キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第三話　少女さやかやる夫達のいる日常

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キル子は剣客で魔法少女で残酷なようです　第三話　少女さやか

目次　現行スレ

144 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:00:37 ID:YI/6OxKE0

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　,′ｉ:/ｎ`　　´ｎ＼i:.:.:.:.i‘，　 }
―w√i:人|　U　　　 U　ｌ:.:.:Λ:‘，/)─wwﾍ√ﾚvv～
　　<人（　　　　　　　,':.:./__):.∠ニZ　　　　　　　　　　　　それでは第三話の投下を開始します。
　　　/:.个: .　__▽__　,./:∠:._｛>o<｝
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣

145 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:00:59 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　／ |: : /i:|　 |: :i: : :|: : : : : : : : :|: : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
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　　　　　　　　 V/　 /;/　ﾘ　|: /: : : : : : :/: : :ヾ:つ): l: : : : :l: : : : : : : : : : |
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　　　　　　　　　｀iﾞー --|: : :,/ l: /　　　　　// |: : : : : : : : : /l: r.:/　　　　　　　　　　　　　第三話　少女さやか
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　　　　　　　　　　|:|　v/:/ r,f=== -‐''´´　　　　 /:／ |
　　　　　　　　　　 l|　ﾚ　　 l|　　　　　　　　　 _ '--―.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ll　　 __,. -　　,.r'´,r '´￣￣ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　| '´　　　　／／　　　　　　　ヽ

146 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:01:27 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　､､,......,_．,.,,,...　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,,.;-;;¨`'ｰ‐-.,..
　　　　　　　　(､ ;;.,.;: ";: ,-'　　　　　　　_ ， ,,... ..._　　　　　.:;,,　:::.,,-'ﾞﾟ~^´
　　　　　　　　　"`~｀'ー~　　　　_ ,... - ' "^　　　　^`- ......,,　　'`~"
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　...,...,,;,:,,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::,..　　.:::::::::.::::::::::::.......:::::::::::::...
　　　　　　　　　　. ; .;..:.:::::::::::::::::::::::::::::,:.:.　　　　 ..: ::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;::,,,,,,,,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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　　　.　:　..:　.:.　::.　:..:..　::.:..:　.:.:　:　.::.:.　:....日ﾕ ::ＥﾛｪΠｭ::目 .. .　 .: . :　. :. . :.
　　. . .　 :. . . .. .　 .: . :　. :. . :. . :. : . . :. r呂::ロﾛ::ﾛｭllΠｭｪ品.龠:ﾛ::Π.: .:　 : :: . . 　さやかは、眞峰の街よりはるか東方の、
　　:: .:　: :　:: : : :: 　: :: : . ... : :: . :. :. .: :.:.　 :. 呂:Π目ｪロE|￣|::Π 　::.　:: : :: . :.
　　: : 　: :: : :: : : :: . :. :. .　: :.:. :. :.. .:. :. :..: :. . ;:　.｜ |　::;;:　;:;:　;:;　　:　:;　:;;　::;　:..　.ひなげし村と呼ばれる村落の出身である。
　;:;:　;:;　　:　:;　:;;　::;　:;:　　;;: ::;;:　;:;:　;:;　::;;:　　 ,!.　!,　.',___.', .'' ,.'' .,' , ',' .', '.', .'',
　　　::;;:　;:;:　;:;　　:　:;　:;;　::;　:;:　　;;:::;;:　;: .:. 　,i　 . , '´　 ┐ヽ., ::. :, :,; .,　.: :, :.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　.','.',.'',.''.,',','.','.',.'',.''.,',','.','.',.'',.''.,',','.','.',','..',','.　 ,l　　｛　i |八ﾍff}.;:. .... .,:,.,..... .　..,,,,,　.、
　 ;. ;.: .::; :., ::. :, :,; .,~.: :, :,; .,.: :, :,; .,.: ;. ;.: .::; :　ﾉ　 ...'!ｉ(ｌ.|ﾟｰﾟﾉﾘ. '' ;;: 　; : . '　:　'　;;,　,,;
　 ... .,;:　;:. .... .,:,.,..... .　..,,,,,　.、 ,. ... ... .,;:　;　 /　　　 /_,r'^'^}I'つj}ﾆﾆﾆﾆフ.;;　:;:"　".'';;;"
　. ;: ..., '' ;;: 　; : . '　:　'　;;,　,,;. ;: ...,. ;: .. ,　／　　　　/ヾう辷ゝ｀¨.~　;:　;　;:　;:　"""，　　　．"~
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147 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:01:46 ID:YI/6OxKE0

　＿　＿　＿　　　　　　　　　＿＿_
l＾lニl＾lニl＾lニl　十/i~i~i~i#::/______/~ヽ个卅
'"''^^^^"''"''"''"''"''"''"'''''''''''"| 田　| 田|'"''"''''
''"''"''^^^''"''''''''"''"~~~''"''～"''"''"^^^^'"""'"''"'～～'"''"''"''～
|- - - -/⌒ヽ　 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
' /″⊂￣￣￣⊃″″″ /″″″″″″″″' / ″″″″″″″
/″″（::.´д｀.）″″″' /″″″″″″″″''./ ″″″″″″　 . 　けして大きくはない村であった。
″″ .（　）Ｕ（）″″″/″″″″″″″″' / ″″″″ ″″″″
''"''"''　|_#_i__i!i|"''"~~~''"'　.∧＿∧. 　 ∧∧ "''"''"''"''"''""''""''""'~~~　住まう人々もほとんど顔見知りで、そして血縁。
.　　　（_＿）＿）.　　　　　.（；´－｀）　( ,,ﾟД)
wji!w rw,'rilwji!w、　wWkil （　　　　）　（　　）　rw,'rilw'rrr、　wjWilw'r　　広くない畑を耕しながら、日々を恙なく暮らせるよう
''"''"''"''"~~~''"''"''"''"''"''　｜｜　| 　　| 　０　"''"""''"''～"''"'''"''""'
　　　　　　　　　　　　　　　（_＿）＿）. 　し´　　　　　　　　　　　　　　　細々と土いじりを繰り返す、そんな村だった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
'"''"''"'''～'''''"''"'~~~"''"''"''""''"~~~''"''"''"''"''"~''"''"''~''"''"''''"''"''"''"''"''"''""''"''"'～'"
WWWwwwjij,,.、,、,,,vWWwjjwvjiiijwwiijijyyywWwWWjjwl|ili、,、,,　　　　,,　,;;iijwiijiyw
::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::|:::::::::::::＿:::::::::::从从:::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::|::
″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″″
ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ　ｖ

　　　　　　　　　. . . . . _
　　　　　　　　　,. : : : : : : : : : : : ､
　　　　　　　 : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
.　　　　　　 //: : : : : : : : : : : : ',: : : : : ,
　　　　　　 ': : : : : : : : : : : : : : :i : : : : : ,
　　　　　 ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l
.　　　　　 l: : : {: : : : : : : : : : : : :,､:,: : : :!}
.　　　　ｌ; : : :l: : : : : : : : : : ;': { l: : :.!:,'　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　 {i,: : : ､: : : :!: : :}: :/: :.j.: :/ﾘ:.!
　　　　　　!ヽ､: : : : : l: : ; : : : : ;.!ﾉ ' jﾉ　　　　　　　　　 ……正直、あの村は放っておいても
.　　　　　　',　ヽ: : :､: : /:,: : :／／
　　　　　　　　　ｿ` > '"￣＞､　　　　　　　　　　　　　　　　　自分が婆さんになる頃にゃ無くなってたんじゃないかな、
　　　　　　　　　_. ,.l､＿ ,. 　´ ｀ヽ－､‐- ､
　　　　　 -、　＼　　　　　　　､　ヽ　　､　　　　　　　　と、今のさやかは考えている。
. 　　　　 '　　､　　､
.　　　　 '　　　、　　＼　　　　　　　＼ヽ　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 l　 i.　　ヽ　　　　､　　　　　　　　　＼、
　　　　 l　ヽ_ヽ Yヽヽ　　　　　　、　　　　　　　　　､
　　　　　 l=‐--マ二二ﾆヽ
.　　　　 !ｰ-==!ヽ二ニﾆﾆ＼　　＼　　＼　　　　　　　　　　､　　､
.　　　　　i.　　　l　ー＝=====＼　丶　　　、

148 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:02:02 ID:YI/6OxKE0

　　　　　＼ヽ　　 |　l　　/／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　| l　　/／
　　　　　　．こ　　．な　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：　　ヤ
　　　二ﾆ　：　の　：　ん　 -‐　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ　：　　バ　　 -‐
　　　 -‐　！村　？だ　ﾆ二　　　　　　　　　　　　　　　-‐　　：　　イ　　ﾆ二
　　　　　　　　は　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！
　　　　　／/　　　| ｌ　　ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　l　|　ヽ＼
　　　　　　　 _,r～～～～.､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 r' _,r～～～～､ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　＿--､, -ｚ._
　　　　　｛ﾉ　　u ｀ﾆﾆ´　ヽ.)　　　　　 _,-ｰvｰｚ_　　　　　　　＞::::::::::::::::::＜　　　何しろ村には老い先短い老人ばかりで、
.　　　　　｛Ｌ_ r=＝=　u.==､l′　　　ｲ ,､,､,､,､,､ヽ　　　　　 /::::::::;:::ﾊ:::､:::::ヾ
　　　　　 {r=ｉ|　r ｡＝　｡=､ |　　　　 | l--､ v,.-ヽ|　　　　　ｲ:::ｨ/K u >ﾍﾄ:::|　　後を継げそうな若人など、もはや数える程しか
　　　　　　{|L||ij ｀ニ7　 lﾆ´v|　　　　 1|⊂･　･⊃|,l　　　　　 .ｈ:｢こ･j=｢･う]:ｎ
　　　　　　{`ｧ| r─' L＿｣ｰ､|　　　　　｛ｆ|L　∪ v」|ｆ）　　　　　|f||:￣,」 L￣:||ｊ.|　　.残っていなかったからだ。
　　　　_／{/ :| |（二二ニ二）|.　　　　｀|.⊂ニつ l´　　　　　ヽl　‘‐ｕ‐’v:ﾚ'
-‐'''"´::|:::::ﾄ､ヽ_ , , , ,一, , _人　　　　 ,ゝ､.二. ｲヽ_　　　　　 _/l.ヾ二二ﾌ∧...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:::::::::::::::|::::::|　＼　￣｀¨ﾌ丁 |:::: ＼-‐''"´|: :|､.＿_,.|: :|: ｀＞ｰ''"´|: :|＼.二.／|: :「｀'''ｰ- .、
::::::::::::: |:::::│　　＼__／　|:::::|::::::::::: ＼ : |,.へ.　　/へ|:/| : : : : :│: |.＼　／| :│: : : : : l:ヽ.
::::::::::::::|::::::::|　　 ,.ｲ:ヽ.　,|::::::|::::::::::::::::::〉、 : : ヽ/: : : /: :|: : : : : :|: : l 　Ｘ.　 |: : |: : : : : :|: ハ
:::::::::::: |::::::: |ヽ／　〉:〈.∨|:::::::|:::::::::::::::/::::| : : : :|ﾟ: : :;ﾊ : :|: : : : : ;＞:|／〉〈＼|:＜; : : : : :|/: : l

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ _＿__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, . : ´ : : : : : : :｀丶､
　　　　　　　　　　　　　　　 , :´: : :.:.l: : : : : : : : : : ヽ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : / :l: : : : : :＼: : : : :＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : / :∧.: :＼: : :.|: : : : :i: :i: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　{: : : : ｀メ､_」: : : |＼_| イ: : }:.:.l: : :l
　　　　　　　　　　　　　　ノ: : :i: :Vx==ﾐ　　 x==ト､V: :.:l: : :ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　イ: : l: :V r:::::i　　　 r.::::i　V.:: :l ): ﾄ､〉
　　　　　　　　　　　　 l : :∩ ﾄ弋ツ　 ,　弋ツノ : :./: /ﾊ.　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: :| L_' ' ' '　　＿ ' ' ' ' ' l.:/: //l l
　　　　　　　　　　 ,　‐‐─ヽ|　 _ﾆﾕ　ヽ　 _ﾉ　＜l/: //　ﾘ　　　幼子となればさらに少なく、
　　　　　　　　　　　　{　　　　　ヽ　ﾆﾆヽ｀二 ´ﾉ:ﾉﾚｲ: //
　　　　　　　　　　　 _レ´　　　　 )　　｀J::「:「::::::`ヽ　｀ヽ　　　　　片手で数えても指の数が余るほど。
　　　　　　　　　　_ノ _ ＿ r　´￣＼ _ノ:::: ｲハ:::::::::〈　　　i
　　　　　　　　 /´　　　　 | 　　　ﾉイ::i::L: :ﾄ､:::::::}　　 }　　　　　 .――ひとりは、天真爛漫なさやか。
　　　　　　/ 　　　　 |　　　／　　|:::|　　 |::i＼ﾉ　　　ヽ
　　　　　　　　＼_ ＿　　イ＼／　　　　L」　　 Li　}　　　　ﾉ　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　/￣＼──-イ. : : : . . . . . イ: . . . . . .:ﾉ　　／
　　　　　〈　　　　＼: : .　: : : : .　　　　　. : : : イ　　 /

149 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:02:19 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __
　　　　　　　　　　　　　　　 ,　´⌒¨¨´￣｀: ､
　　　　　　　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : : γ: : : : : : ヽ : : :.ヽ
　　　　　　　　　　　 ,': :/: /:/ヽ:、: : : : :.!: : : ヽi
　　　　　　　　　　　　　　　 i/ ｉ : i/＼ Nハ人从: : :!: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　 ′ﾊ: {i　∩　　 ∩　} : ﾘ: : : :,
　　　　　　　　　　　　　　　| : : Ⅳ'　∪　　 ∪ ムｲj : : : i　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　ハ : 从　 , , ┌┐, , 7´: : : : , ﾞ
　　　　　　　　 ,.'⌒ir ､} 乂个s｡.　ゝ' _,.イ､/: /: :{　　　　　　　　　もうひとりは、落ち着きと優しさを兼ね備えた
　　　　　　　　　　　〈　⌒し'从: : : : : r‐厂{_／ヽ!: i: : : ヽ
　　　　　　　　　　　 {ゝ- '7､ヽ : : : >'{77〔〕777/ /　￣｀ヽ､　　　　　　　さやかの親友である仁美。
　　　　　　　　　　　人ー '　i　＼/ . ヾｰ{}ヽノヾ　　　　＼
　　　　　　　　　　　　 ∨ / |､　 / .,' <//{}/ﾊ　　　　　　　　　　､　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　∨　　ヾ´　{ 　 V,ﾊ_,ﾉ　　　／￣｀　､　　＼
　　　　　　　　　　　､　　　　.乂　　人　　　,. 彳.　　　〉´
　　　　　　　　　　　　　＼　／　　｀i 　　　　乂　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　｀´　　／　　　　　 ∧ 　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 _,.　 -‐一´￣｀¨ ､　　　／:i:ｉ',. /｀　、__/
　　　　　　　　　　　ｧ'´:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i＼／:i:i:i:i:i:}/　　　 /
　　　　　　　　　　　 ∧:ｉ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:( ｀ー､/
　　　　　　　　　 ′ヽ i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i ｰ一'

　　　　　　　 .．-━‐ ．
　　　　　　　／.:.:.:,ﾆ-:.:.:.-ヽ
　　　　　　　'.:.:.:.:.:.:.:ｉ:.:.｀ヽ:.｀ヽ
　　　　　 i:.:.i:.:.:.i:/ヽ:.､:.:.＼:.ヽ_,
.　　　　　 :.:.l:.:.:.l:!＿ヽﾄ,､_ィ:.:!ﾄ
　　　　　　　j:.:l､:.:.!ｨｴ`｀　ｲ」!ﾚﾘ
　　　　　　　,ﾍﾄヾ:!　　　 '　　ﾊ
　　　　　r＜　＼＼._　' ’イ .ﾊ　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　|ヽ　　　｀＜77ﾉ　 /, ヽ
　　　　 rヽﾞ､　,　　　〃＝/、　＼　　　　　　　　　　　　最後の一人が、病弱ながらも芸達者な
　　　　 ′ヽ,┘　　〃　 /　 Υ 　 Y
.　　　 ,′　 j　　　__jj=- ,f　　　く　　|　　　　　　　　　　　　さやかの想い人の恭介である。
　　　/　　 /＞　　 ||　人　　 l 　 !
　　〈　-= {、　　　 ∧／　｀ヽ　rj＿_i　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　∨　　f＼＿_/_　　　　 __ﾞﾉ、___/
.　　　 ∨　弋___,､_Ⅵ＼　 {「r,､　_ノ
　　　　 ∨／　}　三}ヾｫ＼｀`-'´ ‘,
　　　　　｀┬‐┴‐'´ ‘,　＼ヽ.　　　}
　　　　　　ヽ　　　　 ‘,　　＼__, イ
　　　　　　ヽ　　　 }
　　　　　　ゝ---- ′

150 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:02:41 ID:YI/6OxKE0

　　　　　＼ヽ　　 |　l　　/／　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼ヽ　　| l　　/／
　　　　　　．こ　　．な　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　：　　ヤ
　　　二ﾆ　：　の　：　ん　 -‐　　　　　　　　　　　　　　　二ﾆ　：　　バ　　 -‐
　　　 -‐　！村　？だ　ﾆ二　　　　　　　　　　　　　　　-‐　　：　　イ　　ﾆ二
　　　　　　　　は　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　！
　　　　　／/　　　| ｌ　　ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/　　l　|　ヽ＼　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 _,r～～～～.､
　　　　　 r' _,r～～～～､ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　＿--､, -ｚ._　　　　　　　 ……老人達が、額を付き合わせ
　　　　　｛ﾉ　　u ｀ﾆﾆ´　ヽ.)　　　　　 _,-ｰvｰｚ_　　　　　　　＞::::::::::::::::::＜
.　　　　　｛Ｌ_ r=＝=　u.==､l′　　　ｲ ,､,､,､,､,､ヽ　　　　　 /::::::::;:::ﾊ:::､:::::ヾ　　　　　　深刻そうに悩んでいたのを、
　　　　　 {r=ｉ|　r ｡＝　｡=､ |　　　　 | l--､ v,.-ヽ|　　　　　ｲ:::ｨ/K u >ﾍﾄ:::|
　　　　　　{|L||ij ｀ニ7　 lﾆ´v|　　　　 1|⊂･　･⊃|,l　　　　　 .ｈ:｢こ･j=｢･う]:ｎ　　　　　　さやかはよく覚えている。
　　　　　　{`ｧ| r─' L＿｣ｰ､|　　　　　｛ｆ|L　∪ v」|ｆ）　　　　　|f||:￣,」 L￣:||ｊ.|
　　　　_／{/ :| |（二二ニ二）|.　　　　｀|.⊂ニつ l´　　　　　ヽl　‘‐ｕ‐’v:ﾚ'　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
-‐'''"´::|:::::ﾄ､ヽ_ , , , ,一, , _人　　　　 ,ゝ､.二. ｲヽ_　　　　　 _/l.ヾ二二ﾌ∧
:::::::::::::::|::::::|　＼　￣｀¨ﾌ丁 |:::: ＼-‐''"´|: :|､.＿_,.|: :|: ｀＞ｰ''"´|: :|＼.二.／|: :「｀'''ｰ- .、
::::::::::::: |:::::│　　＼__／　|:::::|::::::::::: ＼ : |,.へ.　　/へ|:/| : : : : :│: |.＼　／| :│: : : : : l:ヽ.
::::::::::::::|::::::::|　　 ,.ｲ:ヽ.　,|::::::|::::::::::::::::::〉、 : : ヽ/: : : /: :|: : : : : :|: : l 　Ｘ.　 |: : |: : : : : :|: ハ
:::::::::::: |::::::: |ヽ／　〉:〈.∨|:::::::|:::::::::::::::/::::| : : : :|ﾟ: : :;ﾊ : :|: : : : : ;＞:|／〉〈＼|:＜; : : : : :|/: : l

　　　　　　　　　　　　r-:´:::::::::::::::::::::::::`....　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　／:!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`..
.　　　　　　　　 '::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　けれど当時の彼女には、
　　　　　　　　　 /::::::::{:::::::::::::::v:::::::::::y:::::::::j:::::: ﾊ
.　　　　　　 .:'/::::l::∧::::::ﾄ:::__Vﾍ::::'::::::::::::}⊃::::l 　　彼らがどうして悩んでいるのか、まるで分らなかった。
　　　　　　　 /ィ::::::ﾚ-‐V:::!＼!｀ヽY::::/:::::::jl⊃::::'
　　　　　　　　　l:::::::jﾃﾄ　ヽ!　テぅｘy:/:::::::/llll::::!::ﾄ. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　 '::::::::|{ﾘ　　　 lr'j 　} :::::::/y'} ::::!::lヽ
　　　　　　　 |::j:::::!　,　　　¨ 　 l::::::/f'ノ:::::::ﾚ′
　　　　　　　ﾚ V:j　　　_　　　 l::::/r'::::::::lV
　　　　　　　　　 V:＞　、_｀　.ィ:::/ﾉ/}/lノ　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 Vﾚﾍ/〉｀:lll´ l/¨{
　　　　　　　　　　　　　「ｌ´ 　 lll　 __｀ =-,ｒ - 、　　　　　　　　　 .この村が老人ばかりになり、立ち行かなくなると言うなら。
　　　　　　　　　 /`'`'V⌒＞‐＜こ¨｀７　ハ
　　　　　　　　　　′、　Y　　ｲ」、　　 /　/　　　　　　　　　　　　そうなる前に、皆で別の村に移ればいいのではないか。
　　　　　　　ﾉ　　ｖ　レｖ'/=ﾍ＼ _ﾉ　〈　　 .ﾊ
　　　　　　　　∥　　/　　 // 　 :ﾍ V 　　ヽ　　ﾍ　　　　　　　　 .どこか他人事のように、そう考えていたからだ。
.　　　　　　〈,＼::-{:::::.....V..::::::::....}/........:::::}-－:/
　　　　　　／'`'`}｀-v　　　　　　　　　　 /-‐　{　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

151 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:02:55 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　 / ､　　　　 ∧
　　　　　　　　　　　　　　__/　　＼　　　/ 　V＾ヽ　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 ,　７　　　￣￣　　＼　＼
　　　　　　　　　 /／　　　　　　　　　　　丶　 ,　　　　　　 .「――仕方ないよ、さやか。大人というものは、
　　　　　　　　　　 /　　　 ●　　　_　　　●　　　　 ′
.　　　　　　　　　 /　{　　　　　　 _）　　　　 }　　 ,　　　　　　どうしてもしがらみに支配されてしまうものなのさ。
　　　　　　_　　　 /　　　　　　　　　 _）　　　　　　　 ′,　　　_
　　　　　(（＼／　　 ∧　　　　　　　　　　　　　∧　　　＼／　いいや、逆かな。人はしがらみに支配されるから、
　　　　＼､　　　 /　＼　　　　　　　　　　／　　,　　　　ｘぐ
　　　　　／　＼ . 　 /、　　　≧=‐-　　-‐=≦　　　 ′　　／　　 .大人にならなければいけなくなるんだ」
.　　／　　　　 ` 'く　）)　　　　i 　　　　 i　　　　 (（　,.
　／　　　　　　　 /¨´　　　　|　{　　　 }　|　　　　　｀¨ ＼. 　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　 _,／￣￣`￣＼
　　　　　　　　／/ 　 /`　i 　　　.i
　　　　　　　 / /　ﾚハヾﾙヽV　 l　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 j v､!●　　● i　 '〈
　　　　　　　　　ﾘ〈　　ワ　 /　 i ﾊ　　　　　　　　　　　　「ちょっと何言ってんのかよくわかんないです」
　　　　　　　　　ﾙﾚ`ｰｩ　ｔ-ﾚ,､ﾙﾊ
　　　　　　　　　　　/´o()oこノ〈　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 / `／＼'j　　＼
　　　　　　　　　 ,/ー(~~i~~/ー､! 　＼

152 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:03:14 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ
　　　　　　　　　　､-＿-　 , -―-'　ﾊ
　　　　　　　　　　　＼　,>　　　　　｀ヽ　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 __　　　　／/　　　　　　(')l
　〈＾ヽ､＿r⌒ヾ.--＜／ﾍ　　(' )　_,-' ﾉ　　　　　　　　　「……まあ、別にいいけどね。
　(　　≧　￣　|l___／　　 .＞　＿　f´｀）＼= ､
（＿＿＞-‐ﾆﾌﾉ　　　　　ﾉ!　　　 |_| （ヽ　＼))　　　　　それでどうする？　ボクと契約して、魔法少女になるかい？」
　　　　　　｀￣__ 　　　 / ﾘ |　|　 |__ノゞ≧_ へ
　　　／´￣　　　＼ .／='' 　l　|　ト、 __　　〉　　ヽ　　　　白い狐のようなもの――キュゥべえは、朗らかな声で問いかける。
　　/　　　　 ⌒ヽ.　/　⌒ヽ._l　|　/　V/ 〉　ししｔノ
　　i　　　　　〉,|　　　 //7)／　//./　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　ゝ.、　　　　（´ ゝ、　./　/,,,〉ゝ〈_(/
　　　　ヽ、　　＿｀ヽ　｀(しﾉ
　　　　　　｀￣　　｀ｿ

　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }: : : : : : : : : ヽ
　　,　　　　　 . . . .|. . : : : : : : : : : :ﾄ､ : : : : : |: : :丶
　　ｉ: : : : : : : : : : : :|: : : : : : : : : : 〃　＼: : : 」_: : :ﾄ､、　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　|: : : : : : : : : : : :|: : : : : |: : : :/　　　　＼.:.:| : : :|　＼
　　l: : : : : : : |: : : : |: : : : : |: : :厶イ　　　　,.斗ｙ : |　　　　　　　　屍山血河のありふれた、戦乱の頃の話である。
　　l: : : : : : : |: : : : |: : : : : |: :/　　　　　　´ r'} N:.:|
　 ∧.:.: : : : : |: : : : |: : : : : | / _,ｘ≪ 　　　り |:.Ν　　　　　　　　 .天下泰平の気配は遠く、死神の足音ばかりが近い。
　/　ﾞ; |: : : : :|: : : : |: : : : : |〆_)､_ﾘ　　　　　.:.:j: |
　　　从: : : : |: : : :！ : : : :|　弋_ノ　　　　丶ｲ:/　　　　　　　　そんな時代である以上、戦から逃げ延びた者どもが
　　　　＼: 八:ヽ : :ﾞ; : : :八　　:.:.:　　 ,　／::从
　　　　　　＼|＼＼:＼ : : ﾍ、_　　　´　くヽ}ｲ､　　　　　　　　野伏りとなって村を襲うなど、そう珍しい話ではなかった。
　　　　　　　　　〕＼{＼{＼: :', 　ヾ爪　／:}　 }
　　　　　　　／≧=‐-｀`.._＼',　ノ_jr'ヾ:.:.:|　　ヽ　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　/ 　　　　　　ヽ「:.:.:ゝく:.:./　　　〉

.

153 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:03:28 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　寸圭圭圭圭/:::::::::::::ゝヽ‐''"｀ヽ-.、::::::|.　　,;'　 |　.ｲ:::|圭圭圭圭圭ヽ|　　　　 ;' |
　　　｀`x圭圭/　　　ζ　　　　　　　ヽ::::|　 :' 　 |　 /,,-''圭圭圭圭圭ﾘ|.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.
　　　　　　￣'´　　　 /　　　　　　　　　 l:|　　　 |　 |:ヽ圭圭圭圭少　|
　　　　／:::::::::::::::::::::/　　　　　　　 |j　　　..| 　|::::::＼　圭圭圭K._i' '; 　そして、ひとたび野伏りに襲われれば、
　　　／:::::::::::::::l::::::::::ヽ　　　　　　　 |　　　　{;　 | 、::::::ヽ圭王圭　| ,;;
　　／::::::::::＿:::::::｀ヽ_,,..-|　　　　　　 /,, .."".｀i'" /:::::::::::::::/ '´￣¨¨¨|:;;'.　　ひなげし村など簡単に消し飛んでしまうことも
　 l::::::::::::::::::┴┐／　　｀"''''''v_,,..-''"´/'',-''" 　 l,:./::::::::::::::/　　　　　 /'
　　ヽ、:::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　_,l '' 　　 ,:'　{::::::::::::／　　　　　ヽ､　　さやかも理解していて、だから。
　　　＼:::::::::::::::::::::＼　　　/――‐‐'ヽヽ　　 . !､ .ヽ'"´　　　　　　　　　 .
　　　　　＼:::::::::::::::::::::＼　ヽ　　　　／　.} _,,..-'' ./　|　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　＼:::::::::／／‐-.._＼_フ‐'　　/　　　　.|　 l'　　　　　　　　　　　 .ヽ､｀ヽヾヽ　＼彡=｀ヽ
　　　　　　　＼〈／Y´ 、ヽ_〉　　　　 .ヽ＿_／又ヽ{　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ"ヽヽ､_　 .|､＿,,ﾉ）､
　　　　　　　　　　 .ヽヽ Y__/　　　　　 |ﾍﾍ　|.》《| .l　　　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ﾞ　―‐ ´ .ﾘ
　　　　　　　　　　　｀~´　　　　　　　 lヽi|　 |》《.|.ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ''''''''''' ´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ |　ヽ==ヽヽ,,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'lヽ　/､　　ﾘl､l　　　　　　　　　　　　　　　 __　　　　 .l　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､ヽ､_二彡ﾘ　　　　　　　　　　〈.　｀ヽ　　 r'′,/｀''‐‐――-.、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ-==-´　　　 ,..xｭｭｭｭ､　　 _,,...--‐ ┘-.、|. 　ヽ.r'´::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {圭圭圭／::::::::::、::::::::::::::::::| }　　＼::::::::_,,-'⌒::::::::::::::〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　__........__寸圭圭l:::::::::::::::::::｀ヽ.::::: ／´ 　　　／::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.......xｭｮｮｭｭ.、,....ｨ升圭圭圭圭圭圭',:::::::::::::::-‐''"::::::￣"'''::‐‐-v' ::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`寸圭圭圭}　寸圭圭圭圭圭圭圭_ヽ_,,.. -‐''"´::~｀ﾞ"''‐- ._.:::::::::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀¨¨¨¨´ ,佳圭圭圭圭圭圭圭／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ、::::::::::::::::::／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{少r:ゞミ王王圭圭圭　／::::r;;;;;;;;;;-、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::::::::／;;;#圭#;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {圭圭圭沁　｀¨¨¨´ ::::::::::｀""""´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::／:;;;#圭圭圭#;;
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.

154 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:03:49 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . : : : : : : : : : : : : : : . .
　　　　　　　　　　　／厂:: : : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　／ : : |:: : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 . : : : : | : : : : : : : : : : : : : : :',: : : : : : : : .
　　　　　　　　　　 /: : :/ : ∧: : : : : : : : : ＼: : : : :',: : : : : : : : .
　　　　　　　　　　　 ': : :/ : :/　ヽ : :ヽ: : ＼ : : ＼: : : ',: : : : : : : : .
　　　　　　　　 |: : :| : :' 　　＼八: : : ＼ : : ＼: : : : : : :|:_:_: |
　　　　　　　　 |: : :|:|: |十―-　　　＼: : -―十＼|: : : :|フﾉ_l
　　　　　　　　　 //: :|:|: |　　　　　　＼＼:＼: : :|: : : :|ﾆフﾉ
　　　　　　　　　　/ｲ: : :l八| 　　　　　　　｀ ⌒ヽﾉ|: : : :|: : : 八
　　　　　　　 /　|: : : : |　x＝＝ミ　　　　　x＝＝ミ. |: : : :ト: : : : :＼
　　　　　　　　　　　|: : : : ゝ　　　　　　　　　　　 |: : :.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　|: : : : : | ﾊ/lﾊﾍ　　l　　　ﾊ/lﾊﾍ　 |: : : :
　　　　　　　　　　　|: : |: : :|　　　　　＿＿＿　　　　ｲ: : : :..　.「――うん。契約するよ、キュゥべえ。
　　　　　　　　ﾍ : |: : :ﾄ　　　ヽ　　　　ﾉ　　ﾉ |: : :ﾊ
　　　┌ ､　　／　ﾉヽ八 :|: :＼　　　￣￣　　　／: :.|: /|:　　あたしは皆を護りたい。
　　　｜｜／　／　　　ヽ|ヽ|Vヽ＞　　　　　イ八ルﾍ　|ノ
　　　/ 　,　　,／　　　　　　　ｒ《｜＿￣　＿ト　　　　　　 .大切な仁美と、大好きな恭介と、ずっと一緒に居たいから。
厂⌒　／　 /　　⌒　　ｖﾍ＿＿|　￣￣ Υ ￣￣7
　　イ　ヽ /　　　　　ﾐ厂￣￣　＼　||　　　/≧＿_r､＿　　だからあたし、魔法少女になる」
　ヽﾉ　　 |　　　　　　 |　　　　＿ _ヽｒ ┐ ´_ 　　　ヽ
　 |　―　 |　　　　　　 |　　|　　　　　　 L 厂⌒　　　　 |...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛.
　 |　　　ヽ　　　　 |　　|　　　　　　ｲ,||ヽ　　　　　　　|　　　　 ',
　 |　　　　￣￣￣ヽ　ヽ＿＿／/　||　＼　　　　 /　　/　　 ',
ﾊﾉ　　　　　　　＿＿ノ　　　||＿＿/　|　 ||　　| ＼＿／　｜　　　＼
二＼＿／⌒　　　　|/　　ゝ＝　|　l|＝＝＝|　 |＝′　｜　　　　　　ヽ
　　 / 　＼　　　　 /　　　　　　　|　 |　　　　 |　 |　　　 |　　　　　ﾉ

155 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:04:02 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　 . . : : : : : : : : : : : : : : . .
　　　　　　　　　　　／厂:: : : : : : : : : : : : : : : : :｀ヽ､
　　　　　　　　　　　　　／ : : |:: : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 . : : : : | : : : : : : : : : : : : : : :',: : : : : : : : .
　　　　　　　　　　 /: : :/ : ∧: : : : : : : : : ＼: : : : :',: : : : : : : : .
　　　　　　　　　　　 ': : :/ : :/　ヽ : :ヽ: : ＼ : : ＼: : : ',: : : : : : : : .
　　　　　　　　 |: : :| : :' ::::::::: ＼八: : : ＼ : : ＼: : : : : : :|:_:_: |
　　　　　　　　 |: : :|:|: |:::::::::::::::::::::::::＼: : : ＼: : :＼|: : : :|フﾉ_l
　　　　　　　　　 //: :|:|: |:::::::::::::::::::::::::::::::＼＼:＼: : :|: : : :|ﾆフﾉ
　　　　　　　　　　/ｲ: : :l八|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ ⌒ヽﾉ|: : : :|: : : 八
　　　　　　　 /　|: : : : |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: : : :ト: : : : :＼
　　　　　　　　　　　|: : : : ゝ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: : : :|) } : : : ⌒　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　|: : : : : |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: : : :|ノ | ﾄﾉ
　　　　　　　　　　　|: : |: : :|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｲ: : : :|: : | | 　　　　　　　 ……ひなげし村は、今はもうない。
　　　　　　　　ﾍ : |: : :ﾄ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ |: : :ﾊ|: /|ﾉ
　　　┌ ､　　／　ﾉヽ八 :|: :＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::／: :.|: /|: |/　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　｜｜／　／　　　ヽ|ヽ|Vヽ＞　 :::::::::: 　イ八ルﾍ　|ノ
　　　/ 　,　　,／　　　　　　　ｒ《｜＿￣　＿ト
厂⌒　／　 /　　⌒　　ｖﾍ＿＿|　￣￣ Υ ￣￣7
　　イ　ヽ /　　　　　ﾐ厂￣￣　＼　||　　　/≧＿_r､＿＿
　ヽﾉ　　 |　　　　　　 |　　　　＿ _ヽｒ ┐ ´_ 　　　ヽ　　ヽ
　 |　―　 |　　　　　　 |　　|　　　　　　 L 厂⌒　　　　 |　　　 ',
　 |　　　ヽ　　　　 |　　|　　　　　　ｲ,||ヽ　　　　　　　|　　　　 ',
　 |　　　　￣￣￣ヽ　ヽ＿＿／/　||　＼　　　　 /　　/　　 ',
ﾊﾉ　　　　　　　＿＿ノ　　　||＿＿/　|　 ||　　| ＼＿／　｜　　　＼
二＼＿／⌒　　　　|/　　ゝ＝　|　l|＝＝＝|　 |＝′　｜　　　　　　ヽ
　　 / 　＼　　　　 /　　　　　　　|　 |　　　　 |　 |　　　 |　　　　　ﾉ

156 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:04:21 ID:YI/6OxKE0

. . ................:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:........... . . . . ............ . . . . . . . . . . . . . . . . ..:.:...... . .　　　　. . . . . . ...........
. . . . ...............:.:.:.:.:.:.:.:.:.:............. . . . .................... . . . . . .. . . . . . . . ....:.:.:....　　　　　. . . . .
　　. . . . ...............:.:.:.:.:.:.:.::............. . . . . ............. . . . . ...... . . . . . . . ........:.:.:....
　　　　　　　　　　　　　　　　　　. . . . ...... . . . . . . .... . . . . . .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　. . . ....... . . . . ...... . .
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　_　. . . .　　　　　　　　　　村民たちは一人を除いて骸となり、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,! |　. .
-‐‐‐‐‐:‐‐‐.:‐‐‐‐‐‐‐‐'ｰ'‐‐‐‐‐‐┴┴‐‐- ､,,_　　　　　　　　ひなげし村だった場所の土の下に埋められている。
_　[]　 .:　　.:　　　　　　ﾛ　　[| 　　 __　ロ　　　｀ﾞﾞ'''''ヾ､,,
::|　　.:　　.::　　　[]　　　　　　　卩　|::|　　　___　　　　　　｀ﾞ'ヾ、.今やそこに残る墓石の群れだけが、
　　.:　　 :::.　　　口　冂　　　　　　　　[]　　|::.|____
　 .:　　　 :::.　　　　　　　 ____　　　　　　Π　 |::::;;|　　　　.ji ||　そこに村があったことを示す唯一の痕跡と化していた――。
　.:　　　　　:::.,.‐‐‐‐､.　　!:::::;!　　　 ____　　　　　　_,----､
　___.　　　　 |::;:;:;:;:|..|　　|.:.:.:|　　　 |::;;;:|　　 _.　　| |:::;:;::;;|.|...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
r‐v'i　　　　　|:::::;:;:;|.:|　「￣ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._　! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:|　　|| || |.:.:.:::::|.|　[￣￣￣] ┌─┐
|:::::|.l iヽiヽ r; |::::;:::;;|:.|　　　 l,. -‐‐‐‐‐‐-v´i　!| |.l| |::;:::::;;|.|　　　┌-----┐　　　　　　 r‐‐‐
|:.:.:| | ! ll　!.| !|:.:.:;::::|..|　　　 |::::::;::;:;:;:;:;;;;;;;;|::..!　ll |:!l |:.:;:::;:;|:|　 ┌┴‐‐‐─┴┐　　　　　|｀r‐‐
|....:| | ! i!　!.| l|;;;;;;;;;;|..|_　　　|::::::::;::;:;:;:;:;;;;;;|:...!　.!l|:lr';;;;;;;;;;;;ﾄ1　└‐─‐‐‐─‐┘　　　　　| :|;;;;;
.￣.´l ! |　 i.|￣￣￣! l_　　 |:::::::::;::;:;:;:;:;:;;;|:.:.!　,!,| |￣￣￣´!_　　　　　　　　　　　　 | .|;;:;:
￣￣　 ____|＿＿＿!￣i 　 |::::;:;::::::::::::;:::::|:...!　　[￣￣￣￣]　　　　　　　　　　　　　　　| :|:;;:;
　　　　 |:;:::::::::::::::;:;::::|.／　 |:::;:::;::::::;:;:;::;;::|:::.!　　￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　 |. |;:::;
　　　　￣￣￣￣´　　　 |:;:::;::;:;;:;:::::;;:;;;|::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: |;;:::
　　　　　　　　　　　　　　 |;:;::::::::;;:;:::::;;;;;|..::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|; |;::::

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157 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:04:31 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

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158 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:04:44 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:
　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　 /::.:.:.:.
　　　　　　　／:::: :::::＼　　　　　　　　　 |:.:.:..:.　　　　＼
　　　　　　　　　　　　::::::ヽ　　　　　　　　　　　ヽ;.;..:.:　　　 ..:.:）
　　　　　　　　　　　　　.::ノ　　　　　　　　　　　　て:.:.:＿＿／
　　　　　　　　　　　‐＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　...::::::）　　　　　　　　　　　（:.:.::::　　＿ノ
　　　　　　　 , -=　　　::::ヽ　　　　　　　　　　　　 ..:.:.::＿,)
　　　　　　 (:::::::::::　　 :::::ﾉ　　　　　　　　　　　　　..: :.::_
　　　　　　　 >::::　　　　　　::ｊ　　　　　　　　　　（＿）
　　　　　　（_::::　　　　　:::::ｒ'
　　　　　　　　￣　(＿::::ノ　　　　　　　　　　O
　　　　　　　　　　　　　　Ο　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しかしまあ、それはそれとして腹は減る。
　　　　　　　　　　 ,,..　　　-‐…・・・…‐-　　 ..,,
　　　　　　　　　　　 ´　／}／　⌒ヽｰ- ミ___: : .　　`ﾞ≪二_　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　／　　,ﾍi{　八 (⌒ヽ_ｊｰ…=ミ　 Y⌒ヽ:. ヽヽ二二＿_
　　　　　　　 ' . : :ｆ'ﾞ｛　ゝ,,r'ﾞﾟ: : : : : : : : : : : ﾞﾏj!⌒ヽ: :.　 ,　｡二二二_＿
　　　　　　 /. : ::八　＼r'ﾞﾉ: : : : : : ｡oO。 : : : :j!≫xｉ{: : .　′′二二二二_
　　　　　　 i{ : : (　ﾉ＼ノ{｛: : : : oS％Qυ: : : : {!｀ヽり⌒ヽ　}！二二二二二＝―
　　　　　 , : : ::)ﾞ　{_(　ﾊ，: :ﾟ οS:℃: : : : : :;}!　 }]{__ﾉ,ﾊ: ; ⅰニニﾆ二二二／＼
　　　　　　 ′: (‘ー=ﾆ二ゝ゜，,_: : : : : : : : : :/八ﾉ八　　 };　厂二二二二,／　ｘ／＼
　　　　　　》, : （__≧=ｰ--=ﾆ二二二ﾆ=彡ﾞ(__彡'ﾞ　ｰ=ﾉﾞ二二二／^Ｘ　 x／　／
　　　　　　／_,ノ⌒ヽ_　　　　　　　｝｝'ﾞ´ ｀ヽ　)　　　／ ,_ニ二_／　　　 `ﾞ<　／
　　　／／　く_ ノ }　≧=ｰ―…'ﾞ人　(⌒>'i{””¨¨アﾞ _,.二二／　,　　　　　　>
　　　 "／　　　　　人､≧=ｰ―=ﾆ二二≫'ﾞ　　≫'ﾞ __ﾆ二二／　／　　　／
　　　　　　　　／　ゝ ≫　`ー=ニ二ニ=ｰ'ﾞ´_,,..ニ二二_／　／　　　／
／　　　　　　〃　　／ _,,..　≧=…ー…=ﾆニ.二二二／　／　　　／

159 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:05:15 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　 r――-. . . _
　　　　　　　　　　　ｨ|: : : : : : : : : : ¨: : . .
　　　　　　　　　　　／: :|: : : : : : : : : : : : : : : ｀: ､
　　　　　　　　／ : 〃|: : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　/: : : :/　| : : : : : : i : : : : : : : : : : : : : .
　　　　　　 /: : i:_/_ノ.|: :i: : : :ヽi! : : : : ; : : : : : : : : .
　　　　　　　　′i :l/ 、　|: :ト : : : :|{`ー‐/: : |≫: : : : :l
　　　　　　 . : i 从{＿ヽヽ:|　ヽ : ハ: : /: : : |≫: l: : : |.　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　i: :ｲ:::::::　　　　　　＜￣冫 : : : : | : : l: : : :l
　　　　　　　|:〈{　　　　　　　　 ::::::`/ : : : : : /: :/: : : : ;　　　　キル子に啖呵を切った後、さやかはニシン蕎麦を注文した。
　　　　　　　|: ﾊ､　｀ｌTTゝ-、　　　′: : : : /: :/: : : ／
　　　　　　　l/　l/ ト|:| |:| |:|l`T´ ｜: : : : :/: :/: : ／　　　　　 .この店の名物らしく、今日はこれを食べる為に
　　　　　　　 _ ..ｨ|:| |:| |:|l|:l|ﾆﾆＮ: : :／:／}:／
　　　　　 Ⅵ, |　　|:| |:| |:|l|:l|:::}　,|:／}／`／　　　　　　　　　　わざわざここまで来たのだ、と興奮気味に彼女は話した。
　　　　　　＿Ⅵ'　/ |:| |:| |:|l|:l|>　/　　　 . . .〉
　　　　　_{　　｀ヽ〈　|:| |:| |:|l|:l|--'　 .、　　〈　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　》ゝ-'´V ,i　l:| |:| |:|l|:l|　　. : :|　　　 |
　　　　　ヽ,___「￣￣￣￣￣￣￣}zヒ冖<l_ .|
　　　　　　　 |　　　　　　　　　{￣￣ヽ　〈/
＿＿＿＿　　乂＿＿＿＿＿__ゝ､＿ノ　 Z　＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　L＿＿」　　　　`ー‐´

　　　　　　　　　　　　 r ､...-――- ...
　　　　　　　　　　　　　 . イ:| ..:..:....:....:.....:.....:.. ミ...、
　　　　　　　　　／........:| ..:...:......:ヽ:、:...:. ＼:.. ＼
　　　　　　　　 /　　./ /| ..:...:{:......:|:..ヽ＼ヽ:.ヽ:.....ヽ
　　　　　　　　　 /　..:..:,i:/　i:i:...:.乂:__ト_:..ﾄ:..ヽi:.....∨:..‘，
　　　　　　　 / .:′/{/___乂..:..:..ﾄ.丁x=ミ､..:i!..:..:..iう):..:
　　　　　　　 ,′:|...:|l ,ｧ=ミ ∧{:..:{　 'f.::うi}ﾄ､|..:..:...i)):....{　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　／ｲ八 :{ { ん:.1　＼} 　ヒ .ﾅ. ｜:..:...|::.八:.､
　　　　　／´　|.八:..ド　ヒン　　'　　　/ /i ﾊ｜:..:...「i:.i:. ト＼　　　　　　 .「くぅー！　このニシンの甘露煮、クチのなかで
　　　　　　　　　｜ ..:ト＼/i/　　　　　　　　｜:..:...|ﾉ::|:..|
　　　　　　　　　 : ...:|:{　　　　 __ .　 ≦ ｀i　　　|:′:..};⌒}:}r‐y　　　　　　 .ほろほろとくずれる感じがたまりませんなあ！
　　　　　　＿ r‐ ﾐ...:込.　　　‘廴　　ノ　　　j{:..:.../　/７　ﾑ=､
　　　　　〈　v`{__ﾉヽヽ:{:＞ ..　　　　　 . イﾊ|r＜トイ（_/ノ　ム　　　　　　.つゆも濃い目であたし好みだし、これは噂通りの
　　　　r―廴} 　　 __}_ :ﾄ､:{::.:ir≧i‐＿ ...斗≦}八 __入　　（イﾉﾉ
　　　　＞ ._)　　　 ( __,.. ヽ≧八¨¨}}r―　´　人r乂　　　　 ‘ァ'　　　　　絶品ですよ！　いやー来て良かった！」
　　　〈　Y､　　　/　　　ﾊ＞‐‐ミ }}}_,. ≦￣￣〉{ ＼下 ==イハ
　　　　ヽﾉ　＼　＿ , ィﾁ　〉.........:={:..:}-:............. 〈八　　了不´　｜　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 { `廴_ ／　 {............:.:.廴｢`:.............. } /　　//　}:{ 　 {、
　　　　　　　ﾉ /:ハ:i　　　{:.:.:.:.:.::イ| |ヽミ::........:.:.{ﾑ:､　j::{　｜､　ﾉ}'＼
　　　　 ,ｲ{ {:/　 }:}　　ﾉ＜/::/八.{ ∧:{＞ミ:.:.〉ト __ﾉ　八:∨ﾑ　ﾉ

160 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:05:33 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　／）
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　　　　　　　　　／,.=ﾞ''"／　　:::::::::::::::::ヽ、　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　／　　　　 i f　,.r='"-‐'つ::人:::人::::::::ヽ
　　/　　　　　 /　　　_,.-‐'~／⌒　　⌒＼ ::::::ヽ　　　　　　　 . 　「んー、お嬢ちゃんいい食べっぷりだねえ！
　　　　／　　,i　　　,二ﾆ⊃（ ●）.　（●）＼:::::::）
　　　/　　　ﾉ　　　 ilﾞフ::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼　　　　　　　　　　気に入ったわ、この串団子もおまけしちゃう！」
　　　　　　,ｲ｢ﾄ､　　,!,!|　　　　　|r┬-|　　　　　|
　　　　　/　iﾄヾヽ_/ｨ"＼　　　 `ー'´ 　　／　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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　　　　　 Ⅶ::::::::::::::::::::::::::|::::ｉ::::::::::::； `ヾ{::::j
. 　　　　从::::::::::::::::::::::::::l:::::l::::::::::::!　　,ゞ′　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　ヾヽ:::::ﾊ::::|:::::',:::::l::::::::::l.廴_f:/　 __,ｧ- 、
　　　　　　　　__/｀ヽ{ヽ:{刈ﾊ:::::::::::|ヾ.／丁¨ぐ'‐ﾁ､ヽヽ　　　　　　 .「やったーおばちゃん太っ腹ー！
　　　　　　／/´' -‐='¨ア´￣｀ヽ::: 杙::.　　　ゝ、｀　　 V
.　　　　 /　,′　　／　　　　　',|ヾ　ヾ.　　　　人　　 i　　　　　あ、おいしー！　甘いものなんて久々だから
　　　 ,./　ゞr‐='¨´　　　　　 `'ｰく　　　　「￣~｀ヾ
. 　／./ 　{_ノ　　　、 i:　　　　　　 }　　　　 /　　　　 }　　　　唾液腺がはじけちゃいそう！」
.......i　/　　　　　　ヾ|　　　　　　/....　　　艾艾艾艾j
. 　 V　　　　　　　　 ',　　　　　　ﾍ　　　　 / 　　 /　　......┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　;　　　　　　　　　　 `'ｰ--ｫ'′　　＼　／　　 /
　　i　　　　　　　　　　　　 j＼　　　　ヾ′　　　/
　　i　　　　　　　　　　　 /.　＼　　　 V　　 /
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161 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:05:46 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
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　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ｒ─┐
　　　　 |:i|:|:::::| ￣￣7~ｱ茶_}､
　　　　 |:||:|::,i'l 　　/三ﾞ一メ;}|
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　　　　 |:::::|:::::| ヽ//.　ｒ─┐
　　　　 |:i|:|:::::| ￣￣7~ｱ茶_}､
　　　　 |:||:|::,i'l 　　/三ﾞ一メ;}|
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　　　　　 | _|/　　 / ト.￣　￣｀､､
　　　　 У　 ,／‐-､j}　　　〉ｭ
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162 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:06:02 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　イ: : l: :V r:::::i　　　 r.::::i　V.:: :l ): ﾄ､〉..　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　 l : :∩ ﾄ弋ツ　 ,　弋ツノ : :./: /ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ: :| L_' ' ' '　　＿ ' ' ' ' ' l.:/: //l l　　　　　「……ふう、ごちそうさま！
　　　　　　　　　　 ,　‐‐─ヽ|　 _ﾆﾕ　ヽ　 _ﾉ　＜l/: //　ﾘ
　　　　　　　　　　　　{　　　　　ヽ　ﾆﾆヽ｀二 ´ﾉ:ﾉﾚｲ: //　　　　　　　 .待たせちゃってごめんね。ほら、言うじゃん。
　　　　　　　　　　　 _レ´　　　　 )　　｀J::「:「::::::`ヽ　｀ヽ
　　　　　　　　　　_ノ _ ＿ r　´￣＼ _ノ:::: ｲハ:::::::::〈　　　i　　　　　　腹が減っては戦は出来ぬ、ってさ」
　　　　　　　　 /´　　　　 | 　　　ﾉイ::i::L: :ﾄ､:::::::}　　 }
　　　　　　/ 　　　　 |　　　／　　|:::|　　 |::i＼ﾉ　　　ヽ　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　＼_ ＿　　イ＼／　　　　L」　　 Li　}　　　　ﾉ
　　　　　　/￣＼──-イ. : : : . . . . . イ: . . . . . .:ﾉ　　／
　　　　　〈　　　　＼: : .　: : : : .　　　　　. : : : イ　　 /
　　　「￣￣￣￣〃　　＼　　　　　　　／　　　　 .
　　　　 | . : . : . : . //　　　　　　　　　　イ　　　i　　　 i

　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!　　　　　　　　　　　「いや、まあ、その、いいんじゃないかしら。
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀　　　　　　　　　 .ご飯を食べるのは大切な事ですもの、うん」
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!　　　　　　　　　　　　自分に言い聞かせるように、うん、とキル子は
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|　　　　　　　　　　　心の中で繰り返した。
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

163 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:06:14 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣:::::::::｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　//::::://!::::::::::::::::::lﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i:|::::::_LL!＿__!ii::::::l::i
　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::l::::::!●) 　(●`!_::|:i　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:::::::i:::i　　 ' 　　 ,'::｀::|
　　　　　　　　　　　　　　 /:::::::::;i::!,ﾞ:..､_ ^　.イ::::j::::i　　　　　　　　　　　「それで、ええと……何の用、というか
　　　　　　　　　　　　　　　　 /:／￣.|::!　ヽv/´ 〉ヽ/:::::::.
　　　　　　　　　　　 _,-'"´ヽ　! .!::|V　У　/ 　|.ヽ:::ﾊ　　　　　　　　　そもそも何か用なの、あなた」
　　　　　　　　　_,.. -＜_　　　　ﾞ:..| |::| .ﾔ/　 / 　 !/　V:ハ
〈＼　　　_,.. -‐ '"　　　　｀　‐-､_ ﾞ.!|::|,／　 ,/!　　|' ,／ヾ､!　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　＼｀ヽ.|　　　　　　　　　　　　 ,.ｨ≦::|ｲ｀ﾞ＝'-ｪ､._j／＿＿_＼
　｀ヽ-‐|　　　　　　_,.　　 ,..:ｨ´::::! /:/ ￣￣￣￣.〉.＼　　　　　＼
　　　　　ゝ　　_,.-‐"　　　 ,/:::;::::j/'"　　　　　　　!:::ﾞﾄ､｀ヽ､　　　　＼
　　　　くヽイ　　　　　／::,ｲ/"ﾄ､.__　　　　　　,!::::::|, ヽ､_ ｀ヽ　　　｀ﾒ__,　-‐ｧ
　　　　　ヽ　　　　　 _,./:／//ﾞヽ､/_　￣｀ﾞ¨¨¨´ﾔ::::/ 　　｀ｰ､.　　,..ｲ.＿　っ
　　　　　　｀ｰ‐ ' "´ ﾚ'" 　 /　 /　　￣｀ﾞ¨¨¨¨´ｲ:/　　　　　　 ,.ｨ'"

　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : :./ :＼: : : : ＼
　　　　　　　　　　 /: :./: : : : : : : : :l : : : :｀ヽ: : : :＼
　　　　　　　　　 /: : /: : : : : : : : :/ |: : : : : : : : : :ヽ:.ヽ
　　　　　　　　　/: : :/: : : : /: : : :/　|: : : : |: : : : : : :ヽ: ヽ
　　　　　　　　 /: :i: l: : : : :l: : : : /　 |: : : : |: : : : l: : : |: : :lヽ
　　　　　　　　/: :/: l: : : : :|: : : / ―r<: : |:lヽ: : :|: : :|l: : l: ﾄ､l
　　　　　　　　|: :l: : l: : : : :|: : :/　　　|ヽ: :l ､ヽ: : |ヽ: |: : |: |　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　|: :|: : l: : : : ヽ: |---､､ヽヽ::{ l ヽ: :| l: :/: : :|l:|
　　　　　　　 |:/l: : :|: : : : :ヽ:|,,,　　　　ヾ!　__ヾ| |:/: : : |ﾘ　　　　　　　　　　　「えー？　やだな、用事ならちゃんとあるよ。
　　　　　　　,/ .|: : : |: : : : : liヽ　　　　　　､　ヽ　'l: : : :|
　　　　　　　　 .|: : : |: : : : : :|　　　r -　､　　 ,,,　 /: : : |　　　　　　　　　　　　さっきも聞いたけどさ、やる夫とやらない夫を
　　　　　　　　　|ヽ: : : : : : :|ヽ　　ヽ､　 /　　　 /: : : :.|　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　ヽ:lヽ: : l:| .l｀ヽ､　　　__ . -t: :/l: : : /　　　　　　　　／,r-_'__.　ぶった斬ったの、あんたでしょ？
　　　　　　　　　　　ヽ:ヽ: :lヽ｀゛-､__,ニ{´}::/ |:/ |:il: :/　　　　　　　　/__ム´,--｀
　　　　　　　 ,. ――‐‐' <ヾi　 ,__/r, {　ヽ___　　　|:/　　　　　　　 /ノ ,r-'´ニ.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 /　　　　　　　＼＼ {.0Uθ!//　　￣｀ヽ　　　　　　　 / 　{ 　　 _ニ､-'
　　　　　　/　　　　　　　　 ,.'´ヽ､>-r-'<　　　　　　　ヽ　　　　　/　　 }　 ./　ヽl
　　　　　　|　　　　　　／　　／　　　＼　＼　　　　　ヽ　　　/　　　/　 /
　　　　　　|　　 ,. -'´　　イi __　　　　 ,.r-,ヽ　　｀ヽ､　　|　　/ .ヽ｀ー-r'´
　　　　「￣　　　　,. - '´　| |　 |‐|-,,,ii-i | .|　｀ヽ-　　　　|　/　　￣ /

164 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:06:50 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　.....-─:::::-..､
　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　/:::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::ヽ
　　　 ,:::::::::::::i:::i:i::::::::::::::i:L::::::::ﾊ
　　　 i:::::::i:::::i:;ｨｿ:::::::::::::込､:;ﾉ:ﾊ
　　　 |:::::::i:::::!､;jｨ彳'"´'{ﾟ●;::::!`
　　　 |:::::::ﾊ::ﾍ`ﾟ●〉　､　""}:::!　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 V:::::ヽVﾍ""　　　　/::::i
　　　　|::::::::::Vﾍ:ｪ　＿´／ l::::l　　　　　　　　　　　　　　　「……もし、そうだとしたら？」
　　　　|::::::::::::,Vﾍ｀ヽ､ﾄ.ヽ.ｊ:::::|
　　　　|:::::／ .｀Vﾍ　ヽ.|　||:::::l　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　|::/ヽ　　Vﾞ:.､　ﾞ!　|ヽ:j'
　　　　|::i　ヽ|　　　'‐ｧ､ |　|　ﾞﾔ
　　　　|:::! 　＼　　　　j 　|　　l|
　　　　|::::!　　　ヽ、 /　 / 　_ﾉ|!
　　　　|::::| 　　　 V 　 / _,.ｨ'"! i
　　　　|::::ﾔ　　　　ﾔ'´　　　　|　!

　　　　　　　　　　　　 -―　―-　　 ,_
　　　　　　　　　 ´. : : : : : : : : : : : : : : : ｀: ..
　　　　／. : : :＿: : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
　　　　〃. : : :i´ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　/. : : : .:.:|: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ__: : : : :.
　　　　.: : : :./: :|: : : : : : : : : : : : : : : : : : :.l7/: : : : .
　　　′: : :.;' : ！ : : : : : : ﾄ､ : : : : : : : : : |'_: : : : : :
.　　,ﾞ. : : : :.|.: .:λ: : : : : : :| ,ゞ―: : |.: : : :.|7/: : : : :
　　 . : : : : :|＼{__＼.: : : : :|´　_＼: :|.: : : :.|/: : : : : j
　　l /: : : : |　´ 　　＼.: : :|γζ｀ヽ!.: : : :.ﾋヽ : : : ′
　　|′`、: :ヽｘ==ﾐ､　＼:゛　弋ゞみ: : : :η } : : /　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　{ 　　ヽ: :ﾊ ,,,　　　　　＼　｀,,,´ |: : :./イ : : ,′
　　　　　从八　　　､　　　　　 |: : / ハ人{　　　　　　「うん、文句の一つでも言ってやろっかなって。
　　　　ノﾍ、: : >､　　r ､　ノ　　　/／メ、
　　　　　／{ﾞ＼: : :≧ﾍ、ヽ_　ィ　/〃　　}　　　　　　　　　 .よくもやってくれたなコイツ、ってさ。だって――」
　　　　 /　　　丶: : ヽ∧ ∨_ｊ=ィ「／⌒Y!
　　　　{　　　　　　　＼{`v'´＿ヽr〈 ,～::::ハ　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 /　　　　　　ヽ}　―ｲ｝く:::::::::::}Y
　　〈、　　　　＼／{　ｨ､」´}＼＼ノｊ
　　　／` ― ､　　　　｛ / ＼＿ノ1、丶::Y
.　 ,ζ´ {　丶ﾍ　　　∠、　　　　ﾉ/／}_」

165 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:07:07 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　,,..､._,ii､ -,,..-'';,i'　　　|;;;;;;;;;;;;;.;v―ｰi;;,,v-ｰ'"　　　　　 ,,-- 、
　　　　　　　　ヽ./ 　｀ﾞヽ,;;;;__ゝ,, ..,,lﾞ;;;;;;;;;;./ 　　　　　　　　　　　 _,,iiiﾆｿ一'" : ii、
、　　　　　　　　　　　　 _,,ﾐ/゛　ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ‐'―― .... r;;;;ッr‐'''''"゛　 .y､_
;ヽ、　.,ﾉ７　　　　　　　ヽ‐゛　 ,r''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,i‐'"　　　　　　　　ヽ;.|
'''-､ﾞﾞア'"　　　　　　　　 {,ﾞ二､,,-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r‐┘ : :lﾆ;;．　　　　゛
　 ...ｌ′　　 :l";二ﾞ''''┐　　　　　 ,l´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ-'''''-、　　　　　　　　　　　［'l、
._..．　　　_.　 ´　,〉;;;;;;ﾞ'ｰ､,　 . _,._..ﾐ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;7　　　　　　　　　　　｀ﾞ"
;;;lﾞ　　　.ヽ;;￣￣;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　 .l､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!　　　　　　　　　　　　　　　 _,,
.､!､　　 .,i┘;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾉ^'''"　　 ,|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,..;＞ｰ'ﾞﾞﾞﾞﾞヽ　　　　　　　　　　　　ﾞ‐'　|.ｌ
..l;;;;ﾞゝy レ;;;;广'L;;_..ｺ　　　　l;;;;ン'ｯ;;;;;;;;;;.,,.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./ 　｀''､_;;;;;;;;|　　　　　　　 .,,,　　　　 .　ｌ､;ﾞ￢．
. ﾞ'''''″ .ﾐ､;;;;ﾞ''''l:ﾞ'"　 ` ...┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓　　　....!;;ﾞ''┐　　　　.ﾞ'ｰ'"
　　　　,-シ､;;_ﾉ　　 . _,　｀　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　!､;;;丿
;/　　,r./ 　l;/　　　 '!┘　　 .「――だって、あの二人はあたしが　　　　　　 ´　　 ,,、　　　,、
,! .／　　,i";;{_ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,i'''；　　　　 .|;;;;ﾞﾞ''''''";;.ｌ､
! 　　　　ﾞL;;;;;ﾞ＞　　　　　 .ぶった斬ってやろうと思ってたのに」　　　　`''".ｨ;;-一'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..,i￢―''>.ｌ..､/ﾞ　　　　i'ﾞﾞ~ﾞ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀''-､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｨ
: };;;;;;;;;;;'＼_ ゛　　 .〈;;i ゝ.┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛.;i　　　　　　 .｝;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;､
.lﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!　　 .,ﾝ-. : '!''Ｌ,lﾞ　　　　ｌ.;;;;;;ﾞゝ､,i''";;;;; !　!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ｌ!´二..,,,＿,..--'''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゛
.;;‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|　lﾞ;l ,!;;;;/　　　.|'ﾍ,　　　　｀''''''ｉ_;;;;;;;;;i;;,ﾞ　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,! ﾞ'―'''''''^ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ'l,,_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
..!､_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ!-ﾞ;|,`''″　 .,／;;;;;ゝ..r‐┐　　　i";;;;;;;;i┘　ゝ､;____,,／´　　　　　　　 : ,ii;;,ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　.ｨ";;;;;;;;;;;;;;;;;,,､;;;;;.! ---'''ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !　　 .〔;;;;;;;;;;;;ヽ :lﾆ二'ﾞ'';;．　　　　.,.. -ﾆ＝''"゛　./;/''''i;;;;;;;;;;;;;;;;
.ｰ'ﾞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　ｌ;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,　　ヽ!　　　　　 "'"　　　　　.．　 . l-ｘ,;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;v ..,,,,､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'―- -ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;ﾞ'---､　　　　　　　　　　　　　　　 "　 .'|ﾞﾞ''､
.ｌ´|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.ﾝ- ／　　　ゝ-..､;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;￢';;ナ'　　　　　　　　 l7　　　l
;;;;;;.,,_.;;;;;;;;;;;;;/　　　　　　　 |;;;;;;;;;;i￢ｰ-,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;{´　　　　　　　　　　　　　　　 !
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166 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:07:27 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
. 　　ｌ,f:::i| :::::|:::::::||::::: |i::::i:::i
　　　 |:|:::::|_:::::|:::::::||:::::_|::::::|::l
　　　 |:|:::::|　　　､　　　|_::::|::|　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:|:´:|ﾞ:､_　‐‐　_,.ｨl:｀::|::|
　　　 |:|::::|:::::/ ヽ//ヽ:::1::::|::|　　　　　　　　　　　　　　その言葉を受けた瞬間、
　　　 |:|::::|::/､ ,/　　, ﾞ.|::::|:::|
　　　 |:|::::|.'　i┴─‐ i　|::::|:::|　　　　　　　　　　　　　キル子の背中がぶるりと震えた。
　　　 |:|:i'l:j _.|＿＿＿|_ l'i,:|::|
　　　 |:::::::l ,.ﾄｪｭ─rｪｲ　:v|::|　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |仆:j ,i´￣　￣｀i､ l:| |
　　＿,ﾉ　,| |　　　　 ,| ヾ､＿
　　｀￣￣｀￣￣￣　￣￣´

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

.　＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　 _
／　　＿｀ヽ　　　　　　　　　　　　 ∧＼
　　／　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　i___〉､.＼＿　／ヽ
.　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／:::::::::::::::::::｀ヽ　ｉ　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　i　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /:::::::::::●:::::::::::::::.
　l　　　　　　　　　　　　＿　　／　 /::::::::::::::::::::::,　　 ●}　　　　　　　 .この時、ようやく彼女は確信を得た。
　｀ヽ　　　　　　　　　　( ￣　｀ヽ､ .∧::::::::::::::::::::::｀⌒′/
　　　丶　　　　　　　　　＞ ´　　.У　＼::::::::::::::::::::::::／{__　　　　　　　　目の前の少女は、自分と同じ魔法少女なのだと。
::.　　　　　　　　　　_,.- "．　　　.厶〉.／::::::::::┬= T　　∨ )
:::::.　　　　i　　　と´＿　　・．∠ -‐´::::::::::::　 !.　(__ -‐__ ´　　　　　　あの白い狐の問いに、是と答え。
::::::::.　　　｀ー＝= _と_,ィ　.／　　　　　　　　　|　　| ￣　',
::::::::::::::::......................　｀ヽi／　　　　 |　　/　/:::j.　　',　　　＼　　　　　　魔物へと転じてしまった存在に他ならないのだと。
::::::::::::::::::::::::;:　 -‐- ､ /:::　　｀ヽ::::::::i　　|_ノ:::/　　　＼)＼)＼)
`ー--‐‐　´　　　　　 {::::::..　　　i::::::::',　 |';:::. i　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　 ∧:::::::::::::::ﾉ:::::::∧ .| ';:.｜

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

167 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:07:39 ID:YI/6OxKE0

　　　　　 ,.-─‐-.､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　 |:::: ::::::::::::::::::::::ｌ
.　　　　　 |::: ::::::::::::::::::::::::!
.　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　 !:::::::::::::::::::::::::lｉ:|　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　 !:::::::::::::::::::::::::l|::|
.　　　　 /|::::::::::::::::::::::::lｌ.,7:!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ということは、それはつまり。
　　　　 |:| !::::::::::::::::::::::l|.l|　!
　　　　 ! !|:::::::::::::::::::::::| |　 l　　　　　　　　　　　　　　　　「……あなたもなの？」
.　　　 /　|:l|::::::::|!:::::::ll|::l|　 |
　　　　l_　 |:|.!:::::::|l!::::::|l:.:||　 l　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　ヽ |ll_|__:_!|:∟:!:.::l‐!　 l
.　　　／　　　　　｀ヽ! 　 !
　　　 /　/ .　　　　　　ヽ..._│
.　　　 |､　! 　　　　　　｀＜ヽ,
　　 _メ´丶､:　　　　 -‐─､:ヽ　:｀＼
　　 ∟ ､┴-　　 -l＿____, -ｰ‐‐‐‐'

168 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:07:50 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐─-　､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐─-　､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　ヽ　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　　　　　　　　　 i　　　　　..|　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　,ノ　　⌒　　　|　　　　　　　　　　　　　 |　 Γ　　　へ　　|　　　　　＼＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　（●）　（●）　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　（●）　（●）　　|　　　　　　　　|
　　　　　 -―─-　　、　　　 |　　(__人__). 　　 | 　　　　 -―─- 　、　　　 |　　　　|　　　　　|　　　　　 .-　┴　-.　、
　　　　／　　　　　　　＼.　　 l.　　｀ ⌒´　　　.|　　　／　　　　　　　＼　　...l.　　 ___`___,　　　|　　　／　　　　　　　＼
　　　　′ ─　　 ─ 　　　,　　λ　　　　　　　　 .ﾉ　　　′　⌒　　　⌒ 　　 ,　　λ　　　　　　　　 .ﾉ.　　′ ─　　 ─ 　　　,
　　　 i　（ ●）　（● ）　　ｉ.　　　＞　__　　　　＜　　　..i　（ ●）　（● ）　　ｉ　　..＞　__　　　　＜　　....i　< ●>:::::<● >　　ｉ
　　　 |　　 (__人__)　　　　| 　／ ./　　　　　　　, 　ヽ　|　　　__´　_ 　　　　|　　／ ./　　　　　　　, 　ヽ..|　　 (__人__)　　　　|
　　　､　　　　　　　　　ノ／　 '　　　　　　 l　ヽ　ヽ､　　　￣　　　　　ノ. ／　 '　　　　　　 l　ヽ　ヽ.､　　　　　　　　　ノ
　　　　　＞　__　　　　＜　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓　ﾘ　＞　__　　　　＜
　　　　／ ./　　　　　　, 　ヽ.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／／ ./　　　　　　, 　ヽ
　　　／　 '　　　　　　 lヽ　ヽ　　「あなたも、あの五人に復讐するためにこの街に来たの？」　　.／／　 '　　　　　　 lヽ　ヽ
　　く　　く/　　　　　　 .l :〉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　く　　く/ 　　　　　　l :〉　ﾘ
　　　ヽ　,'　　　　　　　 l/　／. 　キル子が、すこし震えた声でそう問うと――　　　　　　　　　　　　　ヽ　,'　　　　　　　 l/　／
　　　　l ;l　　　　　　　 .l ,イ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l ;l　　　　　　　 .l ,イ
　　　　l ;l　　　{}　　　 .l イ　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛....l ;l　　　{}　　　 .l イ
　　　　　l　 ∠¨|￣_ゝ　l　　　　.l　　 .!V .l 　　l　　　　　.l　　レ|＼|　　l 　　　 .i　　 ∨| V　　l　　　　 l　 ∠¨|￣_ゝ　l
　　　　　l　　レ|＼|　　l　　　　ｌ　　 l 　 l　　l 　　　　.i　　 ∨| V　　l　　　　 .l　　 .!V .l 　　l　　　　　 .l　　レ|＼|　　l
　　　　　i　　 ∨| V　　l　　　　　 .l　　 l 　 l　　l　　　　　 l　　 .!V .l 　　l　　　　　 .ｌ　　 l 　 l　　l　　　　 .i　　 ∨| V　　l
　　　　 l　　 .!V .l 　　l　　　　 .l　　 l 　 l　　l　　　　　　ｌ　　 l 　 l　　l　　　　 .l　　 l 　 l　　l　　　　　 l　　 .!V .l 　　l
　　　　ｌ　　 l 　 l　　l　　　　　..l　　 l 　 l　　l　　　　　　ｌ　　 l 　 l　　l　　　　 .l　　 l 　 l　　l　　　　　　ｌ　　 l 　 l　　l
　　　　　 l　　 l 　 l　　l　　　　.l　　 l 　 l　　l 　　　　　　l　　 l 　 l　　l　　　　 .l　　 l 　 l　　l　　　　　 l　　 l 　 l　　l
　　　　　 l＿__l 　ｌ＿__l　　　　 .l＿__l 　ｌ＿__l　　　　　 .l＿__l 　ｌ＿__l　　　　　 .l＿__l 　ｌ＿__l　　　　　 l＿__l 　ｌ＿__l

169 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:08:05 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : :|: : : : : : : : .＼: .＼: :＼
.　　　　　　/: : :/: : : : : /: : /: : :/ |: : : : : :|: : : : :ヽ: : ヽ: : :.
.　　　　 /: : :/: : : : : /: : /: : /　 !: : : : : :ﾄ､:|: : : |: : : |: : : :.
　　　　　 |: : : |: : : : : :|: :/|:｀:癶､_ l: ﾊ: : : :! |:|＼:_|: : : :i: : : : .
　　　　　 |: : : |: : : : : :|:/ﾒ|ﾝ￣｀ヽヾ! ヽ: : iﾆﾘ_'"}:j: :.i: :|: : ﾄ､::.
　　　　　 |: : : |: : : : : :ﾚ′,矣(_　　　　ヽｿ,ｨｚ　ヽ|∨: :.l: : i　＼
　　　　 /: :_:_i: : : : : :.|. 　|::じﾐ|　　　　 i扮r!　 |! 〉: :.!: : !　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 /: :/　|: : : : : :.| 　｀ - '　　　　ヾ;;;ﾘ　 ″!＼|: : |
　　　 /イ:|　 !: : : : : :.|ヽヽヽ　　　　　 ,　　　､､､ |: : : : :.!　　　　　　　　　　 .「……え、何それ。
.　　　　 |: : ｰ!: : : : : :.| u　　　　　　　　　　　 |: : : :.│
.　　　　 :. : :.|: : : : : :.ﾄ､　　　　　　　　　　　　 /: : : : : !　　　　　　　　　　 .ごめん、あたしそれ初耳だわ」
　　　　　　:. : :ヽ:∧: : :.l　:､　　　`ー '　　　　／: : : : : :/
　　　　　　＼/|:ﾄ､ヽ: : L 　＞:.. ＿＿__. . . : : : /|: : : ハ:/　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
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　　　　　　　＞x-'"　＞　　￣ ┐|┌'}､　'" 　／
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　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
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　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ｒ─┐
　　　　 |:i|:|:::::| ￣￣7~ｱ茶_}､
　　　　 |:||:|::,i'l 　　/三ﾞ一メ;}|
　　　　　!| |.ﾞ::j　ﾄ-､/┴─ｲ､~ /
　　　　　 | _|/　　 / ト.￣　￣｀､､
　　　　 У　 ,／‐-､j}　　　〉ｭ
　　　　　｀￣´￣￣￣￣￣￣

　　　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
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　　　　 |:::::|:::::| ヽ//.　ｒ─┐
　　　　 |:i|:|:::::| ￣￣7~ｱ茶_}､
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　　　　　!| |.ﾞ::j　ﾄ-､/┴─ｲ､~ /
　　　　　 | _|/　　 / ト.￣　￣｀､､
　　　　 У　 ,／‐-､j}　　　〉ｭ
　　　　　｀￣´￣￣￣￣￣￣

170 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:08:15 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　 ,　 -── -　 .､
　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　 , ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　 /::::::::::::::;ｲ:li::::::::::::::l::::::::::::::::::::::',
　　　　　　 ,'::::::i:::!::::/l::i!::::::::::::::l::!:::i::::ｌ:::::::::::i　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 i:::::::l::i:::」 .l::|:::::::ｌ:::l_ｊ::Lｊi::::ﾄ､::::::::l
　　　 , ' ´ ; ｀ヽl:::l:（●）￣（●）l::::ｌ:::::ｌ }:::::::l　　　　　　　　　　　　　　　何だかよく分からない気分になって、
　　　(　　　':;　　);」!　　、　　　 l:::l::::;」':l:::::::l
　　　ヽ､　　　ノｰl:j,. 　 _._ 　　 Lｨ:イ:::::l:::::::l　　　　　　　　　　　　キル子は自分の茶を啜った。
　　　　　｀ ‐ '´ 「￣￣￣l＿ ,　イ:::::l:::::::::ｌ::::::l
　　　　　　　　　l　　　ｒ､l::::l　　 , !-＝-､:l::::::l　　　　　　　　　　　　　それは時間が経ってぬるくなっており、
　　　　　　「ﾐ.l　 r'￣￣｀ヽｒく.　　＿ ';:ｌ:::::l
　　　　　　「', 　ヽ､　　　il　＼ , -──┴i　　　　　　　　　　　何だかよく分からないような味がした。
　　　　　　　　入｀ｰ--｀ヽ､__/　　ヽ＼:::::::::::::::::::l
　　　　　　／　｀i‐-l:::::l/l::/　　　 ',　｀‐ ､:::::::::::l　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 /　　　　l::::l::; -l:/　　　　　　　　｀ヽ::::',
　　　　　 l　　　　 l::l（　 l　　　　　　ヽ　　　　l::::::〉
　　　　　 l　　　　　　';l::::::l　　　　　　　＼　　 l:プ

171 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:08:50 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（説明）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' "´￣｀ : ､
　　　　　　　 .-‐……‐-ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　.／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::,::::::,::::::::::::::::::､:::ヾ:::::.
　　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ:,f::i:::|_:::|_:::::::::､:::::i|:::::i:::::|
　　....' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::|::::|(●） |:::::::|::::::|:::::|:::::|
　　 .ｉ: : :.ｉ: : :.|／　＼| ＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ |::〈　　　|_::::::!:::::|:::::|:::::|
　　 .|: : :.|: : :.|　 о 　　 о　jｲｉ:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ iヽ‐　　_,.|｀:|::::|:::::|:::::|
　　./ﾍ: : ､: : |　　　､_,､_,　　ﾉ:ﾊ|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::::7 l/'　　ﾞ｀1::::::|:::::|
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172 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:09:03 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　＜::::::::::::::::::::::::ヽ
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　　　　　　　　 |::::::::::/　ゞ| 　ヾ　ヾi::|::::::::|::::::::::::|
　　　　　　　　 |/::::::|　 ┃　　　┃ 　 i:::::::::} :::::::::/　　　　　　 .「えーっとつまり、ごはんが足りなくなったせいで
　　　　　　　　 i:::::::|　┃　　　┃ 　 }::::::::i　7:::::i
　　　　　　　　　　{::::|　　　　　　　　 |:::::::| /:::::::|　　　　　　　戦争に負けそうになったやつらがいて、
　　　　　　　　　　i::ｲ　　　　　　　　 }::::/i::::::::/ﾞ|
　　　　　　　　 {:::ゝ､　　　⌒　　 |::/　|v:y　　　　　　　　　そいつらが負けたくないから野伏りのフリして
　　　　　　　　　　ヾ＼|｀Ⅵ√ |y√　yヽ
　　　　　　　　　　　/∨＊ノ＜＇ヽ　　　　　　　　　　　周りの村々からごはんを奪って、口封じもしてー」
　　　　　　　　　　　/i´:::::::::::::::::::::卜ヽ
　　　　　　　　　　　　　/ {:::::rﾍ＿:::::::{　{凵　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　√|｀´ |　　　 ?逢　}::::}
　　　　　　　　　　　　/:::|　　|　　　　 {　｀:::::｀

　　　　　　　　　　　＿,,,＿＿
　　　　　　　　, -'￣::::::::::::::::::::::｀:ヽ
　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　 ./ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|!|'lｉ:::::::::::::.!
　　　　 .!::::::::::::::::::::::,ｒ､､:: ::::::::|｀ └┐::::::j!　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 .|::::::::::::::::::::::.!tｉ|::::::::::::l （ ●）::::::|｀
　　　　 .!:::::::::::::::::::::::ヽ!:::::::::::||!　　　 >:ｌ　　　　　　　　　　　「ええ。それで、ごはんを奪う命令を出したのが、
　　　　│::::::::::::::::::::::::|:::::::|￣　　　_/_;ｌ!
　　　　 |::::::::::::::::::::::::::|::::::::|　.　　 /::|　　　　　　　　　　　　　さっき言った五人なんですって」
　　　　.!::::::::::::::::::::::::/l::::::::| / ￣´::::|
　　　 |::::::::::::::::::::::./_|:::::::::|':::::::/::::::.!　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　./ :::::::::::::::::／.　!::::::::::l:::::/::::::jl
　　 / ::::::::::::::::ｉ二ヾ |:::::::::::!二j:::〃
　 .〃:: ::::::::::/::::::::｀ヘ_|:::::::::.!ヽ |' '

173 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:09:31 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ' "´￣｀ : ､
　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓　　 .／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:::::,::::::,::::::::::::::::::､:::ヾ:::::.
. 　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　　　　「なるほどねー。で、誰に聞いたのソレ」　　　　...ｌ:,f::i:::|_:::|_:::::::::､:::::i|:::::i:::::|
　　　.' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:::|::::|(●） |:::::::|::::::|:::::|:::::|
　　ｉ: : :.ｉ: : :.|／　＼| ＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　　　　「キュゥべえよ」　　　　　　　　　　　　　　　 ´ |::〈　　　|_::::::!:::::|:::::|:::::|
　　 |: : :.|: : :.|　 о 　　 о　jｲｉ:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ´ iヽ‐　　_,.|｀:|::::|:::::|:::::|
　　 /ﾍ: : ､: : |　　　､_,､_,　　ﾉ:ﾊ|　　　　「そっかーキュゥべえかー」　　　　　　　　　　　　　　 |:::::7 l/'　　ﾞ｀1::::::|:::::|
　　　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |::::ｲ./　 ,ィ　　|:::::|:::::|
　　　　　　／　{f⌒()⌒i}｀ヽ　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛　　　 |::::i┴─ |　　 |:::::|::|i:|

　　　　　　　　　　　　 r ､...-――- ...
　　　　　　　　　　　　　 . イ:| ..:..:....:....:.....:.....:.. ミ...、
　　　　　　　　　／........:| ..:...:......:ヽ:、:...:. ＼:.. ＼
　　　　　　　　 /　　./ /| ..:...:{:......:|:..ヽ＼ヽ:.ヽ:.....ヽ
　　　　　　　　　 /　..:..:,i:/　i:i:...:.乂:__ト_:..ﾄ:..ヽi:.....∨:..‘，
　　　　　　　 / .:′/{/___乂..:..:..ﾄ.丁,.-=-､..i!..:..:..iう):..:
　　　　　　　 ,′:|...:|l ,.-=-､∧{:..:{ {'　　　ﾊ.|..:..:...i)):....{
　　　　　　／ｲ八 :{ {'　　　ﾊ＼} 弋　　 ,ﾘ｜:..:...|::.八:.､.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　／´　|.八:..ド弋　　 ,ﾘ　 .＿｀''ｰ‐'".｜:......「i:.i:. ト＼
　　　　　　　　　｜ ..:ト＼｀'ｰ‐'".F￣ｰ┤..八 .｜:..:...|ﾉ::|:..|　　 .「あンの狐ヤローそんな大事な事黙ってたのー！？
　　　　　　　　　 : ...:|:{　　　　 .|　　　　|　⌒　.|:′:..};⌒}:}r‐
　　　　　　＿ r‐ ﾐ...:込.　　　　.|　　　_|　　 .j{:..:.../　/７　　絶対許さない！　ただじゃ置かない！　今度会ったら
　　　　　〈　v`{__ﾉヽヽ:{:＞ ..　.L'ﾆ￣‐┘ .イﾊ|r＜トイ（_/
　　　　r―廴} 　　 __}_ :ﾄ､:{::.:ir≧i‐＿ ...斗≦}八 __入　　（.　　絶対あいつぶった斬って皮剥いで商人に売りつけてやるー！
　　　　＞ ._)　　　 ( __,.. ヽ≧八¨¨}}r―　´　人r乂
　　　〈　Y､　　　/　　　ﾊ＞‐‐ミ }}}_,. ≦￣￣〉{ ＼下 ==.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　ヽﾉ　＼　＿ , ィﾁ　〉.........:={:..:}-:............. 〈八　　了不´　｜
　　　　　　　 { `廴_ ／　 {............:.:.廴｢`:.............. } /　　//　}:{ 　 {、
　　　　　　　ﾉ /:ハ:i　　　{:.:.:.:.:.::イ| |ヽミ::........:.:.{ﾑ:､　j::{　｜､　ﾉ}'＼
　　　　 ,ｲ{ {:/　 }:}　　ﾉ＜/::/八.{ ∧:{＞ミ:.:.〉ト __ﾉ　八:∨ﾑ　ﾉ

174 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:09:53 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 ,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　　 .|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ
　　　　　 |:::::|::::::|（●）　（●)|::::|:::|　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 |:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀
　　　　　 |:::::|:´:|､_　　-‐ _ノ:::i ｀　　　　　　　　　　　 ……怒号を放つさやかを眺めながら、
　　　　　 |:::::|:::::{´ ヽヽil､:::|:::::|
　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ',:|:::::|　　　　　　　　　　　　　キル子は一つの疑問に行き当たる。
　　　　 |:i|:|:::::| ＼|┴─i:|:::::|
　　　　 |:||:|::,i'l 　＼＿_|ﾞ､:i'|　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　!| |.ﾞ::j＼　,rｲｭｭ,rﾄ､:､
　　　　　 | _|/　　Y´ト.￣　￣｀､
　　　　 У　 ,／‐-､j}　　　〉ｭ
　　　　　｀￣´￣￣￣￣￣￣

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐─-　､　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　ヽ
　　　　　 .-―─-　　、　　　　　 '　　　　　　　　　 i　　　　　憎悪が理由でないのなら、復讐が理由でないのなら。
　　　　.／　　　　　　　＼　　　 |　　,ノ　　⌒　　　|
　　　...′ ─　　 ─ 　　　,　　　 .|　（○）　（○）　　|　　　　　　.この少女は、一体どんな理由に従って
　　　 .i　（ ○）　（○ ）　　ｉ　　　..|　　(__人__). 　　 |
　　　 .|　　 (__人__)　　　　|　　　 l.　　｀ ⌒´　　　.|　　　　　あの二人を斬ろうと考えたのだろうか？
　　　 .､　　　　　　　　　ノ　　 .λ　　　　　　　　 .ﾉ
　　　　　 .＞　__　　　　＜　　　　　＞　__　　　　＜　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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175 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:10:05 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　＿,,, ＿
　　　　　　　　　 , -'"__:::::__:::::::｀ヽ､　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 ._／:::: 「`::::::　 :::::::ヽ:::::ヽ
　　　　　　　　ハ: . , .ﾊ::ﾊ:::::/＼:::::}:::::::',　　　　　 .試しに尋ねてみると、さやかはひどく困ったような顔をした。
　　　　　　　i::::{::::!..ﾚ'..ヽＶ｀ヽヽ/::::::::i
　　　　　　　　iヽｌ . ｌ○　　　 ○ 　ｌ:::::::::::i　　　　　痛いところを突かれたと、そう書いてあるような顔だった。
　　　　　　　 . ヽ|〉ll⊃　＿＿　⊂⊃::::i:::ﾊ
　　　　 /⌒ヽﾙ;ﾍ　　　　　　iノ:::./⌒i　　　　　　　「あーその、それはね……」
　　　　　　＼ / 　ヽ i＞,､ __,　イァ /　 /
.　　　　　　　（./　　,i .{ ,-ＹＹ=　 } .ﾍ､_,∧　　　....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ヽ　、.i . . |くハ」|　ヾ:::　丿'

　　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼
　　　 .:::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
　　　.|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|:::::|::::::|（●）　（●)|::::|::|
　　　　|:::::|:::::_| 　　 ,　　 j:::::| ｀　　　　　　　　　　　　　　　「……答えにくい質問だったなら、
　　　　|:::::|:´:|､_ 　／ﾔヽ、:i ｀
　　　　|:::::|:::::{´,／　.∧　ヽ|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　答えず忘れてくれてもいいわ」
　　　|:::::|:::::|ｲ　　　 ,/　　ﾞ.
　　　|:i|:|:::::|　　　　/ゝ､_;ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　|:||:|::,i'l､_,. ィ" j_k　　ヽ.

176 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:10:34 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　イ : : : : : : : : : ｀ヽ　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　／: :｛: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　〃:: :: :｛: : : : : : : : : : : :: : : : :.　　　　　「いや、いいよ、言っちゃう。同じ魔法少女だしね、
　　　　　　　 ′: :: :/{: : : :ヽ: : : :‘， : : : : :‘，
　　　　　 .: : : : :/ 从: : : : ＼: : :ﾍ : : : : : ﾊ　　　　.何も言わないで済ますのもどうかと思うし」
　　　　　　 .: : : : /⌒ｌヽ＼: :'厂＼: :｝: :从 : ∧
　　　　　ﾉﾙ': ::ﾘ x=ミ　ヾ＼ィﾃミ､! : l, ､: :: :}　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　 |: : 从　う;l　　　　圦ﾘ |:: :}　｝:: ::}
.　　　　　　 |: : ハ弋ﾘ　　　　 `ｰ' .|:: :}.ノ: : :ﾘ
　　　　　 |: / : :.　　　　'　　　　　 |:: :｝ハｊ丿
　　　　　　 |/{: :: :ト　　　ー ' 　イ: :ﾉﾙ'
　　　　　　八: 从: l: :≧=－ . r‐| 〃　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 `　ヾ ` / 冫f´　 λ､
　　　　　　　　　r‐‐-′入〃仆､〆　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「簡単に言うと、武者修行のためかな。
　　　　　　　　〃／孑　冫┴ ､＼　　　ヽ＼
　　　　　　　 /　 -‐=　￣／Yl　＼　　　ﾍ　｝　　　　　　　　　　　　　　　　　　あたし、本当の事を知りたいの」
　　　　　　　　ｌ　rf千ミ孑{　'ニ｝幵ﾉＶ＼　 `寸
　　　　　　　/二{::::::::::::￣{　　ヲ::::::::＼｝| ＼　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　 ′ ｛::::::::::: ,z┘　丿:::::::::::::从 -‐┤ﾏ､

　　　　　 ,. 　-‐――-　､
　　　／::::;:::´:::::::::::::::::::::::::＼
　　 /:::::::/:::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　 ′..:/ .::::::::/|:::::::::::ﾄ、::ｉ::|::|::::',
　　|::::::::l::::l:::::/:::|:|:::::::::|::|:::|::|::|:::::|
　　|::::::::l::::l::/ﾆ'l」:::::::::|_|ﾆl::::|/:::|′
　　l:::/＾l::::|'≡≡￣￣≡≡.| l:::|　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　|::ゝ､!:::|　u.　　　　　 { ﾊ_|
　　|::::::::|:::ト　　＿ _‐ __ ,..ｲ::|　　　　　　　　　　　　　　　　　「……どうにも要領を得ないのだけど」
　　|::ｉ::|::!::|:::::/ヽ､ﾔ､:::::/:/:::i
　　|:::::::|:::|／＼　ヽj ./￣￣￣ 7　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　|:::::::!::l:!ヽ､　ヽ. ,'/　　　　　/

177 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:10:48 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　,.l｀`‐'"´´｀　　､
　　　　　　　　　　　　:／::| : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　／. . . |. . . . . . . . . . : : : : : : ヽ
　　　　　　　　／ｨ: : : : |: : : i: : ､: : : :､: : : : : : : :
　　　　　　　‐'　/: :,: : /l: ,i: : |､: ::|: : i: ::l: : : : : : : : :l
　　　　　　　　 .l:／ｲ//ﾌ　|: :| ﾄ__|::|: l: : l: : : : : : : : :.|
　　　　　　　 .//::::l/|.',ｨ,､　.|::|　ヾヽl: l: ::|: : : : : : ､:从　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　//i::::::'::|　r;i　 .ﾘ　 ,,ｫ､ヽヽ|: ::|: :i: : : : :ヽ:ヾヽ
　　　　　　 l/ |::::::::::l .弋'　　　　.2;;ﾄ　､|::::|: |:､ : : : : ヽ＼　　　　　　　　「あたしには知りたいことがある。
　　　　　　/　|i::::i:::::.､'.' .'　　　　ﾓ;ﾘ　　l:::::|l::::ヾ: :＼: :ヽ
　　　　　　　._|､::|∨ﾑ＼.　､ __　' ' ' 　　.|:::l '::l:::::ヾ:ﾄ.i ヾ l　　　　　　　　　　　誰もが知らなくて、あたししか知らないはずの、
　　　　　　　|.l ヾ!　　 W,｀ヽ ____ , ,.〟壬|}/､:|.ヽ＼;|　　ヽ
　　　　,､__,r' .l　　　　　　 ,r ''''‐!≪´ 　 .,)'‐､'　　　　　　　　　　　　　　あたしにさえ分からない真実」
　　　　i´　　ヽク　　 .,-/　　　　＼￣　　l .l｀.‐､　　　　　　 _ ,､
　　　　.|　,　､ /　　　/　＼　　　　＼　　　l　:::.　 l.　　　　 ,// .'ヽ,　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　./´___ ｀.l　　.X ､　　＼　　　　＼　　　　:::.　lヽ,､　 ∫'　　　ﾌ
　　　　l,イ.: :｀iヽγヾヽ.＼　　　　　　　.＼　　　.＼ .ヾ:ﾉiヾ´二ヽノ
　　　　｀/: : :／: :ゝ　ヾ:ゝ､ヽ　　　　　　　＼　　､＼ヾ :ヽ: : || l
　　　　 l: : : : : : : : :,>´l: : : :＼　　　　　　　　＼.　::.　＼.ヾ: : :/ﾚ
　　　　 .l: : : : :, ｨ'´　 .ゞ: : : : : ＼　　　　　　　＼::::::..　.＼ヾ'｀

　　　　　 ,. 　-‐――-　､　　　　　　　 .,.　----　、
　　　／::::;:::´:::::::::::::::::::::::::＼　　　　　.く　 ,. --- ､＼
　　 /:::::::/:::::::::::;:::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　...｀´　　　　＼＼
　　 ′..:/ .::::::::/|:::::::::::ﾄ、::ｉ::|::|::::',　　　　　　　　 }　 }
　　|::::::::l::::l:::::/:::|:|:::::::::|::|:::|::|::|:::::|　　　　　　./｀ー‐ '　ﾉ
　　|::::::::l::::l::/ﾆ'l」:::::::::|_|ﾆl::::|/:::|′　　　　　く__/｀¨¨¨¨´
　　l:::/＾l::::|'≡≡￣￣≡≡.| l:::|　　　　　　i⌒ヽ
　　|::ゝ､!:::|　u.　　　　　 { ﾊ_|　　　　　　.ー '
　　|::::::::|:::ト　　＿ _‐ __ ,..ｲ::|
　　|::ｉ::|::!::|:::::/ヽ､ﾔ､:::::/:/:::i
　　|:::::::|:::|／＼　ヽj ./￣￣￣ 7

178 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:11:21 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 ,=ﾆfｰr-r------------ｨ-r一ｰ'､
.　　　　　　 / /　{__{__{__{___|___|___|___|___}__}__}__}__}ヽヽ　　　　　　　　　「――あたしが、最初から救いようのない
　　　　　 {　} }-{　{　{　{　|　 |　 |　 |　}　}　}　l　|ｰ}　}
　　　　　　ヾ `ｰ'-'￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣`ｰ'-'-' ﾉ　　　　　　　魔物だったのか、どうか
　　　　　　　｀ー───────────一´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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179 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:11:38 ID:YI/6OxKE0

　　　　　 ,.-─‐-.､
　　　　　　/:::::::::::::::::::::ヽ
.　　　　　 |:::: ::::::::::::::::::::::ｌ
.　　　　　 |::: ::::::::::::::::::::::::!
.　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　 !:::::::::::::::::::::::::lｉ:|
.　　　　　 !:::::::::::::::::::::::::l|::|
.　　　　 /|::::::::::::::::::::::::lｌ.,7:!　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 |:| !::::::::::::::::::::::l|.l|　!
　　　　 ! !|:::::::::::::::::::::::| |　 l　　　　　　　　　　　　　　　　キル子の背が、ふたたび震える。
.　　　 /　|:l|::::::::|!:::::::ll|::l|　 |
　　　　l_　 |:|.!:::::::|l!::::::|l:.:||　 l　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　ヽ |ll_|__:_!|:∟:!:.::l‐!　 l
.　　　／　　　　　｀ヽ! 　 !
　　　 /　/ .　　　　　　ヽ..._│
.　　　 |､　! 　　　　　　｀＜ヽ,
　　 _メ´丶､:　　　　 -‐─､:ヽ　:｀＼
　　 ∟ ､┴-　　 -l＿____, -ｰ‐‐‐‐'

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 ,!　.u　　　　ﾉ
　　　　　　　　 ,.--,- '"￣｀`ヽ､　　　　 (
　　　　　　　ノ′{´ ／⌒ヽ　',　ヽ　　　 !）
　　　　　　／　　 ∨.__　　　∨ ,ﾘ,ﾞi　　 7　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　ﾉ.-‐ ‐-/,' 　 }　 ,／',´// ﾘ　/
　　　　/´　　　　{ i 　 {　 ( .＞､.._}'´￣　　　　　　　　　　　　　　　けして武者震いのたぐいではない。
　　　/　　　　　,..ﾊ　　:　人_,,.＿-｀`ｰ､..__
　　 i〃⌒''''"´　　!　｀ヽ‐-､..._　｀`　　　　￣`ヽ､　　　　　　　　　 ……異様なほどに濃い、妄念や執念や殺意。
　　 .|　　　　　'"　人_ ｨヒ..　　　　　　　　 .ノ　｀ヽ-=...、
　　 |　　　　,ノ"´　　ﾞヽ､_　　　　　 _,,..ィ''"＞‐--､＼''"　　　　　　　それらに晒された者が感じる、本能的な恐れ。
　　　!　　, '"　-‐‐-'"⌒', ｀￣￣丁´　,とノ´　　　　 `ヽ-'
　　 {　ノ´　,.. -- 　　　ﾞレイ'⌒{　ﾞY　　　　　　　　　　　　　　　　　その恐れが、キル子の背を震わせたものの正体だ。
　　　i　／´　　　　　　　爪,人　.ﾉ}　 }
　　 .|/　　　　　　　　　》､　　Ｙﾉ　.ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　.{　　　　　　　《　｀ヽ.ノ} _ ｲヽ、
　　　ﾉ　　　　　　　｀ヽ._　ヽ　ﾉ′ヾ､　ヽ
　　 /　　 ,　　　　　｀ヽ｀ヽ、 }　　　　　　＼
　　i　　　 {　　　　　　　　＼ヽ}､　　　　　　＼
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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180 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:11:49 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　 .. .. --:7:ヽ――: . . ..､
　　　　　　　　　　　　／: : : : : ::l: : : : : : : : : : : :.＼
　　　　　　　　　　　,. : : : : : : : : l: : : : : : : : : : : : : :.ヽ
　　　　　　　　　 ./: : : /: : : :/:/l: :i: : : : : : : : : : : : :.ハ
　　　　　　　　　 /:: : :/: : ://:/　!: l: : : :l: : : : : : : : :l: : :.
　　　　　　　　 ./ /: /:: ::/l::ll:l 　 !: !::. : :|:　:l : : : : : |: : : :!
　　　　　　　　 /: :l: :ｲ:: /_.l斗lイ　l::ﾄ､: :､!: : |: : : l: : |う): :l　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　ノ : ::|:: :l::/　 l'　l!.　　',l　＼lー:l:､: ::|: : l)): : :!
　　　　　　　 | : : |: :.ﾚ　　　　　　　i!　　ヽ＼: ::|: : l::::: : |　　　　　　　　　「ほら、キュゥべえが言ってなかった？
　　　　　　　 | : : |: : |　x＝=､　　　　　＿　ヽ.|:: /:|::: :ｌ|
　　　　　　　 /ｲ: .:| : :| , , , , ,　　　　　　´⌒ヾ.　 |/.: :!::::ﾊ!　　　　　　　魔法少女はいずれ魔物になるって。
　　　　　　 ./'　l: ::|: : |　　　　　　.,　　　 , , , , ,　l::: : |:::::lヽ._
　　　　　　 |: l:|: : |　　　　,､＿＿__. 　　　　/! ::/:::/　　　　　　　あたしは、自分が魔法少女になる前から
　　　　　　ヽﾄ:ヽ::l＞.　　丶＿_.ノ　　　 .ｨ::ll :/l:/
　　　　　　　　　　ヾ',lﾊlヾ＞,. 　　　　 .　＜/ﾚ./:/ /　　　　　　　　　　　　魔物だったかどうか、知りたいの」
　　　　　　　　　　　　ヾ.　{ﾐ===｀T´=='=}　　 /'ｲ
　　　　　　　　　__ ／｀ｖ‐,ｨヽ､.　　||　／.l__　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 ./　/ ￣二l_――.､._}{_.ｧ――"'､￣￣ヽ
　　　　　　 .ノ　 |　　 --､}:::::::::＞{::::}＜:::::::::::::/　　　∧
　　　　　／　 l　|　　　ィ }:::::::::::/´Tヽ::::::::::::::::l　　　/　＼

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
::|　　.:　　.::　　　[]　　　　　　　卩　|::|　　　___　　　　　　｀ﾞ'ヾ、___''_´_　　　　＿
　　.:　　 :::.　　　口　冂　　　　　　　　[]　　|::.|____　　　　　　　　　 ,.---､、　　|;:;:::|
　 .:　　　 :::.　　　　　　　 ____　　　　　　Π　 |::::;;|　　　　.ji ||　　 |;;::.:.;;;|:|　　 |::;:::|　　　,.-､
　.:　　　　　:::.,.‐‐‐‐､.　　!:::::;!　　　 ____　　　　　　_,----､　　 _　, |::..::;:::|.|　　 j::.::.|　　　|:;:::|
　___.　　　　 |::;:;:;:;:|..|　　|.:.:.:|　　　 |::;;;:|　　 _.　　| |:::;:;::;;|.|　　|| || |.:.;::.:.:|:|　 ┌.┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
r‐v'i　　　　　|:::::;:;:;|.:|　「￣ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._　! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:|　　|| || |.:.:.:::::|.|　[￣
|:::::|.l iヽiヽ r; |::::;:::;;|:.|　　　 l,. -‐‐‐‐‐‐-v´i　!| |.l| |::;:::::;;|.|　　　┌-----┐　　　...「あたしの大切な人が死んだ理由が、
|:.:.:| | ! ll　!.| !|:.:.:;::::|..|　　　 |::::::;::;:;:;:;:;;;;;;;;|::..!　ll |:!l |:.:;:::;:;|:|　 ┌┴‐‐‐─┴┐
|....:| | ! i!　!.| l|;;;;;;;;;;|..|_　　　|::::::::;::;:;:;:;:;;;;;;|:...!　.!l|:lr';;;;;;;;;;;;ﾄ1　└‐─‐‐‐─‐┘　　あたしかどうかを知りたいの」
.￣.´l ! |　 i.|￣￣￣! l_　　 |:::::::::;::;:;:;:;:;:;;;|:.:.!　,!,| |￣￣￣´!_
￣￣　 ____|＿＿＿!￣i 　 |::::;:;::::::::::::;:::::|:...!　　[￣￣￣￣]　　　　　　　　 ..┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　 |:;:::::::::::::::;:;::::|.／　 |:::;:::;::::::;:;:;::;;::|:::.!　　￣￣￣￣　　　　　　　　　　　　　　　 |. |;:::;
　　　　￣￣￣￣´　　　 |:;:::;::;:;;:;:::::;;:;;;|::::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: |;;:::
　　　　　　　　　　　　　　 |;:;::::::::;;:;:::::;;;;;|..::!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|; |;::::
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181 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:12:00 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　|ヽ、　　　　ハ
　　　　　　　　　　　　|｀,>｀ー―‐'　ﾘ、
　　　　　　　　　　　　ﾊ　　　　　　　）ヽ　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　/　i　　:::::::::::::／ ./
　　　　　＿＿,,＝ｙ'　ﾉゝ.＿ ,',´⌒ヾ,'　　　　　　　　　　「――そのために、あたしは人を斬る。
　　　　(＿o＞￣ l|／　_ﾉ／'0'o}/ﾉ'
　　　　（,-´'o≧=ﾉ'　　（_,（＿,し'´|´　　　　　　　　　色んな人を、色んなものを斬れば
　　　　　－'´　　´　／　　　　　 |
　／´￣｀ヽ、　　　/　 '⌒ヽ|　||　lヽ　　　　　　　　　 .いつか必ず答えが出る、って教えてもらったから」
　|　　　⌒ヽ. ￣＞i　　　　ﾘ. ||　| ,!
　ヽ　　　　　＼_ノ| ゝ.＿_'´,,).,j.,.,j'´)　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　＼＿＿＿＿ノ

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　　　　 |:::::|:::::| ヽ.　// ',:|:::::|
　　　　 |:i|:|:::::| ＼|┴─i:|:::::|
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　　　　　!| |.ﾞ::j＼　,rｲｭｭ,rﾄ､:､
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　　　　 У　 ,／‐-､j}　　　〉ｭ
　　　　　｀￣´￣￣￣￣￣￣

182 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:12:35 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　イ : : : : : : : : : ｀ヽ
　　　　　　　／: :｛: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　〃:: :: :｛: : : : : : : : : : : :: : : : :.
　　　　　　　 ′: :: :/{: : : :ヽ: : : :‘， : : : : :‘，
　　　　　 .: : : : :/ 从: : : : ＼: : :ﾍ : : : : : ﾊ
　　　　　　 .: : : : /⌒ｌヽ＼: :'厂＼: :｝: :从 : ∧
　　　　　ﾉﾙ': ::ﾘ x=ミ　ヾ＼ィﾃミ､! : l, ､: :: :}＼
.　　　　　　 |: : 从　う;l　　　　圦ﾘ |:: :}　｝:: ::}　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　 |: : ハ弋ﾘ　　　　 `ｰ' .|:: :}.ノ: : :ﾘ
　　　　　 |: / : :.　　　　'　　　　　 |:: :｝ハｊ丿　　　　　　　　　　「だから、今まで沢山のものを、沢山の剣士を斬った。
　　　　　　 |/{: :: :ト　　　ー ' 　イ: :ﾉﾙ'
　　　　　　八: 从: l: :≧=－ . r‐| 〃　　　　　　　　　　　　　けれどまだ答えは出そうにない。
　　　　　　　　　 `　ヾ ` / 冫f´　 λ､
　　　　　　　　　r‐‐-′入〃仆､〆　　｀ヽ　　　　　　　　　　次は何を斬ろうかな、ってずっと迷ってたんだけど――」
　　　　　　　　〃／孑　冫┴ ､＼　　　ヽ＼
　　　　　　　 /　 -‐=　￣／Yl　＼　　　ﾍ　｝　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ｌ　rf千ミ孑{　'ニ｝幵ﾉＶ＼　 `寸
　　　　　　　/二{::::::::::::￣{　　ヲ::::::::＼｝| ＼　ﾍ
.　　　　　　 ′ ｛::::::::::: ,z┘　丿:::::::::::::从 -‐┤ﾏ､
　　　　 {ニﾆ人:::::／　＼く::::::::::,::::/ 厂￣| ハ｝
.　　　　　/二二} l孑ヽ　　　｝::::￣::::/ /!　　 |　 ∧
.　　　 /≦三厂二ﾆ冫　人≧=－＜,r‐―┤ノ　ﾍ
　　　　 {二二ニﾆﾆ／ |厂　　　　ﾉ　　|二二|　　ヽ＼

183 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:13:36 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　イ : : : : : : : : : ｀ヽ
　　　　　　　／: :｛: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　　〃:: :: :｛: : : : : : : : : : : :: : : : :.
　　　　　　　 ′: :: :/{: : : :ヽ: : : :‘， : : : : :‘，
　　　　　 .: : : : :/ 从: : : : ＼: : :ﾍ : : : : : ﾊ
　　　　　　 .: : : : /::::::::::＼: :|:::::＼: :｝: :从 : ∧
　　　　　ﾉﾙ': ::ﾘ::::::::::::::::::＼::::::::::::::! : l, ､: :: :}＼
.　　　　　　 |: : 从:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:: :}　｝:: ::}　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　 |: : ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:: :}.ノ: : :ﾘ
　　　　　 |: / : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:: :｝ハｊ丿　　　　　　　　　　　　　　「――でも、さっき気付いたんだ。
　　　　　　 |/{: :: :ト:::::::::::::::::::::::::::: イ: :ﾉﾙ'
　　　　　　八: 从: l: :≧=－ . r‐| 〃　　　　　　　　　　　　　　　　　そういえばあたし、魔法少女は
　　　　　　　　　 `　ヾ ` / 冫f´　 λ､
　　　　　　　　　r‐‐-′入〃仆､〆　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　まだ斬ったことがなかったな、って」
　　　　　　　　〃／孑　冫┴ ､＼　　　ヽ＼
　　　　　　　 /　 -‐=　￣／Yl　＼　　　ﾍ　｝　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ｌ　rf千ミ孑{　'ニ｝幵ﾉＶ＼　 `寸
　　　　　　　/二{::::::::::::￣{　　ヲ::::::::＼｝| ＼　ﾍ
.　　　　　　 ′ ｛::::::::::: ,z┘　丿:::::::::::::从 -‐┤ﾏ､
　　　　 {ニﾆ人:::::／　＼く::::::::::,::::/ 厂￣| ハ｝
.　　　　　/二二} l孑ヽ　　　｝::::￣::::/ /!　　 |　 ∧
.　　　 /≦三厂二ﾆ冫　人≧=－＜,r‐―┤ノ　ﾍ
　　　　 {二二ニﾆﾆ／ |厂　　　　ﾉ　　|二二|　　ヽ＼

184 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:13:52 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : "´ ￣｀ : ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　　　　　　　 __,.　──-　_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|:::::|（○):::::(○）|::::::|:|
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:|::::_| 　　､　　 |_::::|::|
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_＿|:|:´:|ﾞ:､_　‐‐　_,.ｨ|:｀::|::|＿＿＿
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:|::::::i|: ヽ､ニニ彡'ハl!:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ　　　　　　　　　　　　　　　　　ｲ:.:.:.:.:.:.:.:.:|::::::|:|＼: :､＿_／: /|:|::::::|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:.:.:.:._,.イ!___j:.:.|: :ヽ:＿＿／ |:.|　 .|ヽ._:.:.:.:.:.:.:.l
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !:.:.／_／i⌒||:.:.:|: : : : : : : : : :|:.:｀Ti ｀＼＼:.:.:.:!
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓.: : : : : : : : : |:.:.:.L=」: : : : :｀.ｲ
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .:.:|r､: : : : : : :V:.:∧7 ト; : : : : i
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　 ……びり、と空気の震える音がする。　r=ﾍ`＜: :＿,.frﾄ-ｲﾞｉ .i!: : : : : i!
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧
　　　　　　|::::::::| j　　｀`ヽ､　∨::::ハ
　　　　　　∨::::| i　　　　　　　∨::::::i
　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣￣￣

.

185 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:14:06 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
.　　　ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |:|:::::|（●)　 (●）|::::::|:|
　　　 |:|::::_| 　　､　　 |_::::|::|　　　　　　　　　　　キル子は今、剣を握っていない。
　r､　 |:|:´:| r､_ ‐‐　_,.ｨ|:｀::|::|
　ヽヾ　三　|:l1､ .//ヽ:::1::::|::|　　　　　　　　　　魔法少女の噂はびこる街中に、
　　＼>ヽ/ |｀｝/.　　, ﾞ.|:::::|::|
　　　ﾍ　lノ `'ｿ┴─. i　|:::::|::i　　　　　　　　　　　　　　帯刀して繰り出すほど愚かではないからだ。
　　　 |:/´　 /＿＿＿|　l'i,:|::||
　　　 |:＼. ｨ_|───|_,.ｨﾔ|::|　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |仆{lｪr| 　　　 lrｪl}:| |
　　　　　 V || 　　　　:|　/
　　　　　ゝ:| 　　　ﾚ'

　　　　　　　　　　　　　　,.l｀`‐'"´´｀　　､
　　　　　　　　　　　　:／::| : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　／. . . |. . . . . . . . . . : : : : : : ヽ
　　　　　　　　／ｨ: : : : |: : : i: : ､: : : :､: : : : : : : :　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　‐'　/: :,: : /l: ,i: : |､: ::|: : i: ::l: : : : : : : : :l
　　　　　　　　 .l:／ｲ//ﾌ:::|: :| ﾄ__|::|: l: : l: : : : : : : : :.|　　　　　では、さやかは？　当然、彼女も帯剣してない様に見えた。
　　　　　　　 .//::::l/|::::::::::::|::|::::::::ヾヽl: l: ::|: : : : : : ､:从
　　　　　　　//i::::::'::|:::::::::::::ﾘ::::::::::::､ヽヽ|: ::|: :i: : : : :ヽ:ヾヽ　　そうでなければ、こうして大通りの料理屋へと
　　　　　　 l/ |::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::､|::::|: |:､ : : : : ヽ＼
　　　　　　/　|i::::i:::::.､::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::|l::::ヾ: :＼: :ヽ　　 .足を運ぶことさえままなるまい。
　　　　　　　._|､::|∨ﾑ＼::::::::::::::::::::::::::::::::|:::l '::l:::::ヾ:ﾄ.i ヾ l
　　　　　　　|.l ヾ!　　 W,｀ヽ ____ , ,.〟壬|}/､:|.ヽ＼;|　　ヽ.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　,､__,r' .l　　　　　　 ,r ''''‐!≪´ 　 .,)'‐､'
　　　　i´　　ヽク　　 .,-/　　　　＼￣　　l .l｀.‐､　　　　　　 _ ,､
　　　　.|　,　､ /　　　/　＼　　　　＼　　　l　:::.　 l.　　　　 ,// .'ヽ,
　　　　./´___ ｀.l　　.X ､　　＼　　　　＼　　　　:::.　lヽ,､　 ∫'　　　ﾌ
　　　　l,イ.: :｀iヽγヾヽ.＼　　　　　　　.＼　　　.＼ .ヾ:ﾉiヾ´二ヽノ
　　　　｀/: : :／: :ゝ　ヾ:ゝ､ヽ　　　　　　　＼　　､＼ヾ :ヽ: : || l
　　　　 l: : : : : : : : :,>´l: : : :＼　　　　　　　　＼.　::.　＼.ヾ: : :/ﾚ
　　　　 .l: : : : :, ｨ'´　 .ゞ: : : : : ＼　　　　　　　＼::::::..　.＼ヾ'｀

186 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:14:22 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀`ー＝≦　　　〕iト､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 /＼　　　　 `ー__z'⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　 |　　/ 　ハﾍ　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ｲ　　　...|:::::::|::::....　 l.∧　　∧
　　　　　　　　　　　　　　／ﾞ，　　　　 /　| !　{ .::::|:::::::|:::::､::::::}:.. :',　 }　l
　　　　　　　　　　　／　　‘,　　　　ｉ|:|:::::V:::ﾊ::::∧::::|＼::ﾏ:ハﾊ　!　　　　　　　　　＿　 --　 _
　　　　　　　　　　　　 , '　　　　ﾍ、　　　八{|!:::Ⅳ|::V::::::::::::::::::::|::::}/...}/＼＿__,.　 -=≦__　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼＝==ﾁ　ﾏ:lヾ:::::::::::::::::::::::::人ﾘ　　　__,.......-=≦￣::::::::〕iト ., 　　　 ∧
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 /　廴_　＼iト .,_:::::::　イ:/ｲ__......................｀マ::::::::::::::::::::::::::＞､　　 ,
　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 ′ ＿＿＿＿_≧==≦:::::::::::::::::≧=-...._...　　　,. マ::::::::::::::::＞ ´ ＼　 ,
　　　　　　　　 {_,.ｨi〔「　＼__　--　／::::::::∧:::::::::...',::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::〕iト､　　　∨:::／　　　　　＼ ',
　　　　　　ﾄ,. 　　　＼:| 　　｀　／::::::::::::::: ∧::.........',:::::::::::::::::::／::::┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 | /,　　　　　 |　　　／::::::::::::::r‐ _:::∧...　　',:::::::::::／::::::::::::
　　　　　　 |　∧　　 _　 -　　／:::::::::::::::: / 　___＼ﾞ,　　 ,::::::::::::::::::::::::/ 　「そういう訳だからさ、やろっか」
.　　　　　 l　　ﾍ　 !　　／ /:::::::::::::::斗=γ´　　｀ ',　　 ',:::::::::::::::::::::′
　　　　　　 l　　　＼| ／　./　　　　　 _>' /　　　　　,　　ﾞ,::::::::::::::::::l.:::::　――しかし、さやかは当たり前のように刀を構えた。
.　　　　　　 l　　　＼　..′ 　　＞ ´　　　　　,...::ﾉ!　　　,::::::::::::::::､
.　＿＿　　　 l　　　　　＼{.　　／　　　　　........,.　´　!　　　トﾐ＿:::::::::ｉﾄ　一瞬前まで、確かに影も形もなかった刀である。
.　｀＜￣￣ ∨　　　　＼ ./　　　　 ,. ＜　　八　　 l　　　└--
.　　　　｀＜　 v　　　　　　　＼　　　　／　　　　　 ‘,　　 l　　　　...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　｀ V 　　　　　｀＜イ　　　　　　 _j:._　／}　　　　　　＼.............:::＼
　　　　　　　 _ﾏ.　　　　　　　｀＜　　　　　｛_　　　ﾊ　　　　　　　　　　＞．.:::::::::＼＿
　　　　　　　　 |　｀寸　　　　　　　　　〕iト .,　　　ﾏ／<^/　　　　　　　　　　　｀､::::::::::::::::ﾌ,
　　　　　　　　 |　　　｀＜　　　　　　　　　　　　ﾆ=-　_ {/ ､ﾏ〉　　　　　　　　　　　　 }::::::::::fﾁ厶
　　　　　　 j　　 V///≧=-　_　　　　　　　　　　　　　} |ﾊ }L　　　　　　　　　　　　　〈≦iト､!ニﾆi
　　　　　　　 /{　∨////　　　　　　三ニ＝───＝≦{　|_,ﾆｨ　　　　　　　　　　　　　　　｀寸二二',
　　　　　／　　 ∨//　　　　　　　　　　............................:::ｰﾍ_j´::::::::::::::::::::::::::::::........._　　　　　　＾iニﾆ=ﾑ
　　　　 Υ　　　｀マ｛＿＿＿__,...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈ニニニi::
　　　　　　|　　　　　 ..}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{二ﾆ彡’:::
　　　　　〈　　.................}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣::::::::::::::
.　　　　　　 ≧=-==≦:::::::::::::::::::::::::

187 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:14:35 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　, - ─‐ - ､.
　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::｀ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 .,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　　　 !:::::::::::::/!::::::::::::::::::::､::::::::::::l
　　　　　　　　　　　　　l:::::::::::::i/i:::::::::::::::::::::ﾊ:::|::::::::!　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　|l:i::::::::i/.|_::_l_:::::_|_::::|zi:|::::::::|
　　　　　　　　　　　　 |::l::::::::|ﾟ●ｿ`　　 'ﾟ●ｿ!:::::::::i　　　　　　　 .在らざる筈の刀を、虚空から取り出した――
　　　　　　　　　 l:::|_:i|:::|ﾞ¨ ´　　　ﾞ ¨´|_::li::_|
　　　　　　　　　　　　|:::::l:::::::!　　　丶　　　|:::::|:::!　　　　　　　 .常人には、その様にしか見えなかっただろう。
　　　　　　　　　　　 l::::::|::::::|＼. 　 ‐‐ 　／i:::::l::l
　　　　　　　　　 l::::::l:::::::lヽ.l＞､. _ .イ_l:::::i:::::l:|　　　　　　　　　だが、キル子はその眼で確かに見た。
　　　　　　　　　　　　l::::::l:::::::l 　ヽ､　　 ,//!:::::l::::l!l
.　　　　　　　　　　　 l::::::l::::::::|.　　ヽヽ／/　!::ﾊ::::l:|　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 l:／|:::::::::ﾄ、　　ヽ／　 .l:::l l::::ﾄ､
　　　　　　　　　　　/　/::::::ﾊ:! .ヽ　　/ 　　 |:::| l:::l　 i
　　　　　　　　　　 ,'　 l::::::/　l!　ヽ. / 　　 /l:::! !i|! 　l
　　　　　　　　　　,' 　 |!|::l　　　 ∨ 　　 ,'　l:l　l.l! 　 !

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　//＼:ﾞ､::::::::::::::::::::::::ヾ､:::::ﾞ､::`､::＼::人__
　　　　　　ノ" {::::l >ﾐ、:::::::::::::::::::::::::＼:::::::｀;::::::ヾ､:::ミx､　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 l::::ﾄ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽﾄ､::}::::::::)}::)〉⌒
　　　　　　 V:廴:::::::::::::::::::::::::::::::::::r-癶::::::::jﾄﾄく　　　　　 .さやかが、外套から奇術のように刀を取り出す瞬間を。
　　　　　　　V::＜＿:::::::::::::::::::: ／l:::::{::从ﾄ}
　　　　　　　　　　＼:::::::＜__　　'"　 lﾘ从(　　　　　　　　　瞬きすれば見逃すほどの、あまりに素早く滑らかな抜刀を。
　　　　　　　　　　　二トミr＝ミx､γ┐
　　　　　　　　　　／__　　 `ヽ､　》《ノ￣ヽ__　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 ,,.＞<"´　　｀"'''''''''"⌒''''^''ミ.....__ ｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　,--ｧ
　　　,..ィ'"::::::::ヽ　Y　　　 __r-(^～､_　　　　/＼〉　　　　　　　　　　　　　}`i /''ﾆフ
r''"~:::::::::::ヾ::;;;;:::} ﾉ-　 r-{< >''"￣`ヽ〉-r'"ニ)::癶＿　　　　　　　　　ﾉ )　ヽ〉
乂::::::::::::::::::::{ }}ミ≧x＜>'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`／.:.:.:.ヽ／::＼~''ｰ...、　　 r---r"　　ノj｝
　　`''＜:::::::::`ﾞ}ト≪ﾐ圭≧xヒ^iﾞ^ﾄ_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}::::::::::::＼　　`ヽィ''{　　　ヽ／
　　　　｀''＜:{｀ミ=z､`≪圭ｼ j ﾉ }ヽ:.:／ii:.:.:.:.:ﾉ＼:::::::::⌒''":::::::::弋　　／､
　　　　　 j: : :ヽ＿ゞ `''ミ､~''f_}x会少1 .ii.:.／ : : : ＼:::::::::::::::::＞''"`''"､　　`'''ー--
　　　　　　j: : :l: :└┬‐ ''''"~｀ヽ､　{{ トj　il`"＞..､ : : : `ｰ'''": : : : : : : : : : :`ヽ、
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　　　　 !: : : l : : :〈　彡　　　　　　 i／　j!: :`''＜　　　＞..、: : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　 l: : : : l : : /　　　　　　〈〉j! 　　j!: : : ＼｀''＜　　　＞..、: : : : : : : : : : : :
　　　　　 l: : : : :l: :/　　　　　　　　　ﾇ　　ﾉ: : : : : :＼ : : : `''＜　　　＞..、: : : : : : : :
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.

188 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:14:52 ID:YI/6OxKE0

　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　〃:/:::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　 //::::::::::::::::::/:::::::::::::i:::::::::i::::::i:::::::::i::::::::::::i
　　//!::::::::::::::/::i:::::::::::::ll:::::l::H:i:::::::::::::!::::::::::::i
　 // !:i:::::::::::ii:ト!:::::::::::;ﾊ::＿LLV::::::::jヽ::::::::ﾊ
　 /　LL:::::::〈/:::|::_./l l l l´,´●｡j:::::::/ /::::::::::ヽ　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 |:::::ﾊ/｡●;　　　　` "´::::::/ノ::::::::::::::::ヽ
　　　　 |:::::::ﾊ｀"　､　　　 /::::::/|:::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　 ――だから、キル子は考える。
　　　　 |:::::::::ﾊ　　　　　 /:::::/　,ｲ!::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　 '::::∧::::ヽ..._　‐ -　,:::::/／　ﾞ､._::::::::::::::::::::::::::ヽ　　　　　　　 .自分は無刀で、相手はすでに構えている。
　　　　 ,'::::,　ヽ::::::::::::＞‐イ::::/'　　　 ,.イﾄ‐‐-::､::::::::::::::ﾊ
　　　 /:::/　　＼:_,.ｨ'　|/::::/　　　／　　　／｀ヽ::::::::::::ﾊ　　　　　　この状況で、どうやってこの場を凌げばいい？
　　　 /:::/　　／´ i　 /:::/　　　,ｲ　　　./　/ 　 ';:::::::::::::ﾊ
.　　　/:::/　　ﾊ　　 ! /:::::/　　,/ 　　　 /　,'　　　',:::::::::::ﾊ　　　....┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　 /:::/　　　l l　　 |./::::/　　/　　　　 /　/　　　 ,::::::VV
.　　/:::/　　　 | |　　 !':::::,'　 ./　　　　　 i　/　　　　　ﾞ.::::::::/
　　/::::l　　　/ !　　/::::::,　 / 　　　　 j /　　 ,..-‐'"~〉::::::､
　　!:::::|　　　,'ヽ!　.//:::::|　/　　　　　 !/　,.ｨ_,. -‐'"´ヽ.::::::ヽ
　　!:::::|　　 /　ﾞ| / /::::::| /　　　　　 !'-ｲ'´　　　　　　ヽ::::::::＼

　　　　　　　　､::／ .:ィ/.; .::::::::.:.:.､:.丶:.ヽ:､:.ヽ　　　　 .′|!|　　　　　　／
:.　　　　　ヽ　／. .:／/.: !::i::i!:::.:.:.ｉ:ﾄ､:.ヽ:.i ヾ∧　　　 / 　 |!|　　　　 .:/
.　　　　／´/ /　,:::ｨ ::ﾑ:ﾊ::::::.|::!:::.ヽ:.ﾞl:　i:. ; 　　 .　　 l |　　　. : :′
:.　　　　　　　 { /ﾚ/.:ｲ|::/:::::::Ⅴ:::!::!::::::|::.!　,::！..　／　　　l |　　. :／
＼:.　　　　　　ﾚヽ.{ :/刈ﾄ:::::::::ﾚ､:!:ｲ::::::!:;'）/::从／　　　　｜: : :／　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 `＜: : .＿　、　ﾚ从ﾄi､::::::::::::::＼!::::::〃/.:/／　　　 . :| |／
　　　　　　 γ＼:.　　` ヘ:::::::::::::::::::::ｲ,ｲ／　二ニ＝― | |　　　　　　　　　　言葉で止められる相手ではない。
　　　　　ｉ　　 `＜: : .`ﾄ＞_　_＜／ィ≦イ　ヽ　　　　 | |
.　　　　　　｜　　　_,､二、｀＝＝-‐'´__,､_ 　 ,　　゜.　　　 | |　　　　　　　　　　拳で止められる実力差もない。
　　＿＿____j.、　　辷宀､ﾄ,、_ __,ィく,ィ宀くヽi 　　ﾟ.､　　| |
　／:i:i:i:i:i:i:i:i:｝≧＝ｲ:i:i:i:i:i:ヾくУ＞':i:i:i:i:i:i:i:Υﾄ--≦ｲ　　 | |　　　　　　　　　　刀は大分遠くに隠しておいてある。
/:i:i:i:i:i:i:i:i:rf｀T ―‐' ､:i:i:i:i:i:i:i:ヽｲ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾉ:ｉ:`r ¨´ '.ー‐:| |―-､
:i:i,く＞＜ﾉヽ|,.ｨ==┴ヽ:i:i:i:i:i:i:人:i:i:i:i:i:i:i:i ィくyｰﾑ ___ﾉく:ｉ:ｉ:| |:i:i:i:i:‘,　　　　　　　　　 .では、一体どうすれば――。
:i:iゝｉ　　｀ヽく:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ辷＝´o}{o｀二二/／．`ゝ.:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ| |:i:i:i:i:ｉ:{
:i:｛Y　　　　　 Y:i:i:i:i:i:i:i:iゝ―――-|･｀ーく:._　〟＼:i:i:i:i:i:i:| |:i:i:i:i:i:iゝ―-､　　　　...┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:i:｛_!`　　　　ゞ､:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i｝　　　|:!｀＜_ 　｀ヽ:i:i:i| |:i:i:／:i:i:i:i:i:i:i:‘,
:i:if｀iｰ-　　　　　＞―――ｧr―‐|　　　.|′ __ `ー‐-くﾒｉ| |二｀Y:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
:i:i:くヽ.　　　　／　, ′＞､/ハ__` ＞＜⌒ヽヽ.＼く￣`'}:くY／,ﾞ |:i:i:i:i:i:i:i:i:,′

189 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:15:05 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　 |ヽ　　　　　ｒ -‐'￣ |. ｌｌｌｌ ./ ￣｀`　ｰ-,　　　　 /　|　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 ! ヽ　　　　 l.　　　　 | l | | |./　　　　　　/　　　 /　 .|
　　　　　　.|　ヽ　　　 !　　　　 |.| | | !'　　　　　／,へ　　 /　　 |　　　　 ――そのとき。料理屋の暖簾をくぐる、
　　　　　　.|　　l.　　　　ヽ　　　 l.| | /　　　　／ニニニ ./　　 |
　　　　　　 !　　l.　　　　ヽ　　　ｌ| /　　　　／　　　　　　/　　　 |　　　　屈強な男の姿があった。
　　　　　　|　　 !　　　　　ヽ　　　/　　　／　　　　　 !　　　 |
　　　　　　|　　 | 　 *　　　ヽ　 /　　　／　　　 * 　　　|　　　　|　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 |　　 |　　　　　　　`/　　／　　　　　　　　　 |　　　　|

　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　 / 　/　　　＼　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
.　　　　　　　　　|　　　/＼　　　　 |　　＿／^＼
　　　　　　　　　ヽ　　/￣＼　　　/／￣/　/ _,,ﾉ,|　　　　　　　　　　役人のドクオである。どこか緊張した面持ちで、
　　　　　　　　　　＼＿　　　　/ﾍ　 / / ／　／^''-,,_
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､ !ﾉ　 ∨　i/　､／ｒ-''　　''-,,_　　　　　　　ここへ夕餉を楽しみに来たようには見えない。
　　　　　　　　　　　　　　//i:::| ､　　`i　フ'''"''-,,　　　, 　　､''-,,_
　　　　　　　　　　　　　 |ﾉ　|::ｊ`'i　 ,/ ,>i |　ヽ　 `'- ｒ'､ｒ/／､　､_>　　　　「……女将、魔法少女がいるというのは、ここか？」
　　　　　　　　　　　　　 |　: Ｋ　l　/／　| / |　　　　ヽ ^'7　　i　 )
　　　　　　　　　　　　　ﾚｸ |:ヽl / |　_,,ｲ /　　　　 ,／　〈,　　l　｜　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　 ,/　＼|/-ﾆ／ｲ/　　　／ム　　 |　 /　 |
　　　　　　　　　　　　　 `ｰ-ﾆ|,l|　/　　 i　　 /／_,,ﾉ=- ､|／　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　 `''}　i ､,　 |^' //／／￣￣ﾞ|､　　 i.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉﾆﾉ`,ﾉ ! l ｲ//／⌒ヽ､＿,| ＼ / |
　　　　　　　　　　　　　　　　　`''" `i_ﾉﾉノ／＿,, _,.::'::| {::::|　ヽ8'l,

190 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:15:15 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　／）　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　／／／）　＿＿＿
　　　　　　　　　／,.=ﾞ''"／　　:::::::::::::::::ヽ、　　　　　　　　「ええ、一番奥の席に座ってる二人です。
　　　／　　　　 i f　,.r='"-‐'つ::人:::人::::::::ヽ
　　/　　　　　 /　　　_,.-‐'~／⌒　　⌒＼ ::::::ヽ　　　　　　　　斬るだの斬らないだの物騒な話してたんで、
　　　　／　　,i　　　,二ﾆ⊃（ ●）.　（●）＼:::::::）
　　　/　　　ﾉ　　　 ilﾞフ::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼　　　　　　　　 .間違いありませんわ」
　　　　　　,ｲ｢ﾄ､　　,!,!|　　　　　|r┬-|　　　　　|
　　　　　/　iﾄヾヽ_/ｨ"＼　　　 `ー'´ 　　／　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　´￣￣￣￣￣￣＼
　　　 /　　／　　　＼　　丶
　　 │　　　　／＼　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　|　　　／￣￣＼　　　 |
　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふむ、とドクオは示された方に視線を向ける。
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

191 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:15:32 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　　　　　　　　　 ' "´￣｀ : ､
　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::::::::::::::ヽ:｀:､
. 　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　　　　　　　　 ./:::::,::::::,:::::::､:::::::､:::ヾ:::::.
　　　.' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　　　　　　　　　ｌ:,f::i|,:::::|_::::::||_:::::i|:::::i:::::|　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　ｉ: : :.ｉ: : :.|／:::::＼|::＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　　　　　　　 .|:::|::::|(●）　（●）|::::::|:::::|
　　 |: : :.|: : :.|:::::::::::::::::::::::::::::::::jｲｉ:|　　　　　　　　 ´ |::::| 　　､　　 |_:::::|:::::|　　　 .視線の先には二人の少女がいた。
　　 /ﾍ: : ､: : |::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:ﾊ|　　　　　　,.　　　..´ iヽ､_ ‐-　　_,.|:｀:|:::::|
　　　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨ 　　　　 .／ﾘ　　　　 .|:::::|:::7 l/'　ﾞ1::::|:::::|　　　 .一人は人に刀を向ける少女。
　　　　　　 Y´　{f⌒()⌒i}｀ヽ.　　　　　／／　　　　　 |:::::|::ｲ./　 ,ィ |:::::|:::::|
　　　　　　 /　ｨゞ-介r'ﾞﾉ〈.　　　　／／　　　　　　　|:::::|::i┴─:|　 |::::|::|i:|　　　一人は刀を前にしても動じない少女だ。
　　　　　,.ｲ　/〉　〈/ l｣　〈　ヽ､ <ヽ<／　　　　　　 .|;'i/:j|＿＿_| 　l'i,:|::||:|
　　　　∧ `‐/:'丶､／＼,.ｲヽノ　ﾊヘ >　　　　　　　　 ./ |┴─ |＿_,'ヾ| ||.　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　｀¨`'r'::::/::::i::::::::i:::::::',:::〉‐'¨´　　　　　　　　　　｀ﾔ|　　　lrｪﾘ　}:| |

　　　　　　　　　　　　　　　.........:::::::::::.... .......
　　　　　　　　　＿＿＿＿　　.... .........::::::::::...r‐ ' _ノ.
　　　　　.　　／　　　　　＼　.... .........::::::::＿ ) (_
　　　　　　 /　　　／　　ヽヽ..　..... ......:::（⊂ﾆﾆ⊃)　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 .　|　　　　　／| 　 |　..... ......: ::::｀二⊃ﾉ
　　　　　.　＼＿＿_／￣|　 /..... ......: :::: （( ￣　　　　　　　　　　　幾度の死線を潜り抜けたドクオには、
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼＿.／..　..... ......: ::::::　 ;;
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　　　　　 [l、.　　　　　　　　　　　　この二人が只者でないことが一目で見て取れた。
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞　　　　／,ｨつ
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼　　　　 ,∠∠Z'_つ　　　　　　　　　　　　「……とりあえず刀納めて、話を聞かせて貰おうか」
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.　　 / .r─-'-っ
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l 　 /　）:::厂 ´　　　　　　　　　　　　　隙のない足取りで、彼は魔法少女達に歩み寄る。
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l　/￣｀Y´
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　|::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ﾞ/

.

192 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:15:54 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　-‐…・・・…‐-ミ
　　　　　　　　／ : : : : : : : : : / : : `ｰ: :ヽ
　　　　　〃: :: :/ : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　　　 / : : : / : : : : : : /l: : : : : : : : : : : : :.
　　　　　 / : : : /: :: :ノ: :／从: : :/: : : : : : : : : :.
　　　　 .: : : : : : :: :〃|/廾ト.!:: :ハ: :从: : :}: : : :.　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　′: : :八: :/:::::::::::::::ヽｊ: : }　!匕: ｝: :|: : : :|
　　　　 { : : : : : : !:l:::::::::::::::::::::ﾍ: :|:::::::::::::从 : : : : |　　　　　　 .「あっちゃー、しまったな。
　　　　/ｲ: :: : : :ハ:::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::::::::l ﾉ: : /: |
.　　　/　{: : : : : |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'/: : 从 :.　　　　　 .こんな人の多いところで仕掛けるんじゃなかった」
　　　八: : : : :|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::′ / / ＼
　　　　　 V:: :从＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::人: / /　　　　　　　 .……突然の闖入者に驚いてか、
　　　　　　　ヾ|　≧=　､＿_　　　ヒ升: :/ /
　　　　　　／｀ヽ　　＼　ｊハ,ﾊ从ｌ丿/　　　　　　　　　　　さやかは一瞬だけ、注意をそちらに逸らしてしまう。
　　　　　〃-‐=＝ﾊ. ,､ /冫
　　　　　/　　　　　　ﾍ::::ヽ/ヽ　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 /　　　　　 ‘，::｝::::}
　　　　′　l　　　＼ハ从::}
. 　　 {　ヽﾉ　　　　　　` ＼ゝ'＼

　　　　　　. : "´ ￣｀ : ､
　　　　 .,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 //:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:.
. 　　ｌ,f:::i| :::::|:::::::||::::: |i::::i:::i　　　　　 ――そして。その一瞬の隙を、
　　　 |:|:::::|_:::::|:::::::||:::::_|::::::|::l
　　　 |:|::::_| 　　 ,､　　 |_:::|::|　　　　一瞬の好機を逃すキル子ではない。
　　　 |:|:´:|ﾞ:､／ |l|＼,.ｨ|:｀::|::|
　　　 |:|::::|::/　　 |　　ﾞヽ:::::|::|　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |:|::::|/　　 ∧　　 |:::::|:::|
　　　 |:|::::|　　／,| ヽ　|:::::|:::|
　　　 |:|:i'l〉ｲ´　 .|　｀ﾄ〈'i,::|:::|　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　 |::::::＼_ 　 |:|　　 ,ノ:::|:::|
　　　 |仆ｲ|'i|｀ゝ' ﾞｰ:'´|::/|ilﾊ|　　　　　　　　　　　　　　　　　恐るべきことに、彼女はこの混沌とし始めた状況を
　　　　　 || 　　　　 |
　　　　　 || 　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　一手で切り抜ける、魔法のような秘策を用意していたのだ。
　　　　　|| 　　　　 |
　　　　　|:|＿＿＿,|　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 {ｰｲ　ﾄｰ}
　　　　　　ﾞｰ" 　ﾞｰ'

193 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:16:08 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　,　 '"´..: "´ ￣｀ : ､´
　　　　　　 ,　'"　　　,:::::::::::::::::::::::::::ヽ::､　　　　　＿　-.　　　､､l Ｌ　ｌ　┼ ｌｌ　,Ｚ、　 /　　_∟ ｌｌ
.　　　　　　／／.　　//:::,::::::,:::::::､:::::::､::ヾ:...-─＝二三--─　　　ﾌﾌヒ　.ﾚ ,ﾉ　　ｒ_ﾉ　/｀し　ﾉこ
.　　　　／／　　　 ..ｌ,f:::i|_:::::|:::::::||:::::_|i::::i::|　　　　　　　　　　＾ｰ--‐
.　　　 , '　　　　　 .|:|:::::|（●)　 (●）|::::::|:|.ｒfi、--─==＝≡　　　├
　　　// 　　 ,　'´. 　|:|::::_| 　　､　　 |_::::|:.l |.|||　　　　　　　ｒナヽ　オ　オオ　￣￣￣￣￣￣　ツ
　　 /　　　／／　　 .|:|:´:|ﾞ:､_　‐‐　_,.ｨ|:｀::|:「:￣i___
.　 ,'　　 , '　　　 ,.ィ=＝　　 l　￣ i　　/::::::{::::::ﾊ　｀ヽ　-≡三
. 　　 , '　　 ,　'"　　　 .／ l　 l / 　 /:::::ｒ┴'__ﾉヽ_　l　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━┓
　　 //　,　"　　　 _.. -/::|　_｀ヽ--一':::::::::￣l:::::::::l ｀ヽ
..　//／／　　　 ./ 　 /:::::¨´:::::::::::_;;::::;;_／::::/!:::::::::!　ﾊ　　　　　　　　　　　　逃げた。
　 , ' ／　　　 .{ i　 i::ヽ:;;_:::-:二:::‐--:::::‐'":::ﾄ､_::/＼　l
　　　　　　,　 '"　}　　';::__;;::':´::::::::::＿:::::::::::::::::l　　 }　 ∨　　　　　　　　 .┗━━━━━━┛
.　　　 ,　'　　　　/　　 |::::::､::::／::{::::::::｀ヽ:／::ﾊ　　 i　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　／　　　　　.ﾉ　　ﾊ::::::::::i::／:ヽ｀¨:ヽ:}::::::::::ヽ　　　 i　　　　　　　　　　　　　＿,,, ＿　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　/二二ヽ. ＼::::i:::_;;::--＼¨´:＼/⌒＼＿/　　　　　　　　　　 , -'"__:::::__:::::::｀ヽ､　　　　./ 　/　　　＼　　ヽ
　　､_　　　 / ｒ‐､ｧ‐､∨ﾉ／:/::::::::::::::::ヽ丶:;|　　　　　　　　　　　　　　　 _／:::: 「`::::::　 :::::::ヽ:::::ヽ　　.|　　　 /＼　　　　 |
　　　三二　ｉ:ﾉ､ヽ.>_ﾉﾉ´:::::/:::::::::::::::::::::::ﾊ:::く　　　　　　　　　　　　　　　ハ: . , .ﾊ::ﾊ:::::/＼:::::}:::::::',　 . ヽ　　/￣＼　　　/
.　｀ｰ-　_ 　 {ヽソ:__／::::::::;':::::::::::::::::::::::::::::|::/　　　　　　　　　　　　　　 i::::{::::!..ﾚ'..ヽＶ. ｀ヽヽ/::::::::i　　　＼　　　　　　 /
.　　　　　　￣￣　　 {:::::::::ﾊ:::::::::::::::::::::::::::/:::{　　　　　　　　　　　　　　 iヽｌ . ｌ○　　　 ○ 　ｌ:::::::::::i　　　 ,ｒ''"´l￣´ ::ﾄ､
　　　　｀ｰ-＝=　三　i:::::::::l　＼::::::::::::::::;:ｲ:::::/二ニ　　　　　　　　　　 .ヽ|〉ll⊃　､_,､_,　⊂⊃::::i:::ﾊ　　/　ｒ　｀ー'''" 　ヽ
　　　　　　　　　　　　V::::∧　　｀¨　 ¨´ /:::/二　　　　　　　　　　　　ﾙ;ﾍ　　　　　　iノ::::　ﾙ'　　 .L_,ｌ　　　　　､＿,!
　　　　　.　　　　　＼|　｀ー-　-‐'ﾌ::::::|　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒l,､ __,　　イァﾚ　　　　 .|　| 　　　　　 |　l

194 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:16:40 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（空白）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿,,, ＿　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , -'"__:::::__:::::::｀ヽ､　　　　./ 　/　　　＼　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／:::: 「`::::::　 :::::::ヽ:::::ヽ　　.|　　　 /＼　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ: . , .ﾊ::ﾊ:::::/＼:::::}:::::::',　 . ヽ　　/￣＼　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i::::{::::!..ﾚ'..ヽＶ. ｀ヽヽ/::::::::i　　　＼　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 iヽｌ . ｌ○　　　 ○ 　ｌ:::::::::::i　　　 ,ｒ''"´l￣´ ::ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ|〉ll⊃　､_,､_,　⊂⊃::::i:::ﾊ　　/　ｒ　｀ー'''" 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾙ;ﾍ　　　　　　iノ::::　ﾙ'　　 .L_,ｌ　　　　　､＿,!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /⌒l,､ __,　　イァﾚ　　　　 .|　| 　　　　　 |　l
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.

195 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:16:55 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　＿,,, ＿
　　　　　　　　　 , -'"__:::::__:::::::｀ヽ､　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 ._／ノ（「`::::::　 :::::::ヽ:::::ヽ
　　　　　　　　ハ:⌒.ﾊ::ﾊ:::::/＼:::::}:::::::::',　　　　　　　　　　　　　「……あ、ちょ、バカ、逃げんなー！
　　　　　　　i::::{::::!..ﾚ'..ヽＶ .ノヽ/:::::::::i
　　　　　　　　iヽｌ . ｌ○:::::::::::::○ 　ｌ:::::::::::i　　　　　　　　　　正々堂々戦ってぶった斬らせろー！」
　　　　　　　 . ヽ|〉ll⊃ r‐‐v　⊂⊃::::i:::ﾊ
　　　　 /⌒ヽﾙ;ﾍ　ヽノ　　iノ::::../⌒i　　　　　　　　　　　　一瞬の間を置いて、さやかは思わず怒号を飛ばし。
　　　　　　＼ / 　ヽ i＞,､ __,　イァ /　 /
.　　　　　　　（./　　,i .{ ,-ＹＹ=　 } .ﾍ､_,∧　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ヽ　、.i . . |くハ」|　ヾ:::　丿'

　　　　　　´￣￣￣￣￣￣＼　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 /　　／　　　＼　　丶
　　　　│　　　　／＼　　　　 .|　　　　　　　　そして、その怒号を聞き逃すドクオではない。
　　　　　|　　　／￣￣＼　　　 |
　　　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　「ふむ。その殺気、その発言。やはりお前が魔法少女か。
　　　　　, -‐ (_).ヽ　　　　　ｨヽ
　　　　ｌ_ｊ_ｊ_ｊと)　　　　　　　　i　　　　　　　　　 .やる夫殿とやらない夫殿を斬ったのもお前だな？」
　　　　　￣`ヽ　　　　　　　　|　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

196 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:17:15 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　 ,　 ´: : : : : : : : : :丶、
　　　／: : : : l｀: : : : : : : : : : : :､
　　 /: : : : : : : !: : : : : : : : : : : i: :ヽ
　　/: : : : : : : i: :|､: : : : : : : : : : !: : l
　 ,: :i: : : : : ﾘ_|i_人: :.i､: :i､: : : :i: : :j　　　　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　 l: :l!: : : : :|　 !　｀､| `､| ﾘ｀､:|: : :ト
　 !: :l| : : : ::|　（_）　　　（_） |: : |　　　　　　　　　　　「合ってるけどちがーう！　いいから退いて！
　､: i| : : : ::|　／／／／／　 !: : !
　｀､:| : : : ::|　　　 /￣￣l 　　 !: : !　　　　　　　　　あたしはキル子を斬らなきゃいけないの！
　　 !:| : :i : :|_ 　　!＿＿_j　　ｨ: : :,'
　　 W人: :|::rｹ､=‐---r-ァ'′!从　　　　　　　　　　　 .逃げられる訳にはいかないの！」
　　　　　｀.!" , '｀i二=|!.ｺ､
　　　　　　　/　｀､::::A*::::j｀､　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 /　､　｀"il｀l! |　ヽ

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　　　　＼　　　 r ⌒j
　　　　／　　／　　＼　＼　/ 　 /　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　|　　　　／＼　　　 |/ 　 /　　／　）
　　　　|　　　／￣￣＼ . 　 /　　/　／　／　　　　　　　「……そう言われて、分かりましたと通す阿呆はおるまいよ」
　　　　＼　　　　　　　　　 /　　'` ´ 　／
　　　　　　r´ 　(⌒'ー―- イ′　　　　　´廴　　　　　　そう言うと、ドクオは音もなくさやかの刀に手を伸ばし――。
　　　　　/　　＞、　　　　　ヽ　　　　 _　￣￣￣)
　　　　/　　　　　 -､　　　　 } 　　　　(　￣¨´　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　　　　　　　　ヽ._　　　　　　　__　＼
　　　　　　　　　　　　　　　｀　　　--‐'´　｀ﾞ'

.

197 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:17:28 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／,,｡-==､　／　　　　　 .そして、さやかの刃を強く握り込む。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／/　　　　 .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　/　　　:.:.､:.):.:.＼　　　　 .真剣白刃取りである。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　:.:∧　　　 :.:.:∨:.:.:. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　:.:.∧　　 __:.:.:∨:.:/-=!:､ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／∧イ　 ∧:.:}ｲ　/:.∨:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／:.:.:.:.:.ヽ,　　ﾉ∥ ∧:.:.:}v:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／､　　　/　.｀~´Ⅵ!　　∧ﾉ:.∨:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　　〕iト弋　　　ﾉ}:.i{　　　 : : : ヽ,:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　　　　/　/　｀~~´ノ:.:.∧　　　 : : : : 〕iト､:.:.ヽ
　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　　　　　∧ ,　　　　　｀`～ヽ,　　　: : : : : : ＼:.:∨
　　　　　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　/ヽ,:.:.:.　　　　　 }:.:.∧　　 : : : : : : : : : :.∨
　　　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　　 {　/ ~''＜:.:.:.:.:.:.ノ:.:.:.:.i}　　 : : : : : : : : : : :∨
　　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　　　 ∧ i　　　　｀`～===ｲ.　　 : : : : : : : : : : : :∨
　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　　 ∧≧s｡:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.i{　　　: : : : : : : : : : : : }

　　　　　　　　　　　　　　 ,. . .-―‐-. .､
　　　　　　　　　　　　　　 ,. .':´: : : : : : : : : : : : :`ヽ、
　　　　　　　　　　／: : : : /´: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : ;ｲ : : : : : : : : : : : : : : : : ‘，
　　　　　　　　 /: : : : // |: : : :l:.: : : : : : : : : : : : : : ',
.　　　　　　　　　 ,':/ : : // . | ﾄ: : ﾄ; : : :.|: : : : : : :',: : : :l
　　　　　　　　　　 l/| : |: 「!`　!:|ヽ:.:| ', : : |: : : : :l: : :',: : : !.　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　 l! !: :|:/!,_　 |:|　ヽl｀`ト､|: : : : :|≫:.l: : : !
　　　　　　　　　 |: :|; ﾞう!ヽ l! 　ヽfｫx､!: : : : :!≫:.| : : |　　　　　「……おろ、あれ？」
　　　　　　　　　 |: :l | ﾋ!　　　　　以ﾞ|: : : :.:ト､: ﾉ: : : l
　　　　　　　　　　 |: :!:|　　、　　　　¨′|: : :l: ﾉﾉ/: : ∧:l　　　 .動かそうとしても、刀はぴくりとも動かない。
　　　　　　　　　　　 |: :! ＼　　　　　 |: : l /イ/!: :/　ヽ!
.　　　　　　　　　 '; :ﾄ; :/＞.､`＿　,,, ...|: :/ｲ: :/ l:./　　　　　　ドクオの異様な握力に阻まれ、完全に固定されていた。
.　　　　　　　　　 __V,.V-‐ﾄ;/ミ=‐＝''"| /.｀ﾚ'‐-ﾚ､
　　　　　　　　　　/　　　　　　　／{＿}＼　　　　　 ‘，　　　...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
.　　　　　　　　 / 　　　　／／￣　＼＼_,　　　 ‘，
　　　　　　／　　　　r＜／..　　　　　ー､＼.　　　＼
.　　　　　　／　　　　／/￣¨うぅrぅrぅう心'''＼＼　　　＼

198 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:17:46 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そのままドクオは蹴りを放った。

　　　　　／￣￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　当たればまず脳を揺らす、顎狙いの鋭い蹴り。
　　　　／ﾉ(　_ノ　　　ヽ
　　　　|　⌒　／　　＼｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　常人ならば、まず避けられない一撃である。
　　..＿.|　　　 ./＼　　|__/⌒l＿＿＿∩＿＿＿＿
　　..＼ |　　　 /￣＼　|＿`'''＿＿__|||| .||＿＿＿_||　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　／ ⌒ヽ　　　　 }　 |￣|.　　　 ∪　　　　　　　　　　　　　　 .三: : :{: : :..: ヽ : : : ',: : : : : :,
　　／　へ　　＼　　 }__/　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　三 : : ∧: :..ｉ、:.', : : : !: : : : : :',
　／　／　|　　　　　ノ　ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾋｭﾝ　三: i: / 　＼| ＼ﾄ､ﾄ､:|: : :.ｉ: : :.ｉ
( _ ノ　　　 |　　　　　＼´　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　三,:.Ｎ　о 　　 о 　|: : :.|: : :.|
　　　　　　|　　　　　　　＼＿,, -‐ ''"　￣￣ﾞ''―---└'´￣｀ヽ　三.:八　　､_,､_,　　　|: : /: : ﾊ!
　　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　─＝ニニ≠'ノ　三.∨≧=‐-　-‐=≦ﾚｲ､i∨
　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　＿,, -‐─＝ニ二二ニ＝　　　　　　三　　　　　/
＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　─＝ニ二二二ニ＝　　　　　　　三　　　　　　　./
　　　───＝＝＝ニニニ二二二二二ニニ＝　　　　　　　　三　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　＼　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　三　　　　　　　　 ./

　　　　　　　　j!:::::＼::::＼::::::::::::::::::::::::＼::::::::::ヽ
　　　　　　　 /:::::::ﾄミ:::::::::ヽ＼:::::::::::::::＼＼:::::::ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　//＼:ﾞ､　￣／ r埓ヾ､:::::ﾞ､::`､::＼::人__
　　　　　　ノ" {::::l >ﾐ、　　以　　＼:::::::｀;::::::ヾ､:::ミx､　　　　　　　　　　　　　　……どこか信じられない様子で、
　　　　　　　　 l::::ﾄ lﾘ　　　　　　　　　ヽﾄ､::}::::::::)}::)〉⌒
　　　　　　 V:廴__''　　　　　　　　r-癶::::::::jﾄﾄく　　　　　　　　　　　　　さやかは外套から二本目の刀を取り出し、
　　　　　　　V::＜＿_ー‐ 　　. ／l:::::{::从ﾄ}
　　　　　　　　　　＼:::::::＜__　　'"　 lﾘ从(　　　　　　　　　　　　　　　　　　　試すようにドクオの脳天を狙う。
　　　　　　　　　　　二トミr＝ミx､γ┐
　　　　　　　　　　／__　　 `ヽ､　》《ノ￣ヽ__　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 ,,.＞<"´　　｀"'''''''''"⌒''''^''ミ.....__ ｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　,--ｧ
　　　,..ィ'"::::::::ヽ　Y　　　 __r-(^～､_　　　　/＼〉　　　　　　　　　　　　　}`i /''ﾆフ
r''"~:::::::::::ヾ::;;;;:::} ﾉ-　 r-{< >''"￣`ヽ〉-r'"ニ)::癶＿　　　　　　　　　ﾉ )　ヽ〉
乂::::::::::::::::::::{ }}ミ≧x＜>'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`／.:.:.:.ヽ／::＼~''ｰ...、　　 r---r"　　ノj｝
　　`''＜:::::::::`ﾞ}ト≪ﾐ圭≧xヒ^iﾞ^ﾄ_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}::::::::::::＼　　`ヽィ''{　　　ヽ／
　　　　｀''＜:{｀ミ=z､`≪圭ｼ j ﾉ }ヽ:.:／ii:.:.:.:.:ﾉ＼:::::::::⌒''":::::::::弋　　／､
　　　　　 j: : :ヽ＿ゞ `''ミ､~''f_}x会少1 .ii.:.／ : : : ＼:::::::::::::::::＞''"`''"､　　`'''ー--
　　　　　　j: : :l: :└┬‐ ''''"~｀ヽ､　{{ トj　il`"＞..､ : : : `ｰ'''": : : : : : : : : : :`ヽ、
　　　　　　! : : l : : : :} 　　　　 `＝=z　jjヽ､　　　＞..､: : : : : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　 !: : : l : : :〈　彡　　　　　　 i／　j!: :`''＜　　　＞..、: : : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　　 l: : : : l : : /　　　　　　〈〉j! 　　j!: : : ＼｀''＜　　　＞..、: : : : : : : : : : : :

199 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:18:30 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / |　　　　　　＿＿＿＿　ｰ　,_
　　　　　　　　　'|､　　　　　　．　　 /　.ヽ-‐'"￣￣゛　　Z二　..,,_.　　　｀'!＝;;- ..、
　　　　　　　　　 !.ﾞl,　　　　　 il　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ"'ｰ-..,,,、.｀''-ﾐ;;､
　　　　　　　　　　　ｌ,　　　　 .l.ﾞi　 /　　　　　　　／'￣￣￣''''ｰ　,,,　　ﾞ'｀-二　　ﾞﾞ'ﾍ､
　　　　　　　　 ! .'l．　､　 |　! /　　　　　　　 /　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　 |,│　 |l　 !　.゛　　　　　　　 lﾞ
　　　　　　　　　　　ｌ !　　l.!　!　　　　　　　　　　　│. 　　　　　その一撃は、間違いなく一流の斬撃であった。
　　　　　　　　　　　..ｌ|　　|.!│　　　　　　　　　　　 l
　　　　　　　　　ﾞ!　　|.l.|　　　　　　　　　　　　 !　　　　並の剣士ならば、刀で受けることさえ難しい一撃。
　　　　　　　　　 | 　　 .l　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　　　 |, ,　 .|　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　ドクオは感心する。その歳で、これ程の剣を振るうとは、と。
　　　　　 ll,　　　　　 .ｌ.ｌ、　|　　　　　　　　　　 |
　　　　　　ｌ.ｌ　ﾄ　　　ｌ.! ｌ .|　　　　　　　　　　　ｌ　　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　ｌ.ヽ| ｌ　　　 .ｌﾚｌ,|　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ　　 . ｌゝ
　　　　　　　! 　 .ｌ.　　　 !　ﾘ　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽ　　ヽ
　　　　　　　 !　　ｌ　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ.ﾐ.
　　　　　　　 .|,　　.!､　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾐ
　　　　　　ｌ　　｀'-　､ |,　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞl、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞヽ
　　　　　　　　 'ト、　 .亅 .ｌ,.ｌ　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　ヽ　 |!　ﾘｌ、　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　ｌ.　l　　.ｌ.ｌL　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ .|　　.! ｌ|、　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　ｌ .!　　.! !li　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ｌ.!　　 ! .ｌ　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ｌl　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　ﾘ　　 l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 il　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

200 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:18:41 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／,,｡-==､　／　　　　　　――そう思いながら、彼は平然と
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／/　　　　 .＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　/　　　:.:.､:.):.:.＼　　　　　さやかの斬撃を握り込み、止めた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　:.:∧　　　 :.:.:∨:.:.:. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　:.:.∧　　 __:.:.:∨:.:/-=!:､ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／∧イ　 ∧:.:}ｲ　/:.∨:.､
　　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／:.:.:.:.:.ヽ,　　ﾉ∥ ∧:.:.:}v:.:.＼
　　　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／､　　　/　.｀~´Ⅵ!　　∧ﾉ:.∨:.:.:＼
　　　　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　　〕iト弋　　　ﾉ}:.i{　　　 : : : ヽ,:.:.:.:.＼
　　　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　　　　/　/　｀~~´ノ:.:.∧　　　 : : : : 〕iト､:.:.ヽ
　　　　　　　　／三三三三三／　　　　　／　　　　　∧ ,　　　　　｀`～ヽ,　　　: : : : : : ＼:.:∨
　　　　　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　/ヽ,:.:.:.　　　　　 }:.:.∧　　 : : : : : : : : : :.∨
　　　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　　 {　/ ~''＜:.:.:.:.:.:.ノ:.:.:.:.i}　　 : : : : : : : : : : :∨
　　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　　　 ∧ i　　　　｀`～===ｲ.　　 : : : : : : : : : : : :∨
　　　　　 .／三三三三三／　　　　　／　　　　　　　　 ∧≧s｡:.:.:.:.:.:./:.:./:.:.i{　　　: : : : : : : : : : : : }

　　　　　　　　　　　　 ,;-‐────- 、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　 ._　　　/　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　 .(＾ヽ{　ヽ　 |　/　　　　＼　　　　　|
　　　　.(￣ヽヽ　i 　l　　　　／＼　　　　　　l　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 .(二ヽ　i　i　|,r‐i　　　/￣￣＼　　　　　|
　　　　ヽ　　／　人　　　　　　　　　　　ノ　　　　　　　「何度やっても同じだが、まだやるかい」
　　　　 .i 　 {　　ｲ―丶. ＿_　　　　＿-‐"
　　　　　　ヽ.　`ｰ '/　　　　　　　　　　ヽ. r‐､＿_　　　　　　　　握力まかせに刀をもぎ取りながら、ドクオは言う。
　　　　　　　　`ー ' ￣　i　　　　　　　　　.',｀´ ┬┤
　　　　　　　　　　　　　　l 　　　　　　　　　 i　 _匸}　　　　　　　 .その声は平坦な調子で、動揺した様子はまるでない。
　　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　├ﾞー '
　　　　　　　　　　　　 /'　　　　　　　　　 l、　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　 .／　　　　＿　　　　　　ヽ
　　　　　　　　／　　　　／　　ヽ､　　　　　i
　　　　　　　　 ._/　　　　　/　　　　 /　　　　　>_
　　　　　　　 .／　　　　ヾ　　　　 }　　　　´　　｀ヽ
　　　　　 {　　　　　　　　〉　　　〈　　　　　　　　　〉
　　　　　ヽ＿＿＿＿ｨ　　　　　　ー‐'｀ー―一'

201 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:19:01 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　 __,.　──-　_　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　, ＜.イ: : : : : : : : : ＞､__
　　　　　　〃イ: : : : : : : : : : : : :i: : : :ト､　　　　白刃取りというのは、決して容易な技術ではない。
　　　　 _, イ: : /: : : : : : : : : : : 7: : /:.ハヽ､
　　　　　 7: :〃: : : : : : ＿＿,.ｲ: :./: : :ﾄ:ﾊ　　　高名な剣の達人でさえ多くは失敗するほどの、
　　　　　i:./' i: : : : : : : : : :ー_,.ィ i: : :|:.! ヾ
　　　　　ﾚヾ{: /: :i: :＞'7__,: 7 　 !V: jヾ　　　　凄まじい集中力を要する命懸けの業である。
　　　　　　　ヾ＞-===zヽ_',:!,. ‐ﾘ V,
　　　　　　/7´　　　￣￣￣｀ヽ　　ﾘ　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　//　　　　　　　　 _,.　i|
　　　　/ l　　　　 ,. -‐'　　/.ﾄ､
　　 _,.-'　　　__,. -‐'　　　　 /　／　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　 _,. t≦=!
　　　　　＿,.　..:-‐:´: : : :i__,..Y　　　　　　　　　　　　　　　　……その命懸けの業を、平然と行う猛者と相対した事を
　.‐　´￣　|`ｰ':i',￣￣￣￣i:::::::ﾄ
　　　　　　j::::::::|.ト､　　　 ∨::::∧　　　　　　　　　　　　　　　　　さやかはこの時ようやく理解して、そして。
　　　　　　|::::::::| j　　｀`ヽ､　∨::::ハ
　　　　　　∨::::| i　　　　　　　∨::::::i　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

　　　　　　　　　　　　　　　.........:::::::::::.... .......
　　　　　　　　　＿＿＿＿　　.... .........::::::::::...r‐ ' _ノ.
　　　　　.　　／　　　　　＼　.... .........::::::::＿ ) (_
　　　　　　 /　u.　／　　ヽヽ..　..... ......:::（⊂ﾆﾆ⊃)
　　　　　 .　|　　　　　／| 　 |　..... ......: ::::｀二⊃ﾉ
　　　　　.　＼＿＿_／￣|　 /..... ......: :::: （( ￣　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 r'ﾆﾆヽ._＼＿.／..　..... ......: ::::::　 ;;
　　　　　 r':ﾆニ:_`ｰ三`:く._　　　　　　 [l、.　　　　　　　　　　　　 ――ドクオの背中がぶるりと震えた。
　　　　／: : : : : : :｀,ニ､: :_:_;＞　　　　／,ｨつ
　. 　 /: : : : : : : : / : : : ヽ＼　　　　 ,∠∠Z'_つ　　　　　　　　　　　　武者震いのたぐいではない。
　　　| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ.　　 / .r─-'-っ
　. 　 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''"￣: : :l: : : :l 　 /　）:::厂 ´　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 |:.:.:.:.::.:.:.:ｌ -─-: : /:_:_:_:_l　/￣｀Y´
　.　　 |:.:.::.:.::.::l._＿: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :
　　　　|::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ﾞ/

202 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:19:18 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　 |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　 |::∧:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. 　さやかは――魔法少女は、笑っていた。
　　　　　　　 |/　',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿:::::::::::::::::::::::::::＿:::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　/　　.|:::,::::::::::::::::::::::::::::::::＼￣￣￣￣￣／:::::::::::::::::::::::::::ﾊ:..　.それは魔物の笑みであり、人斬る者の笑みである。
　　　　　　　　　　|/ ',::::l::::::::::::::::::::::::::::::｀＜_＿__,＞'´::::::::::::＞|ｲ::::/|/ .|l
　　　　　　　　　　　　ﾍ:',＼:::::|､|＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／|￣./::/｀ﾉヽ.|.. 　あるいは人道を外れた者のみが浮かべられる、
　　　　　　　　　　　　 __ --ヽ:､＜: :}: :｀ヽ､::::::::::::::::::::／: :..|: :/:ノ : : : : :
　　　　　　　　　　 ,.＜: : : : : :｀`: : : ヽ: : : : :｀`ヽ:::／: :..:.:丿:´: : : : : : : :　　あまりに獰猛な笑顔だった。
　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : ＼: : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : :
　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼: : : : : : :.／: : : : : :-:‐:‐:''...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　.　　 /: : : : : : : : : -:-:‐:'":´:｀:`:‐:‐:‐:-＞:-ｲ::ヽ: : : : : : : : : : ／￣::::::::::::::::｀`ヽ､
　　　　　　 /: : :_:_:_:,:,-:-:-:─:─:─: : : : :／´:::::::::::::::::::::｀ヽ_:_:_:＞'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＞､

　　　　　　　　､::／ .:ィ/.; .::::::::.:.:.､:.丶:.ヽ:､:.ヽ　　　　 .′|!|　　　　　　／
:.　　　　　ヽ　／. .:／/.: !::i::i!:::.:.:.ｉ:ﾄ､:.ヽ:.i ヾ∧　　　 / 　 |!|　　　　 .:/
.　　　　／´/ /　,:::ｨ ::ﾑ:ﾊ::::::.|::!:::.ヽ:.ﾞl:　i:. ; 　　 .　　 l |　　　. : :′
:.　　　　　　　 { /ﾚ/.:ｲ|::/:::::::Ⅴ:::!::!::::::|::.!　,::！..　／　　　l |　　. :／
＼:.　　　　　　ﾚヽ.{ :/刈ﾄ:::::::::ﾚ､:!:ｲ::::::!:;'）/::从／　　　　｜: : :／
　 `＜: : .＿　、　ﾚ从ﾄi､::::::::::::::＼!::::::〃/.:/／　　　 . :| |／　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 γ＼:.　　` ヘ:::::::::::::::::::::ｲ,ｲ／　二ニ＝― | |
　　　　　ｉ　　 `＜: : .`ﾄ＞_　_＜／ィ≦イ　ヽ　　　　 | |　　　　　　 .その手には、既に三本目の刀が握られている。
.　　　　　　｜　　　_,､二、｀＝＝-‐'´__,､_ 　 ,　　゜.　　　 | |
　　＿＿____j.、　　辷宀､ﾄ,、_ __,ィく,ィ宀くヽi 　　ﾟ.､　　| |　　　　　　 .常人には虚空から取り出したようにしか見えぬ、
　／:i:i:i:i:i:i:i:i:｝≧＝ｲ:i:i:i:i:i:ヾくУ＞':i:i:i:i:i:i:i:Υﾄ--≦ｲ　　 | |
/:i:i:i:i:i:i:i:i:rf｀T ―‐' ､:i:i:i:i:i:i:i:ヽｲ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iﾉ:ｉ:`r ¨´ '.ー‐:| |―-､.　　　洗練された魔法少女の抜刀術。
:i:i,く＞＜ﾉヽ|,.ｨ==┴ヽ:i:i:i:i:i:i:人:i:i:i:i:i:i:i:i ィくyｰﾑ ___ﾉく:ｉ:ｉ:| |:i:i:i:i:‘,
:i:iゝｉ　　｀ヽく:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ辷＝´o}{o｀二二/／．`ゝ.:i:i:i:i:i:ｉ:ヽ| |:i:i:i:i:ｉ:{　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
:i:｛Y　　　　　 Y:i:i:i:i:i:i:i:iゝ―――-|･｀ーく:._　〟＼:i:i:i:i:i:i:| |:i:i:i:i:i:iゝ―-､
:i:｛_!`　　　　ゞ､:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i｝　　　|:!｀＜_ 　｀ヽ:i:i:i| |:i:i:／:i:i:i:i:i:i:i:‘,
:i:if｀iｰ-　　　　　＞―――ｧr―‐|　　　.|′ __ `ー‐-くﾒｉ| |二｀Y:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
:i:i:くヽ.　　　　／　, ′＞､/ハ__` ＞＜⌒ヽヽ.＼く￣`'}:くY／,ﾞ |:i:i:i:i:i:i:i:i:,′

203 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:19:28 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　 ,;-‐────- 、
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　 ._　　　/　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　 .(＾ヽ{　ヽ　 |　/　　　　＼　　　　　|
　　　　.(￣ヽヽ　i 　l　　　　／＼　　　　　　l
　　 .(二ヽ　i　i　|,r‐i　　　/￣￣＼　　　　　|　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　ヽ　　／　人　　　　　　　　　　　ノ
　　　　 .i 　 {　　ｲ―丶. ＿_　　　　＿-‐"　　　　　　　　　　それでも、ドクオは動揺する様子を見せない。
　　　　　　ヽ.　`ｰ '/　　　　　　　　　　ヽ. r‐､＿_
　　　　　　　　`ー ' ￣　i　　　　　　　　　.',｀´ ┬┤　　　　　　　魔法とやらで少女が何本刀を持とうと、
　　　　　　　　　　　　　　l 　　　　　　　　　 i　 _匸}
　　　　　　　　　　 }　　　　　　　　　├ﾞー '　　　　　　　 .そんなものは全て剥がしてしまえば一緒だからだ。
　　　　　　　　　　　　 /'　　　　　　　　　 l、
　　　　　　　　　　 .／　　　　＿　　　　　　ヽ　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　／　　　　／　　ヽ､　　　　　i
　　　　　　　　 ._/　　　　　/　　　　 /　　　　　>_
　　　　　　　 .／　　　　ヾ　　　　 }　　　　´　　｀ヽ
　　　　　 {　　　　　　　　〉　　　〈　　　　　　　　　〉
　　　　　ヽ＿＿＿＿ｨ　　　　　　ー‐'｀ー―一'

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　／　　　／　　＼　＼
　　　　　　 |　　　　　　／＼　　|　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 |　　　　　　／￣￣＼　|
　　　　　　　　＼　　　　　　　　／　　　　　　　　　／| 　いかな魔法少女と言えど、結局相手は少女に過ぎぬ。
　　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　 /　 }
　　　　　　　| 　ヽ＿＿　　　　　＿　',　　　　　　　＿＿{丿ﾉ　　ならば剣さえなくなれば、そこに残るはひ弱な子供。
　　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿　　....x-‐っつ´ ) ) ) )) ｀ヽ
　　　　　 | 　／￣｀ｉ　　.-‐……‐-ミ／) ) ) ) ) ) ) ) ) ／`ｰ-　 .焦ることはない、最後に力ずくで抑え込めばいい――
　　　　　 |　　　　 ´　..::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ) ) ) ) ) ) )／
　　　　　 ∧　|　　/　　.i ::::::il:! ::::::..∧.:::::::::::. ） ) ) )／　　　　　彼は、この時そう考えていたのだ。
　　　　　　　　｀ーヽ,′' .:∧:ｉ:::|!ﾄ､ ::（__;）.::|::::::i ） )／
　　　　　　　　　　（ }:::|:::/ノﾊﾉ＼ヽ:::::P:::|::::::{r''´　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　ノｲ:ﾚ丐ミ　丐ミｧ|::::|-､|:::::ﾄ!
　　　　　　　　　 .|:::}辷ｿ　　辷ソ l ::|_ソ廴{
　　　　　　　　　　／jﾊ廴＿＿＿＿,从j／
　　　　　　　 (＿ノ　　　　　／／
　　　　　　　　　　　　　 (＿ノ
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

204 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:19:45 ID:YI/6OxKE0

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿___ｌ　　　　　ｌ ‐″＿＿＿＿＿＿＿_,/ 　/＿_＿＿＿＿././＿＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　ｌ,　　　　　　　ｌ　　　　　　　　 ./ 　 ./ 　　　　　 / /　　 .＿__,,,,,,,,.......... --
　　　　　　　　　　　　　　_..-'″　ヽ　　　　　　 .ヽ　　　　　　　____./ 　　/.....---一ｰ''''' / /ﾞﾞﾞﾞ,ﾞ二...... --......ｨ;;;;'''''''"
　　　　　　　　　 _ ／　　　 .,, ,,ヽ　　　　　　 .ヽ'''''''"ﾞﾞﾞ￣￣　 /　　　| ＿,,,,,,.... -;;x-ﾞ‐'''"´　　　　　　　｀ﾞ''
........... --――''''フ'"　　　　　／　　 .ヽ　　　　　　 .ヽ ._,,,,,.... -.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.
　　　　　　 _／゛　　　　 . ／＿_,,,,,....､＼　　　　　　＼
　　　　. ／　　　　　 .／ﾞ￣゛　　　　　 .ヽ.　　　　　　ヽ,　　._._　……結局の所、彼は上手く理解できていなかった。
'''''ﾞﾞﾞン´ 　　　　／　　　　　　　　　　　＼　　　　　　 `､ン'"
. ／　　　　　　 .／　　　　　　　_,,,..　-ｰ''''" .＼　　　 _／゛　　　　自分の相手が魔法少女であるという事実を。
゛　　　　　　　 / . _,,,..　-ｰ'''''"´　　　　　　　＼／
　　　　　　　/ .｀　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 .,　魔法は少女を大人にするという、残酷な真理を――。
　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 ,／
　　　　　./　　　　　　　　　　　 _,,.. ／　　　　　 ,,＜..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　ｌ　　　　　　　　　　_,,　-''''"゛.／　　　　　　／._.. へ､　　　　　　 `'-､ .| -'"゛　_..-彡-'''" ._.. -'"´　　　,．
　　　　 .|　　　　　_,,　ｰ'''"゛　　　　／　　　　　　　　／'"゛　　　｀'-､.　　　　　　ﾞ''-､,, -!'"´ ._.. -''"゛　　　　 . ／
　　　　　! . -‐''"゛　　　　　／　　　　　　　　　/ 　　　　　　　　　｀'-､,　　　　　　 .｀''＜/'"　　　　　　 .,／
　　　　　.ヽ　　　　　　　　　　／　　　　　　　 / 　　　　　　　 _,.ir=ﾞ‐''"´ﾞ'‐､　　　　　｀''ｰ､,,,　　／　　 .／
　　　　　　｀'-,,.　　　　　　.／　　　　　　　 / 　 ._,,,..　-‐'''"´　　　._.. -.''|゛　｀''ｰ､、　　　　　　　｀''ｰ　,,_　,／
　　　　　　｀''ー　． / 　　　　　　　　　　/ .‘ﾞ´ 　　　　 _..yr''"゛　　　!　　　　.ｌ.｀ﾞ'ｰ､_　　　　　　｀ﾞ'''ー
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 /　　　　　 ,,,　‐'彡'"　　　　 ._．.!　　　　 .ヽ　　　.フ'ｰ ..,,、
　　　　　　　　　　　/ 　　　　　　　　　　　/　_,,　ｰ'''". _..-'"　　　　　,／゛　│　　　　　＼／　　　　 ,.~ﾞ'''ｰ　..,,,_
　　　　　　　 /　　　　　　　　　 /　゛　　 ._..-'´　　　　 . ,..‐″　　　 .|　　　　　　 . ＼　　 .／　　　_..-''　 ´"
　　　　　　 / 　　　　　　　　　　　/　　 _ ／　　　　　 ,..‐″　　　　　　 .!　　　　　　｀''''―ｰｰ''"゛　　 .,／
. ￣ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ´ /　　　　　　　　　　 / ,,-'"　　　　　　／　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　　　　　　　／
　　　　　 . /　　　　　　　　　　 / ゛　　　　　　,／゛　　　　　　　　　　　 _- ヽ　　　　　　　　　　 ,..-'./
　　　　　/　　　　　　　　　　　 / 　　　　 ._／゛　　　　　　　　　　　　／　　＼　　　　　　 ._,, -'″ /
　　　　/ 　　　　　　　　　　　　　 /　　　 .,／゛　　　　　　　　　　 ,／　　　　　　,,'"ﾞ''''ー''''''"゛　　　/

205 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:20:05 ID:YI/6OxKE0

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　　 / /::i 　　 ∠二／　　　　＼.　厶ｲﾄ. 　′ ｀´/:/ｲ{/ /　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　 }　ヽ
　　l|| |::::| 　　　 | | |　　　　　　ヽ＿___＼｀_,. イ彡ｲ／　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　l|| |::::| 　　　 | | | 　　　　　　 /}ﾉrマ⌒＼⌒ー──＝彡　　　　　／　　　　　＿＿＿　　　　　　　　　 / 　 /
　　l|| |::::| 　　　 | | |　　　　 _ﾊﾊﾊ./:.: /⌒ヽ}r､_ 丶＿　　　　　　　／´￣￣￣　 /// 　　｀ヽ.　　　　　 / 　 /
　　l|| |::／}　　　 | | l. 　　　｀>　{廴／{.:.:.:.:./⌒ヾ}┐_＼＿_＞r─＝彡　　　　　 ///　　　　　　＼　　 / 　 /
　 ∠二／.　　　　 | | l.　　　　￣　　　ゝ─{.:.:.:.:.:.:.:.:.:./　＼__ノヽ　　　　　　　 ///　　　　　　　ヽ　/　／
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　　　 ,ｨ/　 //＼.:.:.:.,.イ　　　＼/｀＼　　　　　　　 ///　　　　　　　　　　 y／
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　 {厂　　 //　　｀¨´/､＼　　　＼: : ＼　　　　 ,/// 　　　　　　　／
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　　{{乂＿／{弋　　　ハ}}:.:.＼､　　＼: : ヽ┐　　~~~~~~~　　　　　　　　　　　＿
　　 l| | |　　　　 | | |　　　　　　{{.:.:／.:{￣＼＼＿_ ノ}＼:.:.:.',} 　　　と"´へ　　　　　　　　　　　　　　　　　　／∨ﾊ
　　 l| | | 　　　 ~~~~~~　　　　〈∨.:.:.:.|: : : : ｀¨ｱ¨マ¨´: : }ﾄ､:}｝、　　　 } r､ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　｢￣／::／／
　　 l| | |　　　　　　　　　　　　〈＼:.∧: : : : :∧.:.:.:.:＼／.:.:.:＼} 　　 └′＼}jjj　　　　　　　　　　　　　 | く:::／／
　　 l| | |　　　　　　　　　　　　＼{､. :｀¨T´.:.:.',.:.:.:.:.:.:＼.:.／ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　／{ 廴／
　　 l| | |　　　　　　　　　　　　　　 | ｀¨ｱ¨⌒ーﾍ二二イ〈´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／廴_|
　　 l| | |　　　　　　　　　　　　　　 |＿/　　　　 {＼__ノノ}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／／
　　 ~~~~~ /二＼　　　　　　　　ノ⌒}　　　　　　＼＿彡' ＼　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　＼＼::＼　　　　　 /＿／　　　　　　　＼　　　＼
.　　　　　　＼＼::＼､　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ　　 ∧　　　　　　　　「――暗器術、って、なにそれ？」
　　　　　　　く　＼＼}　＼　　　 f二＼　　　　　　　　　　弋Ⅵ :{
　　　　　　　　＼￣　／　　　 {:::＼ノニﾍ　　　　　　　　　　　{ 　 ',　　　　　　　　かつて、さやかはキュゥべえに
.　　　　　　　　＼／､＼　　　 ∨∧ 　 V',　　　　　　　　　　ー┘∠二二}
　　　　　　　　　　ヽ＼.　　 ∨∧─V',┐　　　　　　　　　　 //:::::/ //　　　そう問うたことがある。
　　　　　　　　　　　　　ヾ＼{ ￣　　　　　 }　　　　　　　　　　 _//＿/ソ/
　　　　　　　　　　　　　　　~~~~~~~｀¨¨¨ﾏ¨ﾏ¨¨´　　　　　　　 {＿＿＿__ﾉ　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V∧　　　　　　　　　　 //::/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨',　　　　　　　　　　 //::/
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

206 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:20:30 ID:YI/6OxKE0

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　〉　　　　　＼＼　　　　　　　　　　｀ヽ／　／::::::::::::::::/
/´￣￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::/
　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::::::::::/
　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 :::::::/　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V
　　./　　　　 /v⌒;　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　「そうだね、簡単に言うなら刀を隠し持つ技術さ。
　 / 　　　弋__ン　　　　　　　　 /⌒; 　　 |
　,′　　　　　　　　　　　　　　　辷ン　　∧　　　　　　　普通の服装に刀を仕込み、誰にも気付かれぬよう
/ .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　',
　　　＼　　　　　　　　、　　　　　　　　　　 / 　　 ',　　　　　　取り出し、あるいは隠す。そういう術だ」
　　　　＞　　　　　　　ー 'ヽ __ﾉ　　　　／　　　',
　　　／　　　≧ｭ．.　　　　　　　　　　　＜|　　　　 ',　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　／　　　　　　　　　｀　￣￣　 ´ 　　　 i}　　　　　 i

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　　　　　　: ´: : : : : : : : : : : ｀ヽ
　　　　　　　／ : ┌: : : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　, ' : : : : |: : : : : : : : : :ヽ : : : : : : ヽ
　　　　　 /: : : : : /| : : : :‘，: : : : :‘， : ‘, : : ﾊ
　　　　　 ' : : |: l: /｜: : : : :‘， : : : : |: : : :|≫: ‘，
　　　　　　 |: : : |: l厶-', : :| : :ﾄ厶-ﾄ : : |: : : :|≫ : ‘　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　 |: : : :Ｖ x==ﾐヽ|＼{,x==ミ＼|: : : :|: : : : |
　　　　　　 |: :|: -〃んﾊ　　　　んﾊヽ-|: : : : :ﾄ: : : :|　　　　　　　　　「……そんなこと、出来るものなの？」
.　　　　　　ヽ|: : |　乂ﾂ　　　乂ﾂ'　｜ : : : |ﾉ.: : :|
　　　　　　 | : ﾘ　　　　　　　　　　 | : : : /: : : :ﾉ　　　　　　　　　　訝しみながらも、さやかは尋ねる。すると。
　　　　　　 |: : ヽ　　　ｒ‐┐ｒ、__ト,| : : /:/|八{
　　　　　　　 V＼:.ﾊ＞　_￣ｒ＼＼ヽ Yｲノ　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　ヽ∧/ｒ= }＿ヽｌ　| ｜|┐
　　　　　　　　　＿「￣＼厂||厂 }　　 / 〉ト＿　へ
　　　　　　 /　　l 　　＼l|Ｌ_/　　　 / 从ﾏ　　 ∧
.　　　　　　／　　ヽ　┌┤ ﾑヽ　　　Уﾏﾂ　　　　｝
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

207 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:20:48 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　,ｲ　　　　ヽ　　　　　　/　　ﾄ-'―　ー--＜二　　　　　￣｀　､
　　　　　　　ｌ i ､＿　　　　｀ー　ﾆ´　　　└ ､　　　　　　　￣｀　､..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　! 'ﾊ＼￣｀ー- ´　　　, -c　　　　ヽ　　　　　　　　　　｀
　　　　　　　',　ゝ' ヽ　　　　　　　ヽ-'　　　　　ヽ　　　　　　　　　 .「勿論だよ！　例えば、うん、やっぱここは長谷川虎
　　　　　　　ゝ´　　　ｊ. , -c　　　　　　　　　　　　 } ヽ
　　　　　　,ィ　　　　,ｲ　ヽ-' 　　　__ﾉ　　　　　　　ｊ　　＼　　　　　　蔵の話をするべきだよね！　彼は伊予ヶ岳で修業を
.　　　　　/　　　　　ｊ　　　　　｀ｰ'　　　　　　　　　ﾉ　　　　＼
　　　　 /　　　　　ハ　　　　　　　　　　　　　_ ＜＿　　　　　ヽ　　　　..積んだ乱破なんだけど、暗器術の達人としても知ら
.　　　 /　　　　 !　ヽ　　　　　　　　　　ヽ　　　　￣￣｀　､　｀ヽ
　　　/ 　　　　 !　　｀二ー┐　　　　　　ヽ　　　　　　　　　ヽ　　　　れているんだ。彼はいわゆる普通の裃に、何十本
　　 /　　　　　　 l　(￣　　　｀´　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　i　　　　　 !　￣｀ー --┐　　　　　i　　＼　　　　　　　　　',..　.もの刀を仕込んで自在に取り出す事ができたんだ。
　　l. .　　　　　　 l　　　　　　 ',　　　　　j　　　　ヽ　　　　　　　　 }
.　 l: : : .　　　　 . :l　　　　　　　　 ',　　　　 l　　/　　　ヽ　　　　　　 /. 　にも拘らず、その生涯で一度も刀を隠し持ってると
　 i : : : : : . . : : : : i　　　　　　　 ,ｲヽ　　　l　　i　　　　　ヽ､＿＿ノ
　 !: : : : : : : : : : : : i　　　　　　　i　　　　　ヽ　j　　　　　　＼　　　　 .見抜かれたことはなかった！　言葉にしちゃうと簡単

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だけど、これって本当に凄い事なんだよ！　体中に刀

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　を仕込むってことは当然それだけ体捌きも不自然に
／:.:.:/:.::.:.:.:::.:.|:.:.:::.:..:.:.:＼
:.:.::::/:.::.:./:|:.:/|::.:|:.:.:.:..:.:.:.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ならざるを得ないんだけど、彼はそれを自分の体術
::.:.:.|:.:.:.:.:i|::|/　|:.:|＼＼!|.:.:.',
:.:.:八.:.:.:.|l/‐- ヽi -‐V:.:!》八　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　で完全に克服したんだ。もうこれだけで彼の凄さって
:.:.:.:|.:＼.:| -‐　　　‐-|:.:.!》.:| ＼
:.:.:.:|.:.:.:.:.|　　　　|　　l:.:.|:.ﾊj　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　言うか実力のほどが伝わってくるよね！　彼はどちら
＼||:.:.:.:.:|　　 ‐‐　 /:.:.|/
. 　＼|ﾊヽ､＿__ イl/ノ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かというと刀を道具として見る性質の人だったんだけ
.　　　＿{￣＞＜}
.　　／{　／￣｛｝￣ヽ＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ど、その実力のほどは本当に一流で、噂じゃ妖怪や
　 /　ゝヽ　　ハ　 /.ノ ',
─────────────────────────━━.魔物のたぐいも切り伏せることができたって話がある

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぐらいなんだ。後は彼自身が雷や嵐を操る天狗だっ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　たとかね。まあ流石にそこまでくると眉唾だろうけど、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でもひどいんだよ！　世の中には天狗とか魔物とか

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　眉唾なら、虎蔵の実力も眉唾だろうって大馬鹿者が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いるんだよ！　ホント信じらんないよね！　最近の侍

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　って奴は心意気がなってないんだよ！　そもそも――」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

208 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:21:09 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　ィ　　　　　￣　ヽ
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　 /　　　　 | | 　 l　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　/　 / 　l　 /| |　　|＼＼＼　　',
　　　　　ｌ　　|　 |　_l_ ﾘ＼　|　斗　ﾄ |　　 l　　　　　　　　　　　　　「えっと、その、出来るのは分かったよ？
　　　　　 |　　|　∧ |　｀　丶l　　r∀ヽ　|　l
　　　　　 |　　|　| r∀ヽ　　　　廴ノ |　l　l　　　　　　　　　　　　　でもさ、それって魔法なの？
.　　　　　　｜ l　l　| 廴ノ　　　　 ::::::::: |　| /
　　　　　ｲｌ |　ヽ |　::::::::::　 rﾆｭ　　　　| //　　　　　　　　　　　話聞いてると、ただの技にしか聞こえないんだけど」
.　　　　　　 | ﾄ　ﾄ l　し　　 |＿|　　　ィ|//
　　　　　　　ﾘ＼|＼＞ｰ　＿　＜＼从l　　　　　　　　　　　　　　割り込むように、さやかが尋ねる。
　　　　　　　　　　从l　f´　f￣ { }￣ }　l
　　　　　　　　　　ﾄ　rﾋィ´{ }T‐ﾄ　＼　　　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　/　/| 　|_| |_|　| ＼＼

　　　　　　　　 |＼　　　　　　／|　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　 |＼＼　　　　／／|
　　　　　　　　　: 　,>　｀´￣｀´　<　 ′　　　　　　　　　　　「………………………。
.　　　　　　　　　Ｖ　　　　　　Ｖ
　　　　　　　　　i{　ノ　　　｀ヽ　　.}　　　　　　　　　　勿論これだけなら、ただの技さ。
　　　　　　　　　八　●　　　●　　八
　　　　　　　/ .|ﾍ⊃ ､_,､_,⊂⊃ 　　',　　　　　　　　　 .古今、暗器術の使い手なんて山程いるしね」
.　　　　　　　./　..l　./⌒l,　 __,　イ　　 ',
.　　　　　＿/　 ...il /　 /　　　　　'...　　',＿_　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

209 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:21:25 ID:YI/6OxKE0

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¨¨　‐-　. _　　　　　　　　　　　 ,.． -‐ｧ
､　　　　　｀ヽ-‐…‐- ミ,.． '"　　　 /ﾆ
ニ､　　　　　　　　　　　｀ヽ.　　　 /ﾆﾆ
ニ=ヽ　　　　　　　　　 '. 　 /ニﾆ
´ 　 i　　　　　　　　　　 :. /ﾆﾆﾆ　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 i　　　　　　　　　　　　　 '. ｀ヽ.ｿ
　　 |　　　　x≠ミ　　　　　r==ﾐ　'. 　 '.　　　　　　　　　　「けどね、さやか。他の人間にとってはただの技でも、
　　 l　　 ⊂⊃　　　　　　　 ⊂⊃　　'.
　 .,:′ 　　　　　 `ｰ'＾ｰ′　　 }　　i　　　　　　　　　　　今の君にとって、暗器術は紛れもない魔法になるんだ。
　人　　　　　　　　　　　　　　 .:　　 |
´　　丶　　　　　　　　　　　　　イ　　 |　　　　　　　　　　　魔法は大切なものと引き換えに、君の願いを叶えてくれる」
.　　　／≧=-　　　_　.　 -=≦ . ‐=ﾆ二ﾆ= ､
.　／　　　　　 /　　　　　. ‐=‐ ´　　i ｀　}　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
／　　　!　　　　ｲ　　　　 {=‐{ | 　　 |彡'
　 |　　 |　　　　 |　　　　　 `ｰ-| 　　 |

　　 /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }: : : : : : : : : ヽ
　　,　　　　　 . . . .|. . : : : : : : : : : :ﾄ､ : : : : : |: : :丶
　　ｉ: : : : : : : : : : : :|: : : : : : : : : : 〃　＼: : : 」_: : :ﾄ､、
　　|: : : : : : : : : : : :|: : : : : |: : : :/　　　　＼.:.:| : : :|　＼
　　l: : : : : : : |: : : : |: : : : : |: : :厶イ　　　　,.斗ｙ : |　 . ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　l: : : : : : : |: : : : |: : : : : |: :/　　　　　　´ r'} N:.:|
　 ∧.:.: : : : : |: : : : |: : : : : | / _,ｘ≪ 　　　り |:.Ν　　　....俯くさやかにキュゥべえは言う。
　/　ﾞ; |: : : : :|: : : : |: : : : : |〆_)､_ﾘ　　　　　.:.:j: |
　　　从: : : : |: : : :！ : : : :|　弋_ノ　　　　丶ｲ:/　　　　「君が暗器術を体得したとき、それを骨子とした大魔法――
　　　　＼: 八:ヽ : :ﾞ; : : :八　　:.:.:　　 ,　／::从
　　　　　　＼|＼＼:＼ : : ﾍ、_　　　´　くヽ}ｲ､　　　　　　.『隠形剣』を、その身で産み出す魔法少女になれるだろう」
　　　　　　　　　〕＼{＼{＼: :', 　ヾ爪　／:}　 }
　　　　　　　／≧=‐-｀`.._＼',　ノ_jr'ヾ:.:.:|　　ヽ　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　/ 　　　　　　ヽ「:.:.:ゝく:.:./　　　〉
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210 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:21:36 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r 、　　　　／|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ',　｀ヽ. --- '　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} 　　　　　ﾘ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _.._/:i　　　　　　　 i ﾊ　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿r_‐〃ｧ' ｨﾍ.　　　　　　ﾊ　 X'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ﾞ=-___..ゞ≦ノ　`7 　 ┌　´ ﾑ".┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　　　￣　　　　　ノﾞﾊ　　|　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.ィ::廴ノﾘ　　|　　　　 .「……もっとも。その魔法が、本当に君の願いに
　　　　 . ＜￣￣＞｡.　　　　　　　　　 /　ゞ==彳　/ |
　　　　／　　　　　　　＞ .　　　　　　　 .ｲ　'　　　　 .ｲ　|　　　　 .辿り着けるかどうかは、君次第になるのだけどね――」
　　　/　　　　　　　　　　＞｡.. _ ..｡＜　 /|:l　　 rく:jﾍ　!
　　 ,'　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /八}　,ノ　　　｀¨　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　:!　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 {　ト､
　　:! 　 . ｬ==‐-　..__　　　　　　　 _.　イ　　　ゝ- '
　　 ', /: :i　　　　　　￣¨¨¨¨¨¨￣
　　　＼八_
　　　　　￣

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211 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:21:51 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　　　　＼　　　 r ⌒j
　　　　／　　／　　＼　＼　/ 　 /
　　　　|　　　　／＼　　　 |/ 　 /　　／　）
　　　　|　u　　／￣￣＼ . 　 /　　/　／　／　　　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　＼　　　　　　　　　 /　　'` ´ 　／
　　　　　　r´ 　(⌒'ー―- イ′　　　　　´廴　　　　　　　　　　 ――ドクオは、うすら寒いものを感じ始めていた。
　　　　　/　　＞、　　　　　ヽ　　　　 _　￣￣￣)
　　　　/　　　　　 -､　　　　 } 　　　　(　￣¨´　　　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　/　　　　　　　　ヽ._　　　　　　　__　＼
　　　　　　　　　　　　　　　｀　　　--‐'´　｀ﾞ'

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　　　　 /￣ ≧s｡.
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　＼　　　　　 '⌒>､　＼　　　.いくら刀を奪っても、次の瞬間には新たな刃。
　　　　　　　　　　　　　　　　｛_　　　　　　　ゝ-　_,｡s≦:::::::::::ヾ:::l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀＜　　　 -=≦:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍ　　既に十五の剣を奪い取ったのに、
　　　　　　　　　　　　　　 _,.rz_　-z_　--＜_,ﾄ､<::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 ,. ＜＞ｔ」＝─- ミ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 　魔法少女の勢いは止まる気配も、衰える気配もない。
.　　　　　　　 ,. ＜＞ ´　く:ー、　　　　廴::/:::::ﾏ:::::::::::::::::○:::::::::::ﾘ
.　　　　　,. ＜＞ ´　　　　　⌒l::::＼　　　　　V::::::::::::::::ﾄｪｪｪｲ:::::::::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　,. ＜＞ ´　　　　　　　 l::::::::(　　　　 ∨::::::::::::::≧≦:::::::::::::::::::::::: |
＜＞ ´　　　　　　　　　　　 |:::::::::＼　　　　〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
'´　　　　　　　　　　　　　　　　|:::::::::::::::≧s｡.　 }::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::二ﾆ=ミ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　ー- ミ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::ﾉ　　　,:ヾ
　　　　　　　　　　　　　　　　　／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／￣{:::::::::::::｛　　　　<／
　　　　　　　　　　　　　　　　,｡s≦::::::::::::::::::::::::::::::::::.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.
　　　　　　　　　　　＿≧ｘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　 <_r‐┐:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　この少女は、もしや無限の剣を持つのでは？
　　　　　　　　　　　　　　　 └-f^ヾ_;､::::::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀寸:::::::::::::::::.　ドクオの中の疑心が、そんな言葉を囁き始めていた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨:::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨:::::::.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨:::::::::::::ﾉ.　　　　　　　　　　＼::::､_ﾐﾒ､┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゞ _彡'　　　　　　　　　　　　　　　 ` ー冖”

212 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:22:14 ID:YI/6OxKE0

　￣-＝＝＿＿＿＿　　─￣￣￣￣
───＿＿＿　　─　￣-＝＝＿＿＿＿　　─￣￣￣￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　´￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　./　／　　　＼　　ﾉし丶.　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　 , -､ _ 三二―　　　　　.│　　　／＼　　　 ⌒　.|
　　　　　__／　　／｀＞､　三二―　..|　　／￣￣＼　　.u　 |　　　 ――相手の剣が無限なら、尽きるを待つは只の無駄。
　　　 /　 l, -　-ﾉ､　　　l｀――､　. 　＼　　　　　　　　　／
　　 / l　 |　　　　l /´　l|　　　　￣￣⌒　　〆￣ヾ　　　ﾊ＼　　　疑心に唆されたドクオは、腰を低くして正拳を放った。
　　 /　l　 l　 -‐　ヾ　　　ヽ　　　　　　　　　彡　　｀y_γ　　　）
　　 {、＼＼　　　 }　　　ｲ　　　ー:: ;-､　ヽーr　 ∨　　ｿ /　　少女の鳩尾を狙う、意識を狩るには充分な一撃。
　　 '､　丶--ヽ／　／イー‐´￣　　　￣＼　 ' ,　　'　 )/　j
　　　＼ｰ----/ ＿　／三二―　　　　　　　＼　ヾ＿／　リ　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　丶---{ {　／三二―
　　　　　　　　　￣
───＿＿＿　　─　￣-＝＝＿＿＿＿　　─￣￣￣￣
　￣-＝＝＿＿＿＿　　─￣￣

　　　　　　　 -‐……‐-ミ
　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
. 　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ
　　　.' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　ｉ: : :.ｉ: : :.|／:::::＼| ＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　　　　　　　 .／　　　　　＼
　　 |: : :.|: : :.|::::::::::::::::::::::::::::::::jｲｉ:|　　　　　　　　　.|　　＼　　 .u｜　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　 /ﾍ: : ､: : |:::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:ﾊ|　　　　　　　　　|/＼.　　　　　|
　　　　∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　　　　　　　　..|.￣＼　　　 .│　　　　　さやかは、それをあえて受ける。
　　　　　 Y´　{f⌒()⌒i}｀ヽ　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　}
　　　　　　 /　ｨゞ..,,_人､ノヽ　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　}　　　　　　 .ごきり、と聞くに堪えない音が店内に響いた。
　　　　　,.ｲ　/〉　,)ヽ　　　/⌒三──.三＝────"⌒ 、　　　入
　　　　∧ `‐/:'. ＜　　　（＿＿＿_＿.＿＿三≡＿　　　　 , 　　　 `ヽ、　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　｀¨`'r'::::/::::i:)　　　　　て　￣三＝　　　　　￣｀丶　　　　　　　　　＼
　　　　　｀`7ヽ.／^⌒`Y´^＼　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　＼　＼
　　　　　　　/､___/　　 !＿,!　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼＿）
.　　　　　/､＿/　　 j＿_|　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　＼

213 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:22:27 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　|i!i!i!:;:;:!i!i!:;:;:;.: i!i!::圭::::::/　　　　 .ﾄ､._人,.ﾍ.__人_,.ｲ_,.ｨ
　　　　　|::::::::::::;!i!i!i!::::::圭圭＿/　　　　 j`‐'┌┐　r‐――‐　、ｰｨ
　　　　　└┌――＃彳￣　ゝ　　　..､- '　　 |　|　 |　r--- 、ｌ　 L_
　　　　　　 /　￣　};;;i!i!i!{￣￣,　　　　_ ) 　　.|　|　└┘　ノ　ﾉ　く
　　　　 /i!i!　　 |　}i!{　　　 |　　　　）...　　　|　|　　　 i"´／　　　(_
　　　　　 { .:i!i!;'：　ﾄ　}i!{ 　　 |　　　 .´）　　└┘　　 └┘　　　　,ﾆ=-
　　　　人　i!　　 | ｀ヽ}i!{　　 |　　　　..)　　┌┐　　 ┌┐　　　（_
　　　　｝i!i!ヽi　　 |　 ',/　i!　　|　　　　 )　　└┘　　 └┘　　　（
　　　 /}i!!{　　 >,,.ハ　ｉ　}i!　| |　　　 ⌒)-､ ,. 、　　　　　　　　　〈
　　　ｉ　i!i!　/　　ヽ　レ　!i! / !　　　　　 .′ ヽ/⌒'＾´ヽ'⌒ヽ「
　　 /´´i!ｉ/　　　{　/ 　i!i!／　）
　　ｉ　　iﾉ　　　 /i´ﾞ　　/　　 /　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　丶ー′,: ''"ﾞ´}i!{　／　　/ ,'
　　　　　 (...,,,_...-'"i!i!!　 / ,′　　　　　　　　　　　　 ……しかし、粉砕されたのはドクオの拳の方だった。
　　　　 _...- '"´　i!i!_....ノ ,'
　　 l´　　}i!{...-イ}i!{ 　　 /　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　∨''"ﾞ/　／　}i!{　/
　　　　　　!/"~ 　}i!!{／
　　　　　　（_...,,'-"ν　　ﾎﾟ
　　　　　　　　　　　　　　　ﾀ
　　　　　　　　　　λ
　　　　　　　　　　（i!!）

　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　／　　　　　＼
　. ／　　／　　＼　.＼　　　　　　　　　　　　　　　　　魔法少女が服に隠した数多の刀。
　 |.　　　　／＼　　u |
　 |ｎi 7　／￣￣＼　 .|ｎ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その暗器の群れに拳を打ち込んだのが理由だが――
l^l | | ｌ ,/)　　　　U 　l^l.| | /）
', U ! ﾚ' / 　　　　 .| U ﾚ'/／)　　　　　　　　　　　　　　　　ドクオには、そんな事は知る由もない。
{　　　〈　　　　　　　ﾉ　　　／
..i,　　　."⊃　　ｒニ　　　 /　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　."'""⌒´　　　　　`''""''''

.

214 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:22:48 ID:YI/6OxKE0

.　　　　　　／: :,: -‐:､: : ─:-: : : :＞.､
.　　　　　　　 /: : : : : : : /＼: : : :＿｀ヽ: ∧
　　　　　　　/: :/ : : : : /: : : }￣: : : : ￣＼∧　　　＿__
.　　　　　　/: :/ : :/ : /: : : : :＼ : : : : :＼ : : :ゝ＜:::::::::::::i
.　　　　／:i: :i: : :,': : i : : : : l : : ＼: : : : :l:＼∧　　}::ﾘノ::|
　　　／ | : |: :l : :i : : :| :|、: :| : : : : ＼: : :} : :ヽﾍ＿|/::::::::|
　　　　　|: :l : l: : l : : : l:トＶ_:ﾄ､: | |: ｌレく l : : : l＼ |:::::::::::|＿＿
. 　　　 |:∧: l: : l:ｌ: : ∧ :::::::::::＼ﾄ､l|::::｢＼ : : |､　ﾚﾆﾆミ}＼＿＼
.　　　　 |　 V:! : ｌ:l : : ∧:::::::::::::::::::::::::::::::/:ﾊ : ﾄ､ﾉ　　　|　　　￣￣＼
　　　　　 ∧l : : l : : ﾄ､ゝ:::::::::::::::::::::::::/lト{＼ｌ__し'ﾆヽ._ｊ　＼　　　　＼
.　　　　　　厶ﾆNヽ!: ｌｌﾄ､:::::::::::::::::::::::／ノ　　（__ﾉノｲﾄr ＼　　＼　　　　 |
　　　　　 //　__　　ヾ＼l{　＞　__ イ／{　＼／ /⌒i ‘Ｔ´ ＼　　ヽ　　　│
.　　　　〈〈／--＼　　　｀＜＿{0}ﾘ　__ヽ.／　, ′ /　/. 　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　 /￣￣ヽ:} ﾉ　 rvr ､＿{　｢ｿ／　 , ′　/__/
.　　　 /::::::::::::____ﾋ'__辷ﾚ=====ヽ／　　, ′　 / {.　　　　　　 .彼は、ただ理解できぬ損傷に動揺することしかできず。
　　　 /::::::::／　 /　＼　　　／　　 , ′　　/　＼
　　　 |:::::ノ|　　　　　　＼.__／　　　, ′　　 /ヽ.＿/　　　　　　 ――そして、その隙を見逃す魔法少女などいない。
　　　　∨　.|　　i⌒ヽ　　|　　　￣）, ′　　 /　　＼
　　　　/　　| 　ｌ_／´V　 ‘,｀ー‐ ', ′　　 ./〕＿__,ﾉ〕　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　 / 　 ∧　∧ 辷 ∨　 ',　　, ′　　　, ′　＿_}__}
　　　 |　　 }　',　ﾊ辷∧　 ‘，　　　,　'＼＿＿/ ﾉ
　　　 l 　 │　'，　}　/　＼__}　　　，─rグー‐┬'
　　　 l　　 !　　}　 |/　　，　　 .／／￣＼　　　，
　　　 |　ノ　　‘ｰ/　　　　／／　　　　ヽ___ﾉﾊ
　　　｀¨　　　　./　 , ’ 　／‐く　　　　　 ,ﾊ￣＼
.　　　　　　　 ,'　,　　／　　　〔＼＿＿_／　∧＿ノ'，
.　　　　　　　 ;　/　／　　　　　＼＼＿＿／::∧ 　 ∧

215 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:23:03 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　..´￣￣￣￣￣￣＼　　　　冷や汗を垂らしながら、砕けた手を庇うようにドクオは構える。
　　　　　/　　／　　　＼　.u丶
　　　　│　　　　／＼　　　　 .|　　　ここで呆けていれば、呆けたまま死ぬのは分かり切っていたからだ。
　　　　..|　　　／￣￣＼　　　 |
　　　　　＼( （ヽ(＼　　　　　.／　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　γ⌒＼＼＼＼　　　⌒ヽ
　　　　 i　　j　ヽ　_　｀ヽｰ‐ 　　i.
　　　　ヽ､ l　（￣　ヾ_＿＿＿_.ノ
　　/つゝ､,,!　　￣￣　　　　　}
　　｛〈〈〈,ゞ,ｿ　　　　　　　　　〈
　　｀￣／　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　／　　　　／´`＼　　　　　＼
　　　 !　　　　く´　　　　＼　　　　ﾍ　　　　　　　　 .一瞬の内に呼吸を整え、魔法少女の剣先へ全神経を集中させた
　　　＼　　　＼　　　　ヽ　　　　ﾍ
　　　 (´____＿___ノ　　　　　ヽ　　　　ヘ　　　　　　 .彼のもとに、しかし無慈悲にも――
　　　　｀￣￣　　　　　　　　 ∨__＿___｀)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

216 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:23:17 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　 / .ﾒﾞ　　　 ,iﾞi!/　　　ﾚ′
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,/　　　　　〃　　　　 /|./
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ――これまでで最も重く鋭い、最後の一撃が。

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｀　　　　　　　 _.. -'"ﾞ.／　_,,.　　　　.、　 _,,　‐'"
　　　　　._,,　‐''"゛　 .,,.彡-'" / . _..-⊂ｰ''"゛
.._,,　ｰ''"　　　　　　''"゛　　.ｨｼ'"゛

217 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:23:48 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　 -‐……‐-ミ
　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -=≡
　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -=≡三　　　　　　　　　 .　 /　　　／
　　　　　　　　　　　 ' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -=≡三　　三　三.　　　　 .　　.-=:　/ 　 .／/
　　　　　　　　　　　　ｉ: : :.ｉ: : :.l／､_＼| ヽ:_!, ﾊ: i:.ｉ　　　　　　　　　　　　 -=≡三　三　　　　　三　　三.　　;,;.-=三 :　 / .!.／　/
　　　　　　　　　　　　 |: : :.|: : :.|　 ○ 　＿ ○　jｲｉ:|　　　　　　　　　　　　　 -=≡三　　　三　　　　　 - 三≡三￢　　..：.　.´⌒ヽ　　て＿＿
　　　　　　　　　　　　 /ﾍ: :.〃⌒＼x 　（_ソ　ｘwﾉ:ﾊ|　　　　　　　　　 .-=.　三　　　三　　　　三=≡三￢￣iii.＼　　　 ..::|　　....}　　（￣￣￣
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　｝.-　-‐=≦∨　　　　　　　　 .-=≡..　.三　　　三.:'　 -=≡三.::　　/＼　　　:::::.::::|　：ノ　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ﾉ　ヽ　　　　　＿　　　　　　　／-=≡三　　三　　　-=三三ﾆ.#;;:..　/￣＼　　　.::::::/..　´＼　 ∧`￣
　　　　　　　　　　　　　／　　　　／　　　l　　　　（､ヽ)〉　　　　　 -=≡　　三　　　　　-=≡| .　 {.　ヽ.;;;//;;.;　　　ｫ　..;;#:::/.∵i,i'｀';.＼!　　ヽ．＋∵
　　　　　　　　　　　　 /　　　　／　　　　ト､　　　ﾚｸ / 　　　_　'´　　　　　　　三= 　　　　 :　|　　‘ー-.＞;;;;::..　　　　..;,.;-＼　 . +　*　､　；,;'，　'´｀';・
　　　　　　　　　　/　　　 /　　　　　 │　　ヽ／　/ 　　　 '´　　　　　　　　　 -=　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　＼　　 ;'´　　　　　｀';
　　　　　　　　　　　/　　　　/ 　　　　　　ヽ､　　　　〃,　'´　　　　　　　 _＞'´　　　　　　　　　　｀ー―７　　　　　　　,ｒ　　　}
　　　　　　　　　/　 ,　　/　　　　　　:　　ゞ`ｰ≠／　　　　　　　 '´　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 , ー―‐-イ　　　/
. 　　　r ､　　　/　　　 /ヽ　　　　　　　　￣￣　　　　　　　'´　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 {　　　　　　　／
　　　　　＼ヽ‐'´　　　/ 　ヽ　　　　　　　　:　　　　　　　'´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ　　　　　`ー――‐＜´
　　　 (ﾆﾆﾆ´　　　_,.／　　　ヽ　　　　　　　　　　　x '´　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　／⌒ヽ　　　＼
　　　　＿／ - .／　　　　　　　ヽ　　　　　　　　／_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　／　　　　＼　　　ﾍ
.　　 └‐と´／　　　　　　　　　 >　　　　　　／　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　‘‐'´　　　　　　　　　　　/　　　　　　/
　　 , ､　　、　　　　　　　　 ./　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　..――これまでで最も重く鋭い、最後の一撃が。
　　＼.> ／　　　　　　　　 ./　　　　　　/
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　　　　　＼＼　　　　　 ./　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ` ―‐ ´　　　　廴＿__,ノ
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218 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:24:16 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　, -─‐──‐-､　　　　　　　　　　　　　　　　　 ……これまでで最も重く鋭い一撃が、
　　　　　／　　　　ﾟ　　＼
　　　　　／ ;　　゜　　　　　 °　＼　　　　　　　　　　　　　　集中力の外からドクオの頭部を的確に打ち抜き、
　　　　　 l　　U　　　　 ;　;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; l⌒ '"⌒ ヽ、
　　　　|;;;;;;;;;;;;;;;;;;　　 u. 　　;　　　|ｰ　　　　＼　　　　　　　　　その意識を驚くほど綺麗に刈り取った。
.　　　　　 !　u.　　　　　　　　 ∪ 　　　　　 ,; 　　＼　,rｰ､
　　　　　ゝ｡　　／　 ;;;;;;;;;;;)::｡　i'′⌒￣￣`￣￣￣ヾ｀ヽ　ヽ　　.┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　（　ヽ'"　　/＼　"'__ ,ノヽ､_＿＿＿"_＿＿,､___ｿﾉ__ﾉ
　　´ ´ `ﾟ~゜´＾" ´~`ﾟ゜｀⌒ ´"´´ﾟ＾ﾟ＾ ~゜ﾟ`´＾ﾞ＾＾´'゜´＾ﾟ´ 'ﾟ＾´ﾞ＾ﾟ゜

　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　ィ　　　　　￣　ヽ
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　 /　　　　 | | 　 l　　　　　 ',
　　　　　　　/　 / 　l　 /| |　　|＼＼＼　　',
　　　　　ｌ　　|　 |　_l_ ﾘ＼　|　斗　ﾄ |　　 l　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 |　　|　∧ |　｀　丶l　　r∀ヽ　|　l
　　　　　 |　　|　| r∀ヽ　　　　廴ノ |　l　l　　　　　　　　　　そして、これで倒せるとは考えていなかった
.　　　　　　｜ l　l　| 廴ノ　　　　 ::::::::: |　| /
　　　　　ｲｌ |　ヽ |　::::::::::　 rﾆｭ　　　　| //　　　　　　　　　　　　　魔法少女が、やり切れない感じでその場に残された。
.　　　　　　 | ﾄ　ﾄ l　し　　 |＿|　　　ィ|//
　　　　　　　ﾘ＼|＼＞ｰ　＿　＜＼从l　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　从l　f´　f￣ { }￣ }　l
　　　　　　　　　　ﾄ　rﾋィ´{ }T‐ﾄ　＼
　　　　　　　　　　　　/　/| 　|_| |_|　| ＼＼

219 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:24:28 ID:YI/6OxKE0

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　●

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220 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:24:41 ID:YI/6OxKE0

.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ドクオが意識を取り戻したのは、
　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿__
　　　　　　　　　　　.／　/　　#　　;,; 　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夜も更けてからの事である。
　　　　　　　　：　／　 ;;#　　 ,;.;:: 　　　　：
　　　　　　　　　 /　　/　　　＼　　　 ..:::::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 | ::::::　　/＼　　　:::::.::::|　：
　　　　　　　　： !　#;;:..　/￣＼　　　.::::::/
　　　　　　　　　ヽ.;;;//;;.;　　　ｫ　..;;#:::/
　　　　　　　　　　　＞;;;;::..　　　　..;,.;-＼

.

221 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:24:56 ID:YI/6OxKE0

　　¨　-=ﾆ二㌻ZZZZZZZZZZZZ＼＼〉ZZZZZZZZZZZZZZＺ|＿|iZZZZZZZZZZZZZZZZ/__/ZZZZZZZ
.　　　　　￣|i:|￣￣￣￣￣￣￣￣ﾞ|i:ｉ:l￣￣￣￣￣￣￣￣￣|i:i:i:l￣￣￣￣￣￣￣￣￣|i:i:i|￣￣￣￣
.　　　　　　 |i:|　　　　　　　　　　　　|i:ｉ:|　　　　　　　　　　　　　|i:i:i:|　　　　　　　　　　　　　|i:i:i|
...,,_ 　　　　|i:|　　　　　　　　　　　　|i:ｉ:|　　　　　　　　　　　　　|i:i:i:..┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
三三二ﾆ=-|i:|　　　　　　　　　　　　|i:ｉ:|　　　　　　　　　　　　　|i:i:i:|
T_|i:||=-=ﾆ弌ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ. 　彼の体は、どこぞの家の床の上に転がされていた。
_|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|　　￣¨'|i:|二ﾆ:|:l‐-:||.,,_|:|＿＿_______,|i:|＿_______,|i:i:i:||
_|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|二ニﾆ=|ｉ:廴＿|:|｀`'|lー|─ーーー─|i:|─ーー‐|i:i:i:||. 　料理屋ではない。自宅でもない。
_|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|　l≡l　 |i:|¨ﾞ　''|:lニﾆ=-|ｪｪｪｪｪｪｪzzz|i:|zzｪｪｪｪｪ|i:i:i:||
_|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|ニアニニア　 :|:|¨:|.´￣￣￣￣￣￣＼.._|_|_|_|_||i:i:i:||. 　どうやら医者に運ばれたようだと気づくまで、
_|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|∠___＿∠_ 　 :|:|: :./　　／　　　＼　　丶 _|_|_||i:i:i:||
_|_|i:||_|_|_|_|i:||i:|`ァァ…ァ/ニﾆ|:|.│　　　　／＼　　　　 .| _ｰｰ:|i:i:i:||. 　ドクオは少しの時間を要した。
_|_|i:|,ｨﾆx|_|i:||i:|,ｨ{￣||x=x　　__|:|: |　　　／￣￣＼　　　 |　　　|i:i:i:||
_|_|i:|{:::{__}_|i:||i:|_||_　 |ゝ-ﾞ|￣::,ｨ　＼　　　　　　　　　／.__¨¨¨|i:i:i:..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
_|_|i:|≧≦｡o≦i:i:ｉ|∠LLL|,.ィ㌻./⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ＿｀..∨7|i:i:i:|ﾆ＞─＜二＞_　ゝ--'　≧==≦　:,　:,　:,
｡o≦「i:i:i:i:||i:i:i:i:i:i:|::|＿,,..⊥|_/./　　､　　　　　､　　〆ヽﾞ￣｀i../|i:i:i:|=≦///≧==|＼￣￣￣￣￣＼:,　:,　:,
i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:jI斗r≦)))-‐=ﾆ二　/　　/　　　　　ﾞ　　lヾ_ ,|ヽ─ヘ　二二二二二ニ|＼|￣￣￣￣￣￣|二二二
i:i:i:i:,.｡o≦㍉＞''YYﾞ二二二../　　/l 　　　　　　　　`､´/　　　ヽ　二二二二二＼ |￣￣￣￣￣￣|二二二
i:i:i:(_)＞'Ｙﾉﾉ　_ノ乂_　　　../　　/ ヽ　　,＿＿__　　　｀　　,ヽ　　ヽ.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
i:i:i:＞┴┴＼ー─‐‐ヽ..-─ヽ　ｲ_　ヽ /　　　　￣￣￣￣`ヽＹ　ゝ‐-､
'"　　￣￣￣　　　　....( _i _i＿ﾄ､__)　ヽ､＿＿_⊥＿＿＿＿ﾉ「＿＿＿ﾉ

222 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:25:07 ID:YI/6OxKE0

　　　　＿＿＿＿
　　／　　　　　　＼
　 / 　/　　　＼　　ヽ　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　|　　　 /＼　　　　 |
　ヽ　　/￣＼　　　/　　　　　　　　　　　　　　「負けた……しかも、見逃されたのか」
　　＼　　　　　　 /
　　　,ｒ''"´l￣´ ::ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　/　ｒ　｀ー'''" 　ヽ
　　L_,ｌ　　　　　､＿,!
　　 |　| 　　　　　 |　l

　　　　　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　 |　　　　|
　　　　　　　　　　＼＿／　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　／￣￣　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　「そのようだな、この恥晒しの部下め」
　　　　　　　／　 ::＼:::／:: 　＼
　　　　　　／　.<●>::::::<●>　＼　　　　　　　　　　　ドクオに声をかけたのは、和権やるオプーナだ。
　　　　　　|　　　　（__人__）　　　　|
　　　　　　＼　　　｀ ⌒´　　　　／　　　　　　　　　　　　　　彼もまた役人であり、同時にドクオの直属の上司にあたる。
　　　　　　 /,,―　-ー　　､　,　-‐ ､
　　　　　（　　　,　-‐　'"　　　　　）　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　 `;ー"　`　ー-ー　-ー'
　　　　　　　l　　　　　　　　　　　l

.

223 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:25:24 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |. `|　 | 　ｌ　 l. 　|
　　　　　　　　　　　　　　　／￣＼　　　　　　「￣￣￣￣￣￣|　 | 　,'　/　ﾉ￣￣|
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　|　　　　　 |　　　　　　　　ヽ_ｊ　 / /／　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　＼＿／　　　　　　|　　　　　　／.ヽ_ﾊ/′　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　|　ｏｐｏｏｎａ　 .|:::::::::::::::::|　　　　　..|
　　　　　　　　　　　　　　／￣￣　＼　　　....|　　　　　　＼＿__／　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　／　 ::＼:::／:: 　＼　......|　　　.┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　　／　.<●>::::::<●>　＼ . |
　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　　　|/|　　　　　「部下が料理屋で伸びていると聞いて、
　　　　　　　　　　　＼　　　｀ー ´ 　　 .／ｌ|.|
　　　　　　　　　　　ヽ､--ー､＿＿,-‐´イ　 l ﾘ　　　　　.我が和権家お抱えの医者まで運ばせたのだ。
　　　　　　　　　　　　　＞'´/ ／　_,.ﾉ|/　　 l.|. /￣∩
　　　　　　　　　　 ,ｒ７′_,.ﾚｧ‐‐'′、 l　 i　　ｌ|...ゝ＿冫　……魔法少女と、やり合ったそうだな？」
　　　　　　　　　　/,厶イ_:.:/　　　　ヽヽ. :l　　.|.　＼_
　　　　　　　　　/7 　 /:.:「　　　　　　　ゝL／|　　　..┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　／〈　　/:.:.:.:',　　　／　　// 　 |　　 (⌒ ､`ー､.／-‐''" |7＿|　　......|
　　　　　　　∧',. ﾍ　/:.:.:.:.:.:',　／　　　〃　　|　　...＼__"''__〈　　　　ゝ-‐'　　　...|
　　　　　／　ヽヽ V:.:.:.:.:.:;.ｲﾍ　　　ﾄｒ'′　　.!　　　　　.￣"´　　　　　　　　　　　 |
　　　　　 l　｀ヽ >､ﾌ:.:.:.:／:.:./　　　　　ｌ　　　 └─────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　´￣￣￣￣￣￣＼
　　　 /　　／　　　＼　　丶　　　　　　　　「……はい、確かに。おめおめと敗け、この様です」
　　 │　　　　／＼　　　　 .|
　　　|　　　／￣￣＼　　　 |　　　　　　　　ただ、ドクオはやるオプーナをあまり快く思っていなかった。
　　　＼　　　　　　　　　／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ　　　　　　　　　彼の上から物を言う態度と、他人を軽く見る物言いが
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|　　　　　　　　　どうにもドクオの癇に障るのである。
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

224 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:26:20 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　／￣＼
.　　　　　　　| 　　　 |
　　　　　　　＼＿／
　　　　　　　　　 |
　　　　　　／￣￣￣＼　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　／　::＼:::／::　＼./´`;
　　　／　 <●>:::::<●>　/ 　 /　,. -､　　　　　　「構わぬ。それより、魔法少女について報告せよ。
.　　 |　　　　（__人__）　.ｧ' 　 / ／　／
　　　＼　　　｀ ⌒´ ｧ'/　　/''　 ∠__,,,...､　　　　貴様がいくら女子供に負ける弱卒でも、その程度は出来よう？」
　　　　.ヽ　　　　. _.ﾉ.ノ_　　 .　´　　 __.ノ
　　　　 / 　r'"´　　　 `ヽ　　　＜´　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　＿_| .　 `''ｰｒ､,　　　　　　,._　`ヽ.
　/´＿_.ﾝr, 　　 `ヽ二iヽ､.,__,.イ　`' ｰ'
　i　＿＿.i !　　　　　　　　　　 |

　　　　　＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　／　　　　　　＼
　　　/ 　　/　　　＼　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　「……承知しました」
　　　|　　　　 /＼　　　 |
　　　ヽ　　　/￣＼　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　喉のあたりまで出かかった言葉を飲み込みながら、
　,,.....イ.＼　　　　　　 /
　:　　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　代わりにドクオは穏当な言葉を吐いた。
　　　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i |
　　　＞　　ヽ. ハ　 | 　 |｜　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

225 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:26:43 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━┓

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（説明）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━┛　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ..＼＿／
　　　　´￣￣￣￣￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__|＿_
　　　 /　　／　　　＼　　丶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　 │　　　　／＼　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／＼:::::::::／　　＼
　　　|　　　／￣￣＼　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ <一>:::::<一>　　　＼
　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ::::（__人__）:::　　　　 |
　　　／　　　　　　　＿＿|__＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　| 　　ｌ..　　　／l　　　　　　 `l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　 '､＿＼　／　 )
　　　ヽ　丶-.,／　|__　　　　 _|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　／
　　　　/`ー､＿ﾉ　／￣￣￣￣／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＼_／
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

.

226 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:27:04 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　／￣＼
　　　　　 |　　　　|　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　＼＿／
　　　　　　　＿|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　話が終わると、やるオプーナはひどく難しい顔をした。
　　　　／　　　＼
.　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　彼はドクオが語った一部始終を耳にしただけで、
.　　／　／） ::::＼:::／::　＼
　　|　／ .ｲ '<ー>::::<ー> u|　　　　　　　　　　　魔法少女の力量のほどを大よそ察したからである。
.　　 /,'才.ﾐ).　（__人__）　／
.　　 |　≧ｼ'　　｀ ⌒´ 　＼　　　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　／＼　ヽ　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　´￣￣￣￣￣￣＼　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 /　　／　　　＼　　丶
　　　　 │　　　　／＼　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　「いかがなさった、やるオプーナ殿」
　　　　　|　　　／￣￣＼　　　 |
　　　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　ドクオは何も知らぬ。やるオプーナ達と魔法少女の因縁も。
　　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　 / rｰ'ゝ　　　　　　　〆ヽ　　　　　　　　　　　　　　彼が魔法少女から命を狙われているという事実も。
　　　　/,ﾉヾ　,>　　　　　　ヾ_ノ,|
　　　　|　ヽ〆　　　　　　　　|´　|　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

.

227 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:27:53 ID:YI/6OxKE0

　　　　.／￣::＼
　　　　 | 　 : : : ::|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　＼_:;;;;／
　　　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ……そして、これからも知ることはない。
　　　／￣￣￣＼
　　／　　 . . . : : : :＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「報告御苦労。あとは吾輩に任せて
　／　　　 . . : : : : : : ＼
　|　　　　　 . : : : : : : : :|　　　　　` ､　　　　　　　　　　 .ゆっくり休むがいい」
　＼_　　　 . : :〃 : : : :,／　　 .___,,..) 　)
　　 /⌒`　. . : : : : : : :｀i　　　　　--‐''´　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　/　. . . . : : : :..: : : : :/

　　　　　　　　　´￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　　　　 /　　／　　　＼　　丶
　　　　　　　 │　　　　／＼　　　　 .|　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　|　　　／￣￣＼　　　 |
　　　　　　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　「え？　いえ、このドクオ確かに敗れはしましたが、
　r､　　　　r､／　　　　　　　　　　ヘ
　ヽヾ　三　|:l1　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　かといって一度関わった事件を投げ出す気は
　　＼>ヽ/ |｀｝　　　　　　　　　　　|　|
　　　ﾍ　lノ `'ｿ　　　　　　　　　　　|　|　　　　　　　　　　　　　　　これっぽっちも――」
　　　　/´　 /　　　　　　　　　　　　 |.　|
　　　　＼. ｨ　　　　　　　　　　　|　 |　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 |　　　　　　　　　　　 | 　|

.

228 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:28:06 ID:YI/6OxKE0

　　　＿＿―＿＿＿＿＿　　 ,―‐､
　　　￣＿＿＿￣―＝＝　　i　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ、＿ノ
　　　　　　　　　　―　＝＝　　　＿＼＿_　　　　　　　　　　　 ´￣￣￣￣￣￣＼
　　　　　―＿――＿＿―＿＝三　　　　＼　　　　　　　　 /　　／　　　＼　　丶
　　　　　　　　　　　ノ⌒'Ｚ　／　 :＼:::::::／::　ヽ　　　　　　.│　　　／＼　　　　　 .|
　　　￣￣　　　　（　　 '( /　　　<●>::::::<●>',　　　　　　 .|　　／￣￣＼　　　　 |
　　　 ――　　　　　|　　|　|　　　　　（__人__）　　〉　　　　　 .＼　　　　　　　　　／
　　　＝＝　￣￣￣|　　|　＼　　　　｀ ⌒´ 　ノ　　　　　　　 .／ゝ　　　　　ィ'ヽ
　　　――＿――　.i　　ヽ-､ヽ　､　　-―＜_　　　　　　　／　　　　　　　　＼　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━┓
―――＝＝＝＝三＼　　　　.　　　　　　　ヽ　　　　　 ./　　ｨ　　　　　　　　　 r 　＼
　　　　　＿＿＿＿＿＿＿＿_.「 !ヘ,__-―´ 　　ﾉ　　　　 | 　 `||　　　　　　　　　|ヽ　　ヽ　　　　「――やるオプーナ殿？」
　　　　＼　　　　　　　　　 .| [.ゝ　　,-――‐´　　　　　 /⌒ヾ|　　　　　　　　　　|　|,　　|
　　　　　　￣￣￣￣￣￣￣ !.」‐-''¨　　　　|　　　　　　ヾ___,ｿl　　　　　　　　　　│（､__,ﾉ　　┗━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　　　　　　 / 　　／　　　　 i　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　|
　　　　　＿＿―＝＝＝／　　 /　　　　 /　　　　　　　　　　　 l　　　 Y´　　　 /
　　　　　　　　　　　 /　　　／ヽ　　　く　　　　　　　　　　 .ヽ,　　（　　 ,/
　　　　　＼　(　ヽ |　　　　|　　＼　　　＼　)⌒;;,,.⌒）／　　　....ヾ　　|　　　|
　　　　　　 (´ ＼.从. |　　　 |　　　　＼　　　＼从人／ ;｀)　　　　　.≒;|　　　|
　　　　　（⌒;;;;;⌒;ソ (´____ _ノ／｀) 　 (､へヽ､____ _｀）　｀)⌒;;,,.⌒）.　.(.（"＿｀ﾞ_）

229 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:28:40 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -､ `､l
　　　　　　　　　　　〈｀'-ｰｰ-'^ヽ `､l
　　　　　　　　　　　ヽ-''´~ｿ　/
　　　　　　　　　　　　　　 ,/　く
　　　　　　　　　　　　 _,.r' .,へ｀ヽ
　　　　　　　　　　　=ﾆ-ｰ'´　 `;､ﾉ

　　　　　　　　　　　　　＼　　　　|l|＼　　　　|l|w/＼　　　　|l|w＼　　　　|l|＼　　　　|l| ＼　　　　|l|w/L ,r_／
　＿＿＿＿＿＿_＿＿＼＼{ｗ└ ＼＼{ｗ└ ¨ ´＼＼{ｗ└ ¨＼＼{ｗ└ ¨＼＼{ｗ└ ¨＼＼{ｗ└ ¨ ´ ／＿＿＿＿＿＿__
　＿＿＿＿＿＿_＿＿＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　／´ヾ,　　r､／´ヾ,　　r､r／´ヾ,　　r､r ／´ヾ,　　r､／´ヾ,　　r､／´ヾ,　　r､r‐|＾`
　　　　　　　　　　　　　　　　　 /／　 }´　　/／　 }´　　　/／　 }´　　 /／　 }´　　 /／　 }´　 /／　 }´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｰ-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀l､_l　　　　,,-ｧ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,,.-''／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r､__,,.-''ﾞ,,.-'´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ_,rｰ'ﾞ´

.

230 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:29:19 ID:YI/6OxKE0

　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　 |:::::::::::　　　　　　　　　　　|
　　　 _　|::.:. : :　　　 ,,ﾉ:..:ヾ、　　　　　 |　　　　 .┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　..,.r:;'三ヽ:: :: .　　／　 ,,､　＼,　　　　/｀､
..;ｲ:;:":::::::::::＼;;｡　　　　／＼　　　　　;:／:::::　ヽ　　　　 ……この後、平久藩の記録にドクオの死はこう記述される。
`｡⌒/7, -──～､ ´￣￣＼　　;;::／::|:::::〆::＼
::::::://,::::..　　 " ニﾆヽ　　　┃ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ　　 .『魔法少女と争うも敗北、全てをやるオプーナに報告したのち、
:::::::|_|;;､:::._＿y-ﾆﾆ'ｰ-ｧ=ﾟ‐────┴────
　　.....`寸圭圭圭}　寸圭圭圭圭圭圭圭圭圭K._　　　 .女子供に討ち負けた屈辱に耐えかね自害』、と。
　　　　｀¨¨¨¨´ ,佳圭圭圭圭圭圭圭圭王圭圭}
　　　　　　 {少r:ゞミ王王圭圭圭圭少'´￣¨¨¨´...┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　 {圭圭圭沁　｀¨¨¨´　f壬心
　　　　　　　　寸少'￣ r劣}　　　弋圭ｦ
　　　　　　　　　　　　　￣

　　　　　　　　　　／￣＼
　　　　　　　　　.|　　　　| ＿
　　　　　　　　　　＼＿.人　　＼　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　.／:::::::::::: 　 .　＼
　　　　　　　　　 /:::::＼:::::／::: 　　. ヽ　　　　　　　　　　　　　刀に着いた血を払いながら、オプーナは考える。
　　　　　　　　　 |:::=・=::::: =・=::::　　　|
　　　　　　　　　 |:::::（__人__）　　　　／　　　　　　　　　　　　　果たしてこの殺しは、本当に必要だったのか、と。
　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::::::　　＼
　　　　　　　　　　/ ⌒ ):::::::::::::::::::::　　|　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　　し:￣::::::::::::::::::::(⌒　）

.

231 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:29:33 ID:YI/6OxKE0

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────────────────────────
　　　　　　　　 -‐……‐-ミ　　　　　　　＿＿＿
　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼　　　　..._ｒヽ'´　　　　　｀ヽ、
　　　　　../: : : : :./: : {: : : : ヽ: : : : ヽ　　..く~ｲゝﾉ --====- 、　ヽ,
　　　　 .' : : : : : ｉ: : ∧: : ｉ、: ',: : !: : ',　　,'　｀r´　　,　　　　　　 ',
　　　　...ｉ: : :.ｉ: : :.|／:::::＼|::＼ﾊ:.ﾊ: i:.ｉ　　i 　L 　/_Ｌ/λi__ヽ_i 」　i
　　　　...|: : :.|: : :.|::::::::::::::::::::::::::::::::jｲｉ:|　　i　　Ｔi´ 　　　　 iｲル'
　　　 /ﾍ: : ､: : |::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ:ﾊ| 　 L　i i |　　　　　　　ﾉ |　 . ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　 ∨ﾚ>､|≧=‐-　-‐=≦∨　　　 .ヽ!、|_｀'、,---_'´L|ﾉ
　　　　　　　／　{f⌒()⌒i}｀ヽ　　　　　　 _,r' ヽヽ-∞'ゝ、　　　　そもそも、魔法少女に狙われている現状、
　　　　　　　　　　　 _ ＿
　　　　　　 ,....'´::::::::{＠}::ｰ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　それを探る手など幾らあっても足りないはずなのだ。
　　　　　　　イ:::／ ´　~￣~ ｀＼　　　　　 , : ´ ￣｀゛ ::　.
　　　　　　 //::〃 i　,ハ　　 /ヽ､ﾍ　　　 .,::´:,::':::::::::::::::::::::::::＼　　　　弱点を探し、そこを突くというなら尚更である。
　　　　　　 |∞:i ｌｌﾚ　　ヽノ　 } !｀ｌｺ　 . :::::/:::::,::::::::,:::::::､:::::､:::ﾞ:.
.　　　　〔人 }　　　　　　　　小iVヽ.　|:::::i::::::|i:::::_||::::::_|:::::,|iﾞl::ｌ　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　 |!　i､. 　　　　　　 lｉ|ノ　　|:::::|::::::|（●）　（●)|::::|::|
　　　　　＿| 　l　ヽ､　　　　　ﾉi|　　.....|:::::|:::::_|.ﾄｪｪｪｪｪｪｲ.|:::::| ｀
　　　／:: ;;| 　ｌ　 x＞､ __,　イｌ　|　　　..|:::::|:´:|､. ゞｪｪｪｪｿ.ﾉ:::i
─────────────────────────━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　 .／￣＼
　　　　　　　　　 |　　　 |
　　　　　　　　　　＼＿／　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
　　　　　　　　　　＿__|＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　その手をわざわざ減らすよう命じるなど、
　　　　　　　／＼:::::::::／　　＼
　　　　　　／ <一>:::::<一>　　　＼　　　　　　　　　　やるオプーナには全く理解できぬ判断であった。
　　　　　　|　 ::::（__人__）:::　　　　 |
　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <　　　　　　　　　　「……わからぬ。本当にわからぬ」
　　　　　　　 |　 |　 '､＿＼　／　 )
　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　／　　　　　　　 .┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
　　　　　　　　＼＿＿＿＼_／

.

232 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:29:48 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　|　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l.　　 ___`___,　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　λ　　　　　　　　 .ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞　__　　　　＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ ./　　　　　　　, 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓.　ヽ　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 :〉　　ﾘ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「一体、何を考えているのだ、できない夫は……？」.　　l　/　 .／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l/　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　　{}　　　 .l イ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　 ∠¨|￣_ゝ　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　レ|＼|　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　 ∨| V　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　　 .!V .l 　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　 l 　 l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 l 　 l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 l 　 l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l　　 l 　 l　　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l＿__l 　ｌ＿__l

233 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:30:10 ID:YI/6OxKE0

　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　 ,　 ´: : : : : : : : : :丶、
　　　／: : : : l｀: : : : : : : : : : : :､
　　 /: : : : : : : !: : : : : : : : : : : i: :ヽ
　　/: : : : : : : i: :|､: : : : : : : : : : !: : l
　 ,: :i: : : : : ﾘ_|i_人: :.i､: :i､: : : :i: : :j
　 l: :l!: : : : :|　 !　｀､| `､| ﾘ｀､:|: : :ト　　　　　　　　　 .|＼　　　　 /＼　　　　　/ |　　　／/　 /
　 !: :l| : : : ::|　（_）　　　（_） |: : |　　　　　　　＿|　＼/＼/　　＼／＼/　|∧／　/／/
　､: i| : : : ::|　／／／／／　 !: : !　　　　　　　　 .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/
　｀､:| : : : ::|　　　 /￣￣l 　　 !: : !　　　　　　　　　　∠　　　　　　　つづく！！　　　　　　＞
　　 !:| : :i : :|_ 　　!＿＿_j　　ｨ: : :,'　　　　　　　　 .／＿　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＼
　　 W人: :|::rｹ､=‐---r-ァ'′!从　　　　　　　　　　￣　/　／∨|　/Ｗ＼　　/＼|＼　 .|　￣
　　　　　｀.!" , '｀i二=|!.ｺ､　　　　　　　　　　　　　　　 /／　　　|/　　　＼/　　　＼|
　　　　　　　/　｀､::::A*::::j｀､
　　　　　 /　､　｀"il｀l! |　ヽ

235 ： ◆xCDm1f0Os. ： 2016/10/08(土) 22:32:44 ID:YI/6OxKE0
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　､　　　　　　　　 /
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　廴ﾉ　――　､{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , :ｧx　 r―‐-　.　　　,ｨ_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,{ :{'７不ヽ　　　　≧く.:/ ,ｨ
　　　　　　／`iｰ::1　　　　　　　　　　　⊂　　／ ∧乂 :{:＼＼　　　　　∨.:＞
　　　　　　　′　`ｰﾍ　　　　　　　　 ⊂　　　　,′/:/{`ト-:. : : `:..≧ｰ----{7⌒＞ｰx、
　　　　 /　　　　ﾒ`　　　　　　　　　　　　 | : {: {八:ﾄ､:.{＼: :.:. : :.:.丁:｢: }｀ヽ.: .:／.:.ヽ
　　　　　/:)　　　　 {　　　　　　　　　　 ⊂　　人/トノ　　｀ー `廴ヽ: :.}:ﾉ:.:ﾘァ　V.:.:.:.:.. :}
　　　　 .′　 _,...ヽ. |　　　　　　　　　　　 i⌒} ＼　　　／　 i⌒fう⌒iノ　　}::::.:.:ノ:ﾘ
　　　　 {　　(:::::::八 {　　　　　　　　　 ,. :≦辷:{´￣　　 ´ ￣　 >ｧ'^ﾍ.ノ　　__ヶ≦r‐＜＼
　　　　 _> ,､＿＿, ｀ヽ　　　　　　　　　く_r‐く´ 込. ＿ (〉r― ≦ （:i: : : ＼／　　__ .＞r'⌒¨
　　と　イ≧ ----- ’　　　　　　　　　 (__＞┴―≦ ＞く｀ヽ.　　　＞ ---`＜´:_ノて:う:）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＿_ノ¨¨¨´￣　　　　　　　　　　￣

　　　　　第三話の投下は以上になります。読んで頂き有難うございました。

　　　　　第四話の投下予定はちょっと不明です。投下の際にはまたスレで連絡します。

236 ：どこかの名無しさん： 2016/10/08(土) 22:41:00 ID:OW4nJOFg0
乙でしたー
小説読んでるみたいで面白い

237 ：どこかの名無しさん： 2016/10/09(日) 01:58:18 ID:NtjY/G/U0
乙乙
面白かったー

238 ：どこかの名無しさん： 2016/10/09(日) 05:14:12 ID:h88acqY20
乙
刀隠してるやつをぶん殴れば怪我するってのは斬新で面白かった

239 ：どこかの名無しさん： 2016/10/09(日) 08:22:42 ID:B.duwPpM0
乙ー
ドクオとさやかの戦いが妙に笑えるｗ

240 ：どこかの名無しさん： 2016/10/09(日) 09:51:37 ID:wWHcOE420
おつ
きゅうべぇが急に饒舌になって腹筋が崩壊したw

241 ：どこかの名無しさん： 2016/10/09(日) 10:37:46 ID:tLu/L51s0
乙でした
シリアスなはずなのに色々とシュールｗ

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24165 :日常の名無しさん:2018/03/27(火) 22:45:22 ID:-[ ]

それはそうと腹は減るｗ

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