　　　　　　 =!.!.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　,i'''；　　　　 .|;;;;ﾞﾞ''''''";;.ｌ､
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　マ　, ､,,, 　　　　　 `''".ｨ;;-一'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞﾞﾞ'-|!!ゝ　　　　　　　　　i'''j　　.!､,,;l,ﾞ,,r‐ｰ､　　　　　　　｀''-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ､;;;;;;;;;.ア　　　,......、　　　,iﾐ;;/　 ,r'''";;;;;;;;;;;;;｝ ._.. ;;i　　　　　　 .｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;､
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ｌ!´二..,,,＿,..--'''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゛
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　 ,__　___
　　　　　　　　,.　':´|: :｀: : :｀:ヽ､
　　　　　　／: : : : |: : : ､:ヽ: ヽ:＼
　　　　　 /: i: : l: :A i:ヽ: :l: :l: : l i:､:ヽ
　　　　　l: : l: : l:/:::::|ﾞ､:i､: |ヾi.: | l: i: :|　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　|: i: l: |/:::::::! ヾﾞ､|rt-;|;:|: :l: |
　　　　　|: i:.ヽ|:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: :l: :{　　　　　　　　　「――ああ、そっか」
　　　　　!: i: : :i:::::::::::::::::::::::::::::::::::|: i: |
　　　　　i: l: : :|､:::::::::::::::::::::::::::::::,.!:/i/　　　　　　　 .腑に落ちたような顔をして、さやかは呟いた。
　　　　　 !!l i vr,ヽ､ _:::::_ , ィ;´//
　　　　　　　ヾi　 rﾉ--r-ﾞ-,´　　　　　　　　　　　 .「キル子も、魔法少女だもんね」
　　　　　　　__ ,..-'―-rr―'--.､
　　　　　　/　 |　　r'´,.AL　　､/｀ヽ　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　/　　ヽ _,.イ.liii l｀i､__/　　　!
　　　ｒ'´　　.V　L__/ |!!!-i L_」　,|　　｀ヽ
　　　ヽ｀ヽ /　　　/ l　　 l .i　　.ヽ_, r'::/

336 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:37:45 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　 ||..|爻乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂乂爻| .||
　　　　　　　　　　　　　　　　 ||..|爻ｲ只二二二二二二二二二二二二二二二二二只ﾄ爻| .||
　　　　　　　　　　　　　　　　 ||..|爻ｲ.|. // //　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ﾄ爻| .||
　　　　　　　　 __,.　──-　_ ||..|爻ｲ.|// //　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |ﾄ爻| .||
　　　　　　 , ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__.ｲ.|/ //　　　　　　 ' "´￣｀ : ､　　　　　　　　.|ﾄ爻| .||
　　　　　　　 .〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､. //　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 ._, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､　　　　 /:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　　　　　　 .7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ　　　　....ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|　　　自分と同じように、村を守りたいと願い。
　　　　　　 .i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ　　　　 .|:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|
　　　　　　 .ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ.|　　　　　..´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　自分と同じように、村を滅ぼされ。
　　　　　　　　 .ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,.ｲ.|　　　　　　　´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　　　　　　　 ./7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘｲ.|　　　　　　 |:::::|:::7 l/'　ﾞ1::::|:::::|　　　そして自分と同じように、
　　　　　　 .//　　　　　　　　 _,.　i|.|..|爻ｲ.|　　　　　　　 .|:::::|::ｲ./　 ,ィ |:::::|:::::|
　　　　　 ./ l　　　　 ,. -‐'. 　 /ﾄ､..|爻ｲ.|　　　　　　　 .|:::::|::i┴─:|　 |::::|::|i:|　　　それでも生き延びてしまった魔物。
　　　 ._,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／|爻ｲ.|　　　　　　 .|;'i/:j|＿＿_| 　l'i,:|::||:|
　　　　　　　　　　　　　　　_,. t≦=!|..|爻ｲ.|　　　　　　　 ./ |┴─ |＿_,'ヾ| ||...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 .＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y...|爻ｲ.|　　　　　　　 .｀ﾔ|　　　lrｪﾘ　}:| |　　　　　/ /|ﾄ爻| .||
　　　‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i::::: ﾄ. |爻ｲ.|　　　　　　　　　 | |　　　 |　 ,ｨ　　　　 / / .|ﾄ爻| .||
　　　　　　　 .j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧爻ｲ.|　　　　　　　　　　 | |　　　ﾚ'´|　　　　　　/ /　 |ﾄ爻| .||
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　. . . . . _
　　　　　　　　　,. : : : : : : : : : : : ､
　　　　　　　 : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
.　　　　　　 //: : : : : : : : : : : : ',: : : : : ,
　　　　　　 ': : : : : : : : : : : : : : :i : : : : : ,　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l
.　　　　　 l: : : {: : : : : : : : : : : : :,､:,: : : :!}　　　　　　　　　　　　　　　　　鏡合わせのように同じもの。
.　　　　ｌ; : : :l: : : : : : : : : : ;': { l: : :.!:,'
.　　　　　 {i,: : : ､: : : :!: : :}: :/: :.j.: :/ﾘ:.!　　　　　　　　　　　　　　　　同じ苦痛を種にして産まれたもの。
　　　　　　!ヽ､: : : : : l: : ; : : : : ;.!ﾉ ' jﾉ
.　　　　　　',　ヽ: : :､: : /:,: : :／／　　　　　　　　　　　　　　　　 ……自分と同じ、魔法少女。
　　　　　　　　　ｿ` > '"￣＞､
　　　　　　　　　_. ,.l､＿ ,. 　´ ｀ヽ－､‐- ､　　　　　　　　　　　「なるほど。確かに、これは斬り辛い」
　　　　　 -、　＼　　　　　　　､　ヽ　　､
. 　　　　 '　　､　　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　 '　　　、　　＼　　　　　　　＼ヽ
　　　　　 l　 i.　　ヽ　　　　､　　　　　　　　　＼、

337 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:38:01 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　 /:: : :/: : ://:/　!: l: : : :l: : : : : : : : :l: : :.
　　　　　　　　 ./ /: /:: ::/l::ll:l 　 !: !::. : :|:　:l : : : : : |: : : :!
　　　　　　　　 /: :l: :ｲ:: /_.l斗lイ　l::ﾄ､: :､!: : |: : : l: : |う): :l
　　　　　　　ノ : ::|:: :l::/　 l'　l!.　　',l　＼lー:l:､: ::|: : l)): : :!
　　　　　　　 | : : |: :.ﾚ　　　　　　　i!　　ヽ＼: ::|: : l::::: : |　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 | : : |: : |　x＝=､　　　　　＿　ヽ.|:: /:|::: :ｌ|
　　　　　　　 /ｲ: .:| : :| , , , , ,　　　　　　´⌒ヾ.　 |/.: :!::::ﾊ!　　　　　　「……でも、ごめんね。剣は引けない。
　　　　　　 ./'　l: ::|: : |　　　　　　.,　　　 , , , , ,　l::: : |:::::lヽ._
　　　　　　 |: l:|: : |　　　　,､＿＿__. 　　　　/! ::/:::/　　　　　　あたしもう、その位じゃ止まれないみたいなんだ」
　　　　　　ヽﾄ:ヽ::l＞.　　丶＿_.ノ　　　 .ｨ::ll :/l:/
　　　　　　　　　　ヾ',lﾊlヾ＞,. 　　　　 .　＜/ﾚ./:/ /　　　　　　　　 .親を見つけた迷子のような顔で、さやかは笑った。
　　　　　　　　　　　　ヾ.　{ﾐ===｀T´=='=}　　 /'ｲ
　　　　　　　　　__ ／｀ｖ‐,ｨヽ､.　　||　／.l__　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 ./　/ ￣二l_――.､._}{_.ｧ――"'､￣￣ヽ
　　　　　　 .ノ　 |　　 --､}:::::::::＞{::::}＜:::::::::::::/　　　∧
　　　　　／　 l　|　　　ィ }:::::::::::/´Tヽ::::::::::::::::l　　　/　＼

　　　　　　　　　 ,. . :-――- ．、
　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : ::＼
　　　　　　　 /: : : : : : : : : :/. : : : : : :.＼
.　　　　　　　ｌ: : : : : : : : : :/ .: : : : :.i: :､:.ヽ
　　　　　　　　　 |: : : : : : : : : :| :._i: : :.ﾄ」:.|_|:i」!　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 |: : : : : : : :_: : ｨ（ー）　（ー)
.　　　　　　　　 |: : : : : :.,ｨｹ! : |.　　　、　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　「別に、気にしないでいいわ。
　　　　　　　 ! : : : : : ゝ､|: :.|　　　__ 　ﾉ
　　　　　　　　　 |: : : : : /:./ |: :.ﾄ､　　 .ｨ′　　　　　　　　　　　　　　　　　あなたも私と同じ、魔法少女なんだもの」
　　　　　　　　　 }: : : : /:.∧ |: :.|　/ 辷'l:.|　　＼ -､
　　　　　　　/:.:.:.／j:./　`j: :.|,ｲ＼　||:.|　　　（__丿　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　 /:.:r'’∨∧.　 |: :!v}| 　Ⅵ! 》
　　　　　　　 /: : |　/:∧　＼|:.:ﾄ､||　　| |:.}}、
.　　　　　　 /:.-r=彡/　'　　|:.:l　||　　| |:.|l |

338 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:38:16 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　j!:::::＼::::＼::::::::::::::::::::::::＼::::::::::ヽ
　　　　　　　 /:::::::ﾄミ:::::::::ヽ＼:::::::::::::::＼＼:::::::ﾍ
　　　　　　　//＼:ﾞ､　￣／ r埓ヾ､:::::ﾞ､::`､::＼::人__
　　　　　　ノ" {::::l >ﾐ、　　以　　＼:::::::｀;::::::ヾ､:::ミx､
　　　　　　　　 l::::ﾄ lﾘ　　　　　　　　　ヽﾄ､::}::::::::)}::)〉⌒
　　　　　　 V:廴__''　　　　　　　　r-癶::::::::jﾄﾄく　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　V::＜＿_ｬ⌒)　　. ／l:::::{::从ﾄ}
　　　　　　　　　　＼:::::::＜__　　'"　 lﾘ从(　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……ありがと。
　　　　　　　　　　　二トミr＝ミx､γ┐
　　　　　　　　　　／__　　 `ヽ､　》《ノ￣ヽ__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それじゃあ、続き、しよっか」
　　　　　　 ,,.＞<"´　　｀"'''''''''"⌒''''^''ミ.....__ ｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　,--ｧ
　　　,..ィ'"::::::::ヽ　Y　　　 __r-(^～､_　　　　/＼〉　　　　　　　　　　　　　}`i /''ﾆフ　　　さやかは、ふたたび剣を構える。
r''"~:::::::::::ヾ::;;;;:::} ﾉ-　 r-{< >''"￣`ヽ〉-r'"ニ)::癶＿　　　　　　　　　ﾉ )　ヽ〉
乂::::::::::::::::::::{ }}ミ≧x＜>'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`／.:.:.:.ヽ／::＼~''ｰ...、　　 r---r"　　ノj｝　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　`''＜:::::::::`ﾞ}ト≪ﾐ圭≧xヒ^iﾞ^ﾄ_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}::::::::::::＼　　`ヽィ''{　　　ヽ／
　　　　｀''＜:{｀ミ=z､`≪圭ｼ j ﾉ }ヽ:.:／ii:.:.:.:.:ﾉ＼:::::::::⌒''":::::::::弋　　／､
　　　　　 j: : :ヽ＿ゞ `''ミ､~''f_}x会少1 .ii.:.／ : : : ＼:::::::::::::::::＞''"`''"､　　`'''ー--
　　　　　　j: : :l: :└┬‐ ''''"~｀ヽ､　{{ トj　il`"＞..､ : : : `ｰ'''": : : : : : : : : : :`ヽ、
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辷≧=-.:.:.:.:.:.:.:.:.:`゛　　　厂⌒¨:.:ﾑ　　　　　　　　　　/　　＼//////////／　彼女は一息に距離を詰め、
＿＿＿＿　ヾゝ　　　　　　　　ﾏ::.ﾑ.　　　　　　　 / 　　　＼://///／
　　　　　　　　　丶､.:.:.:.:.:..:　　　ﾏ::.ﾑ　　　　　　 i　　　 -‐ﾆ/＼/／　　　　一太刀でキル子の頭蓋を割ろうとした。
＿＿＿＿　　　　　　　 iﾚﾍ.:.:.:.:ﾏ::.ﾑ　　　　　 l　　　　　⌒¨〕
　￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　＼:.:ﾏ::.ﾑ　　　　　　　､　　　_　-‐ﾌ7､　　　　　　この戦いの初手と同じ手順の一撃である。
＿＿＿＿＿　　　　　‘　 : :.:.:.:.:.:＼ﾏ::.ﾑ　　　　　　　　　　 -=ニ二ミ､
＿＿＿＿＿　　　　　‘、　　　　ﾏ::.ﾑ　　　　　　　　　　　　／　　　≧ｭ､.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　￣￣￣￣￣≧=-　　　　　　ヾｨ从ｨr､　i　从　　　　　/　　　　　　　　｀ヽ
　　　　――――‐‐　　　　　　　 .:.:.:.:.:.:.:ヾﾚ'〃iﾍ　　 /　　　　　　　　＼
三三三三三三―――　　　　　　　　.:.:.:.:.:ヾ　　ヾ　　|}ﾉ　　i　　　　　　　　　　　　　ﾍ
――――――――――――――　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:i从‐――――――――――ｲ
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　:.:.:.∴゜　　　ﾄｲ―――――――――=='
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339 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:38:33 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　 !.ﾞl,　　　　　 il　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ"'ｰ-..,,,、.｀''-ﾐ;;､
　　　　　　　　　ｌ,　　　　 .l.ﾞi　 /　　　　　　　／'￣￣￣''''ｰ　,,,　　ﾞ'｀-二　　ﾞﾞ'ﾍ､
　　　　　　 ! .'l．　､　 |　! /　　　　　　　 / 　　　　　　　　｀''ｰ､、　 .｀ﾞ''ミ..,,,　ﾞ''-、
　　　　　　　　 |,│　 |l　 !　.゛　　　　　　　 lﾞ　　　　　　　　　　｀'-､.　｀'-,ﾞﾞ“'ｰ　｀'
　　　　　　　　　ｌ !　　l.!　!　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　｀''-、　｀''そ_
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　　　　ｌ.ｌ　ﾄ　　　ｌ.! ｌ .|　　　　　　　　　　　ｌ.../ : : ∧: : ｉ、:.', : : : !: : : : : :',　　　　　　　 .＼'､　　　.ﾑ,.ﾞ‐
　　　　ｌ.ヽ| ｌ　, :_,　ｌﾚｌ,|.　　　　　　　　　　　　ｌ.. i: /､_.＼|　_,ﾄ､ﾄ､:|: : :.ｉ: : :.ｉ　　　　　　　　　 .ヽヽ　　 . ｌゝ
　　　　　! 　 .ｌ. :,::'::::::!　ﾘ.　　　　　　　　　　　　　　 |ｌ.Ｎ .○ 　　 ○ 　|: : :.|: : :.|　　　　　　　　　　　ヽヽ　　ヽ
　　　　　 !　　ｌ.:::::,::::::.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　 |:.ｌ...wx 　ｃっ　xwx.|: : /: : ﾊ!　　　　　　　　　　ﾞ.ﾐ.
　　　　　 .|,　　.!､.i:::::_|::.ｌ　　　　　　　　　　　　　 ∨≧=‐-　-‐=≦ﾚｲ､i∨　　　　　　　　　　　　ﾐ
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　　　　　／.　.ヽ　 |!　.ﾘｌ、　　　　　　　　　　　　ヽ　＼　　　 /
　　　／　　　ｌ.　l.ヾil､ｌL　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　.＼　　;′　　 .違うのは、その威力と速度である。
　　／ヽ　　　　　ｌ .|　ノ.　ｌ|、　　　　　　　　　　　　　　　 /.ヽ.　　／]
　( _ イ）　　,.-、..ｌ .!-‐'.　 !li. 　　　　　　　　　　／..　.ヽ.(ノ／)）￣.　.爆ぜるような踏み込みと、轟雷のような斬撃。
　　　レ__ノ´|::/i／:ｌ.!.: :. :._,..ｌ.ｌL.　　　　　　　　／　　／　,ゝ￣.、
　　　　　　　 |: :|" : :.ｌl ／　　...ｌ|、　 .　　　　　　 ../　＼＼　／. 　　 .＼　　初撃とは比べ物にならぬ、強烈な一閃。
　　　　　　　 |: :| : :　ﾘ.　　　 .!li..　.i､　　　　　　 ...!.　／　／
　　　　　　　　ヽ／　　　　　 .ｌｌL..ﾞ !.　　　　＼＼　／ |　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　＼.　　　　　　｜.ヽ　　　／　／　〈　　　　　　　ﾍ,　　　)
　　　　　　　　　　　|　　　　　　｜　ﾑ,.ﾞ‐. ..|i__／＿___ノ　　　　　　　..`ｰ‐ '

340 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:38:43 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　ｌ　　　　　　 _,,　-――-- ....,,,_　　　　｀''ｰ..i-;;ﾆ―''"゛.／.／＼　　　　　＼　　　　　　　　　　 /゛
　　　　　l|　　　　　／　　　　　　　　　　_,,ﾆ┴;;v..,,.　｀'ｰ､.　.／.／　　 .ヽ　　　　　　ヽ.　　　　　　　　./ 　　　./
‘ﾞ￣￣￣￣ﾞﾞﾞ''''''―　..|_　　　　　　 _.. -'''"_,, -/＞　　｀ﾞ''ｰ ,,, ｀'ｰ/　　　　　ヽ　　　　＼　　　　　　/ 　　　 /
　　　　　　　　　　　｀ﾞ''ｰ..y‐'"゛._..-'"ン''／゛　　　　 ,rﾞ＞､　　　　　　　ヽ　　　　ヽ　　　 . / 　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''＜ ...‐".／　　⌒ ヽ　 __ﾉ／　　　　　　　　　　ヽ.　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　______＿__.　　　｀' /　　...｀ヽ　 , '´　 ┐ヽ　 /〉　 /i　　　　ヽ
　　　　　_,,..xiiｰ''"￣　　　.ヽ　ﾞア¨'ｯ､、.＼　　　　　｛　i |八ﾍff}　//　 / .iﾞ　　　　　ヽ　　　最早刀を踏みつける隙さえない。
　.,.. -''ﾞ／　.ヽ　　　　　　 .ﾞ'r′ ./ 　 .｀''-,＼.⌒'⌒'!ｉ(ｌ.|ﾟｰﾟﾉﾘ //.　/ 　ｌ　　　　　　 .ヽ
″ ...-"　　　_／､　　　　　＼/　　　　ﾞ'-...｀＾'～ｧIr'^'^}Iづ》′. 　　l 　　　　　ヽ　続く斬撃は嵐のごとく、
.／　　　 .／゛　　ヽ　　　　　＼　　　　　　｀ヽ　《(ﾉ!ﾐこゝ. 　／　　　!
　　　 .／　　　　　ヽ　　　　　　＼　　　　　 //（ｿ┘. ／　　　 .lﾞ　　　　　　　　／.　連なり絶え間なくキル子を襲う。
　　／　　　　　 ,/'､　　　　　　＼　　　　∠/　　..／　　　　　 /　　　　　／
.／　　　　　　 / 　ヽ　　　　　　　＼.　　　　 ,, '"　　　　　　　ｌ　　　　　　／　　┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
゛　　　　　　 / 　　 / ＼　　　　　　　　 . ＼ _／゛　　　　　　　　/　　　　　 ,./　　　　　 _|,　　　　　　　　..ｌ
　　　　　　　　 /　　　./ 　　＼　　　　　 ,..-'゛　　　　　　　 / 　　　　／　　　 ._..-'″ !　　　　　　ｌ,
　　　　　　　 ./ 　　 ./ 　　　　.＼　　　 _ ／　　　　　　　　　 / 　　　 ,./　　 ,..-'"゛　　　　!　　　　　　　　　ｌ_..-
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　　　／ | : |: :l : :i : : :| :|、: :| : : : : ＼: : :} : :ヽﾍ＿|/::::::::|
　　　　　|: :l : l: : l : : : l:トＶ_:ﾄ､: | |: ｌレく l : : : l＼ |:::::::::::|＿＿
. 　　　 |:∧: l: : l:ｌ: : ∧,ｨｧﾃｒ＼ﾄ､l|ｨｆ｢＼ : : |､　ﾚﾆﾆミ}＼＿＼
.　　　　 |　 V:! : ｌ:l : : ∧以ﾘ　　　　じ　/:ﾊ : ﾄ､ﾉ　　　|　　　￣￣＼
　　　　　 ∧l : : l : : ﾄ､ゝ　　　　,　　 /lト{＼ｌ__し'ﾆヽ._ｊ　＼　　　　＼
.　　　　　　厶ﾆNヽ!: ｌｌﾄ､　ヽニニｱ／ノ　　（__ﾉノｲﾄr ＼　　＼　　　　 |
　　　　　 //　__　　ヾ＼l{　＞　__ イ／{　＼／ /⌒i ‘Ｔ´ ＼　　ヽ　　　│
.　　　　〈〈／--＼　　　｀＜＿{0}ﾘ　__ヽ.／　, ′ /　/ 　　＼　　＼　ｊ
　　　　 /￣￣ヽ:} ﾉ　 rvr ､＿{　｢ｿ／　 , ′　/__/.　　　　＼　　＼{.　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　 /::::::::::::____ﾋ'__辷ﾚ=====ヽ／　　, ′　 / {.　　　　　　　　＼　　）
　　　 /::::::::／　 /　＼　　　／　　 , ′　　/　＼　　　　　　）／　　　　……つまり、これが魔法の正体だ。
　　　 |:::::ノ|　　　　　　＼.__／　　　, ′　　 /ヽ.＿/
　　　　∨　.|　　i⌒ヽ　　|　　　￣）, ′　　 /　　＼　　　　　　　　　　　　　さやかは、暗器を失うほどに強くなる。
　　　　/　　| 　ｌ_／´V　 ‘,｀ー‐ ', ′　　 ./〕＿__,ﾉ〕
　　　 / 　 ∧　∧ 辷 ∨　 ',　　, ′　　　, ′　＿_}__}　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |　　 }　',　ﾊ辷∧　 ‘，　　　,　'＼＿＿/ ﾉ
　　　 l 　 │　'，　}　/　＼__}　　　，─rグー‐┬'
　　　 l　　 !　　}　 |/　　，　　 .／／￣＼　　　，

341 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:38:57 ID:FkQQwRpc0

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　　 l| | |　　　　 | | |.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓　　　　　　　　／∨ﾊ
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　　 l| | |　　　　　　　　さやかが身体中に隠した、四十余りの暗器。　　　　　　　　　　　　　 | く:::／／
　　 l| | |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／{ 廴／
　　 l| | |　　　　　　　　しかしそれは、彼女からすればただの目眩ましにすぎぬ。　　　　　..／／廴_|
　　 l| | |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　 ~~~~~ /二＼　　　　　 .派手に使い捨て、意識をそちらに逸らす為の撒き餌だ。　　　／
　　　　　　＼＼::＼
.　　　　　　＼＼::＼､.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　く　＼＼}　＼　　　 f二＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　　　　　　　＼￣　／　　　 {:::＼ノニﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　~~~~~~~~
.　　　　　　　　＼／､＼　　　 ∨∧ 　 V',　　　　　　　　　　　 ∠二二}
　　　　　　　　　　ヽ＼.　　 ∨∧─V',┐　　　　　　　　　　 //:::::/ //
　　　　　　　　　　　　　ヾ＼{ ￣　　　　　 }　　　　　　　　　　 _//＿/ソ/
　　　　　　　　　　　　　　　~~~~~~~｀¨¨¨ﾏ¨ﾏ¨¨´　　　　　　　 {＿＿＿__ﾉ
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.　￣｀　､　　　　　　＿＿
.　　　　＼　　　 ..: ´: : : : : :.｀ヽ
.＼　　　　　＼＜: : : : : : : : : : : : :ヽ
　　＼|/ 　　ｰ=彡/: :,ｲ : : : : : : : : : : ',
　　 _〉　　　　 /: :{:／ |/ :}: : }: : : : : : :}⌒ヽ　　　　　　／￣￣￣￣￣￣￣￣￣ミ､
　　＼　　　厶イﾊ _ヽ}: ハ/_」: : :|/:/}　　　`ｰ-──＝彡　　　　＿　　-────- ､
　　　　..＼　　 }/} : | {ﾘ|/　fﾝ} }/:/ｆ):/ /　　　　　　　　　 ,，　´　　　　　　　　　ヽ＼
　　　　　　＼.　厶ｲﾄ. 　′ ｀´/:/ｲ{/ /　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 }　ヽ
　　　　　　 .ヽ＿___＼｀_,. イ彡ｲ／　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　/}ﾉrマ⌒＼⌒ー──＝彡　　　　　／
　　　　 ._ﾊﾊﾊ./:.: /⌒ヽ}r､_ 丶＿　　　　　　　／´￣　真に恐るべきは、数多の刀ではなく彼女そのもの。
　　　　｀>　{廴／{.:.:.:.:./⌒ヾ}┐_＼＿_＞r─＝彡
　　　　　￣　　　ゝ─{.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　＼__ノヽ　　　　　　　 ……四十余りの暗器を抱えながら、剣士として動ける筋力。
　　　　　　　 .,ｨ/　 //＼.:.:.:.,.イ　　　＼/｀＼
　　　　　 .{厂　　 //　　｀¨´/､＼　　　＼: : ＼　　　　幾多の武器を隠しながら、それを悟らせぬ体捌き。
　　　　 {{乂＿／{弋　　　ハ}}:.:.＼､　　＼: : ヽ┐
　　　　 {{.:.:／.:{￣＼＼＿_ ノ}＼:.:.:.',} 　　　と"´へ　　　あるいは少女ながら、蹴り一つで大の男を倒す人体。
　　　　　..〈∨.:.:.:.|: : : : ｀¨ｱ¨マ¨´: : }ﾄ､:}｝、　　　 } r､ヽ
　　　　　　.〈＼:.∧: : : : :∧.:.:.:.:＼／.:.:.:＼} 　　 └′　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 .＼{､. :｀¨T´.:.:.',.:.:.:.:.:.:＼.:.／ﾉ
　　　　　　 | ｀¨ｱ¨⌒ーﾍ二二イ〈´

342 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:39:17 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　〃ﾆニヽ　　　　　　　　 .〃ﾆニヽ　　　　　.}　　　　八　　　　〃ﾆニヽ　　　　　　　　 .〃ﾆニヽ
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　....≠　　　　　ヽ､　　　..i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜　ァ''"　　　　　　　　　　　　　　≧　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜./　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.　/　　　　　　　＼　　　イ　　　　　..|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.. i!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.. |　　　　　　　　　 }　　　　　　 .|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:...|　　　　　　　　　　　　　　　 /　|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 |:.＜＞.:!　　　　　　　 |:...|　　　　i|　　　　　 /　 }　　　 /　 .|:.＜＞.:!　　　　　　　 |:.＜＞.:!
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:...|　　　　i!　　　　　　/ 　ﾊ　　　 /　　..i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:...|　　　　|　　　　　 /　　　ﾍ　 /|　　　i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i
　　　　　　　 i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:...|　　　　|　　　　　 ,'　　　　/　　　　i:.＜＞.:i　　　　　　　　　 i:.＜＞.:i
　　　　　　　 !:.＜＞.:i　　　　　　　　 !:. |　　　　l!　　　　　　 ,　　　　　　 |　　 .!:.＜＞.:i　　　　　　　　 !:.＜＞.:i
　　　　　　　 !:.＜＞.:|　　　　　　　 !:..i!　　　 l!　　　　　　f　　　 {　　{　　 .!:.＜＞.:|　　　　　　　 !:.＜＞.:|
　　　　　　　 !:.＜＞.:|　　　　　　　 !:.i!　　　 i!!　　　　　　{　　　　　 |.　　!:.＜＞.:|　　　　　　　 !:.＜＞.:|
　　　　　 .＿__,!ﾆﾆﾆニﾞ!＿_　　　　 .＿__,!.i!　　　　i!! 　　　　　　　　 ∨.＿__,!ﾆﾆﾆニﾞ!＿_　　　　 .＿__,!ﾆﾆﾆニﾞ!＿_
　　　...r=､ｰｧ=‐=======‐‐‐' 　 r=､ｰｧ=‐.i!　　　　ｉ!!　　　　　　　　 r=､ｰｧ=‐=======‐‐‐' 　 r=､ｰｧ=‐=======‐‐‐'
　　　 .ﾏ}/{〃 i!:. :==.ﾟ:;::|　　　　 .ﾏ}/{〃..i!　　　　i!　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　.{ﾏ}}/=､iﾄ‐‐‐‐‐-!_　　　　.{ﾏ}}/=､.ｉ!　　　ｉ!
　　　 _､ｧ'彳ヾ=-‐─--{　　　 _､ｧ'彳.i! 　　 i!　　　　　その恐るべき身体を、四十余りの暗器で覆い隠し。
　　　 {ﾆ彡へi!‐ミ,,_____/　　　 {ﾆ彡　ｉ!　　　i!
　　　｀}____ゝ:.:＼':i:i:i:i:|　　　　....｀}____..i!　　 i!　　　　　　 .相手が剣に目を奪われているうちに、体で殺す。
　　　　 j_,,../7 ､__.>‐､:j　　　　 .j_,,...i!　　 i!
　　　　.../ﾆﾆy.:.:ﾉ≧=--}　　　　 /ﾆ...i!　　　i!　　　　　　 .――それこそが、隠形剣という魔法の正体である。
　　　 ./7:i:ﾄ､彡'＿＿__.}　　　　 ./7:i:..i!　　　f
　　　....{:!!:.{{､ !:.ﾟ:._:._:，:.i　　　　 {:!!:.{{.i!　　　 }!　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　.!iヽ='' !::._:;:ﾞ::ﾟ_:.:i　　　　　 .!iヽ..i!　　　 i} 　　　　　　　 |　　　 .!iヽ='' !::._:;:ﾞ::ﾟ_:.:i　　　　　 .!iヽ='' !::._:;:ﾞ::ﾟ_:.:i
　　　 ij　　 i:.::_，_'_。:!　　　　　 .ij. 　{　　　ﾊ!　　　　　　　.| 　　　 ij　　 i:.::_，_'_。:!　　　　　 .ij　　 i:.::_，_'_。:!

343 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:39:59 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　 i::| ﾔ::::／j::::iゝ"　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::i:::::::/ ﾞi:!
　　　　　　　　　　　 !| .V´　/::::::､丶　 _ 　　　　　　|:::::::::::::::::::::::|:::::::j 　 ||
　　　　　　　　　　　　ﾞi　　 /::::::::::::＼´　　　　　　　.:!::::::::::::::::::::::|:::::::i...┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::::::::::::::ヽ､　　　　 ´ i::::::::::::::::::::::|::::::::|
:::｀::-..___　　　　　　　　ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::`=r´､ﾔ　,i::::::::::::::::::::::|:::::::::|　　　そして、だからこそ隠形剣には穴がある。
::::::::::::::::::｀:::丶､........ｨ"::::::::::::::::::::::,ﾆ─- ﾄ､/　`ヽ＼|::::::::::::::::::::::ﾄ､::::::|
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／- 　　　　`ヽ.　 .｀ﾞ/:::::::::::::::::::::||　ﾄ､|＿. 　見つける事さえ困難で、辿り着くことさえ命懸けな、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ﾉ　　､　　　　　＼ ./::::::::::::::::::::::ﾙ　　.i
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／／　　､ |　　　　　　〉'::::::::::::::::::::::/j 　　 |　　　しかしさやかにとっては致命的な一つの穴。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／／　　　　ヾ∨　　　　 /::::::::::::::::::::/､i |　　　|
￣二≧─ ‐::::::::::::ｲ.／　　　　　　　ﾄ.∨　　　/::::::::::::::::::::/　｀|　　　 |i.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
￣::::::::::::::::::::::::::::/／　　　　　　　　　∨.　　 /::::::::::::::::::::/　　,!　　　 |　　　　',　ﾞ.
::::::::::::::::::::::::::::／/　　　　　　　　　　　∨.　 /:::::::::::::::::::/∨　/　　　 j　　　　　i　ﾞ.

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　 /　　　　　　l| |　　/　　　l　　　ー-　＿　　＼__ノ/　 |　　ヽ ',　 |　l　| | l:::::::::::ヽ }　{:::::::::::::/　　l　-‐
　 l　　　　ヽ　 l　　/_ - ､　{､ｰ-＼　　　　＼　＼ -‐/￣`ｰ-､ヽ|　　 l | 乂:::::::::ﾉ∧乂::::::ノ　 //＿イ
　 |　 _ -‐-､＼l　//::::::::::i　 l　／　￣ヽ　　　＼　＼//　ﾉ　}　}/l　　　 }ｰ- ＝彡_ｰ､ゝ￣　／/
￣l l/::::::::::::::ヽﾍ |l{::::::::::::::} l }　　　{ ／::＼　　　＼　.＼　　/､　l::∨.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.
.　 l {l::::::::::::::::::|　､乂:::::::彡　l／　//::::::::::::::` ｰ､　　`ｰ､＼ l　乂l:::∨
／ヽ乂:::::::::彡　　`ｰ￣-‐ ./ ノ／､＼::::::::::::::::::{　ノ　　 / } |/:::::::::::::∨ 　――数多の暗器で体を覆うことによる目眩まし。
￣ヽﾍｰﾆ三ﾆ _/￣｀ヽヽ //　／＼＼＼:::::::::::/ ﾉ　　 / ./､ l::::::::::::::::
ー-　ﾍ　 /γ´:::::::::::::::|　　l／::::::::::::ヽ　､　`ｰ-.|　l　　 / /l 　 l:::::::::::::::ﾉ　それが使い手自身の眼さえ曇らせている事実を、
ー-＝.ﾍ l　|::::::::::::::::::::」　ノ::::::::::::::::::::乂　､_　r|　l　　 |/./l | } 〉:::::::::::{
:::::::::::::::::ヽ l ヽ:::::::::::::/ //:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ l::l |:|　l　　/ /|:| |//:::::::::::::!ﾉ　さやかはまだ理解できていない。
＿:::::::::::::::::＼_￣`ｰ'＿/::::::::::::::::::::::::::::::::::::lﾉ:ゝl| /　 / /ノ:∪´::::::::::::::::::
ｰ､￣二⊃:::::::￣￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://　　l　|:::::::::::::::::::::::::::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　＼､　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__/　　l|　ヽ|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣￣　　＿　　　　　　 _ -‐=
　ヽ　＼｀ｰ､＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　l| 　 }::::::::::::::::::::::::::::::::／／￣　　-─￣＿　_ -‐:::::::::::::
､＼ヽ＼＼:::＼}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/　　　　　l|　 |l::::::::::::::::::::::::::::／／:::::／ _-‐､　　　　／::::::::::::::::::::::
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344 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:40:17 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : "´ ￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
　　　　　　　　　　　　　　　ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|
　　　　　　　　　　　　　　　　　／..|:|:::::|（●)　 (●）|::::::|:|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　 _,ｲ　__||:|::::_| 　　､　　 |_::::|::|
　　　　　　　　　　 {__　ｲ´　|:|:´:|ﾞ:､_　‐‐　_,.ｨ|:｀::|::|ヽ　　　　　　キル子は、すうと一息吸い込んで、
　　　　　　　　　　　　ﾞ´　　　　｀　ヽ　　 ,イ´ ⌒ / .ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　ｉ　　 {　　　 ./　 {　　　　　　　　身を低くしたまま後ろに跳んだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　.､. 　.}　　ｨ'　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　__ノ　　　　 , .ヘｉ　　 .ｉ　　　∧　　　　　　　斬撃の嵐を抜ける、余りに精確な跳躍である。
　　　　　　　　　　　　　／　　　＞'´　　　}　　 .{､　　　∧
　　　　　　　　　　　 /　　 .／´　　　　　 .ｉ　　　} ヽ　　 .ｉ　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　／　.,／　　　　　　　　ｉ　　ｉ　 {ヽ._／
　　　　　　　　　／　 ∠　　　　　　　ｉ　　ｉ　　ヽ.＿}
　　　　　　　　　　　 {＿＿＿__ﾉ　　　　　　　 __,ﾉ　　ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '‐‐{_ｴ_}_)つ

　　　　　　　　　　　　　 /　　乂ゞ､　　　　　　　　/ﾞ/　　◎ 　ヾヽ　　　　　　　 , 彡丿　　∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 ≪亞亞亞｀＜三三三三三彡｀ ‐-（(t)）-‐ ´乂三三三三三彡´亞亞亞≫
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l　　　／:::::::::::l|　|　　　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l 　 /:f:i|,:::l_:::l.l|　|　　　　　　 |　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　|　　　　　　　　|　|l　　|:::|（●）（.l|　|　　　　　　 |　|
　　　　　　　　ﾊ-ﾊ　　　　　　　　 ..|　|　　　　　　　　|　|l　　 ` !　｀ _ l.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　__,.　──-　_　　　　　　　.|　|　　　　　　　　|　|l　　　..i:`::┐yl|
　　　　.., ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__　　　....|　|　　　　　　　　|　|l　　　..|::::ｲ / l|　 . そうして彼女は脱兎のように、
　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､　　|　|　　　　　　　　|　|l　　　..|:::::i┴ l|
　　_, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､　ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌｌ＝ｌl＝l┌―――‐┐ｆ　　社の中へ入り込み、姿を隠した。
　　　7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ|＿||＿||＿||＿||＿||＿||l＿.心眼＿.!.l|
　　..i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ.二二二二二二二二二|l三三三三ｌ|二　 ――アイツ、これは何かを企んでるな、と
　　..ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ .|:::::::::::::::::::::::| .|::::::::::::::::::::::|l三三三三ｌ|::::::
　　　　|..ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,...凵:::::::::::::::::::::::凵::::::::::::::::::::::|l三三三三ｌ|::::::.　さやかの勘はそう告げる。
　　　../7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ　　　　　　　　　　　／／_ ＿＿＿＿＿
　　..//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　　　　　　　／／＿＿＿＿＿. 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　./ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､　　　　　　　　／／＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼＼
_,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　 .／／_ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ _＼＼

345 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:40:39 ID:FkQQwRpc0

　　＼
　　　　　､
.　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／! 　　　 .／
　　、　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　│　　　／
.　　.....＼　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 .l　　／　　／
.　　　　　＼　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 |.／　　／ ……‐-ミ
　　　　　　＼　　　＼.　　　　　 |　　　　　　　　／　　　　　／　　／|.: : : : : : : : : : :＼
.　　　　　　＼　　　＼.　　 Ν‘,　　　　 .／　　　　　／　　／ : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ
　　　　　　　＼　　　＼.　 | 　‘　 /l 　.／　　　　　／　　／.: : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',
.　　　＿_＿_＿_＿＼　　　＼j.　　∨ :|／　　　　　／　　／.ｉ: : :.ｉ: : :.l／､_＼| ヽ:_!, ﾊ: i:.ｉ.
　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／. 　|: : :.|: : :.|　 ○ 　＿ ○　jｲｉ:|ニ〉、
.　　　　 _＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .∠,,＿＿＿＿＿.|xwx 　（_ソ　ｘwﾉ:ﾊ|..　‐ }､　　　　　　　_
─=ニ二.＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／|≧=‐-　-‐=≦∨.　　　　}　　　　__r ´　ヽ
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　　　　　　　／　　　　　　　　ｌ　　　 l:，　　　　＼　　＼　　　＼　　　.､- ､
.　　　　　　／　　　　/　　　 .ｌ　　　　l‘　　　　　＼　　＼￣￣　　　 V }. 　追撃の投剣はしかし避けられて、
　　　　　　／　　　 /　　　　 .l　　　 .l∧　　　　　　　＼　　＼　　　　 .V}
　　　 ∠,,＿________/　　　　　 .l　　　　 .l ∧ l. ､　　　　＼　　＼　　　　ｿ. 　社に穴を開けただけで終わる。
.　　　　　　　　　 / 　　　　 l　　　　　 .ｌ＼',|　＼　　　　＼_＿＿＼　　...{i
　　　　　　　　 /　　　　　l 　　　　 l＼＼　　＼　　　　　＼.ハ　　　 |!　さやかの手元に残る剣は一本。
　　　　　　　　　/　　　　　／l　　　　　ｌ　　　　　　寸､＼　　　＼.　　　 /
.　　　　　　　 /　　　　　／　 l　　　　　　ｌ　　　　　　　＼＼　　　＼ ―/ . 　ほぼ裸の状態で、彼女はキル子の策に
　　　　　　 /　　　／　　　l　　　　　　　　ｌ　　　　　　　＼＼　　　＼.
.　　　　　　./　　／　 . 　　l　　　　　　　　 l.　　　　　　　　　＼　　　　　＼.. 　挑まねばならなくなった。
.　　　　　 /　　／　 . 　　　 l　　　　　　　　　l　　　　　　　　　　　＼. 　Vﾆﾆヽ
　　　　 /　.／　　　　　　ｌ　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　＼..ﾆﾆ. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　/.／　　　　　　 l 　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　＼.ﾆﾆノ
　　　　　　　　　　　　 l 　　　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　　＼

346 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:40:50 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─＝ニ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼　　　　　　,′
　　　　　　　　　　　　　　＿　＿＿＞: : : : : : : : : : : : : :.ハ: : : : : : : : : : : : : : : : : :＜⌒＼
────ｧ　　　　　　　／　 ⌒＞: : : : : : : : : : : : : : : :./　 |ハ: :.| : : : : : : :／ (￣￣｀ヽ　　　　　/
　　　　　/　　　　　　　／　　　／⌒ヽ: : : : : : : : : :/: :/ハ＼　　 ∨ヽ／: :＜ : : : ＼　　　　　 ,／
. 　　　ー───＝ミ／　　　　ー＝ニ : : : : : : /: :∧{ｲ不ヽ　　　 f不ヽ⌒＼⌒ヽ＼　　＿／
　　　　　　　　　　　 ┌‐r=､__　　　　　　　　　＞ : : /／　　乂ｿ　　、乂ｿ　ト＼: : |＼　 ,／
.─＝＝＝ﾆニニニﾆ|　 } /:::::::ー '⌒ヽ──{ ⌒¨¨〃ゝ┐　　　　＿　　　　 |: : : : :｀ヽ ∠＝rｲ{
　　　　　　　　　　　└‐'⌒ ー､::::::::::::::::::::::/＼　　{{.　　丶　　　/　　｀ﾏ　　　/─＝ミ: ＼::::::: -ヽ}
　　　　　　　　　　　　　　　￣｀¨¨¨⌒{:::＼　　　＼　 {　　　/　　 ´／　　ハ: ,'¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞ﾉ　　　　＼丶ニ　イ　　　　　 /　 }/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {{::に}＼＿＿＿__＞＝＝く　　　,／ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵこ}　',ゝ}┐＿＿.:::.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　V廴}　ヽ::ゝヘノヘフ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼{ヽ　　＞─＜⌒. 　しかし間髪入れず、さやかは社に飛び込んだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞニニ}/::::::::::::}::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀マニ7厂｀¨¨. 　策があるというなら、それを真正面から踏み砕く。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廴／　　圧倒的な力の差を押しつけ、一方的に斬り倒す。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐ｆ￣＞─- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｧヘ.｣_　|　　/￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /{ ´ 　〉:|　 :|　　,ﾉ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／彡､＿人 :,　 :,　　{=一　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　≧=-ゝ-く⌒ヾﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　／　　`⌒ヾ　 f′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　　　 /.　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ.　__厶二ﾆ._
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_}} フ /⌒｀ヾ　今の彼女には、それを可能にする確かな手段があった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｧ‐=彡'フ' ／
　　　　　　　＿　　　　　　　　＿　-=彡冖､＼　.'′　　　　　 ――魔法・隠形剣の本質にして集大成。
　　　　＿／⌒ミ＝=‐--‐=彡　⌒　　　　 }　〕
-=ﾆ￣／　／⌒　　　　　　　　　ﾉ　　　　ノ　　　　　／.　.暗器を全て捨てた彼女は、紛れもなく最大の力を発揮する。
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r／　／　　　　　　　　-=彳　　　　　 /　　/ 　　　 /　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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347 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:41:01 ID:FkQQwRpc0

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|　　| 　|　|　　 |　　.....＿_　　　　 ||　　i'`'i
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|　　| 　|　|　　 |.　{　i{ﾉﾊ从k}　　 .／) :|':i;;|　　　　　　　　　　 ',　　　　　　#;.
|　　| 　|　|　　 |　ヽ!l|, ﾟヮﾟﾉﾘ、／／.　|;';;;|:. ﾟ　;ﾞ　ﾟv-=-　　　　:::　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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|　　| 　|　|　　 |　/　Ｕﾉ_i_iヽ.,/￣.￣'＼';､＼､_,_,_,_,_,_,_;.',;:　>　　　　　　　キル子は身じろぎ一つせず、
|　　| 　|　|　　 |.へノし'ﾉ　 |＼＿＿＿＼';､＼..:::::::./|　 <　 '　　.':""　: .
|　　| 　| .ヽ￣＼￣￣￣￣￣＼|__;_;_;_;_;!─＼';､＼,_;l/￣￣￣￣￣￣￣￣. 社の奥でさやかを待ち構えていた。
|　　|＿|/　ゞ;;:_ﾉ　;;:ﾞ´　　　　ゝヾ　　　　　　　"~''ヽ/　　　　　　　　　　＿
　　_,,　　　　""　;;　　/ヽ　　　　　　　　　　　　 ,　-‐‐-　、..　　　　ｌ;;;;;;.　月明かりは届かず、その表情は窺えない。
　　ヽ/　　_　　　　　　￣';;;　　　　　　　　　　;;:.　.／:::::::::::::::::::::::ヽ.
　　　　　//　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:f:i|,:::l:::::l::::i::i::::i:::::l　　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ::'' ;,　　　 .|:::|::|::::|:::::|::::|::|:::|::::|
　　　　　　　　,,;'　:.,;;:　　　　　　　　　　　　　　　` !:|::::|:::::|::::|::|:::|::::i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　._ｒ'"ﾞ'､　　 .i::|::::|:::::|::::|::|:::|::::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 --'''"゛　　....l::|::::|:::::|::::|::|:::|::::|

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　ヾ　＼　　　 ∧:: : : ::　∧　　　　　　　ﾏ////////////////////////////////////／
　　　.:.:.:.:、.:.:. 　　∧:: : : :/斗　　　　　　ヽ/////////////////////////__.ィﾆﾌ7ｧ''´
　　　　　､. .: .:.:.:.:.:.:∧:: : : :: ﾑ　　　　　　＼////////////////////f'′
　　∴　　　‘　　　　∧:: : : :: ﾑ　　　　　　　＼/////////////..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.
　　　{ゝ　　，.:.:.:.:.:.　 ∧:: : : :: ﾑ　　　　　　　　　　　＼/////////////
　　　　　'　　　　　 ∧:: : : :: ﾑ　　　　　　　　　　　 /＼//////////. 　構うものかと、さやかは全力で社の床を蹴った。
辷≧=-.:.:.:.:.:.:.:.:.:`゛　　　厂⌒¨:.:ﾑ　　　　　　　　　　/　　＼////////
＿＿＿＿　ヾゝ　　　　　　　　ﾏ::.ﾑ.　　　　　　　 / 　　　＼://///. 　キル子のもとまで一歩で踏み込み、
　　　　　　　　　丶､.:.:.:.:.:..:　　　ﾏ::.ﾑ　　　　　　 i　　　 -‐ﾆ/＼/／
＿＿＿＿　　　　　　　 iﾚﾍ.:.:.:.:ﾏ::.ﾑ　　　　　 l　　　　　⌒¨〕　　　　その頭蓋を割るための、爆ぜるような踏み込み。
　￣￣￣￣￣￣￣￣　　　　＼:.:ﾏ::.ﾑ　　　　　　　､　　　_　-‐ﾌ7､
＿＿＿＿＿　　　　　‘　 : :.:.:.:.:.:＼ﾏ::.ﾑ　　　　　　　　　　 -=ニ二ミ..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
＿＿＿＿＿　　　　　‘、　　　　ﾏ::.ﾑ　　　　　　　　　　　　／　　　≧ｭ､.
　￣￣￣￣￣≧=-　　　　　　ヾｨ从ｨr､　i　从　　　　　/　　　　　　　　｀ヽ
　　　　――――‐‐　　　　　　　 .:.:.:.:.:.:.:ヾﾚ'〃iﾍ　　 /　　　　　　　　＼
三三三三三三―――　　　　　　　　.:.:.:.:.:ヾ　　ヾ　　|}ﾉ　　i　　　　　　　　　　　　　ﾍ
――――――――――――――　　　　　　.:.:.:.:.:.:.:i从‐――――――――――ｲ
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣　　　:.:.:.∴゜　　　ﾄｲ―――――――――=='
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348 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:41:23 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　. . . . . _
　　　　　　　　　,. : : : : : : : : : : : ､
　　　　　　　 : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
.　　　　　　 //: : : : : : : : : : : : ',: : : : : ,
　　　　　　 ': : : : : : : : : : : : : : :i : : : : : ,
　　　　　 ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　 l: : : {: : : : : : : : : : : : :,､:,: : : :!}
.　　　　ｌ; : : :l: : : : : : : : : : ;': { l: : :.!:,'　　　　　　　　　 ……そのとき、ふと。彼女は何の脈絡もなく、
.　　　　　 {i,: : : ､: : : :!: : :}: :/: :.j.: :/ﾘ:.!
　　　　　　!ヽ､: : : : : l: : ; : : : : ;.!ﾉ ' jﾉ　　　　　　　　　　かつてキュゥべえが、自身に告げた言葉を思い出した。
.　　　　　　',　ヽ: : :､: : /:,: : :／／
　　　　　　　　　ｿ` > '"￣＞､　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　_. ,.l､＿ ,. 　´ ｀ヽ－､‐- ､
　　　　　 -、　＼　　　　　　　､　ヽ　　､
. 　　　　 '　　､　　､
.　　　　 '　　　、　　＼　　　　　　　＼ヽ

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　 -‐ ――＜⌒
　　　　　　　　　　　　　　　 r‐ 、￣￣　　　　　　＼　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　 |＼＼＿　　　　_　　　　＼
　　　　　　　　　 .　 -　'´￣／　　　＼／ {　　　　　　　　、　　　　.「――つまり、隠形剣とは君を鍛える魔法なんだよ。
.　　　　　　 _　／　　　　 / 　 ●　　　ヽ┐ｰ、　┌r ､／＼
.　　　　 /　Χ　　　　｢ |　　　　､__　 ●｜|＼　＼r|｜ |　　_{　　　.武者が鍛錬のために鎧を着て走り込むように、
　　　　　　|／　＼　　／|　、　　　｀´　 / /　/　　 }　| ｜／/
　　　　　 /。　　　／　＼＼　＿＿,　ｲ_ {__,{　　 {／　〉 ,/　　　　君はこれから暗器を纏って日々や戦いをこなすんだ」
.　　　厶　。　 /|　　　　、　　　　　　　＼／　　 [　/
　　　　 |　　｡ /丿　　　　＼　　　　　　 {　　　 ∨　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 |_ ｲ　′　　　　　　　　＼＿＿　　　　　　　　　　　／
　　　　　　 |_/　　　　　　　　　　　＼￣｀ヽ　　　　　厂￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ー＜＿＿＿＿_／
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349 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:41:47 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　 /　　　　 | | 　 l　　　　　 ',
　　　　　　　/　 / 　l　 /| |　　|＼＼＼　　',　　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　ｌ　　|　 |　_l_ ﾘ＼　|　斗　ﾄ |　　 l
　　　　　 |　　|　∧ |　｀　丶l　　r∀ヽ　|　l　　　　　 .「全ての時間を、全ての日々を鍛錬に回せる者はいない。
　　　　　 |　　|　| r∀ヽ　　　　廴ノ |　l　l
.　　　　　　｜ l　l　| 廴ノ　　　　 ::::::::: |　| /　　　　　　けれど、この魔法はその不可能を可能にする。
　　　　　ｲｌ |　ヽ |　::::::::::　 rﾆｭ　　　　| //
.　　　　　　 | ﾄ　ﾄ l　し　　 |＿|　　　ィ|//　　　　　　　 .弱く未熟な君を、比類なき速度で強く熟させる魔法なのさ」
　　　　　　　ﾘ＼|＼＞ｰ　＿　＜＼从l
　　　　　　　　　　从l　f´　f￣ { }￣ }　l　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　ﾄ　rﾋィ´{ }T‐ﾄ　＼
　　　　　　　　　　　　/　/| 　|_| |_|　| ＼＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｝　｀丶
　　　　　　　　　　　　　　　｢　＼　　＿＿　 -┴　ｧ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　　　　　　　 /　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　 __ く／
　　　　　　　　　　　　　　　　∨　__　　　 '⌒　Ｙ　　　　　　｝
　　　　　　　　　　　　　　 _|{　'⌒　r:‐ﾍ　　八　　　　　,′　　　...┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　／八　　　､:::ノ　　ｲ　丶.　　　/
　　　　　　　　 ⌒＼/　, 　 /　ｰｧ　　　Ｔ´ {　　　＼／＼　　　　　「でもね、さやか。この魔法には一つ穴がある。
　　　　　　（（⌒>く.／　/ . : /　　　　 ',: :ヽ　　　　〈）　）
　　　　　　　＼{／ : : :/ : : /　　　　　ヽ-ﾍ . : : ／／､　　　　　　.君は強くなるために、あるいは魔法のために、
　　　　　　　　　／＼＼＿∧: : ,′|　ｉ　ｉ　|　∨∧／／ : : :＼＿_
　　　　　　（＿ﾟ: :｡ーｧ‐' : ;　　|　 |　 |　|　　ー‐く: : : : :｡: ﾟ : _ノ　　...常に暗器を纏い続けなければいけなくなるのさ」
　　　　　　　　　 / . : : ｡人: : :.:! 　 |　 |　 |　|　　　　　＼: ｡ : : : :）
　　　　　　　　（_／{:_:/　＼:｛.　　　 {　,'　　　　ﾉ　　　＼_ﾉ￣.　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　￣>　＼)（／　　く
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350 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:42:02 ID:FkQQwRpc0

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　 /　　　　　　l| |　　/　　　l　　　ー-　＿　　＼__ノ/　 |　　ヽ ',　 |　l　| | l:::::::::::ヽ }　{:::::::::::::/　　l　-‐
　 l　　　　ヽ　 l　　/_ - ､　{､ｰ-＼　　　　＼　＼ -‐/￣`ｰ-､ヽ|　　 l | 乂:::::::::ﾉ∧乂::::::ノ　 //＿イ
　 |　 _ -‐-､＼l　//::::::::::i　 l　／　￣ヽ　　　＼　＼//　ﾉ　}　}/l　　　 }ｰ- ＝彡_ｰ､ゝ￣　／/
￣l l/::::::::::::::ヽﾍ |l{::::::::::::::} l }　　　{ ／::＼　　　＼　.＼　　/┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　 l {l::::::::::::::::::|　､乂:::::::彡　l／　//::::::::::::::` ｰ､　　`ｰ､＼ l
／ヽ乂:::::::::彡　　`ｰ￣-‐ ./ ノ／､＼::::::::::::::::::{　ノ　　 / } |/:. 　「――するとね、分からなくなるんだよ。
￣ヽﾍｰﾆ三ﾆ _/￣｀ヽヽ //　／＼＼＼:::::::::::/ ﾉ　　 / ./､ l::
ー-　ﾍ　 /γ´:::::::::::::::|　　l／::::::::::::ヽ　､　`ｰ-.|　l　　 / /l 　 l:. 　暗器のない己が、どれ程の力を身に付けたのか。
ー-＝.ﾍ l　|::::::::::::::::::::」　ノ::::::::::::::::::::乂　､_　r|　l　　 |/./l | }
:::::::::::::::::ヽ l ヽ:::::::::::::/ //:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ l::l |:|　l　　/ /|:| |//. 　暗器の群れの中で、己がどれ程の化け物に育ったのか」
＿:::::::::::::::::＼_￣`ｰ'＿/::::::::::::::::::::::::::::::::::::lﾉ:ゝl| /　 / /ノ:∪´::
ｰ､￣二⊃:::::::￣￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://　　l　|::::::::::::::┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　＼､　＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::__/　　l|　ヽ|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣￣　　＿　　　　　　 _ -‐=
　ヽ　＼｀ｰ､＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／　　　　l| 　 }::::::::::::::::::::::::::::::::／／￣　　-─￣＿　_ -‐:::::::::::::
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　〉　　　　　＼＼　　　　　　　　　　｀ヽ／　／::::::::::::::::/
/´￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::/　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::/
　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::/　　　　　　 .「これから先、君が強くなればなるほど、
　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V
　　./　　　　 /v⌒;　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　この穴は大きく深くなって君の足元を掬いに来るだろう。
　 / 　　　弋__ン　　　　　　　　 /⌒; 　　 |
　,′　　　　　　　　　　　　　　　辷ン　　∧　　　　　　なにしろ己が分からないのというは、
/ .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　',
　　　＼　　　　　　　　、　　　　　　　　　　 / 　　 ',　　　　　本当に、ほんとうに恐ろしい事だからね――」
　　　　＞　　　　　　　ー 'ヽ __ﾉ　　　　／　　　',
　　　／　　　≧ｭ．.　　　　　　　　　　　＜|　　　　 ',　　　...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　／　　　　　　　　　｀　￣￣　 ´ 　　　 i}　　　　　 i
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351 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:42:17 ID:FkQQwRpc0

　i.: :/ﾚ: : : :/:＼: 个ﾊ　 :.:.:.:.　　　　　　７.:.: :. /|:/./　.＼:.:.:.＼　　　　／
　|:/　リ: : : :／个｀:.:.:圦.　　　 r⌒ヽ　,′: :.Λ|i .′　　.ヽ:.:.:.:.:￣:. ／
　|　　　|: :./　　′: : :.:.:.:>.　　　｀　 ~　,{_: : :/　;|i.7　　　　￣¨フ
　　　 |: / 　 ;:.:.:.:.:..／　 .／⌒ﾆ＝-＜彡./　　 / 　　　　　.イ　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:　　　|: /／　　/⌒;　.V Y／／|: /　　 /　　　　　ィ　　　　　　　　　　　　　 .＿
　　　　　　　　|/　　　/^ヽ　ヽ./^）フ′ 乂　／　　　.イ　　　　―――……'''フ￣　　　　　..――不意に響く轟音。
　　　　　　　　　　　 /　　＼ノ~~＼'''''　　.／;;　　　　./　　　　　　　　　　　／
　　　　　　　　　　　／　　.＿　　　｀ー‐'　 ;'　　　 /　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　さやかは呆けたような顔をして、
　　　　　　　　　/＾厂<⌒Y __γ⌒L　　　.;　　　　 /-=廴＿_＿....
　　　　　　　　／⌒γ ⌒　　　.^ミ<⌒)　ﾉ.　　　 /＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　訳も分からず体勢を崩す。
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼厂｀）-、　/　　.＼
　　　　　　' .....　　　....:.:.:.:.:.:.:.:...　　　　＼<　ノ‐ﾉ,　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　八:.:.:.:.:.. /...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:......　　　＞-＜>　　　　.＼
　　　　　　＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.....　　　　　/　　　　　　　＼

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　 .,　,イ　,ｲﾆｱ':::::::::::::::::::::::::::ｨヽ
　　　　　　　　　　 ,'ハ//::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ丶
　　　　　　　　 //:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈　}　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 , 　 .∨/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼､
　　　　　 ,'　　　ｉ{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼ヽ　　　　　　彼女が踏み込んだ床に、大穴が開いていた。
　　　　　..∧　／ｱ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,イ￣￣
　　　　　,　/イ／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,ｲ/　　　　　　　　　　朽ちていたのではない。仕込まれたものでもない。
　　　 .,/ｨ／,ｲ｀ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ{ ｉ
　　　　ｉ{/／　ヽ i|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､　　　　　　　　　さやかが放った全力の踏み込みが、
　　　　ﾚ/　　　ﾘ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|i｀ﾆ丶､i|
　　　　　　　　　i| ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ{　　　　＼　　　　　　　　 .社の床板を踏み砕き、大穴を開けさせたのだ。
　　　　　　　　丶､＼::::::,-‐,.:::::::::,イi:::::|i
　　　　　　　　　　 ./::/ 　ヾ､/　∧,'　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　Ｙ　　　　7'　|i　ヽ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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352 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:42:38 ID:FkQQwRpc0

　　　 /: : : : : : : : : : : : : ､: : :'. : ‘，　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　　:′: : : : : : ヽ: : :ﾄ: : |＼: ヽ: :‘，　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
、　 {: ::{: : : : : : :| ', : } Ⅵ イﾊ: }:: : :.　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
. ヽ、.{ 八: : : : {: :!__Ⅵ　从代ﾘ＼: : :　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，　　.　跳ぶはずだった体はろくに進まず、
　　　 '. : ヽ : : :Ⅵ ｨ苅　　　　ﾊ}: :}　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　　､: : ＼: 从弋り　　 ' ,　 / 从ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，.　振るはずだった剣は虚空を舞って。
　　　　　＼弋ヽ : ＼　　r 彡ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘，
　　　　　　ヽﾄ､}` 　ヽ==≦、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　‘.　ほんの一瞬、さやかは地上の魚のごとく
　　　　　　　　　　 ,　==ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ
　　　　　　　　　　　　／　　　　 ≫x　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏﾑ　無防備になった姿を晒す。
　　　　　　　　　　／{　　　　〃　　≫x　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ﾏﾑ
　　　　　　　 ,xく､　､　　/:′ 　/::::::::::::≫x_　＿＿＿＿＿_ , 　-‐.／（　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　／::::＼ヽ　ヽ　{::{　　 {:::::::::::::::::/:::´::::::::::::::::::::::::::::::::::{ {　く　　｀¨¨¨¨¨´　//}

　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ゝ　｀　　　　　 .'|:::::::::| ヽ､:::::::::::::ヽ､　／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::ノ　ヽ `丶　　／ ,|::::::::::l　_ｨゝ-､_::::::::／::::／／
　　　　　　　　　　　　　　 /::::／　／ゝ-‐= ´　／'|::::::::_｣'-‐'"ヽ､ヽr､::::／／
　　　　　　　　　　　　　 /／　　／/　　|　　ヾヽ//_＞'/7　　　　､＼／`‐´:::::ヽ.　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　／'　　　/　/　　|　　＿`メ‐'´　/　　　　　､＼ゝ'　ヽ､::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　／／　　　 / 　ﾒ─-‐"´　　　　ﾉゝ----i'ヽ_ゝｰ'　　　＼:::::::::::ヽ　　 ……その隙を見逃すような
　　　　　　　／::::/　　　　/　'"-/´　　　　　　　／/／::::::::::T´ |　　　　　　　ヽ:::::::::::ヽ
　　　　　　／::／/　　　／／／　　　　　　 r_ 二二⌒丶､ｰ::!‐-ヽ､　　,r-､　　ヽ:::::::::::..　.魔法少女など、いない。
　　　　　/:://::::/　　／ /´／　　　　　　　 ⊂二二_´ 　　 `ヽ　　　　￣`ヽ､_　　ヽ､::::
　　　　 // / V´_／　　ゝ"　　　　　　　　 _ ⊆ 三二､　　　　 |　　　　　　　　　　ﾞ､...┗━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 , -‐＝"　　　　　　　　　　　　 . イヽ-､_ゝﾆﾆ､__＿　 i　　　　　　　　　　　ヽヽ::::::ヽ
　　　 /　　　　　　　　　　　　＿ﾆ-‐'"´　 `ミ_ｰ--/::::::::::::ヽヽ｀|　　　　　　　　　　　　ヽ＼､::::ヽ
　　　i_rﾆ二二二ﾆﾆ=-‐'"￣　　　　　　　 |､_￣　7:::::::::::::::∧ヾ`|　　　　　　　　　　　　 i　　　｀`
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|､ _‐/::::::::::::::::/--＼j|　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ　/:::::/i:::::::/￣￣｀ヽ　　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　｀ｰ/::ﾉ::/::::/｀`‐---＝ヽ　　　　　　　　　　　 |

353 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:42:51 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　 ,!　　,!　　　　　　　　　　　ヽ.ヽ
　　　　　　　　　　 ,!　　.!　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　 |　　│　　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　　　　　　　│　　.!　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ
　　　　　　　　 |　　　!　　　　　　　　　　　　　　ｌ.ｌ
　　　　　　　　 |　　　.!　　　　　　　　　　　ｌｌ
　　　　　　　　　　　l　　　 !　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ′
　　　　　　　　　ｌ　　　 l　　　　　　　　　　　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　│　　　l
　　　　　　　　　　　　!　　　ｌ
　　　　　　　　　　 !　　　 .!
　　　　　　　　　　 !　　　 .!　　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　 .ｌ
　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　ｌ　　　　　　　 ――そして、命を刈り取る魔法が放たれる。
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　ｌ
　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　　 ..ｌ　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　　 ..ｌ,
　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　.ｌ,
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　..ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞl、　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　 .ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ヽ

354 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:43:16 ID:FkQQwRpc0

　　　　 | ﾄ､: : |: : : : : |: : : : : |　　丶丶丶　　　　　ｉ: : : : :!　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　;´　ヽ从: : : : |i : : : : |　　　　　　　　　ヽ゛゛ {: : : : .′
　　　　　　　　 {　｀､.: : | ', : : : |　　　　　　,__ｧ　　　　　ハ: : :.′　　　　　　　 ……尋常の剣術から測れば、
　　　　　　　　　　　〉､{　',. : : ト　　　　┃　　　　＜´: : : : .′
　　　　　　　　　　／　｀　＼: |‐- ､＞　　_　イ´: : : : : : : .′　　　　　　それは人を殺すには一歩及ばぬ
　　　　　　　 ,=ﾆ､‐-､　　　　ヽ!　　 `ｌｌ｝: : : : : |/!.: : /|: : .′
　　　 ,-‐'"´　　　＼＼　　 r‐‐-- ､巛　ヽ､/＼|: ./　|: .′　　　　　　　　　　浅く足りぬ未熟な斬撃でしかない。
　　　/　　　　　　　　＼＼　|::::::::::::::::::::`くY":::::::｝/ 　 |.′
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　 _＿＿_ _
　　　　　　　, .:´:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
　　　 ,' :::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::i
　　　　i :::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ::::::::::::i
　　　　i::::::::l::i::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ｌ::::::::::::l
　　　　|:::l::::l::|（ー）￣（ー）Lｊ:::::ﾄ､:l::::::|　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　L:l::::l_i　　　、　　　 |::::」ﾉ」:::::l
　　　　　￣ﾊ　　　　　　　　 iﾚ::::i:::::::::l　　　　　　　　　　しかし、魔法少女たちは知っている。
　　　　　　 i: :＞／ ⌒ヽ _, ィ´i:::l:::::::::|
　　　　　　　|: ／　　　　レ'｀ヽl:::l:::::::::|　　　　　　　　　その尋常を超える為、自分たちが手にしたものの名を。
　　　　　ﾉﾚ'　　　　　/　　／ヽl:::::::::|
　　　　／　　　　　　/　／　　　＼::::|　　　　　　　　　　――そうして、斬撃から一拍の間を置いて。
　　　 /　　　　　　　/／　　　　 |:::i
　　　/　/　　　　　　l/　　　 / ,.　　 |::::|　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　ヽ/ 　　 /　　「￣｀7´　　　 |:::::|
　　　　l　　　/　　！_ ＿/　　　　∧::::|
　　　　|　　/　　　！　 /　　　　　|　ヽ!

355 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:43:48 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　 .／　　　　　　　　ヽ　　　＿'　 .{　　／__,,,ｨ　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　Ｙ　　　　　　　ｨ'|　ﾊﾉ　／-､　ヽ　Ｙ　　:,:　/'"/ィ　　　　　 (/
　　　　　　　　（　　　　⌒（__（　Ｙ　　/　　　ヽ }　）..　.ﾉ霜斧ﾐx,゜　　　　　　' 　　さやかの腹部から、血とはらわたが
　　　　　　　　ヽ､　　ヽ__,　　　　　ヽ　　　 .ﾉ ∠.　(圭圭圭{!'
　　　　　　　　　　Ｙヽﾊ｀￣｀ゝ　　　`‐‐.".／　　..寸圭圭ｲ :';'''　　　　　　　　曼珠沙華のように艶やかに花開き。
　　　　　　　 .＿　／｀`─-､　r'"´二ﾆ__r‐‐"　ゝ‐.τ'{{7⌒∴：.
　　　　　 .__／＿_｀`ヽ--===､｀` ＜　　　|　__ゝ-''"´　)/　　　　　　　　　　　　　　そのまま彼女は、力なく床に崩れ落ちた。
　　　...／__＿＿＿＿　　　　　　＞^^r＞ .|___,,へ...。∴{!
　　 /_＞｀ヽ::::::::ヽ　￣｀r'^彡''""´｀｀ヽ､r､　＿,ｨ(.　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
. 　／:::::｀ヽ　ヽ:::::::Ｙ,ィゝ／: : : : : : : : : : :　,ｨ圭||ｱ　'’..　　.....＿_　　　　　　　　　　　　 ,ｨ(＿＿＿_,ｨ∵ 　　　　　　　 ,ｨ(＿
..ヽ,::---───--'"ゝノ: : : : : : : : : : : : : : :炸圭(..Ｙ　　　.,ィ升彡　　　　　　　　　　　ノ圭圭圭圭そ　　　　　　　　　。　佳圭
　　　　　　　　　　　　　}: : : : : : : : : : : :.:::: :.⌒`寸ﾄ､　　 ,{抄'⌒ 　　　ﾉ斧ﾐ､　o　　 ∴炸圭圭圭|iて ',∴ ･　　　　　　　　 _ノ佳佳
　　　　　　　　　 }: : : : : : ..:.:.:.::::::: : : : :..゜..: :Ｙ　　ﾉ/　　　　　 ⌒∴　　・　ﾉ(_ノ圭斥⌒',寸ﾐ､　　　　　　　　',.:,：･'｀¨∵¨¨⌒
　　　　　　　　　　　　 }: : : : : : : : : : : : :ノ.,,、:::::/.　／/　　　ノ(　　　　　　　　　/少'⌒ `　　　　　　　..,, _,.｡x≦少"・　　　　　　　,
　　　　　　　　　　 =======-‐''' π_ノ心､/ノ(,炸||(　　 ,,.,⌒　・っ　　∴ ･　　　　　　　　　　　　　 ;,,ｨ炒⌒;.　　　　c=≠二,ｨ
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 )圭圭圭圭圭ア　　∴：¨'`　　　`　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',∴ ･　　　　　⌒　寸
　　　　　　　　　　　 r‐''　　　　 τ｀Ⅷ:圭圭圭圭(_ノ廴　τミx｡、∴＿_　　　　　　　ノ廴_,ｨ炸廴ｨ
　　　　　　　 .,ィ'"´　　　　　　　 .)}圭圭圭圭圭そ `⌒'・　　 __,ｨ圭掛x、∵　　　 ,ｨ炸圭少⌒'・
　　　　 _,,､--‐'"　　　　　　　　 _,ｨ炸圭圭才寸圭廴｡x:≦少"´⌒''''⌒¨∵¨´　　　　　 ⌒¨¨∵：･
　､-‐'"　　　　　　　　　　　　　　　　__/.⌒`寸ﾄ､∴｀寸ﾐ､　∵：･
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`寸そ：¨'`沁っ

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356 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:44:07 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　-─────-　, ､＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿／　　　＿＿＿_／／＼＞　　　　　　　　　 ∠二..
　　　　　　　　＿＿＿,　　　　／￣￣￣￣´　　　　　　　　ヽ＼──'┿━┿＼　　　　　　　　　　　 |
　　　　 . :＜: : : : : ;∠─- ､＿ /　　　　　　　　　　　〈人　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　／. : : : : : : ／厂｀ヽ: : ＼∧　　　　｀￣￣ヽ　　　　＼＼
　　　/. : : : : : : : :＞┴─‐＜⌒ヽ |　　　　　　　　＼＿_　　　＼〉　 ――結局、剣は答えなんて教えてくれなかったな。
　　　: : : : : : : : :＿＿_: : : : : .＼　＼　＼　　　　　　ヽ＼_／⌒ﾍ
　　ｌ: : : : : : : :´: : ／/,二、＼ﾉヽ　＜⌒ヽ∧＿＿＿＿　　＼　　〈.　薄れゆく意識の中、さやかはそう思った。
　　 |: : : : : : :─＜| 〈　ｰ┘　　　　〉─/　ノ＜二ノ／＼＼　　　＼
　　　: : : : : : : .　、＞　　　卩 /　　｀￢、∠／　　＼＼　　　　　屍山も血河も生み出して、道の果てに辿り着いても、
　　　　: : :＼: : : . ＼ , ＿　　'　 /＞　　　　　￢'⌒ヽ /　　〉八
　　　　丶: : : : 、＿〈ヽ'ｰ┘,. イ⌒　　　　　　／/　　／　＼／　そこに在ったのは惨めな己が骸だけ。
　　　　　＼: : : : : . ＼￣.二ﾆヽ　　　　＿,＝く　　　／　　　く
　　　　　　　〉厂｀ヽ: :.厂｀ヽ　 r ─┬＜　　＼＼／　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　ノ　　　＿｀フﾉ)　　＼　∠／　　　　　　　　　ヽ/ 　＼__ノ）　＼丶、＿＿_／
　　　　　　　　　　　　　　　　ｰ‐＜ノ) _／⌒￣´　　　　　　　　　　　　　＼　　ﾆﾆイ　　＼＿＿ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀￣　　　　　　　　　　　　　　　ヽ｀￣イ

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.　　　　　　　　　「二ニ」
　　　　　　　　 {ｰ =≦}
　　　　　　　　　　 jﾆ=-　 `　、　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　辷ニ=ミ､　｀ヽ､
　　　　　　　　　 |:::⇔:::|　｀ヽr=x｀ヽ､　　　　　　　　　　　　疲れて、疲れて、ただ疲れた。
　　　　　　　　 r‐::┴=ﾆ:::::￣｀ｰ:､　｀＾j　ヽ､
.　　　　　　 (::::::::::::r‐==ﾆi::::::r‐'　　　｀ヽ､　ヽ、　　　　　　 .全力で斬り合い、全力で戦ったが故の泥のような疲労。
.　　　　　　　｀^ ーＬ＿___l￣　　　　　　　｀ヽ　ヽ、
　　　　　　　　　　　 |: l: { !　　　　　　　　＼　＼　　　　　 .その微睡みに任せるまま、彼女は瞼を閉じようとして。
　　　　　　　　　　　　 |: l: } {　　　　　　　　　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　|: l: { |　　　　　　　　　　 '，　 ..　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 |: l: } !　　　　　　　　　　　　　 ‘，　'.
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　　　　　　　　　　　 |: l: } i　　　　　　　　　　　 ‘，　' .
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357 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:44:18 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　　　　　　　､　　,　　　`Y　　 |　　 ∵”　　　 .,ｔ　　　　　　　　　　　　　 |::| ..:::ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ）　　　　　|　　人　　　　　 .-}ﾄ　　　　　　、　ト､　　/Ｔ|::|:::::::|:::
　　　　　　　 ,　　　｀Y´（　　' 　　 ,/　　　く、　　　　　 Y:ヒ、　 ,、　　　|| r┘.:|-┐|.;|:|::|:::::::|:::
工|工|工l工エエｴl＼　　　）､　　／　　　　　 }　　　　...`=|;:{二　 |:|　/＼.||...::/〉:::::::,⊥;:|::rｪｪェェ
__|＿__|_,工工]エｴ}ﾆTニ7〉ｪｪｪｭ　　::::::::::::::::::::::　＼ﾉ!　　　　|.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
＿|＿|_;工工]エlｴ|-[]─[[:ﾛ::ﾛ:{　　.）　　　 ::::::::::::::::::::::ゝ　　...|:;|
__|＿|＿l工工;エｴ|＿＿__]〕ﾆlﾆl　　　　　　　　 .::::::::::::　､.v,,!;:. 　 ……その直前、この疲れが
＿|工|_;工工]エlｴ|┴┬／>─‐>.　.:::::::::::::::::::::::::. 　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ
__|＿|二l工工;エｴ}┬／／.::::／　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ,v,,　　ひどく懐かしいものであることに気が付いた。
＿|＿|_,工工]エlｴ}／／.　.) ､　　　 )ヽ　　　　　　（　ﾐﾞ':ヾvv'w:
__|二ｌ＿l工工;エｴl／,,;;,／　 . ) （　（　　）ヽ　；　・　）　;　'..　.'.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
_|＿|＿l. 　(. 　エｴl-.　.)　` 　（ (　）　）（（　　　）ヽ ( ､　　）ヽ　　；　 .._/＼二: 　 ::Vィ'　　(ソﾍ（::.:
.:　,　)　　　)　　)ヽ（ ( :（　　）　　　ヽ､）　）　（　（　））; （　（　（､　:. 　. ､.v,,. 　',:; .::）　　　　　　　て:;;
　）ヽ　 (丶　　)ヽ　（　（）　　（　;;　　;､:　　;　;）__）　）　（____）　）　））　；　　.　.:.（ノ　　　　　　　　（::
. （　（　 .）　）ノ　 |　:　)　＿,,,-､__　　;;　.､　　　　　（／（＿）ヽ　）ヽ ;;.　.lニコ.　.::::）　　ﾍｿﾊ　　　,ゞ
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358 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:44:30 ID:FkQQwRpc0

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　　人 : ,' : : : : : : :ヽ. { ＼:j　　　　　　 i　　　ﾚ: : :i: ,'
　　　ヽ}: : : : : : :/: : ｀ー'i､　　　　　 r─‐ｧ　　 ,!: ／i/
　　　　　ｉ: : : : :／ : i: : : i;r!. `　.　　　` ｰ' 　 .イ: :/　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 (__X: ,.': :/ : : : {: : :入` ｰ　､＞ｧ　_ - ﾟ　ヽj
　　　 /: :/: : :{ : : : 人 : : : `ー: .､｀ｰ' ｧ'7ｫ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――ああ、そうだ。
　　　,':,.ｲ: : : 入: : : :.≠ー -　､: :} ､ / ≠.',
.　　ｉ i　!: : : : : ヽ／　､　　 }:/_....ヽ/､/∧　　　　　　　　　　　　　　　　まだ自分の村が滅びるよりも前。
. 　人!　ヽ: : : : /.　　　ヽ　Ｙ´////',/}//}
　　　　　｀j: ｉ　　　　　 λ　} /////ト'､./ﾄ.　　　　　　　　　　　　　守りたい人に、尊い命があったころ。
　　　　　 /イ!　　　　　　入 ∨/// ,'!.i Yi'/
　　　　　　　 }　　　　　　　ヽ.ヽ/.,ｲ}.!≠!l　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　 /　　　　__ ..， - /　`'. ﾞi.l　 j.!
　　　　　　　　`ヽ　"´＿＿　／　　　 j.l　 {ﾉ
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　　　　　　　　　　　　|,}　　｀　　　　ﾞ´　/.ｨ　 ,仁il}/ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　Vヽ　　､__　　　　 ´/_ノ=ソノ /ﾚ
　　　　　　　　　　　　　ヽ､　　　　　 ,.イ´ |￣´ｨ |　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　, --――-,ﾃT'´￣ ´　　 _,|イ´ ﾚ
　　　　　　　　　 /　　　　　　ﾄ､|＿_ ,. -, -' ´ ト､　　　　　　　　　　　　　自分は、何度も皆を護るために戦って。
　　　　　　　　 /　　　　　　　!　|l|￣ ´ 　 ,／　　＼
　　　　　　　　/　　　,　　　　　ilr-― '　´　　　　　　＼_　　　　　　　　 .その度に、この泥のような疲れを
　　　　　　　i´　　　 .|　　　　 .il|　　　　　　　　　　　　 ,-ヽ
　　　　　 r‐ ' ＼　　.|　　　　 il|　　　　　　　　　　　,　　　 |　　　　　　　　 .体の内に溜めて込んでいたんだった。
　　　　／　　｀ヽ､　|　　　　 |l|　　　　　　　　　　 /　　　 .|
　　／　　　　　　　,.|　　　　.!l|　　　__　　　 i　　/　　　　/　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　／　　　　　　　／/i　　　　|l|　　　ヽ｀ヽ､　l　/　　　　 /
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359 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:44:42 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　 ./'　l: ::|: : |　　　　　　.,　　　 , , , , ,　l::: : |:::::lヽ._　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 |: l:|: : |　　　　,､＿＿__. 　　　　/! ::/:::/
　　　　　　ヽﾄ:ヽ::l＞.　　丶＿_.ノ　　　 .ｨ::ll :/l:/　　　　　　　「――そうだ。あたし、ちゃんと疲れてたんだ」
　　　　　　　　　　ヾ',lﾊlヾ＞,. 　　　　 .　＜/ﾚ./:/ /
　　　　　　　　　　　　ヾ.　{ﾐ===｀T´=='=}　　 /'ｲ　　　　　　　　　　　　彼女が死んだ日も、そして彼が死んだ日も。
　　　　　　　　　__ ／｀ｖ‐,ｨヽ､.　　||　／.l__
　　　　　　　 ./　/ ￣二l_――.､._}{_.ｧ――"'､￣￣ヽ　　　　　　　　「あたし、ちゃんと全力で戦ってたんだ」
　　　　　　 .ノ　 |　　 --､}:::::::::＞{::::}＜:::::::::::::/　　　∧
　　　　　／　 l　|　　　ィ }:::::::::::/´Tヽ::::::::::::::::l　　　/　＼　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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　　／/　　　　　　　/l、　　　　　　　 l
　　　l　　　　　 /| ./::::l、iﾍ　　　　 |
　　 .l /| ,　/! /:::l./::::::::l |::::〉.iﾍ、 .　 |
　　 |/ |/|/::!/::::::l_:::::::::::::::::::::::::::ヽ|、 l
　　　/´l|.|::::!':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|.i^ヽ
　　　l |6||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||.6l|　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　ヽ._||::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||_ノ
　　　　 ∥:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∥　　　　　　　　　　 ……護る気がなかったのだろうと、かつて疑心は糾弾した。
　　　　　|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|＼
　　　._／l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!　 l ､　　　　　　　　　お前の正体は、彼女や彼の死を望む悪鬼だったのだと。
,.‐''"´/ 　ヽ､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,‐'´.　 |　｀` ‐
　, -‐''"⌒)ヽ`‐､:::::::::::::::::::::, ‐'´l .l　　│　　　　　　　　　　　魔法少女になる前から、お前は魔物だったのだ、と。
（　 -‐'"⌒)-､〉l:::` ‐--‐'":::::::::l　| 　 . |
.（　 -‐'"⌒)ノ, |、::::::::::::::::::::::,ノ!　|　　 .|　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
/（　-‐''"⌒)ﾉ　! ` ‐----‐'´ .l　 |　　 |
　 (._,,. -‐' ,"＼ l　　　　　　 l　,へ、　 |
　　　　　 /　　ヽ　　　　　ﾚ'　　＼ .|
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360 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:44:59 ID:FkQQwRpc0

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.　　　　 V:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:ﾊ:iV　ヽ　>　　　　　　　 i : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　}ﾍ:.:.:.､:.:.:.:.:.;.:./ ヽ､　t､/　　　　　　　　　 __}ヽ: : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　ヽﾄ､ト／!:/＿ト　.／　　　　　　　 /´　　￣￣ヽ: : :!: : : : : :
　　　　　　　　 }￣￣￣￣` !　　　　　　　　　 ./　　　 ',　　 ', : i!: : : : : :
　　　　　　＿/＿　＿＿＿ヽ_　　　　　　／　　　　　　　　 i:　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　_ .＜　　　　　　　　　　　　＞、　　....., '　　　　　　　 l　　 /ｲ
　　「　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、.　ヽ　,.　　　　 |　　　　　「……んな訳ないじゃん」
　　|、　　　　　　　　　　　　　　　　　　i |　　 .У　　　　､.ノ
.　ハ　　　　　　　　　　　　　　 | |　　 .'　　　　 }　　　　　　　それがたとえ、自分の好きな男を奪ってく女でも。
　ﾉ.　∨　　　　　　　　　　　　　　　　,′|　　,'　　　　 /
　|　　i|　　　　　　　　　　　　　　　　i　　|.　/ 　　　 ,　　　　　　　　自分のものにならない男でも、それでも。
　|　　 |　　　　　　　　　　　　　 |　　 / 　　　 ,　　　　　 _
. ′ 　 |　　　　　　　　　　　　　　　 |.　　' 　　　 /　　　　　　（. 　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
,′　　 |　　　　　　　　　　　　　　 |　　.'　　　　 /　　　　　（_／ﾞ´ヽ_}
　　　　ﾊ　　　　　　　　　　　　　 r' ´ ￣|　　,.′　　　　　　　　　　　　`
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　　　　　　　　　 __,.　──-　_
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ　　　　　　　　　 .仁美は、大切な親友で。
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､　　　　　　　　　　　　恭介は、大好きな幼馴染だったのだから。
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!　　　　　　　　　　　　「死んで欲しいなんて、願うわけないじゃん。ばーか」
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧
　　　　　　|::::::::| j　　｀`ヽ､　∨::::ハ
　　　　　　∨::::| i　　　　　　　∨::::::i

361 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:45:10 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
. 　　ｌ,f:::i| :::::|:::::::||::::: |i::::i:::i
　　　 |:|:::::|_:::::|:::::::||:::::_|::::::|::l
　　　 |:|::::_| 　　 ,､　　 |_:::|::|　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━┓
　　　 |:|:´:|ﾞ:､／ |l|＼,.ｨ|:｀::|::|
　　　 |:|::::|::/　　 |　　ﾞヽ:::::|::|　　　　　　　　　　　「答えは、出せた？」
　　　 |:|::::|/　　 ∧　　 |:::::|:::|
　　　 |:|::::|　　／,| ヽ　|:::::|:::|　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━┛
　　　 |:|:i'l〉ｲ´　 .|　｀ﾄ〈'i,::|:::|
　　　 |::::::＼_ 　 |:|　　 ,ノ:::|:::|
　　　 |仆ｲ|'i|｀ゝ' ﾞｰ:'´|::/|ilﾊ|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ　￣　‐-
　　　　　　　　　　　　　　／　 ,′ 　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　　 '，
　　　　　　　　　　　　　　　　 ∧.　　　ﾄ､
　　　　　　　　　　 ,'　　 /_　ヾﾍ}ﾉ|　'，　 |っ
.　　　　　　　　　　　 /ﾉ　./´　　　　/｀ヽ| 　 lっ　 i
　　　　　　　　　　　　／´l　l i彳卞　　 ≠ミ､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　 l　ﾄﾍー′　　込ｿﾊ　 | ）　　!　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 | 从　　　　　　 |　ﾑ′八!
　　　　　　　　　　　 |ﾙ' ヽ.　ｰ― 　　 ! /　/ﾚ′　　　　　　　　　　「――うん、すっきりした。
　　　　　　　　　　　　 |八/≧ｒ-‐　7/|ﾙ/ノ
　　　　　　　　　　　　　　　＿ｒ‐ミ.､≠ ﾍ＿　　　　　　　　　　　だからあたしは、これでおしまい」
　　　　　　　　　　　　　／｀´ Ⅶ ＿　|l|. ＿Ⅳ ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅶ!. . .ミT´ . . | 　 l　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 /　　　　　　| . . . 八. . . i! 　 |
.　　　　　　　　　 /　　　　ｉ　　 l. .／||.||＼. j 　乂
　　　　　　　　　　ヽ　　　　　ゝ＝||.||=≠　 '， .ﾉ
　　　　　　　　　 '，　　i!　　　　　　　　　　　 }/
　　　　　　　　　　 |　　 l　　　　　　　　　　　ﾘ

362 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:45:20 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　／ |: : /i:|　 |: :i: : :|: : : : : : : : :|: : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　／　　 |: :/ |:| __､: l,: ::l: :|: : : : : : :|ヽ===､､: :l: : : :ヽ: : : : : : : : : : :|
　　　　　　　　 |:./l .l| /rﾐi:|､:l: : l: : : : : : :/: :v,=='_': :l: : : : :l: : : : : : : : : : :|
　　　　　　　　 V/　 /;/　ﾘ　|: /: : : : : : :/: : :ヾ:つ): l: : : : :l: : : : : : : : : : |
　　　　　　 __. ノ　　// 　　　/:/: : : : : : /,. --､: : l: : |: : : : : : : : : : : : : : |
　　　　　　 | 　　　 '´　　　/:/: : : : : : :/／ i｀ }: : l: : l: : : : :.l: : : : : : : : :.|
　　　　　　ヽ　　ヽヽヽ　 /:/: : : : : : :/ﾉ ! ｀　/: :l: : :|: : : : :|: : :.|: : : : : :|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　'､　　　　　　　l:/: : : : : : :/' __ノ /: : : : : :|: : : : :|: : :.|: : : : : :|
　　　　　　　　＞　　　　 l: : : : : : : :/ ´,, -'´|: : : : : :.l: : : : :l: : : l: : : : ii:.|　　　　　　　　　　「おやすみ、キル子」
　　　　　　　 |　　　　　　l: : : : ,: : :,/ '´　　　|:/: : :l: : : : : : /: : : : : : / |:l
　　　　　　　　､　　　　　l: : : : /l: :/　　　　　,l: ,i: : /: : : : /: : : : : : /　ヽ　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　｀iﾞー --|: : :,/ l: /　　　　　// |: : : : : : : : : /l: r.:/
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　　　　　　　　　　|: l ;l:./: :ｨ:/} ,/　　　_ ,-==-''/ /: : :r'´　/　/
　　　　　　　　　　|:|　v/:/ r,f=== -‐''´´　　　　 /:／ |
　　　　　　　　　　 l|　ﾚ　　 l|　　　　　　　　　 _ '--―.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ll　　 __,. -　　,.r'´,r '´￣￣ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　| '´　　　　／／　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　 i/|//,|/////////,'| ゝﾞ='" 　　 ,　!/|
　　　　　　　　 |/!//,|//////////|　　　　　　,ｨ //,|
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　　　　　　　　///ヽ　　　　l////,l､､　　〈ヾ.､ヽ.ヽ//|　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　./////〕=- ､_ l////,l｀ヾ､､　__,ヾ.､＼i//|
　　　　　　　 ,/////　　/　`ﾞl////l　　 `ヾ.､　ヾ､ヾ.､|　　　　　　　　　　　　　「……ええ。お休みなさい、さやか」
　　　　　　　,'////　　 / 　　.l////l　　　　ヽ＼ﾞヽ　ヾ､
　　　　　　 //,'/　　 /　　　 .l////lヽ､　　　　＼＼l　ヽ＼　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 //,'/　　 /　　　　 l////l　　＼　　　　＼l　∧　ヽ
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　　　　　/// l　　　　　　　ヽ　|.l///l　　　　　　　ヽ　| 　 l/

363 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:45:36 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, -‐=＝= ､
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿___　　　　/　　　　　　｀`丶､　　　 ___　-‐…‐-∠⌒＼-‐…
　　　　　　　　 .　-‐ : : : : : : : : : :￣　-＜　　　　　　　　｀　　.　　　　　　　　　＼＼
　　　　　　　／ : : : : : : : : : _;,;,＿ｆ⌒ヽ､: :_:` ､　　　＼　　＼　　　｀　 .　　 } }　　　＼＼
　　　　　　, ' : : : : : : : : : : ´: : : : : : :｀`ヽ: :＼: :`､　　＼　　ヽ　　　　　　｀　､}　　　　　＼
　　　　　./: :　 : : : : : : : : : : :__: :／:_;_;_;_:＼: :`iY　丶　　ヽ　　　ヽ　　　　　＼　｝　　　 i
　　　　　′　 : : : : : : : : : :`＜/ ￣　　　ﾘ⌒`;}　　.} 丶　　 }　　} 　ヽ　　　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 {　 : : : : : : : : : : : :､; : :{:｀:ヽヽ　〃　　 V　＞‐-=＜＿ﾉ　　｜
　　　　 |　: : : : : : : :,: : : : : :｀ヽ､: : :＼　　　　　 ∨　　　　＞‐:.､　｜　　　　　そうして、さやかは死んだ。
　　　　 {　 : : : : : :く_: : : : : : : : : :＼￣~　　　 o ; ＼　　／.:.:.'⌒:.＼ｊ
　　　　　　　 : : : : : : `ｰャ:==､;,;_: : :ヽ　　　 ´ 　/　⌒ヽ,:'^:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:人　　　　　彼女は眠るように目を閉じて、
　　　　　`､　　: : : : : : : : :ヽ　￤＼: :l}　　　., '　　　 /.:.:.:.:.:.;.:.:.:.:.:.:.::::::::＼　}
　　　　　　＼: : : : :＼ : : : : ＼ {　　 Ⅵ_　　∠、　　 {:::.:.:.:.ﾉ.:.:.:.:{::::::::::::::::::∨.　　　そのまま二度と開けることはなかった。
　　　　　　　丶 .　_　≧=-ヽ:_:_:＞-=t---=´厂＼_/￣ﾉ:::::/:::::::::::;!::::::::::::::::::::}
　　　　 ⌒＞'"　　　　　　　　　　　｀`'くｲ　　　/　/.:.:./:::::::;:‐´::::::::::::::::::::〈／..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿j/　/:.:.:/::;:‐:´:::::::::::::::::::::::::∠... _　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/}　　｀/／/'ヘ:::::::::::::::::::::::::::::/⌒´￣｀`丶、　 |
　　　　　　　　　＿__　　　_＿　..　 -‐　　人＿__　　_＿_　>､::::::::::::::::::/　 __, 　　 /　＼ |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　｀ﾆ=‐-　　　　｀　ｰ-=7　/　　　 /　　_ｊﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　''"　　　　　　　　　　　ゝ-く_ ノ_,__ ノ´￣

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364 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:45:46 ID:FkQQwRpc0

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365 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:45:58 ID:FkQQwRpc0

:::l洲:::::::::lllll／:.:.:.
-l洲,,,,／lll廴
;';';';';';';';';';';';';';';';'ヽ
:::洲l　,-llll{_ノ;';';';';'＼
;';';';'／,.ｲll|⌒ﾐ;';';';';';';')　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
７洲／/lll{:: ::　:.:~'´´´　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_＿＿＿＿__
(;';';';';';';';'ミzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz,.ィ升三三三三三ﾒ,　　　　　 ……さて、それから、数日後の話である。
l洲　/,l洲､'//'//////////////////////////,ｲ三三三三三三ア/＼
l洲 //l洲トミ=========================,ｲ三三三三三三ア/,<'//,＼　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
}洲 l＿洲l_|__|＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＞く三三三三三三ア//ｲｌ| `'ミ//,＼
}洲　.|洲ｌ |　l　 |　　　　　　　　 l二ア´三三三三三三＞く彡イ:::|::|　　/`'寺/≧=ァ
l洲zzz|洲l |　l　 |　　　　　　　　　`寸ZZZZZZZZZ彡イニニニニニﾆ7　_二＞＜
l洲￣ }洲lｺ　|ニ|ニニニニニニﾆﾆ|| l＼＞´／￣l:l::|￣¨ア￣￣７__./二＿_|　　 |
===ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二二二￣￣￣7‐‐=彡_ ∠___∠」jｌ:|__,ｨ───/__/＿＿/_|__,,.. |
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366 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:46:29 ID:FkQQwRpc0

二ﾆ=‐　　 |ﾆ=-　　　　　 :|ＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺZＺZZZZ|　　　　　　 ||　　　|::|_,.｡o≦　_二ﾆ=-‐　''
-=ﾆ二三二ﾆ=-￣_=-　,,,_|　 |　|￣~~|　 |~￣~|　　|~￣~|:::|i:i|　　　　　　 ||_,.｡o≦_ﾆ=-　￣　 :::|::| |
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　　　　　　||::|‐'"_,.｡o..／　　 ::＼:::／::::＼.〕〔ｨﾆﾆﾆﾆﾑ===== |　|　　　　　 |.==｀
　　　　　　　　　／　　 <●>::::::<●>　＼　　　　　　　　　 l __｀___ 　　　 |　　　 .できない夫の屋敷に呼び出されていた。
　　　　　　　　　 |　　　　　（__人__）　　　|　　　　　　　　 .{ 　　　　　ｌ
　　　　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´　　　／　　　　　　　　 .{　　　　　 ./　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　￣（⌒`::::　　⌒ヽ　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ノ
　　　　　　　　　　　　ヽ:::: ~~⌒γ⌒）　　　　　　　　　　ﾉ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ヽー―'^ー-'　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 |

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.　　　 | 　　　 __´__ ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　 |　　　　 `ー'´}　　　　　　　　　　　　　／.￣￣￣.＼..　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　ヽ　　　　　　 }　　　　　　　　　　　 /　　 ::＼:::／::::＼
　　　　　ヽ　　　ノ　　　　　　　　　 /　　<●>::::::<●>. |　.こうして夜中に呼び出され、密談を交わすのは、
　　　　 /⌒ヽー-ィ　　　　　　　　　　　 |　　　　..（__人__）.　|
　　　　 |　　|.　　　|､＿　　　 _＿__ 　　　　＼　　　｀ ⌒´　／.　やるオプーナにとって珍しい事ではない。
　　　　 |　　|　　　|〆￣￣￣ヾィﾘ　　　　　　　/⌒　　ー|i〆￣￣
　　　　.（｀￣￣ﾘ⌒)　　 ⌒　⌒　　　　　　　 |　､＼　/ 　　　　彼は悪代官の懐刀である。恐らくまた要人を斬る為に
　　　　 | `二二二"　　　（● __(●　　　　　　 | ＿＼二つ　　　（●
　　　　　|_＿＿y　）　　 .::⌒（'g g,）　　　　　　|_＿ ⌒l　　　　 ::　自分が呼ばれたのだろう、と心中で当りをつけていた。
　　　／´　　　|　　|　　　　￣ノ　　　　／´ 　　|___|＼
｀＠/　　　　 |＿_| 　　ー‐ ｨ´　　　｀＠/　　　　 `ー　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　|　　　　　（＿__ﾞ)　　　　 |　　　　　　|　　　　　　　　　　 |
　　|　　　,ﾉ　　　　　　　　 |　　　　　　|　　　,ﾉ　　　　　　　　　 |
　　〉　ﾉ､＿__　　、　　r__ ,ノ　　　　　　　〉　ﾉ､＿__　　、　　r__ ,ノ
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367 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:46:57 ID:FkQQwRpc0

　　　／￣￣＼
　／　「　　へ＼
　 |　（●）（●）　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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.　 |　　 __´___　　|　　　、、　　　　　　　　　　　　　「――つーわけでさ。例のカイジって博徒と、
　　|　　 `ー'´　　}l⌒l　ﾉﾉ
.　ヽ　　　　　　.}`'''|　＼　　　　　　　　　　　　　　　　そこの料理屋の女将。両方斬っちゃってくれよ」
　　ヽ　　　　　ノ ./　　　＼
　　　/　　　く/　/　　　　　　＼　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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　　 |　　　　|ヽ、二⌒)、　　　　　＼

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　　　　　　　　　　＼＿／
　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　／￣￣　＼
　　　　　　　／　 ::＼:::／:: 　＼
　　　　　　／　.<●>::::::<●>　＼　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　|　　　　（__人__）　　　　|
　　　　　　＼　　　｀ ⌒´　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……本気で言っているのか、貴様」
　　　　　　 /,,―　-ー　　､　,　-‐ ､
　　　　　（　　　,　-‐　'"　　　　　）　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 `;ー"　`　ー-ー　-ー'
　　　　　　　l　　　　　　　　　　　l

368 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:47:19 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　｀ヽ　　＼　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　（●）（● )　　　|
　　　　　　　　 |　|　　　　　 |　　　　　　　　「おいおい、理由はさっきも言ったろ？
　　　　　　　　 l __｀___ 　　　 |
.　　　　　　　　 { `ー'´　　　ｌ　　　　　　　　　そいつらは魔法少女の顔を見たそうじゃないか」
　　　　　　　　　 {　　　　　 ./
　　 γ⌒ヽノ　ヽ　　　　ノ　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 ( 　⌒ ）　　ﾉ　　　ヽ
　　ゝ＿ｲ　　　/　　　　　 |

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　 ,.‐''"￣｀丶、
　　　　　／　　　　　　　＼
　　　／´　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　/ 　　 |＼_＞､_ ､r‐､　　　＼
　　　ﾚ!　｜|_| |/_　ヽ＼}　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「例えばヤツらが魔法少女の顔のつくりでも
　　　　|八|-／>､∪_ u`i　　ト､　　　 .γ::::::::::::::母:::::::::::::ヽ、
　　　　　　/ / ,くｨ夕u'　| 　 |/ ｀`‐- ､./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　ちょっと詳しく周囲に吹聴すりゃ、
　　　　　 |/ / /_ヽ┐u | 　,|　　/.　γ:::::::::人::::人::人::::人::::::::ヽ
　　　　　　ヾ' / r┘|.l__人　|.　∩　（:::::::::／　 ::＼:::／:: 　＼:::::::）　∩　　　　役人どもが魔法少女を捕まえる可能性が
　　　　　　　＼　） |　　　N.　.ｌヽ∩＼／　 (○)::::::::(○)　＼ﾉ∩ノ j
　　　　　　　｜u　 |　　/|(l(l｢.ヽ　ﾉ　|　　　（__人__）　　　　| ヽ　ﾉ　　　　　　 .それだけ上がっていくんだぜ？」
　　　　　　｜　u｜ / | ヾ-ｲ...|　ヽ　＼　　　｀|!!il|!|´　　　／./　ｊ
　　　　　　 _|　　　|/|　|　＼　＼　｀ｰ｀　　　ー‐' 　　 ´‐´　 /　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　ハ.＿__ハ　　　　>､　＼　　　　　　　　　　　　　／
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

369 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:47:40 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　「　　へ＼
　　　　　　　　　　　|　（ ●）　（●） |
.　　　　　　　　　　　| 　　　 | 　　 |　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 | 　　 __´___ 　 |
.　　　　　　　　　　　 |　　　｀ー'´ 　 }　　　　　　　　　　　　　　　　「で、捕まった魔法少女が俺らの事ゲロったら
.　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　 ,､ヽ　　　　　ノ-､　　　　　　　　　　　　　　それで俺らは終わりだよ。
　　　　　　　　／;;;i/　　　　　　'､!＼
　　　　　 _,､-／;;;;;;;;|　i　　　　i　 i;;;;;ﾞ､-､_　　　　　　　　　　 .そうなる前にさっさと斬るのは当然だろ？」
　　　 ,-‐'''";;;;;<;;;;;;;;;;;;;!､_｀ヽ　､-'_／!;;;;;;ヽ;;;;;｀'';;ｰ;;-,
.　　　!;;;|;;;;;;;;;;;;;;;＼;;;;;;|'ｰニ_ー_ニﾞ／.|;;;／;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;!　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　|;;;;;i;;;;;;;;;;;;／´;;;;;;|　　　　　　 |;;;＼;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;|
.　　 |;;;;;;;ﾞi;;;;;;;;;'､;;;;;;;;;;;;!─┐　　┌─.|;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;/;;;;;;;;i
　　/;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;ﾞ､;;;;;;;;;!　　l　　　l　　l;;;;;;;;;;/;;;;;;ﾉ;;;;;;;;;;|

　　　　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　　 | 　　　 |
　　　　　/≡)　　＼＿／　/ミヽ　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　.　／＿ノ　　＿__|＿__ ヽ＿　＼
　　／／　　／::＼::::::／::＼　＼＼　　　　　　　　　　　「……貴様、本当にそれだけなのだろうな。
　 ( 　く　　.／< ＞>:::::<＜>u＼　 .>　）
　　＼　／ u　　（__人__).　　　＼'.／　　　　　　　　　　　ドクオを斬らせた時と言い、貴様最近少し妙だぞ……」
　　　ヽ|　　　　　｀⌒´　　u　　　|/
　　　　＼　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

370 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:47:52 ID:FkQQwRpc0

　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　丶
　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ヽ
　　　　|　　　　　　　　　＿　　　ｨ:::7;,ハ
　　　　|　　　　　　　／　 ,＿、　　｀=彡　 |
　　　　|　　　　　　　　　　　.ィ::::厂;;　　＼　　│
　　　　|　　　　　　　 ^===彡　　　＼｜
　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´　l
　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　 ,_-ｘく|
　　　　　　　　＼　　　　　　　　 /こ´介＼
　　　　　　　　　 |　　　＼　　　　　　丿　ﾞﾞ
　　　　　　　　／|　　　　｀ニ＝=‐┬=≦ ＿＿
　　　　　　　　 |　＼　　　　＼:::::::::::::::::|　　　　 ∧
　　　　　　　　 |　　｀　　ー-=ﾆ二::＿::::| 　　　//∧
　　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　 ////∧

　　　　　　　／￣＼
　　　　　 |　　　　|
　　　　　　　＼＿／
　　　　　　　　＿|＿
　.　　／´￣　　　￣｀＼
　　 .／　　 ::::＼:::::::::／:::::　ヽ
　　/　　 < ○ > :::::::: < ○ > ヽ
　./　　　　　　　　　　　　　　　 l
　.|　　　　　（_＿人＿）　　 .|
　..ヽ　　u.　　　 | -┬-|　　　 /
　　ヽ､　　　 .｀ ⌒ ´　　／
　　／:::::::::|::＼ﾞ_>介 √!;:::::::＼
　. /:::::::::::::::＼:::ヽ };;{ |::/::::::::::::::ヽ
　/:::::::::::::::::::::::ヽ::ヾ::}〃:::::::::::i:::::::i

371 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:48:02 ID:FkQQwRpc0

　　　／￣￣＼
　／　「　　へ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 |　（●）（●）　|
.　 |　　　｜　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「おいおいおい、馬鹿言うなよやるオプーナ。
.　 |　　 __´___　　|　　　、、
　　|　　 `ー'´　　}l⌒l　ﾉﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　俺は何にもおかしくねえよ。お前の思い違いだって！
.　ヽ　　　　　　.}`'''|　＼
　　ヽ　　　　　ノ ./　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　お前はいつも通り、何も考えず斬ってくればいいんだよ」
　　　/　　　く/　/　　　　　　＼
　　　|　　　　　＼＼　　　　　＼　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 |　　　　|ヽ、二⌒)、　　　　　＼

　　　　　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　　.|　　　　| ＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　＼＿.人　　＼
　　　　　　　　　　.／:::::::::::: 　 .　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「……信じておるぞ、できない夫」
　　　　　　　　　 /:::::＼:::::／::: 　　. ヽ
　　　　　　　　　 |:::=・=::::: =・=::::　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　やるオプーナはどこか苦しげにそう呟き、
　　　　　　　　　 |:::::（__人__）　　　　／
　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　できない夫の屋敷を後にした。
　　　　　　　　　　/ ⌒ ):::::::::::::::::::::　　|
　　　　　　　　　し:￣::::::::::::::::::::(⌒　）　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
.

372 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:48:15 ID:FkQQwRpc0

:::l洲:::::::::lllll／:.:.:.
-l洲,,,,／lll廴
;';';';';';';';';';';';';';';';'ヽ
:::洲l　,-llll{_ノ;';';';';'＼
;';';';'／,.ｲll|⌒ﾐ;';';';';';';')
７洲／/lll{:: ::　:.:~'´´´　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_＿＿＿＿__
(;';';';';';';';'ミzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz,.ィ升三三三三三ﾒ,
l洲　/,l洲､'//'//////////////////////////,ｲ三三三三三三ア/＼
l洲 //l洲トミ=========================,ｲ三三三三三三ア/,<'//,＼
}洲 l＿洲l_|__|＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＞く三三三三三三ア//ｲｌ| `'ミ//,＼　　　....┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
}洲　.|洲ｌ |　l　 |　　　　　　　　 l二ア´三三三三三三＞く彡イ:::|::|　　/`'寺/≧=ァ
l洲zzz|洲l |　l　 |　　　　　　　　　`寸ZZZZZZZZZ彡イニニニニニﾆ7　_二＞＜　　　....――ところで、柳原藩にはもう一つ、
l洲￣ }洲lｺ　|ニ|ニニニニニニﾆﾆ|| l＼＞´／￣l:l::|￣¨ア￣￣７__./二＿_|　　 |
===ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二二二￣￣￣7‐‐=彡_ ∠___∠」jｌ:|__,ｨ───/__/＿＿/_|__,,.. |　　　　有名な怪談が存在する。
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/___/i:i:i:ｉ:ｉ|:|:::|:|:::|:|:::|:|:::|l‐.|:|::|　.TT　　　　＿＿＿＿_,,..
ﾆ=-　」j'j'j'j'j'j'j'i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:|」」」|i:i:i:i:|:|:::|:|:::|:|:::|:|:::|l　|:|::|　 |::|「「「「i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　￣　=-　」幵幵:i:i:ｉ:i:|:|:::|:|:::|:|:::|:|:::|l　|:|::|　 |::||i:|ｉ|ｉ|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
　　　　　　　 γﾆヽ..　.二ﾆ=-[二二]」∟∟」L.l:|::|＿|::||i:|ｉ|ｉ|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i
　　　　　　　　 .ヽ__ノ　　　　　　　　　　　　二ﾆ=-　.」_||i:|ｉ|ｉ|i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:
　　　　　　　　　、ノ- 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　=-　　i:i:i:i:i:i:i:i:i:
　　　　　　　　 ●::●> ヽ.
　　　　　　　（人__）　ノ
　　　　　　 /　　　ヽ
　　　　　　（|　　　し'
　　　　　　　 .し　　Ｊ

373 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:48:29 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:;;:　, .,., .,. ;:;:　　　:. :.　 .: :　 -‐-　 :. .:.::. .:.: :. .:.:
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;:;;:　, .,., *.,　. : ,r'´.　　　｀ヽ: .. : :. .:.::. .:. . . ;:;: ,.:
　　　　　　　　　　　　　　　／￣＼　　　　　　　　　　＋　　.: ..: :'　..:.　　　　　ﾞ; ::: :. :. .:.:. .::;:;;:　, .,., .,.
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　: :.　::..　　　　　　 .: :. .:.::. 　:. . :.　;:;;:　, .,.,
　　　　　　　　　　　　　　　＼＿／　　　　　　 .;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,..: ..: :ヽ　::::...　.....　,.': :... 　:. :. . :.::,; +;.,;,:: .
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　　　 ;:;;:　, .,., *.,::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... . 　　.:::　　　　. ;:;: ,.:;,;,
　　　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼　　　　　　　　　　　　　 :: . ::. ::::. 　　::..　　　::..　　　;:;;:　, .,., .,.
　　　　　　　　,,,　　　　/::＼:::::::／::::　ヽ　　　　　　;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;＋　　,:,:,; ;.,;,::;;,... ..　;:..__,ﾍ_ ,. -──- ､,
　　　　　　（_⌒丶　　|<●>:::<● >　　ヽ　　　　　　　　　　　 ;:;;:　, .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,....ri::::;ﾍ＞=＝=- ､　｀ヽ..
　　　　　　　　ヽ　ヽ　} （__人__）　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 7〉'　,　 ,　ﾊ　､　｀ヽ　 ',.
　　　　　　　　丶　 ´､　｀⌒ ´　　　　／　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　ヽ,,,　　　　　　　　､￣￣　⌒）
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　/''' '''""　　　　　　　　　『あなたが夜道を歩いていると、
　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　 .　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　.　!　　　　　　　　　白い髪をした女の亡霊に声を掛けられる』。
　　　　　　　　　　　　丶／￣　　　　 .ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　＿／　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　（_＿＿／　ヽ_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / k:::::i：:::::::::i'´　!／
　　　　　　　　　　　　　　　　＼_ 　　.）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヘ､/／::｀7::T:::￣! 　|､

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /'´　　　　　　　　ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／j{　　　　　　　　　　}!})
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }　j} 　　　　　　　 }!})､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／i{.　' 　　　　　　　　　　 j})::ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i{／}:て　' ,　　＿　_　　／ /i{:::::}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　入:::::そ　 =　 __　　っ／:::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {:::/:::::入=～=-～=-シ::／　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::ﾍ:::::::::::::::::::il::::::::::::人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{(::::ヽ＼:::::::::::::j}ﾍ::::::::ﾐ-　　　　 .『それは、「西行寺幽々子という
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　～=～=＝=～＝ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　-=/　　　　 j}　　　　　 j}　/~'>　　　女性を知りませんか」とあなたに問うだろう』。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ~"-"'_～､ j}　　　　　 j~'v /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃ヾ､,,　　｀'ｸ　　 /　 .jr-=ﾘ　　...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〃　　　　Tく　　　 i　　.}　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　（｀"'ヾ　　　ノ--=ﾆﾆﾆﾆﾆ}L人ﾂヘ
　　　　　　　　　　　　　　　　／く＿　ヾ　くﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ}L～　　＼
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.

374 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:48:48 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　(圭圭圭{!'　　　　　　　　　　　　　　　　(圭{
　　　　　　　　　　　寸圭圭ｲ :';'''　　　　　　　　　　　 '´⌒
　　　　　　　　　　 τ'{{7⌒∴：
　　　　　　　　　　　 )/
　　　　　　　　　。∴{!　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,ｨ(。　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　＿,ｨ(　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'''´⌒'・
　　　　　,ｨ圭||ｱ　'’　　　　＿_　　　　　　　　　　　　 ,ｨ(＿＿＿_,ｨ　　..『もしもあなたが、知っていると答えれば殺され。
　　　　　炸圭( 　　　 ,ィ升彡　　　　　　　　　　　ノ圭圭圭圭そ
　　　　 ⌒`寸ﾄ､　　 ,{抄'⌒ 　　　ﾉ斧ﾐ､　o　　 ∴炸圭圭圭|iて ',∴ 　嘘を吐き、知らぬと答えても殺され』。
　　　　　　゜　　　　ﾉ/　　　　　 ⌒∴　　・　ﾉ(_ノ圭斥⌒',寸ﾐ､
　　　　　,,、　　　／/　　　ノ(　　　　　　　　　/少'⌒ `　　　　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　　π_ノ心､_ノ(,炸||(　　 ,,.,⌒　・っ　　∴ ･　　　　　　　　　　　　　 ;,,ｨ炒⌒;.　　　　c=≠二,ｨ炸圭圭(;''
　　　)圭圭圭圭圭ア　　∴：¨'`　　　`　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',∴ ･　　　　　⌒　寸筵τ'⌒``
　τ｀Ⅷ:圭圭圭圭(_ノ廴　τミx｡、∴＿_　　　　　　　ノ廴_,ｨ炸廴ｨ
　　　)}圭圭圭圭圭そ `⌒'・　　 __,ｨ圭掛x、∵　　　 ,ｨ炸圭少⌒'・
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　　ﾉ:::::::::┌─┐::::i　　　　　　　　　　　　 >－<　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　/::::::::::::|　　 .|::::::|　　　　　　　　　　　　ヽ＿ﾉ
　　　　　　　　l ／二i￣￣ｉﾐヽi　　　　　　　　　　　　　　 |　　　て　　　　　　 .『真に西行寺幽々子の名を知らぬ者だけが、
　　　　　　　　ｉシ￣ .ｉ　　iヽヽｉ　　　　　　　　　　　 /　￣　ヽ　て
.　　　　　　　 /　　　 ! 　　|　ヽi　　　　　　　　　　　.│●::●│　　　　　　　その亡霊から生きて帰ることが出来るという』。
　　　　　 /　　　 |　　 |　　i　　　　　　　　　　冂　ω　冂　γ ⌒ヽ.
　　　　　　丿　　　　 |　　 |　　 i　　　　　　　　　 /＼ト廿イ／ゝ）＝（.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　r´　　　　 !　　 !　　｝　　　　　　　　 LΖV［∥］V ｿヽ ___,ノ　　　｛　　! 　　! 　　　　｀ヽ　　ﾉ　　ﾉノ
　　　　　ト-‐ '´￣￣￣￣￣￣7￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣V￣￣￣￣￣￣｀' ‐イ　∠ノ　ゞﾞ´、
　　　　　｀────────';.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.'────────´
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;

.

376 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:49:06 ID:FkQQwRpc0

　 i三三ﾆl三三三三ﾆlﾆ/三＞―――＜三', ｀ヽ＼
,x≦三三l三三三三ﾆ|,x≦ 　 /　　　 |　　ヽ＼　＼＼
　 7三/三l三三三/／　　　 /　　　　 i　　 ∧ 　　　‘， ',
　 {三,i三ﾆゝ三三/　　　　 /　　　　　:ｌ　　　∧　　　∧　',
　ゝﾆﾆ＼ﾆl／ﾆ/　　　　 . `'ミｘ､}廴_}L_}、.　.:i　　　 ∧　ｉ
　　　 //三三/ i　　　　 ≧=-''"´￣￣｀`''ﾐｘ/}.　 |　　∧ ｌ
　　　　　ゝﾆ/　 l　　 -=≫ 　　 -―‐-　　　`ヾｘ、.　　 ∧|
　　　　　　｀i　　 {...-=≧'　　ん__)::::::::::: '，　　ヾ､　　..∧
　　　　　 //| /　-=≧' 　　　{::::.:.:●::...:.: }　　　　　':，∧　＼
　　　　　￣//l　 l　'’ 　　　Ｖ .. .... ... ...ﾉ.　　　　　 | ∧ ＼＼
　　　　　ノ／l　 l　　　　　　　　 ‐---‐. 　　　　　　　| |＼{―￣　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　￣　ｌヽ |　r.≧ｘ..,_　　　　　　　　＿,.斗''"　//ヽ/＼
　　　 x,― ^｀´ ヽl　|　 }厂~≧＝==≦芋}「￣´. / /／/｀ヽ ^ヽ､__　　　　　　　　 .「……申し訳ありません。
＿__/　 l　 }　ｌ:　',ニ |ﾆヽ＼{ ヽ　｀´　 /　　}ヽ´/＿_/　 /　 ,　　　ヽ＿
三三{　:|　 |　 |　 }__| |　}二二二二二二二二二{三 i 　 l 　 l　 l　l三三　　　　　もしや貴方、西行寺幽々子という女性を
T￣ゝ人_/--ｲ--" l |¨/:.:./＼　ヽ /　／　|:.:. |　￣ゝ___ｌ＿ l　 l__/￣￣
　　　　 , '――≠イ:| | i:.:.:.i　　＼/ ／／／:.:. l　ヽ-―――､-- '　　＼　　　　ご存じではありませんか……？
　　　 / l　　　　＼¨ /:.:.:.;ゝﾆﾆrﾆヽﾆﾆゝ:.:.:.:.:{――――― ∧
　　　,'　}　　　　≦＿/:.:.:.:.＼三//ﾆﾆ三三{:.:.:.∧｀ヽ、　　　　i　‘，　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 /　/ ／￣　　　 {:.:.:.:.:.:.:.:ゝニ||:O:.ヽ三≧:.:.:.:.}￣＼　　　 | 　 ∨
-- '　/／　　　　　　 i:.:.:/:.:.:.:.:{三＼＼:.:.:＼三ゝ:/ 　　｀＜__＼　＼
=== '　　　　　　　　　l:./:.:.:.:.:.:}三三/:.:.ヽ:.:.:ゞ':.:.:i　　　　　　　　　＼　二
　　　　　　　　　　　 |/:.:.:.:.:.:ゝ={:.:|:.O:.:.:.:＼:.:.:.:.:ｌ　　　　　　　　　　　￣
　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
　　　　　　　　《:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
　　　　　　　　　　_∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. {O:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ　　　　　　　＿　 }￣
　　　　　＿＿　 /:.:.:.:.:＼:.:.:.:.:.:.:.:／＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　　　　/ヽ__{　,x　/
　　　/　　ゝ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀:.＜:.:.――‐ヽ、＞:.´:.＼／ヽ　/　／:.:.:.:.:.

377 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:49:32 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　／￣＼
　　　　　 |　　　　|
　　　　　　　＼＿／
　　　　　　　　＿|＿　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　.　　／´￣　　　￣｀＼
　　 .／　　 ::::＼:::::::::／:::::　ヽ　　　　　　　　やるオプーナの背がぶるりと震えた。
　　/　　 < ○ > :::::::: < ○ > ヽ
　./　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　　　　　　　魔法少女の執念と妄念に晒されたから――ではない。
　.|　　　　　（_＿人＿）　　 .|
　..ヽ　　u.　　　 | -┬-|　　　 /　　　　　　　　　もっと別の恐ろしい事実が、彼の脳裏に刻まれていたからだ。
　　ヽ､　　　 .｀ ⌒ ´　　／
　　／:::::::::|::＼ﾞ_>介 √!;:::::::＼　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　. /:::::::::::::::＼:::ヽ };;{ |::/::::::::::::::ヽ
　/:::::::::::::::::::::::ヽ::ヾ::}〃:::::::::::i:::::::i

378 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:49:50 ID:FkQQwRpc0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　’　、．・　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::|└:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ（　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::| ..:::|
　　　　　　　　　　　　　､　　,　　　`Y　　 |　　 ∵”　　　 .,ｔ　　　　　　　　　　　　　 |::| ..:::ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾉ）　　　　　|　　人　　　　　 .-}ﾄ　　　　　　、　ト､　　/Ｔ|::|:::::::|:::
　　　　　　　 ,　　　｀Y´（　　' 　　 ,/　　　く、　　　　　 Y:ヒ、　 ,、　　　|| r┘.:|-┐|.;|:|::|:::::::|:::
工|工|工l工エエｴl＼　　　）､　　／　　　　　 }　　　　...`=|;:{二　 |:|　/＼.||...::/〉:::::::,⊥;:|::rｪｪェェ
__|＿__|_,工工]エｴ}ﾆTニ7〉ｪｪｪｭ　　::::::::::::::::::::::　＼ﾉ!　　　　|;:厂 .r┴:/.::.:.└┐.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
＿|＿|_;工工]エlｴ|-[]─[[:ﾛ::ﾛ:{　　.）　　　 ::::::::::::::::::::::ゝ　　...|:;| 　 |..::::':::: .r:､:...|:::::ｒ
__|＿|＿l工工;エｴ|＿＿__]〕ﾆlﾆl　　　　　　　　 .::::::::::::　､.v,,!;:.v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ ,. 　「――妖夢。貴様、
＿|工|_;工工]エlｴ|┴┬／>─‐>.　.:::::::::::::::::::::::::. 　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ.v;ゞゞ,上
__|＿|二l工工;エｴ}┬／／.::::／　　　､.v,,;..v､ﾐ.:ゞ;yv;ゞ;ゞv;ゞ,v,,v,vゞゞ;;ゞv;ゞゞ,.上ｪ.　あの時死んだのではなかったのか」
＿|＿|_,工工]エlｴ}／／.　.) ､　　　 )ヽ　　　　　　（　ﾐﾞ':ヾvv'w:,ゞ;;;ヾ.:;ゞ　　':;:.　:::.
__|二ｌ＿l工工;エｴl／,,;;,／　 . ) （　（　　）ヽ　；　・　）　;　'..　.''､v,;.wVゞ;v;. 　':;ヾ::.:ｿ　やるオプーナは、静かにそう呟いた。
_|＿|＿l. 　(. 　エｴl-.　.)　` 　（ (　）　）（（　　　）ヽ ( ､　　）ヽ　　；　 .._/＼二:
.:　,　)　　　)　　)ヽ（ ( :（　　）　　　ヽ､）　）　（　（　））; （　（　（､　:. 　. ､.v,,. 　',:;.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　）ヽ　 (丶　　)ヽ　（　（）　　（　;;　　;､:　　;　;）__）　）　（____）　）　））　；　　.　.:.（ノ　　　　　　　　（::
. （　（　 .）　）ノ　 |　:　)　＿,,,-､__　　;;　.､　　　　　（／（＿）ヽ　）ヽ ;;.　.lニコ.　.::::）　　ﾍｿﾊ　　　,ゞ
._ノ　　`-'　　　　　 `-'　:~～--～~--、_;; ::　　､.､.　） (　（　　）ヽ　　　　.;: . .:::: .:ｿ　　　ﾉ:.::.:.. :（　　　（
.　　　＿,,;::- ‐' ～~ ~ 　__,_　　　　　　　　`‐-､__　　（_（_）　）（　（　　　::.: :::..::..:（　　　（::..::..:::.::ﾉ　　　　）
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379 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:50:05 ID:FkQQwRpc0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　′, . :'"´: : 〃: : : : : : : : : : : : : : : :/
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　　　　　 ⌒ヽ、 ⌒　、　　 |: : : Ν |Ч　　　　 r' Ч　ヾ|:`ﾄ、: : : |＼:Y　　..∠　　　　　　　つづく！！　　　　　　＞
　　　　　　´　ゞ'　　　　　　 | : : ！,,,ゞ' 　　　辷丿　　 |: :|,ヽ : : ﾄ､ }′　　／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＼
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　　　 r ､r ､　｀　ｰ　´　　　　　　　　ｉ＼　￣｀ヽゞ'r～、ノ/ 　　　　 λ、ヽ　ー―――
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381 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/22(土) 23:52:53 ID:FkQQwRpc0

　　　　　　　 ,.　´￣￣￣￣￣　｀ヽ､
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　　　　　　　　 {　,.＿_艦_{Y}__これ｀:ヽ､　　＼
　　　　　　　　 ∨: :_/ 　 ∨: :{:_:_: ｀ヽ､::＼　　ヽ
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　　　　　　　 {:∧ 　　　　　　 |: :|:/-:}: :j イ＿
　　　　　　｢人　　　 vｧ　　　 |: :/_ノ: ィ､:､ー'
　　　　　　　 {:{∧＞,_､__,､＿＿__,/:.ｲ: 〈_ﾉ'ﾊﾉ-
　　　　　　　 |: ､　　{=} {⌒ヾﾄ､/ ´ ￣　 }: :|　　　　　　今回の投下は以上です。お付き合いいただき有難うございました。
　　　　　　　 |: : ＼={ﾟxﾟ´}=､｀Y_)　　　 /: :,
　　　　　　＼:_: 〉{..::.. |'介}´ |〉　　　/: イ　　　　　　次回の投下は願望が来週土曜で目標が再来週の土曜です（真顔）
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　　　　　　　　　　//{l7/ |　|　|∧
　　　　　　　　　　ゞ ||'＼{__{__｣__ﾉ
　　　　　　　　　　　｀　 |-|　|-|
　　　　　　　　　　 |_j　j_/
　　　　　　　　　　　　　ｰ'　ｰ'

382 ：どこかの名無しさん： 2016/10/22(土) 23:59:58 ID:H6TcBEI.0
乙

さやかちゃんはすくわれたのか

383 ：どこかの名無しさん： 2016/10/23(日) 00:00:35 ID:gFG4THCk0
乙でした
回想から決着から凄いいいのにちょくちょく笑わせに来て困るｗ

384 ：どこかの名無しさん： 2016/10/23(日) 00:02:17 ID:6eeCJAQo0
乙乙
二人の剣戟すんげえ面白かった。見入っちゃった
作者さんの文章力凄い
あとかませ兄弟が余りにもかませ犬過ぎてワロタ

386 ：どこかの名無しさん： 2016/10/23(日) 00:14:28 ID:4Aoqp0Ps0
乙
面白かったが相変わらずAAがシュールｗ
床板を踏み抜く脚力、それすら理解できないとは落とし穴がでかいなぁ

387 ：どこかの名無しさん： 2016/10/23(日) 03:39:53 ID:PkOYlEec0
かませ兄弟、堂々と女湯に入ってるよな…？

389 ：どこかの名無しさん： 2016/10/23(日) 08:34:51 ID:Oxnis1r60
おつです
シリアスの崩壊具合が凄いw

>>387
公衆浴場は財政的な理由で混浴が殆どだったそうな

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キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです 第四話 魔法・隠形剣

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